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商標異議申立

2022-900306

ドロップ

審判番号
2022-900306
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2018-126535
登録番号
6556243
請求日
2022年07月25日
審決日
2023年10月02日
公報発行日
2024年03月29日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【権利者】マスドロップ インク
  • 【権利者代理人】田中 克郎
  • 【権利者代理人】稲葉 良幸
  • 【権利者代理人】佐藤 俊司
  • 【権利者代理人】池田 万美
  • 【異議申立人】フリッツ・ハンセン・アクティーゼルスカブ
  • 【異議申立人代理人】奥山 尚一
  • 【異議申立人代理人】小川 護晃
  • 【異議申立人代理人】高橋 菜穂恵
審判長/審判官
  • 審判長 旦 克昌
  • 審判官 小林 裕子
  • 審判官 綾 郁奈子
分類
T1652.261-Z (W35) / T1652.262-Z (W35) / T1652.263-Z (W35)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法4条1項11号商標法43条の3第2項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号、商標法第43条の2第1号
データ出所
審決公報(XML)

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登録第6556243号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6556243号商標の指定役務中「第35類 家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」についての商標登録を取り消す。

理由

理 由 1 本件商標 本件登録第6556243号商標(以下「本件商標」という。)は、「DROP」の文字を標準文字で表してなり、平成30年10月9日に登録出願、第35類に属する「家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む別掲1のとおりの役務を指定役務として、令和4年5月2日に登録査定、同年5月16日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用した国際登録第1258281号商標(以下「引用商標」という。)は、「THE DROP」の欧文字を、別掲2のとおりに表してなり、2015年(平成27年)1月29日にDenmarkにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、同年6月9日に国際商標登録出願、第20類「Furniture.」(仮訳:家具)を指定商品として、平成28年2月19日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、その指定役務中、第35類「家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下「申立役務」という。)について、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第19号証(枝番号を含む。)を提出した。 (1)商標法第4条第1項第11号該当性 ア 本件商標と引用商標の対比 本件商標と引用商標は、その全体の外観において、「THE」の有無に差異を有するのみで、構成中の「DROP」の文字を共通にするから、両商標は、外観上近似した印象を与えるものである。 引用商標は、日本の標準文字とは態様が多少異なるものの、特殊な字体ではなく、この程度の相違が外観の類否判断に与える影響は極めて少なく、本件商標とは外観上近似している。 本件商標と引用商標は、「ドロップ」の称呼及び「滴、一滴、落下」の観念を同一にするものである。 そうとすれば、本件商標と引用商標は、称呼及び観念を共通にし、外観においては、その構成中の要部「DROP」の文字を同一にするものであるから、相紛れるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。 一般的に、日本人にとって、「THE」は特に意味を有しない単なる定冠詞であって、「THE」を構成要素とする名称であっても、その部分に特に注意を向けないということはよくあることである。例えば、ロックバンドの「ビートルズ」は、「THE BEATLES」(甲7)、「ドリフターズ」は「ザ・ドリフターズ」(甲8)、アパレルブランドの「スーツカンパニー」は「THE SUITS COMPANY」(甲9)と表記されるが、世間一般において、これらを呼称するときに、「THE」又は「ザ」を入れることはほとんどない。しかしこのとき、需要者は、「ビートルズ」と呼称しても、実際は「ザ・ビートルズ」を意図していることは明らかであり、それを聞いたものが、「ビートルズ」と「ザ・ビートルズ」を別のグループだと認識することもない。このような例は数多存在する。このような日本人にとっての一種の常識(慣習)が、市場において反映されているのが、洋画のタイトルである。具体的には、「ラストサムライ」は、原題「The Last Samurai」(甲10の1)、「ロード・オブ・ザ・リング」は、「The Lord of the Rings」(甲10の2)であり、原題には「THE」が含まれているにもかかわらず、邦題には「ザ(THE)」が含まれていない。これは、日本の需要者にとって、「THE」は、あってもなくても変わらないもの、単なる付加的な要素にすぎないもの、という認識が取引において一般的に理解されているため、「THE」をあえて訳さないことが恒常的に行われていると思われる。 このような実情に照らせば、需要者がインターネットで商品を購入する際、検索時に、定冠詞である「THE」を省略することは想像に難くない。つまり、需要者は、引用商標を「DROP」として記憶し、引用商標にかかる商品を検索する際に、「DROP」又は「ドロップ」のみをキーワードで検索することは、日本人にとって自然であり、かかる実情においては、申立人商品と本件商標にかかる役務の出所を混同する可能性があることは明白である。 したがって、引用商標の要部が「DROP」であることは明らかであるから、本件商標は、引用商標と外観、称呼、観念のいずれにおいても混同を生じる類似の商標である。 イ 本件商標の申立役務は、審査基準上、引用商標の指定商品「家具」と類似すると推定されている。実際の取引においても、本件商標の指定役務である小売の対象となる家具は、小売業者がオリジナルの家具を製造販売することが一般的に行われており(甲12)、商品の製造・販売と役務の提供は、同一事業者によって行われていることが多く、需要者の範囲が一致することから、これらの商品と役務は類似する。 ウ よって、本件商標は引用商標と類似し、かつ、本件商標の指定役務は引用商標の指定商品と類似するから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (2)商標法第4条第1項第15号該当性 ア 商標「DROP」及び「ドロップ」(以下、あわせて「申立人商標」という。)は、申立人により、椅子について、日本国内において継続して使用されており、現に広く知られている。 申立人が申立人商標を使用している椅子(以下、「申立人商品」という。)は、デンマークの建築家で家具デザイナーであるアルネ・ヤコブセンが、コペンハーゲンのSASロイヤルホテルのためにデザインした椅子であり(甲13)、同氏の代表作のひとつとして、世界中で高い人気を誇る商品である。申立人商品の一番の特徴は、しずくを思わせる丸みのあるフォルムであり、滑らかな曲線を描くデザインは、人間の体の形や、抱きしめられるような感覚からヒントを得て作られたといわれている。当時は一般販売向けに製造されることはなかったが、申立人の「歴史的作品の数々を大切にしていきたい」という想いから、発表から50年以上の時を経て、復刻を果たし、申立人が2014年に初めて発売を開始したものである。 申立人は、申立人商品以外に、セブンチェア、スワンチェア、エッグチェアなど多数の商品を提供しており、日本のみならず、世界中で人気を博している。出願人の商品を掲載したカタログを甲第14号証として提出する。 また、申立人商品は、いわゆるデザイナーズ家具と呼ばれる商品で、インターネット上や雑誌において、特集が組まれたりすることが多く、そのときには必ず取り上げられ、人気ランキングが行われれば、必ず上位にランクインされる商品である(甲15)。 さらに、申立人商品は、リプロダクト家具が製作されているほど人気が高い商品である(甲16)。リプロダクト家具とは、以下のように説明される(甲17)。 「デザインに対する版権の期限が切れた製品を、オリジナルをベースに復刻・再生産する考え方です。日本の法律に準拠し生産されており、皆様に安心してお使いいただける後発家具です。」 つまり、デザイナーズ家具は、大量生産される通常の家具と比較して高額になることが多く、一般需要者が購入するのは容易ではないため、商品に関連する権利が満了した後に、手軽に購入することができる手段として、リプロダクト商品が製作されている。このようなリプロダクト家具の対象となるのは、当然、多くの需要者が欲する商品であるから、リプロダクト家具が製作されるということは、多くの需要者に知られており、かつ、その商品の人気が高いことの証左である。 イ 雑誌記事及び広告宣伝 申立人商品は、上述のとおり、日本の需要者の間で高い人気があることから、雑誌で家具特集が行われると、決まって申立人の商品が掲載される。甲第18号証は、申立人商品が紹介された雑誌記事の一部である。同号証に示すとおり、家具専門の雑誌のみならず、ファッション雑誌、男性誌女性誌を問わず紹介されている。そのため、申立人が広告費をかけずとも、家具の購入を検討している者のみならず、それ以外の潜在的な需要者を含む幅広い層に、申立人商品が周知になっている。 加えて、申立人自らも、多様な雑誌に、継続的に広告を掲載することにより、申立人商品を含む、申立人が取り扱う商品について宣伝広告を行っている(甲19)。 ウ 申立人商品の販売数 申立人は、申立人商品を、複数の日本の代理店を通じて販売しており、その年間販売個数は、2016年から現在まで、毎年500~1000を超えている。したがって、申立人商品は、販売開始から継続して高い人気を誇っていることがわかる。 エ 上述のとおり、申立人商標「DROP」又は「ドロップ」は、本件商標の登録出願日以前から椅子について使用され、継続的に販売されている。また、本件商標の出願日以前から、申立人商品は、広告宣伝され、日本国内で多額の売上をあげてきた。 これらの事実から、申立人商標は、本件商標の出願日の時点ですでに日本国内において需要者に広く知られ、これを使用した商品が申立人の業務に係る商品であることは需要者に十分認識されていた。 オ 以上詳述したとおり、申立人商標は、申立人商品「椅子」の商標として需要者の間で広く知られている。 これに対し、本件商標は、これと同一の商標であるから、申立役務に使用された場合、申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあることは明らかである。 よって、本件商標は、申立人の業務に係る商品と混同を生じるおそれがあるから、申立人商標「DROP」又は「ドロップ」との関係において、商標法第4条第1項第15号に該当する。 (3)結び 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである。 4 当審における令和5年5月9日付け取消理由(要旨) 当審において、本件商標権者に対し、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するから、同法第43条の3第2項の規定に基づいて取り消すべきである旨を通知し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えた。 5 上記通知における本件商標権者の意見 商標権者は、上記4の取消理由に対し、なんら意見を述べていない。 6 当審の判断 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標と引用商標の類否 ア 本件商標について 本件商標は、上記1のとおり、「DROP」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は「しずく」(出典:大修館書店「ジーニアス英和辞典 第5版」)を意味する基本的な英単語であり、我が国において親しまれたものであるから、その構成に応じて「ドロップ」の称呼が生じ、「しずく」の観念が生じる。 イ 引用商標について 引用商標は、別掲2のとおり、「THE DROP」の文字を表してなるところ、「THE」の文字は、以下に述べるとおり英語の定冠詞であり、「DROP」の文字は、前記アのとおり、「しずく」を意味する英単語である。 そして、引用商標の構成は、「THE」と「DROP」の間にスペースがあり、「THE」の文字と「DROP」の文字は共に中学校において学習する程度の基本的な英語であって、両語ともに我が国において親しまれているものであるから、引用商標は「THE」と「DROP」の2語からなるものと認識されるものである。 また、引用商標の構成中「THE」の部分は、その代表的語義が「その、この、あの、例の」(出典:同上)であるように、次に続く名詞中の特定のものを限定する機能を有する定冠詞であり、日本語には訳さないことが多いとされているように、例えば、「BLUE」(青い)や「COLD」(冷たい)などのような、次に続く名詞を形容する語と比べると、次に続く名詞に対する限定性は弱い語である。そして、「THE」の語が基本的な英語であり、我が国において親しまれているものであって、引用商標の構成中「DROP」の文字に対する「THE」の部分が有する限定性は弱く、同部分の自他商品の識別機能は弱いといえるから、引用商標に接する取引者、需要者が、「THE DROP」のうち「DROP」の部分のみに着目することは十分あり得るといえる。 そうすると、引用商標からは、その構成に応じて「ザドロップ」の称呼及び「そのしずく」の観念が生じるが、構成中の「DROP」の文字に相応して、単に「ドロップ」の称呼及び「しずく」の観念も生じるというのが相当である。 ウ 本件商標と引用商標の比較 本件商標と引用商標構成中の「DROP」を比較すると、書体に相違はあるものの、いずれも「DROP」の文字を表したものであるから、外観において紛れるおそれがあり、「ドロップ」の称呼及び「しずく」の観念を共通にするものである。 そうすると、本件商標と引用商標は、外観において紛れるおそれがあり、称呼及び観念を共通にするものであるから、同一又は類似の商品又は役務について使用するときは、出所の混同を生じるおそれがある類似する商標といえる。 (2)本件商標の指定役務と引用商標の指定商品の類否 商品の製造・販売とその商品の小売等役務の提供が、同一事業者によって行われることは一般的なことであり、商品の販売場所と役務の提供場所が一致し、需要者の範囲が一致することからすると、本件商標の指定役務中「家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と、引用商標の指定商品「Furniture.」(仮訳:家具)は、類似する役務及び商品である。 (3)まとめ 以上のとおり、本件商標は、その指定役務中、第35類「家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について、商標法第4条第1項第11号に該当し、その登録は、同条第1項の規定に違反してされたものと認められるから、申立人のその余の申立理由について検討するまでもなく、同法第43条の3第2項の規定により、結論掲記の指定役務について、その登録を取り消すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-900306

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