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商標異議申立

2022-900240

イクスケース、アイケイエスケース、イクス、アイケイエス

審判番号
2022-900240
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2021-093100
登録番号
6535566
請求日
2022年06月06日
審決日
2023年03月15日
公報発行日
2023年07月28日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】深▲セン▼市佳佳佳電子科技有限公司
  • 【異議申立人】ヴィンチ ブランズ エルエルシー
  • 【異議申立人代理人】井関 勝守
審判長/審判官
  • 審判長 冨澤 美加
  • 審判官 森山 啓
  • 審判官 小林 裕子
分類
T1651.25 -Y (W09) / T1651.271-Y (W09)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第15号
データ出所
審決公報(XML)

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登録第6535566号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6535566号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6535566号商標(以下「本件商標」という。)は、「IKSCASE」の文字を標準文字で表してなり、令和3年7月27日に登録出願、第9類「スマートフォン用のカバー,スマートフォン用のケース,スマートフォン用保護フィルム,スマートフォン専用透明保護カバー,無線呼出し受信機(ポケットベル)の持ち運びケース,マウス(コンピュータ周辺機器),マウスパッド,コンピュータ用リストレスト,ラップトップ型コンピューター専用バッグ,ラップトップ型コンピューター用保護ケース」を指定商品として、同4年3月8日に登録査定され、同月28日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において、本件商標が商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に該当するとして引用する商標は、別掲1のとおりの構成よりなる商標(以下「引用商標1」という。)及び、別掲2のとおりの構成よりなる商標(以下「引用商標2」という。)であって、いずれも、商品「コンピュータ用のケース,コンピュータ用のバッグ,コンピュータ周辺機器用のケース,コンピュータ周辺機器用のバッグ,スマートフォン用のカバー,スマートフォン用のケース」について使用され、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されている商標であると主張するものである(以下、引用商標1と引用商標2をまとめて「引用商標」という場合がある。)。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきものである旨申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第25号証を提出した。 1 商標法第4条第1項第10号について (1)申立人について 申立人は「ヴィンチ ブランズ エルエルシー(原語表記:「Vinci Brands LLC」、以下「ヴィンチ社」という。)」であるところ、同法人は、前身を「Armor Acquisition,LLC」とするものであり、2021年8月24日に、ヴィンチ社に名称変更された(甲3)。「Armor Acquisition,LLC」は、「インケイス デザインズ コーポレイション(以下「インケイス社」という。)」から、「Incase」ブランドの買収を行っており、2021年8月6日に譲渡に関する契約が締結されている(甲4、甲5)。よって、インケイス社による「Incase」ブランドの周知性は申立人によるものと同一視することができる。なお、インケイス社は、我が国において商標権を保有している(甲4~甲9)。 (2)引用商標の周知性について 引用商標は、「Apple Inc.」の公認を受けた公式パートナーブランドを示すものである。このブランドは、1997年にアメリカのカリフォルニア州サンフランシスコにて誕生し、現在に至るまでグローバルに展開している(甲3、甲10)。 我が国においても、引用商標を用いたスマートフォン用ケース等の商品が「Apple Store」(甲11)を中心に販売されていたが、それに加え、2012年2月には、国内正規代理店として「Incase Japan」が設立された(甲12、甲13)。そして、現在に至るまで、公式通販サイトの他、全国に取扱い店舗を有し、広く取引がなされている(甲14~甲16)。 申立人は、1997年にAppleから「コンピュータを外に持ち出すためのバッグ」制作を依頼された唯一のバッグメーカーであり(甲17)、引用商標は、パソコン、タブレット端末、スマートフォン、デジタルカメラ等のデジタルガジェットを収容するケースやバッグ等の業界におけるパイオニア的ブランドである。 多くの著名ブランドとのコラボ商品も展開しており、愛用者は世界中に拡大している(甲18~甲21)。我が国においても、ウェブメディアを含む数々のメディアに取り上げられ支持されている(甲22~甲24)。 ここで、特許庁の商標審査基準における第4条第1項第10号の周知性の判断については、「「需要者の間に広く認識されている」か否かの判断に当たっては、・・・例えば、以下のような事情については十分に考慮して判断する。」と示され、その事情として、「主として外国で使用されている商標については、外国において周知であること、数か国に商品が輸出されること、又は数か国で役務の提供が行われていること」と示されている。そうしたところ、申立人は、引用商標に係る登録商標を複数か国で保有しており、複数か国において商取引がなされていることは明らかである(甲4)。 このように、引用商標は、我が国においても長年にわたって使用され周知性を得ており、さらに、上記「主として外国で使用されている商標」についての事情も加味すると、本号に該当する周知性は十分に認められるべきものである。 (3)本件商標と引用商標の類否について 本件商標は、「IKSCASE」の欧文字を標準文字で表してなり、その構成から「イクスケース」の称呼を生じるものである。 引用商標1は、「Incase」(メディアによっては、「INCASE」と大文字で表される場合も含む)の欧文字で表されてなり、引用商標2は、文字の前に葉のモチーフを付加してなる態様である。そして、これらの構成から「インケース」の称呼を生じるものである。 そうしたところ、「イクスケース」と「インケース」とはいずれも、「ケ」の部分にアクセントを置いて発音されるのが自然であり、また、次にアクセントが置かれるのは「イ」の部分となるのが自然である。つまり、本件商標と引用商標との相違点は、中間に位置する「クス」と「ン」の違いであるところ、これらの音はともにアクセントが置かれる強音に挟まれ、弱く発音される部分となる。このように、本件商標と引用商標との称呼の違いは中間に位置する弱音にすぎず、アクセントが置かれる語を含め、それ以外の部分で生じる称呼が共通することから、全体的印象が近似して聴覚されるものである。 また、本件商標及び引用商標に係る商品は、コンピュータやその周辺機器等のデジタルガジェット用のケースやバッグであることから、これらは一般消費者を対象とするものであり、商品の選択において特段の注意力を要する分野ではない。よって、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に観察すると、本件商標をデジタルガジェット用のケースやバッグに使用した場合には、引用商標における周知性も相まって、引用商標と出所混同のおそれがあるものといえる。 以上、本件商標は、商標法第4条第1項第10号の規定に違反して登録されたものである。 2 商標法第4条第1項第15号について 本件商標は、申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標であるから、以下、考慮事由に当てはめて述べる。 (1)類似性の程度 上述のとおり、本件商標と引用商標とは、類似性が高いものである。 (2)標章の周知度 上述のとおり、引用商標は、十分に周知性が認められるものである。 (3)標章が造語よりなるものであるか 引用商標は、特段の意味を有しない造語からなるものである。 (4)標章がハウスマークであるか 申立人は、インケイス社からの譲受人であり、引用商標は、インケイス社のハウスマークとして使用されていたものである。 (5)企業における多角経営の可能性 引用商標は、インケイス社から申立人に譲渡され、申立人であるヴィンチ社は、アパレルやアクセサリー分野を含む多くの著名ブランドを所有しており、多角経営の可能性を有している(甲15、甲16、甲25)。 (6)商品間の関連性及び需要者の共通性 上述のように、本件商標の指定商品と、引用商標の使用に係る商品とは、需要者を共通にし、かつ、互いに関連性の深い商品である。 これらの事実を総合勘案すると、本件商標は、申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標であり、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものである。 3 むすび (1)商標法第4条第1項第10号について 本件商標と引用商標とは、全体的印象が近似して聴覚される類似の商標であり、また、その指定商品の一部が同一又は類似のものである。 したがって、本件商標登録は、商標法第4条第1項第10号の規定に違反してなされたものであるから、取り消されるべきである。 (2)商標法第4条第1項第15号について 本件商標が本件指定商品に使用された場合、その商品の需要者が申立人の業務に係る商品と出所について混同するおそれがある。 したがって、本件商標登録は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反してなされたものであるから、取り消されるべきである。 第4 当審の判断 1 引用商標の周知性について (1)申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、以下のとおりである。 ア 1997年に、米国カリフォルニア州サンフランシスコにおいて、「Incase」ブランドが立ち上げられ、以降、「Incase」ブランドに係る「コンピューター用のケース,コンピュータ用のバッグ,スマートフォン用のケース」等の商品(以下「申立人商品」という。)が展開された(甲10、甲12、甲13)。 イ 我が国においては、2012年2月に、「Incase」ブランドを取り扱う国内正規代理店「INCASE JAPAN」が設立された(甲12)。 ウ 「INCASE JAPAN」は、全国に直営店を有している(甲14:2022年9月1日現在)。 エ 申立人商品は、2012年以降、2022年までに、「INCASE JAPAN」のウェブサイトや、Apple Incのウェブサイトのほか、各種ウェブサイトにおいて、「Incase」ブランドの商品として、引用商標の表示と共に紹介されている(甲11、甲13、甲14、甲17、甲23、甲24)。 オ 「Incase」ブランドと各種ブランドのコラボレーションによる申立人商品が企画、販売され、各種ウェブサイト上で、引用商標の表示と共に紹介されている(甲18~甲21)。 (2)判断 上記(1)によれば、「Incase」ブランドは、1997年に米国で立ち上げられた、申立人商品に係るブランドであること、我が国においては、2012年に「Incase」ブランドを取り扱う国内正規代理店が設立され、全国に直営店を有していること、遅くとも2012年以降、申立人商品には、引用商標が使用され、「Incase」ブランドの商品として取り扱われていることがうかがえる。 しかしながら、引用商標を使用した申立人商品についての、我が国における売上高及び市場シェア等の販売実績や広告宣伝の期間、地域及び規模等の広告実績についての申立人からの主張はなく、それを示す証左も見いだせない。 その他、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、申立人商品を表示するものとして、周知性を獲得していると認めるに足りる事実は見いだせない。 そうすると、具体的な使用事実に基づいて、引用商標の使用状況を把握し、その周知性の程度を客観的に推し量ることができないから、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品を表すものとして、我が国における需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。 2 商標法第4条第1項第10号該当性について (1)引用商標の周知性について 上記1のとおり、引用商標は、申立人商品を表すものとして、需要者の間に広く知られているものとは認められない。 (2)本件商標と引用商標の類似性について ア 本件商標について 本件商標は、上記第1のとおり、「IKSCASE」の文字を標準文字で表してなるところ、これは、辞書等に載録されている語ではなく、特定の意味合いをもって認識されているような事情も見いだせないことから、特定の観念を有しない一種の造語として認識、把握されるものである。 そして、特定の語義を有しない造語にあっては、これを称呼する場合には、我が国において親しまれているローマ字読み又は英語の読みに倣って称呼するのが自然である。 そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して「イクスケース」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 イ 引用商標について (ア)引用商標1について 引用商標1は、別掲1のとおり、「Incase」の欧文字を横書きしてなるところ、当該文字は、「・・・ケース[箱、袋など]に入れる」等の意味を有する英語「encase」の同義語(株式会社小学館 ランダムハウス英和大辞典第2版)であるものの、我が国において親しまれた語とはいい難いものであるから、一種の造語として理解されるとみるのが相当である。 そして、特定の語義を有しない造語にあっては、これを称呼する場合には、我が国において親しまれているローマ字読み又は英語の読みに倣って称呼するのが自然である。 そうすると、引用商標1は、その構成文字に相応して「インケース」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 (イ)引用商標2について 引用商標2は、別掲2のとおり、葉をモチーフにしたとおぼしき図形を表し、その右側に「incase」の文字を書してなるところ、図形部分と文字部分は、視覚上分離して把握されるものである。 そして、図形部分は、特定の事物を表したものとして認識されるような事情は見いだせないことから、これより特定の観念を生じるものではない。また、文字部分は、引用商標1と同じつづりからなるものであるから、上記(ア)と同様に、一種の造語として理解されるとみるのが相当である。 そうすると、引用商標2の図形部分と文字部分とは、視覚上分離して把握され、互いに意味上のつながりも有しないものであるから、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいえず、それぞれが独立して、商品の出所識別機能を有する要部として認識され得るものである。 以上からすると、引用商標2は、その要部である「incase」の文字部分に相応し、引用商標1と同様に、「インケース」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 ウ 本件商標と引用商標との類否について 本件商標と引用商標1とを比較すると、本件商標を構成する「IKSCASE」の文字と、引用商標1を構成する「Incase」の文字とは、文字数及び文字構成において明らかに異なるものであるから、外観において相紛れるおそれはない。 また、本件商標と引用商標2を比較すると、本件商標が文字のみからなるものであるのに対し、引用商標2は図形と文字よりなるものであるから、両者は外観上判然と区別し得る。そして、本件商標と引用商標2の文字部分を比較しても、文字数及び文字構成において明らかに異なるものであるから、両者は外観において相紛れるおそれはない。 そして、本件商標から生じる「イクスケース」の称呼と、引用商標から生じる「インケース」の称呼とは、音数及び音構成において明らかに相違するものであるから、両者は明瞭に聴別し得るものである。 さらに、本件商標と引用商標とは、いずれも特定の観念を生じないものであることから、両者は観念において比較することはできない。 そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのないものであるから、両者の外観、称呼及び観念等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は非類似の商標というのが相当である。 (3)小括 上記(1)のとおり、引用商標は、申立人商品を表すものとして、需要者の間に広く知られているものとは認められない。また、上記(2)のとおり、本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから、本件商標の指定商品と引用商標の使用商品が同一又は類似するものであるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第15号該当性について 上記1のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることができない。 また、本件商標と引用商標は、上記2のとおり、相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、類似性の程度は低いものである。 そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。 その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 4 むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同項第15号のいずれにも該当するものではないから、その登録は、同条第1項の規定に違反してされたものとはいえず、ほかに同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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