商標異議申立
2022-900331
ピングゴー、ピンゴ、ピング、ピン、ゴー
- 審判番号
- 2022-900331
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2021-132778
- 登録番号
- 6563783
- 請求日
- 2022年08月05日
- 審決日
- 2023年06月13日
- 公報発行日
- 2023年07月28日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】小西 里朋
- 【異議申立人】カーステン マニュファクチュアリング コーポレーション
- 【異議申立人代理人】弁理士法人 快友国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 矢澤 一幸
- 審判官 杉本 克治
- 審判官 小田 昌子
- 分類
- T1651.23 -Y (W28) / T1651.261-Y (W28) / T1651.262-Y (W28) / T1651.263-Y (W28) / T1651.271-Y (W28)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項8号商標法4条1項11号商標法4条1項15号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第8号、商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号、商標法第10条第1項、商標法第43条の2第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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登録第6563783号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6563783号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6563783号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、令和3年10月12日に登録出願、第28類「卓球用具,卓球台」を指定商品として、同4年3月23日に登録査定され、同年5月31日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する登録商標は、以下の1ないし6のとおりであり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
1 登録第1536738号商標(以下「引用商標1」という)は、「PING」の欧文字を横書きした構成よりなり、昭和53年12月8日に商標登録出願、第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同57年8月27日に設定登録され、その後、平成15年1月22日に指定商品を第25類「運動用特殊衣服」及び第28類「ゴルフ用具,その他の運動用具」とする指定商品の書換登録がされたものである。
2 登録第4278491号商標(以下「引用商標2」という)は、「PING」の文字を標準文字で表してなり、1996年(平成8年)10月30日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張して、平成9年4月9日に登録出願、第25類「被服,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同11年5月28日に設定登録されたものである。
3 登録第4290327号の2商標(以下「引用商標3」という)は、「PING」の欧文字を横書きした構成よりなり、平成9年1月24日に登録出願、同11年7月2日に設定登録された登録第4290327号商標の商標権の分割に係るものであって、第9類「ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮き袋,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター」を指定商品として、同23年3月24日に商標権の分割移転がされたものである。
4 登録第4334445号商標(以下「引用商標4」という)は、「PING」の文字を標準文字で表してなり、1996年(平成8年)10月30日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張して、平成9年4月9日に登録出願、第28類「遊戯用器具,ビリヤード用具,囲碁用具,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,マージャン用具,子供の化粧遊びおもちゃ,その他のおもちゃ,人形,運動用具,釣り具」を指定商品として、同11年11月12日に設定登録されたものである。
5 登録第5560339号商標(以下「引用商標5」という)は、「PING」の文字を標準文字で表してなり、平成23年9月20日に登録出願された商願2011-67321を原出願とする、商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、同年10月17日に登録出願、第18類「キャディバッグを模してなる皮革製又は合成皮革製の小物入れ」及び第28類「ゴルフバッグ,ゴルフバッグカバー,ゴルフクラブ用ヘッドカバー,ゴルフ用ディボット修復具,グリーンマーカー,グリーンマーカー保持用クリップ,エクササイズ用ボール,ゴルフ用具」を指定商品として、同25年2月22日に設定登録されたものである。
6 登録第5994212号商標(以下「引用商標6」という)は、「PING」の文字を標準文字で表してなり、2017年(平成29年)3月31日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成29年8月31日に登録出願、第28類「ゴルフクラブのグリップ」を指定商品として、同29年11月2日に設定登録されたものである。
以下、引用商標1ないし引用商標6をまとめていうときは、「引用商標」という。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同項第11号及び同項第15号に該当し、商標登録を受けることができないものであるから、本件商標は、商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第13号証(枝番号を含む。以下、枝番号の全てを示すときは、枝番号を省略する。)を提出した。
以下、証拠の記載に当たっては、「甲第○号証」を「甲○」のように記載する。
1 商標法第4条第1項第8号について
(1)「PING」の語は、申立人の創設者であるカーステン・ソルハイムが1959年に開発したゴルフ用パターにちなんで採用された申立人のブランドであり、本国である米国はもとより、我が国を含む世界各国において、高品質のゴルフ用品、アパレル用品等を指し示す著名なブランドとして認識されている。
(2)申立人は、本件商標の登録出願前の1998年に米国子会社である「PING,inc.」(以下「PING,inc社」という。)を設立し、米国を中心とする申立人の「PING」ブランド(以下「PINGブランド」という。)のゴルフ用品等の製造、販売等の業務を担わせている。さらに、申立人は、本件商標の登録出願前の2004年に子会社として日本法人「ピンゴルフジャパン株式会社」(以下「ピンゴルフジャパン社」という。)を設立し、我が国を中心とする「PINGブランド」のゴルフ用品等の輸入、製造、販売、レンタル等の業務を担わせている(甲8)。
(3)「ピンゴルフジャパン社」は、本件商標の登録出願前から、「CLUB PING」、「PING FITTING STUDIO」、「PINGレンタルクラブサービス」等の我が国の消費者向けのウェブサイトを作成し、「PINGブランド」のゴルフ用品等の我が国における販売の促進を図っている(甲8)。また、「ピンゴルフジャパン社」は、日本全国のゴルフ用品ショップ及びオンラインショップに「PINGブランド」のゴルフ用品等を卸し、実際に販売している(甲9)。
(4)「ピンゴルフジャパン社」は、日本女子プロゴルフ協会に所属する13名の選手、及び日本ゴルフツアー機構に所属する15名の選手とプロ契約を締結しており(甲10の1~3)、契約選手の一人である渋野日向子選手が2019年のAIG全英女子オープンで優勝した際、「PINGブランド」の帽子を着用し、同ブランドのゴルフクラブを使用した同選手の写真や映像が複数のメディアでとりあげられた(甲10の4~6)。
(5)「PINGブランド」は、ゴルフ用品の主要メーカーとしてゴルフの専門情報サイトや雑誌でも数多く取り上げられている(甲11の1~3)。また、ゴルフ月刊誌である「月刊ゴルフダイジェスト」では、各社のゴルフクラブの性能を比較する記事において、「PINGブランド」のゴルフクラブが取り上げられている(甲11の4、5)。
(6)すなわち、本件商標の登録出願前から、「PING,inc社」及び「ピンゴルフジャパン社」は、そのブランド名である「PING」の愛称(略称)で親しまれており、同略称は既に著名であったといえる。
(7)一方、本件商標は、「Ping」の語と「Go」の語がそれぞれ語頭の大文字と続く小文字とで構成されていることから、「Ping」は一つの語として認識されるから、本件商標「PingGo」は、「PING,inc社」及び「ピンゴルフジャパン社」の著名な略称である「PING」を含む商標である。
(8)そして、申立人、「PING,inc社」及び「ピンゴルフジャパン社」(以下、まとめていうときは「申立人ら」という。)が、本件商標の商標権者(以下「本件商標権者」という。)に対して、本件商標の使用ないし登録について承諾を与えた事実はない。
(9)以上より、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。
2 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標は、「PingGo」の欧文字、その左側に配置された卓球のラケットの図形及びラケットの図形の左上に配置された赤色の円の図形からなる商標であり、「ピングゴー」、「ピンゴ」、「ピンゴー」の称呼を生じ、「Ping」の語と「Go」の語はそれぞれ語頭の大文字と続く小文字とで構成されていることから、「Ping」は一つの語として認識され、「Ping」と「Go」の2語から構成されると認識される。
(2)引用商標は、いずれも「PING」の欧文字を横書きにして構成される商標であり、「ピング」、「ピン」の称呼を生じる。
(3)称呼について、本件商標及び引用商標はいずれも、「Ping」の文字を含み、「ピン」または「ピング」の称呼を生じ、また称呼全体においても、「ピンゴ」と「ピング」は「ピン」の称呼を共にし、差異部分である「ゴ」と「グ」は子音が「G」で共通し、これに帯有する母音「O」と「U」とは近似した母音であるため、本件商標及び引用商標は、称呼において一定程度の類似性があるものといえる。
(4)外観について、本件商標は、左側に卓球のラケットの図形を有するものの、これは本件商標の指定商品「卓球用具,卓球台」との関係において出所識別標識としての機能が強いものではなく、「PingGo」の文字部分が商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与える。そして、本件商標と引用商標とは、「PingGo」という欧文字6文字のうちの半数以上である4文字を共有するため、その外観においても一定程度の類似性があるものといえる。
(5)以上より、本件商標及び引用商標を同一又は類似の商品に使用した場合には、取引者、需要者がその出所について誤認混同するおそれがあるというべきであり、「Go」の文字の有無及び卓球のラケットの図形という差異を有するとしても、需要者に与える印象について鑑みれば、本件商標と引用商標とは互いに相紛れるおそれのある類似の商標と判断できる。
(6)また、上記1に記載のとおり、「Ping」は申立人の著名な商標であり、本件商標「PingGo」は既成の語ではないから、本件商標は、引用商標と比較して「Go」の語と左側の図形の有無という差異があるものの、申立人の著名な登録商標「Ping」を含む商標であるため、引用商標と類似と判断されるべきである。
(7)また、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似の関係にある。
(8)以上より、本件商標と引用商標とは類似する商標であり、本件商標に係る指定商品と引用商標に係る指定商品は類似である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
3 商標法第4条第1項第15号について
(1)上記1においても記載のとおり、申立人、「PING,inc社」及び「ピンゴルフジャパン社」は、「PINGブランド」を用いて、高品質のゴルフ用品等の製造・販売に従事してきたものであり、「PINGブランド」は、我が国及び世界各国において著名であるといえる。
(2)また、引用商標(決定注:「本件商標」の誤記と認める。)の構成中、「Go」の欧文字は、「行く」の意味を有する平易な英語として我が国において広く使用されている語であり、様々な商標において使用されている(甲12)から、申立人の著名な商標である「Ping」の後ろに「Go」の文字を加えた本件商標は、申立人等と経済的又は組織的に何らかの関連を有する者によって出願され、登録されていると考えられ、また使用された場合に出所の混同を生じる可能性が高い。
(3)「PINGブランド」に係る商標はゴルフの分野において著名である一方、本件商標は卓球用品に使用されるものであり、その商標が使用される商品はスポーツ用品という点において共通する。例えば、株式会社メガスポーツが日本全国に163店舗展開するスポーツ用品店であるスポーツオーソリティでは、「PINGブランド」のゴルフ用品と卓球用品とが同一のオンラインショップで販売されている(甲13の1~3)。また、例えば、ミズノ株式会社は、卓球用品とゴルフ用品とのいずれも製造し、公式オンラインショップにおいて取り扱っている(甲13の2、3)。
このことから、たとえ本件商標と引用商標とが使用される商品の競技が異なったとしても、出所の混同を生じるおそれがある。
(4)以上より、本件商標を本件商標権者がその指定商品について使用することにより、申立人等の業務を表す「PING」商標が真っ先に想起される可能性がある。その場合、本件商標権者が申立人等と経済的又は組織的に何らかの関連を有する者であるかのように誤認混同され、出所の混同を生ずるおそれがある。
(5)以上より、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
第4 当審の判断
1 引用商標の周知性について
(1)申立人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
ア 「PING」の語は、申立人の創設者であるカーステン・ソルハイムが1959年に開発したゴルフ用パターにちなんで採用されたものであり、申立人は、本件商標の登録出願前の1998年に米国子会社である「PING,inc社」を設立し、米国を中心とする「PINGブランド」のゴルフ用品等(以下「申立人商品」という。)の製造、販売等の業務を担わせており、さらに、申立人は、2004年に子会社として日本法人「ピンゴルフジャパン社」を設立し、我が国を中心とする「PINGブランド」の申立人商品の輸入、製造、販売、レンタル等の業務を担わせている(申立人の主張、甲8)。
イ 申立人は、「ピンゴルフジャパン社」に、日本全国のゴルフ用品ショップ及びオンラインショップ(甲9)に「PINGブランド」の申立人商品を卸し、販売させている旨主張するが、当該オンラインショップのウェブサイト上では、申立人商品であるゴルフクラブの画像は掲載されているものの当該商品の掲載日を確認ができず、その出力日である2022年10月28日は本件商標の登録査定後のものであり、また、当該ウェブサイトの写し以外に、その主張を裏付ける客観的な証拠の提出はない。
ウ 本件商標の登録査定前に、申立人商品の帽子を着用した我が国のプロゴルファーの映像が取り上げられたこと(甲10の4~6)、本件商標の登録査定前に我が国のゴルフ専門情報サイトや雑誌などに「PINGブランド」の紹介記事とともに申立人商品が掲載されたこと(甲11の2~5)はうかがえる。
しかしながら、申立人の提出に係る証拠からは、引用商標の周知性を判断するための、我が国における引用商標の使用開始時期、我が国における申立人商品の販売数、売上高、市場シェア等の販売実績並びに宣伝広告の期間、地域及び規模等の広告実績を確認できる客観的な証拠の提出を確認することができないから、我が国における引用商標の周知性の程度を推し量ることはできない。
その他、申立人の提出に係る証拠をみても、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品を表示するもの、又は「PING,inc社」及び「ピンゴルフジャパン社」の略称として、我が国の取引者、需要者の間で、広く認識されていたと認めるに足りる事実は見いだせない。
(2)そうすると、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品に使用されていたことはうかがえるものの、申立人商品を表示するもの、又は「PING,inc社」及び「ピンゴルフジャパン社」の略称として、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、別掲のとおり、卓球のラケット(ラケットの左上部に赤く塗りつぶした卓球の球と思われる円図形を組み合わせて描かれている。)の図形(以下「卓球ラケット図形」という。)とその右横に「PingGo」(「G」の欧文字は赤色で着色されている。)の欧文字(以下「PingGo」部分という。)を配置した構成よりなるところ、卓球ラケット図形と「PingGo」部分とは、接することなく配置されており、視覚上分離して看取され得るものであって、両者の間に称呼及び観念上のつながりも認められない。
そうすると、本件商標は、その構成中の「PingGo」部分も独立して、取引者、需要者に対し商品の出所識別標識としての機能を果たし得るものとみるのが相当であるから、「PingGo」部分を要部として抽出し、他人の商標と比較して商標の類否を判断することは許されるというべきである。
また、「PingGo」部分は、同じ書体、等間隔で、外観上まとまりよく一体的にバランスよく構成されているものであり、当該文字は、一般の辞書等に載録のないものであるから、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として理解されるものである。
また、特定の語義を有しない欧文字からなる商標については、我が国において広く親しまれているローマ字読み又は英語風の発音をもって称呼されるのが一般的といえるから、「PingGo」部分からは「ピンゴー」の称呼を生じるものとみるのが相当であって、当該称呼は、格別冗長なものではなく、無理なく一連に称呼し得るものである。
さらに、上記1のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたと認めることはできないものであり、他に本件商標の構成中「Ping」の文字部分が、取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認めるに足りる事情も見いだせず、「Go」の文字部分が、本件商標の指定商品との関係において、直ちに商品の品質、種別等を表すものとして自他商品の出所識別標識としての機能を欠くというべき事情はない。
してみれば、本件商標の上記構成からすれば、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「Go」の文字を捨象し、その構成中の「Ping」の文字部分のみに着目するというより、むしろ「PingGo」部分全体をもって、特定の観念を生じない一体不可分の造語を表したものとして認識し、把握するというのが自然である。
したがって、本件商標は、その構成文字全体に相応して「ピンゴー」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標について
引用商標は、上記第2のとおり、いずれも「PING」の文字を標準文字で表してなるか横書きしてなるところ、構成文字に相応して「ピン」の称呼を生じる。
また、「PING」の文字は、「ピューン、ピシッ(銃弾が飛んだり金属に当たったりする音)」(「ベーシックジーニアス英和辞典 第2版」 株式会社大修館書店)の意味を有する語であるとしても、我が国で親しまれた語とまではいえないから、具体的な意味合いを認識、理解させるものとはいい難いものである。
したがって、引用商標は、「ピン」の称呼を生じるが、特定の観念を生じないものである。
(3)本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標とを比較すると、両商標の外観においては、「Ping(PING)」のつづりを共通にするとしても、「Go」の文字及び卓球ラケット図形の有無の差異により、明らかに区別し得るものである。
また、両商標の称呼においては、本件商標から生じる「ピンゴー」の称呼と、引用商標から生じる「ピン」の称呼とは、「ピン」の音を含む点を共通にするとしても、4音及び2音と短い音構成における後半の「ゴー」の音の有無の差異により、全体の音感、音調が異なり、明瞭に聴別し得るものである。
さらに、両商標の観念においては、いずれも特定の観念を生じないから、比較できない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのない非類似の商標である。
(4)小括
したがって、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品が同一又は類似であるとしても、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
引用商標は、上記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品を表示するもの、又は「PING,inc社」及び「ピンゴルフジャパン社」の略称を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたと認めることはできないものであり、また、上記2のとおり、本件商標と引用商標は、非類似の商標である。
そうすると、本件商標は、これをその指定商品に使用しても、取引者、需要者において、申立人商品を表示するもの、又は「PING,inc社」及び「ピンゴルフジャパン社」の略称を連想、想起するということはできず、よって、その商品が申立人らと経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれがある商標とはいえない。
その他、本件商標が商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるというべき事情を見いだすこともできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第8号該当性について
引用商標は、上記1のとおり、申立人商品を表示するもの、又は他人(「PING,inc社」及び「ピンゴルフジャパン社」)の略称として、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識され、著名になっていたものと認めることはできないものである。
そうすると、本件商標は、その構成中に「Ping」の文字を有するとしても、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、「PING,inc社」及び「ピンゴルフジャパン社」の略称を含むものと認識し、把握されることはなく、本件商標は、他人の著名な略称を含む商標であるとは認められない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当しない。
5 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第8号、同項第11号及び同項第15号のいずれにも該当するものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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