商標異議申立
2022-900152
ワールドウイング、ワールド、ウイング、ザビイエムエルトレーニング、ビイエムエルトレーニング、ビイエムエル、ダブリュウ
- 審判番号
- 2022-900152
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2021-122350
- 登録番号
- 6511497
- 請求日
- 2022年04月15日
- 審決日
- 2023年03月14日
- 公報発行日
- 2023年11月24日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】株式会社ワールドウィングエンタープライズ
- 【権利者代理人】弁理士法人白坂
- 【異議申立人】4D-Stretch 株式会社
- 【異議申立人代理人】伊藤 大地
- 【異議申立人代理人】甲本 晃啓
- 審判長/審判官
- 審判長 豊田 純一
- 審判官 杉本 克治
- 審判官 山田 啓之
- 分類
- T1651.18 -ZC (W28)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項、商標法第5条第5項、商標法第3条第1項第3号、商標法第4条第1項第18号、商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第16号、商標法第3条第1項第6号、商標法第4条、商標法第3条、商標法第5条第4項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
登録第6511497号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6511497号商標の指定商品中、第28類「「ラットプルマシン」を除く「運動用機械器具,運動用具」」についての商標登録を取り消す。
本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6511497号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、令和3年10月1日に立体商標として登録出願、第28類「運動用機械器具,運動用具」を指定商品として、同4年1月24日に登録査定、同年2月9日に設定登録されたものである。
第2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録第4469415号商標(以下「引用商標」という。)は、「WORLD WIN」の文字を標準文字で表してなり、平成12年7月4日に登録出願、第18類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品並びに第28類「運動用具,スキーワックス」を指定商品として、同13年4月20日に設定登録され、さらに、同23年4月26日に第28類の指定商品のみについて商標権の存続期間の更新登録がされたものであり、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、その指定商品について、商標法第3条第1項第3号、同項第6号、同法第4条第1項第11号、同項第16号、同項第18号及び同法第5条第5項に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第14号証(なお、証拠の表記にあたっては、「甲第○号証」を「甲○」のように省略して記載する。)を提出した。
1 商標法第5条第5項の要件充足性について
本件商標は、位置商標としてのみ登録が認められるべきものであるところ、位置商標としての登録を受けるためには経済産業省令で定めるところにより、その商標の詳細な説明を願書に記載しなければならず、これが商標登録を受けようとする商標を特定するものでなければならない(商標法第5条第5項)。
しかし、本件商標は、位置商標である旨及び位置商標としての商標の詳細な説明の記載のいずれも欠如するものである(甲1)。
よって、本件商標は、商標登録を受けようとする商標が特定されたものでないことは明らかであって、商標法第5条第5項の要件を具備しない。
2 商標法第3条第1項3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、筋肉訓練器具とおぼしき物の立体的形状の上部にごく小さく「WORLD WING」及び「THE B.M.L.TRAINING」の欧文字をロゴ化して配してなるものである(甲1)。
(2)本件商標の構成中の立体的形状について
本件商標は、3件の画像(甲1)によって表されるものであるところ、自立式の座面付き筋肉訓練器具が一般に取引されている実情からすれば、この本件商標の指定商品「運動用機械器具,運動用具」に属する「筋肉訓練器具」の機能や美感上の理由から採用されることが予測される範囲の形状にすぎないことは明らかである(甲2~甲5)。
そうすると、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者は、その商標について、当該商品の形状を立体的に表したものと認識するにすぎない。
(3)本件商標の構成中の文字的要素について
本件商標は、立体的形状の正面視上部の中央部分を拡大すると、「WORLD WING」の欧文字及び「THE B.M.L.TRAINING」の欧文字をロゴ化したらしき表示が付されているように看取されるが、当該立体的形状の全体に比してごく小さく表示されているために、拡大しなければ判読し得ないものである。
また、当該立体的形状は、縦方向長さ10に対して横方向長さ2の背高の器具であるから、その正面視上部の中央に配された欧文字を判読することは容易ではなく、かつ、当該部分を拡大して観察することが通常とはいえないのが経験則であるから、文字からなる一模様であるとの認識を超えて、具体的な標識が付されていると把握することは困難である。
正面視投影面積に対する比率としては、「WORLD WING」の文字部分が1.1%程度及び「THE B.M.L.TRAINING」の文字部分が0.5%程度と、判読困難なほど小さい。
このような小さく見えにくい配置で表示された「WORLD WING」の欧文字及び「THE B.M.L.TRAINING」の欧文字は、本件商標をその指定商品「運動用機械器具,運動用具」に使用しても、これに接する取引者・需要者は、「WORLD WING」の欧文字及び「THE B.M.L.TRAINING」の欧文字からなる文字的要素を商標として認識することができない。
以上のとおり、本件商標に接する取引者、需要者においては、当該表示の構成及び態様も、文字的要素付きの立体商標としては明確には把握できず、せいぜい筋肉訓練器具に付された一模様として看取されるにとどまることから、この表示は自他商品識別力を発揮するものではない。
(4)商標法第3条第1項3号及び同法第4条第1項第16号について
以上のとおり、本件商標の立体的形状は自他商品識別力が欠如し、かつ、文字的要素も自他商品識別力を発揮するものではないから、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、実質的に単に筋肉訓練器具の商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものと認識するものであるから、本件商標は、全体として自他商品識別力が欠如するものというべきである。
さらに、本件商標の指定商品は「運動用機械器具,運動用具」であるところ、特許庁が定める商品役務審査基準によれば、かかる概念の中には、多岐にわたる商品が含まれる(甲6)。
そうすると、本件商標を筋肉訓練器具以外の商品に使用するときは、あたかもそれが筋肉訓練器具かのごとく、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるものである。
よって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
3 商標法第3条第1項6号該当性について
本件商標は、上記のとおり商標法第3条第1項3号に該当するものであるが、仮に本件商標中の文字的要素との結合によって商標としての機能を果たし得ないものと推定がされないとしても、取引の実情に照らすと、本件商標は自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものである。
この種の商品の立体的形状に付された文字的要素というのは、文字的要素それ自体の商標登録であれば別論、立体的形状との結合全体としてみたときにまで、購入をしようとする商品の選定・購買決定の際にこの種商品の出所識別標識として機能するものではない。
また、本件商標の構成中の立体的形状は、「筋肉訓練器具」の機能や美感上の理由から採用されることが予測される範囲の形状にすぎず自他商品識別力に欠けるものである。
そうすると、本件商標は、商標としての機能を果たし得ないものと推定はされないとしても、取引の実情を考慮すると、なお自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものである。
よって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。
4 商標法第4条1項第11号該当性について
(1)本件商標と引用商標について
本件商標は、その構成中の上段に「WORLD WING」の欧文字を有し、下段には「THE B.M.L.TRAINING」の欧文字を有するところ、互いに文字の大きさも配置も書体も異なることから、それぞれ分離して観察することが取引上不自然と思われるほど不可分に結合しているものではなく、それぞれから独立して称呼、観念が生じるものである。
そして、本件商標の上段に小さく配された「WORLD WING」の欧文字からは、その構成に応じて英語の発音に従った「ワールドウィン」との称呼又は片仮名読みをした「ワールドウィング」との称呼を生ずる。
また、その語義から「世界翼」との意味合いが生じるが、当該語は辞書に載録されるものではないため、全体として意味の通じない造語的なものとして看取されて商標として一定の観念が生じないか、「ワールドウィンとの称呼が生じる造語」との観念が生じるにすぎないものである。
他方、引用商標は、「WORLD WIN」の欧文字からなるところ、その構成に応じて英語の発音に従っても片仮名読みをしても「ワールドウィン」との称呼を生ずる。
また、その語義から「世界勝ち」との意味合いが生じるが、当該語は辞書に載録されるものではないため、全体として意味の通じない造語的なものとして看取されて商標として一定の観念が生じないか、「ワールドウィンとの称呼が生じる造語」との観念が生じるにすぎないものである。
(2)本件商標と引用商標との類否
本件商標は筋肉訓練器具の立体的形状並びに「WORLD WING」の欧文字及び「THE B.M.L.TRAINING」の欧文字の結合よりなるところ、これらの文字は全体の構成に照らして極めて小さく表示されていることから自他商品識別力が欠如する部分であるが、仮にこれら文字部分について自他商品識別力が認められたとしても、「WORLD WING」の欧文字は、「THE B.M.L.TRAINING」の欧文字に比して大きく目立つように表示されるものであり、「WORLD WING」の文字が外観上強く支配的な印象を与えるものであるから、この部分に注目が集まるものであって、この部分と同一又は類似の商標が同一又は類似の商品に使用された場合には、商品の出所について誤認混同を生ずるものといわざるを得ない。
その上で両商標を対比すると、本件商標の構成中の「WORLD WING」の欧文字と引用商標の「WORLD WIN」の欧文字は、末尾の「G」の有無の差異にとどまることから、引用商標を完全に包含し、かつその構成文字の9分の8(約88%)を共通にするものであって、外観上極めて相紛らわしい。
また、本件商標の構成中の「WORLD WING」の欧文字と引用商標の「WORLD WIN」の欧文字から生ずる称呼は、ともに「ワールドウィン」であって、称呼を共通にするものであり、本件商標の構成中の「WORLD WING」の欧文字から片仮名読みをした「ワールドウィング」との称呼が生ずる場合であっても、末尾音である「グ」の音は軟口蓋音であって、音感において重く鈍く淀みがある音であるから、そもそもさほど強く発音されない音である上に、末尾音であって消えていくものであるから微弱な音となる結果、末尾の「グ」の音を聴別することは困難である。
よって、本件商標から「ワールドウィン」又は「ワールドウィング」のいずれの称呼が生じたとしても、引用商標から生ずる「ワールドウィン」との称呼を比較して称呼上極めて相紛らわしいことは明らかである。
さらに、両商標は、ともに造語として認識された場合には観念上区別することができないものであるばかりか、「ワールドウィンとの称呼が生じる造語」との観念が生じた場合には観念も共通にするものであって、やはり観念上も相紛らわしい。
このように、両商標が取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等は酷似したものであり、取引者、需要者において互いに相紛らわしく、商品の出所につき誤認、混同を生ずるおそれがあることは明らかである。
以上のとおり、本件商標は、引用商標と類似のものであり、またその指定商品も同一又は類似のものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
5 商標法第4条第1項第18号該当性について
(1)立体商標制度と位置商標制度の関係について
自他商品・役務識別力が欠如する立体的形状に商標に係る標章(文字、図形、記号若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合に限る。)を付する位置が特定された、いわゆる伝統的な平面商標と立体的形状の結合からなる商標の保護は、平成26年商標法改正に伴い、位置商標としての登録によってなされるべきものとなったのである。つまり、この位置商標制度の導入を契機として、自他商品・役務識別力を有しない立体的形状は、たとえ自他商品・役務識別力を有する平面商標との結合であっても、立体商標としての登録を受けることはできないものとなったと解するべきなのである。
(2)文字等と結合された立体的形状の登録の可否について
位置商標制度が導入された現行法下においては、立体商標として登録出願がされた商標が、商標に係る標章(文字、図形、記号若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合に限る。)と立体的形状の結合である場合、たとえ立体的形状部分に自他商品・役務識別力が認められず、結合された商標に係る標章(文字、図形、記号若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合に限る。)にのみ自他商品・役務識別力が認められ、商標法第3条の適用が否定されたものであったとしても、当該立体的形状部分が商品又は商品の包装の機能を確保するために不可欠な立体的形状である限り、商標法第4条第1項第18号の適用を免れることはできないと解するべきである。
(3)本件商標について
本件商標は、3件の画像によって表されるものであるところ(甲1)、自立式の座面付き筋肉訓練器具が一般に取引されている実情からすれば、本件商標の指定商品に属する「筋肉訓練器具」の形状として予想し得る立体的形状の一形態である(甲2~甲5)。
よって、本件商標の構成中の立体的形状部分は、商品又は商品の包装の機能を確保するために不可欠な立体的形状のみからなるものである。
以上のとおり、本件商標は、商品等が当然に備える特徴のみからなる商標であるから、商標法第4条第1項第18号に該当する。
第4 当審における取消理由の要旨
当審において、本件商標の商標権者(以下「本件商標権者」という。)に対し、本件商標は、その指定商品中「ラットプルマシン」以外の「運動用機械器具,運動用具」については、本件商標の使用を想定できず、かつ、広告としての使用も想定できないため、本願商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備しないから、同法第43条の3第2項の規定に基づいて、取り消すべきものである旨の取消理由を、令和4年10月18日付けで通知し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えた。
第5 商標権者の意見
本件商標権者は、上記第4の取消理由に対して、指定した期間内に何ら意見を述べていない。
第6 当審の判断
1 商標法第5条第5項の要件充足性について
(1)商標法第5条第5項について
経済産業省令で定める商標について商標登録を受けようとするときは、経済産業省令で定めるところにより、その商標の詳細な説明を願書に記載し、又は経済産業省令で定める物件を願書に添付しなければならないところ(商標法第5条第4項)、経済産業省令では、立体商標については、商標登録を受けようとする商標を特定するために必要がある場合に限り、商標の詳細な説明の記載を求めている(同法施行規則第4条の8)。
そして、商標法第5条第5項では、当該商標の詳細な説明は、商標登録を受けようとする商標を特定するものでなければならない旨規定している。
(2)本件商標について
本件商標は、別掲のとおりの構成よりなるところ、当該構成は、異なる3つの方向から表示した図により、立体的形状(文字、図形、記号若しくは色彩又はこれらの結合との結合を含む。)からなる商標、すなわち立体商標(商標法施行規則第4条の3)を具体的に特定しているものと認められる。
そうすると、本件商標は、これを特定するために、商標の詳細な説明の記載が必要な場合とはいえない。
なお、申立人は、自他商品・役務識別力が欠如する立体的形状に商標に係る標章(文字、図形、記号若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合に限る。)を付する位置が特定された、いわゆる伝統的な平面商標と立体的形状の結合からなる商標の保護は、位置商標制度の導入を契機として、たとえ自他商品・役務識別力を有する平面商標との結合であっても、立体商標としての登録を受けることはできないものとなったと解するとした上で、本件商標は位置商標としてのみ登録が認められるべきものであり、位置商標である旨及び位置商標としての商標の詳細な説明の記載のいずれも欠如するものである旨主張している。
しかしながら、位置商標の制度が導入されたからといって、申立人の主張のように解さなければならない理由は何ら見いだせない。
そして、本件商標は、上記のとおり、立体商標として具体的に特定されているものと認められるから、商標の詳細な説明の記載が必要な場合とはいえない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第5条第5項に規定する要件を満たしていない商標登録出願に対してされたものということはできない。
2 商標法第3条第1項柱書の要件充足性について
本件商標は、別掲のとおりの構成よりなるところ、これは、本件商標の指定商品に含まれる「トレーニング用具」の一種である「ラットプルマシン」の一形態を表したものと認められる立体的形状(以下「本件立体的形状部分」という。)に、本件立体的形状部分の一方向の面における、その上部の横長四角形部分に、「WORLD/WING」及び「THE/B.M.L.TRAINING」の文字並びに「W」の欧文字をレタリングしたと思われる図形の組合せを表した構成からなる。
そして、本件商標の指定商品中「運動用具」には、「トレーニング用具」の一種である「ラットプルマシン」が含まれるところ、「ラットプルマシン」の一般的な形状及び用途等(甲2~甲5)に鑑みれば、「ラットプルマシン」以外の「運動用機械器具,運動用具」については、その商品の立体的形状を本件立体的形状部分とすることは想定できず、また、本件立体的形状部分を広告として使用をすることも当然に想定できない。
したがって、本件商標は、その指定商品中「ラットプルマシン」以外の「運動用機械器具,運動用具」については、本件商標の使用を想定できず、かつ、広告としての使用も想定できないから、商標法第3条第1項柱書の要件を具備しない。
3 商標法第3条第1項第3号及び同項第6号該当性について
(1)本件商標は、別掲のとおりの構成よりなるところ、そこに表された本件立体的形状部分は、指定商品中の「ラットプルマシン」が採用し得る一形状にすぎないものではあるものの、本件立体的形状部分の上部の本体部分に、ややデザイン化した「W」の文字を大きく表示して、その中央右上に重なるように白抜き文字で「WORLD WING」の文字を2段に配し、当該「W」の下部に「THE B.M.L.TRAINING」の文字を2段に配した構成よりなるもの(以下「本件文字部分」という。)を有するものである。
そして、申立人の提出に係る証拠をみるに、本件商標権者が提供する「B.M.L.Tカムマシンシリーズ」と称されるラットプルマシンには、本件商標と同様の位置に本件文字部分が付されていることが認められ(甲7)、かつ、当該証拠からは本件文字部分が格別に小さく表示され判読不可能であるものとは認められない。
また、申立人は、本件立体的形状部分に対する本件文字部分の比率が小さい旨主張するが、本件文字部分はラットプルマシンの正面上部の目立つ部分に付されており、特段判読困難ということはない。
その他、本件商標の構成中の本件文字部分について、認識することが困難であるいうべき事情は見いだせない。
そうすると、本件商標は、これをその指定商品中の「ラットプルマシン」について使用しても、本件商標に接する取引者、需要者が、本件文字部分を判読不能と認識するとはいえないというべきである。
また、「WORLD WING」の欧文字及び「THE B.M.L.TRAINING」の欧文字は、書体、大きさ及び構成を異にし、両語を一連に表した文字が一般的な辞書等に載録されているといった事情は発見できず、そして、本件商標の指定商品中の「ラットプルマシン」の品質などを表示するものと認識されているといった事情も発見できなかった。
してみれば、本件文字部分を有する本件商標は、これをその指定商品中の「ラットプルマシン」に使用しても、商品の形状等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標とはいえないものであり、また、需要者が何人かの商品であることを認識することができないものとはいえない。
(2)申立人は、本件文字部分は、本件立体的形状部分に付された一模様として看取されるにすぎないものであり、自他商品識別機能を発揮するものではない旨を主張するが、本件商標は、本件立体的形状部分が「ラットプルマシン」の一形状にすぎないものの、本件文字部分が自他商品識別機能を果たし得るもので、商標法第3条第1項第3号及び同項第6号のいずれにも該当するといえないから、申立人の主張は、上記判断を左右するものではなく、これを採用することができない。
(3)したがって、本件商標は、その指定商品中「ラットプルマシン」について、商標法第3条第1項第3号及び同項第6号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第16号該当性について
上記2のとおり、本件商標は、その指定商品中「ラットプルマシン」以外の商品については、その使用を想定できず、かつ、広告としての使用も想定できないものである。
そして、「ラットプルマシン」の一形態を表したものと認められる本件立体的形状部分に、自他商品の識別標識としての機能を果たし得る本件文字部分を付してなる本件商標は、これを「ラットプルマシン」について使用しても、商品の品質について誤認を生じさせるおそれはない。
したがって、本件商標は、その指定商品中「ラットプルマシン」について、商標法第4条第1項第16号に該当しない。
5 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、別掲に示すとおり、本件商標の指定商品中の「ラットプルマシン」の形状を表してなるところ、本件立体的形状部分より特定の称呼及び観念は生じない。
そして、上記4(1)のとおり、本件文字部分が、本件商標の指定商品中の「ラットプルマシン」の品質を表示するものなど、自他商品識別標識としての機能を有しないものというべき事情は発見できない。
そうすると、本件文字部分の構成中、「WORLD WING」の欧文字及び「THE B.M.L.TRAINING」の欧文字は、それぞれ独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものといえ、その各文字の構成全体から生じる「ワールドウィング」及び「ザビーエムエルトレーニング」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。
また、いずれも我が国において親しまれた英語ではあるが、構成全体としては、特定の意味を有する語又は熟語としては知られていないものであり、特定の意味合いを有しない造語と認められるものであるから、その構成文字に相応して、「ワールドウィング」及び「ザビーエムエルトレーニング」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標について
引用商標は、「WORLD WIN」の欧文字よりなるものであり、当該文字に相応し「ワールドウィン」の称呼を生じ、当該文字は、我が国において親しまれた英語ではあるが、構成全体としては、特定の意味を有する語又は熟語としては知られていないものであり、特定の意味合いを有しない造語と認められるものであるから、特定の観念を生じないものである。
(3)本件商標と引用商標の類否について
本件商標と引用商標を比較すると、外観においては、構成要素(立体的形状の有無)に明らかな差異があり、また、本件商標の構成中の「WORLD WING」の欧文字と引用商標、「WORLD WIN」の欧文字は、語尾における「G」の欧文字の有無に相違があるため、外観において相紛れるおそれはない。
次に、称呼については、本件商標の構成中の「WORLD WING」の欧文字より生じる「ワールドウィング」の称呼と引用商標より生じる「ワールドウィン」の称呼とは、「ワールドウィン」の音を共通にするものの、比較的印象に残りやすい語尾において「グ」の音の有無の差異を有するものであるから、この差異が称呼全体に及ぼす影響は少なくなく、両称呼をそれぞれ一連に称呼しても、全体の音感、音調が異なったものとして聴取されるものであるから、紛れることなく明瞭に区別することができるものといえる。
また、本件商標の構成中の「THE B.M.L.TRAINING」の欧文字より生じる「ザビーエムエルトレーニング」の称呼と引用商標より生じる「ワールドウィン」の称呼とは、その音数及び音構成が異なるものであるから、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、明瞭に聴別し得るものであって、称呼において相紛れるおそれはないものである。
さらに、本件商標と引用商標とはいずれも親しまれた既成の観念を有しないものであるから、これらの観念を比較することはできない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、これらの観念を比較することはできないとしても、外観及び称呼において、相違するものであるから、これらは、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。
(4)小括
したがって、本件商標は、引用商標とは同一又は類似する商標ではないから、これらの指定商品を比較するまでもなく、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
6 商標法第4条第1項第18号該当性について
本件商標の構成中の本件立体的形状部分は、「ラットプルマシン」の一形態を表したものと認められるとしても、これが、ラットプルマシンの機能を確保できる代替的な立体的形状が他に存在しないといった事情や、代替可能な立体的形状が存在する場合でも、同程度又はそれ以下の費用で生産できないといった事情は何ら見いだせない。
そうすると、本件商標は、仮に、本件商標中の本件立体的形状部分のみに着目したとしても、当該形状がラットプルマシンの機能を確保するために不可欠な立体的形状ということはできない。
なお、申立人は、立体商標制度と位置商標制度の関係及び文字等が付された立体的形状の可否について独自の見解を述べた上で、本件商標は、3件の画像によって表されるものであるところ、自立式の座面付き筋肉訓練器具が一般に取引されている実情からすれば、この本件商標の指定商品「運動用機械器具、運動用具」に属する「筋肉訓練器具」の形状として予想し得る立体的形状の一形態であるから、本件商標中の立体的形状部分は、その構成中に有する商標が、自他商品識別力があるかどうかにかかわらず、商品又は商品の包装の機能を確保するために不可欠な立体的形状のみからなるものであると主張する。
しかしながら、本件商標の構成中、本件立体的形状部分が「ラットプルマシン」の形状として予測し得る一形態であるとしても、本件文字部分等の自他商品識別力の有無にかかわらず、本件商標が商品の機能を確保するために不可欠な立体的形状のみからなるものと判断しなければならない特段の事情は何ら見いだせない。
したがって、本件商標は、その指定商品中「ラットプルマシン」について、商標法第4条第1項第18号に該当しない。
7 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品中、第28類「ラットプルマシン」を除く「運動用機械器具,運動用具」について、商標法第3条第1項柱書に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
しかしながら、本件商標の指定商品中、第28類「ラットプルマシン」については、商標法第3条第1項第3号、同項第6号、同法第4条第1項第11号、同項第16号、同項第18号、同法第5条第5項に違反してされたものではなく、取り消すべき理由がないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録は維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2022-900152