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商標異議申立

2022-900159

エアービザ、エアー、エイアイアアル、ビザ

審判番号
2022-900159
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2021-094282
登録番号
6512071
請求日
2022年04月21日
審決日
2023年03月09日
公報発行日
2023年04月28日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】株式会社SmartHR
  • 【異議申立人】ビザ・インターナショナル・サービス・アソシエーション
  • 【異議申立人代理人】山本 健策
  • 【異議申立人代理人】井▲高▼ 将斗
  • 【異議申立人代理人】本田 輝人
  • 【異議申立人代理人】青木 沙織
審判長/審判官
  • 審判長 大森 友子
  • 審判官 岩崎 安子
  • 審判官 馬場 秀敏
分類
T1651.261-Y (W09353942) / T1651.262-Y (W09353942) / T1651.263-Y (W09353942) / T1651.25 -Y (W09353942) / T1651.271-Y (W09353942)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

登録第6512071号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6512071号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 1 本件商標 本件登録第6512071号商標(以下「本件商標」という。)は、「AIR VISA」の欧文字を標準文字で表してなり、令和3年7月29日に登録出願、第9類、第35類、第39類及び第42類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同4年2月1日に登録査定され、同月10日に設定登録されたものである。 2 引用商標 (1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する商標は次のとおりであり(以下、それらをまとめて「11号引用商標」という。)、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。 ア 登録第1810269号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の態様 VISA 指定商品 第9類に属する商標登録原簿に記載の商品 登録出願日 昭和56年11月6日 設定登録日 昭和60年9月27日 書換登録日 平成18年2月22日 イ 登録第1418809号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の態様 VISA 指定商品 第16類に属する商標登録原簿に記載の商品 登録出願日 昭和50年10月28日 設定登録日 昭和55年5月30日 書換登録日 平成22年6月30日 ウ 登録第1806652号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の態様 別掲のとおり 指定商品 第6類、第9類、第16類、第19類及び第20類に属する商標登録原簿に記載の商品 登録出願日 昭和57年8月31日 設定登録日 昭和60年9月27日 書換登録日 平成19年5月30日 エ 登録第5025784号商標(以下「引用商標4」という。) 商標の態様 VISA(標準文字) 指定役務 第35類に属する商標登録原簿に記載の役務 登録出願日 平成17年12月29日 設定登録日 平成19年2月16日 オ 登録第5434161号商標(以下「引用商標5」という。) 商標の態様 VISA(標準文字) 指定役務 第42類に属する商標登録原簿に記載の役務 登録出願日 平成22年7月26日 設定登録日 平成23年8月26日 カ 登録第5404529号商標(以下「引用商標6」という。) 商標の態様 VISA(標準文字) 指定役務 第43類に属する商標登録原簿に記載の役務 登録出願日 平成22年7月26日 設定登録日 平成23年4月8日 (2)申立人が、本件商標は商標法第4条第1項第10号に該当するとして引用する商標は、「VISA」の文字(デザイン化されたものを含む。)からなり(以下「引用商標7」という。)、申立人が「11号引用商標の指定商品・指定役務(「クレジットカード等の利用者に代わってする支払代金の清算・決済及び支払代金の電子決済に関するコンピュータプログラム」を含む。)並びにクレジットカード等の利用者に代わってする支払代金の清算・決済及び支払代金の電子決済に関するコンピュータプログラムの提供」について使用し、申立人の商標として著名であるとするものである。 (3)申立人が、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するとして引用する商標は、「VISA」の文字(デザイン化されたものを含む。)からなり(以下「引用商標8」という。)、申立人が「11号引用商標の指定商品・指定役務(同上)、クレジットカード等の利用者に代わってする支払代金の清算・決済及び支払代金の電子決済並びにそれらに関するコンピュータプログラムの提供」について使用し、申立人の商標として著名であるとするものである。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号、同項第10号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第50号証(枝番号を含む。)を提出した。 (1)引用商標1、2、4ないし8の著名性について ア 引用商標1、2、4ないし8(以下、まとめて「申立人商標」という。)は、申立人が提供する資金決済及びその関連商品役務に係る国際ブランドを示すものであるところ、申立人は、金融サービス会社として昭和33年、米国のバンク・オブ・アメリカがBankAmericardを発行したことに端を発し、その後、「VISA」に名称変更し、日本を含む世界中で活発な企業活動を展開している(甲8、甲9)。また、申立人の名称は、VISA INTERNATIONAL SERVICE ASSOCIATIONであって、申立人商標は、申立人の名称としても使用されており、ハウスマークというべきものである。そして、申立人は、長年にわたり、日本のカード発行会社、加盟店、消費者等に多彩な決済サービスを提供している(甲10)。 申立人の業務に係るクレジットカード、デビットカード及びプリペイドカード(以下「クレジットカード等」といい、申立人の業務に係るクレジットカード等を「VISAカード」という。)(甲11)は、世界レベルで利用可能な国が非常に幅広く、平成27年には約50%以上のシェアを持つ第1位の国際ブランドである(甲12)。日本でも昭和55年に最初のVISAブランドのクレジットカードが発行されて以降、多数のカード発行会社によって、VISAブランドのカードが発行され、令和2年における調査では、日本で利用されたクレジットカードの国際ブランド別シェアの約50%がVISAブランドという結果が出るなど、我が国における主要クレジット会社としてのブランドイメージが確立されている(甲13)。 しかも、VISAカードには、申立人商標が付されており(甲11)、カード利用者は、申立人商標を目にし、同商標が日々利用者の記憶に刻み込まれている。 また、TVのCMや各種のイベントなどを通じて、申立人の提供する役務について、需要者へのアピールを行っており(甲14~甲18)、当該イベントの概要を紹介する新聞記事が、申立人商標が表示された見出しとともに掲載されている(甲19)。 さらに、VISAカードが利用できる加盟店の店頭、会計場所及び販売サイトの会計ページには、申立人商標が表示され、申立人の提供する役務が利用できることが需要者にアピールされ(甲20、甲21)、また、申立人商標が付された、東京オリンピックに関するクレジットカードが紹介されている(甲22)。 なお、申立人は、令和3年に、2320億もの数の支払取引を処理し、その取引額は、13兆米ドルにも及ぶ。 イ 以上からすれば、クレジットカード等の決済が一般的になったことに伴い、その業界で(日本で)約50%を超えるシェアを占める「VISAカード」も清算・決済手段として広く一般的に利用されるに至っており(甲13)、しかも、VISAカードを持っている者は、各店舗における清算・決済時に、日々、同カードに付された申立人商標を目にするということができ、VISAカードを持っていない者も、同カードの宣伝広告や、様々な店舗における会計の際に、頻繁に、申立人商標に接しているということができる。 よって、申立人商標は、申立人の業務に係る「クレジットカード等の利用者に代わってする支払代金の清算・決済及び支払代金の電子決済」に関する分野で、本件商標の査定時はもとより、その出願時にも著名であった。 さらに、VISAカードによる決済は、コンピュータプログラムを介して、スマートフォンやウェアラブルデバイスで利用できるところ(甲23)、申立人は、ガーミンジャパン株式会社、Google LLC、Fitbit,Inc.及びApple Inc.とそれぞれ提携し(甲24~甲27)、コンピュータプログラムを介したカード利用に係るビジネスを開始した。その後、これらのコンピュータプログラム(及びその提供)について、申立人商標を使用しつつ宣伝広告活動が活発に行われた(甲28)。申立人は、そのウェブページにおいて、「VISA」と「Google(図形) Pay」を一体的に表現したロゴを使用して、上記コンピュータプログラム(及びその提供)等について広告をしたり(甲29)、「VISA」と「Apple(図形) Pay」を一体的に表現したロゴを使用して、上記コンピュータプログラム(及びその提供)等について広告したりした(甲30)。また、令和3年6月に、東京、大阪、名古屋の人通りの多い場所で、「VISA」と「Apple(図形) Pay」を一体的に表現したロゴを使用して、上記コンピュータプログラム(及びその提供)等について目立つ態様で宣伝広告も行われた(甲31)。これらのコンピュータプログラムやVISAカードの利用者数(甲32)に鑑みれば、申立人商標は、上記コンピュータプログラム(及びその提供)の分野でもすぐに高い周知性を獲得したものというべきところ、実際、上記コンピュータプログラムを介したVISAカードの取引額は多額にのぼる。加えて、申立人は、全世界における電子決済等のためにAPIとして使用されるコンピュータプログラム(「VISA Direct」「Visa Checkout」「VisaグローバルATMロケーター」など)を提供し(甲33~甲37)、広く普及させてきた。 さらに、申立人は、「Visaコンシェルジュ」というコンピュータプログラムを提供したり(甲38)、数多くの加盟店に対して「mPOS」(スマートフォン・タブレットアプリと専用カードリーダーを利用したマルチ決済サービス)に関わるコンピュータプログラムを提供したりもした(甲39)。 よって、申立人商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る「クレジットカード等の利用者に代わってする支払代金の清算・決済及び支払代金の電子決済に関するコンピュータプログラム,同コンピュータプログラムの提供」の出所を表示するものとしても、著名であった。 さらに言うと、上で述べた商品役務以外の、11号引用商標が指定する商品役務も、申立人の業務に必要な商品役務として登録され、現に使用されているものであって、著名な申立人商標に関わる商品役務として、広く需要者に認識されている。例えば、申立人は、情報誌「VISA」を販売しており(甲40)、当該情報誌について「全国100万会員を持つ国内有数のカード会員誌。総閲覧者数は150万人」と紹介するものがある(甲41)。 このほか、申立人商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、これまで述べてきた商品役務の分野で、著名である事実を、より明らかにするものとして、申立人の上記出願時前のウェブページの情報について証拠提出する(甲42)。 (2)商標法第4条第1項第11号について 商標の類否について述べた最高裁判決(最判平成20年9月8日裁判集民228号561頁)がある。 ア 商標の類似性について 本件商標は、その外観上、2個の英単語からなるものであって、申立人商標と同一の「VISA」の文字と、「AIR」の文字とを組み合わせた結合商標である。 本件商標中の「VISA」部分と「AIR」部分の間にはスペースがあり、しかも、各文字が結合して全体として一つの観念を生じさせるものとは認められない。 さらに、本件商標のうち、「AIR」部分が空気、航空等を意味する一般名詞であるのに対し、「VISA」部分は、上で述べたとおり著名な申立人商標と同じ文字からなるため、取引者及び需要者に対し商品役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものといえる。 以上より、本件商標のうち、「VISA」部分だけを抽出して、引用商標1、2、4ないし6と比較することも許されるところ、いずれも「VISA」の標準文字又は若干デザイン化された態様で表されたものにすぎないことから、相互に類似する。 さらに、引用商標3は、ややデザイン化された態様で表された「eLeCTRON」の文字と「VISA」の文字とを二段に書してなり、構成文字全体として特定の語義を生ずるものではない。 そうすると、デザインの種類が異なる文字で構成され、二段に表示されていることから視覚上分離して観察される「eLeCTRON」部分と「VISA」部分とが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとは認められず、その構成中の「VISA」の文字部分は、上で述べたとおり著名な申立人商標と同一であって、自他商品の識別標識として高い識別力を有する文字といえることから、需要者に強く支配的な印象を与えるものといえる。 してみれば、引用商標3に接した需要者は「VISA」の文字部分に着目し、これを要部として、当該文字部分より生ずる称呼等をもって取引に当たる場合も決して少なくないものというのが相当である(異議決定(異議2017-900099)参照)。 したがって、引用商標3についても、本件商標と類似する。 イ 商品役務の類似性について 本件商標と引用商標の指定商品役務は、通常同一の営業主により製造若しくは販売又は提供されているものであり、それらの商品役務に同一又は類似する商標を使用するときは同一営業主の製造若しくは販売又は提供に係る商品役務と誤認されるおそれがある。 したがって、本件商標と11号引用商標の指定商品役務は、同一又は類似する(知財高裁判決 平成27年(行ケ)10096号参照)。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号所定の商標ということができる。 (3)商標法第4条第1項第10号について ア 引用商標7の著名性について 上述のとおり、引用商標7は、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、申立人の商標として著名である。 イ 商標の類似性について 引用商標7の著名性に照らすと、本件商標における「VISA」部分は、取引者及び需要者が特に着目する部分ということができ、当該部分だけを抽出して、引用商標7と比較することも許されるところ、本件商標における「VISA」部分は引用商標7と同一である。したがって、本件商標と引用商標7は類似する。 ウ 商品役務の類似性について 引用商標7は著名であるところ、引用商標7に関わる商品役務は、11号引用商標の指定商品役務及び「クレジットカード等の利用者に代わってする支払代金の清算・決済及び支払代金の電子決済に関するコンピュータプログラムの提供」である。これらの商品役務と本件商標の指定商品役務は類似する。 したがって、両商標の商品役務は、同一又は類似する。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号所定の商標ということができる。 (4)商標法第4条第1項第15号について 「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」について述べた最高裁判決(最判平成12年7月11日民集54巻6号1848頁)がある。 ア 引用商標8の著名性について 上述のとおり、引用商標8は、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、申立人の商標として著名であった。 イ 本件商標と引用商標8の類似性について 本件商標における「VISA」部分は、著名な引用商標8と同一であることから、取引者及び需要者が特に着目する部分といえ、取引者及び需要者に対し商品役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものである。 よって、本件商標における「VISA」部分だけを抽出して、引用商標8と比較することも許されるところ、本件商標における「VISA」部分は引用商標8と同一である。したがって、本件商標と引用商標8は類似する。 ウ 引用商標8の独創性について 引用商標8は、造語ではない。査証(入国許可証)の意味がある。しかし、そうした意味は、「クレジットカード」に関する商品役務の質や内容を示すものではなく、引用商標8を、あえて「クレジットカード」に関する商品役務の分野で商標として採用したことに独創性がある。 エ 本件商標の指定商品役務と引用商標8に係る商品役務との性質、用途又は目的における関連性並びに商品及び役務の需要者の共通性について 上で述べたとおり、引用商標8は、11号引用商標の指定商品役務、クレジットカード等の利用者に代わってする支払代金の清算・決済及び支払代金の電子決済並びにそれらに関するコンピュータプログラムの提供の分野で著名である。 これらの商品役務と本件商標の商品役務は類似の関係にあり、その性質、用途及び目的における関連性が肯定できるほか、需要者も共通する。 さらに、ペイメントカード等の利用者は、一般の需要者であって、商品役務の購入に際してペイメントカード等を使用するものであるから、ペイメントカード等に関する商品・役務(引用商標8に係る商品役務)は、販売・提供の対象となるあらゆる商品役務との間で、一定程度の関連性を有し、需要者を同じくするものといえる(異議決定(異議2017-900099)、知財高裁判決(令和2年(行ケ)10021号)参照。)。 以上からすれば、引用商標8に係る商品役務と本件商標の商品役務の性質、用途及び目的における関連並びに需要者の共通性が肯定できることは明らかである。 オ 取引の実情について 「クレジットカード等の利用者に代わってする支払代金の清算・決済及び支払代金の電子決済」を行っている業者が、これに関わるコンピュータプログラムを販売したり、同プログラムを提供したりしている事実が現に複数存在する。 すなわち、上記(1)で述べたとおり、申立人は、「VISA」をその名称に含むコンピュータプログラムや電子決済等のためにAPIとして使用されるコンピュータプログラムを複数提供しているほか、申立人と同じくクレジットカード等に係るブランドを運営する株式会社ジェーシービー、三菱UFJニコス株式会社、株式会社オリエントコーポレーション、MasterCard Worldwideなども、そのカードに係るブランド名のもとでコンピュータプログラムを提供している(甲43~甲47)。また、それらプログラムはいずれも本件商標の出願時より前から提供されていたものである。 さらに、ペイメントカード発行会社である銀行等も、ペイメントカードにつきそれぞれ独自のコンピュータプログラムを提供している(甲48)。 このほか、VISAカードに関連するアプリケーションとして、VISAカード発行企業によって構成されるVJA(ビザ・ジャパン・アソシエーション)(甲10)の関係会社であるVJA株式会社がVISAカードの利用状況やポイント残高を確認できるスマートフォンアプリ「VJAグループ\Vpass」を提供しているところ、Google Playでは10万件以上ダウンロードされているほか(甲49)、同じくVJA構成会社の三井住友カード株式会社が提供する「Vpass」は100万件以上ダウンロードされている(甲50)。したがって、ペイメントカード等に関わる商品役務に係る事業を行っている業者が、当該商品役務に関するコンピュータプログラムを提供するという、方向への多角化は一般的と言い得る。 力 混同を生ずるおそれについて 本件商標の指定商品役務の需要者は、特別な専門的知識経験を有しない一般大衆ということができ、商品役務を購入するに際して払われる注意力がさほど高いものではないことも踏まえて判断する必要がある。 しかるに、上記アないしオで述べたことに加え、需要者の注意力が高くないことにも照らせば、引用商標8が、造語でないことを重視するのは相当でなく、かえって引用商標8が著名なハウスマークというべきものであって、かかる引用商標8と類似する本件商標が、引用商標8に係る商品役務と需要者等を共通する本件商標の指定商品役務に使用されるときは、広義の混同を生ずるおそれが高い。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号所定の商標ということができる。 4 当審の判断 (1)引用商標の周知性について ア 申立人提出の甲各号証、同人の主張及び職権調査(インターネット情報、新聞記事情報など)によれば、申立人は1958年以降、加盟店、消費者等に決済サービスを提供していること(甲8~甲13)、申立人の業務に係るクレジットカード等(VISAカード)は2021年2月頃において200以上の国と地域で使用され、2015年(平成27年)に世界で利用されたクレジットカード売上(決済高)の50%を超えるシェアであったこと(甲8、甲9、甲12)、2019年12月において、VISAカードの会員は世界で34億人、売上高(決済高)は年間11.8兆米ドルであったこと(甲9)、日本においては1968年に初めてVISAカードが発行され(甲10)、2020年(令和2年)の調査において、日本で利用されたクレジットカードのブランド別シェアにおいて50.8%であったこと(甲13)、VISAカードには「VISA」の文字(デザイン化されたものを含む。以下同じ。)が表されていること(甲9、甲11~甲13)、VISAカードは現在も利用できること(職権調査)などが認められる。 イ 上記アからすれば、VISAカードは我が国において1968年から現在まで商品等の代金の支払いに用いられているといえ、令和2年の調査において、日本で利用されたクレジットカードのブランド別シェアにおいて50.8%であったことなどから、VISAカードに表示されている「VISA」の文字は、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、申立人の業務に係る役務「クレジットカード等の利用者に代わってする支払代金の清算・決済及び支払代金の電子決済」を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められる。 そうすると、上記2(3)のとおり「VISA」の文字からなる引用商標8は、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、申立人の業務に係る役務「クレジットカード等の利用者に代わってする支払代金の清算・決済及び支払代金の電子決済」を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものというのが合理的である。 しかしながら、引用商標1ないし7については、例えば、VISAカードによる決済がスマートフォンなどで利用できることは認められるものの、それに係るコンピュータプログラム(クレジットカード等の利用者に代わってする支払代金の清算・決済及び支払代金の電子決済に関するコンピュータプログラム)及び同プログラムの提供の販売及び提供ルート、使用されている商標など商取引の実情が確認できず、また、会員誌「VISA」が販売等されていることは認められるものの、その販売数量、売上高など販売実績が確認できないなど、それら商標がその指定商品、指定役務及び使用していると主張する役務(以下、それらをまとめて「指定商品等」ということがある。)について使用され、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めるに足りる事情は見いだせない。 したがって、引用商標1ないし7は、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、いずれも申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。 (2)商標法第4条第1項第11号について ア 本件商標 (ア)本件商標は、上記1のとおり「AIR VISA」の欧文字を標準文字で表してなり、該文字に相応し「エアービザ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。 (イ)なお、申立人は、本件商標は外観上「VISA」部分と「AIR」部分の間にスペースがあり当該2語を組み合わせた結合商標であって、全体として一つの観念を生じさせるものとは認められない、「AIR」部分が空気等を意味する一般名詞であるのに対し「VISA」部分は著名な申立人商標と同じ文字からなるなどとして、「VISA」部分が取引者及び需要者に対し商品役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものといえるから、本件商標は「VISA」部分だけを抽出して、11号引用商標と比較することも許される旨主張している。 しかしながら、本件商標を構成する「AIR VISA」の文字は同書同大でまとまりよく一体的に表され、それから生じる「エアービザ」の称呼は無理なく一連に称呼し得るものである。 そして、上記(1)のとおり「VISA」の文字(引用商標8)は申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されていると認められるものであるが、該「VISA」の文字(語)は「査証」を意味する我が国で親しまれた英単語であること、及び上記(1)のとおり11号引用商標はいずれも申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであることを考慮すれば、本件商標は、その構成及び称呼から、看者をして、「AIR VISA」の構成文字全体が一体不可分のものとして認識、把握させるものであって、特定の観念を生じさせないものと判断するのが相当である。 さらに、本件商標は、その構成中「VISA」の文字部分を分離抽出し他の商標と比較検討することが許されるというべき事情は見いだせない。 したがって、申立人のかかる主張は採用できない。 イ 11号引用商標 引用商標1、2、4ないし6は、上記2(1)ア、イ、エないしカのとおり「VISA」の欧文字からなり、該文字に相応し「ビザ」の称呼を生じ、「査証」の観念を生じるものである。 引用商標3は、別掲のとおりやや図案化した「eLeCTRON」と「VISA」の文字を2段に表してなり、該文字に相応し「エレクトロンビザ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。 ウ 本件商標と11号引用商標の類否 本件商標と11号引用商標の類否を検討すると、両者の上記のとおりの外観は構成文字数、構成態様が明らかに異なり、相紛れるおそれのないものである。 次に、本件商標から生じる「エアービザ」の称呼と11号引用商標から生じる「ビザ」「エレクトロンビザ」の称呼を比較すると、両者は語頭における「エアー」の音の有無又は「エアー」の音と「エレクトロン」の音の差異を有し、これらの差異が両称呼全体の語調語感に及ぼす影響は大きく、両者をそれぞれ一連に称呼しても、かれこれ聞き誤るおそれのないものと判断するのが相当である。 さらに、観念においては、本件商標と引用商標1、2、4ないし6とは、前者が特定の観念を生じないものであるのに対し、後者が「査証」の観念を生じるものであるから、相紛れるおそれのないものである。 また、本件商標と引用商標3とは、両者は共に特定の観念を生じないものであるから比較することができない。 そうすると、本件商標と11号引用商標は、外観、称呼において相紛れるおそれがなく、観念において相紛れるおそれがないか、比較できないものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。 その他、本件商標と11号引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。 エ 小括 以上のとおり、本件商標と11号引用商標は非類似の商標であるから、両商標の指定商品及び指定役務が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。 (3)商標法第4条第1項第10号について 上記(1)のとおり引用商標7は、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものである。 そして、上記2(2)のとおり引用商標7は「VISA」の文字からなるものであり、「VISA」の文字からなる引用商標1、2、4ないし6と同一視し得るものと認められるから、本件商標と引用商標7は、上記(2)と同様に、相紛れるおそれのない非類似の商標というのが合理的である。 そうすると、引用商標7は申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、本件商標と引用商標7は非類似の商標であるから、両商標の指定商品及び指定役務などが同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当するものといえない。 なお、本件商標は、引用商標8との関係においても、商標法第4条第1項第10号に該当するものといえない。 (4)商標法第4条第1項第15号について 上記(1)のとおり引用商標8は、申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものである。 そして、引用商標8を構成する「VISA」の文字(語)は「査証」を意味する我が国で親しまれた英単語であるから、独創性の程度は低い。 また、上記2(3)のとおり引用商標8は「VISA」の文字からなるものであり、「VISA」の文字からなる引用商標1、2、4ないし6と同一視し得るものと認められるから、本件商標と引用商標8は、上記(2)と同様に、相紛れるおそれのない非類似の商標であって別異の商標というのが合理的である。 そうすると、引用商標8は申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものであるが、その独創性の程度は低く、本件商標と引用商標8は相紛れるおそれのない非類似の商標であって別異の商標であるから、両商標の指定商品及び指定役務などの関連性の程度、需要者の共通性などを考慮しても、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品及び指定役務について使用したときに、取引者、需要者をして引用商標8を連想又は想起させることはなく、その商品及び役務が申立人あるいは申立人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものといえない。 (5)むすび 以上のとおりであるから、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-900159

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