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商標異議申立

2022-900288

マミーアンドキッズ、マミーキッズ、マミー、キッズ

審判番号
2022-900288
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2020-082428
登録番号
6554783
請求日
2022年07月12日
審決日
2025年03月31日
公報発行日
2025年06月27日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【権利者】株式会社ナリス化粧品
  • 【異議申立人】株式会社 ナチュラルサイエンス
  • 【異議申立人代理人】佐川 慎悟
  • 【異議申立人代理人】太田 清子
審判長/審判官
  • 審判長 高野 和行
  • 審判官 板谷 玲子
  • 審判官 高橋 幸志
分類
T1651.261-Z (W03) / T1651.262-Z (W03) / T1651.263-Z (W03)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法4条1項11号商標法4条1項15号商標法43条の3第2項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

登録第6554783号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6554783号商標の商標登録を取り消す。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6554783号商標(以下「本件商標」という。)は、「MOMMY & KIDS」と「マミー & キッズ」の文字を2段に表してなり、令和2年7月3日に登録出願、第3類「化粧品,せっけん類,香料,つけづめ,つけまつ毛,化粧用コットン,家庭用帯電防止剤」を指定商品として、同4年4月19日に登録査定され、同年5月12日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりであり(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。 1 登録第3030442号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の構成 ママ&キッズ 指定商品 第3類「せっけん類,化粧品」 登録出願日 平成4年8月25日 設定登録日 平成7年3月31日 2 登録第3055318号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の構成 「Mama & Kids」と「ママ アンド キッズ」の文字を別掲1のとおりの態様で表したもの 指定商品 第3類「せっけん類,化粧品」 登録出願日 平成4年12月22日 設定登録日 平成7年6月30日 3 登録第6300413号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の構成 Mama&Kids (標準文字) 指定商品及び指定役務 第3類「化粧水,スキンローション,乳液,化粧用クリーム,ハンドクリーム,日焼け止めクリーム,リップクリーム,ヘアートリートメント,頭髪用化粧品,香水類,美顔用パック,化粧落とし剤,美容液,ファンデーション,下地用化粧品,乾燥肌用化粧品,化粧品,シャンプー,洗顔料,ハンドソープ,ボディソープ,せっけん類,香料,化粧用コットン,つけづめ,つけまつ毛,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤」、第21類「コンパクト,せっけん入れ,パフ,手動式美容用ローラー,化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。),化粧用ブラシ,化粧用具」及び第35類「化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,カタログを利用した通信販売による化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,インターネット上のウェブサイトにおける化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,カタログを利用した通信販売による身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,インターネット上のウェブサイトにおける身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む、第3類、第5類、第9類、第21類、第32類、第35類、第41類及び第44類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務 登録出願日 令和2年5月21日 設定登録日 令和2年10月6日 4 登録第6359347号商標(以下「引用商標4」という。) 商標の構成 「Mama」「&」及び「Kids」の文字を別掲2のとおりの態様で表したもの 指定商品及び指定役務 第3類「化粧水,スキンローション,乳液,化粧用クリーム,ハンドクリーム,日焼け止めクリーム,リップクリーム,ヘアートリートメント,頭髪用化粧品,香水類,美顔用パック,化粧落とし剤,美容液,ファンデーション,下地用化粧品,乾燥肌用化粧品,化粧品,シャンプー,洗顔料,ハンドソープ,ボディソープ,せっけん類,香料,化粧用コットン,つけづめ,つけまつ毛,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤」、第21類「コンパクト,せっけん入れ,パフ,手動式美容用ローラー,化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。),化粧用ブラシ,化粧用具」及び第35類「化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,カタログを利用した通信販売による化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,インターネット上のウェブサイトにおける化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,カタログを利用した通信販売による身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,インターネット上のウェブサイトにおける身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む、第3類、第5類、第9類、第16類、第21類、第24類、第25類、第32類及び第35類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務 登録出願日 令和2年6月18日 設定登録日 令和3年3月4日 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきである旨申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第225号証(枝番号を含む。なお、枝番号を有する証拠において、枝番号の全てを引用する場合は、枝番号の記載を省略する。)を提出した。 1 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標について 本件商標は、上段のゴシック体と思しき「MOMMY & KIDS」の文字、下段のゴシック体と思しき「マミー & キッズ」の文字からなる外観を有し、下段の片仮名は上段の欧文字の読みを特定したと理解されるものであり、また、「&」の文字は英単語の「and」を意味する記号であるから、構成する文字全体として「マミーアンドキッズ」の称呼を生ずるものである。 本件商標の構成中、「MOMMY」の欧文字及び「マミー」の片仮名は「お母さん」の意味(甲6、甲7)を、「KIDS」の欧文字及び「キッズ」の片仮名は「子供達」の意味(甲9)を有する語であり、また、「&」の文字は前述のとおり英単語の「and」を意味する記号であり、接続詞として、項目を並列させて「・・・と・・・」という追加の意味を有する(甲12)から、全体として「お母さんと子供達」程の観念を生ずるものである。 (2)引用商標について ア 外観 引用商標1は、「ママ&キッズ」のゴシック調文字から構成された外観を有し、引用商標2は、上段の「Mama&Kids」の文字、下段の「ママ アンド キッズ」の片仮名からなる外観を有し、引用商標3は、「Mama&Kids」の標準文字からなる外観を有する。 また、引用商標4は、上段の「Mama」の文字、中段の「&」をデザイン化した文字及び下段の「Kids」の文字からなる外観を有し、これらの文字は、独特のフォントからなるアルファベット文字を使って、語頭を揃え、同大・同幅に配置されている。よって、「Mama」、「&」及び「Kids」との間で軽重の差なく、バランスよく一体的に表わされている。さらに「Mama」、「&」及び「Kids」の上下の間は詰まっており、三段の文字全体の一体感をより一層強いものとしている。 なお、一連に把握される用語が、商品やサービスに付するスペースの制約上やロゴのデザインの制約上、2段ないし3段に表記されることは、多々採用されており(甲11)、これらはいずれも商取引上、各段の用語が別々に把握されておらず、一体的に把握されている。 したがって、引用商標4は、外観構成上、「Mama」、「&」及び「Kids」の文字が統一感を持って表現されていることから、各段の用語が一体的に把握されるものである。 イ 称呼 引用商標1及び引用商標3において、「&」の文字は英単語の「and」を意味する記号であるから、全体として「ママアンドキッズ」の称呼が生じる。 引用商標2において、下段の片仮名「ママ アンド キッズ」は上段の文字「Mama&Kids」の読みを特定したと理解されるものであるから、構成する文字全体として「ママアンドキッズ」の称呼が生ずる。 引用商標4は、上記アのとおり、まとまりよく一体的にデザインされており、商標全体が一体不可分のものとして認識され、また、「&」の文字は英単語の「and」を意味する記号であるから、全体として「ママアンドキッズ」の称呼が生じる。なお、段違いの文字商標の称呼に関する判決(平成29年(行ケ)第10110号)に鑑みると、3段に配された引用商標4から「ママアンドキッズ」の称呼が生じることは明らかである。 ウ 観念 引用商標の構成中、「Mama」の欧文字及び「ママ」の片仮名は「お母さん」の意味(甲6、甲8)を、「Kids」の欧文字及び「キッズ」の片仮名は「子供達」の意味(甲9)を有する語であり、また、「&」の文字は英単語の「and」を意味する記号であり、「and」及び「アンド」の片仮名は接続詞として、項目を並列させて「・・・と・・・」という追加の意味を有する(甲12)から、全体として「お母さんと子供達」程の観念を生ずるものである。 (3)本件商標と引用商標との比較 ア 外観について 本件商標と引用商標1とでは、「マミー & キッズ」の「ミー」と「ママ&キッズ」の「マ」の違いがあるため、同一とはいえないが、6文字中「ミー」及び「マ」以外の5文字が共通するとともに、2つの片仮名用語を「&」という接続詞の記号で並列させるという特徴的な構成まで共通するため、外観上、極めて共通性の高い印象を与え、需要者にとって相紛らわしく両者の外観が類似するといえる。 また、本件商標と引用商標2ないし4とでは、「MOMMY & KIDS」の「MY」と「Mama&Kids」又は「Mama\&\Kids」の「a」の違いがあるため、同一とはいえないが、10文字中の「MY」及び「a」以外の7文字が共通するとともに、2つの英単語を「&」という接続詞の記号で並列させるという特徴的な構成まで共通するため、外観上、極めて共通性の高い印象を与え、需要者にとって相紛らわしく両者の外観は類似するといえる。 イ 称呼について 本件商標から「マミーアンドキッズ」の称呼が生じる一方で、引用商標からは「ママアンドキッズ」の称呼が生じる。 本件商標と引用商標とでは、「ミー」と「マ」の違いがあるが、「マミーアンドキッズ」においては比較的長い音数である9文字中、大部分の7文字が共通し、「ママアンドキッズ」においても比較的長い音数である8文字中7文字が共通するため、「ミー」と「マ」の違いが両称呼全体に与える影響はごく小さい。 また、「ミ」と「マ」とは、五十音図の同行音に属する近似音であり、両音とも、上唇と下唇を付けた状態で発声を始める「ま行」の音である。さらに、「ミ」及び「マ」は、「マミーアンドキッズ」及び「ママアンドキッズ」の語頭ではなく、中間音に位置する音である。このため、「マミーアンドキッズ」と「ママアンドキッズ」をそれぞれ一連に称呼した場合には全体の語感語調が近似しておりこれらを互いに聞き誤るおそれがある。しかも、後述するように、「マミー」と「ママ」とはいずれも「お母さん」を意味する用語として日本人には身近で馴染みのある言葉であるため、より一層両者の称呼には強い共通性ないし関連性が認められるものと思料する。 したがって、本件商標と引用商標の称呼は極めて相紛らわしく類似するといえる。 ウ 観念について 本件商標から「お母さんと子供達」程の観念を生ずる一方で、引用商標からも「お母さんと子供達」程の観念を生ずるため、両者の観念は同一である。 「マミー」「mommy」と「ママ」「mama」とは、「お母さん、母親」の意味において共通し、日本において両者は同一の意味を有する言葉として把握されており、特に、広辞苑第七版(甲6)には、「マミー」を意味する語として「ママ」が掲載されており、「マミー」と「ママ」とは全く同じ意味を有するものと理解される。 なお、過去に商標の観念類似が判断された事案として、商標「ふぐの子」と商標「子ふぐ」は類似すると判断されている(東京高判平成14年(行ケ)第377号)。 本件商標及び引用商標からはいずれも「お母さんと子供達」との同一の観念が生じるため、上記の判断に鑑みても、本件商標と引用商標とは、当然に観念同一又は類似と判断されるべきである。 (4)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との比較 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品は、同一又は類似するものである。 (5)取引の実情 引用商標は、後述のとおり、申立人等が提供する化粧品やせっけん類等の商品の商標として長年に渡り、全国的に使用された結果、本件商標の登録出願時には既に取引者・需要者の間に広く認識されて周知・著名な商標となっており、それは本件商標の登録査定時及びそれ以降も、継続していたと認められるものである。 よって、引用商標は、当該商品の取引者及び需要者にとって一般的な商標よりも認知度が高く、狭義及び広義の出所の混同を生じるおそれのある範囲、すなわち商標の類似範囲が拡がっているものと考えられる。さらに、本件商標権者と申立人は、スキンケア商品や化粧品を製造販売する企業として競合関係にあり、市場や需要者層も重なっている。仮に本件商標を付した商品が販売された場合には、現実的に出所の混同が生じることは想像に難くなく、申立人の極めて大切なブランドの信用が毀損ないし希釈化されることになるため、商標登録の可否の争いだけでなく、不正競争防止法による紛争に至る可能性も高い。 よって、商標法第4条第1項第11号の判断においても、単に本件商標と引用商標との構成態様の一致点・相違点のみを比較考量するに止まらず、取引の実情も考慮して慎重に判断すべきものと思料する。 以上のとおり、本件商標と引用商標とは、現実の取引において、商品の出所の誤認、混同を生ずるおそれがあり、取引者・需要者において両商標が誤認混同するとして苦情、トラブルが生じる可能性がある。したがって、本件商標を商標登録により保護することで、取引秩序・流通秩序を維持できない事態が発生することが懸念され、産業の発展に寄与するという商標法の理念に合致しないこととなる。 (6)小括 以上より、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、取り消されるべきものである。 2 商標法第4条第1項第15号該当性について (1)引用商標の周知著名性の程度について ア 引用商標は、申立人及び同人の関連会社である株式会社希松(以下「希松」という。)(甲10の1・2)が申立人の許諾を得て使用している商標である。申立人及び希松は、「ママ&キッズ」ブランドを1992年に立ち上げ、主に化粧水、乳液、石鹸、クリーム等の多彩なスキンケア商品を20年以上提供し続けている。各商品は低刺激処方にこだわり、安心安全で使用感や肌効果があるとの定評があり、全て自社開発・自社製造し、直営店(甲17)、全国各地に配置した多数の実店舗(甲15)及びオンライン:ナチュラルショッピング(甲10の3)やハガキや電話による通信販売によって全国に販売している。 引用商標は、ウェブサイト(甲18、甲19)、Instagram(甲20)、Youtube(甲21)、Facebook(甲22)、Twitter(甲23)等の多種多様で広告効果の高いネット媒体において継続して使用されている。 また、引用商標は、申立人が発行している冊子「Natural Messe」において20年以上前から継続して使用されており、さらに周知性を拡大させている。「Natural Messe」は、申立人の製品購入者に定期的に配布されている冊子であり、その発送先は全国各地に及び(甲26の1)、発行部数は2022年5月で26万部を超えている(甲26の2)。 このような取り組みが認められた結果、「ママ&キッズ」製品は、「第12回マザーズセレクション大賞2020」、「第8回マザーズセレクション大賞2016」、「たまひよ赤ちゃんグッズ大賞2022」、「ゼクシィBaby人気育児ブランド妊婦ボディケア部門No.1」などに選ばれ、22の賞を受賞するに至っている(甲16)。 以上のように、引用商標は、本件商標の登録出願前から、広告効果の高い多種多様なツールを介して、申立人によって日本全国に向けて広く発信されている事実が認められる。 引用商標は、雑誌・新聞を通して多くの需要者・取引者に知られる機会を提供しており、これらの雑誌・新聞は引用商標の周知性獲得に大きく寄与している。 これらの雑誌の中でも、本件商標の出願日当時、マタニティ・子育て誌の発行部数の上位3位を占める「初めてのたまごクラブ」、「ひよこクラブ」、「たまごクラブ」(甲224)や妊婦に人気の雑誌「ゼクシィBaby妊婦のための本」、「妊すぐ」、「赤すぐ」などにおいて、継続して引用商標が使用されていることから、引用商標は、子育て世代の母親や妊婦に、スキンケア製品、化粧品、石けん等のブランド名として浸透し、広く知られるに至っていることが認められる。 さらに、マタニティ・子育て誌以外にも、新聞の全国紙では読売新聞に次ぐ業界2位の朝日新聞(甲225)(甲158の1、甲222の1)、主婦に人気の雑誌である「ESSE」(甲159の1、甲179の1)、「サンキュ!」(甲141の1、甲152の1、甲178の1)、「レタスクラブ」(甲153の1)に掲載されており、子育て世代の母親や妊婦以外の幅広い需要者にも引用商標が広く知られるに至っている。 また、申立人が製造販売する商品のパッケージには、主に引用商標4のような3段ロゴが用いられているが、雑誌・新聞、上記「Natural Messe」では、3段ロゴの形態のみならず、「ママ&キッズ」「Mama&Kids」の横並びの表記が多数使用されている。 したがって、需要者は、これらを目にすることで、「ママ&キッズ」「Mama&Kids」の横並びの表記を、申立人のブランド名として認識・把握しており、「ママ&キッズ」「Mama&Kids」の横並びの表記が需要者の間で広く知られるに至っていることが認められる。 申立人は、1992年に、敏感肌やアトピーなどの肌のトラブルを持つ子どもや大人向けに開発した石けんを「ママ&キッズ」のブランド名で発売した(甲27の16)。この石けんが、「ママ&キッズ」のブランド第1号の製品となり、生まれたての赤ちゃんにも使え、敏感肌やアトピーなどにも安心して使えると高い評判をよび、新聞・雑誌に広く取り上げられた。 「ママ&キッズ」「Mama&Kids」の名称は、1993年当時から多数の新聞・雑誌に掲載され、幅広い需要者に広く知られるに至っている。 イ 本件商標権者の審査段階における意見書の内容について 本件商標権者は、拒絶理由通知に対する意見書において、「ナチュラルサイエンス社の「ママ&キッズ」が仮に需要者間に広く認識されているとすれば、それは、単純な表記や称呼としての「Mama&Kids」及び「ママ&キッズ」ではなく、あくまでも「Mama」とデザイン化された「&」と「Kids」が三段で表記されたロゴとしての商標である」と述べた。 しかしながら、上述のとおり、引用商標4の三段のロゴのみならず、横一列の文字の態様の「ママ&キッズ」及び「Mama&Kids」についても、雑誌・新聞、紹介記事、「NATURAL MESSE」、ウェブサイト、SNS等を通じて使用され、需要者・取引者に知られる機会が多数提供されており、周知性を獲得しているため、上記本件商標権者の主張は実情と異なり、誤りがある。 (2)本件商標と引用商標との類似性の程度 上記1(3)のとおり、本件商標と引用商標とは、観念が同一であり、外観及び称呼においても近似しており、類似度が高いといえる。 (3)その他人の標章が造語よりなるものであるか、又は構成上顕著な特徴を有するものであるか 「ママ&キッズ」は「ママ」「&」「キッズ」、「Mama&Kids」は「Mama」「&」「Kids」をこの順に羅列した造語である。「ママ」又は「Mama」、「キッズ」又は「Kids」が各々なじみのある言葉であっても、各々3語を並べて創作された言葉である。 また、構成上、記号「&」を中心に前後の言葉を一体的に結合させた特徴を備えている。そして「&」の前後に配置された各用語は「Mama(ママ)」と「Kids(キッズ)」という本ブランドがターゲットとする商品の需要者層をイメージし得る単語を配置してなる顕著な特徴を有している。 よって、引用商標は造語であり、かつ、構成上、顕著な特徴を有するものである。 (4)その他人の標章がハウスマークであるか 申立人の商標はハウスマークではないが、個別商品名のようなペットマークでもなく、多数の個別商品を包括する大概念やカテゴリーである、いわゆるファミリーマークに相当する。しかも申立人は「ママ&キッズ」と「レドナ」を2大ブランドとして展開しており(甲10の3・4)、「ママ&キッズ」ブランドは、赤ちゃんから大人まで家族みんなで使えることをコンセプトに、デリケートな肌のために開発された安心安全なスキンケア製品を扱い(甲10の5)、「レドナ」ブランドは、エイジングケアをコンセプトに、美白や保湿をメインとしたスキンケア製品を扱っている(甲10の6)。 「ママ&キッズ」ブランドのもと、75品もの多数の商品が販売されており、「ママ&キッズ」はこれらの商品を包括するブランド名として使用されている。そして、申立人が扱う2大ブランドのうちの一つが「ママ&キッズ」ブランドである。「ママ&キッズ」ブランドは、多数のブランドの中の一つということではなく、ましてや、個別の商品名にすぎないということでもなく、企業を代表する重要なファミリーマークであるため、ハウスマークに極めて近いものといえる。よって、取引者・需要者にとっても認知度が高く、周知されやすいマークといえる。 (5)企業における多角経営の可能性 申立人は、スキンケア製品、石けん、化粧品の他に、サプリメントやドリンク・食品(甲10の7~9)、肌着(甲10の10)も開発し販売している。さらに、申立人は、工場と庭園が一つになった「ナチュの森」(甲10の11~17)を運営しており、「ナチュの森」では、レストランやカフェ(甲10の18・19)、スパやエステのサービス、溶岩石を使用したスタジオで行うヨガのサービスを提供している(甲10の20~22)。 したがって、申立人は、スキンケア製品、石けん、化粧品の製造販売から食品や衣料品、飲食業、スパやエステサービスの提供等、多岐にわたる商品やサービスを提供しており、現に多角経営を行っているとともに、今後もさらに拡大する可能性が十分にあると認められる。 (6)商品間の関連性 「ママ&キッズ」ブランドの商品群は、洗顔用石けん、シャンプー、ボディシャンプー、スキンローション、乳液、スキンクリーム等であり、これらは本件商標の指定商品「化粧品,石けん類」に相当する。よって、両者の商品は同一の関係であって、関連性が極めて高い。 (7)商品等の需要者の共通性その他取引の実情 第一に、「ママ&キッズ」ブランドの製品は、直営店(甲17)の他に、日本全国600店舗以上の販売店で販売されている(甲15)。第二に、申立人はオンラインショップによる販売(甲10の3)も重視しているところ、オンラインショップは全国の津々浦々からアクセスし、購入することが可能な手段であるため、実店舗にも増して売上げや周知性への貢献度は高い。第三に、前記に示したとおり、雑誌・新聞、紹介記事、「NATURAL MESSE」、ウェブサイト、SNS等の様々な手段を通じて需要者・取引者に知られる機会が多数提供されている。 一方で、取引の実情に関して、申立人の「ママ&キッズ」ブランドは、「お母さんと子供達」との意味合いに由来して子育て世代の母親とその子供(乳児~幼児)や妊婦をターゲットとしている。そして、本件商標権者が製造販売する化粧品等の購買層の多くは女性であり、さらに本件商標の「お母さんと子供達」との意味合いを考慮すれば、子育て世代の母親とその子供や妊婦をターゲットとしていることは明らかであり、両者の購入層は完全に共通する。 また、前述のとおり、申立人の「ママ&キッズ」ブランドは、日本全国の多数の店舗で販売されるとともに、オンラインショップによる販売も行われている(甲10の3)。一方、本件商標権者もまた、日本全国に店舗を保有し商品を販売(甲24の2)しているとともに、オンラインショップでも商品を販売している(甲24の1)。 以上、申立人の「ママ&キッズ」ブランドと本件商標権者の商品とは、購入層が共通し、販売方式も店舗やオンラインショップで共通しており、仮に本件商標権者が「MOMMY & KIDS\マミーアンドキッズ」を使用したせっけん類や化粧品を販売した場合、取引の実情として、商品の誤認、混同を生じる蓋然性が極めて高いといえる。 (8)小括 引用商標は、申立人及び希松によって継続的に使用されており、本件商標の登録出願時には既に、申立人及び希松の業務に係る「化粧品,せっけん類」他を表示する商標として取引者、需要者の間に広く認識されて周知・著名な商標となっており、それは本件商標の登録査定時及びそれ以降の現在も継続していると認められる。 そして、本件商標と引用商標とが類似していること、引用商標が造語であること、引用商標がハウスマークに極めて近いファミリーマークであること、申立人が現に多角経営を行っていること、両者の商品の関連性が認められること、商品の需要者は共通し、取引の実情として、商品の誤認、混同を生じるおそれがあること等を総合考慮すると、本件商標の指定商品の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、本件商標を指定商品に使用したときに、当該商品が申立人又は申立人と一定の緊密な営業上の関係若しくは組織的・経済的に密接な関係がある者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれがある。 また、上述したように、申立人及び希松は、「ママ&キッズ」ブランド(引用商標)を大切に育てており、全国で周知性を獲得するに至っているところ、本件商標のような、「ママ&キッズ」ブランドと相紛らわしい商標が登録され、かつ使用された場合、これまでに蓄積した商標の信用が著しく毀損ないし希釈されてしまうおそれがある。 したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してなされたものである。 3 まとめ 上述のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項15号に違反してされたものである。 第4 取消理由の通知 当審において、商標権者に対し、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するから、同法第43条の3第2項の規定に基づいて、取り消すべきである旨の取消理由を令和6年12月25日付けで通知し、相当の期間を指定して意見を求めた。 第5 商標権者の意見 上記第4の取消理由に対し、商標権者は、指定した期間を経過するも何ら意見を述べていない。 第6 当審の判断 1 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)商標の類否 ア 本件商標 本件商標は、上記第1のとおり「MOMMY & KIDS」と「マミー & キッズ」の文字を2段に表してなり、該文字に相応し「マミーアンドキッズ」の称呼、「お母さんと子供達」の観念を生じるものである。 イ 引用商標 (ア)引用商標1は、上記第2の1のとおり「ママ&キッズ」の文字からなり、該文字に相応し「ママアンドキッズ」の称呼、「お母さんと子供達」の観念を生じるものである。 (イ)引用商標2は、上記第2の2のとおり「Mama & Kids」と「ママ アンド キッズ」の文字を別掲1のとおりの態様で表してなり、該文字に相応し「ママアンドキッズ」の称呼、「お母さんと子供達」の観念を生じるものである。 (ウ)引用商標3は、上記第2の3のとおり「Mama&Kids」の文字を標準文字で表してなり、該文字に相応し「ママアンドキッズ」の称呼、「お母さんと子供達」の観念を生じるものである。 (エ)引用商標4は、上記第2の4のとおり「Mama」「&」及び「Kids」の文字を別掲2のとおりの態様で表してなり、該文字に相応し「ママアンドキッズ」の称呼、「お母さんと子供達」の観念を生じるものである。 (オ)以上のとおり、引用商標は、いずれも「ママアンドキッズ」の称呼及び「お母さんと子供達」の観念を生じるものであり、「Mama&Kids」又は「ママ&キッズ」の文字をその構成中に有するものである。 ウ 本件商標と引用商標の類否 (ア)本件商標と引用商標1 a 外観 本件商標と引用商標1の上記第1及び第2の1のとおりの外観は、欧文字表記の有無などが異なるが、前者の片仮名部分「マミー & キッズ」と後者の構成文字「ママ&キッズ」は、前半部の「マミー」と「ママ」の文字において語頭の「マ」の文字を共通にし、後半部において「&キッズ」の文字を共通にしている。 b 称呼 本件商標から生じる「マミーアンドキッズ」の称呼と引用商標1から生じる「ママアンドキッズ」の称呼は、前半部の「マミー」と「ママ」において語頭の「マ」の音を共通にし、後半部において「アンドキッズ」の音を共通にしている。 c 観念 上記アのとおり本件商標は「お母さんと子供達」の観念を生じ、上記イ(ア)のとおり引用商標1も「お母さんと子供達」の観念を生じるものであるから、両商標の観念は同一である。 d 本件商標と引用商標1の類否のまとめ 上記aないしcのとおり本件商標と引用商標1は、外観において欧文字表記の有無など、称呼において中間音における「ミー」と「マ」の音に相違があるが、観念「お母さんと子供達」は完全に同一である。 そして、外観については、一般に商標の使用において、同一の称呼を生じる範囲内で、欧文字と片仮名の2段表記の商標をいずれかの文字一段で表したり、欧文字と片仮名とを相互に変更したり、欧文字の商標にフリガナを併記し2段に表したり、また、構成文字をデザイン化したりすることが普通に行われている取引の実情があることからすると、本件商標と引用商標1における欧文字表記の有無の差異は、両商標の類否判断において商品の出所の混同のおそれがあるか否かを判断する上で、さほど強い影響を与えるものとはいえず、片仮名の比較においては語頭の「マ」と後半部の「&キッズ」の文字を共通にしている。 また、称呼については、語頭の「マ」と後半部の「アンドキッズ」の音を共通にしている。 そうすると、本件商標と引用商標1の外観、称呼及び観念等によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合し、取引の実情を考慮すれば、両者の外観、称呼において多少の差異があるとしても、そのいずれにも相当の共通点を有し、観念において完全に一致するものであるから、本件商標と引用商標1は、商品の出所について誤認混同を生じさせるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。 (イ)本件商標と引用商標3 a 外観 本件商標と引用商標3の上記第1及び第2の3のとおりの外観は、片仮名表記の有無などが異なるが、前者の欧文字部分「MOMMY & KIDS」と後者の構成文字「Mama&Kids」のつづりは、前半部の「MOMMY」と「Mama」において語頭の「M」の文字を共通にし、後半部において「&KIDS(&Kids)」の文字を共通にしている。 b 称呼 本件商標から生じる「マミーアンドキッズ」の称呼と引用商標3から生じる「ママアンドキッズ」の称呼は、前半部の「マミー」と「ママ」において語頭の「マ」の音を共通にし、後半部において「アンドキッズ」の音を共通にしている。 c 観念 上記アのとおり本件商標は「お母さんと子供達」の観念を生じ、上記イ(ウ)のとおり引用商標3も「お母さんと子供達」の観念を生じるものであるから、両商標の観念は同一である。 d 本件商標と引用商標3の類否のまとめ 上記aないしcのとおり本件商標と引用商標3は、外観において片仮名表記の有無など、称呼において中間音における「ミー」と「マ」の音に相違があるが、観念「お母さんと子供達」は完全に同一である。 そして、外観については、上記(ア)dのとおりの取引の実情があることからすれば、本件商標と引用商標3における片仮名表記の有無の差異は、両商標の類否判断において商品及び役務の出所の混同のおそれがあるか否かを判断する上で、さほど強い影響を与えるものとはいえず、欧文字のつづりの比較においては語頭の「M」と後半部の「&KIDS(&Kids)」の文字を共通にしている。 また、称呼については、語頭の「マ」と後半部の「アンドキッズ」の音を共通にしている。 そうすると、本件商標と引用商標3の外観、称呼及び観念等によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合し、取引の実情を考慮すれば、両者の外観、称呼において多少の差異があるとしても、そのいずれにも相当の共通点を有し、観念において完全に一致するものであるから、本件商標と引用商標3は、商品及び役務の出所について誤認混同を生じさせるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。 (ウ)本件商標と引用商標2及び引用商標4 本件商標と引用商標2及び引用商標4の外観は、上記第1と別掲1及び2のとおりであり、称呼、観念は上記アとイ(イ)及び(エ)のとおりである。 そして、本件商標と引用商標2及び引用商標4は、上記(ア)及び(イ)と同様の理由により、両者の外観、称呼において多少の差異があるとしても、そのいずれにも相当の共通点を有し、観念において完全に一致するので、本件商標と引用商標2及び引用商標4は、商品及び役務の出所について誤認混同を生じさせるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。 (エ)商標の類否のまとめ 上記(ア)ないし(ウ)のとおり、本件商標は、引用商標のいずれとも類似する商標である。 (2)指定商品の類否 本件商標の指定商品並びに引用商標の指定商品及び指定役務は上記第1及び第2のとおりである。 そして、本件商標の指定商品中第3類「化粧品,せっけん類」は、引用商標1及び引用商標2の指定商品と同一又は類似するものである。 また、本件商標の指定商品は、引用商標3及び引用商標4の指定商品及び指定役務中、第3類、第21類及び第35類に属する上記第2の3及び4に摘記した商品及び役務と同一又は類似するものである。 (3)まとめ 本件商標は、上記(1)のとおり、その商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標(引用商標)に類似する商標であって、上記(2)のとおり、引用商標の指定商品及び指定役務と同一又は類似する商品について使用をするものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものといわなければならない。 2 商標法第4条第1項第15号該当性について 商標法第4条第1項第15号は、「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標(第10号から前号までに掲げるものを除く。)」と規定されている。 本件商標は、上記1のとおり、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、同項第15号の括弧書きの規定により、同号に該当しない。 3 むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しないものの、商標法第4条第1項第11号に該当し、その登録は、同条第1項の規定に違反してされたものといわなければならないから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-900288

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