商標異議申立
2022-900312
コノミ、シイ
- 審判番号
- 2022-900312
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2021-143110
- 登録番号
- 6561093
- 請求日
- 2022年07月28日
- 審決日
- 2023年05月09日
- 公報発行日
- 2023年06月30日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社このみ
- 【異議申立人】モンクレール ソチエタ ペル アツィオニ
- 【異議申立人代理人】青木 篤
- 【異議申立人代理人】外川 奈美
- 審判長/審判官
- 審判長 矢澤 一幸
- 審判官 杉本 克治
- 審判官 小田 昌子
- 分類
- T1651.22 -Y (W1825) / T1651.261-Y (W1825) / T1651.262-Y (W1825) / T1651.263-Y (W1825) / T1651.271-Y (W1825)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項7号商標法4条1項11号商標法4条1項15号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
登録第6561093号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6561093号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第6561093商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、令和3年11月4日に登録出願、第18類「かばん類,袋物,傘」及び第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,えり巻き,靴下,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,帽子,ガーター,靴下留め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類,運動用特殊衣服(「水上スポーツ用特殊衣服」を除く。),運動用特殊靴(「乗馬靴」及び「ウインドサーフィン用シューズ」を除く。)」を指定商品として、同4年4月14日に登録査定、同年5月25日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標(以下、これらをまとめて「引用商標」という場合がある。)は、次の(1)ないし(4)のとおりであり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
(1)国際登録第991914号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様:別掲2のとおり
国際商標登録出願日:2008年(平成20年)10月13日
優先権主張:2008年(平成20年)7月29日(Italy)
設定登録日:平成23年6月3日
指定商品・指定役務:第3類、第9類、第14類、第18類、第25類、第28類及び第35類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務
(2)国際登録第1197643号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様:別掲3のとおり
国際商標登録出願日:2013年(平成25年)9月13日
設定登録日:平成28年1月22日
指定商品:第9類、第18類、第25類、第26類及び第28類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿記載のとおりの商品
(3)国際登録第991913号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の態様:別掲4のとおり
国際商標登録出願日:2008年(平成20年)10月13日
優先権主張:2008年(平成20年)7月29日(Italy)
設定登録日:平成22年10月29日
指定商品・指定役務:第3類、第9類、第14類、第18類、第25類、第28類及び第35類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務
(4)国際登録第1559271号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の態様:別掲5のとおり
国際商標登録出願日:2020年(令和2年)7月1日
設定登録日:令和4年2月25日
指定商品:第18類及び第25類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿記載のとおりの商品
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第34号証を提出した。
以下、証拠の表記に当たっては、「甲第○号証」を「甲○」のように記載する。
(1)引用商標について
申立人は、1952年にフランスにて創立され、現在はイタリアに本社を有している、ラグジュアリー業界において著名なグローバル企業であり、紳士服・婦人服・子供服・靴・眼鏡・帽子・バッグ・スーツケース・バックパック・その他の服飾雑貨の製造、流通及び販売を行っている。
我が国においては、2006年頃から、特に主力商品であるダウンジャケットが人気を博し、現在ではファッション界において最高峰のブランドの一つとして、世界のみならず日本国内において極めて著名なブランドとなっている。
申立人は、引用商標を含む登録商標を、本国イタリアや欧州のみならず世界各国において取得している(甲2~甲5)。
引用商標は、いずれもベル(鐘)状の輪郭からなる図形である。申立人は、これらの引用商標を申立人自身の商品(ダウンジャケットやバッグ)(以下「申立人商品」という。)に付して我が国を含む世界において販売をしてきた(甲6)が、とりわけ引用商標1は、申立人商品のほぼ全てに付されている。引用商標以外にも、申立人のベル(鐘)状の輪郭からなる図形は、我が国において多数登録されており(甲7)、引用商標は申立人を表すシンボルともいうべき非常に重要なものである。
なお、近年、申立人ブランドが我が国において好評を博するとともに、申立人ブランドの人気に乗じた、引用商標に類似した商標を付した模倣品が激増しているため、申立人は引用商標を模したロゴが付された模倣品を水際で阻止すべく、引用商標1を基礎として税関に対し輸入差止申立(税関登録)を行った。その結果、申立人商品は、例えば、2017年には968件、2018年には537件が税関における輸入差止めの対象となっている。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標と引用商標は、上部に円形の一部、下部に下向きに扇を広げたような形を配置して結合させたベル(鐘)状の輪郭から構成された図形である点において同じである。
引用商標は、全てベル(鐘)状の輪郭を構成要素としており、そのベル(鐘)状の輪郭は、鶏図形や「MONCLER」の文字部分などの他の構成要素と比較しても太く目立つように表示されており、一見して強く支配的な印象を与える部分である。
したがって、引用商標においては、ベル(鐘)状の輪郭自体が要部であるといえるところ、本件商標も、引用商標と同様、上部に円形の一部、下部に下向きに扇を広げたような形を配置して結合させたベル(鐘)状の輪郭よりなり、本件商標と引用商標は類似している。たとえ、本件商標の図形内部に何らかの模様や「CONOMi」のような文字が配置されているとしても、上部が円形の一部、下部が下向きに扇を広げたような特徴的な形のベル(鐘)状の輪郭を有する点において、両商標の全体の構成と両商標から受ける印象は極めて類似しており、その類似性は相違点をはるかに凌駕する。
また、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品も類似する。
よって、本件商標は、引用商標に類似する商標であるとともに、引用商標の指定商品に類似する商品について使用するものであり、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 引用商標の著名性
(ア)引用商標は、申立人商品に、単独で、かつ、目立つように付されている。その結果、引用商標を付した商品に接した需要者・取引者は、引用商標が独立して出所標識となっていることを一見して直ちに理解し、感得することとなる。
引用商標が付された申立人商品の写真は、雑誌やウェブマガジン等に毎年膨大な数が掲載されている。そして、引用商標は、申立人の直接の事業分野である服飾雑貨業界に関してのみならず、服飾雑貨業界と関わりのない一般の需要者にも、一般の購読者を対象とした雑誌等を通じて広く認識されている(甲8~甲30)。
(イ)申立人は、申立人商品に関し、我が国における広告費として、2015年に約209万ユーロ、2016年に約254万ユーロ、2017年に約334万ユーロ、2018年に約314万ユーロ出費している(甲31)。申立人は、こうした高額な広告費をかけて、毎年活発な広告宣伝活動を行っている。
また、申立人は、上述したように商品に引用商標を付すのみならず、申立人自身の広告にも引用商標を付して、広告宣伝活動を行っている(甲32~甲34)。
(ウ)引用商標が付された申立人商品の2016年から2021年までの日本国内における売上高は、直近の2021年の国内売上高全体で約375億円に上る。申立人商品のこうした高い売上高から、毎年、極めて多数の、引用商標が付された申立人商品が日本国内で販売されていることがわかる。
(エ)申立人は、我が国において、東京の青山と銀座に旗艦店を有しており、引用商標を付した商品を直営店計27店舗(2018年)及びアウトレット計3店舗(2018年)において販売している(甲6)。こうした日本全国に存在する申立人の多数の店舗において、様々な人が申立人商品を目にし、購入している。
また、申立人は実店舗のみならずオンライン店舗も展開しており、申立人のウェブサイトであるmoncler.com及びmonclergroup.comに2019年にアクセスした日本の顧客の数は、1月から5月の5か月間の合計でそれぞれ合計約157万人、約9,300人に上る。
(オ)引用商標は、(ア)で述べたとおり、需要者・取引者が、引用商標が独立して出所標識となっていることを一見して理解し、感得することとなるような態様で申立人商品や申立人の広告に付されているのみならず、申立人は、(イ)ないし(エ)で述べたとおり、日本国内で活発な広告宣伝活動を行いながら、引用商標が付されている申立人商品を、毎年、日本全国の実店舗やオンライン店舗において多数販売している。
したがって、申立人商品を購入する人のみならず、申立人商品が販売されている場にたまたま立ち寄った人や申立人商品が掲載された雑誌等を目にしたにすぎない一般の需要者も、引用商標を容易に、かつ、頻繁に目にし、引用商標を申立人の出所標識として認識しているのは明らかである。
以上述べたことから、引用商標は、申立人を表すシンボルともいうべきロゴとして、我が国において、本件商標の登録出願前から現在に至るまで周知著名である。
イ 混同を引き起こすおそれがあること
本件商標は、上部が円形の一部、下部が下向きに扇を広げたような特徴的な形のベル(鐘)状の輪郭を有している一方で、引用商標も同様に上部が円形の一部、下部が下向きに扇を広げたような形のベル(鐘)状の輪郭を有している。
引用商標は、申立人にとってのシンボルとしての重要性及び我が国における著名性に鑑みると、本件商標と引用商標と、相紛れるおそれが非常に高い。
また、本件商標の指定商品と引用商標が使用される商品とでは類似しており、密接な関連性を有している。
したがって、「被服」等や「かばん」等の商品における取引者・需要者が本件商標に接した場合は、本件商標に係る商品があたかも本件商標の登録出願前から現在まで継続して周知著名である申立人のブランドのものであるかのごとく商品の出所について混同するおそれがあるか、あるいは、申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者による商品であると誤認した結果、商品の出所について混同するおそれがあるといわざるを得ない。そして、商品の出所について混同を生じさせるおそれがある本件商標の登録を認めることが、商標の使用をする者の業務上の信用を維持し、需要者の利益を保護することを目的とする商標法の趣旨に反することはいうまでもない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第7号該当性について
上述のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願前から現在まで、本国イタリアのみならず我が国を含む世界各国において周知著名な状態にあるといえる。
そうとすると、世界的な周知著名性に基づく顧客吸引力という財産的価値のある引用商標と同一関係にある本件商標を自己の商標として採択使用することは商道徳に反するといわざるをえない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、上部に円形輪郭線の一部、その下部に下向きに扇を広げたような形の輪郭線を配置して結合させた鐘状の輪郭図形(以下「本件鐘状輪郭図形」という。)内に、上部から下部にかけて徐々に濃くなるグラデーションを施したC状のリボンをモチーフとした図形(以下「C状図形」といい、「本件鐘状輪郭図形」と「C状図形」と合わせて「本件図形部分」という。)を上部に配し、その下に「CONOMi」の欧文字を円弧状に配した構成よりなるものである。
そして、本件商標の構成中、本件図形部分と「CONOMi」の欧文字部分とは、互いに接していないことから、視覚的に分離して看取され得るものの、本件図形部分は、特定の称呼及び観念を有するものとして認識されるものではないから、本件商標の構成中の本件図形部分は、特定の称呼及び観念を生じないというのが相当であり、また、本件商標の構成中、本件鐘状輪郭図形のみに着目するというべき特段の事情も見いだせないものである。
また、本件商標の構成中、「CONOMi」の欧文字は、辞書等に成語として載録のないものであるから、特定の意味を有することのない造語として看取、把握されるとみるのが自然である。
そうすると、本件商標は、「CONOMi」の欧文字に相応して「コノミ」の称呼を生じるが、特定の観念は生じない。
イ 引用商標
引用商標1及び引用商標2は、別掲2及び別掲3のとおり、上部に円形輪郭線の一部、その下部に下向きに扇を広げたような形の輪郭線を結合させた鐘状の輪郭図形(以下「引用商標鐘状輪郭図形」という。)内の上方に「M」の欧文字と鳥をモチーフとした図形(以下「引用商標鳥モチーフ図形」といい、「引用商標鐘状輪郭図形」と「引用商標鳥モチーフ図形」と合わせて「引用商標図形部分」という。)を組み合わせた図形とその下に「MONCLER」の欧文字を円弧状に配した構成よりなり、引用商標3は、別掲4のとおり、引用商標鐘状輪郭図形のみの構成よりなり、引用商標4は、別掲5のとおり、引用商標鐘状輪郭図形内の上方に引用商標鳥モチーフ図形を配した構成よりなるものである。
そして、引用商標1及び引用商標2は、その構成中の、引用商標図形部分と「MONCLER」の欧文字部分が、互いに接していないことから、視覚的に分離して看取され得るものの、引用商標図形部分は、特定の称呼及び観念を有するものとして認識されているものではないから、引用商標1及び引用商標2の構成中の引用商標図形部分は、特定の称呼及び観念を生じないというのが相当であり、また、引用商標図形部分の引用商標鐘状輪郭図形のみに着目するという特段の事情は見いだせない。
また、引用商標1及び引用商標2の構成中、「MONCLER」の欧文字は、辞書等に成語として載録のないものであるから、特定の意味を有することのない造語として看取、把握されるとみるのが自然である。
そうすると、引用商標1及び引用商標2は、その構成中の「MONCLER」の欧文字に相応して「モンクレール」の称呼を生じるが、特定の観念は生じない。
さらに、引用商標3は、引用商標鐘状輪郭図形のみの構成よりなるところ、引用商標1及び引用商標2における認定のとおり、引用商標鐘状輪郭図形は、特定の称呼及び観念を生じないというのが相当であるから、引用商標3は、特定の称呼及び観念は生じない。
また、引用商標4は、引用商標鐘状輪郭図形内に、引用商標鳥モチーフ図形を配した構成よりなるところ、引用商標1ないし引用商標3における認定のとおり、引用商標鐘状輪郭図形及び引用商標鳥モチーフ図形は、特定の称呼及び観念を生じないというのが相当であるから、引用商標4は、特定の称呼及び観念は生じない。
ウ 本件商標と引用商標の類否
本件商標及び引用商標は、上部に円形輪郭線の一部、その下部に下向きに扇を広げたような形の輪郭線を結合させた鐘状の輪郭図形を有している点を共通にするとしても、上記ア及びイのとおり、当該鐘状輪郭図形のみに着目するという特段の事情は見いだせない上、C状図形及び鳥モチーフ図形の有無や「CONOMi」及び「MONCLER」の文字の有無の差異により、構成文字及び構成態様が明らかに相違するものであるから、外観は、明確に区別できるものである。
また、称呼においては、本件商標からは、「コノミ」の称呼を生じるのに対し、引用商標1及び引用商標2からは、「モンクレール」の称呼を生じるところ、その音構成及び構成音数が明らかに相違することから、本件商標と引用商標1及び引用商標2とは、明瞭に聴別し得るものであり、また、本件商標と引用商標3及び引用商標4とは、称呼において比較することができないものである。
さらに、観念においては、本件商標及び引用商標は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、比較することができない。
上記のとおり、本件商標と引用商標1及び引用商標2とは、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのない非類似の商標というべきであり、また、本件商標と引用商標3及び引用商標4とは、観念及び称呼において比較することができないとしても、外観において相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
エ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であるから、本件商標の指定商品が引用商標の指定商品と同一又は類似であるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 申立人は、1952年にフランスで創立され、現在はイタリアに本社を有し、ラグジュアリー業界において著名なグローバル企業であり、紳士服、婦人服、靴、眼鏡、その他の服飾雑貨の製造、販売を行っており、我が国においては、2006年頃から、主力商品であるダウンジャケットが人気を博し、引用商標は、ファッション界において最高峰のブランドの一つとして、世界のみならず日本国内において著名なブランドである旨述べている。
そして、申立人の提出した我が国における広告費とする表には、申立人が、2015年ないし2018年の我が国における広告費と主張する金額が記載されており(甲31)、また、我が国で発行された複数の雑誌やウェブサイトなどに、主に引用商標1又は引用商標2と同じ構成態様の標章を付した申立人商品が掲載されたこと(甲8、甲10、甲11、甲13~甲15、甲17、甲18、甲20~甲24、甲32~甲34)から、申立人が我が国において、引用商標1及び引用商標2が付された申立人商品の宣伝広告を行ったことはうかがえる。
しかしながら、申立人は、引用商標が付された申立人商品の2016年ないし2021年までの我が国における売上高であるとする金額を主張しているが、それらの主張及び売上高の金額を裏付ける証拠の提出はなく、引用商標が付された申立人商品の販売数などの販売実績や市場シェアなどは確認できない。
また、引用商標1又は引用商標2と同じ構成態様の標章を付した申立人商品の雑誌やウェブサイトなどへの掲載数はさほど多いとはいえないものであって、雑誌やウェブサイト以外の広告宣伝の方法、期間、地域及び規模などについては確認できない。
なお、引用商標鐘状輪郭図形のみより構成される引用商標3と同じ構成態様の標章を付した申立人商品が一部の雑誌に掲載されたこと(甲25、甲26)はうかがえるものの、引用商標4と同じ構成態様の標章を付した申立人商品の雑誌への掲載は確認できないことから、提出された証拠をもって、引用商標3及び引用商標4が広告宣伝を通じて、我が国における多くの需要者の目に触れたとはいい難い。
よって、申立人提出の証拠からは、引用商標1及び引用商標2は、申立人商品について需要者の間にある程度知られていたとしても、引用商標3及び引用商標4は、需要者の間に知られていたとはいえないものであるから、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
イ そして、上記(1)のとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であるから、類似性の程度は低いものである。
ウ 出所の混同のおそれについて
上記ア及びイによれば、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできず、本件商標と引用商標の類似性の程度は低いことからすれば、本件商標に接する取引者、需要者が、申立人の業務に係る引用商標を連想又は想起するものということはできない。
そうすると、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者が、引用商標を連想又は想起することはなく、その商品が他人(申立人)の取り扱いに係る商品あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
エ 小括
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第7号該当性について
引用商標は、上記(2)アのとおり、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたとは認められないものである。
そして、本件商標と引用商標とは、上記(1)のとおり、非類似の商標である。
また、本件商標は、その構成自体がきょう激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるようなものでないことは明らかであり、また、社会の一般的道徳観念に反するなど、公序良俗に反するというべき証拠も見いだせない。
さらに、本件商標は、他の法律によって、その商標の使用等が禁止されているものではないし、特定の国若しくは国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反するものでもない。
してみると、本件商標は、その登録を維持することが商標法の予定する秩序に反し、公の秩序又は善良の風俗害するおそれのある商標に該当するとはいえない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第11号及び同項第15号に該当するとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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2022-900312