商標異議申立
2022-900214
キャットキン
- 審判番号
- 2022-900214
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2021-122136
- 登録番号
- 6527701
- 請求日
- 2022年05月20日
- 審決日
- 2023年05月30日
- 公報発行日
- 2023年10月27日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】Zsite株式会社
- 【異議申立人】グァンヂョウ カラーアイト コスメティック リミテッド
- 【異議申立人代理人】安達 友和
- 審判長/審判官
- 審判長 高野 和行
- 審判官 飯田 亜紀
- 審判官 石塚 利恵
- 分類
- T1651.22 -Z (W03)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項7号商標法43条の3第2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第19号、商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第15号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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登録第6527701号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6527701号商標の商標登録を取り消す。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6527701号商標(以下「本件商標」という。)は、「CATKIN」の欧文字を標準文字で表してなり、令和3年10月1日に登録出願、第3類「口紅,化粧品,歯磨き,せっけん類,香料,薫料」を指定商品として、同4年2月28日に登録査定され、同年3月14日に設定登録されたものである。
第2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議の申立ての理由において引用する商標は、次の1ないし4のとおりであり、これらをまとめて「引用商標」という。
1 中国商標登録第5844143号商標(甲2)
商標:別掲1のとおり
指定商品:第3類「洗顔料,バスローション,化粧品等」
登録出願日:2007年1月15日
設定登録日:2009年12月7日
2 中国商標登録第31310036号商標(甲3)
商標:別掲2のとおり
指定商品:第3類「洗顔料,バスローション,化粧品等」
登録出願日:2018年5月31日
設定登録日:2019年5月7日
3 国際登録第1452827号商標(甲4)
商標:別掲2のとおり
指定商品:第3類「洗顔料,バスローション,化粧品等」
国際登録日:2018年12月25日
指定国:EUIPO、英国、インドネシア、ニュージーランド、シンガポール、米国
4 国際登録第1468563号商標(甲5)
商標:別掲2のとおり
指定商品:第3類「洗顔料,バスローション,化粧品等」
国際登録日:2019年4月9日
指定国:メキシコ
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第15号及び同項第19号に該当し、同法第43条の2第1号により取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第33号証(枝番号を含む。以下、枝番号の全てを引用するときは、枝番号を省略して記載する。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第19号について
(1)本件商標と引用商標との類似性
本件商標は欧文字「CATKIN」からなり、引用商標も欧文字「CATKIN」からなり、両者は「キャットキン」の称呼を同一にし、外観及び観念を共通にする同一のものである。「CATKIN」は、「尾状花序」という意味を有するものの(甲6)、広く需要者にその意味が認識される語ではないことから、一種の造語として認識されるものである。このような造語とも認識される英単語が、同一又は類似の商品において採用されることは偶然の一致とは考えられない。このことは、後述する不正の目的を推認させるものである。
(2)引用商標の周知性・著名性
申立人は、1998年に設立され、化粧品の開発、生産、販売などを行う中国の会社である(甲7~甲9)。申立人の商品は、1998年から輸出が開始され、現在では、日本、米国、スペイン、英国、ロシアなどの50カ国以上に輸出されている。また、市場は、中国国内が約20%、北米が約20%、西ヨーロッパが約20%である(甲7)。また、申立人が取り扱うブランドとしては、「Catkin」「a&c」「colorite」があるが(甲9)、特に、アジア市場では、「Catkin」は高い評価と信頼を獲得している。
申立人は、2018年7月にアメリカ合衆国で、2018年10月にロシアで、2018年11月に香港で、2019年3月にイタリアで引用商標を既に使用している(甲7、甲8)。申立人が引用商標を本件商標の出願日よりも4年以上前には、既に各国で使用していたことが確認できる。
そして、日本においても、申立人による引用商標を使用した化粧品が、本件商標の出願日以前に多数のウェプページや雑誌等で紹介されている(甲10~甲15、甲20)。これらの記事から、2020年10月頃には、既に、申立人の引用商標の化粧品は、日本のウェブサイトにおける人気ランキングにランクインするほどの商品であったことから、日本において既に周知であったことを確認することができる。
また、ECサイト等のレビューの書き込みからも、本件商標の出願前の2020年8月21日には、既に日本の需要者に販売されていたことが確認できる(甲17~甲19、甲22)。
さらに、化粧品・化粧雑貨等の卸売事業を取り扱う「井田両国堂」から、申立人の日本代理店である株式会社mimi-Japan(甲21)宛の発注書(2021年1月15日~2021年12月6日)の写し(甲23)によれば、本件商標の出願日よりも前に、株式会社mimi-Japan宛に、申立人による引用商標を使用した商品が多数発注されていたことを確認することができ、2020年6月10日から2021年10月24日までの申立人による引用商標を使用した化粧品の「中華人民共和国税関輸出申告書」、「通関ペーパーレス輸出許可通知書」及び「大陸税関及び香港税関陸路輸出入マニフェスト」(甲24)も、本件商標の出願日よりも前に申立人による引用商標を使用した化粧品が多数日本に輸出されていたことを示している。
加えて、「LOFT池袋店」、「東急ハンズ 渋谷店」、「東急百貨店」及び「LAOX 自由が丘店」の店舗において、申立人による引用商標を使用した化粧品が販売されていた事実があり(甲25)、日本の各店舗における申立人の引用商標を使用した化粧品の販売数量は甲第26号証のとおりである。これらの店舗は来店客が非常に多く、このような店舗で、申立人による引用商標を使用した商品が取り扱われていた事実は、多くの需要者に申立人による引用商標が周知となっていることを示している。
以上の証拠は、引用商標は、申立人により本件商標の出願日前に外国及び日本において使用され、既に外国及び日本の需要者において周知であったことを裏付けるものである。
(3)不正の目的
本件商標は、中国及び日本を含む諸外国において周知な引用商標と同一又は極めて類似するものであるところ、その周知な商標は、造語とも認識される英単語よりなるものであるため、不正の目的がない限り、想起できるものではない。よって、本件商標の商標権者は、申立人等が日本において商標登録をしていないことを奇貨として、本件商標を採択したことは想像に難くない。
そして、本件商標権者が運営するウェブサイトの「会社概要」(甲27)を見るに、本件商標権者の事業内容として、「日本でまだ知られていない世界中で使われている商品やZ世代ならではの新たな価値を生み出している商品をピックアップしては、多くの人に届けるために運営しています。」と記載されており、本件商標権者は、各国で知られている商品を日本の需要者に販売することを事業目的としている会社である。したがって、各国で販売されている人気の高い商品について、常に情報取集をしていると考えられ、当然、諸外国及び日本において周知な申立人の引用商標についても把握していたはずである。
次に、本件商標権者の商標出願実績を検酎すると、2021年9月ないし2022年6月のわずか9か月間に19件もの商標が出願されている(甲28)。このうちのいくつかの商標は、外国のメーカーの商標を自己の商標として出願していることが伺える(甲29~甲33)。
以上より、本件商標権者は、その事業目的である「日本でまだ知られていない世界中で使われている商品・・・をピックアップしては、多くの人に届けるために」、諸外国及び日本で知られた他人のブランドに関して常に情報収集を行っているとともに、上記例のように、外国等において他人の周知な商標を不正の目的をもって自己の商標として登録しようとしているものと確信する。
(4)小括
引用商標は、申立人の「化粧品」に使用する商標として諸外国において知られ、申立人の引用商標を使用した商品は、中国をはじめ多数の国で商品が販売されている事実があり、日本においてはウェブサイトのランキングにランクインし、ウェブサイトの記事において多数取り上げられるとともに「注目の」「大人気」「話題の」等の周知性を示す文言で説明され、雑誌に掲載されるほどであり、周知な商標である。したがって、上記の事業目的の本件商標権者であれば、申立人による引用商標の存在について当然に把握し得るはずである。そして、造語と認識される引用商標を採用することは偶然の一致とは考えられないことから、本件商標権者は、甲第29号証ないし甲第32号証(決定注:「甲第33号証」の誤記と思料する。)に示した例と同様に、本件商標についても不正の目的をもって登録したものと確信する。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。
2 商標法第4条第1項第10号について
上記1で述べたとおり、本件商標は引用商標と同一又は類似であり、引用商標は申立人の「化粧品」に使用する商標として諸外国及び日本において知られ、周知性を満たすものである。
また、引用商標はその指定商品から鑑みるに少なくとも商品「口紅,化粧品」を包含しており、引用商標も同一の商品(化粧品)に使用されていることから、両商標の商品は同一又は類似する。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。
3 商標法第4条第1項第15号について
上記1で述べたとおり、本件商標は引用商標と同一又は類似であり、引用商標は申立人の「化粧品」に使用する商標として諸外国及び日本において知られ、周知性を満たすものである。
そして、上記2で述べたとおり、本件商標の指定商品と、申立人等が提供する商品との関連性は非常に高い。よって、本件商標がその指定商品に使用された場合、商品の出所について混合を生ずるおそれがあるといえる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
4 商標法第4条第1項第7号について
上記1で述べたとおり、本件商標は引用商標と同一又は類似であり、引用商標は申立人の「化粧品」に使用する商標として諸外国及び日本において知られ、周知性を満たすものである。
そして、本件商標権者は、引用商標がその指定商品につき我が国において商標登録されていないことを奇貨として、先取り的に商標登録出願し、商標権を取得したものとみるのが相当である。
してみれば、本件商標権者が、本件商標を登録出願し、商標権を取得した行為は、公正な商取引の秩序を乱すおそれがあり、ひいては公の秩序を害するおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものである。
第4 当審における取消理由
当審において、本件商標権者に対し、「本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである」旨の取消理由を、令和5年3月22日付けで通知し、相当の期間を指定して意見を求めた。
第5 本件商標権者の意見
前記第4の取消理由の通知に対し、本件商標権者は、何ら意見を述べていない。
第6 当審の判断
1 申立人及び同人が使用する商標について
申立人の提出に係る甲各号証及び同人の主張によれば、申立人は化粧品の製造、販売等を行う企業であり、「Catkin」「A&C」などの自社ブランドの化粧品の販売等を行っていること(甲9)、「CATKIN」の欧文字からなる商標(以下「使用商標」という。)が使用されている商品(口紅、アイシャドウなどの化粧品。以下「使用商品」という。)は、我が国において、遅くとも本件商標の登録出願の日前である2021年(令和3年)3月頃から、中国における人気ブランド上位のものとして紹介され(甲10~甲13)、販売されていること(甲14、甲20)、商標権者は自社が運営する「Zoomers.jp」と称するウェブページの「Zsiteの事業内容」の項で、「自社では、Zoomers.jpを運営しており、日本でまだ知られていない世界中で使われている商品やZ世代ならではの新たな価値を生み出している商品をピックアップしては、多くの人に届けるために運営しています。」「新商品を見つけて多くの人に広めるだけに留まらず、・・・」などと記載していること(甲27)、商標権者は令和4年6月までに本件商標を含め19件の商標登録出願(商標登録されているものを含む。)をし、それら登録出願に係る指定商品及び指定役務の分野は広範囲にわたり、かつ、その内の2件は商標権者以外のメーカーが使用する商標と同一と認められる商標の出願であること(甲28~甲33)などが認められる。
2 商標法第4条第1項第7号について
(1)商標法第4条第1項第7号の解釈
本号にいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」には、(a)その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合のほか、(b)当該商標の構成自体がそのようなものでなくとも、当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合も含まれる(参考:知財高裁判決 平成17年(行ケ)第10349号)。
(2)本件商標の商標法第4条第1項第7号該当性
ア 本件商標と使用商標の比較
本件商標は、上記第1のとおり「CATKIN」の欧文字を標準文字で表してなり、第3類「口紅,化粧品,歯磨き,せっけん類,香料,薫料」を指定商品とするものである。
一方、使用商標は、上記1のとおり、「CATKIN」の欧文字からなり、「口紅などの化粧品」に使用されているものである。
そこで、本件商標と使用商標を比較すると、両商標は、上記のとおりいずれも「CATKIN」の欧文字からなるものであるから、同一又は酷似するものといえる。
イ 本件商標の指定商品と使用商品の比較
上記アのとおり、本件商標の指定商品は「口紅,化粧品」などであり、使用商標が使用されている商品(使用商品)は「口紅などの化粧品」であるから、本件商標の指定商品は使用商品を含むものである。
ウ 本件商標の登録出願の経緯等
(ア)上記1のとおり、使用商品は、我が国において本件商標の登録出願の日前から紹介、販売されていたものである。
また、商標権者は、日本で知られていない世界中の商品などをピックアップし、多くの人に広めることなどを事業内容としているところ、商標権者による19件の商標登録出願は、その指定商品及び指定役務の分野が広範囲にわたり、その内2件は商標権者以外のメーカーの商品に使用されている商標と同一と認められる商標の出願である。
そして、上記ア及びイのとおり、本件商標は使用商標と同一又は酷似するものであり、その指定商品は使用商品を含むものである。
加えて、本件商標「CATKIN」の文字(語)は、「尾状花序」などの意味を有する英単語であるが(甲6)、我が国で親しまれた語ではなく特徴的な語といえるものである。
(イ)上記(ア)の事情をあわせ考慮すれば、商標権者は、偶然に、使用商標と同一又は酷似する本件商標を、使用商品を含む商品を指定商品として登録出願したとは考え難く、使用商標の存在を知った上で、それが我が国において商標登録されていないことを奇貨として、申立人による使用商標の使用を阻止ないし困難にするなどの不正の目的をもって、本件商標を登録出願したものとみるのが相当である。
エ 小括
以上からすると、本件商標は、その登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないものであって、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標といわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。
3 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当し、その登録は、同項の規定に違反してされたものであるから、その他の登録異議の申立ての理由について論及するまでもなく、本件商標は、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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