商標異議申立
2022-900314
ヨハンソンベビス、ジョハンソンベビス、ヨハンソン、ジョハンソン、ベビス
- 審判番号
- 2022-900314
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2021-080246
- 登録番号
- 6559102
- 請求日
- 2022年08月01日
- 審決日
- 2023年02月22日
- 公報発行日
- 2023年03月31日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社ヨハンソンライフ
- 【権利者代理人】木内 光春
- 【権利者代理人】大熊 考一
- 【権利者代理人】片桐 貞典
- 【権利者代理人】木内 加奈子
- 【異議申立人】ジョンソン アンド ジョンソン
- 【異議申立人代理人】岡村 信一
- 審判長/審判官
- 審判長 冨澤 美加
- 審判官 森山 啓
- 審判官 小林 裕子
- 分類
- T1651.261-Y (W10) / T1651.262-Y (W10) / T1651.263-Y (W10) / T1651.271-Y (W10)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号商標法4条1項15号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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登録第6559102号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6559102号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6559102号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和3年6月28日に登録出願、第10類「医療用温度計,幼児用使い捨て哺乳瓶,医療用身体着用式哺乳瓶ホルダー,医療用哺乳瓶の消毒容器,哺乳瓶用バルブ,哺乳瓶用ホルダー,哺乳瓶,哺乳瓶用乳頭,鼻用吸引器」を指定商品として、同4年4月26日に登録査定され、同年5月20日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する登録第4032368号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成6年1月31日に登録出願、第10類「氷まくら,三角きん,支持包帯,吸い飲み,乳首,デンタルフロス,氷のう,氷のうつり,ほ乳用具,魔法ほ乳器,綿棒,指サック,耳栓」を指定商品として、同9年7月25日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきものである旨申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証を提出した。
1 本件商標について
本件商標は、「歯固め、あるいは、哺乳瓶」をモチーフとするものと推察される図形と「JOHANSON bebis」の文字とを組み合わせてなる(甲1)。
当該図形要素と文字要素とは、リラ宝塚事件最高裁判決(最高判昭37(オ)第953号)の示す判例法理の「各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない」場合に該当し、当該文字部分を抽出して引用商標と比較して商標の類否を判定することが法解釈上許される。
そして、「JOHANSON」は、「ジョハンソン」又は「ヨハンソン」のように称呼され、元々は「son of Johan」すなわち「ヨハネの息子」の意味で、英語圏の「JOHNSON」と語源は同じであり、いずれも欧米人の姓として極めてありふれた人名とされる(甲4~甲6)。
また、「bebis」は、スウェーデン語で「赤ちゃん」を意味する言葉であり、「ベビス」又は「ビビス」のように称呼され、英語の「baby」と同義語である(甲7)。
したがって、本件商標からは、「ジョハンソンベビス」「ヨハンソンビビス」の称呼と「ジョハンソンさんの赤ちゃん」といった観念が生じる。
2 引用商標について
引用商標は、筆記体の「Johnson’s」を上段に、ブロック体の「baby」を下段に、二段書きしてなるものである。
上段の「Johnson’s」は、申立人が一般消費者向け製品のブランドとして長年使用しているハウスマークであり、「ジョンソンズ」又は単に「ジョンソン」と称呼されるものである。
また、引用商標は、申立人が展開する「ベビーソープ」「ベビーシャンプー」「ベビーローション」「ベビーオイル」といった乳児向けに開発された低刺激性・天然由来成分のスキンケア製品の商標として、128年の歴史を有するとともに世界1位の売上げ(2018年1月~12月)を誇るグローバルブランドである(甲8)。
引用商標は、乳幼児の肌の手入れ、あるいは、敏感肌の大人用のスキンケア製品の商標として広く知られている(甲6)。
3 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)商標の類似
本件商標と引用商標とは、ともに欧文字で構成され、語頭から続く「JOHANSON」と「Johnson’s」とは、中間の「A」の有無及び語尾の所有格を示す「’s」のみを異にするにすぎないものであるから、外観上相応の類似性が認められる。
次に、Google翻訳を利用して「Johnson’s baby」をスウェーデン語に翻訳すると、「Johnsons bebis」と表記される(甲9)。「Johanson」が「Johnson」と語源を同じくする欧米人のありふれた姓であることは上述のとおりであるから、観念上の類似性が認められる。需要者が両商標の意味合いを認識できないとしても、少なくとも、両商標は観念上非類似と評価すべき理由はない。
最後に、本件商標の称呼「ジョハンソンベビス」と引用商標の称呼「ジョンソンベビー」とを比較すると、両者は「ジョ」「ン」「ソ」「ン」「べ」「ビ」の6音を同じくし、僅かに中間の「ハ」と語尾の「ス」の有無のみが相違するものと認められるから、全体の語調語感は近似するものというべきである。
したがって、本件商標と引用商標とは、観念において類似あるいは比較不能であるほか、文字列部分の外観と称呼において多くの共通部分を有することから、需要者の印象・記憶・連想において相紛れるおそれの高い類似商標とみるべきである。
(2)商品の類似
引用商標の指定商品と、本件商標の指定商品が、同一・類似関係にあることは疑う余地がない。特に、引用商標の指定商品「ほ乳用具」は、本件商標の指定商品「幼児用使い捨て哺乳瓶,哺乳瓶用バルブ,哺乳瓶用ホルダー,哺乳瓶,哺乳瓶用乳頭」を含む商品概念であるから、両商標の使用対象商品は同一商品を含むものである。
4 商標法第4条第1項第15号該当性について
上記のとおり、本件商標と引用商標とは互いに類似する。
また、引用商標は長い歴史と世界1位の売上実績を誇る乳児用スキンケア製品の世界的周知商標である(甲8)。
国内における引用商標の周知性を証明するために、株式会社ビデオリサーチによる「パネル調査データベース データ内容証明書」を提出する(甲10)。これは、同社が行った定期的なブランド知名度調査結果について、申立人の日本法人であるジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社から広告関連業務を受託している株式会社マッキャンエリクソン宛に発行された証明書である。
調査項目のそれぞれの質問文章は次のとおりである。
(1)ブランド名認知:あなたは、次にあげる「ハンドケア・ボディケア用品(お身体のお手入れに使うもの)」の商品(ブランド)をご存知ですか。「名前を知っている商品」についてお知らせください。
(2)内容・特徴認知:では、「商品の特徴や内容まで知っている商品」についてお知らせください。
(3)購入意向ブランド:あなたが、今後(今後も)買いたい・買ってみたい商品がありましたらすべてお知らせください。
(4)使用ブランド(最近3か月間):あなたが、「この3か月間」にお使いになった商品のメーカー名又は銘柄名をすべてお知らせください。
当該調査結果は、「ジョンソンベビー」が競合商品の数知れない「ローションオイル」について高い知名度を誇っている事実を物語るものである。
さらに、引用商標は、申立人の略称あるいは一般消費者向け製品のハウスマークである「Johnson’s」と乳児用スキンケア製品を意味する「baby」を結合してなる造語である。
また、申立人は、医療用機械器具、医薬品、化粧品、コンタクトレンズなど多岐にわたる商品の製造販売を全世界的規模で行う企業である。
乳児用スキンケア製品と哺乳用具とは、乳児用商品である点において密接な関連性を有し、需要者も共通するものである。
そうすると、本件商標は引用商標との関係において狭義又は広義の混同を生じるおそれがあるというべきである。
5 結語
上述のとおり、本件商標と引用商標とは互いに類似し、また、それらの指定商品も同一又は類似のものである。
また、本件商標は、引用商標との関係で営業主体の狭義又は広義の混同を惹起するおそれのある商標である。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反してなされたものであるから、取り消されるべきである。
第4 当審の判断
1 引用商標の周知性について
申立人は、引用商標が、申立人の業務に係る乳児用スキンケア製品(以下「申立人商品」という。)を表示するものとして周知である旨主張しているところ、申立人提出の甲各号証、同人の主張及び職権調査によれば、以下のとおりである。
(1)「PR TIMES」のウェブサイトのプレスリリース記事(2019年4月19日付け、甲8)によれば、申立人の日本法人が、申立人商品について「Johnson’s」の文字を使用していることがうかがえるものの、「Johnson’s」及び「baby」の文字よりなる引用商標がこれらの商品に使用されている事実を確認することはできない。
(2)申立人は、株式会社ビデオリサーチによる「パネル調査データベース データ内容証明書」(2022年9月28日付け、甲10)を提出するとともに、申立書において、当該調査の調査項目の質問文章を記載している。
しかしながら、当該調査結果は、申立人商品のうち、ローションオイルに限定されたものである上、当該調査を実施した際に、申立書に記載されたような質問を実際に行ったかは定かでないし、引用商標を用いた調査であったか等、具体的な調査手法も明らかでないことから、当該調査結果をもって、申立人商品についての引用商標の認知度を推し量ることはできない。
(3)その他、引用商標を使用した申立人商品の我が国における売上高、販売数、市場シェアなどの販売実績や広告宣伝等を示す証拠の提出はなく、他に本件商標の登録出願時及び登録査定時における引用商標の使用事実を示す客観的な証拠も見いだせない。
(4)そうすると、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品を表示するものとして、我が国における需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、左端にオレンジ色の図形を表し、その右側に「JOHANSON bebis」の文字をオレンジ色で横書きしてなるところ、構成中の図形部分は、直ちに特定の事物を表したものと認識されるものとはいえないことから、これより特定の称呼及び観念を生じないものである。
また、構成中の文字部分については、「JOHANSON」の文字及び「bebis」の文字は、いずれも一般の辞書等に載録されている語ではなく、特定の意味合いをもって親しまれている語でもないことから、これらは、特定の観念を有しない一種の造語として認識、把握されるものである。
そうすると、本件商標の図形部分と文字部分とは、視覚上分離して把握され、互いに意味上のつながりも有しないものであるから、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいえず、それぞれが独立して、商品の出所識別機能を有する要部として認識され得るものである。
さらに、上記文字部分についてみると、「JOHANSON」の文字と「bebis」の文字とは、大文字と小文字の差異を有し、やや間隔を空けているものの、同じ書体で一体的に書されているものであって、いずれかの文字が殊更に看者の注意をひくというような事情も見いだせないことからすれば、文字部分は、全体をもって一体のものと認識されるというのが相当である。
そして、欧文字からなる特定の観念を生じない造語にあっては、我が国において親しまれているローマ字読み又は英語の読みに倣って称呼するのが自然である。
以上からすると、本件商標は、その要部である「JOHANSON bebis」の文字部分に相応し、「ジョハンソンベビス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標について
引用商標は、「Johnson’s」の文字及び「baby」の文字を二段に横書きしてなるところ、上段の「Johnson’s」の文字は、ファミリーネーム(姓)を表す「Johnson」(「英辞郎on the WEB」株式会社アルク)に、名詞の所有格である「’s」(「プログレッシブ英和中辞典」株式会社小学館)を付したものであるから、「ジョンソンの」程の意味合いを理解させるものである。また、下段の「baby」の文字は、「赤ちゃん」等の意味を有する語(前掲書)として広く知られている語である。
引用商標は、まとまりよく一体的に表されており、かつ、構成文字全体から「ジョンソンの赤ちゃん」の意味合いを生じるものであることから、全体として一体のものとみるのが相当である。
そうすると、引用商標は、全体の構成文字に相応して「ジョンソンズベビー」の称呼を生じ、「ジョンソンの赤ちゃん」の観念を生じるものである。
(3)本件商標と引用商標の類否について
本件商標と引用商標とは、図形の有無、文字の配置、文字構成及び文字数において明確な差異を有することから、全体の外観が相違する。また、本件商標の要部である文字部分と引用商標とを比較しても、両者は文字の配置、文字構成及び文字数において明らかに相違する。
よって、本件商標と引用商標とは、外観上相紛れるおそれはない。
そして、本件商標から生じる「ジョハンソンベビス」の称呼と、引用商標から生じる「ジョンソンズベビー」の称呼を比較すると、両者は音構成が異なり、明確に聴別できるものであるから、両者は称呼においても相紛れるおそれはない。
さらに、本件商標が特定の観念を生じないのに対し、引用商標は、「ジョンソンの赤ちゃん」の観念を生じるものであるから、両者は観念においても相紛れるおそれはない。
以上のことからすれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼、観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない、非類似の商標である。
(4)小括
上記(3)のとおり、本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品が同一又は類似するものであるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
上記1のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることができない。
また、上記2のとおり、本件商標と引用商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、類似性の程度は低いものである。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも該当するものでないから、その登録は、同条第1項の規定に違反してされたものとはいえず、ほかに同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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