商標異議申立
2022-900293
ティーガートレード、タイガートレード
- 審判番号
- 2022-900293
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2021-137191
- 登録番号
- 6554470
- 請求日
- 2022年07月19日
- 審決日
- 2023年05月09日
- 公報発行日
- 2023年06月30日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】ティーガー トレード キャピタル アーゲー
- 【権利者代理人】城山 康文
- 【権利者代理人】岩瀬 吉和
- 【権利者代理人】横川 聡子
- 【権利者代理人】大島 良太
- 【異議申立人】タイガー フィンテック (シンガポール) ピーティーイー エルティーディー
- 【異議申立人代理人】田中 克郎
- 【異議申立人代理人】佐藤 俊司
- 【異議申立人代理人】山口 現
- 【異議申立人代理人】村瀬 純一
- 審判長/審判官
- 審判長 旦 克昌
- 審判官 小林 裕子
- 審判官 綾 郁奈子
- 分類
- T1651.261-Y (W09363842) / T1651.262-Y (W09363842) / T1651.263-Y (W09363842) / T1651.271-Y (W09363842)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号商標法4条1項15号商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
登録第6554470号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6554470号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第6554470号商標(以下「本件商標」という。)は、「TIGER TRADE」の文字を、標準文字で表してなり、令和3年11月4日に登録出願、同4年4月13日に登録査定、第9類、第36類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年5月11日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第6297175号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおり、円で囲んだ虎の尻尾とおぼしき図形の右に「老虎證券」(「虎」の漢字は、足の部分に横線がある。以下同じ。)の文字を表し、その下に小さく「TIGER BROKERS」の文字を表してなり、令和元年9月2日に登録出願、第36類「財務に関する助言,有価証券及び先物取引の媒介・取次ぎ又は代理,株式の売買の媒介・取次ぎ又は代理,株式市況に関する情報の提供,株式及び債券の売買の媒介・取次ぎ又は代理,投資」を指定役務として、同2年9月28日に設定登録されたものであり、その商標権は現に有効に存続しているものである。
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当し、商標登録を受けることができないものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第25号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標について
本件商標は、欧文字の標準文字で「TIGER TRADE」を配した構成よりなり、「TIGER」は「虎」という意味の英単語であり(甲6)、「TRADE」は、「取引」という意味の英単語である(甲7)。
実際に、甲第8号証及び甲第9号証のとおり、「TRADE(トレード)」は、「(株式・金融商品等の)取引」という意味合いで、金融・証券用語集に多数掲載されている。
さらに、甲第10号証ないし甲第13号証のとおり、金融・証券の分野において、「TRADE(トレード)」は、一般的に「取引」という意味合いで使用されている事実が多数確認される。
以上のとおり、本件商標の「TRADE」部分は、「(株式・金融商品等の)取引」という意味を有するといえるから、本件商標の第9類の金融・投資関係のコンピュータソフトウェア関係の商品、第36類の金融・財務に関する役務、第38類の金融財務情報を有するオンラインサイトヘの接続用回線の提供関係の役務、第42類の金融財務関係のコンピュータソフトウェアの設計・開発関係の役務との関係において、商品の品質・役務の質(内容)を直接表示するものであり、自他商品役務識別力が弱い部分であるといえる。
また、過去の特許庁の審査において、第36類を指定役務としている商標「トレード」(商願2000-017387)(甲14)、「FXTRADE」(商願2007-060698)(甲15)、「V-TRADE」(国際登録第0929476号)(甲16)は自他役務識別力が欠如しているとして拒絶査定となっている。
したがって、本件商標の「TRADE」部分は自他商品役務識別力が弱いといえるから、「TRADE」部分は、東京高裁判決(甲4)で述べるところの「商品識別機能を有するとは認められないような付記や付飾部分」というべきであり、「これを除いた部分を要部として特定し」、本件商標の要部は、「虎」の意味を有する英単語である「TIGER」部分であるといえ、当該要部から、「タイガー」の称呼が生じるというべきである。
イ 引用商標について
引用商標は、左側に円図形の中に動物の尻尾のような図形が描かれたものを配し、右側に漢字の「老虎證券」の文字とその下に「TIGER BROKERS」の文字を配した構成よりなり、「TIGER」は「虎」という意味の英単語であり、「BROKERS」は、「株式仲買人[ブローカー]、証券会社」という意味の英単語「BROKER」の複数形である(甲17)。
よって、引用商標の「BROKERS」部分は、引用商標の第36類の株式・金融・財務に関する役務の質(内容)を直接表示するものであり、自他役務識別力が弱い部分であるといえる。したがって、「BROKERS」部分は、東京高裁判決(甲4)で述べるところの「商品識別機能を有するとは認められないような付記や付飾部分」というべきであり、「これを除いた部分を要部として特定し」、引用商標の要部は、虎の意味を有する英単語である「TIGER」部分であるといえ、当該要部から、「タイガー」の称呼が生じというべきである。
さらに、以下商標法第4条第1項15号の項で述べるとおり、申立人は、アプリケーションである「TIGER BROKERS」を運営している会社であり、引用商標は、同アプリケーションのロゴに使用される商標として周知著名であることから、その周知著名性をうけて、引用商標に接する需要者・取引者にとっては、おのずと、「TIGER」部分が強く記憶に残り、該部分が、引用商標の要部として認識されるものと思料する。したがって、引用商標の構成中「BROKERS」の文字部分からは、自他商品役務識別標識としての独立した称呼や観念は生じず、専らそれ以外の部分すなわち「TIGER」の文字部分が本件類否判断の対象となる要部というべきであるといえる。
ウ 本件商標と引用商標との類否について
本件商標の要部と引用商標の要部を対比すると、本件商標の要部「TIGER」と引用商標の要部「TIGER」は、同一の欧文字の綴りであり、外観において類似であるといえ、「タイガー」の称呼及び「虎」の観念においても同一であるので、本件商標と引用商標は類似しているといえる。
エ 本件商標に係る指定商品及び指定役務と引用商標に係る指定役務の類否について
本件商標に係る第36類の全指定役務と引用商標に係る第36類の全指定役務は、同一又は類似している。
オ 小括
よって、本件商標は、引用商標と類似する商標であり、本件商標の第36類の指定役務は、引用商標に係る第36類の指定役務と同一又は類似である。
さらに、引用商標は、本件商標の令和1(2019)年9月2日の出願日前に出願されているので、本件商標は引用商標の後願にかかる商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するというべきであり、本件商標は、これに違反して登録されたものであることは明らかである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 本件商標と引用商標との類似性の程度
上述のとおり周知著名な引用商標の要部「TIGER」と本件商標の要部「TIGER」は、同一の欧文字の綴りであり、外観において同一であるといえ、「タイガー」の称呼及び「虎」の観念においても同一であるので、類似性の程度は高いといえる。
イ 引用商標の周知著名性及び独創性について
申立人は、2014年にオンライン株式取引プラットフォームを設立し、2016年に香港株式仲介サービスを開始した株式取引用アプリケーション「TIGER BROKERS」を運営している会社である(甲19)。
株式取引用アプリケーション「TIGER BROKERS」は、次世代テクノロジ一を使用して、顧客が複数のグローバル市場と通貨にわたって幅広い証券と取引することを実現し、「TIGER BROKERS」の顧客は、「TIGER BROKERS」のアプリケーションソフトウェアを使用して、米国、香港、シンガポール、オーストラリアの株式、先物、オプション、ファンドを取引できるようになっている(甲20)。
「TIGER BROKERS」は、シンガポール、ニューヨーク、北京、オークランド、シドニーにオフィスを構え、800人以上の従業員を擁し、現在、シンガポール、米国、ニュージーランド、オーストラリアで証券会社のライセンスを保持している。2019年3月、「TIGER BROKERS」はNASDAQに上場した(甲20)。
「TIGER BROKERS」は、170万以上の口座数を保有し、年間取引金額は、2191億USドル以上を誇る(甲20)。
中国人投資家向けの米国株式取扱シェアは58.4%に達したと報じられている(甲21)。
上述のとおり、申立人は、株式取引用アプリケーション「TIGER BROKERS」を運営している会社であり、引用商標は、同アプリケーションのロゴとして、全世界で約6年間使用されており、遅くとも、本件商標の出願時までには、日本国内においても周知・著名な商標となっていたというべきである。
引用商標に係る「TIGER」は、株式取引用アプリケーション「TIGER BROKERS」の名称として周知・著名であり、「TIGER」は、「虎」の意を有する既成語であって、造語商標ほどの独創性があるとまではいえないとしても、申立人の商標として周知・著名であり、しかも、引用商標の指定商品及び指定役務との関係で何ら直接的に商品の品質等の内容を表示するものではなく、このような文字を採択すること自体、高い自他商品役務識別力を有しているのであり、十分に独創的であるといえる。
ウ 本件商標の指定商品及び指定役務と引用商標の指定役務との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品・役務の取引者及び需要者の共通性
本件商標の第9類の指定商品「財務管理用コンピュータソフトウェア,投資管理用コンピュータソフトウェア」など、第36類の指定役務「金融・財務に関する指導・助言及びこれに関する情報の提供,金融・財務の評価並びにこれに関する指導・助言及び情報の提供」など、第38類の指定役務「ユーザーのための電子株式取引プラットフォーム及び電子金融市場への接続用回線の提供,ユーザーのための金融財務情報を有するオンラインサイトヘの接続用回線の提供」及び、第42類の指定役務「オンライン及び電子的な金融財務サービスのためのコンピュータソフトウェアの設計・開発・実装,財政投資用のオンラインによるアプリケーションソフトウェアの提供(SaaS)」などは、株式・金融又は財務にかかる役務である。
一方で、引用商標の第36類の指定役務「財務に関する助言,有価証券及び先物取引の媒介・取次ぎ又は代理,株式の売買の媒介・取次ぎ又は代理,株式市況に関する情報の提供,株式及び債券の売買の媒介・取次ぎ又は代理,投資」もすべて株式・金融又は財務にかかる役務である。
したがって、本件商標の指定商品及び指定役務と、引用商標の指定役務は、株式・金融又は財務関係のものであるので、性質、用途又は目的における関連性の程度は高く、商品・役務の取引者及び需要者の共通性はあるといえる。
エ 本件商標が、申立人のグループ会社のUPFintechHoldingが運営する業務に係る証券会社「TIGER BROKERS」に係る役務と混同を生ずるおそれがある商標であると認めるべきその他取引の実情
商標権者は、証券取引用のコンピュータソフトウェアアプリケーション・コンピュータソフトウェアを提供する会社であり(甲22)、本件商標を商標権者の名称、証券取引用のコンピュータソフトウェアアプリケーション・コンピュータソフトウェアに使用している事実がある(甲23~25)。よって、商標権者は、申立人のグループ会社のUPFintechHoldingが運営する業務に係る証券会社「TIGER BROKERS」とは、株式・金融・財務に関して、同業種であるといえ、商標権者が引用商標に係る「TIGER」の周知著名性を知らないはずはなく、本件商標は、申立人の「TIGER」の周知著名性を承知の上で登録出願したものであって、「TIGER」の周知著名性へのただ乗り(いわゆるフリーライド)や希釈化(いわゆるダイリューション)を意図したものであると合理的に推認することができる。なお、商標権者は、商標権者とは何ら資本関係、事業提携その他一切の関係性がなく、本件商標の使用について許諾を得た者でもない。
商標法第4条第1項第15号は、周知表示又は著名表示へのただ乗り(いわゆるフリーライド)及び当該表示の希釈化(いわゆるダイリュージョン)を防止し、商標の自他商品識別機能を保護することによって、商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り、需要者の利益を保護することを目的とするものである(平成12年7月11日最高裁第三小法廷判決平成10年(行ヒ)第85号審決取消請求事件、甲18)ところ、本件商標に同号を適用することは、同号の趣旨にも合致するものである。
したがって、需要者は、商標権者が「TIGER BROKERS」から、あたかも商品の販売・役務の提供の許諾を受けていると誤認するおそれがあるといえ、「TIGER」を含む本件商標がその指定商品及び指定役務について使用された場合には、それらの商品又は役務が恰も申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。
オ 小括
本件商標の要部は、引用商標の要部と同一の「TIGER」の文字からなる商標として、引用商標と高い類似性を有すること、引用商標は、申立人が運営する株式取引用アプリケーション「TIGER BROKERS」のロゴを表すものとして周知著名な商標であること、本件商標の指定商品及び指定役務は、引用商標が周知著名性を獲得した役務と関連性が高いものであり、需要者の範囲も一致するものであることから、本件商標は取引者・需要者にとって引用商標と極めて強い関連性を持って認識されること、さらには、商標権者が、本件商標をその指定商品及び指定役務に使用するときは、これに接する取引者・需要者は、引用商標に係る役務を想起・連想し、あたかも申立人が取り扱う業務に係る役務であるかの如く認識して取引にあたると考えられるため、その出所について混同を生ずるおそれがあることは明白であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
申立人提出の甲各号証によれば、申立人は2014年に設立され(甲20)、同人の主張によれば、2016年から株式取引用アプリケーション「TIGER BROKERS」を運営している。
申立人の「TIGER BROKERS」は、顧客が複数のグローバル市場と通貨にわたり幅広い証券を取引することを実現し、顧客は「TIGER BROKERS」を使用して、米国、香港、シンガポール、オーストラリアの株式、先物、オプション、ファンドを取引できる(甲20)。
申立人は、シンガポール、ニューヨーク、北京、オークランド、シドニーにオフィスを構え、800人以上の従業員を擁し、現在、シンガポール、米国、ニュージーランド、オーストラリアで証券会社のライセンスを保持しており、2019年3月、「TIGER BROKERS」はNASDAQに上場した(甲20)。
「TIGER BROKERS」は、170万以上の口座数を保有し、年間取引金額は、2191億USドル以上である(甲20)。
中国人投資家向けの米国株式取扱シェアは58.4%であると報じられている(甲21)。
しかしながら、申立人による「TIGER BROKERS」の使用はわずか6年程度であり、円で囲んだ虎の尻尾とおぼしき図形の右に「老虎證券」の文字を表し、その下に小さく「TIGER BROKERS」の文字を表してなる引用商標の使用については、引用商標とは異なる色彩が施された甲第21号証における不鮮明な使用しか確認できない。
また、顧客は「TIGER BROKERS」を使用して、米国、香港、シンガポール、オーストラリアの株式、先物、オプション、ファンドを取引できるが、我が国のそれを取引できるものではなく、我が国にオフィスもなく、我が国で証券会社のライセンスも保持していない。
さらに、中国人投資家向けの米国株式取扱シェアは、我が国における取引者、需要者の認識を推し量る材料とはならないばかりか、170万以上の口座数や年間取引金額のうち、我が国の取引者、需要者の割合も明らかではない。
その他、我が国における引用商標の使用態様及び使用数量(生産数、販売数等)、並びに広告宣伝の方法、期間、地域及び規模等を示す主張、証左もないことから、申立人が提出した証拠からは、引用商標が、本件商標の登録出願の日前ないし登録査定時において、申立人の業務に係る役務であることを表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標について
本件商標は、上記1のとおり、「TIGER TRADE」の文字を、標準文字で表してなり、その構成中「TRADE」の文字は、「取引」等(出典:「英辞郎on the web」株式会社アルク)の意味を有することから、引用商標の指定役務と同一又は類似である本件商標の第36類の指定役務(「取引」に関連する役務)との関係においては、自他役務の識別標識としての機能が弱いものであり、「TIGER」の文字部分が要部となることがあるといえる。
そうすると、本件商標からは、第36類の役務との関係において、「TIGER」の文字部分に相応して、「タイガー」の称呼が生じるものである。
また、「TIGER」の文字が「虎」(出典:同上)の意味を有することから、第36類の役務との関係において、「TIGER」の文字部分から「虎」の観念が生じるものである。
イ 引用商標について
引用商標は、上記2のとおり、円で囲んだ虎の尻尾とおぼしき図形(以下「図形部分」という。)の右に「老虎證券」の文字を表し、その下に小さく「TIGER BROKERS」の文字を表してなるところ、図形部分、「老虎證券」の文字及び「TIGER BROKERS」の文字は、視覚上、それぞれが分離して看取されるものである。
そして、引用商標の構成中「老虎證券」の文字は、太く大きく顕著に表されていること、文字の持つ本来的な訴求力に鑑みれば、図形部分との比較において、引用商標に接する取引者、需要者に対し、出所識別標識として強く支配的な印象を与える部分であるといえる。
他方、「老虎證券」の文字の下に表された「TIGER BROKERS」の文字は、「老虎證券」の文字の10分の1以下の大きさで表されており、また、「TIGER」の文字が上記アと同様に「虎」の意味を、「BROKERS」の文字が「証券会社」(出典:同上)の複数形等の意味を有するものであるところ、その意味合いからしても、「老虎證券」の文字の英訳に近いものであるから、引用商標の構成においては、これに接する取引者、需要者は、顕著に表された「老虎證券」の文字の英訳程度として看取しうる付記的な部分といわざるを得ない。
そうすると、引用商標の要部は「老虎證券」の文字部分といえるから、当該文字部分に相応して、「ロウコショウケン」の称呼が生じ、「老虎」の文字が、それぞれの漢字の意味どおりに「老いた虎」の意味を理解させ、「證券」の文字が「証券」と同様の意味を有するものではあるが、全体として特定の観念を生じるものではない。
ウ 本件商標と引用商標の類否について
本件商標の要部と引用商標の要部の類否を検討すると、本件商標の要部である「TIGER」の文字は標準文字で表されたものであり、引用商標の要部は「老虎證券」の文字であるから、欧文字と漢字という文字種、文字数、書体の相違から、外観において、明瞭に区別し得るものである。
次に、本件商標の要部から生じる「タイガー」の称呼と、引用商標の要部から生じる「ロウコショウケン」の称呼を比較すると、両称呼は、明瞭に聴別することができるものである。
さらに、観念においては、本件商標の要部からは「虎」の観念が生じる一方、引用商標の要部からは特定の観念は生じないから、両商標は、観念上紛れるおそれはない。
そうすると、両商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標である。
その他、両商標が類似するというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標の第36類の指定役務と引用商標の指定役務とが、同一又は類似であるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
上記(1)のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る役務であることを表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、上記(2)のとおり、本件商標は、引用商標と紛れるおそれのない非類似の商標であるから、類似性の程度は低いものである。
そうすると、本件商標は、本件商標権者がその指定商品及び指定役務について使用しても、取引者、需要者に引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品及び役務が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-900293