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商標異議申立

2022-900289

サガシリーズ、サガ、シリーズ

審判番号
2022-900289
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2021-097857
登録番号
6551938
請求日
2022年07月15日
審決日
2023年06月27日
公報発行日
2023年08月25日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】株式会社スクウェア・エニックス
  • 【異議申立人】サガ ファーズ オー ワイ ジェー
  • 【異議申立人代理人】村井 康司
  • 【異議申立人代理人】魯 佳瑛
審判長/審判官
  • 審判長 豊田 純一
  • 審判官 杉本 克治
  • 審判官 岩谷 禎枝
分類
T1652.22 -Y (W18) / T1652.222-Y (W18) / T1652.251-Y (W18) / T1652.252-Y (W18) / T1652.253-Y (W18) / T1652.255-Y (W18)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1号、商標法第4条第1項第19号、商標法第43条の2、商標法第43条の3第4項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

登録第6551938号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6551938号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6551938号商標(以下「本件商標」という)は、別掲1のとおりの構成よりなり、令和3年8月5日に登録出願、第18類「かばん金具,がま口口金,皮革製包装用容器,愛玩動物用被服類,かばん類,袋物,トートバッグ,クラッチバッグ,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,皮革,貴金属製のがま口及び財布,レザークロス,パスケース」並びに第9類、第14類、第16類、第25類、第28類、第35類、第41類及び第42類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同4年3月30日に登録査定され、同年5月6日に設定登録されたものである。 第2 引用商標及び引用標章 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議の申立ての理由に該当するとして引用する登録商標及び標章は、以下の1ないし8のとおりである。 1 登録第801272号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の構成:別掲2のとおり 指定商品:第20類「クッション,座布団,まくら,マットレス」、第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「被服」 登録出願日:昭和42年5月15日 設定登録日:昭和43年12月17日 書換登録日:平成21年6月10日 2 登録第1672623号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の構成:SAGA 指定商品:第18類「ミンク及びその他の動物の毛皮,その他の皮革(革ひもを除く。)」 登録出願日:昭和55年6月6日 設定登録日:昭和59年3月22日 書換登録日:平成17年8月17日 3 登録第2153176号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の構成:別掲3のとおり 指定商品:第18類「毛皮」 登録出願日:昭和62年2月10日 設定登録日:平成元年7月31日 書換登録日:平成22年10月6日 4 国際登録第1141471号商標(以下「引用商標4」という。) 商標の構成:別掲4のとおり 指定商品及び指定役務:別掲5のとおり 国際商標登録出願日:2012年(平成24年)9月19日 設定登録日:平成26年3月14日 5 国際登録第1237626号商標(以下「引用商標5」という。) 商標の構成:SAGA VISION 指定商品及び指定役務:別掲6のとおり 国際商標登録出願日:2014年(平成26年)12月8日 優先権主張:2014年(平成26年)12月5日(EUIPO) 設定登録日:平成28年3月11日 6 国際登録第1126908号商標(以下「引用商標6」という。) 商標の構成:SAGA FURS LUMI ROYAL 指定商品:第18類「Furs, animal skins, hides, leather and imitations of these materials, and goods made from the aforesaid materials or a combination thereof (not included in other classes).」及び第25類「Clothing, footwear, headgear, with or without adornments thereto, including goods made from furs, animal skins, hides, leather or imitations of these materials, or a combination thereof.」 国際商標登録出願日:2012年(平成24年)6月14日 優先権主張:2012年(平成24年)3月21日(EUIPO) 設定登録日:平成25年9月27日 7 国際登録第1127109号商標(以下「引用商標7」という。) 商標の構成:SAGA LUMI ROYAL 指定商品:第18類「Furs, animal skins, hides, leather and imitations of these materials, and goods made from the aforesaid materials or a combination thereof (not included in other classes).」及び第25類「Clothing, footwear, headgear, with or without adornments thereto, including goods made from furs, animal skins, hides, leather or imitations of these materials, or a combination thereof.」 国際商標登録出願日:2012年(平成24年)6月14日 優先権主張:2012年(平成24年)3月21日(EUIPO) 設定登録日:平成26年10月17日 8 申立人が同人の取り扱いに係る高品質の毛皮等の商品(以下「申立人商品」という。)に使用する標章は、「SAGA」の欧文字(以下「引用標章」という。)よりなり、申立人が本件商標の登録出願日より前に日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されていると主張するものである。 なお、引用商標1ないし引用商標7の商標権は、現に有効に存続しているものであり、引用商標1ないし引用商標7をまとめていう場合は、以下「引用商標」という。 また、引用商標と引用標章をまとめていう場合は、以下「申立人商標及び標章」という。 第3 登録異議の申立ての理由(要旨) 申立人は、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第18類「全指定商品」(以下「本件異議申立てに係る指定商品」という。)について、商標法第4条第1項第7号、同項第10号及び同項第19号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第20号証(枝番号を含む。)を提出した。 以下、証拠の表記に当たっては、「甲第〇号証」を「甲〇」のように省略して記載し、枝番号の全てを表示する場合は、枝番号を省略する。 1 引用商標 申立人は、本件商標の「SAGA」部分と同一文字からなる引用商標1、引用商標2及び引用商標3を所有している。 また、申立人は、商標「SAGA」を我が国のみならず、アンドラ、英国、カナダ、チリ、中国、デンマーク、欧州、フィンランド、香港、アイスランド、インド、イスラエル、イタリア、韓国、ノルウェー、ロシア、スウェーデン、スイス、台湾、トルコ及び米国の複数国において商標登録を有している(甲10)。 申立人の商号は、「サガファーズオーワイジェー(SAGA FUR Oyj)」であり、「オーワイジェー(Oyj)」は会社の種類を表すフィンランド語の略で公開有限責任会社を意味する。 つまり、商号の要部は、「SAGA」及び「SAGA FUR」であり、申立人は積極的に商号を使用してきており、業界において同社を表す商号及び商標として認識されている。 また、申立人は、自己を表す「SAGA」のみに限らず、「SAGA」で始まる商標登録(ファミリー商標)を複数有しており、我が国では、引用商標4、引用商標5、引用商標6及び引用商標7を登録している。 我が国以外では「SAGA MINK」、「SAGA FOX」、「SAGA ROYAL」等のファミリー商標を商標登録している(甲11)。 我が国における使用についてみると、楽天市場では、「SAGA 毛皮」というキーワードでは、2,334件がヒットし、マフラー、ストール、ケープ、ジャケットなど多くの商品が抽出され、メルカリでは1,000件以上の商品が抽出され、AUPAYマーケットでは、1,207件が抽出される(甲12)。 このように「毛皮」商品について「SAGA」は、毛皮を販売している企業及び店舗に限らず、広い消費者層が利用するサイトにおいて使用されている商標である。 また、株式会社オンワードホールディングスは、無料で会員登録ができるオンラインサイト において、「SAGA ファー」と表示している。 これは、我が国においても「FUR(ファー)」が「毛皮」の意味を有するものと広く知られており、商品の一般名称として理解されていることから、「SAGA FUR」ではなく、「SAGA ファー」と表示されているものと考えられる。 また、当該サイトの商品説明のうち、素材説明の欄では「SAGA・・フィンランドが設立したミンクとフォックスの毛皮養殖団体「サガ・ファー」。その団体の厳格な品質検査に合格したもののみに与えられるブランドネームが「SAGA」です。」と説明書きがある(甲13)。 「SAGA フォックスの特徴」及び「SAGA ミンクの特徴」として、「サガ(SAGA)とは、デンマーク・ノルウェー・スウェーデン・フィンランドで生産される最高級のミンクとフォックスの品質を保証する登録商標のブランド名です。それら四ヶ国の毛皮生産者団体が集まり、サガ・ミンクとサガ・フォックスの国際的プロモーションをおこなう為に設立された組織でもあります。その団体の厳格な品質検査に合格したフォックスのみに与えられるブランドネーム。更にその中から選びぬかれた最高品質の原皮には「サガ・ロイヤル」の称号が与えられます。」と案内し、「SAGA」ブランドが高品質の商品に付されるブランドであるとともにそのラベル表示を紹介している(甲14)。 そのほかにも、一般社団法人日本毛皮協会、有限会社創美苑が運営する「きもの用語大全」及びエルベート株式会社の各ホームページにおいて、表現は種々異なるが、毛皮を取り扱う業界において「SAGA」は広く知られており、また、高品質な商品に付されるブランドとして複数で紹介されている。 2 申立人について 申立人は、1938年にフィンランドの毛皮動物飼育業者協会がフィンランド共和国ヘルシンキに設立した組織であり、1940年代、フィンランド国内において毛皮のオークションを開催し、1950年代、同国内で初の毛皮の国際オークションを開催し、1953年からは毎年、毛皮の国際コンペティションを開催し、1960年代には、他者に先駆けて、飼料や繁殖に多大な投資を行い、これにより、「SAGA」の毛皮は、知られるようになり、ファッション業界のクリスチャン・ディオールやジーン・ミュアーが関心を持ち、「VOGUE」(1967年5月号)で取り上げられ、各種投資も行い、1960年末には毛皮ブランドとしての名声を確立した。 1970年代には、コンペティションを通じて、新しい世代のデザイナーにインスピレーションを与え、1980年代には、フィンランドに新設したファーセンターで最初のオークションを開催し、1986年には、毛皮会社として初めてヘルシンキ証券取引所に上場し、さらに、1988年、Saga Furs Design Centreがオープンし、中国市場にも参入した。 1990年には、生産者が繁殖動物とその家系を登録するためのツールを開発し、利用を開始し、1990年代後半には自動グレーディングマシンを導入し、Sagaグレーディングシステムの信頼性をさらに向上させ、デザインセンターは、毛皮を使ったホームデコールで最初のイノベーションを起こした。 2000年には、ニューヨークで「Fur Vision」を開催し、デザインセンターのイノベーションと新しい技術を世界のファッション都市に伝え、ニューヨークの成功に続き、ミラノ、パリ及びロンドンで同様のイベントを開催した。 2005年には、申立人がフィンランドの毛皮生産者協会と協力し、毛皮生産に関する画期的な基準を開始し、申立人は衣料品に含まれる素材を原産地まで追跡することを可能とする初のトレーサビリティ・システムを立ち上げた。 2008年には、業界初のCSRポリシーを導入し、国連が提唱する「グローバル・コンパクト」に参加し、2010年代には、アジアにおける重要なマイルストーンを達成し、「Fur Vision Asia」を立ち上げ、2018年には、BIFTPARK Hainingでトレーニングプログラムを開始し、Sagaのファーイノベーションとクラフトマンシップを中国の未来のためのクリエイティブな才能に拡張し、繁殖プログラムSampoは、2013年にSagaエクストラネットからアクセスするウェブベースのツールとしてWebSampoを立ち上げ、ミレニアルレベルに引き上げられた。 Googleを利用し、「SAGAファー」を検索すると、920万件以上の件数が抽出され、その中には、「楽天市場」、「商社の販売サイト」、「メルカリ」等の販売サイトが広く抽出される事情があることから、我が国において毛皮関連では申立人の商品が広く取り扱われていることが分かる(甲15)。 また、「サガフォックス 偽物 見分け方」というキーワード検索すると、申立人の商品の偽物が広く流通していることも明らかであり、引用商標と同一又は類似する商標の登録が認められることにより、さらに市場における混同が生じる機会を生むことになる(甲16)。 なお、申立人は、1年に4回ないし6回程度の国際的なオークションを開催しており、日本企業も参加し、我が国でも、2018年10月25日及び26日、2019年11月5日及び6日、オークションが開催されている(甲17、甲18)。 3 本件商標の商標権者の不正の目的について 申立人(決定注:本件商標の商標権者(以下「本件商標権者」という。)の誤記と認める。)は、同社のホームページにおいて株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス(以下「スクウェア・エニックス・ホールディング社」という。)の100%子会社であることが明示されており(甲19)、また、スクウェア・エニックス・ホールディングス社は、2008年10月1日に持株会社体制へ移行し、ゲーム事業・コンテンツ事業・出版事業などを本件商標権者へ承継しており(甲20)、本件商標権者が承継した事業は、ゲーム事業、コンテンツ事業、出版事業等が中心で、ファッション関係の業務と直接関係する事業ではない。 本件商標は、非常に幅広い区分を指定し、登録出願しているものの、各区分の指定商品の全てについて本件商標を使用する意思があるかどうかは疑わしいことが容易に推認できる。 さらに、自らの事業と直接関係のない商品分野において商標登録する行為は防衛的な手段として取られる場合もあるが、他者の周知・著名商標が存在する場合、その行為には不正目的があり得るとみなしても不自然ではない。 4 商標法第4条第1項第10号該当性について 本件商標と申立人商標及び標章は同一である。 また、本件商標(決定注:申立人商標及び標章の誤記と認める。)は、我が国において「毛皮」及びそれを素材とする被服、帽子等に関連するファッションについて一定の周知度・著名度を取得している。 よって、本件商標を、特に「毛皮」製品又は「毛皮」を素材とする被服等について使用する行為は、商標法第4条第1項第10号に該当する。 5 商標法第4条第1号第19号該当性について 本件商標と申立人商標及び標章は同一である。 また、申立人は、常に企業名の要部である商標「SAGA」を用いて80年以上も国際的に活動をしてきており、特に2010年代からはアジア地域及び我が国においても積極的に活動してきた結果、前述のとおり一定の周知度を取得している。 一方で、本件商標権者の事業がゲームソフト販売及び開発であることを考慮すると、事業として、本件異議申立てに係る指定商品の取扱いは極めて疑わしい。 また、万一、本件異議申立てに係る指定商品に本件商標を使用するといった場合であっても、それは商標としての使用ではなく、1989年にロールプレイングゲームとして販売した「魔界塔士Sa・Ga」に端を発する同社が開発したサガシリーズのゲームに関する情報と相まって使用されるにすぎないことが容易に想像できる。なお、自らの表示「Sa・Ga」を本件商標においては、「SAGA」と表示していることからも申立人商標及び標章と紛らわしい表示となっている。 以上のことから、本件異議申立てに係る指定商品との関係においては、申立人商標及び標章に便乗する不正の目的そのものあり、商標法第4条第1項第19号に該当する。 6 商標法第4条第1号第7号該当について 本件商標が商標法第4条第1項第10号及び同項第19号に該当しない場合であっても、申立人商標及び標章には使用による信用が化体されており、商標法上、保護すべき商標であるから、本件商標の登録は、社会的相当性を欠くものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。 第4 当審の判断 1 申立人商標及び標章の周知著名性について 申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、申立人は、フィンランドの毛皮動物飼育業者協会がフィンランドに設立した組織であり、同組織が品質を保証した「毛皮」について、「SAGA」の名称が使用されていること、我が国をはじめとする複数の外国において「SAGA」や「SAGA」の欧文字を構成中に含む商標登録を有していること、毛皮を販売している企業や店舗、複数のウェブサイトにおいて申立人商品についての紹介や申立人商標及び標章を付した商品が販売されていること、引用標章を付した商品の偽物が流通していること、申立人は年に4ないし6回程度毛皮の国際的なオークションを開催していることは確認できる(甲10~甲18)。 しかしながら、申立人商標及び標章を使用した申立人商品の我が国及び外国における周知性の度合いを客観的に判断するための証拠、例えば、申立人商品の我が国及びノルウェー・スウェーデン・フィンランドにおける販売数、売上高などの販売実績や、市場シェア、宣伝広告費等に関する主張はなく、かつ、その証拠の提出は認められないため、申立人商標及び標章が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人又は申立人商品を表示するものとして、我が国又は外国における需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。 その他、申立人提出の証拠及び同人の主張によっても、申立人商品及びそれに使用されている申立人商標及び標章が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人又は申立人商品を表示するものとして、我が国又は外国における需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。 2 本件商標と申立人商標及び標章の類似性について (1)本件商標について 本件商標は、別掲1のとおり、「SAGA」の欧文字と「SERIES」の欧文字を毛筆体調文字で、上段の「G」の文字の付近から下段の文字をずらした2段に横書きしてなるところ、「SAGA」の欧文字と「SERIES」の欧文字とは、構成全体として、外観上まとまりのよい一体的な構成よりなる商標として看取されるものである。 また、本件商標の構成全体より生じる「サガシリーズ」又は「サーガシリーズ」の称呼は、よどみなく一連に称呼し得るものである。 さらに、一般に広く使用されている我が国の代表的な国語辞典の一つである「広辞苑 第7版」(株式会社岩波書店発行)には、「サガ」に対応する見出し語として、「サガ【Saga ノルウェー】(「サーガ」とも)」、「さが」、「さが【相・性】」、「さが【祥】」、「さが【佐賀】」、「さが【嵯峨】」があり、これらの読みを欧文字表記した「SAGA」の文字は、各意味合いを生じ得るものの、そのうちの「佐賀」及び「嵯峨」は、それぞれ、「(1)九州地方の北西部を占める県。(2)佐賀県東部の市。県庁所在地。」及び「京都市の北西隅、右京区の地名。」という、我が国の県名の一、県庁所在地の一、あるいは京都の有名な観光地を意味する語として、本件商標の登録査定時前から、広く一般に知られているものである。 そして、佐賀県(市)のことを「SAGA」と表して、当該県(市)の物産品、農産物や文化等に関する情報が紹介されていたり、本件商標の指定商品中に包含される商品である「財布、バッグ、和傘」等の商品が、京都内の有名な観光地の一つである「嵯峨」において販売されていたりすることから、本件商標の構成中の「SAGA」の欧文字からは「佐賀」又は「嵯峨」という「地名」を連想、想起させる蓋然性が高いというべきである。 また、「サーガ」は「(物語の意)中世北欧の散文物語の総称。転じて、一族・一門を歴史的に描いた大河小説をいう。」の意味(前掲書)を有するところ、我が国において当該意味合いをもって一般に親しまれた語とはいえず、これに接する取引者、需要者が、直ちに特定の意味合いを理解するとはいい難いことから、「サーガ」の称呼よりは特定の観念は生じないというべきである。そして、本件商標の構成中の「SERIES」の欧文字は、「(連続・系列の意)連続性を持つ一連のもの。」の意味(前掲書)を有するところ、本件商標の構成全体として本件商標の指定商品の品質又は指定役務の質等を表示するなど、自他商品又は自他役務の識別標識としての機能を有さないものと判断するべき特別な事情はない。 そうすると、本件商標は、その構成文字全体に相応した「サガシリーズ」又は「サーガシリーズ」の称呼が生じ得るところ、「サガシリーズ」の称呼よりは「佐賀のシリーズ」又は「嵯峨のシリーズ」といった観念が生じ、「サーガシリーズ」の称呼よりは特定の観念は生じないと判断するのが相当である。 (2)申立人商標及び標章について ア 引用商標1について 引用商標1は、上記第2の1のとおり、「SAGA」の欧文字と「サーガ」の片仮名を2段に横書きしてなり、下段の片仮名は上段の読みを表したものと解されることから、その構成文字に相応して、「サーガ」の称呼が生じ、上記(1)のとおり、これよりは特定の観念は生じないものである。 イ 引用商標2について 引用商標2は、上記第2の2のとおり、「SAGA」の欧文字を横書きしてなるから、その構成文字に相応して、「サガ」又は「サーガ」の称呼が生じ得るところ、上記(1)のとおり、「サガ」の称呼よりは「佐賀」又は「嵯峨」の観念が生じ、「サーガ」の称呼よりは特定の観念は生じないものである。 ウ 引用商標3について 引用商標3は、上記第2の3のとおり、外枠を灰色で縁取りされた黒色の正方形内に白抜きで「SAGA」の欧文字と「FURS」の欧文字とを、白抜きの横線を介して2段に書した構成よりなるから、その構成文字に相応して、「サガファーズ」又は「サーガファーズ」の称呼が生じ得るところ、上記(1)のとおり、「サガファーズ」の称呼よりは「佐賀の毛皮」又は「嵯峨の毛皮」ほどの観念が生じ、「サーガファーズ」の称呼よりは特定の観念は生じないものである。 エ 引用商標4について 引用商標4は、上記第2の4のとおり、「sagafurs」の欧文字を横書きしてなる(「saga」の欧文字は、「furs」の欧文字より太字で書してなる。)から、その構成文字に相応して、「サガファーズ」又は「サーガファーズ」の称呼が生じ得るところ、上記(1)のとおり、「サガファーズ」の称呼よりは「佐賀の毛皮」又は「嵯峨の毛皮」ほどの観念が生じ、「サーガファーズ」の称呼よりは特定の観念は生じないものである。 オ 引用商標5について 引用商標5は、上記第2の5のとおり、「SAGA VISION」の欧文字を横書きしてなるから、その構成文字に相応して、「サガビジョン」又は「サーガビジョン」の称呼が生じ得るところ、「VISION」(ビジョン)は「視覚。幻影。未来像。将来展望。見通し。」の意味(前掲書)を有するものであるが、構成全体としては特定の意味合いを生じない造語と理解されると判断するのが相当であり、これよりは特定の観念を生じないものである。 カ 引用商標6について 引用商標6は、上記第2の6のとおり、「SAGA FURS LUMI ROYAL」の欧文字を横書きしてなるものであるから、その構成文字に相応して、「サガファーズルミロイヤル」又は「サーガファーズルミロイヤル」の称呼が生じ得るところ、構成全体としては特定の意味合いを生じない造語と理解されると判断するのが相当であり、これよりは特定の観念を生じないものである。 キ 引用商標7について 引用商標7は、上記第2の7のとおり、「SAGA LUMI ROYAL」の欧文字を横書きしてなるものであるから、その構成文字に相応して、「サガルミロイヤル」又は「サーガルミロイヤル」の称呼が生じ得るところ、構成全体としては特定の意味合いを生じない造語と理解されると判断するのが相当であり、これよりは特定の観念を生じないものである。 ク 引用標章について 引用標章は、上記第2の8のとおり、「SAGA」の文字を横書きしてなるから、その構成文字に相応して、「サガ」又は「サーガ」の称呼が生じ得るところ、上記(1)のとおり、「サガ」の称呼よりは「佐賀」又は「嵯峨」の観念が生じ、「サーガ」の称呼よりは特定の観念は生じないものである。 (3)本件商標と申立人商標及び標章の類否について ア 外観について 本件商標は、上記(1)のとおりの構成よりなり、また、申立人商標及び標章は、上記(2)のとおりの構成よりなるところ、本件商標と申立人商標及び標章とは、その構成態様がいずれも明らかに相違するものであるから、本件商標と申立人商標及び標章の外観は、互いに紛れるおそれはない。 イ 称呼について 本件商標より生じる「サガシリーズ」又は「サーガシリーズ」の称呼と、引用商標1より生じる「サーガ」の称呼、引用商標2及び引用標章より生じる「サガ」又は「サーガ」の称呼、引用商標3及び引用商標4より生じる「サガファーズ」又は「サーガファーズ」の称呼、引用商標5より生じる「サガビジション」又は「サーガビジョン」の称呼、引用商標6より生じる「サガファーズルミロイヤル」又は「サーガファーズルミロイヤル」の称呼及び引用商標7より生じる「サガルミロイヤル」又は「サーガルミロイヤル」の称呼とは、いずれも構成音が明らかに相違するため、これらを一連に称呼した場合は、構成音の差が称呼全体に及ぼす影響は決して小さいとはいえず、語調語感が相違したものとなり、互いに紛れるおそれはない。 ウ 観念について 本件商標は、「サガシリーズ」の称呼より「佐賀のシリーズ」又は「嵯峨のシリーズ」といった観念を生じ、「サーガシリーズ」の称呼よりは特定の観念は生じないところ、申立人商標及び標章よりは、「佐賀」、「嵯峨」、「佐賀の毛皮」、「嵯峨の毛皮」又は特定の観念を生じないものであるから、本件商標と引用商標とは、観念上異なる又は比較することができないものである。 エ 小括 以上のとおり、本件商標と申立人商標及び標章とは、観念において異なる又は比較できないものであり、外観及び称呼において、相紛れるおそれのないことが明らかなものであるから、両商標は、非類似の商標及び標章であって、別異のものというのが相当である。 その他、本件商標と申立人商標及び標章とが類似するというべき特段の事情は見いだせない。 3 商標法第4条第1項第10号該当性について 上記1のとおり、申立人商標及び標章は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人又は申立人商品を表示するものとして、我が国及び外国の需要者の間に広く認識され、周知著名性を獲得していたとは認められないものである。 また、上記2(3)のとおり、本件商標と申立人商標及び標章とは、非類似の商標及び標章である。 したがって、本件異議申立てに係る指定商品と申立人商標及び標章に係る申立人商品は、同一又は類似の商品であるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。 4 商標法第4条第1項第7号及び同項第19号該当性について 上記1のとおり、申立人商標及び標章は、申立人又は申立人商品を表示するものとして我が国又は外国における需要者の間に広く認識され、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、周知著名性を獲得していたと認められないものであり、また、上記2(3)のとおり、本件商標と申立人商標及び標章とは、非類似の商標及び標章であり、別異の商標及び標章というべきものであるから、本件商標を本件異議申立てに係る指定商品に使用しても、需要者において、申立人商標及び標章を連想又は想起するということはできないものである。 そして、本件商標は、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激若しくは他人に不快な印象を与えるものではないことは明らかである。 また、申立人が提出した全証拠を勘案しても、本件商標が申立人商標及び標章に化体した信用、名声及び顧客吸引力にただ乗りする不正な目的で採択・出願されたものであるとすべき具体的事情を証明するところはなく、不正の目的をもって使用するものであると認めることはできない。 さらに、本件商標が、国際信義に反する又はその出願及び登録の経緯に社会的相当性を欠くなど、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標というべき事実は見当たらず、本件商標を本件異議申立てに係る指定商品について使用することが、社会の一般道徳観念に反し、商取引の秩序を乱すものともいえない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同項第19号のいずれにも該当しない。 5 まとめ 以上のとおり、本件商標は、本件異議申立てに係る指定商品について、商標法第4条第1項第7号、同項第10号及び同項第19号に該当するとはいえず、その登録は同項の規定に違反してされたものとはいえない。 他に、本件商標の登録が商標法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-900289

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