商標異議申立
2022-900205
ワンダーライフ
- 審判番号
- 2022-900205
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2021-098442
- 登録番号
- 6525993
- 請求日
- 2022年05月17日
- 審決日
- 2023年01月24日
- 公報発行日
- 2023年03月31日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社メディプロ
- 【異議申立人】ホボケン インバーションズ ソシエダッド リミターダ
- 【異議申立人代理人】杉村 憲司
- 【異議申立人代理人】杉村 光嗣
- 【異議申立人代理人】門田 尚也
- 【異議申立人代理人】長嶺 晴佳
- 審判長/審判官
- 審判長 佐藤 淳
- 審判官 豊瀬 京太郎
- 審判官 飯田 亜紀
- 分類
- T1652.261-Y (W0525) / T1652.262-Y (W0525) / T1652.263-Y (W0525) / T1652.271-Y (W0525)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号商標法4条1項15号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号、商標法第43条の3第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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登録第6525993号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6525993号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6525993号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和3年8月6日に登録出願、第5類「薬剤,医療用試験紙,医療用油紙,医療用接着テープ,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,綿棒,歯科用材料,おむつ,おむつカバー,はえ取り紙,防虫紙,乳幼児用粉乳,サプリメント,栄養補助食品,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品,栄養補助用飼料添加物(薬剤に属するものを除く。)」及び第25類「タオル地製マフラー,タンクトップ,ティーシャツ,ジャージー製運動用衣服及びジャージー製運動用特殊衣服,スウェットシャツ,スウェットパンツ,ジョギングパンツ,スポーツシャツ,被服,洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,キャミソール,和服,アイマスク,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ナイトキャップ,帽子,ガーター,靴下留め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,靴類,げた,草履類,仮装用衣服,運動用特殊靴,運動用特殊衣服」を指定商品(以下「本件指定商品」という。)として、同4年2月7日に登録査定され、同年3月10日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
1 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する商標は、以下の2件の商標であり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)国際登録第1475422号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、2021年(令和3年)2月4日に国際商標登録出願(事後指定)され、第25類「Clothing; footwear; headgear; belts.」を指定商品として、令和4年7月15日に設定登録されたものである。
(2)国際登録第798679A号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲3のとおりの構成からなり、2010年(平成22年)8月30日に国際商標登録出願(事後指定)され、第25類「Footwear for men, women or children (excluding orthopedic footwear) (other than shoe dowels, shoe pegs, shoe handles, hobnails, shoe protective metal members and boots for sports).」を指定商品として、平成23年8月26日に設定登録されたものである。
なお、上記引用商標1及び引用商標2をまとめて、以下「引用各商標」という。
2 申立人が、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するとして引用する商標は、引用商標1、引用商標2及び「wonders」の欧文字を横書きした構成からなる商標(以下これらをまとめて「引用商標」という。)であり、引用商標を使用した革靴からサンダル、スニーカーまで様々なタイプの靴(以下「申立人商品」という。)は、本件指定商品の分野の取引者、需要者間において広く認識されている商標と主張するものである。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件指定商品中、第25類「全指定商品」について、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、取り消されるべきものである旨申立て、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第19号証を提出した。
なお、証拠の表記に当たっては、「甲第○号証」を「甲○」のように省略して記載する場合がある。
1 申立人及び引用商標の周知著名性について
(1)申立人について
申立人は、イタリアを本拠とするシューズメーカーであり、「wonders」というブランド名で、申立人商品を展開しており(甲5、甲6)、申立人の「wonders」ブランドの靴は、各地有名デパートで取り扱われているほか(甲7~甲11)、オンラインショッピングサイトでも販売されている(甲12~甲14)。また、申立人は、都内各所において展示会等による申立人商品の宣伝広告を大々的に行ってきた(甲15~甲17)。
(2)申立人商品の販売実績
我が国において、申立人商品は2010年には輸入販売が開始され、販売個数422点(輸出総額:約200万円)、2011年には、販売個数1,083個(輸出総額:約540万円)、2012年には、販売個数1,761個(輸出総額:約1,140万円)と堅調に売上を伸ばし、直近の3年間では、2019年に販売個数748個(輸出総額:約480万円)、2020年に販売個数2,193個(輸出総額:約1,180万円)、2021年に販売個数842個(輸出総額:約490万円)を記録している。
(3)引用商標について
申立人は、甲第5号証及び甲第6号証並びに甲第15号証ないし甲第17号証に示すとおり、申立人商品の宣伝広告及び販売に際し、引用商標を申立人商品の出所識別標識として、顕著に目立つ態様で表示して使用している。
(4)小括
以上のとおり、引用商標は、本件商標の出願時及び登録査定時において、既に我が国の取引者、需要者の間で、申立人の業務に係る商品を表示するものとして広く認識されていた。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、欧文字「WONDERLIFE」を、中央部が一番高く、左右の端にある「W」と「E」の文字が一番下がった形の弓なり形状に配置し、該「WONDERLIFE」の語は、白色の背景に赤色に近いボルドー色で表示してあり、これが黒色の長方形の中央部に配置された態様となっている。このように、黒色の長方形中、「WONDERLIFE」の文字が白色を背景に、非常に目立つボルドー色で表示されているため、ボルドー色の文字「WONDERLIFE」がひと際顕著に看取され得る態様である。
本件商標中、ボルドー色で表された「WONDERLIFE」の語は、「驚くべき、素晴らしい」などを意味する英単語「WONDER」(甲18)と、「生活、暮らし方」などを意味する英単語「LIFE」(甲19)を組み合わせてなるものと看取され得るが、そのうち後半の語「LIFE」は、引用商標と抵触関係にある第25類「タオル地製マフラー,タンクトップ,ティーシャツ,ジャージー製運動用衣服及びジャージー製運動用特殊衣服,スウェットシャツ,スウェットパンツ,ジョギングパンツ,スポーツシャツ,被服,洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,キャミソール,和服,アイマスク,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ナイトキャップ,帽子,ガーター,靴下留め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,靴類,げた,草履類,運動用特殊靴,運動用特殊衣服」との関係においては識別力が弱く、出所識別標識としての称呼、観念が生じることがないと考えられる。
したがって、本件商標中、商品の出所を表示するものとして機能し、要部となり得るのは前半部分の「WONDER」であり、本件商標からは、「驚くべき、素晴らしい」程の観念が生じ、「WONDER」の構成文字に相応して「ワンダー」との称呼が生じる。
(2)引用各商標について
ア 引用商標1について
引用商標1は、欧文字「wonders」を横一列に表示してなる。該「wonders」の文字は赤色に近いボルドー色である。
引用商標1を構成する「wonders」の語は、「驚くべきもの(人、こと)」などを意味する英単語「wonder」(甲18)の複数形であり、我が国においては、英語と異なり、名詞における単数形・複数形の区別がないので、複数形を表す語尾の「s」の有無は、取引者、需要者をして殊更に意識せしめる部分ではなく、よって、引用商標1からは、単に「驚くべきもの(人、こと)」程の観念が生じる。
称呼については、引用商標1からは構成文字に相応して「ワンダーズ」との称呼が生じる。
イ 引用商標2について
引用商標2は、欧文字「w」を黒色の丸の中央部に白色で表した上段と、欧文字「wonders」を横一列に表示した下段とを組み合わせた二段組構成からなる。
引用商標2を構成する上下各段は、観念上の結びつきが強いわけではなく、それぞれが独立して出所識別標識として機能し得る。よって、引用商標2のうち、上段からは「アルファベットのダブリュー(w)」との観念が生じ、下段からは、引用商標1と同様に、「驚くべきもの(人、こと)」程の観念が生じる。
称呼については、引用商標2のうち、上段からは「ダブリュー」との称呼が生じ、下段からは「ワンダーズ」との称呼が生じる。
(3)本件商標と引用各商標の類否について
ア 本件商標と引用商標1の類否
本件商標と引用商標1は、全体の外観においては相違するものの、本件商標の要部「WONDER」と、引用商標1の構成文字「wonders」とは、大文字と小文字の表記の差異はあるが、「WONDER(wonder)」の6文字を実質的に共通にする。語尾の「s」の有無は単複の区別がない日本語においては重要な意味を持ち得ないうえ、両商標は、商標に使用する色彩としては非常に目立つ色といえるボルドー色で文字部分が表示されているという点で共通する。よって、本件商標と引用商標1は外観において近似するものである。
また、本件商標からは、要部の「WONDER」から「驚くべき、素晴らしい」程の観念が生じるところ、引用商標1からは「驚くべきもの(人、こと)」程の観念が生じ、両商標は、品詞は異なるものの語源を共通にする。したがって、本件商標と引用商標1は、観念上相紛れるおそれがある。
さらに、称呼については、本件商標からは、要部の「WONDER」の構成文字に相応して「ワンダー」との称呼が生じるところ、引用商標1からは「ワンダーズ」との称呼が生じる。両商標は長音を含め語頭からの4音を共通にしており、相違点である語尾の「ズ」は複数形を示す語尾の「s」に対応する音なので、称呼識別上重要でなく、両商標は、称呼上相紛れるおそれがある。
イ 本件商標と引用商標2の類否
本件商標と引用商標2は、全体の外観においては相違するものの、本件商標の要部「WONDER」と、引用商標2の下段「wonders」とは、大文字と小文字の表記の差異はあるが、「WONDER(wonder)」の6文字を実質的に共通にする。語尾の「s」の有無は単複の区別がない日本語においては重要な意味を持ち得ない。したがって、本件商標と引用商標2は外観において近似するものである。
また、本件商標からは、要部の「WONDER」から「驚くべき、素晴らしい」程の観念が生じるところ、引用商標2は、下段の「wonders」から「驚くべきもの(人、こと)」程の観念が生じ、両商標は、品詞は異なるものの語源を共通にする。したがって、本件商標と引用商標2は、観念上相紛れるおそれがある。
さらに、称呼については、本件商標からは、要部の「WONDER」の構成文字に相応して「ワンダー」との称呼が生じるところ、引用商標2からは、下段の「wonders」から「ワンダーズ」との称呼が生じる。そうすると、両商標は長音を含め語頭からの4音を共通にしており、相違点である語尾の「ズ」は複数形を表す語尾の「s」に対応する音なので、称呼識別上重要でなく、両商標は、称呼上相紛れるおそれがある。
(4)指定商品の類否について
引用商標1の指定商品、第25類「Clothing; footwear; headgear; belts.」は、本件指定商品中、第25類「タオル地製マフラー,タンクトップ,ティーシャツ,ジャージー製運動用衣服及びジャージー製運動用特殊衣服,スウェットシャツ,スウェットパンツ,ジョギングパンツ,スポーツシャツ,被服,洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,キャミソール,和服,アイマスク,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ナイトキャップ,帽子,ガーター,靴下留め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,靴類,げた,草履類,運動用特殊靴,運動用特殊衣服」と同一又は類似の関係にあり、また、引用商標2の指定商品、第25類「Footwear for men, women or children(excluding orthopedic footwear)(other than shoe dowels, shoe pegs, shoe handles, hobnails, shoe protective metal members and boots for sports).」)は、本件指定商品中、第25類「履物,靴類,げた,草履類」と同一又は類似の関係にある。
(5)小括
以上のとおり、本件商標は、引用各商標に類似する商標であり、その指定商品と同一又は類似の商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)本件商標と引用商標との類似性の程度について
本件商標と引用商標とは、上記2(3)のとおり、全体の外観においては相違するものの、本件商標の要部「WONDER」と、引用商標の「wonders」とが複数形を表す語尾の「s」の文字の有無のみにおいて相違し、構成文字中語頭からの6文字を共通にするため、外観において近似する。
さらに、本件商標及び引用商標から生じる観念は、それぞれ「驚くべき、素晴らしい」、「驚くべきもの(人、こと)」であり、語源を共通にするため非常に近似しており、また、本件商標の要部及び引用商標から生じる称呼は、それぞれ「ワンダー」と「ワンダーズ」であり、相違は複数形を示す語尾の「ズ」の音の有無のみであるから、称呼上極めて近似している。したがって、本件商標と引用商標は類似性の程度が非常に高い。
(2)引用商標の周知度について
上記1のとおり、引用商標は、申立人ブランドを指称するものとして、我が国及び海外の取引者、需要者に広く認識されている。
(3)引用商標の独創性等について
引用商標は、既成語「wonder」の複数形であるが、申立人商品との関係において強い識別力を発揮するものであり、独創性は非常に高いものであるといえる。また、ボルドー色という顕著で目立つ色彩で表示されており、構成上顕著な特徴を有するものであるといえる。
(4)引用商標がハウスマークであるかについて
引用商標は、甲第5号証及び甲第6号証並びに甲第15号証ないし甲第17号証に示すとおり、申立人商品のブランド名として顕著に目立つ態様で表示されており、申立人商品の出所を表示する標識として、つまり、申立人のハウスマークとして広く使用されている。
(5)申立人における多角経営の可能性
上記2(4)のとおり、本件指定商品と引用商標の指定商品とは同一又は類似の関係にあり、抵触関係にあるので、本要件を検討する必要性はない。
(6)商品間の関連性、商品等の需要者の共通性について
上記(5)で述べたとおり、本件指定商品と申立人商品とは同一又は類似の関係にあり、抵触関係にあるので、本件商標に係る指定商品と、引用商標に係る商品との間には密接な関連性があり、さらに、本件商標に係る指定商品の需要者と、引用商標に係る商品の需要者は共通する。
(7)商標法第4条第1項第15号該当性についての小括
本件商標がその指定商品に使用された場合、商品の出所について混同を生じるおそれがある。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
4 結語
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当し、商標登録を受けることができないものであるから、本件商標登録は、商標法第43条の3第2項の規定により取り消されるべきである。
第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、別掲1のとおり、黒塗りした長方形内に、白い縁取りを施した赤色の「WONDERLIFE」の欧文字を上方にやや湾曲した形で横書きした構成からなるところ、その構成文字は、同じ書体により表されていて、全体としてまとまりよく一体的に看取されるものであり、これより生ずる「ワンダーライフ」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。
そして、その構成中、「WONDER」の文字が「驚くべき、素晴らしい」など意味を有し、「LIFE」の文字が「生活」などの意味を有する平易な英単語(いずれも「ランダムハウス英和辞典第2版」株式会社小学館)であることから、全体として「驚くべき生活、素晴らしい生活」程の意味合いを理解させるものである。
してみると、本件商標は、「WONDER」の文字部分と「LIFE」の文字部分とに分離して観察されるものではなく、構成文字全体が一体不可分のものとして認識されるとみるのが相当である。
したがって、本件商標は、その構成文字全体に相応して、「ワンダーライフ」の称呼のみを生じ、「驚くべき生活、素晴らしい生活」程の観念を生ずるものというべきである。
(2)引用各商標について
引用各商標は、別掲2及び別掲3のとおり、「wonders」の文字からなるか、「wonders」の文字を構成中に含むものであるところ、当該文字は、「驚くべきもの(人、こと)」などの意味を有する「wonder」の語(前掲書)の複数形であるから、その構成文字に相応して「ワンダーズ」の称呼を生じ、「驚くべきもの(人、こと)」などの観念を生じるものである。
(3)本件商標と引用各商標の類否について
ア 外観
本件商標と引用各商標を比較すると、両者の構成はそれぞれ上記(1)及び(2)のとおりであるから、両者は、外観上、明らかに相違するものである。
イ 称呼
本件商標から生ずる「ワンダーライフ」の称呼と引用各商標から生ずる「ワンダーズ」の称呼とは、「ライフ」の音及び「ズ」の音の有無という明らかな差異を有し、その音構成及び構成音数が相違することから、両者は、称呼上、明瞭に聴別し得るものである。
ウ 観念
本件商標は、「驚くべき生活、素晴らしい生活」程の観念を生ずるのに対し、引用各商標は、「驚くべきもの(人、こと)」などの観念が生ずるから、両者は、観念上、明らかに相違するものである。
してみると、本件商標と引用各商標は、称呼、外観及び観念のいずれにおいても類似するものではない。
エ 小括
以上のとおり、本件商標と引用各商標とは、非類似の商標であるから、本件商標の申立に係る指定商品と引用各商標の指定商品が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
申立人提出の証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
(1)申立人は、イタリアを本拠とするシューズメーカーであり、「wonders」というブランド名で、革靴からサンダル、スニーカーまで様々なタイプの靴を展開しているとして、申立人のウェブサイト(甲5、甲6)を提出しているが、当該ウェブサイトは外国語で作成されているものであり、そのアクセス数なども不明である。
(2)申立人の提供に係る「wonders」ブランドの靴は、各地有名デパートで取り扱われているほか(甲7~甲11)、オンラインショッピングサイトでも販売されているとして、申立人商品の販売風景の写真(甲12~甲14)を提出しているが、当該写真は、いずれも撮影日、撮影場所、撮影者などが不明であり、我が国における販売開始時期も明らかではない。
(3)申立人は、都内各所において展示会等による申立人商品の宣伝広告を行ってきたとして展示会が行われた際に使用した招待パンフレットを提出している(甲15~甲17)が、該展示会は、2019年から2021年の間に3回開催されたにすぎないものであって、該展示会の規模や入場者数、招待者へのパンフレットの配布枚数、配布先等も不明であり、招待者へのパンフレットには、引用商標が表示されていないものや日本語の記載のないものもある。
(4)申立人商品の販売実績について
申立人の主張によれば、我が国において、申立人商品は2010年には輸入販売が開始され、販売個数422点(輸出総額:約200万円)、2011年には、販売個数1,083個(輸出総額:約540万円)、2012年には、販売個数1,761個(輸出総額:約1,140万円)であり、直近の3年間では、2019年に販売個数748個(輸出総額:約480万円)、2020年に販売個数2,193個(輸出総額:約1,180万円)、2021年に販売個数842個(輸出総額:約490万円)であるが、それらの数字を裏付ける具体的な証拠の提出はない。
(5)以上を踏まえれば、申立人は、「wonders」というブランド名で、様々なタイプの靴を販売していることは認められるものの、引用商標に係る商品に関する売上高、販売数、市場シェア等の販売実績や、宣伝広告の頒布範囲、回数、方法等を示す主張、証拠は見いだせない。
そうすると、申立人の提出に係る証拠によっては、引用商標が、申立人の業務に係る商品を表すものとして、我が国及び海外において、本件商標の登録出願時ないし登録査定時において、申立人の業務に係る商品であることを表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
また、本件商標は、上記1(3)エのとおり、引用各商標と相紛れるおそれのない非類似の商標であって別異の商標というべきものであるから、引用各商標と同様に「wonders」の文字からなるか、「wonders」の文字を構成中に含む引用商標についてみても類似性の程度が高いとはいえない。
してみれば、本件商標をその登録出願時及び査定時において、商標権者がこれをその異議申立にかかる指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者が、引用商標を連想又は想起することはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあったということはできない。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 むすび
以上のとおり、本件指定商品中、登録異議の申立てに係る指定商品についての登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも該当するものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-900205