商標異議申立
2022-900233
イーラ、エラ、イラ
- 審判番号
- 2022-900233
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2021-015224
- 登録番号
- 6537156
- 請求日
- 2022年06月03日
- 審決日
- 2023年04月25日
- 公報発行日
- 2023年06月30日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】今城 克典
- 【異議申立人】ニュー エラ キャップ エルエルシー
- 【異議申立人代理人】塚田 美佳子
- 【異議申立人代理人】山田 薫
- 審判長/審判官
- 審判長 矢澤 一幸
- 審判官 杉本 克治
- 審判官 小田 昌子
- 分類
- T1651.261-Y (W1418) / T1651.262-Y (W1418) / T1651.263-Y (W1418) / T1651.271-Y (W1418) / T1651.222-Y (W1418)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号商標法4条1項15号商標法4条1項19号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項第19号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
登録第6537156号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6537156号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第6537156号商標(以下「本件商標」という。)は、「ERA.」の文字を標準文字で表してなり、令和3年2月9日に登録出願、第14類「ネックレス,ブレスレット,ペンダント,イヤリング,宝石ブローチ,メダル,指輪,ロケット,貴金属製き章,貴金属製バッジ,貴金属製ボンネットピン,ネクタイ留め,ネクタイピン,カフスボタン,身飾品,貴金属,宝玉及びその模造品,キーホルダー,宝石箱,記念カップ,記念たて,時計」及び第18類「トートバッグ,ポーチ,バックパック,ハンドバッグ,スーツケース,通学用かばん,ブリーフケース,ビーチバッグ,スポーツバッグ,ショルダーバッグ,トランク,手提げかばん,かばん類,キーケース,がま口,財布,カード入れ,名刺入れ,袋物,かばん金具,がま口口金,蹄鉄,レザークロス,皮革,皮革製包装用容器,携帯用化粧道具入れ,傘,つえ,つえの柄,つえ金具,ステッキ」を指定商品として、同4年3月14日に登録査定、同月30日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立人が引用する商標
(1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録第5011207号商標(以下「引用商標1」という。)は、「NEW ERA」の文字を標準文字で表してなり、平成18年2月14日登録出願、第14類「時計,宝玉及びその原石並びに宝石の模造品」及び第18類「かばん類,袋物,マネークリップ(貴金属製のものを除く。)」のほか、第9類、第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同年12月15日に設定登録され、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
(2)申立人が商標法第4条第1項第15号及び同項第19号に該当するとして引用する登録商標は、上記引用商標1のほか、登録第5255423号商標(以下「引用商標2」という。)であって、引用商標2は、別掲のとおりの構成よりなり、平成21年4月3日登録出願(優先権主張:2008年(平成20年)12月11日)、第25類「野球帽子,その他の帽子」を指定商品として、平成21年8月7日に設定登録され、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
なお、引用商標1及び引用商標2をまとめていうときは、「引用商標」という。
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第51号証を提出した。
以下、証拠の記載に当たっては、甲第○号証を「甲○」(○は数字)のように記載する。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標と引用商標1の対比
本件商標は、「ERA.」の文字を書してなり、引用商標1は、「NEW ERA」の欧文字を書してなるところ、本件商標と引用商標1の差異は、「NEW」の文字の有無と「ERA」の文字の後ろにあるピリオドの有無のみである。
「New」の文字の有無がある場合に類似とされた例(甲5~甲13)のように、一般の需要者、消費者が引用商標1に接した場合、「NEW」の文字よりも「ERA」という語に着目するものである。
そうすると、「NEW」の文字の有無があったとしても、本件商標と引用商標1とは、「ERA」の文字部分において、称呼及び観念が同一となり、両商標に接する需要者及び消費者において出所について混同が生じるおそれがある。
イ 取引の実情
ファッション業界の取引の実情として、セカンドラインというブランド戦略がある。デザイナーズブランドの普及版として、買いやすい価格帯に設定して、ビジネスを拡大するものである。指定商品に関連するファッション業界において、著名商標の一部と同一である本件商標は、著名商標のセカンドラインであると、取引者、需要者において誤認混同するおそれがある(甲15)。
ウ 本件商標の指定商品と引用商標1の指定商品の類似
本件商標の指定商品と引用商標1の指定商品は、同一又は類似する。
エ むすび
上記のとおり、本件商標は、引用商標1と類似するものであり、本件商標の指定商品は、引用商標1の指定商品と同一又は類似のものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 引用商標の著名性について
申立人は、ニューヨーク州バッファローにある、アメリカ合衆国の帽子製造会社であり、米国メジャーリーグベースボール(MLB)の全てのチームと、その傘下のマイナーリーグ所属チームの野球帽を独占的に製造、販売している。また、韓国野球委員会や日本野球機構、オーストラリアン・ベースボールリーグの参加の一部のチームの帽子も扱い、さらに、ナショナルホッケーリーグ(NHL)、ナショナル・バスケットボール・リーグ(NBA)、ナショナルラグビーリーグ、オーストラリアのクリケットのリーグ、リトルリーグや200以上のアメリカ合衆国の大学と業務提携を結んでいる。2012年には、ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)がフィールドで用いるキャップの公式プロバイダーとなった。2013年、申立人は、ナショナル・ラクロス・リーグ(NLL)の公式キャップ・サプライヤーになった。2014年には、バスケットボールユーロリーグの独占的な帽子プロバイダーとなった。
我が国において、申立人は、2004年にプロ野球チームDeNAベイスターズと選手用キャップ契約をし、2020年には、読売ジャイアンツとプロジェクトが始まり、現在、12球団のオフィシャルキャップを手掛けている(甲16)。
また、申立人は、我が国において、多くの「NEW ERA」関連の商標を登録している。
申立人は、我が国において、子会社であるニューエラジャパン合同会社を設立し、商品の販売を展開し、我が国のファッションの中心地である新宿や渋谷に加えて、原宿、横浜、大阪、札幌、福岡、名古屋等に直営店を構え(甲17)、直営店以外にも主要都市の集客力の高い多数のデパートやショッピングモールで「NEW ERA」製品が取り扱われており、その取り扱い店舗数は、インターネット店舗も含め、日本全国で約3,000店舗に及ぶ(甲18、甲19)。
引用商標が掲載されている申立人のウェブサイトへの閲覧数及び申立人の製品の売上げは年々増加しており、帽子、アパレル、バッグ類、アクセサリーの売上げは、2017年度で約56.6億円、2018年度で約69.5億円、2019年度で約77.1億円、2020年度で約74.6億円、2021年度は約105億円となっている。かかる売上げのほとんどの商品に申立人のハウスマークである引用商標が付されている。このような売上げの増加は、積極的に広告宣伝活動を行っているからでもある。
申立人は、SNS(Instagram、facebook等)で広告宣伝活動に多大な労力と費用をかけている(甲20)。
また、申立人は、2017年から2018年にかけて電車、駅での広告(甲21)、雑誌での広告(甲22)を行っており、インターネットでのリスティング広告(甲23)、多くのプロのスポーツチームやスポーツ選手などのスポンサーとなっている(甲24~甲35)。
引用商標の価値を高めるため、申立人は、上記のようなスポーツ界の著名人やチームとスポンサー契約を行うなど多額の宣伝広告費をかけている。
また、申立人は、著名なブランドとコラボした商品を販売していることでも知られている(甲36~甲46)。
以上から、本件商標の登録出願日及び登録査定時において、引用商標は、我が国において広く知られていた。
イ 出所の混同を生ずるおそれについて
(ア)類似性の程度について
上記(1)アのとおり、本件商標と引用商標1との差異は、「NEW」の文字の有無であり、特許庁において、「NEW」の文字が指定商品との関係で識別力が比較的弱い場合において、「NEW」の文字の有無の相違がある商標については、類似であると繰り返し判断されてきた。
引用商標2には、本件商標の構成文字「ERA」の文字が全て含まれている。
(イ)他人の標章の周知度について
上記(2)アのとおり、引用商標は、申立人の商標として著名である。
(ウ)他人の標章が造語よりなるものであるか、又は構成上顕著な特徴を有するものであるかについて
引用商標1は、造語ではないが、指定商品について「NEW ERA」という言葉は、独創的であり、需要者、取引者に強い印象を残す商標である。 また、引用商標2は、別掲のとおり、ユニークな態様からなり、申立人の商標として著名である。
(エ)ハウスマークであるかについて
引用商標は、申立人のハウスマーク又はハウスマークに準ずるものであり、申立人の多くの商品には引用商標が付されている(甲47)。
(オ)企業における多角経営の可能性について
申立人の商標は、野球用の帽子で著名であるが、アパレル、バッグ類など申立人の販売商品は多岐にわたっている(甲48)。
(カ)商品間、役務間又は商品と役務間の関連性について
本件商標の指定商品は、服飾の店舗において取り扱われるものであって、引用商標の指定商品と販売場所を共通にする(甲49)。
(キ)商品等の需要者の共通性その他取引の実情
本件商標の指定商品の一部と引用商標1の指定商品の一部は同一又は類似するものであり、引用商標2の指定商品「帽子」と本件商標の指定商品とは同じ店舗で販売されている。申立人の商品は男女を問わず子供から高齢者までの幅広い層の消費者により購入されており、商品の需要者は共通する。
ファッション業界の取引の実情として著名ブランドの一部を使用したセカンドライン戦略があり、本件商標は、著名商標のセカンドラインであると取引者、需要者において誤認混同するおそれがある。
(ク)申立人の商標が外国において著名であることについて
申立人の商標が外国において著名であることは、申立人が米国の国技ともいえる野球の米国メジャーリーグベースボールの全てのチームとその傘下のマイナーリーグ所属チームの野球帽を独占的に製造、販売している事実からも明らかである(甲16、甲50)。さらに、申立人の商品が世界中で販売されていることは、「NEW ERA」を含む商標が世界中で登録されていることからも明らかである(甲51)。
申立人の世界での売上げは、2020年に約962億円、2021年に約1,380億円であり、世界での広告費用は、2020年に約68億円、2021年に約109億円となっている。
ウ 小括
以上のとおり、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者・需要者が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において著名である引用商標を連想、想起して、これらの商品が申立人、あるいは申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると出所を誤認するおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第19号について
上記のとおり、引用商標は、著名な商標であるから、引用商標の文字の一部である本件商標が、申立人とは何らの関係のない第三者によって使用された場合、申立人のハウスマークの出所表示機能が希釈化され、これまで多大な努力を積み重ねて作り上げられた引用商標に化体された信用、名声が棄損されるおそれがある。また、ファッション業界に従事していれば、必ず知っている申立人の商標の一部を自己の商標として採択したことは、本件商標の権利者(以下「本件商標権者」という。)に、引用商標の名声及び信用にただ乗りしようとする意図があったことが推認される。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
4 当審の判断
(1)引用商標の周知性
ア 申立人の提出に係る証拠及び申立人の主張によれば、以下のとおりである。
(ア)申立人は、ニューヨーク州バッファローにある、アメリカ合衆国の帽子製造会社であって、1990年代に米国メジャーリーグベースボール(MLB)の全てのチームと、その傘下のマイナーリーグ所属チームの野球帽を独占的に製造する権利を与えられており、また、韓国野球委員会や日本野球機構、オーストラリアン・ベースボールリーグ等の国外リーグに所属する一部のチームの帽子も扱い、さらに、ナショナルホッケーリーグ(NHL)、ナショナル・バスケットボール・リーグ(NBA)、リトルリーグや200以上のアメリカ合衆国の大学などと業務提携を結び、2012年には、ナショナル・フットボール・リーグがフィールドで用いるキャップの公式プロバイダーとなったことに始まり、2013年、ナショナル・ラクロス・リーグ(NLL)の公式キャップ・サプライヤー、2014年には、バスケットボールユーロリーグの独占帽子プロバイダーとなった(甲16)。
なお、外国における引用商標の使用状況や広告宣伝等については具体的に確認できない。
(イ)我が国において、申立人は、2004年にプロ野球チームDeNAベイスターズと選手用キャップ契約をし、2020年には、読売ジャイアンツとプロジェクトが始まり、現在では、12球団のオフィシャルキャップを手掛けており、これらの野球帽には、そのつば又は側面の部分において、引用商標2が付され、「ニューエラ」の表示の下、その商品が紹介されている(甲16)。
また、申立人は、子会社であるニューエラジャパン合同会社を設立し、野球帽を中心にシャツやバッグの販売を展開しており、新宿や渋谷に加えて、原宿、横浜、大阪、札幌、福岡、名古屋等に直営店を構え、直営店以外にも主要都市のデパートやショッピングモールにおいて「NEW ERA」製品が取り扱われている(甲17~甲19)。
(ウ)申立人は、本件商標の登録出願前に、SNS(Instagram・facebook等)による広告(甲20)、電車内や駅での広告(甲21)、雑誌での広告(甲22)等を行い、また、多くのプロのスポーツチームやスポーツ選手などのスポンサーとなっており(甲24~甲35)、これらの広告活動において、引用商標2が付された野球帽のほか、シャツやバッグが、「ニューエラ」の表示の下、紹介されている。
(エ)「NEW ERA」は、「Ground Y」、「BURTON」、「G-SHOCK」、「GT-R」等のブランド及び「ドラゴンボール」、「機動戦士ガンダム」、「ポケットモンスター」等の人気アニメとコラボした帽子を販売しており、上記記事には、引用商標2が付された帽子等が、「ニューエラ」の表示の下、紹介されている(甲36~甲46)。
(オ)申立人は、2015年ないし2021年にかけての世界における申立人の売上高及び宣伝広告費について主張しているが、それらの実績の裏付けとなる証拠の提出はない。
イ 上記アによれば、外国における引用商標の使用状況や広告宣伝等については具体的に確認できないものの、申立人は、米国メジャーリーグベースボールの全てのチームと、その傘下のマイナーリーグ所属チームの野球帽を独占的に製造する権利を与えられていること、野球以外の複数のスポーツの帽子の公式サプライヤー等になっていることなどから、引用商標は、外国の需要者の間において、申立人の業務に係る帽子を表示するものとして、一定程度知られていたことがうかがえる。
また、我が国においては、申立人は、プロ野球チームDeNAベイスターズや読売ジャイアンツをはじめ、12球団のオフィシャルキャップを手掛けていること、主要都市の直営店やデパートにおいて、申立人に係る「NEW ERA」製品を取り扱っていること、SNS、電車及び雑誌などでの広告活動を行っていること、多くのプロのスポーツチームやスポーツ選手などのスポンサー活動を行っていること、人気アニメとのコラボなど行っていること、申立人の業務に係る帽子には、引用商標2が付されており、また、雑誌やインターネットを介した広告にも引用商標2とともに「NEW ERA」及び「ニューエラ」と表示されている。
上記を踏まえると、引用商標は、申立人の業務に係る帽子を表示するものとして「ニューエラ」と称され、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間において広く認識されていたということができる。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標について
本件商標は、上記1のとおり、「ERA.」の文字を表してなるところ、その構成中の「ERA」の文字は、「(歴史・政治上の)時代」(「ランダムハウス英和大辞典 第2版」小学館発行)の意味を有する語であるとしても、「ERA」の文字の後にピリオドが付されていることから、構成全体として、直ちに特定の意味合いを理解させるとはいえない。
そうすると、本件商標は、構成文字に相応して、英語読みの「イーラ」及びローマ字読みの「エラ」の称呼が生じるが、観念は生じない。
イ 引用商標1について
引用商標1は、上記2(1)のとおり、「NEW ERA」の文字を標準文字で表してなるところ、「NEW」と「ERA」の文字の間に一文字程度のスペースを有しているとしても、その構成文字は、同じ書体、同じ大きさをもって外観上まとまりよく一体的に表されているものである。
そして、ファッション業界の取引の実情として、著名ブランドの一部を使用したセカンドラインというブランド戦略があるとしても、引用商標1は、上記(1)のとおり、申立人の業務に係る帽子を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間において「ニューエラ」と称され、広く認識されていたものである一方、提出された証拠からは、引用商標1が「ERA」と略称されている事実や「ERA」の文字のみに着目するというべき事実は見いだせないから、引用商標1の上記構成態様とも併せみれば、引用商標1は、その構成文字全体をもって一体不可分の語を表してなると理解するとみるのが自然である。
そうすると、引用商標1は、その構成文字に相応して、「ニューエラ」の称呼のみを生じ、「申立人に係る帽子のブランド」の観念を生じる。
ウ 本件商標と引用商標1の類否について
本件商標と引用商標1とは、外観において、「NEW」の文字の有無及びピリオドの有無に差異を有するものであるから、構成文字及び構成態様が明らかに相違し、明確に区別できるものである。
また、称呼においては、本件商標は、「イーラ」及び「エラ」の称呼が生じるのに対し、引用商標1からは、「ニューエラ」の称呼が生じるから、「エラ」の称呼とは、「エラ」の音を含む点を共通にするとしても、「ニュー」の音の差異を有するものであり、「イーラ」の称呼とは、音構成が明らかに相違するから、明瞭に聴別し得るものである。
さらに、観念においては、本件商標は、特定の観念を生じないのに対し、引用商標1からは、「申立人に係る帽子のブランド」の観念が生じるから、相紛れるおそれのないものである。
以上からすると、本件商標と引用商標1とは、外観、称呼及び観念において相紛れるおそれのない非類似の商標である。
エ 小括
したがって、本件商標の指定商品と引用商標1の指定商品が同一又は類似であるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 引用商標の周知性について
引用商標は、上記(1)のとおり、申立人の業務に係る帽子を表示する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものである。
イ 本件商標と引用商標の類似性の程度について
引用商標1は、「NEW ERA」の文字を表してなり、また、引用商標2は、別掲のとおり、左側に黒色四角形内に白抜きの図形を配し、その右側に四角形輪郭線内に「NEW」及び「ERA」の欧文字を2段に配してなるところ、上記(2)のとおり、本件商標と引用商標1とは、非類似の商標であり、さらに、本件商標と引用商標2とは、図形及びピリオドの有無の差異を有することに加え、引用商標2は、引用商標1と同じ構成文字の「NEW」及び「ERA」の欧文字を2段に表したにすぎず、引用商標1と同様に、非類似の商標であるから、本件商標と引用商標の類似性の程度は低いものである。
ウ 出所の混同のおそれについて
上記ア及びイのとおり、引用商標は、申立人の業務に係る帽子を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたとしても、本件商標と引用商標の類似性の程度は低いものである。
そうすると、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者が、引用商標を連想又は想起し、他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であると誤認し、商品の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
エ 小括
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第19号該当性について
引用商標は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る帽子を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとしても、上記(2)のとおり、本件商標と引用商標とは非類似の商標である。
また、申立人の提出した証拠からは、本件商標権者が我が国及び外国において不正の利益を得る目的、他人に損害を与える目的その他の不正の目的をもって使用をするものと認めるに足りる具体的事実を見いだすことはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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