商標異議申立
2022-900255
アートカンノアルクラシ、カンノアルクラシ
- 審判番号
- 2022-900255
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2021-087273
- 登録番号
- 6543559
- 請求日
- 2022年06月15日
- 審決日
- 2023年02月16日
- 公報発行日
- 2023年03月31日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】村松 恭子
- 【異議申立人】アッシュ・ペー・フランス 株式会社
- 【異議申立人代理人】久野 恭兵
- 審判長/審判官
- 審判長 旦 克昌
- 審判官 岩崎 安子
- 審判官 馬場 秀敏
- 分類
- T1651.22 -Y (W14182035)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項7号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第7号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
登録第6543559号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6543559号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第6543559号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおり、「アート感のある暮らし」の文字を横書きしてなり、令和3年6月28日に登録出願、第14類、第18類、第20類及び第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同4年3月4日に登録査定され、同年4月12日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の3第2項の規定により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証を提出した。
(1)申立人と商標権者の関係について
商標権者は、1984年3月1日から2021年11月30日の約37年もの間、申立人であるアッシュ・ペー・フランス株式会社(以下「申立人会社」ということがある。)に在籍していた(甲1)。
商標権者は、申立人会社の創設者(2021年2月に退任)の配偶者でもあり(甲2)、同社の役員経験者でもある。
つまり、商標権者は、十分に申立人の事業内容を理解・認識し得る立場であったことがわかる。
(2)「アート感のある暮らし」について
本件商標「アート感のある暮らし」は、申立人が2019年から展開している店舗の名称「アート感のある暮らし」と同一である。
申立人が使用する「アート感のある暮らし」は、インテリア、雑貨、服飾などの販売を行う、いわゆるライフスタイルショップのブランド名である(甲3)。
株式会社パルコが運営するファッションビルブランド「PARCO」の旗艦店である渋谷PARCOのリニューアルオープンにあわせて、2019年11月から「H.P.DECO アート感のある暮らし」を大々的にオープンし(甲4)、2020年8月からは大阪市にある阪急百貨店うめだ本店でも「H.P.FRANCE アート感のある暮らし」を展開している(甲5)。
(3)本件商標の経緯について
商標権者により、本件商標「アート感のある暮らし」が出願されたのは、申立人が「アート感のある暮らし」の使用を開始した2019年11月より後の2021年6月28日である(甲7)。
また、出願日時点において、商標権者は申立人会社の社員であり、出願行為が同社在籍期間中に行われていたことがわかる(甲1)。
つまり、商標権者は「アート感のある暮らし」を申立人が2019年11月から使用している商標であることを十分に認識・理解している立場であったにもかかわらず、自己の名義で本件商標の出願を申立人に無断で行っていたことになる。
もちろん、当該行為は就業規則第34条(甲9)に違反してなされたものであり許されるものでない。
そして、商標権者が同社を退職(退職日:2021年11月30日)した後である2022年4月12日に、本件の登録手続きを行っている(甲10、甲7)。
このような経緯をみるに、同社の元社員である商標権者が、退職後に自己の地位を有利にすることを目的に、本件商標を申立人に無断で、同社在籍中に商標登録出願し、退職後に商標権を取得したものと考えざるを得ない。
つまり、本件商標の出願の経緯は、著しく社会的相当性を欠くものがあり、このような経緯がある商標に対して、商標権者の名義にて商標登録を認めることは、妥当ではないと確信する。
このことは、商標権者が行った他の商標登録出願の内容をみても明らかである。
特許情報プラットフォームで商標権者名義にて商標検索を行うと、本件商標の他、2件の商標登録出願がヒットし(甲6、甲8)、当該商標は、いずれも申立人が使用する周知・著名商標である。
そのことは商標権者も十分理解しているにも関わらず、商標権者はわざわざ商標登録出願を行っている。
このことからも、商標権者は悪意をもって申立人に関する商標について、商標登録出願を繰り返していることがわかる。
申立人会社を狙ったこのような行為を、今後も繰り返させないためにも、本件申立を行い本件商標の取り消しを求めるものである。
(4)まとめ
以上より、商標権者による、本件商標に関する商標登録出願の経緯は、社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないものである。
よって、本件商標は、公序良俗に反するものであり、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものである。
3 当審の判断
申立人は、申立人会社の元社員である商標権者は退職後に自己の地位を有利にすることを目的に、申立人が商標「アート感のある暮らし」を使用していることを知りながら、本件商標を申立人に無断で、申立人会社在籍中に商標登録出願し、退職後に商標権を取得したのであるから、本件商標は、その出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、これを商標権者の名義にて商標登録を認めることは商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないものである旨主張しているので、以下検討する。
(1)申立人提出の甲各号証について
申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、商標権者は、1984年3月1日から2021年11月30日の間、申立人会社に在籍し(甲1、甲10)、申立人会社の代表者(2020年8月26日時点)の配偶者であり(甲2、甲5)、商願2021-77011(商標:H.P.FRANCE アッシュ・ペー・フランス)、商願2021-86527(商標:H.P.FRANCE)及び商願2021-87273(本件商標)を出願したこと(甲6~甲8)並びに申立人は、インテリア、雑貨などを販売する店舗「H.P.DECO アート感のある暮らし」を2019年11月に東京・渋谷パルコに、同店舗「H.P.FRANCE(アッシュ・ペー・フランス) アート感のある暮らし」を2020年8月に大阪・阪急百貨店うめだ本店に出店したこと(甲3~甲5)が認められる。
(2)商標法第4条第1項第7号該当性について
上記(1)の認定事実に加え、上記1のとおりの本件商標に係る出願等の手続きの経緯をあわせみれば、商標権者は、申立人会社在籍中に、申立人の店舗名の一部に「H.P.FRANCE」「アート感のある暮らし」の文字が用いられていることを承知のうえ、本件商標など上記3件の登録出願をし、退職後に本件商標に係る商標登録を取得したとみるのが合理的である。
しかしながら、このような状況において、商標権者と同人が在籍していた会社との間で商標権の帰属に係る問題が生じた場合、通常、登録異議の申立て前(登録出願前を含む。)に、商標権者と在籍していた会社との間で何らかのやり取りを行うことが一般的であることからすると、本件商標の商標権者と申立人との間における本件商標に係るやり取りを示す証左の提出がないことは不自然であるし、また、申立人提出の証拠によっては、商標権者が、申立人会社退職後に自己の地位を有利にすることを目的に、申立人に無断で本件商標を出願したというべき事情は見いだせず、かつ、本件商標が、その出願及び登録の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないものであるなど、公序良俗に反するものというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、公序良俗に反するものということはできないから、商標法第4条第1項第7号に該当するものといえない。
(3)むすび
以上のとおりであるから、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号に違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2022-900255