商標異議申立
2022-900243
サガ
- 審判番号
- 2022-900243
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2020-105287
- 登録番号
- 6536082
- 請求日
- 2022年06月06日
- 審決日
- 2023年07月27日
- 公報発行日
- 2023年10月27日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】株式会社スクウェア・エニックス
- 【権利者代理人】中里 浩一
- 【権利者代理人】川崎 仁
- 【権利者代理人】三嶋 景治
- 【異議申立人】サガ ファーズ オー ワイ ジェー
- 【異議申立人代理人】村井 康司
- 【異議申立人代理人】魯 佳瑛
- 審判長/審判官
- 審判長 豊田 純一
- 審判官 杉本 克治
- 審判官 岩谷 禎枝
- 分類
- T1652.13 -Z (W1825)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号商標法43条の3第2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1号、商標法第4条第1項第19号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
登録第6536082号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6536082号商標の指定商品中、第18類「全指定商品」及び第25類「全指定商品」についての商標登録を取り消す。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6536082号商標(以下「本件商標」という。)は、「SAGA」の文字を標準文字で表してなり、令和2年8月25日に登録出願、第18類「かばん金具,がま口口金,皮革製包装用容器,愛玩動物用被服類,かばん類,袋物,トートバッグ,クラッチバッグ,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,パスケース」、第25類「ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服」及び第5類、第8類、第14類、第16類、第20類、第21類、第24類並びに第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同4年3月2日に登録査定、同月29日に設定登録されたものである。
第2 引用商標及び引用標章
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議の申立ての理由に該当するとして引用する登録商標及び標章は、以下の1ないし8のとおりである。
1 登録第801272号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:別掲1のとおり
指定商品:第20類「クッション,座布団,まくら,マットレス」、第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「被服」
登録出願日:昭和42年5月15日
設定登録日:昭和43年12月17日
書換登録日:平成21年6月10日
2 登録第1672623号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:SAGA
指定商品:第18類「ミンク及びその他の動物の毛皮,その他の皮革(革ひもを除く。)」
登録出願日:昭和55年6月6日
設定登録日:昭和59年3月22日
書換登録日:平成17年8月17日
3 登録第2153176号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:別掲2のとおり
指定商品:第18類「毛皮」
登録出願日:昭和62年2月10日
設定登録日:平成元年7月31日
書換登録日:平成22年10月6日
4 国際登録第1141471号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:別掲3のとおり
指定商品及び指定役務:「Furs.」を含む第18類、第24類及び第35類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務
国際商標登録出願日:2012年9月19日
設定登録日:平成26年3月14日
5 国際登録第1237626号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の構成:SAGA VISION
指定商品及び指定役務:「Furs.」を含む第18類、「Clothing.」を含む第25類、第24類、第35類、第40類及び第42類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務
国際商標登録出願日:2014年12月8日
優先権主張:2014年12月5日(EM)
設定登録日:平成28年3月11日
6 国際登録第1126908号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の構成:SAGA FURS LUMI ROYAL
指定商品:「Furs.」を含む第18類及び「Clothing.」を含む第25類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品
国際商標登録出願日:2012年6月14日
優先権主張:2012年3月21日(EM)
設定登録日:平成25年9月27日
7 国際登録第1127109号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の構成:SAGA LUMI ROYAL
指定商品:「Furs.」を含む第18類及び「Clothing.」を含む第25類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品
国際商標登録出願日:2012年6月14日
優先権主張:2012年3月21日(EM)
設定登録日:平成26年10月17日
8 申立人が同人の取り扱いに係る高品質の毛皮等の商品(以下「申立人商品」という。)に使用する標章は、「SAGA」の欧文字(以下「引用標章」という。)よりなり、本件商標の登録出願日より前に日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されていると主張するものである。
なお、引用商標1ないし引用商標7の商標権は、いずれも現に有効に存続しているものであり、これらをまとめていう場合は、以下「引用商標」といい、引用商標と引用標章をまとめていう場合は、以下「申立人商標及び標章」という。
第3 登録異議の申立ての理由の要旨
申立人は、本件商標は、その指定商品中、第18類「全指定商品」及び第25類「全指定商品」(以下「本件異議申立てに係る指定商品」という。)について、商標法第4条第1項第7号、同項第10号及び同項第19号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第20号証(枝番号を含む。)を提出した。
以下、証拠の表記に当たっては、「甲第〇号証」を「甲〇」のように省略して記載し、枝番号の全てを表示する場合は、枝番号を省略する。
1 引用商標
申立人は、本件商標と同一文字からなる引用商標1ないし引用商標3を所有している。なお、「SAGA」の欧文字は、申立人の名称「サガ ファーズ オー ワイ ジェー(SAGA FUR Oyj)」の要部である。
申立人は、「SAGA」の欧文字を含む商標登録を第18類及び第25類において、アンドラ、英国、カナダ、チリ、中国、デンマーク、欧州、フィンランド、香港、アイスランド、インド、イスラエル、イタリア、韓国、ノルウェー、ロシア、スウェーデン、スイス、台湾、トルコ及び米国の複数の国において保有している(甲10)。
また、申立人は、「SAGA」の商標登録に加え、「SAGA」の欧文字で始まる商標登録(ファミリー商標)を複数有しており、我が国では、引用商標4ないし引用商標7を有している。さらに、申立人は、引用商標に加えて、「SAGA MINK」、「SAGA FOX」、「SAGA ROYAL」等の商標を他国で登録している(甲11)。
例えば、株式会社オンワードホールディングスは、無料で会員登録ができるオンラインサイト において、「SAGA ファー」と表示しているが、これは、我が国においても「FUR(ファー)」が「毛皮」の意味を有するものと広く知られており、商品の一般名称として理解されていることから、「SAGA FUR」ではなく、「SAGA ファー」と表示されているものと考えられる。
また、当該サイトの商品説明のうち、素材説明の欄では「SAGA・・フィンランドが設立したミンクとフォックスの毛皮養殖団体「サガ・ファー」。その団体の厳格な品質検査に合格したもののみに与えられるブランドネームが「SAGA」です。」と説明書きがある(甲12)。
以上のことから、「SAGA FUR」という表示であっても、需要者は「SAGA」を要部と認識していることが明らかである。
また、インターネット上においてファー及び毛皮専門店であるエルベート株式会社が「毛皮の特徴と用語解説」で、「SAGA フォックスの特徴」及び「SAGA ミンクの特徴」として、「サガ(SAGA)とは、デンマーク・ノルウェー・スウェーデン・フィンランドで生産される最高級のミンクとフォックスの品質を保証する登録商標のブランド名です。それら4か国の毛皮生産者団体が集まり、サガ・ミンクとサガ・フォックスの国際的プロモーションをおこなう為に設立された組織でもあります。その団体の厳格な品質検査に合格したフォックスのみに与えられるブランドネーム。更にその中から選びぬかれた最高品質の原皮には「サガ・ロイヤル」の称号が与えられます。」と案内し、「SAGA」ブランドが高品質の商品に付されるブランドであるとともにそのラベル表示を紹介している(甲13、甲14)
以上のことから、「SAGA」の欧文字及び「SAGA」の欧文字で始まるファミリー商標はその使用において、「SAGA」の欧文字を要部として認定している。
2 申立人について
申立人は、1938年にフィンランドの毛皮動物飼育業者協会がフィンランド共和国ヘルシンキに設立した組織であり、1940年代、フィンランド国内において毛皮のオークションを開催し、1950年代、同国内で初の毛皮の国際オークションを開催し、1953年からは毎年、毛皮の国際コンペティションを開催し、1960年代には、他者に先駆けて、飼料や繁殖に多大な投資を行い、これにより、「SAGA」の毛皮は知られるようになり、ファッション業界のクリスチャン・ディオールやジーン・ミュアーが関心を持ち、「VOGUE」(1967年5月号)で取り上げられ、各種投資も行い、1960年末には毛皮ブランドとしての名声を確立した。
1970年代には、コンペティションを通じて、新しい世代のデザイナーにインスピレーションを与え、1980年代には、フィンランドに新設したファーセンターで最初のオークションを開催し、1986年には、毛皮会社として初めてヘルシンキ証券取引所に上場し、さらに、1988年、Saga Furs Design Centreがオープンし、中国市場にも参入した。
1990年には、生産者が繁殖動物とその家系を登録するためのツールを開発し、利用を開始し、1990年代後半には自動グレーディングマシンを導入し、Sagaグレーディングシステムの信頼性をさらに向上させ、デザインセンターは、毛皮を使ったホームデコールで最初のイノベーションを起こした。
2000年には、ニューヨークで「Fur Vision」を開催し、デザインセンターのイノベーションと新しい技術を世界のファッション都市に伝え、ニューヨークの成功に続き、ミラノ、パリ及びロンドンで同様のイベントを開催した。
2005年には、申立人がフィンランドの毛皮生産者協会と協力し、毛皮生産に関する画期的な基準を開始し、申立人は衣料品に含まれる素材を原産地まで追跡することを可能とする初のトレーサビリティ・システムを立ち上げた。
2008年には、業界初のCSRポリシーを導入し、国連が提唱する「グローバル・コンパクト」に参加し、2010年代には、アジアにおける重要なマイルストーンを達成し、「Fur Vision Asia」を立ち上げ、2018年には、BIFTPARK Hainingでトレーニングプログラムを開始し、Sagaのファーイノベーションとクラフトマンシップを中国の未来のためのクリエイティブな才能に拡張し、繁殖プログラムSampoは、2013年にSagaエクストラネットからアクセスするウェブベースのツールとしてWebSampoを立ち上げ、ミレニアルレベルに引き上げられた。
Googleを利用し、「SAGAファー」を検索すると、920万件以上の件数が抽出され、その中には、「楽天市場」、「商社の販売サイト」、「メルカリ」等の販売サイトが広く抽出される事情があることから、我が国において毛皮関連では申立人の商品が広く取り扱われていることが分かる(甲15)。
また、「サガフォックス 偽物 見分け方」というキーワード検索すると、申立人の商品の偽物が広く流通していることも明らかであり、引用商標と同一又は類似する商標の登録が認められることにより、さらに市場における混同が生じる機会を生むことになる(甲16)。
なお、申立人は、1年に4回ないし6回程度の国際的なオークションを開催しており、日本企業も参加し、我が国でも、2018年10月25日及び26日、2019年11月5日及び6日に、オークションが開催されている(甲17、甲18)。
3 本件商標の商標権者の不正の目的について
申立人(決定注:本件商標の権利者(以下「本件商標権者」という。)の誤記と認める。)は、同社のホームページにおいて株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス(以下「スクウェア・エニックス・ホールディングス社」という。)の100%子会社であることが明示されており(甲19)、また、スクウェア・エニックス・ホールディングス社は、2008年10月1日に持株会社体制へ移行し、ゲーム事業・コンテンツ事業・出版事業などを本件商標権者へ承継しており(甲20)、本件商標権者が承継した事業は、ゲーム事業、コンテンツ事業、出版事業等が中心で、ファッション関係の業務と直接関係する事業ではない。
本件商標は、非常に幅広い区分を指定し、登録出願しているものの、各区分の指定商品の全てについて本件商標を使用する意思があるかどうかは疑わしいことが容易に推認できる。
さらに、自らの事業と直接関係のない商品分野において商標登録する行為は防衛的な手段として取られる場合もあるが、他者の周知・著名商標が存在する場合、その行為には不正目的があり得るとみなしても不自然ではない。
4 商標法第4条第1項第10号該当性について
本件商標と申立人商標及び標章は同一である。
また、本件商標(決定注:申立人商標及び標章の誤記と認める。)は、我が国において「毛皮」及びそれを素材とする被服、帽子等に関連するファッションについて一定の周知度・著名度を取得している。
よって、本件商標を、特に「毛皮」製品又は「毛皮」を素材とする被服等について使用する行為は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
5 商標法第4条第1号第19号該当性について
本件商標と申立人商標及び標章は同一である。
また、申立人は、常に企業名の要部である「SAGA」の欧文字を用いて80年以上も国際的な活動をしてきており、特に2010年代からはアジア地域及び我が国においても積極的に活動してきた結果、前述のとおり一定の周知度を取得している。
一方で、本件商標権者の事業がゲームソフト販売及び開発であることを考慮すると、事業として、本件異議申立てに係る指定商品の取扱いは極めて疑わしい。
また、万一、本件異議申立てに係る指定商品に本件商標を使用するといった場合であっても、それは商標としての使用ではなく、1989年にロールプレイングゲームとして販売した「魔界塔士Sa・Ga」に端を発する同社が開発したサガシリーズのゲームに関する情報と相まって使用されるにすぎないことが容易に想像できる。
以上のことから、本件商標は、本件異議申立てに係る指定商品との関係において、申立人商標及び標章に便乗する不正の目的があり、商標法第4条第1項第19号に該当する。
6 商標法第4条第1号第7号該当性について
本件商標が商標法第4条第1項第10号及び同項第19号に該当しない場合であっても、申立人商標及び標章には使用による信用が化体されており、商標法上、保護すべき商標であるから、本件商標の登録は、社会的相当性を欠くものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。
第4 当審における取消理由
当審において、本件商標権者に対し、別掲4ないし別掲7のとおりの事実を提示した上で、本件商標は、本件異議申立てに係る指定商品について、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである旨の取消理由を令和5年4月4日付けで通知し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えた。
第5 商標権者の意見
上記第4の取消理由に対し、商標権者は、何ら意見を述べていない。
第6 当審の判断
1 本件商標の商標法第3条第1項第3号該当性について
本件商標は、上記第1のとおり、「SAGA」の文字を標準文字により表してなるものであり、「SAGA」の文字に相応して「サガ」又は「サーガ」の称呼が生じ得るところ、別掲4のとおり、我が国の代表的な国語辞書である「広辞苑 第7版」(株式会社岩波書店発行)には、「サガ」に対応する見出し語として、「サガ【Saga ノルウェー】(サーガとも)」、「さが」、「さが【相・性】」、「さが【祥】」、「さが【佐賀】」及び「さが【嵯峨】」があることからすれば、「SAGA」の文字は、各意味合いを生じ得るものの、そのうちの「佐賀」及び「嵯峨」は、それぞれ、「(1)九州地方北西部を占める県。(2)佐賀県東部の市。県庁所在地。」及び「京都市の北西隅、右京区の地名。」という、我が国の県名の一、県庁所在地の一、あるいは、京都の有名な観光地の一(別掲5)を意味する語として、本件商標の登録査定時前から、広く一般に知られていると認められる。
そして、別掲6のとおり、本件商標の登録査定時前から、京都の有名な観光地の一である「嵯峨」において、本件異議申立てに係る指定商品中の「財布、バッグ、和傘」等が販売されていたこと、また、別掲7のとおり、佐賀県(市)を「SAGA」と表して物産品、農産物や文化等に関する情報が紹介されていることから、佐賀県(市)において、本件異議申立てに係る指定商品が製造又は販売されていたことは容易に認識し得るものと判断するのが相当である。
そうすると、本件商標「SAGA」は、これを本件異議申立てに係る指定商品に使用する場合、本件商標に接する取引者、需要者に、「佐賀」又は「嵯峨」という「地名」を連想、想起させる蓋然性が高いというべきであって、その商品が佐賀県(市)又は有名な観光地である嵯峨で製造又は販売された商品であること、すなわち、本件異議申立てに係る指定商品の産地又は販売地を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものであるから、本件商標は、自他商品の識別標識とは認識し得ないものである。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
2 まとめ
以上よりすると、本件商標は、本件異議申立てに係る指定商品について、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録は取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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