商標異議申立
2022-900304
ビイカンパニー
- 審判番号
- 2022-900304
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2021-134689
- 登録番号
- 6557594
- 請求日
- 2022年07月22日
- 審決日
- 2023年05月11日
- 公報発行日
- 2023年06月30日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社B-COMPANY
- 【異議申立人】チサルファ スポルト エス.ピー.アー
- 【異議申立人代理人】田中 克郎
- 【異議申立人代理人】稲葉 良幸
- 【異議申立人代理人】佐藤 俊司
- 【異議申立人代理人】山口 現
- 審判長/審判官
- 審判長 旦 克昌
- 審判官 小林 裕子
- 審判官 綾 郁奈子
- 分類
- T1651.261-Y (W202535) / T1651.262-Y (W202535) / T1651.263-Y (W202535) / T1651.271-Y (W202535)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号商標法4条1項15号商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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登録第6557594号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6557594号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第6557594号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおり、「B-COMPANY」の文字を、「B」の文字を他の文字の4倍程度の大きさで太く表してなり、令和3年10月18日に登録出願、同4年4月11日に登録査定、第20類、第25類及び第35類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年5月18日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する国際登録第1412727号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおり、「Best Company」の文字を筆記体で二段に表し、上段の「Best」の文字の右横に横長の太線及び木を表した図形を配してなり、平成29年12月14日に登録出願、第9類、第18類、第25類及び第35類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和元年11月29日に設定登録されたものであり、その商標権は現に有効に存続しているものである。
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当し、商標登録を受けることができないものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第25号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標について
本件商標は、太く大きな書体で字「B」を強調した「B-COMPANY」の欧文字よりなる。ここで、英単語の「Best」は、以下の例に見られるように、しばしば「B」の欧文字1文字に略されて使用されている。
・「BFF」は「Best friends forever」の略語
「BFFインターネット略=Best friends forver 永遠の大親友//ずっ友」(甲5)、「BFF:best friend forever「いつまでも親友」【使用例】We’ll be BFF.私たちずっと大親友」(甲6)
・「BR」は「Best regards,」の略語
「“Best regards(Brと略す方もいます)」(甲7)、「『海外支社からのメールで最後に”Br”をよく見るんだけど、どういう意味?』友人からこんな質問をされました。これは、メールの最後、名前の前に入れる“Best Regards,”の略です。」(甲8)
・「ATB」は「All Time Best」の略語
「先月の終わり頃に、Twitter上で『#ATBプログレアルバム』タグによる、プログレ・アルバムのオールタイム・ベスト投票企画がありました。」(甲9)、「ALL-TIME BEST~LUNCH TIME POWER MUSIC~(月-水)11:30~13:00リアルタイムにこだわった新旧・洋邦ベストMIXのラジオ番組。音楽が鳴り止まない90分の生放送!◎ハッシュタグ「#ATB」」(甲10)
よって、本件商標の「B」部分も、「BEST」の略語であるといえ、本件商標全体の「B-COMPANY」からは、「ベストカンパニー」の称呼が生じ、「BEST」は「最高の」という意味の英単語であり、「COMPANY」は「会社」という意味の英単語としてわが国でも一般に知られているから、本件商標全体からは「最高の会社」という観念が生じる。
イ 引用商標について
引用商標は、上部に筆記体風の「Best」の文字と、地面から木が生えたような図形を配し下部に筆記体風の「Company」の文字を配した構成よりなり、「Best」は「最高の」という意味の英単語であり、「Company」は、「会社」という意味の英単語である。引用商標の文字部分は全て筆記体の同一書体で統一されており同一の大きさであるので、一体不可分であると考えられ、引用商標全体からは「ベストカンパニー」の称呼が生じ、「最高の会社」という観念が生じ得る。
ウ 本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標を対比すると、本件商標と引用商標の「ベストカンパニー」の称呼及び「最高の会社」の観念においても同一であり、外観・称呼・観念の3要素のうち、2要素において、同一であるので、本件商標と引用商標は類似しているといえる。
エ 本件商標に係る指定商品及び指定役務と引用商標に係る指定役務の類否について
本件商標に係る一部の指定商品及び指定役務は、引用商標に係る一部の指定商品及び指定役務と類似している。
オ 小括
よって、本件商標は、引用商標と類似する商標であり、本件商標の指定商品及び指定役務は、引用商標に係る指定商品及び指定役務と同一又は類似である。
さらに、引用商標は、本件商標の令和3年10月18日の出願日前に国際登録されているので、本件商標は引用商標の後願にかかる商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するというべきであり、本件商標は、これに違反して登録されたものであることは明らかである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 本件商標と引用商標との類似性の程度
上述の通り、本件商標と引用商標は、「ベストカンパニー」の称呼及び「最高の会社」の観念において同一であるので、類似性の程度は高いといえる。
イ 引用商標の周知著名性及び独創性について
申立人は、1977年に設立されたイタリアの主にスポーツ用品のe-コマース販売を行う会社であり(甲12)、BestCompanyは、1982年に誕生した申立人の傘下にある洋服ブランドである(甲13)。
BestCompanyは、1980年代にイタリアにおいて一世を風靡し、当時ミラノの裕福な家庭の青年達が愛用し、イギリスのポップデュオペットショップボーイズの「PANINARO」という歌で世界中に波及した「パニナリ」というファッションスタイルの象徴的ブランドである(甲14)。「パニナリ」とは、暖かな日には鮮やかなトップス、冬の日にはボリューミーなスポーツジャケットを一張羅とし、淡いブルージーンズとホワイトジーンズを着こなすイタリアのブランドにアメリカンカジュアルをミックスしたようなファッションスタイルである(甲15)。
このBestCompanyのパニナリのファッションスタイルは、現在でも、「“パニナリ”とは、80年代にイタリア・ミラノのパニーニ屋に集う若者たちから生まれたカジュアルムーブメント。スタイル的にはイタリアのブランドにアメカジをミックスした感じ。代表的ブランドは<ベストカンパニー>。詳細はやっぱり最新号を見てほしいけど、今これを古着で探すといいと思うんだ。」(甲16)や、甲第17号証、甲第19号証のとおり、日本のファッション雑誌の記事で取り上げられるほど浸透しているといえる。
申立人はソーシャルネットワークサービスにおいても、自社製品の宣伝紹介を積極的に行っており、申立人のFacebookのフォロワー数は28,016人であり(甲20)、投稿動画の最大再生回数は13.8万回である(甲21)。また、申立人のInstagramのフォロワー数は、約1万人であり(甲22)、投稿動画の最大再生回数は3,965回である。
上述のとおり、申立人は、洋服ブランドBestCompanyを運営している会社であり、引用商標は、同ブランドのロゴとして、全世界で約40年間使用されており、遅くとも、本件商標の出願時までには、日本国内においても周知・著名な商標となっていたというべきである。
引用商標は、洋服ブランドBestCompanyのロゴとして周知・著名であり、「Best」は「最高の」、「Company」は「会社」の意を有する既成語であって、造語商標ほどの独創性があるとまではいえないとしても、申立人の商標として周知・著名であり、しかも、引用商標の指定商品及び指定役務との関係で何ら直接的に商品の品質等の内容を表示するものではなく、このような文字を採択すること自体、高い自他商品役務識別力を有しているのであり、十分に独創的であるといえる。
ウ 本件商標の指定商品及び指定役務と引用商標の指定商品及び指定役務との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品・役務の取引者及び需要者の共通性
本件商標の第20類の指定商品「クッション,座布団,まくら,マットレス,うちわ,扇子」、第25類の指定商品「被服,ガーター,靴下留め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊靴,運動用特殊衣服」、第35類の指定役務「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」などは、洋服ブランドの店舗及び通信販売において取り扱われうる商品・提供される役務である。
一方で、引用商標の第9類の指定商品「サングラス,眼鏡,眼鏡の部品及び附属品,眼鏡用ケース・ひも及び鎖」、第18類の指定商品「旅行かばん,小型ケース,トランク,革製品としてのキーケース,札入れ及び小袋,書類かばん」など、第25類の指定商品「カジュアルウエア,運動用特殊衣服,下着,履物及び運動用特殊靴」など、第35類の指定役務「被服,履物,帽子,ベルト,旅行かばん,バックパック,バッグ,運動用大型かばん,運動用具用に作られたバッグ,織物製品,ベッド用リネン製品及び毛布の小売又は卸売の業務において行なわれる顧客に対する便益の提供」なども、洋服ブランドの店舗及び通信販売において取り扱われうる商品・提供される役務である。
したがって、本件商標の指定商品及び指定役務と、引用商標の指定商品及び指定役務は、洋服ブランドの店舗及び通信販売において取り扱われうる商品・提供される役務であるので、商品の販売と役務の提供が同一事業者によって一般的に行われているものであり、商品の販売場所と役務の提供場所、需要者の範囲が一致することから、互いの関連性の程度は高く、商品・役務の取引者及び需要者の共通性があるものといえる。
エ 本件商標が、申立人が運営する洋服ブランドBestCompanyに係る商品・役務と混同を生ずるおそれがある商標であると認めるべきその他取引の実情
商標権者は、インテリア雑貨・家具の製造販売する会社であり(甲23)、本件商標を商標権者の名称、運営する店舗「B-COMPANY」のロゴに使用している事実がある(甲24)。インテリア雑貨・家具と洋服は、ファッション性やデザイン性を追求する需要者においては親和性の高いものであり、実際に、商標権者が運営する店舗「B-COMPANY」がテナントとして入るデパートの同じフロアに、別の洋服屋がテナントとして入っているケースも見受けられる(甲25)。
したがって、需要者は、商標権者が申立人から、あたかも商品の販売・役務の提供の許諾を受けていると誤認するおそれがあるといえ、本件商標がその指定商品及び指定役務について使用された場合には、それらの商品又は役務があたかも申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品又は役務であると、その商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。
オ 小括
本件商標は、引用商標と「ベストカンパニー」の称呼及び「最高の会社」の観念において同一であるので、引用商標と高い類似性を有すること、引用商標は、申立人が運営する洋服ブランドBestCompanyのロゴを表すものとして周知著名な商標であること、本件商標の指定商品及び指定役務は、引用商標が周知著名性を獲得した商品及び役務と関連性が高いものであり、需要者の範囲も一致するものであることから、本件商標は取引者・需要者にとって引用商標と極めて強い関連性を持って認識されること、さらには、商標権者が、本件商標をその指定商品及び指定役務に使用するときは、これに接する取引者・需要者は、引用商標に係る商品及び役務を想起・連想し、あたかも申立人が取り扱う業務に係る役務であるかの如く認識して取引にあたると考えられるため、その出所について混同を生ずるおそれがあることは明白であるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。
4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、申立人は、1977年に設立されたイタリアのスポーツ用品のe-コマース販売を行う会社であり(甲12)、BestCompanyは、1982年に誕生した申立人の傘下にある洋服ブランドである(甲13)。また、BestCompanyは、1980年代にイタリアにおいて一世を風靡し、「パニナリ」というファッションスタイルの象徴的ブランドであり(甲14~甲19)、日本の雑誌のTwitterなどで、当該ブランドへ言及するものがある(甲16、甲18)。
また、申立人は、ソーシャルネットワークサービスにおいても、自社製品の宣伝紹介を積極的に行っていると主張し、Facebookのフォロワー数は28,013人(甲20)、投稿動画の最大再生回数は13.8万回(甲21)、Instagramのフォロワー数は、約1万人(甲22)、投稿動画の最大再生回数は3,965回であると主張している。
しかしながら、引用商標が、BestCompanyのブランドのロゴとして、全世界で約40年間使用されているとしても、当審における職権調査によれば、我が国においてオンライン店舗や実店舗を有していることが確認できず、日本の雑誌に取り上げられたといっても、Twitterやオンライン記事の2件程度の証左しか確認できない。また、申立人のFacebookやInstagramも、記事内容は英語で書かれたものである上、フォロワー数に我が国の取引者、需要者がどの程度含まれているのかも明らかではない。
その他、我が国における引用商標の使用態様及び使用数量(生産数、販売数等)、並びに広告宣伝の方法、期間、地域及び規模等を示す主張、証左もないことから、申立人が提出した証拠からは、引用商標が、本件商標の登録出願の日前ないし登録査定時において、申立人の業務に係る商品及び役務であることを表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標について
本件商標は、上記1のとおり「B-COMPANY」の文字を「B」の文字を他の文字の4倍程度の大きさで太く表してなり、当該文字に相応して「ビーカンパニー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
なお、申立人は、「Best friends forever」が「BFF」、「Best regards,」が「BR」、「All Time Best」は「ATB」と略される例のように、本件商標構成中の「B」の文字も「Best」の略であるといえるから、本件商標から「ベストカンパニー」の称呼が生じ、「Best」は「最高の」の意味を有し、「COMPANY」は「会社」の意味を有するから、「最高の会社」の観念が生じると主張している。
しかしながら、上記の略が我が国の取引者、需要者において親しまれたものであるとは認められないことに加え、例えば「BFF」は、「B」と「FF」が結合して、初めて「Best friends forever」の略であると理解できるのであって、「B」の文字単体が、常に「Best」の略であると理解されるものではないから、本件商標である「B-Company」の「B」が、「Best」の略であると認めることはできない。
イ 引用商標について
引用商標は、上記2のとおり、「Best Company」の文字を筆記体で二段に表し、上段の「Best」の文字の右横に横長の太線及び木を表した図形を配してなり、当該文字に相応して、「ベストカンパニー」の称呼を生じ、「Best」は「最高の」など(出典:ジーニアス英和辞典 第5版)の意味を有し、「COMPANY」は「会社」など(出典:同上)の意味を有するから、「最高の会社」の観念が生じる。
ウ 本件商標と引用商標の類否について
本件商標と引用商標の類否を検討すると、本件商標は、「B-COMPANY」の文字を「B」の文字を他の文字の4倍程度の大きさで太く表してなり、引用商標は、「Best Company」の文字を筆記体で二段に表し、上段の「Best」の文字の右横に横長の太線及び木を表した図形を配してなるものであるから、文字の大きさ、文字数、書体、ハイフンの有無、図形の有無、一段か二段かの相違から、外観において、明瞭に区別し得るものである。
次に、本件商標から生じる「ビーカンパニー」の称呼と、引用商標から生じる「ベストカンパニー」の称呼を比較すると、両称呼は、語頭において、「ビー」と「ベスト」の音の差異を有することから、明瞭に聴別することができるものである。
さらに、観念においては、本件商標からは特定の観念は生じない一方、引用商標からは「最高の会社」の観念が生じるものであるから、両商標は、観念上紛れるおそれはない。
そうすると、両商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標である。
その他、両商標が類似するというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標の指定商品及び指定役務と引用商標の指定商品及び指定役務とが、同一又は類似であるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
前記(1)のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品及び役務であることを表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、前記(2)のとおり、本件商標は、引用商標と外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、類似性の程度は低いものである。
そうすると、本件商標は、本件商標権者がその指定商品及び指定役務について使用しても、取引者、需要者に引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品及び役務が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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