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商標異議申立

2022-900284

イージーガイド、イイゼットガイド、ガイド

審判番号
2022-900284
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2021-113423
登録番号
6551297
請求日
2022年07月12日
審決日
2023年05月01日
公報発行日
2023年06月30日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】オーバスネイチ メディカル ピーティーイー リミテッド
  • 【権利者代理人】杉村 憲司
  • 【権利者代理人】杉村 光嗣
  • 【権利者代理人】門田 尚也
  • 【権利者代理人】長嶺 晴佳
  • 【異議申立人】エドワーズ ライフサイエンシーズ コーポレイション
  • 【異議申立人代理人】行田 朋弘
審判長/審判官
  • 審判長 小松 里美
  • 審判官 森山 啓
  • 審判官 小林 裕子
分類
T1651.22 -Y (W1044) / T1651.222-Y (W1044) / T1651.251-Y (W1044) / T1651.252-Y (W1044) / T1651.271-Y (W1044)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項第19号、商標法第43条の2第1号
データ出所
審決公報(XML)

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登録第6551297号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6551297号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6551297号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、令和3年9月10日に登録出願、第10類「内科用及び外科用のカテーテル,その他の医療用機械器具(「歩行補助器・松葉づえ」を除く。)」及び第44類「医療,医療情報の提供,健康診断」を指定商品及び指定役務として、令和4年4月21日に登録査定され、同年5月2日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する登録第5219405号商標(以下「引用商標」という。)は、「EZ GLIDE」の欧文字を横書きした構成からなり、2007年5月17日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、平成19年5月22日に登録出願、第10類「カニューレ,その他の医療用デバイス」を指定商品として、平成21年4月3日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により、取り消されるべきものである旨申し立て、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。 1 申立人について 申立人は、1958年に米国で設立された法人であり、1960年に、世界で初めて人工心臓弁の製品化に成功し、同年に最初の僧帽弁置換術に成功している(甲3)。申立人は、米国、欧州、アジア太平洋地域、中南米に拠点を置き、外科弁膜症治療、経カテーテル大動脈弁治療(TAVI)、クリティカルケア、血管治療の分野で事業を展開してきた(甲3)。日本では、札幌、仙台、東京、横浜、名古屋、大阪、広島、福岡といった主要都市に営業所及び支店等を設けており、取扱製品は多岐にわたり、その中には「カニューレ」及び「その他の医療用デバイス」に該当する商品が含まれている(甲3)。 2020年度の売上高は全世界で約43億86百万米ドルであり、現在、全世界の従業員数は約15,000名、日本の従業員数は約450名である(甲3)。 以上の情報を総合的に勘案すれば、申立人が医療分野において周知な企業であり、その製品も周知であることは明らかである。 2 商標「EZ GLIDE」について 申立人は、引用商標及びこれと実質的に同一の商標を、その指定商品「カニューレ」及び「その他の医療用デバイス」に該当する商品について、長年にわたり幅広く使用してきた。甲第4号証は、引用商標が2004年に既に使用されていた事実を示す資料である。その使用の結果、引用商標は、日本及び外国の需要者の間において、申立人の業務に係る商品の出所を表示するものとして広く認識されるようになっている。 3 商標法第4条第1項第11号について (1)商標の類否について ア 外観について 本件商標と引用商標の構成文字は、それぞれ7文字で共通し、7文字のうち語頭の「EZG」及び末尾「ide(IDE)」の合計6文字が共通している。唯一の相違点である「u」と「L」は、構成文字の中間位置である4文字目に位置していることも相侯って、共通する他の6文字に埋没している。したがって、本件商標は、引用商標と外観において類似する商標である。 イ 称呼について 両商標において、欧文字「EZ」は、全構成文字が大文字であり、また、全体で2文字と短いため、一文字ずつ称呼され、「イーゼット」の称呼を生じる場合がある。また、欧文字「EZ」は日本において英単語「easy」の略語として知られている(甲5)ため、両商標の「EZ」の部分から「イージー」の称呼が生じる場合もある。 本件商標において、欧文字「Guide」の部分からは、その構成文字に相応して「ガイド」の称呼が生じる。したがって、本件商標全体からは、「イーゼットガイド」又は「イージーガイド」の称呼が生じる。 一方、引用商標において、欧文字「GLIDE」の部分からは、その構成文字に相応して、「グライド」の称呼が生じる。したがって、引用商標からは、「イーゼットグライド」又は「イージーグライド」の称呼が生じる。 両商標は、語頭の「イーゼット」又は「イージー」と末尾の「イド」の音が完全に一致している。また、中間音「ガ」と「グラ」に関し、後者の「ラ」の母音は前者「ガ」の母音と同じ「ア」である。そして、「グラ」は、中間に位置していることもあり、聴取しづらく、「ラ」の部分が強く発音されることで、誤って「ガ」と聴取されるおそれがある。そのため、両商標の中間音は、互いに近似していることがいえる。したがって、本件商標は、引用商標と称呼においても類似する商標である。 ウ 観念について 両商標に共通する「EZ」の語は、英単語「easy」の略語として認識される場合は、「簡単な」や「楽勝の」等の意味を生じる。 本件商標の構成文字「Guide」は、「〔~を〕導く」や「〔~を〕案内する」等の意味を有する英単語である(甲5)。そのため、本件商標全体から、「簡単な導き」や「簡単な案内」等の意味合いが生じる。 一方、引用商標の構成文字「GLIDE」は、「滑る」、「滑走」、「滑空」等の意味を有する英単語である(甲5)。そのため、引用商標全体から、「簡単な滑り」や「簡単な滑走」等の意味合いが生じる。「Guide」と「Glide」は、いずれも人や物が移動する様或いは人や物を移動させている様を想起させる点で共通する。 したがって、本件商標は、引用商標と観念においても類似する商標である。 エ 小括 本件商標は、引用商標と、外観、称呼及び観念の全てにおいて相紛らわしいため、商標全体として類似するものである。 (2)指定商品・役務の類否について 両商標の指定商品(第10類)は、いずれも類似群10D01に属するものであるため、互いに類似する。また、両商標の指定商品(第10類)に関し、特に引用商標の「カニューレ」と本件商標の「内科用及び外科用のカテーテル」は、どちらも体内に液体を導入し、体内から液体を除去し、投薬し或いは試料を回収する目的で体内に挿入される医療用チューブの一種である。両商標の指定商品(第10類)は、この共通の機能を有しているため、類似性が非常に高い。また、両商標の指定商品(第10類)のうち、特に「カニューレ」と「内科用及び外科用のカテーテル」は、同一の企業が製造・販売するのが一般的である(甲3、甲6)。この事実から、両商標の指定商品(第10類)との間において混同のおそれがあることは明らかである。 一方、本件商標の指定役務(第44類)は、引用商標の指定商品とは異なる類似群に属するものであるが、本件商標の指定役務と引用商標の指定商品は、いずれも病気の治療等を目的とするものゆえ、用途が一致する。また、商品「カニューレ,医療用デバイス」の販売業者が、これらの商品を販売するウェブサイト上でこれらの商品に関する何らかの情報を提供する行為は、役務「医療情報の提供」に該当する。 さらに、引用商標の指定商品の需要者は医療従事者であるところ、医療従事者自身が病気を発症した場合、患者として医療等の役務を受ける立場になり得る。そのため、本件商標の指定役務の需要者の範囲は、引用商標の指定商品の需要者の範囲を包含している。したがって、本件商標の指定役務と引用商標の指定商品は、需要者の範囲が一致していることがいえる。 さらにまた、役務「医療」及び「健康診断」の提供は、商品「カニューレ」又は「医療用デバイス」の使用を伴う場合がある。これらの役務と商品は、両方とも病院等の医療機関で見られるものであるため共通の取引経路を有していることがいえ、また、最終的な需要者は患者等の医療機関の利用者である点においても共通している。 以上より、本件商標の指定役務と引用商標の指定商品は、互いに類似する。 (3)結論 本件商標は、第10類及び第44類の全指定商品・役務について商標法第4条第1項第11号に該当する。 4 商標法第4条第1項第15号について 本件商標は、周知商標である引用商標と類似であり、引用商標が周知となっている申立人の商品は、本件商標の指定役務と関連性が非常に高い。したがって、本件商標は、仮に第44類において商標法第4条第1項第11号に該当しないとしても、同項第15号に該当する。 5 商標法第4条第1項第7号について 本件商標は、周知商標「EZ GLIDE」が日本で第44類について登録されていないことを奇貨として、高額で買い取らせるために先取り的に出願したもの等に該当すると思料する。このように、本件出願は、申立人に先回りして不正な目的をもって剽窃的にしたものであるため、その経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ない。よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。 6 商標法第4条第1項第19号について 本件商標は、周知商標である引用商標と類似である。また、引用商標は、本件商標の出願時において複数の外国において既に周知となっており、引用商標「EZ GLIDE」は造語よりなるものである。よって、本件商標は、周知商標である引用商標を不正の目的をもって使用するものと推認される。 申立人は、本件商標の出願人とは何らの関係は有しておらず、周知商標である引用商標と同一又は類似の商標を使用又は登録することは許可していない。本件商標は、周知商標である引用商標が日本で第44類について登録されていないことを奇貨として、高額で買い取らせるために先取り的に出願したもの等に該当すると考えられる。よって、本件商標は、仮に商標法第4条第1項第11号、同項15号又は同項第7号に該当しないとしても、同項第19号に該当する。 7 結び 以上より、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当し、商標登録を受けることができないものであるから、その登録は商標法第43条の2第1号により取り消されるべきである。 第4 当審の判断 1 引用商標の周知性について (1)申立人の主張及び同人の提出に係る証拠によれば、以下のとおりである。 申立人は、米国に本社を置く、医療機器の開発、製造、販売を手掛ける法人であり、我が国にも日本法人を設けていることが認められ(甲3)、また、我が国において、申立人日本法人の「イージーグライド大動脈カニューレNC」と称する「大動脈カニューレ」が、平成20年2月に、同年3月1日から医療機器の保険適用となる旨厚生労働省より通知されたことがうかがえる(甲4)ものの、引用商標「EZ GLIDE」を使用した商品に関する証拠は何ら見いだせない。 また、引用商標に係る商品の我が国又は外国における売上高、販売数、市場シェア等の販売実績や、宣伝広告の規模などの、周知性を数量的に判断し得る客観的かつ具体的な証拠も見いだせない。 (2)上記(1)によれば、引用商標は、申立人の業務に係る商品に使用する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国及び外国における需要者の間に広く認識されていたとは認めることができないというべきである。 2 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標 本件商標は、別掲のとおり、濃紺色に塗りつぶした円形図形内に緑色の「EZ」の欧文字及び白色の「Guide」の欧文字(決定注:「Guide」の文字は、中心よりやや上部分に引かれた細い横線により上下に分断するように表されている。また、語頭の「E」の文字から末尾の「e」の文字までの下部には、白抜きの線が配されている。)を横書きしてなるものであるところ、顕著に大きく書された「EZ」及び「Guide」の文字部分は、円形図形部分から独立して看取されるものである。 そうとすると、本件商標は、「EZ Guide」の文字部分に相応して、「イージーガイド」の称呼を生ずるものである。 そして、本件商標は、その構成中「EZ」の文字が、「簡単な、楽勝の」の意味を有する英語(easy)の略語として親しまれており、「Guide」の文字は、「(道)案内する、先導する、ガイド」などの意味を有する(weblio辞書)ものであるから、全体としては、「簡単な案内(ガイド)」程の意味合いを理解、認識させるものである。 そうすると、本件商標は、「イージーガイド」の称呼を生じ、「簡単な案内(ガイド)」程の観念を生ずるものである。 (2)引用商標 引用商標は、「EZ GLIDE」の欧文字を横書きした構成からなるところ、これよりは、「イージーグライド」の称呼を生じるものである。 そして、引用商標は、その構成中「EZ」の文字が、「簡単な、楽勝の」の意味を有する英語(easy)の略語として親しまれているものであるが、「GLIDE」の文字は、「すべるように動く、滑走する」などの意味を有する(weblio辞書)ところ、これが一般に親しまれているものとは認め難いものであるから、構成全体としては、特定の意味合いを想起させない造語を表したと理解され、特定の観念は生じないものというのが相当である。 そうすると、引用商標は、「イージーグライド」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 (3)本件商標と引用商標の類否 本件商標と引用商標とを比較するに、両者は、上記(1)及び(2)のとおりの構成からなるところ、外観においては、円形図形の有無、文字の着色の有無、小文字と大文字の相違等により、外観上、明確に区別できるものである。 次に、本件商標から生じる「イージーガイド」の称呼と引用商標から生じる「イージーグライド」の称呼とを比較すると、「ガ」の音と「グラ」の音の差異を有しており、かかる差異がそれ程冗長ともいえない全体の音構成に与える影響は大きく、それぞれを一連に称呼するときは、全体の音感、音調が明らかに相違し、十分に聴別し得るものである。 さらに、観念については、本件商標は「簡単な案内(ガイド)」程の観念を生じるのに対し、引用商標は特定の観念を生じないから、両者は、観念上、相紛れるおそれはないものである。 そうすると、本件商標と引用商標とは、外観において判然と区別し得るものであり、称呼及び観念においても相紛れるおそれはないものであるから、これらを総合的に勘案すると、両商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標と判断するのが相当である。 (4)小括 以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、両商標の指定商品が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第15号該当性について 上記1(2)のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたと認められないものである。 そして、上記2(3)のとおり、本件商標は、引用商標と非類似の商標であるから、類似性の程度は高いとはいえない。 そうすると、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品は、医療機器等の分野における需要者、取引者において共通性があるものの、本件商標は、これを本件商標権者がその指定商品及び指定役務に使用しても、需要者、取引者が引用商標を想起して、その商品及び役務が申立人又は同人と親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業等を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品等であると、その商品及び役務の出所について混同を生じるおそれはないというべきである。 その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 4 商標法第4条第1項第7号及び同項第19号該当性について 上記1(2)のとおり、引用商標は、申立人等の業務に係る商品を表示するものとして我が国及び外国における需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、上記2(3)のとおり、本件商標と引用商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきであり、さらに上記3のとおり、本件商標は、引用商標を連想又は想起させるものでもない。 そして、本件商標は、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激若しくは他人に不快な印象を与えるものではないことは明らかであり、さらに、社会の一般的道徳観念に反するものなど、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるものというべき証拠も見当たらない。 さらに、本件商標の登録出願時及び査定時において、本件商標権者が引用商標にフリーライドするなど不正の目的をもって本件商標を使用するものであると認めるに足りる証拠は見いだせない。 そうすると、申立人提出に係る証拠からは、本件商標権者が引用商標に化体した信用、名声、顧客吸引力を利用して不正の利益を得る目的、引用商標に化体した信用、名声、顧客吸引力を毀損させるなど申立人に損害を与える目的その他の不正の目的をもって使用をするものとはいえない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同項第19号に該当しない。 5 むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-900284

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