商標異議申立
2022-900282
ディアダダ、ディア
- 審判番号
- 2022-900282
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2021-141938
- 登録番号
- 6555166
- 請求日
- 2022年07月11日
- 審決日
- 2024年05月28日
- 公報発行日
- 2025年02月28日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】申検鳳
- 【異議申立人】義烏市大千食品有限公司
- 【異議申立人代理人】原田 貴史
- 審判長/審判官
- 審判長 大森 友子
- 審判官 豊瀬 京太郎
- 審判官 小俣 克巳
- 分類
- T1651.251-Y (W30) / T1651.252-Y (W30) / T1651.253-Y (W30) / T1651.271-Y (W30) / T1651.222-Y (W30)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項10号商標法4条1項15号商標法4条1項19号商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項第19号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
登録第6555166号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6555166号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6555166号商標(以下「本件商標」という。)は、「Deer Da Da」の文字を標準文字で表してなり、令和3年11月12日に登録出願、第30類「キャンデー,ビスケット,米を主材とする凍結乾燥した惣菜,穀物調製品,めん類,食材調理用増粘剤,調味料及び香辛料,ココア,茶,食品香料(精油のものを除く。)」を指定商品として、同4年4月26日に登録査定され、同年5月12日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由に該当するとして引用する商標は、別掲のとおりの構成からなる商標(以下「引用商標」という。)であり、申立人の業務に係る菓子(以下「申立人商品」という場合がある。)に使用され、本件商標の指定商品の分野の取引者、需要者間において広く認識されている商標と申立人が主張するものである。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標の登録は商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第19号に違反してされたものであるから、同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである旨申立て、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第10号について
(1)本件商標の構成及び指定商品
本件商標は、英文字「Deer Da Da」を、特段特徴のない態様で記載したものであり、上記第1のとおり、第30類の商品を指定して出願されたものである(甲1)。
(2)引用商標の構成、出所及びその周知性
引用商標は、上段にデザイン化された文字で「小鹿達達」と表記され、「Deer DaDa」という通称で呼ばれ、多くの菓子のパッケージ等に付されており、当該菓子は、オンラインショップサイト「Qoo10」にて、販売されている。申立人は中国を本拠とする企業であり、2020年(令和2年)12月には販売を開始し、既に日本語でも販売サイトを開設、運営した結果、本件商標の登録出願日である令和3年11月12日から現在に至るまで、引用商標は日本国内においても広く知られ、十分に顧客吸引力のある商標といえる(甲2~甲4)。
(3)本件商標と引用商標との同一性
本件商標は英文字「Deer Da Da」を、特段特徴のない態様で記載したものであり、引用商標中「Deer DaDa」と同一であり、外観、称呼、観念の点から類似する商標といえる。
(4)小括
本件商標に接する需要者においては、申立人商品の販売業者に係る事業であると現実に混同するおそれがあるから、本件商標は、その登録出願日より前に、キャンデー等の商品の業界において、申立人の出所標識として需要者の間に広く認識されていた商標と同一又は類似する。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
2 商標法第4条第1項第15号について
前述のとおり、申立人が申立人商品について使用している引用商標は、本件商標の登録出願日より前に、この種商品の業界において、申立人の出所標識として需要者の間に広く認識されていたものであり、著名となっていた。
また、(1)本件商標は引用商標と類似する。(2)「Deer DaDa」はそもそも申立人によって独自に採択された独創性の高い造語である。また、(3)本件商標の指定商品と、申立人商品とは極めて密接な関連性がある(甲2~甲4)。それ故(4)需要者の共通性を有している。
しかるに、本件商標の商標権者は、現在に至るまで本件商標に係る指定商品について、何ら生産、販売していない。仮に日本で申立人が販売を許諾していたとしても、日本での商標登録出願、権利化まで許諾していたとはいえない。現に、申立人は商願2022-051769の出願人と提携し、日本での登録出願及び権利化を許諾している。
したがって、本件商標は、申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標と評価されるべきである。
仮に、本件商標の登録を認める場合には、周知表示又は著名表示へのただ乗り及び当該表示の希釈化を防止し、商標の自他識別機能を保護することによって、商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り、需要者の利益を保護するという商標法第4条第1項第15号の規定の趣旨を無に帰することになる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
3 商標法第4条第1項第19号について
前述のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願日より前に、本件商標の指定商品の業界において、申立人の出所標識として需要者の間に広く認識されていたものであり、著名となっていた。少なくとも、中国においては、需要者の間に広く認識されていたものといえる(甲5、甲6)。
さらに、申立人は、自らの商標を中国(甲7)及びマレーシアにおいて権利化している。このことにより、申立人の商標の使用意思、商標権の帰属が示され、商標権者は申立人の他国での登録の事実を見た上で本件商標の登録出願をしたと考えられ、故意が推認される。商標権者の行為は不当な商標登録である。
また、(1)本件商標は引用商標と類似する。(2)商標「Deer DaDa」は、そもそも申立人によって独自に採択された独創性の高い造語である。
しかるに、本件商標の商標権者は、現在に至るまで本件商標に係る指定商品について、何ら生産、販売していない。少なくとも、インターネット上の情報からは何ら明らかにされておらず、本件商標には現時点で商標権者への顧客吸引力がない状態である。仮に日本で申立人が販売を許諾していたとしても、日本での登録出願、権利化まで許諾していたとはいえない。現に、申立人は商願2022-051769の出願人と提携し、日本での登録出願及び権利化を許諾している。
これにより、本件商標の登録出願は、既に申立人が自らの商標に蓄積してきた出所表示機能を希釈化させ、あるいは引用商標に化体した信用、名声、顧客吸引力を棄損する目的をもってされる、又は申立人が商標登録出願をしていないことを奇貨として、高額で買い取らせるために先取的に出願したもの、すなわち不正の目的が推認される。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
第4 当審の判断
1 引用商標の周知性について
申立人の主張及び提出された証拠によれば、次のとおりである。
ア 申立人は、申立人商品を、我が国において、2020年(令和2年)12月には販売を開始した旨主張し、甲第2号証ないし甲第4号証を提出している。
甲第2号証ないし甲第4号証によれば、ECサイトである「Qoo10」には、「名称 Deer Da Da 地球グミ」などの記載及び、引用商標が容器に付された商品の写真が掲載されている。
しかしながら、甲第2号証の左上の「2022/6/14」の記載より、同号証の印刷日は2022年(令和4年)6月14日と解されるところ、当該日付は、本件商標の登録査定日(令和4年4月26日)よりも後であり、また、甲第3号証及び甲第4号証には、掲載日、印刷日等の日付を表す記載は見当たらない。
なお、甲第4号証の第9葉目に記載された一覧表は、外国語で作成されているにもかかわらず、翻訳文の提出がないため、その詳細な内容が明らかではないが、仮に、当該一覧表に記載されている「20201220」の数字が、2020年(令和2年)12月20日を表すものであり、それが引用商標の使用開始日だとしても、当該使用開始日から本件商標の登録出願日までの期間は非常に短いといわざるを得ない。
また、甲第2号証ないし甲第4号証における「販売者」の欄には、申立人とは異なる者の名称が記載されていることから、需要者が引用商標を申立人の商標として把握しているとはいえない。
さらに、申立人商品に関する我が国における市場シェア、売上高等の販売実績、広告宣伝の状況の多寡等が明らかではないことから、客観的な証拠に基づいて、我が国における引用商標の周知性を推し量ることができない。
イ 申立人は、引用商標について、少なくとも中国においては、需要者の間に広く認識されていた旨主張し、甲第5号証及び同号証の訳文と考えられる証拠として甲第6号証を提出する。
甲第6号証によれば、申立人は、2017年(平成29年)に中国において設立された、飴菓子(グミキャンディー)等を取り扱う企業であり、「Deer Da Da」の文字を構成中に含むブランドを保有していることはうかがえる。
しかしながら、甲第5号証がいかなる資料からの引用なのかにつき、出典等の記載がないことから、同号証は客観的な事実を証明する証拠とはいえないし、また、申立人商品に関する外国における市場シェア、売上高等の販売実績、広告宣伝の状況の多寡等が明らかではないことから、客観的な証拠に基づいて、外国における引用商標の周知性を推し量ることができない。
ウ 上記ア及びイからすれば、申立人の主張及び提出に係る証拠によっては、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国及び外国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
2 本件商標と引用商標の類否について
(1)本件商標について
本件商標は、「Deer Da Da」の文字を標準文字で表してなるものである。
そして、本件商標の構成中、「Deer」、「Da」及び「Da」の各文字間には1文字分の空白があるものの、同じ書体で、等間隔に軽重の差なくまとまりよく一体的に表されており、ことさらに、各文字を分離して称呼し観念しなければならない特段の事由が存するものとは認め得ないものであり、これより生ずる「ディアダダ」の称呼も格別冗長というべきものではなく、一気一連に称呼し得るものである。
また、構成中、「Deer」が、「鹿」等の意味を有する英単語であるとしても、「Da」及び「Da」は特定の意味を有さない語であることから、構成全体としては、特定の意味合いを有するものとして理解されない造語と認識し、把握されるものとみるのが相当である。
そうすると、本件商標は、上述のとおり、一体的に看取され、その構成文字の全体に相応して「ディアダダ」の称呼のみを生じるものであり、かつ、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標について
引用商標は、別掲のとおり、上段に、中国語表記と考えられる一部が図案化された漢字4文字(以下「漢字部分」という。)を大きく表し、下段に「Deer DaDa」の欧文字を小さく表した構成からなるところ、当該漢字部分と欧文字部分とは、視覚上、分離して看取されるばかりでなく、これらが常に一体不可分のものとしてのみ看取、把握されなければならない特段の事情も見いだせないものであるから、それぞれが独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものというのが相当である。
また、構成中の漢字部分は、我が国においては、一般の辞書等に載録されていないものであり、その構成全体をもって特定の意味を有しない一種の造語として認識し把握されるとみるのが自然であるから、特定の観念を生じないものである。
そして、構成中、「Deer DaDa」の文字部分(以下「引用欧文字部分」という場合がある。)については、「Deer」と「DaDa」の文字間にはわずかな空白があるものの、同じ書体で、等間隔に軽重の差なくまとまりよく一体的に表されており、ことさらに、各文字を分離して称呼し観念しなければならない特段の事由が存するものとは認め得ないものであり、これより生ずる「ディアダダ」の称呼も格別冗長というべきものではなく、一気一連に称呼し得るものである。
また、引用欧文字部分の構成中、「Deer」が、「鹿」等の意味を有する英単語であるとしても、「DaDa」は特定の意味を有さない語であることから、構成全体としては、特定の意味合いを有するものとして理解されない造語と認識し、把握されるものとみるのが相当である。
そうすると、引用欧文字部分は、上述のとおり、一体的に看取され、その構成文字の全体に相応して「ディアダダ」の称呼のみを生じるものであり、かつ、特定の観念を生じないものである。
(3)本件商標と引用商標の類否について
本件商標と引用商標は、上記(1)及び(2)のとおりの構成からなるものであり、本件商標と引用商標とは、その構成全体において、漢字の有無や全体の文字構成の相違などからすれば、相紛れるおそれのないものである。
一方、本件商標と引用欧文字部分は、構成文字中「Da」及び「Da」の間の空白の有無に差異を有するものの、いずれも同じつづりからなる欧文字を表記するものであるから、外観において近似した印象を与える上、称呼を共通にするものであり、観念においても異なるところはないことから、互いに相紛れるおそれのある類似の商標といえる。
そうすると、本件商標と引用商標は、全体の構成については、相紛れるおそれはないものの、引用欧文字部分の比較において、互いに相紛れるおそれのある類似の商標といえる。
3 商標法第4条第1項第10号該当性について
上記2(3)のとおり、本件商標と引用商標は互いに類似の商標であるとしても、上記1のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品であることを表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているものとは認められないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第15号該当性について
上記1のとおり、引用商標は申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていると認められないものである。
してみれば、上記2のとおり、本件商標と引用商標は類似する商標であり、引用商標の独創性の程度、本件商標の指定商品と申立人商品との関連性の程度、需要者の共通性などをあわせ考慮しても、商標権者が本件商標を本件商標の指定商品について使用した場合に、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するといえない。
5 商標法第4条第1項第19号該当性について
上記1のとおり、引用商標はいずれも申立人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されているものと認められないものである。
そうすると、上記2(3)のとおり、本件商標と引用商標が類似する商標であるとしても、上記4と同様に、本件商標は引用商標を連想又は想起させるものでもない。
してみれば、本件商標は、引用商標の顧客吸引力にフリーライドするなど不正の目的をもって使用をするものと認めることはできない。
また、仮に本件商標権者が中華人民共和国及びマレーシアにおける申立人の商標を認識しながら本件商標を登録出願したとしても、それだけでは直ちに不正の利益を得る目的や、他人に損害を加える目的などの不正の目的に通じるものではない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するといえない。
6 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2022-900282