商標異議申立
2022-900308
マンモス
- 審判番号
- 2022-900308
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2020-122284
- 登録番号
- 6564445
- 請求日
- 2022年07月25日
- 審決日
- 2023年04月04日
- 公報発行日
- 2023年05月26日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】415 スタジオ, インコーポレイテッド
- 【権利者代理人】恩田 誠
- 【権利者代理人】恩田 博宣
- 【異議申立人】マムート スポーツ グループ アクチエンゲゼルシャフト
- 【異議申立人代理人】稲葉 良幸
- 【異議申立人代理人】田中 克郎
- 【異議申立人代理人】石田 昌彦
- 審判長/審判官
- 審判長 矢澤 一幸
- 審判官 豊田 純一
- 審判官 杉本 克治
- 分類
- T1652.261-Y (W25) / T1652.262-Y (W25) / T1652.263-Y (W25) / T1652.271-Y (W25)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項15号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
登録第6564445号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6564445号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6564445号商標(以下「本件商標」という。)は、「MAMMOTH」の文字を標準文字で表してなり、令和2年10月2日に登録出願、第25類「被服,ワイシャツ類及びシャツ,フード付きスウェットシャツ,トップス,ボトムス,帽子,履物」並びに第9類、第16類及び第41類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同4年5月18日に登録査定、同年6月1日に設定登録されたものである。
第2 引用商標及び引用標章
1 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録商標は、以下(1)ないし(3)のとおりであり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
(1)国際登録第646924号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様:MAMMUT
国際商標登録出願日(事後指定日):2007年2月1日
設定登録日:平成20年11月14日
指定商品:別掲1のとおり
(2)登録第4325666号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様:別掲2のとおり
登録出願日:平成10年4月10日
設定登録日:平成11年10月15日
指定商品:別掲3のとおり
(3)国際登録第697320号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の態様:別掲4のとおり
国際商標登録出願日(事後指定日):2007年2月1日
設定登録日:平成21年5月29日
指定商品:別掲5のとおり
以下、引用商標1ないし引用商標3をまとめていう場合は、「引用商標」という。
2 申立人が、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するとして引用する商標及び標章は、上記1の引用商標と、申立人が同人の取扱いに係る商品「アウトドアウェア」(以下「申立人商品」という。)に使用し、需要者の間に広く知られていると主張する「MAMMUT」の欧文字よりなる標章(以下「引用標章」という。)である。
以下、「引用商標」と「引用標章」をまとめて、「申立人商標」という場合がある。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標の指定商品中、第25類「全指定商品」(以下「異議申立対象商品」という、)については、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第8号証を提出した。
なお、以下、甲各号証の表記にあたっては、甲第1号証を「甲1」のように省略して表示する場合がある。
1 本件商標と申立人商標の類否について
(1)本件商標について
本件商標は、英語で「長鼻目ゾウ科マンモス属に属する大型の哺乳類」を表す欧文字「MAMMOTH」を標準文字で表してなり、かかる構成文字に照応して「マンモス」の称呼を生ずるものである。
(2)申立人商標について
引用商標1は、ドイツ語で「長鼻目ゾウ科マンモス属に属する大型の哺乳類」を表す欧文字「MAMMUT」を通常使用される書体で表してなり、かかる構成文字に照応して「マムート」、「マンムト」といった称呼を生ずるものである。
引用商標2及び引用商標3は、ドイツ語で「長鼻目ゾウ科マンモス属に属する大型の哺乳類」を表す欧文字「MAMMUT」及び「長鼻目ゾウ科マンモス属に属する大型の哺乳類」である「マンモス」の図形よりなり、かかる構成文字に照応して「マムート」、「マンムト」といった称呼が、また図形部分に照応して「マンモス」の称呼が生じるものである。
なお、「マンモス」とはすでに絶滅した生物であるものの、巨大な牙と長い鼻、全身を覆う長い体毛と肩から腰にかけての大きな体高差を特徴とする姿をしていたことが知られており(甲5)、引用商標2及び引用商標3に表された図形はまさに、かかる外観を表したものと容易に理解できる。
(3)申立人商標の著名性について
申立人は、1862年にスイスで設立されて以来、160年にわたり世界のマーケットを牽引するアウトドアブランド、「MAMMUT(マムート)」を展開するグローバル企業である。
洗練されたデザインに加え、スイスの山岳環境で培われた特別な「暖かさ」と「動きやすさ」を備えたアパレル等の極めて機能性に優れた製品の数々は、世界各国で高い評価を得ており、約40の国・地域で展開されている。 我が国においても、2007年に日本法人であるMAMMUTSPORTS GROUP JAPAN株式会社(マムート・スポーツグループジャパン株式会社)が設立され、2008年には我が国初の直営店を東京にオープンした。
現在では札幌、仙台、東京、横浜、大阪、福岡等の主要都市において11の直営店を展開、全国約400店の小売店でも販売され、高い人気を博している(甲6)ほか、2017年に開設した日本語版ウェブサイトにより、継続的に情報発信を行っている。
既に述べたとおり、「MAMMUT」はドイツ語で「マンモス」を意味するところ、申立人は、これを社名に取り入れた当初より、マンモスのロゴを使用しており、申立人の提供に係る商品は、長きにわたる販売を通じ、我が国の取引者、需要者間においても、「マンモスマーク」の商品、「マンモスのロゴ」の商品として広く親しまれるに至っている(甲7)。
上記の事実に照らせば、申立人商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時には、本件商標の指定商品の取引者、需要者の間で申立人の業務に係る商品を表示するものとして広く認識されていたことが明らかである。
(4)申立人商標と本件商標の比較
本件商標は、欧文字「MAMMOTH」の7字からなり、引用商標1は欧文字「MAMMUT」の6字からなるものである。
両商標は、前半の4文字と6文字目を共通にするうえ、5文字目における本件商標の「O」と引用商標1の「U」も、極めて形状が類似した文字であるといえる。
語尾において「H」の有無という違いはあるものの、語尾における差異は看者の注意を引きにくいといえることから、本件商標と引用商標1は、全体的に似通った印象を与え、時と所を異にして観察すると、互いに見間違われるおそれがあるものというべきである。
また、本件商標、引用商標1は、いずれも「長鼻目ゾウ科マンモス属に属する大型の哺乳類であるマンモス」の観念を生じさせるから、親念においては同一の商標であるといえる。
仮に引用商標1に接した取引者、需要者が、上記の意味合いを直接的に想起しなかったとしても、引用商標1を付した商品は「マンモスマーク」の商品、「マンモスのロゴ」の商品として広く知られているのであり、さらに引用商標2及び引用商標3は明らかに「マンモス」の姿を現したと認識される図形を含むものであって、少なくともそこから「マンモス」の観念及び称呼が生じることは疑う余地もない。
さらに、例えば街中で「MAMMOTH」の商標が付された衣服を目にした、あるいは耳にした消費者が、かかる商品がどこで販売されているか知りたいと考えた場合、パソコンやスマートフォンが身近になった現代においては、インターネットの検索サイトにおいて「MAMMOTH」あるいは「マンモス」の文字を入力して検索するのが最も効率的、かつ、蓋然性が高いといえる。
そして、申立人が「マンモスアウター」のキーワードで検索すると、検索結果のほとんどが申立人の商品に関するものであった(甲8)。
このように、本件商標と申立人商標とでは明らかに商品の出所について誤認混同を生じ得るといえる。
上記のとおり、本件商標は引用商標と称呼において必ずしも類似するとはいえないとしても、観念が同一であって、外観においても類似するものであるから、取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すると、同一の指定商品に使用した場合に、商品の出所につき誤認混同されるおそれがあるというべきである。
また、引用商標2及び引用商標3については、その構成中の図形部分から「マンモス」の観念及び称呼が生じることは明らかであるから、少なくとも本件商標と引用商標2及び引用商標3とは、銀念及び称呼において共通するところのある類似の商標である。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
引用商標は、いずれも本件商標の出願日前に出願されたものである。
そして、上述のとおり、本件商標と引用商標が類似することは明らかであり、これら商標の指定商品が互いに抵触するものであることはいうまでもない。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
上述したように、申立人商標は、申立人の拠点であるスイスはもとより、我が国においても周知の商標である。
そして、本件商標の指定商品と申立人商標の指定商品は同一又は類似するものである。
そうとすれば、申立人とは無関係の者が申立人商標と類似する本件商標を使用することにより、需要者が同人及びその提供する商品が申立人及び申立人の提供する「MAMMUT」商品と何らかの関係があるものであると誤信するおそれがあるのは明らかであり、本件商標は商品の出所につき混同を生ずるおそれがあるというべきである。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。
4 むすび
以上の理由により、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当する。
第4 当審の判断
1 申立人商標の周知著名性について
申立人の提出した証拠及び同人の主張によると、申立人は、1862年にスイスで設立後、160年にわたりアウトドアブランド「MAMMUT(マムート)」を展開していることは確認できる(甲6~甲8)。
しかしながら、申立人が主張する、「約40の国・地域で展開されている」こと、「我が国においても、2007年に日本法人であるMAMMUTSPORTS GROUP JAPAN株式会社(マムート・スポーツグループジャパン株式会社)が設立され、2008年には我が国初の直営店を東京にオープンした。」こと、「現在では札幌、仙台、東京、横浜、大阪、福岡等の主要都市において11の直営店を展開、全国約400店の小売店でも販売されている」ことについては、これを裏付ける証拠は提出されていない。
また、申立人商標を付した商品の売上高や国内の市場占有率等も明らかではない。
さらに、申立人商標を付した商品に関する宣伝広告に関する証拠は、インターネット記事のみであり、その他、我が国における宣伝広告費用、宣伝広告を行った媒体、その回数や期間等が客観的に把握し得る証拠は提出されていない。
そうすると、申立人が提出した全証拠によっては、申立人商標が、申立人又は申立人商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識され、本件商標の登録出願時及び登録査定時に周知著名性を獲得していたとは認められないものである。
2 本件商標と申立人商標の類否について
(1)本件商標について
本件商標は、上記第1のとおり、「MAMMOTH」の文字を標準文字で表してなるところ、これは、「更新世に生息した長鼻類の一種。現在のインドゾウに近縁だが、寒冷気候に適応して全身は長毛に覆われ、牙は巨大で大きくカーブする。化石はヨーロッパ・シベリア・北アメリカなどに産し、シベリアでは凍った遺体もまれに発掘される。肩高最大3.5メートル。ケナガマンモス。」(広辞苑第7版(株式会社岩波書店)マンモス【mammoth】の項目参照。)を意味する英語である。
したがって、本件商標は、その構成文字に相応して「マンモス」の称呼を生じ、「マンモス」の観念を生じるものである。
(2)申立人商標について
ア 引用商標1は、「MAMMUT」の欧文字を横書きしてなるところ、当該文字は、ドイツ語で「マンモス」を意味するものであるとしても、ドイツ語は、我が国においてなじみのある外国語とはいえず、「MAMMUT」の欧文字が、我が国の取引者・需要者に「マンモス」の意味合いを理解させるとはいい難いと判断するのが相当である。
したがって、引用商標1は、その構成文字に相応して「マンムト」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
イ 引用商標2及び引用商標3は、赤と黒を基調とする二重円内に右向きの象とおぼしき図を描いた図形(以下「象様図形」という。)と、「象様図形」の下に、黒地横長長方形(以下「黒地長方形」という。)内に「MAMMUT」の欧文字を赤字で横書きしてなるところ、引用商標2及び引用商標3の構成中の「象様図形」は、我が国において特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないため、これよりは、特定の称呼及び観念は生じないものであり、「黒地長方形」も同様に、我が国において特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないため、これらよりは、特定の称呼及び観念は生じないものである。
また、引用商標2及び引用商標3において、「象様図形」と「黒地長方形」内に配された「MAMMUT」の欧文字が、常に一体のものとして認識しなければならない特段の事情はない。
そうすると、引用商標2及び引用商標3は、本件商標との類否を判断するに当たって、これらの商標の構成中の「MAMMUT」の欧文字を要部として抽出し、この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。
したがって、引用商標2及び引用商標3は、「MAMMUT」の欧文字に相応して「マンムト」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
ウ 引用標章は、「MAMMUT」の欧文字よりなるものであるから、その構成文字に相応して「マンムト」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
(3)本件商標と申立人商標の類否について
本件商標は「MAMMOTH」の文字よりなり、引用商標1及び引用標章は「MAMMUT」の欧文字より、引用商標2及び引用商標3は「MAMMUT」の欧文字を要部とするもの(以下、これらをまとめて「MAMMUT」という。)であるところ、本件商標は7文字で構成され、「MAMMUT」は6文字で構成されていることから、全体の構成文字数が相違し、また、本件商標の5文字目の「O」と「MAMMUT」の5文字目の「U」、本件商標の語尾の「H」の文字の有無に相違点があるため、本件商標と「MAMMUT」の外観は相違することから、外観上、相紛れるおそれはない。
また、本件商標より生じる「マンモス」の称呼と「MAMMUT」より生じる「マンムト」の称呼は、本件商標の第3音目及び第4音目の「モス」と「MAMMUT」の第3音目及び第4音目の「ムト」の称呼を相違するものであるから、4音という短い音数のうち、2音相違することは、称呼全体に与える影響は決して小さいとはいえず、これら一連に称呼した場合は、語調語感が相違し、称呼上、互いに紛れるおそれはない。
そして、本件商標は「マンモス」の観念が生じるのに対し、「MAMMUT」は、特定の観念を生じないものであるから、これらは観念において紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と申立人商標は、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、互いに紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきである。
3 商標法第4条第1項第11号該当性について
上記2のとおり、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、互いに紛れるおそれのない非類似の商標であるから、本件商標の指定商品中の異議申立対象商品と引用商標の指定商品が同一の商品又は類似する商品であるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)申立人商標の周知著名性について
上記1のとおり、申立人商標は、申立人が製造、販売する商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識され、本件商標の登録出願時及び登録査定時に周知著名性を獲得していたとは認められないものである。
(2)本件商標と申立人商標の類似性の程度について
上記2のとおり、本件商標と申立人商標は、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、互いに紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきである。
(3)本件商標の指定商品中の異議申立対象商品と申立人商品の関連性、需要者の共通性について
本件商標の指定商品中の異議申立対象商品と申立人商品は、いずれもファッション関連の商品であるため、これらの商品は密接な関連性を有するものであり、これらの需要者も共通性するものである。
(4)出所の混同のおそれについて
上記(3)のとおり、異議申立対象商品と申立人商品は、密接な関連性を有するものであり、これらの需要者も共通にするものであるとしても、申立人商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人又は申立人商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているものではなく、本件商標と申立人商標は、別異の商標であって、類似性の程度は低いものである。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれを異議申立対象商品について使用しても、取引者、需要者が、申立人商標を連想又は想起することはなく、その商品が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはない。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
5 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項11号及び同項第15号に該当するとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録は維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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