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商標異議申立

2022-900156

トーキョーカート

審判番号
2022-900156
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2021-011220
登録番号
6509771
請求日
2022年04月18日
審決日
2023年02月16日
公報発行日
2023年03月31日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】知財防衛株式会社
  • 【異議申立人】株式会社 FYT
  • 【異議申立人代理人】北上 日出登
審判長/審判官
  • 審判長 岩崎 安子
  • 審判官 旦 克昌
  • 審判官 馬場 秀敏
分類
T1652.13 -Y (W39) / T1652.272-Y (W39) / T1652.18 -Y (W39) / T1652.22 -Y (W39)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第3条第1項、商標法第3条第1項第3号、商標法第10条第1項、商標法第4条第1項第16号、商標法第4条第1項第7号
データ出所
審決公報(XML)

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登録第6509771号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6509771号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 1 本件商標 本件登録第6509771号商標(以下「本件商標」という。)は、「TOKYO」と「KART」の欧文字を2段に表してなり、平成30年3月25日に登録出願された商願2018-43457に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、令和3年2月1日に登録出願、「自動車の運転の代行,自動車の貸与,自転車の貸与,乗物用の動力機械器具の貸与」を含む第39類及び第35類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、同年12月21日に登録査定され、同4年2月7日に設定登録されたものである。 2 登録異議の申立ての理由 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標はその指定役務中、第39類「自動車の貸与,自転車の貸与,乗物用の動力機械器具の貸与」(以下「本件申立役務」という。)について、商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第16号に該当し、その指定役務中、第39類「自動車の運転の代行,自動車の貸与,自転車の貸与,乗物用の動力機械器具の貸与」(以下「申立てに係る役務」という。)については、同法第3条第1項柱書及び同法第4条第1項第7号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証を提出した。 (1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について ア 本件商標について 本件商標に係る指定役務中、本件申立役務に関して、公道を走行可能なカート(以下「カート」という。)を取り扱う業界において、「カート」の語は、「四輪原動機付自転車」ないし「普通自動車」を表示するものとして普通に使用されている事実がある(甲1~甲3)。公道の走行が認められるということを鑑みても、自動車、原動機付自転車の一部であることは明らかである。 すなわち、カートの貸与を営む業界において、「カート」は「役務の提供の用に供する物」ないし「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物」そのものを示す語に相当する。 また近年、東京都及び日本における都市部において、カートを貸与して需要者に公道を走行させるカートレンタル業が広まっていた(甲4、甲5)。 すなわち、カートの貸与を営む業界において、「東京」は「役務を提供する場所」そのものを示す語に相当する。 本件商標は、日本の首都の名称である東京を通常のアルファベット表記で表した「TOKYO」という文字を横書きして上段に配し、「小型のレーシングカー」(株式会社三省堂発行「コンサイスカタカナ語辞典第4版」)を横書きして下段に配した構成である。さらにこれらの文字は普通に用いられる方法で表示したに過ぎない。 以上から、本件商標は、「役務を提供する場所」を示す語「TOKYO」と「役務の提供の用に供する物」ないし「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物」を示す語「KART」の組み合わせを普通に用いられる方法で表示したに過ぎない。 よって、指定役務中、本件申立役務に使用しても、役務の質と、役務の提供の場所を表示するに過ぎず、自他商品役務識別標識として機能を果たし得ない。また、該役務以外の役務に使用するときは役務の質の誤認を生じさせるおそれがある。 また、工業所有権逐条解説によれば「3号は、(中略)これらは通常、商品又は役務を流通過程又は取引過程に置く場合に必要な表示であるから何人も使用をする必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものだから一私人に独占を認めるのは妥当ではなく」とあり、東京にて複数の公道カートレンタル業者が存在していることを鑑みると、本件商標は一私人の独占に適さないともいえる。 イ 小括 したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものである。 (2)商標法第3条第1項柱書及び同法第4条第1項第7号該当性について 本件商標は、「使用する意思がないにもかかわらずされた商標出願」及び「競業者の営業活動を妨害するような商標出願」に係るものである。 その具体的理由は、申立人が令和元年7月5日付で提出した刊行物提出書に記載しているので、以下にその要約を記載する。 ア 商標権者による過去の出願実績 (ア)著名な大学のミスコンテスト等を示す出願実績が多数ある。これらは、明らかに無関係の組織・団体に係る著名な商標についての剽窃的出願である。 (イ)日本特殊産業有限会社(愛知県刈谷市)が公道用カート事業に継続的に使用してきた「F-Kart」という商標についても剽窃的な商標登録出願をしている(商願2016-79977)。「F-Kart」が公道カートとして周知になっていることは刊行物提出書(甲6)から明らかであり、商標権者が、報道等により周知性を獲得した「F-Kart」を認識しつつ商標登録がなされていないことを奇貨として、上記出願をしたことがうかがえる。 (ウ)その他、一例としてシンガポールの著名洋菓子ブランド「TlRAMISU HERO」(商願2019-022003)、近年流行した「脱出ゲーム」(商願2018-119875)、「公道カート」(商願2017-142161、商願2017-162027)を出願している(甲7)。 本件の商標権者の出願傾向は、「アールシータバーン」事件(知財高裁 平成24年(行ケ)第10019号)における商標権者の出願傾向と酷似している。 イ 申立人(TOKYOKART)とマリカー(株式会社MARIモビリティ開発)との関係性 (ア)申立人について 申立人はマリカーと競合関係にある同業他社である。申立人は広告媒体の事業者から取材を受け、また、大手旅行・観光予約サイトにおいて「TOKYOKART」は、東京の公道カート事業者として上位(例えば第2位)に表示されるなど、同業他社に広く知られるようになった。 (イ)マリカーについて 申立人による役務「公道レンタルカート事業」の提供の場所として、東京スカイツリーで有名な東京都墨田区、浅草雷門近辺を含む東京都台東区、秋葉原電気街がある東京都千代田区があり、千代田区にはマリカーが運営する秋葉原1号店がある。 マリカー秋葉原1号店と申立人とは役務の提供場所として少なくとも千代田区、墨田区と台東区で共通していること、提供する公道カートレンタル事業におけるコースが重複していることから、マリカーは申立人を競業者として認識していたことが明らかである。 ウ 商標権者とマリカーの関係性 以下の理由により、商標権者はマリカーの関係会社であると推測される。 (ア)平成28年10月1日から平成29年1月3日まで、マリカー(株式会社MARIモビリティ開発)の代表取締役の住所(甲8)と、商標権者の本店所在地(甲9)とが同一であった。 (イ)マリカーが公道カート事業に使用する商標の全てを商標権者が出願している。 商標権者は、上記アで例示してきたように、識別力がなく独占を認めるのに適さない商標を出願してきた実績がある。その多くは、第三者に商標権の行使をすることで、不正の利益を得ようとする目的があるとの疑念が生じるものであり、「公道カート」の出願についても、同様のことがいえる。 エ 小括 したがって、本件商標は、商標法第3条第1項柱書及び同法第4条第1項第7号に該当するものである。 3 当審の判断 (1)申立人提出の甲各号証などについて 申立人提出の甲各号証、同人の主張及び職権調査(インターネット情報、新聞記事情報など)によれば、「TOKYO」の文字(語)が「東京」の、「カート(KART)」の文字(語)が「小型のレーシングカー」の意味を有すること(甲2、甲3、職権調査)、カートを貸与し需要者に公道を走行させるサービスが提供されていること(甲3~甲5)、商標権者が商標「TIRAMISU HERO」「脱出ゲーム」「公道カート」などの登録出願をしたこと(甲6、甲7、職権調査)、商標権者の本店所在地と「株式会社MARIモビリティ開発」の元代表取締役の住所が同一であること(甲8、職権調査:本件商標に係る令和3年10月15日受付の「刊行物等提出書」)及び「株式会社MARIモビリティ開発」は「自動車、自転車、軽車両及びこれらの部品の売買、リース、輸出入及びレンタル」「自動車の運転代行及び自動車管理業務」等を目的としていること(職権調査:上記「刊行物等提出書」)などが認められる。 しかしながら、「TOKYO KART」の文字(2段に表示されているもの及び大文字と小文字の異なるものを含む。)が、本件商標の登録査定時において、本件申立役務について質などを表示するものとして用いられている事実は見いだせない。 (2)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について ア 本件商標は、上記1のとおり「TOKYO」と「KART」の欧文字からなり、両文字は同書同大同間隔で、2段にまとまりよく表され、これから生じる「トーキョーカート」の称呼は無理なく一連に称呼し得るものである。 イ そして、上記(1)の認定事実からすれば、本件商標の構成中「TOKYO」の文字単独では「役務を提供する場所」を、また「KART」の文字単独では「役務の提供の用に供する物」を表す語といい得るものの、本件商標の上記構成及び称呼においては、本件商標は、看者をして、「TOKYO」と「KART」の文字からなるものと認識させるとしても、ことさら「TOKYO」及び「KART」の文字それぞれを「役務を提供する場所」及び「役務の提供の用に供する物」を表したものと認識させることなく、むしろ、その構成文字全体が一体不可分のものであって、特定の意味合いを想起しないものと認識、把握させるものとみるのが自然である。 さらに、上記(1)のとおり「TOKYO KART」の文字が、本件申立役務について質などを表示するものとして用いられている事実は見いだせず、また、本件商標の登録査定時において、役務の質などを表示するものと認識されるというべき事情及び何人もその使用を欲するものというべき事情も発見できなかった。 そうすると、本件商標は、これを本件申立役務について使用しても、役務の質などを表示するものでなく、自他役務識別標識としての機能を果たし得るものといわなければならない。 したがって、本件商標は商標法第3条第1項第3号に該当するものといえない。 ウ 上記イのとおり本件商標は、本件申立役務の質を表示するものではないから、これを本件申立役務について使用しても役務の質の誤認を生ずるおそれがあるものといえない。 したがって、本件商標は商標法第4条第1項第16号に該当するものといえない。 (3)商標法第3条第1項柱書及び同法第4条第1項第7号について 申立人は、本件商標は「使用する意思がないにもかかわらずされた商標出願」及び「競業者の営業活動を妨害するような商標出願」に係るものである旨主張しているので、以下、検討する。 ア 上記(1)の認定事実からすれば、商標権者は「自動車、自転車、軽車両及びこれらの部品の売買、リース、輸出入及びレンタル」「自動車の運転代行及び自動車管理業務」などの業務を行う「株式会社MARIモビリティ開発」と関連性を有しているとみるのが相当である。 そして、上記2のとおり申立てに係る役務は、「自動車の運転の代行,自動車の貸与,自転車の貸与,乗物用の動力機械器具の貸与」である。 そうすると、本件商標は、商標権者が同人と関連性を有する会社の業務に係る役務(申立てに係る役務)を指定役務として登録出願したものといえ、かかる事情のもと、本件商標はその登録査定時において商標法第3条第1項柱書の要件を具備しないものとして、その登録を取消すことは穏当なものといえない。 イ 上記アのとおり、本件商標は商標法第3条第1項柱書の要件を具備しないものといえないものであり、また、申立人提出の証拠によっては、本件商標が、競業者の営業活動を妨害するような商標出願に係るもの、不正の利益を得る目的など不正の目的をもって使用をするもの、その出願及び登録の経緯に社会的相当性を欠くなど、公序良俗に反するものというべき事情は見いだせない。 そうすると、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標ということはできない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものといえない。 (4)まとめ 以上のとおりであるから、本件商標の指定役務中、登録異議の申立てに係る指定役務についての登録は、商標法第3条第1項柱書、同項第3号、同法第4条第1項第7号及び同項第16号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。

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