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商標異議申立

2022-900202

審判番号
2022-900202
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2021-121539
登録番号
6524017
請求日
2022年05月16日
審決日
2023年03月03日
公報発行日
2024年02月22日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【権利者】有限会社キャピタル
  • 【権利者代理人】弁理士法人白浜国際特許商標事務所
  • 【異議申立人】有限会社 ハーベイ・ボール・スマイル・リミテッド
  • 【異議申立人】有限会社 ハーベイ・ボール・スマイル・リミテッド
  • 【異議申立人】有限会社 ハーベイ・ボール・スマイル・リミテッド
  • 【異議申立人】有限会社 ハーベイ・ボール・スマイル・リミテッド
審判長/審判官
  • 審判長 豊田 純一
  • 審判官 小田 昌子
  • 審判官 阿曾 裕樹
分類
T1651.261-ZC (W14161825) / T1651.262-ZC (W14161825) / T1651.263-ZC (W14161825) / T1651.264-ZC (W14161825) / T1651.265-ZC (W14161825)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法4条1項11号商標法43条の3第2項商標法43条の3第4項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第11号、商標法第43条の3第4項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

登録第6524017号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6524017号商標の指定商品中、第14類「身飾品」、第18類「レザークロス,皮革,ペット用被服類,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具」、第25類「全指定商品」についての商標登録を取り消す。 本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。

理由

理 由 1 本件商標 本件登録第6524017号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和3年9月30日に登録出願、第14類「貴金属,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,キーホルダー,宝石箱,記念カップ,記念たて,身飾品,貴金属製靴飾り,時計」、第16類「雑誌,書籍,カタログ,印刷物,文房具類,事務用又は家庭用ののり及び接着剤,封ろう,印刷用インテル,活字,あて名印刷機,印字用インクリボン,自動印紙貼り付け機,事務用電動式ステープラ,事務用封かん機,消印機,製図用具,タイプライター,チェックライター,謄写版,凸版複写機,文書細断機,郵便料金計器,輪転謄写機,マーキング用孔開型板,装飾塗工用ブラシ,紙製包装用容器,プラスチック製包装用袋,家庭用食品包装フィルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,型紙,裁縫用チャコ,紙製のぼり,紙製旗,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,荷札,印刷したくじ(「おもちゃ」を除く。),紙類,書画,写真,写真立て」、第18類「かばん金具,がま口口金,蹄鉄,レザークロス,皮革,皮革製包装用容器,ペット用被服類,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具」及び第25類「被服,ガーター,靴下留め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊靴,運動用特殊衣服」を指定商品として、同4年2月25日に登録査定、同年3月7日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する登録商標は、以下(1)のとおりであり、当審による職権調査の結果発見した登録商標は、以下(2)から(6)のとおりである(以下、これらの登録商標をまとめて「引用商標」という場合がある。)。 (1)登録第6504980号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の構成:別掲2のとおり 登録出願日:令和3年6月7日 設定登録日:令和4年1月27日 指定商品:第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」 (2)登録第6479744号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の構成:別掲3のとおり 登録出願日:令和3年6月7日 設定登録日:令和3年12月2日 指定役務:第35類「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おむつの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」 (3)登録第6504979号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の構成:別掲4のとおり 登録出願日:令和3年6月7日 設定登録日:令和4年1月27日 指定商品:第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」 (4)登録第6504981号商標(以下「引用商標4」という。) 商標の構成:別掲5のとおり 登録出願日:令和3年6月7日 設定登録日:令和4年1月27日 指定商品:第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」 (5)登録第6504982号商標(以下「引用商標5」という。) 商標の構成:別掲3のとおり 登録出願日:令和3年6月7日 設定登録日:令和4年1月27日 指定商品:第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」 (6)登録第6504983号商標(以下「引用商標6」という。) 商標の構成:別掲3のとおり 登録出願日:令和3年6月7日 設定登録日:令和4年1月27日 指定商品:第18類「愛玩動物用被服類,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,皮革」 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、異議申立の全趣旨によれば、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するから、同法第43条の2第1号により、第14類「全指定商品」(申立番号01)、第16類「全指定商品」(申立番号02)、第18類「全指定商品」(申立番号03)及び第25類「全指定商品」(申立番号04)の登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証から甲第18号証(欠番あり。申立番号01の甲号証は、「甲01-○」と表記する。)を提出した。 なお、申立人が本件商標に対して4件(申立番号01~04)の登録異議の申立てをしているところ、いずれも同一の理由に基づくものと認められるので、登録異議の申立てを併合して審理する。 (1)申立番号01 ア 本件商標は、審査において拒絶理由通知を受け、その理由は、本件商標は引用商標1と類似であるとして常識的な判断であった。それに対して、その判断を逆転し、登録査定をしている。それは常識では考えられず、何か別の理由があっての恣意的な判断だったと考えられ容認できない。 イ 国内では日本語の文字使用が国民の主体となった平安時代から「毛筆」がその筆記具であり、それを最初に習う子供達が覚えたのが「へのへのもへじ」のマークである。このマークは千年の歴史があり「日本人の笑顔を示す」ものとして長く使用されていた。 そのため、その当時まで我が国には「スマイル・マーク」の国民への認識は全くなかった。 昭和45年(1970年)に当時の国内の文具メーカー「リリック」の企画部長がアメリカの申立人関係の「ハーベイ・ボール」によってもたらされた「スマイル」を見て、それを剽窃して国内でそれを広めたもので、当時「ニコニコ・マーク」、「ラブ・ピース」として小学生からお年寄りまで知らない人がいない程有名になった(甲01-8)。 そのため、登録査定となる理由が見いだせない。拒絶理由通知から登録査定への変更はあまりにも不自然である。 ウ 申立人は、米国の「ハーベイ・ボール・ワールド・スマイル財団」(以下「財団」という。)の知的財産権を管理するために設立された日本法人である。そして、自らもスマイル・マーク商標を合計1,405件所有している。その登録商標のほとんどが本件商標と類似したものである(甲01-1)。 エ 本件商標の使用はあくまでも申立人が関係する「ハーベイ」の「スマイリー・フェイス」(略称スマイル)を剽窃し、それを模倣して使用しているにすぎない。 本件商標権者の店舗の玄関には、スマイルマークを描いた自転車の車輪を使用した看板を表示し、申立人関係の「ハーベイ」の「スマイル・マーク」を強調している(甲01-2)。 本件商標権者の商品販売のためのホームページや各種印刷物について、「スマイル」の文字が氾濫しており、あくまで取扱商品が「ハーベイ」の「スマイル・マーク」を強調し、それを利用して商売を行っている(甲01-3)。 「スマイル」や「スマイリー」の文字に関する商標登録は、ほとんど申立人が所有している(甲01-4)。 本件商標権者は、自己の多くの商品(4つ目スマイル)に「ハーベイ」(2つ目のスマイル)を、本件商標と同時に使用して、「ハーベイ」の著名性を利用して商品を販売している(甲01-5)。 「2つ目のスマイル・マーク」は、申立人がほとんど所有しているので、商標権侵害である。 これらは、申立人関係の知的財産権を悪用した商業活動である。 オ 本件商標は、申立人の所有する登録商標と類似である(甲01-6)。 申立人は、「スマイリー・フェイス」の財団の商品化事業に協力し、2000年頃から22年間で延べ300社の国内メーカーと共同で商品展開を行っている。そのため「スマイル」の多数の商標登録を所有しているが、それらと本件商標の類似性を考えても明らかに多くの商標が類似である。 その前提として、本件商標には、黄色い円形に目と口が描かれている。しかし、申立人の所有の登録商標は、黒い円形枠の中に目と口が描かれているものも多いが、それらは類似範囲であるとの審査判断が、過去にされている。 カ 本件商標と申立人の登録商標(2つ目スマイルマーク、4つ目のスマイルマーク)は類似関係にある。 キ 申立人の商標に対して、他人の登録商標をもって類似と判断された例がある(甲01-7)。 ク その他、米国でのスマイルの誕生と流行、我が国でのスマイルの導入と流行、我が国での社会貢献事業、米国民の大変な怒りなどの主張を取り入れて、本件商標の登録取消を求める(甲01-8~甲01-17)。 (2)申立番号02から04 申立番号02から04の申立ての理由は、上記申立番号01の申立ての理由と同旨である。 4 当審における取消理由通知 当審において、令和4年12月9日付けの取消理由通知書をもって、本件商標の権利者(以下「本件商標権者」という。)に対し、本件商標は、引用商標と類似する商標であり、その指定商品は引用商標の指定商品又は指定役務と同一又は類似する商品又は役務を含むから、本件商標の指定商品中、第14類「身飾品」、第18類「レザークロス,皮革,ペット用被服類,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具」及び第25類「全指定商品」についての登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものである旨通知し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えた。 5 商標権者の意見 (1)本件商標について 本件商標は、黄色に着色された円形の顔に、4つの目と口を配した構成からなるものであり、その態様から、世界中で広く知られているスマイルマーク(ニコちゃんマーク)をベースとするものである。 スマイルマークは極めて単純な基本構成を有し、このような構成は笑顔の表現として従来より慣用されていたことを考慮すると、スマイルマークの観念を生じる基本構成は出所識別力、独占適応性を欠く表示であるといえ、スマイルマークの類否判断については、具体的な外観(顔、目及び口の位置、描線等)を基準として行うべきである。 特に、スマイルマークの目の位置や形の相違、口の形の相違の2つの観点を軸に、それら相違点に基づいた顔全体のバランスが異なるかどうかで判断されるべきである。 (2)引用商標について 引用商標は、本件商標と同様に、黄色に着色された円形の顔に、4つの目と口を配した構成からなるもので、スマイルマーク(ニコちゃんマーク)をベースとするものである。 (3)本件商標と引用商標1の対比 ア 本件商標と引用商標1とは、4つの目を有する点において共通するものの、本件商標の目が略正円形状であるのに対し、引用商標の目は略楕円形状であって、形状が相違する。また、本件商標の目全体が左側に位置ずれしていて、左右において比較的に大きく離間しているのに対し、引用商標1では、左右の目が顔の縦断中心線を介してほぼ対称に位置し、左右において比較的に小さく離間し、かつ、下方に向かうにつれて幅狭となるように配置されている。 イ 本件商標の口は、幅狭のラインであって、曲がり具合が全体的に小さく、左側から顔の縦断中心線を通過して右に向かうにつれて次第に上方に向かってカーブしていて、かつ、全体として右側に位置ずれしていて顔の縦断中心線に関して非対称な形状を有している。 一方、引用商標1の口は、比較的に幅広の線ラインであって、全体として下方へ大きく凸曲した形状を有し、かつ、口角の高さが目の下端縁近傍に位置して目との離間距離が比較的に小さくなっていて、横方向のほぼ中央に位置していて顔の縦断中心線に関して対称な形状を有している。 ウ 上記相違点を総合的に判断すると、本件商標においては、4つの目が顔の縦断中心線に関して左側に位置ずれしているのに対し、口が右側に位置ずれしていることによって、全体として目と口が縦方向においてズレたような態様をしていて、通常のスマイルマークとは異なる印象を与える。一方、引用商標は、4つの目と口とが、顔の縦断中心線に関して対称に位置している。したがって、本件商標と引用商標1とは、縦方向及び横方向に並んだ4つの目を有する点において共通するものの、目の形状及び配置、並びに口の形状と配置が相違していて、本件商標が口を閉じた状態で微笑又は平然とした顔の印象を与えるのに対し、引用商標1は口を開けて大きく笑った顔の印象を与えるものであって、全体として異なる印象を与えるものであるから、具体的な外観において互いに出所の混同を生じる程度に類似するものではない。 (4)本件商標と引用商標2、引用商標5及び引用商標6の対比 ア 引用商標2、引用商標5及び引用商標6は、本件商標と4つの目を有する点において共通するものの、本件商標の目が略正円形状であるのに対し、引用商標1と同様に、それら引用商標の目は略楕円形状であって、形状が相違する。また、本件商標の目全体が左側に位置ずれしていて、左右において比較的に大きく離間しているのに対し、引用商標1では、左右の目が顔の横断中心線を介してほぼ対称に位置し、左右において比較的に小さく離間し、かつ、下方に向かうにつれて幅狭となるように配置されている。 イ 引用商標2、引用商標5及び引用商標6は、下方へ大きく凸曲した形状を有し、かつ、口角の高さが目の下端縁近傍に位置していて目との離間距離が比較的に小さくなっていて、横方向のほぼ中央に位置していて顔の横断中心線に関して対称な形状を有している。また、口角には、口唇と交差するように伸びるラインが配置されている。 ウ 上記相違点を総合的に判断すると、本件商標と上記引用商標は、縦方向及び横方向に並んだ4つの目を有する点において共通するものの、目の形状及び配置、並びに口の形状と配置が相違していて、本件商標が口を閉じた状態で微笑又は平然とした顔の印象を与えるのに対し、上記引用商標は、特に口角に口唇と交差するラインが位置することから、口を開けて大きく笑った顔の印象を与えるものであって、全体として異なる印象を与えるものであるから、具体的な外観において互いに出所の混同を生じる程度に類似するものではない。 (5)本件商標と引用商標3の対比 ア 引用商標3は、本件商標と4つの目を有する点において共通するものの、本件商標の目が略正円形状であるのに対し、引用商標3の目は略楕円形状であって、形状が相違する。また、本件商標の目全体が左側に位置ずれしていて、左右に比較的大きく離間しているのに対し、引用商標3は、左右の目が顔の縦断中心線を介してほぼ対称に位置し、左右に比較的に小さく離間し、かつ、下方に向かうにつれて幅狭となるように配置されている。 イ 引用商標3の口は、鋭く下方へ大きく凸曲した形状を有し、かつ、口角の高さが目の下端縁近傍に位置していて目との離間距離が比較的に小さくなっていて、横方向のほぼ中央に位置していて顔の縦断中心線に関して対称な形状を有している。また、口角には、口唇と交差するように伸びるラインが配置されていて、かつ、口角から口唇に向かって次第に幅広となる形状を有している。 ウ 上記相違点を総合的に判断すると、本件商標と引用商標3は、縦方向及び横方向に並んだ4つの目を有する点において共通するものの、目の形状及び配置、並びに口の形状と配置が相違していて、本件商標が口を閉じた状態で微笑又は平然とした顔の印象を与えるのに対し、引用商標3は、特に口角に口唇と交差するラインが位置し、かつ、口唇が下方へ鋭くカーブして口角から口唇の中心に向かって次第に幅広になる形状を有していることから、口を開けて大きく笑った顔の印象を与えるものであって、全体として異なる印象を与えるものであるから、具体的な外観において互いに出所の混同を生じる程度に類似するものではない。 (6)本件商標と引用商標4の対比 ア 引用商標4は、本件商標と4つの目を有する点において共通するものの、本件商標の目が略正円形状であるのに対し、引用商標4の目は略楕円形状であって、形状が相違している。また、本件商標の目全体が左側に位置ずれしていて、左右において比較的に大きく離間しているのに対し、引用商標4では、左右の目が顔の横断中心線を介してほぼ対称に位置し、左右に比較的に小さく離間し、かつ、下方に向かうにつれて幅狭となるように配置されている。 イ 引用商標4の口は、下方へ大きく凸曲した形状を有し、かつ、口角の高さが目の下端縁近傍に位置していて目との離間距離が比較的に小さくなっていて、横方向のほぼ中央に位置していて顔の縦断中心線に関して対称な形状を有している。また、口角には、口唇と交差するように伸びるラインが配置されている。 ウ 上記相違点を総合的に判断すると、本件商標と引用商標4は、縦方向及び横方向に並んだ4つの目を有する点において共通するものの、目の形状及び配置、並びに口の形状と配置が相違していて、本件商標が口を閉じた状態で微笑又は平然とした顔の印象を与えるのに対し、引用商標4は、特に口角に口唇と交差するラインが位置しているから、口を開けて大きく笑った顔の印象を与えるものであって、全体として異なる印象を与えるものであるから、具体的な外観において互いに出所の混同を生じる程度に類似するものではない。 (7)世界的に著名なスマイルマークは、黄色の顔と目と口とを基本構成として、使用者によって数多くのバリエーションが生まれていることは周知の事実であって、それに接した需要者は、わずかな差違であっても互いに相違するデザインであることを認識し得るものである。 したがって、本件商標と引用商標に接した需要者をして、互いに相紛れるおそれはなく、出所の混同を生じるおそれはない。 (8)剽窃行為について 申立人は、引用商標の商標権者であるところ、自社が国内におけるスマイルマークを使用する権利を所有していると主張し、数多くの商標異議、審判事件を起こしてきた。異議申立書は、それら事件で使用したものを使い回しているにすぎず、その主張に真実性、正当性はない。 本件商標権者は、引用商標の登録出願前から、具体的には、2015年頃から4つ目のスマイルマークについて自社で考案して使用していて、世界で最初に使用を開始している。それにも関わらず、申立人は、かかるデザインについて商標登録出願していないことを奇貨として不正の商標出願をして設定登録を受けたものであるから、そのデザインを剽窃する行為にほかならない。 申立人は、本件商標権者が申立人の商標権を侵害している旨を主張し、本件商標権者の取引会社に対して不正競争防止法における信用毀損行為(営業誹謗行為)に該当する行為を繰り返し行ってきた。 4つ目のスマイルマークは、本件商標権者のデザイン担当者が考案したものであり、引用商標の登録出願日前に使用して、アパレル関連の商品を製造、販売してきたものであるが、申立人との交渉の最中、本件商標権者はデザインが不正に利用されて、引用商標が登録出願されていることを知り、申立人が不正に権利取得したこれら引用商標に関するデザインとは異なるものとして本件商標を出願し、その登録が認められたものである。 したがって、本件商標が取消されるとすれば、申立人による、本件商標権者の考案したデザイン、並びに使用に蓄積した信用の乗っ取り行為を正当化することになり、不合理であるといえ、商標の使用をする者の業務上の信用維持を図り、産業の発達に貢献するとともに、需要者の利益を保護するという商標法の目的に反する。 6 当審の判断 (1)本件商標と引用商標の類否 ア 本件商標について 本件商標は、別掲1のとおり、黄色の円形枠内に、2個ずつ並べた4個の点と、その下に上向きにわずかに開いた円弧状の線を配置してなるところ、その構成全体をして、口角をわずかに上げた表情をしている、4つ目の顔(黄色)を表した図形であると看取できる。 他方、本件商標の図形部分は、何らかの具体的なキャラクターを表したものとも直ちに認識、理解できない。 そうすると、本件商標は、特定の称呼及び観念は生じないが、外観においては上記のような、口角をわずかに上げた表情をした4つ目の顔(黄色)との印象を与える。 イ 引用商標について (ア)引用商標1は、別掲2のとおり、黄色の円形枠内に、2個ずつ並べた4個の点と、その下に上向きに開いた円弧状の線を配置してなるところ、その構成全体をして、ほほえんだような表情の4つ目の顔(黄色)を表した図形であると看取できる。 他方、引用商標1の図形部分は、何らかの具体的なキャラクターを表したものとも直ちに認識、理解できない。 そうすると、引用商標1は、特定の称呼及び観念は生じないが、外観においては上記のような、ほほえんだような表情の4つ目の顔(黄色)との印象を与える。 (イ)引用商標2から引用商標6は、別掲3から別掲5のとおり、いずれも黄色の円形枠内に、2個ずつ並べた4個の点と、その下に上向きに開いた円弧状の線(両端には短い線がある。)を配置してなるところ、それら構成全体をして、ほほえんだような表情の4つ目の顔(黄色)を表した図形と看取できる。 他方、これら図形は、何らかの具体的なキャラクターを表したものとも直ちに認識、理解できない。 そうすると、引用商標2から引用商標6は、特定の称呼及び観念は生じないが、外観においては上記のような、ほほえんだような表情の4つ目の顔(黄色)との印象を与える。 ウ 本件商標と引用商標の比較 本件商標と引用商標を比較すると、外観においては、4つ目の顔(黄色)を表した図形である点で共通するから、細部の差異(点の大きさや弧線の太さ、開く程度、弧線の両端の単線の有無など)や表情の差違はあるものの、それら差違点は共通点に比べれば全体の印象に与える影響は大きくはないから、全体としての外観上の印象は似通ったものとなり、相紛れるおそれがある。なお、称呼及び観念については、いずれも特定の称呼及び観念は生じないから、比較できない。 そうすると、本件商標と引用商標は、外観において相紛れるおそれのある商標であり、同一又は類似の商品又は役務について使用するときは、出所の混同を生じるおそれがあるから、類似する商標と認められる。 エ 本件商標権者の主張について (ア)本件商標権者は、本件商標は、世界中で広く知られているスマイルマーク(ニコちゃんマーク)をベースとするものであるところ、スマイルマークの類否判断は、具体的な外観(顔、目及び口の位置、描線等)を基準として行うべきであって、特に、スマイルマークの目の位置や形の相違、口の形の相違の2つの観点を軸に、それら相違点に基づいた顔全体のバランスが異なるかどうかで判断されるべきである旨を主張する。 しかしながら、本件商標と引用商標は、上記ウのとおり、細部の差異(点の大きさや弧線の太さ、開く程度、弧線の両端の単線の有無など)や表情の差違はあるとしても、外観においては、4つ目の顔(黄色)を表した図形である点で共通するから、それら差違点は共通点に比べれば全体の印象に与える影響は大きくはないから、全体としての外観上の印象は似通ったものとなり、相紛れるおそれがある。 (イ)本件商標権者は、4つ目のスマイルマークは本件商標権者のデザイン担当者が考案したもので、引用商標の登録出願日前に使用して、アパレル関連の商品を製造、販売してきたものであるが、申立人との交渉中、引用商標の登録出願を知り、本件商標を登録出願、登録をしたものであるため、本件商標の登録取消がされると、商標の使用をする者の業務上の信用維持を図り産業の発達に貢献するとともに、需要者の利益を保護するという商標法の目的に反する旨を主張する。 しかしながら、本件商標権者の主張は、具体的な証拠を伴わないものであるばかりか、本件商標の登録適格性の判断において、引用商標に基づく商標法第4条第1項第11号該当性の認定、判断に特段影響するような事実関係ではないから、その主張は採択できない。 (2)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品及び指定役務の類否 本件商標の指定商品中、第14類「身飾品」、第18類「レザークロス,皮革,ペット用被服類,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具」及び第25類「被服,ガーター,靴下留め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊靴,運動用特殊衣服」は、引用商標1及び引用商標3から引用商標6の上記2のとおりの指定商品、並びに引用商標2の指定役務中、第35類「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」とは、同一又は類似の商品又は役務を含むものである。 したがって、本件商標の上記指定商品は、引用商標の指定商品及び指定役務とは、同一又は類似すると認められる。 (3)まとめ したがって、本件商標は、引用商標と類似する商標であり、その指定商品中、第14類「身飾品」、第18類「レザークロス,皮革,ペット用被服類,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具」及び第25類「全指定商品」は、引用商標の指定商品又は指定役務と同一又は類似する商品であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (4)むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品中、第14類「身飾品」、第18類「レザークロス,皮革,ペット用被服類,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具」及び第25類「全指定商品」については、商標法第4条第1項第11号の規定に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきである。 しかしながら、本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品については、その登録を取り消す理由がないから、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-900202

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