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商標異議申立

2022-900315

シイエイト、シイハチ、エイトシイ、ハチシイ

審判番号
2022-900315
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2021-152793
登録番号
6560200
請求日
2022年08月01日
審決日
2023年05月22日
公報発行日
2023年06月30日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】大栄トレーディング株式会社
  • 【権利者代理人】鈴木 徳子
  • 【異議申立人】エッチビーアイ ブランデッド アパレル エンタープライセス エルエルシー
  • 【異議申立人代理人】中田 和博
  • 【異議申立人代理人】青木 博通
  • 【異議申立人代理人】神蔵 初夏子
審判長/審判官
  • 審判長 矢澤 一幸
  • 審判官 杉本 克治
  • 審判官 小田 昌子
分類
T1651.22 -Y (W25) / T1651.25 -Y (W25) / T1651.261-Y (W25) / T1651.262-Y (W25) / T1651.263-Y (W25) / T1651.271-Y (W25) / T1651.222-Y (W25)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項第19号、商標法第4条、商標法第1条
データ出所
審決公報(XML)

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登録第6560200号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6560200号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 1 本件商標 本件登録第6560200号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、令和3年12月8日に登録出願、第25類「履物,運動用特殊靴,被服,ガーター,靴下留め,ズボンつり,バンド,ベルト,運動用特殊衣服」を指定商品として、同4年4月28日に登録査定、同年5月23日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立人が引用する商標 (1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)が商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第15号及び同項第19号に該当するとして引用する登録商標は、次のアないしウのとおりであり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。 ア 登録第1286289号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の態様:別掲2のとおり 登録出願日:昭和48年7月5日 設定登録日:昭和52年7月20日 書換登録日:平成19年12月26日 指定商品:第25類「被服」のほか、第20類、第22類及び第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 イ 登録第1456098号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の態様:別掲3のとおり 登録出願日:昭和50年1月17日 設定登録日:昭和56年2月27日 書換登録日:平成13年9月19日 指定商品:第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,襟巻き,靴下,ゲートル,ショール,スカーフ,足袋,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,ヘルメット,帽子」のほか、第20類及び第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 ウ 登録第4057070号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の態様:別掲4のとおり 登録出願日:平成5年12月2日 設定登録日:平成9年9月19日 指定商品:第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」)を除く。),げた,草履類,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」 (2)申立人が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録商標は、引用商標1ないし引用商標3のほか、次のアないしエのとおりの登録商標(以下、引用商標1ないし引用商標7をまとめて「引用商標」という場合がある。)であり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。 ア 登録第1371224号商標(以下「引用商標4」という。) 商標の態様:別掲5のとおり 登録出願日:昭和49年11月12日 設定登録日:昭和54年2月22日 書換登録日:平成21年11月4日 指定商品:第25類「運動用特殊衣服,運動用特殊靴」のほか、第6類、第8類、第9類、第15類、第18類ないし第22類、第27類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 イ 登録第1458183号商標(以下「引用商標5」という。) 商標の態様:別掲3のとおり 登録出願日:昭和50年1月17日 設定登録日:昭和56年3月31日 書換登録日:平成13年10月24日 指定商品:第25類「運動用特殊衣服,運動用特殊靴(乗馬靴を除く。),乗馬靴」のほか、第6類、第9類、第15類、第16類、第18類ないし第22類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 ウ 登録第1572663号商標(以下「引用商標6」という。) 商標の態様:別掲3のとおり 登録出願日:昭和52年6月27日 設定登録日:昭和58年3月28日 書換登録日:平成16年7月7日 指定商品:第25類「履物」のほか、第18類及び第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 エ 登録第6161393号商標(以下「引用商標7」という。) 商標の態様:別掲3のとおり 登録出願日:平成30年6月11日 設定登録日:令和元年7月12日 指定役務:「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第50号証(枝番号を含む。以下、枝番号の全てを示すときは、枝番号を省略する。)を提出した。 以下、証拠の表記に当たっては、「甲第1号証」を「甲1」のように記載する。 (1)商標法第4条第1項第10号について ア 本件商標は、別掲1のとおり、欧文字「C」をモチーフとしており、「C」はやや横長で黒色にて構成され、その内部に内接して、数字の「8」とおぼしき図形を縦に配置し、「C」の内部は縦に略三等分され、かつ、「8」状図形の上部の内側はハート型にかたどられている。 イ 引用商標1は、別掲2のとおり、欧文字「C」をモチーフとしており、「C」はやや横長で白抜きで表され、その内部は縦に略三等分され、真ん中が外周と同じ白色で着色され、閉じられた左の半円部分が黒色で塗りつぶされ、右側は地の色のままである。 引用商標2は、別掲3のとおり、欧文字「C」をモチーフとしており、やや横長であって、その内部は縦に略三等分され、真ん中が外周と同じ黒色で着色され、閉じられた左の半円部分及び右側は、地の色のままである。 引用商標3は、別掲4のとおり、欧文字「C」をモチーフとしており、やや横長で青色で表され、その内部は縦に略三等分され、真ん中が外周と同じ青色で着色され、閉じられた左の半円部分が赤色で塗りつぶされ、右側は地の色のままである。 ウ 本件商標と引用商標1ないし引用商標3との称呼・外観上の類否 本件商標と引用商標1ないし引用商標3を比較してみると、やや横長の欧文字「C」をモチーフとし、この内部を縦に略3等分し、3等分した真ん中に縦長の図形が内接しており、加えて、引用商標2は本件商標と同様に黒色で構成されている。 エ 観念 引用商標1ないし引用商標3は申立人の周知商標であり、その著名性に相応して「あのチャンピオンブランド」との観念が生じる。本件商標は、周知著名となっている申立人の引用商標1ないし引用商標3と同じ特徴を持つ図形であり「申立人の周知商標」、又は、申立人と何らかの関係のある商標であるとの観念が生じる。 オ 引用商標1ないし引用商標3の周知著名性について (ア)歴史 「Champion」のブランド(以下「Championブランド」という。)の所有者であるヘインズブランズ・インク(以下「ヘインズブランズ・インク社」という。)は、ニューヨーク株式市場に上場し(甲12)、日本の他、香港、台湾、オーストラリアや中米に拠点を有するグローバル企業である。「C」の欧文字をモチーフとしたロゴ(以下「Cロゴ」という。)や、「Champion」の欧文字をモチーフとしたロゴ(以下「Championロゴ」という。)をはじめとした、ヘインズブランズ・インク社が商標権を保有する商標は、全て同社の子会社であって、米国デラウェア州法に基づき設立された商標等の管理会社である申立人に権利が帰属している。そして、申立人名義でCロゴ商標等について商標登録されている。登録商標は我が国だけでも多数あり(甲13)、我が国においては298件の商標登録を有している。 ヘインズブランズ・インク社の日本法人であるヘインズブランズジャパン(以下「ヘインズブランズジャパン社」という。)は、申立人から、日本における独占的な使用権を許諾されている。この独占的な権利をもとに、自社で製造販売した商品にChampionのマークを付して販売すると共に、他社とライセンス契約を結び、ロイヤルティの収入を得ている。 Championブランドといえば、スポーツウェアやカジュアルウェアの定番として米国で定着している。現在、米国ヘインズブランズ・インク社において、Championブランドは、ヘインズ(Hanes)に次ぐ大きなブランドである(甲12、甲14、甲15)。 設立当初は、主にセーターの販売を手がけ、1919年に米国ニューヨーク州ロチェスターにてサイモン・フェインブルーム氏がセーター等の販売を始めた頃まで遡る(甲16、甲17)。 フェインブルーム氏の事業は、1920年に同氏の息子達に引き継がれ、彼らにより「Champion」の名においてシャツ等の販売が行われるようになった。その後、1924年にはミシガン大学と契約することとなり、同大学の学生アスリートが着用するスウェットシャツとして採用されたことで、以後、急速に全米の大学にChampionブランドが広がることとなった。 1938年には、いまや著名なブランド名ともなっている「リバースウィーブ」と呼ばれる被服製造方法の特許が成立し、同製法を用いた製品は全米で人気を博するようになった。また、大学だけでなく、米海軍との取引にも事業が拡大し、同時に一般にも親しまれる定番ブランドとして、米国全土において順調に成長していった。 Championブランドは、スポーツとのかかわりも深く、まず、1992年のバルセロナオリンピックにおいて、Championブランドの製品はアメリカ代表男子バスケットボールチーム(ドリームチーム)の公式ユニフォームとして認められた。このオリンピックでドリームチームは全勝して金メダルを獲得し、アメリカの人々だけでなく世界中を興奮に巻き込んだことは記憶に新しい。当時のスポーツイラストレイテッド誌の表紙にChampionブランドのユニフォームを着たドリームチームの写真が掲載されている(甲7)。その後も、Championブランドは、1994年のリレハンメルオリンピック、1996年のアトランタオリンピックにおいてアメリカ代表チーム及びドリームチーム2、3の公式ユニフォーム・サプライヤーとなっており、米国において確立したブランドの知名度、信頼性は、群を抜いている。2014年以来、ヘインズブランズジャパン社は一般社団法人日本車いすバスケットボールチームのサポーターとしてユニフォームの提供などサポートを行っており、2021年は東京パラリンピックにおいて車いすバスケットボール日本代表ユニフォームのオフィシャルサプライヤーであった。車いすバスケットボールチーム男子は銀メダルに輝き、その注目された試合においてCロゴの付されたユニフォームを着て活躍した選手たちの活躍は記憶に新しい(甲19)。 このように、米国においてカジュアルウェアやスポーツウェアの定番として定着したChampionブランドであるが、1970年代には、ヨーロッパやアジアといった米国以外の国・地域でも商品展開がされるようになった。 我が国におけるChampionブランドの歴史は、日本サラ・リー設立前の1970年代、株式会社ゴールドウイン(以下「ゴールドウイン社」という。)が、米国法人との提携関係に基づきChampionブランドのスポーツウェアとソックス、バッグ等のスポーツ用品を展開したことに始まる。米国の商標権者からライセンスを受けた日本法人である日本サラ・リー(現在のヘインズブランズジャパン社)が商標のサブライセンサーとなり、ゴールドウイン社をはじめとする複数の日本の会社との間で商標ライセンス契約を締結するビジネスモデルを展開した。 ヘインズブランズジャパン社は、他社へのライセンスビジネスだけではなく、独自に製品を開発し、Championブランドの下で、カジュアル衣料品、ソックスやアンダーウェアを中心に、製造卸販売、直営店やウェブサイトでの直販も展開している(甲20~甲22)。特に、Championブランドの伝統的な製法であるリバースウィーブ製法を用いた製品は、高品質でデザイン性に優れた製品として我が国の消費者に広く受け入れられ、結果Championブランドの我が国におけるブランドイメージの向上に寄与している。 このように米国のみならず我が国でも消費者に広く受け入れられたChampionブランドの製品であるが、ブランドイメージの向上・確立のため、製品におけるロゴデザインの使用につき、歴史的に以下のように統一したブランド戦略を採用している。 すなわち、1969年に、後に「Cマーク」あるいは「Cロゴ」と一般的に呼ばれるようになる(甲16)、「Champion」の頭文字の「C」の内部に太い縦線を配した引用商標1ないし引用商標3と同様のロゴデザインが編み出された。それまでChampionブランドの製品では、創業以来様々なロゴデザインが用いられていたが、その方針が改められ、以後は、配色等に多少の変更が加えられる場合もあるものの、Championブランドで販売される大多数の製品には、製品自体のワンポイントマークとして、あるいは、織りネームや下げ札に、Cロゴが付されるようになった(甲21、甲22)。また、1984年以降は、Championブランドの主力製品であるスウェットシャツやTシャツのほとんど全ての製品の左袖や胸部分に、ロゴデザインが付されるようになった。 また、1970年代より「Champion」の頭文字に、Cロゴを組み込んだChampionロゴ(以下「Championロゴ」という。)が製品に頻繁に用いられている。CロゴとChampionロゴは、それぞれ単独で、あるいは、両者を組み合わせて用いられる。 引用商標1は、本件商標の登録出願前までには申立人の使用権者であるヘインズブランズジャパン社が運営する店舗において、広告ディスプレイや、商品に付けられたワッペン、襟タグ、プレスリリースの広告、LINEチャンピオン公式オンラインストアのトップ画面、2018年に行ったスポーツイベント会場における売店用商品ボックス、商品タグ等に、30年ほど使用されている(甲21~甲24)。甲24の商品タグは、白地のものが日本法人が設立された1992年7月頃から、青地のものが2010年代から使用されている。 以上のとおり、1969年以降は統一的なブランド戦略の下で、Championブランドの大多数の製品にCロゴ及びChampionロゴが付されるようになった。稀にCロゴやChampionロゴが商品自体に付されていないデザインのものもあるが、その場合もタグ(下げ札)にはCロゴとChampionロゴが付されているのが通常である。 (イ)国内店舗 ヘインズブランズジャパン社の公式ウェブサイトによれば、2022年9月現在、全国に直営店が17店舗(甲20の1)、アウトレットショップが31店舗(甲20の2)、Championブランドの商品を取り扱う店舗がウェブサイトに掲載の387店舗(甲20の3)を始めとして、12,000店舗以上ある。 (ウ)宣伝広告 世界的規模で事業活動を行っている申立人は、毎年多額の宣伝広告費を費やしており、その宣伝広告活動の具体的な内容は、ファッション雑誌への広告掲載や商品紹介記事の掲載、スポーツチームに対するチームウェアの提供等、これらの手段を介して製品の宣伝広告・周知に努めている。 前述したように、1992年バルセロナオリンピックにおいて男子バスケットボール“ドリームチーム”の公式ユニフォームサプライヤーとなり(甲18)、1994年リレハンメルオリンピックにおいてアメリカ代表チームの公式ユニフォームのサプライヤー、さらに、バスケットボール世界選手権で優勝したドリームチーム2の公式ユニフォームサプライヤーでもあった。また、1996年にはアトランタオリンピックにおいてアメリカ代表チーム及びバスケットボールのドリームチーム3の公式ユニフォームサブライヤーとなった。2006年FIBAバスケットボール世界選手権で、スポーツウェアで唯一のオフィシャルスポンサーとなった(甲16)。 NBAの全チームとの間で2000年まで、NFLの全チームとの間で1999年から2000年まで、レプリカジャージのライセンス契約を結んでいた。また、我が国では、2016年からプロバスケットボールチーム「サンロッカーズ渋谷」のオフィシャルサプライヤー(ユニフォーム提供)(甲25)、2020年9月にはB1リーグに初昇格したバスケットボールチーム「広島ドラゴンフライズ」のオフィシャルサプライヤーとなる複数年契約を締結(甲26)、前述したように2014年から車いすバスケットボールチーム日本代表へのオフィシャルサプライヤーとなり、2021年1月にはプロゴルファーの勝みなみ選手のオフィシャルアウトフィッター(甲27)として広告の活動、2022年5月国内メジャー初優勝を飾った山下美夢有選手のゴルフウェア提供契約(甲28)、2021年9月にはグローバルブランドキャンペーンとして人気俳優、人気女優を起用して広報活動をするなど、様々な広告活動をしている(甲29、甲30)。 申立人が過去に請求した無効審判事件においても、「Cロゴ」が周知著名であること、独創性が高く、強い出所表示機能を有する商標であることが認められた(甲31)。 以上のように、Championブランドのイメージの普及、定着及び周知に努めた結果、マスコミや需要者の注目を集めることに成功し、製品の高品質性と相まって世界的なファッションリーダーとして認知されている。引用商標1ないし引用商標3はカジュアルウェア等のブランドとして本件商標の登録出願日及び現在において、海外及び我が国で著名となっている。 また、2018年から2022年にかけての我が国における雑誌などにおいて、申立人の引用商標1ないし引用商標3を使用したスウェットシャツ、スウェットパンツ、バッグ、バスケットボールウェア、帽子、ヘアバンド等が掲載されている(甲32~甲34)。 さらに、有名芸能人等がテレビなどのメディアで着用している例もみられる(甲35、甲36) カ 結論 上述のように、本件商標は周知著名となっている引用商標1ないし引用商標3と外観、称呼において混同を生じるほど近似しており、高い類似性を有する商標である。また、観念も共通するといえる。さらに、指定商品も互いに同一又は類似する。指定商品の性質上、ワンポイントマークとして商標が極めて小さく付される場合があり、かかる場合にはより一層商標同士が混同を生じ相紛らわしいといえる。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。 (2)商標法第4条第1項第15号について ア 本件商標は引用商標1ないし引用商標3に類似する。 引用商標1ないし引用商標3は、申立人の周知著名な商標であり、欧文字「C」を縦に等分し、赤、青、地の色の3色で色分けする点で独創的な商標である。 本件商標の指定商品と、引用商標1ないし引用商標3の指定商品は、ともに被服等であり関連性を有する。 本件商標の需要者と、引用商標1ないし引用商標3が使用された商品の需要者は、ともに若者を中心としたカジュアルファッションの購買者であり、共通する。 申立人は、様々なアーティスト等とコラボレーションによる商品の製造及び限定販売を行っている(甲38~甲45)。 以上の事情に照らせば、本件商標がその指定商品に使用されると、これに接する需要者は、周知著名となっている引用商標1ないし引用商標3を連想、想起して、申立人の商品であると誤認し、需要者が商品の出所について混同するおそれがあり、さらに、当該商品が申立人又はそれと経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれがある。 イ よって、本件商標は、商標法4条1項15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 (3)商標法第4条第1項第19号について 申立人の引用商標1ないし引用商標3が、本件商標の登録出願日前より外国及び日本国内の需要者の間にカジュアルウェアのブランドとして需要者の間に広く認識されている。そして、本件商標の権利者(以下「本件商標権者」という。)は、引用商標1ないし引用商標3と本件商標が類似の商標であることを認識しながら、被服等を指定商品等とする本件商標の登録を行っている。申立人の著名商標の名声にフリーライドしていることは明らかであり、このような行為は引用商標1ないし引用商標3の出所識別力を希釈化するものであり、不正の目的をもって使用するものと確信する(甲47)。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。 (4)商標法第4条第1項第11号について 本件商標は、引用商標に類似し、指定商品又は指定役務も同一又は類似であるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (5)商標法第4条第1項第7号について 本件商標は、引用商標1ないし引用商標3が著名であることを知り、意図的にこれら引用商標1ないし引用商標3と略同様の態様による図形部分を用い、全体としてこれら引用商標1ないし引用商標3に酷似した構成態様に仕上げることにより、本件商標に接する取引者、需要者にこれらを連想、想起させ、これら引用商標1ないし引用商標3に化体した信用、名声及び顧客吸引力にただ乗り(フリーライド)する不正な目的で採択・出願し登録を受けたものである。 そして、本件商標をその指定商品に使用する場合には、これら引用商標1ないし引用商標3の出所表示機能が希釈化(ダイリューション)され、これらに化体した信用、名声及び顧客吸引力、ひいては申立人の業務上の信用を棄損させるおそれがある。 そうすると、本件商標は、これら引用商標1ないし引用商標3に化体した信用、名声及び顧客吸引力に便乗して不当な利益を得る等の目的をもってこれら引用商標1ないし引用商標3の特徴を模倣して登録出願し設定登録を受けたもので、商標を保護することにより、商標を使用するものの業務上の信用の維持を図り、需要者の利益を保護するという商標法の目的(商標法第1条)に反するものであり、公正な取引秩序を乱し、商道徳に反する。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。 4 当審の判断 (1)引用商標1ないし引用商標3の周知性 ア 申立人の提出に係る証拠及び主張によれば、以下の事実が認められる。 (ア)申立人は、ヘインズブランズ・インク社が保有する商標等の管理会社であるところ、同社の「Champion」ブランド(以下「申立人ブランド」という。)に係る商標権を含む権利を所有している(申立人の主張)。 そして、我が国においては、ヘインズブランズ・インク社の日本法人であるヘインズブランズジャパン社が申立人ブランドに係るビジネスを展開している(甲14)。 (イ)申立人ブランドは、米国においては1920年から「チャンピオン・ニッティング・ミルズ社」により使用が開始されており、セーター、スウェット、アスレチックウェアなどを取り扱うアメリカンスポーツカジュアルブランドである(甲16、甲17) そして、我が国においては、1970年代に、申立人ブランドに係るスポーツウェア、ソックス、バッグ等のスポーツ用品(以下「申立人ブランドに係る商品」という。)が展開されるようになり、直営店(17店舗)、アウトレットショップ(31店舗)、申立人ブランドに係る商品を取り扱う店舗(387店舗)やウェブサイト等を通じて販売されたことがうかがえる(甲20~甲22)。 (ウ)申立人ブランドのロゴとして、引用商標1ないし引用商標3と構成態様が共通する標章が申立人ブランドに係る商品に使用されているほか、店頭における広告ディスプレイ、ウェブサイトのトップページ、被服のタグ等に表示されている(甲20~甲26、甲39~甲45)。 (エ)申立人ブランドは、スポーツ選手やスポーツチーム等への用具提供(ユニフォーム等)のほか、俳優等も起用した広報活動をしている(甲16~甲19、甲25~甲30)。 また、申立人ブランドに係る商品は、2018年から2022年に発行された複数の雑誌において継続的に商品を紹介する記事として掲載されている(甲32~甲34)。 イ 以上の認定事実によれば、申立人ブランドに係る商品(被服)は、我が国において40年以上、日本全国に所在する直営店等やインターネット通信販売等を通じた販売が行われていることがうかがえ、スポーツ選手やスポーツチーム等への用具提供、雑誌等における商品紹介等が継続して行われているから、同ブランド、ひいてはそのロゴとして商品や広報活動において使用、表示されている引用商標1ないし引用商標3は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示する商標として、我が国及び外国の取引者、需要者の間に広く認識されていたと認められる。 (2)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標 本件商標は、別掲1のとおり、横長楕円形の左側を一番太くし右側に向かってやや細くなる太線で表した右側部分を縦に切り取ったような「C」の欧文字をモチーフとした図形(以下「本件Cモチーフ図形」という。)の内部に上下で接する「8」の数字をモチーフとした図形(上部は、ハートの白抜き図形と下部は、丸の白抜き図形。以下「8モチーフ図形」という。)よりなるところ、本件商標は、「C」の欧文字をモチーフとしたとおぼしき図形との印象を与える場合があるとしても、既成の親しまれた観念を生じるものではなく、また、特定の称呼を生じないものである。 したがって、本件商標は、特定の称呼及び観念を生じない。 イ 引用商標 引用商標は、それぞれ別掲2ないし別掲5のとおりの構成よりなるところ、引用商標1は、横長楕円形の右側部分を先細りとなるように開いた黒色輪郭線からなる「C」の欧文字をモチーフとした図形(以下「引用Cモチーフ図形」という。)の内部を縦に3分し、その中央部に引用Cモチーフ図形の上下を輪郭線で結合した太線部及びその左側部が黒色で塗りつぶされたものを組み合わせた構成よりなるものである。 また、引用商標2及び引用商標5ないし引用商標7は、いずれも黒色で塗りつぶされた引用Cモチーフ図形の内部を縦に3分し、その中央部に黒色で塗りつぶされた引用Cモチーフ図形と同色の太縦線を組み合わせた構成よりなるものであり、引用商標3は、当該構成と同じ構成からなる商標を、青色で表すとともに、引用Cモチーフ図形の内部を縦に3分した左側部を、赤色で塗りつぶしたものとを組み合わせた構成よりなるものである。 さらに、引用商標4は、引用Cモチーフ図形を、地模様の背景四角形内に表した構成よりなるものであり、その構成中の地模様からなる四角形は、我が国において特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないものであって、その内部に白抜きで表された引用Cモチーフ図形を強調するための背景図形として理解されるものであり、また、当該四角形と引用Cモチーフ図形を常に一体のもとして認識し理解しなければならない事情も見当たらないことから、白抜きの黒色輪郭線で顕著に表された引用Cモチーフ図形を引用商標4の要部として抽出し、この部分のみをもって他人の商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。 そして、引用商標を構成する又は要部とする引用Cモチーフ図形は、いずれも、「C」の欧文字をモチーフとしたとおぼしき図形との印象を与える場合があるとしても、既成の親しまれた観念を生じるものではなく、また、特定の称呼を生じないものであることから特定の称呼を生じないものの、上記(1)イのとおり、引用商標1ないし引用商標3は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示する商標として、我が国及び外国の取引者、需要者の間に広く認識されていたと認められることから、「申立人に係るブランド」ほどの意味合いを理解させる場合があるというべきであり、かつ、引用商標4の要部及び引用商標5ないし引用商標7は、引用商標1ないし引用商標3と構成態様が共通又は近似するというべきであるから、引用商標4の要部及び引用商標5ないし引用商標7からは、「申立人に係るブランド」ほどの意味合いを理解させる場合があるというべきである。 したがって、引用商標は、特定の称呼は生じないが、「申立人に係るブランド」の観念が生じ得る。 ウ 本件商標と引用商標の類否 本件商標と引用商標を比較すると、外観においては、「C」の欧文字をモチーフとした図形を有する点において共通するとしても、横長楕円形の左側を一番太くし右側に向かってやや細くなる太線で表した右側部分を縦に切り取ったような本件Cモチーフ図形と、横長楕円形の右側部分を先細りとなるように開いた黒色輪郭線からなる「C」の欧文字をモチーフとした引用Cモチーフ図形とは印象が著しく異なる上、両図形の内部に表された図形において、8モチーフ図形と内部を縦に3分し、その中央に上下を結合する太い縦長図形を配した構成からなる図形という明らかな差異を有することから、両者は、明確に区別し得るものである。 また、観念においては、本件商標は、特定の観念が生じないのに対し、引用商標からは、「申立人に係るブランド」の観念が生じ得るから、両者は観念において相紛れるおそれはないものである。 以上からすると、本件商標と引用商標とは、称呼において比較できないとしても、外観及び観念において相紛れるおそれのない非類似の商標である。 エ 小括 したがって、本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品又は指定役務が同一又は類似するものであるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第10号該当性について ア 引用商標1ないし引用商標3の周知性について 引用商標1ないし引用商標3は、上記(1)イのとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示する商標として、我が国の需要者の間に広く認識されていたというべきである。 イ 本件商標と引用商標1ないし引用商標3の類否について 本件商標と引用商標1ないし引用商標3とは、上記(2)ウのとおり、相紛れるおそれのない非類似の商標である。 ウ 小括 以上のとおり、本件商標と引用商標1ないし引用商標3とは、非類似の商標であるから、本件商標の指定商品と引用商標1ないし引用商標3の指定商品について比較するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。 (4)商標法第4条第1項第15号該当性について ア 引用商標1ないし引用商標3の周知性について 引用商標1ないし引用商標3は、上記(1)イのとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示する商標として、我が国の需要者の間に広く認識されていたというべきである。 イ 本件商標と引用商標1ないし引用商標3の類似性について 本件商標と引用商標1ないし引用商標3とは、上記(2)ウのとおり、相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、類似性の程度は低いものといえる。 ウ 出所の混同のおそれについて 上記ア及びイのとおり、引用商標1ないし引用商標3は、申立人の業務に係る商品を表示する商標として、我が国の需要者の間に広く認識されているとしても、本件商標と引用商標1ないし引用商標3の類似性の程度は低いことからすれば、本件商標に接する取引者、需要者が、申立人の業務に係る引用商標1ないし引用商標3を連想又は想起するものということはないというべきである。 そうすると、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定商品について使用しても、我が国の取引者、需要者が、引用商標1ないし引用商標3を連想又は想起するとはいい難く、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 エ 小括 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (5)商標法第4条第1項第19号該当性について 引用商標1ないし引用商標3は、上記(1)イのとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示する商標として、我が国の需要者の間に広く認識されていたというべきである。 しかしながら、本件商標は、上記(2)ウのとおり、引用商標1ないし引用商標3とは相紛れるおそれのない非類似の商標である。 したがって、本件商標は、我が国及び外国の需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似する商標ではないから、その不正の目的の存否にかかわらず、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 (6)商標法第4条第1項第7号該当性について 本件商標は、上記(2)ウのとおり、引用商標1ないし引用商標3とは、相紛れるおそれのない非類似の商標である。 また、本件商標は、その構成自体がきょう激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるようなものでないこと明らかであり、又は社会の一般的道徳観念に反するなど、公序良俗に反するものというべき事実も見いだせない。 さらに、本件商標は、他の法律によって、その商標の使用等が禁止されているものではないし、特定の国若しくは国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反するものでもない。 してみると、本件商標は、その登録を維持することが商標法の予定する秩序に反し、公の秩序又は善良の風俗害するおそれのある商標に該当するとはいえないものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。 (7)むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-900315

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