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商標異議申立

2022-900133

コンフォートゾナー、コンフォート、ゾナー

審判番号
2022-900133
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2021-064723
登録番号
6503010
請求日
2022年03月31日
審決日
2023年11月20日
公報発行日
2023年12月28日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】株式会社マクアケ
  • 【権利者代理人】弁理士法人一色国際特許事務所
  • 【異議申立人】ダヴィネス ソチエタ ペル アツィオーニ
  • 【異議申立人代理人】三上 真毅
審判長/審判官
  • 審判長 豊瀬 京太郎
  • 審判官 板谷 玲子
  • 審判官 須田 亮一
分類
T1652.261-Y (W03) / T1652.262-Y (W03) / T1652.263-Y (W03) / T1652.271-Y (W03) / T1652.4 -Y (W03)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号、商標法第8条第1項
データ出所
審決公報(XML)

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登録第6503010号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6503010号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 1 本件商標 本件登録第6503010号商標(以下「本件商標」という。)は、「コンフォートゾナー」の片仮名と「COMFORT ZONER」の欧文字を2段に表してなり、令和3年5月27日に登録出願、第3類「せっけん類,洗浄剤(製造工程用及び医療用のものを除く。),化粧品,入浴剤(医療用のものを除く。),身体用防臭剤,香料,薫料,抗菌効果・消臭効果・害虫忌避効果又は防虫効果を有する芳香剤,その他の芳香剤」など第1類、第3類、第5類及び第21類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同年12月15日に登録査定され、同4年1月21日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりであり(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。 (1)国際登録第753424号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の態様 [comfort zone] 指定商品 第3類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の商品 国際商標登録出願日 2002年(平成14年)5月28日(事後指定) 設定登録日 平成15年2月7日 (2)登録第4929606号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の態様 コンフォート ゾーン(標準文字) 指定商品 第3類に属する商標登録原簿に記載の商品 登録出願日 平成17年6月2日 設定登録日 平成18年2月17日 (3)国際登録第1553890号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の態様 [comfort zone] 指定商品 第3類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の商品 国際商標登録出願日 2020年(令和2年)10月1日(事後指定) 設定登録日 令和4年2月4日 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標はその指定商品中第3類「せっけん類,洗浄剤(製造工程用及び医療用のものを除く。),化粧品,入浴剤(医療用のものを除く。),身体用防臭剤,香料,薫料,抗菌効果・消臭効果・害虫忌避効果又は防虫効果を有する芳香剤,その他の芳香剤」(以下「申立商品」という。)について、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第40号証(枝番号を含む。)を提出した。 (1)申立人及び同人のスキンケア用品を表示する引用商標 ア 申立人 申立人は、1983年、イタリア・パルマにて創業以来、一貫して、化粧品の製造業者として、商品コンセプトから研究開発、製造、ラベリングに至る製品づくりに従事している。 申立人がこれまでに販売した化粧品は、2500万本以上に達し、世界89か国、34,000社を超えており(甲6)、また、2018年当時の社員数は38か国、648名で(甲6)、イタリア発のスパコスメブランドとして、世界的に注目を集めている(甲9、甲11、甲18、甲21、甲23~甲25、甲34)。申立人の主力化粧品ブランドとして、1992年から販売しているヘアケア市場の専門ブランド「ダヴィネス/davines」と、1996年に誕生したスキンケア部門の「コンフォートゾーン」(甲6)がある。「コンフォートゾーン」のスキンケア商品のうち、エイジングケアラインに特化した化粧品について、サブブランド「スキンレギメン」を2018年より展開している(甲6、甲7、甲23)。 「コンフォートゾーン」は、最大限の効果を引き出すための処方として、先端の科学技術と自然の恵みでより環境にも人にもやさしいサスティナブルなものづくりを追求しており、環境や肌に対して安全性が懸念される成分は一切使用しておらず(甲8)、申立人は、サスティナブルなもの作りに取り組む企業として知られている(甲7、甲9)。テクスチャーや効果のみならず、香りやパッケージ、空間や経験にまでこだわり、感動と安らぎを提供する「コンフォートゾーン」は、今では世界50か国以上に販売網を持つコスメブランドとして成長している(甲10、甲23)。幅広い商品ラインナップとユニークなトリートメントは多くの国で賞賛を浴び、数々のビューティーアワードを受賞するに至っている(甲11)。例えば、世界で最も影響力のあるファッション誌「VOGUE」が、独自の視点でその年のベスト&名品コスメを選ぶ「VOGUE BEAUTY AWARDS」(VBA)において、「コンフォートゾーン」は、2015年、2017年、2018年、「NATURAL WONDER」賞に選ばれた(甲12~甲14)。 我が国において、ヘアケア化粧品「コンフォートゾーン」は、2005年10月より、販売代理店(現在は、株式会社コンフォートジャパンが国内総代理店となっている。甲15)を通じて国内の事業者や需要者向けに、現在に至るまで継続して販売している。自然の恵みを最大限に活かし、ライフスタイルに寄り添ったものづくりにこだわるスキンケアブランドとして、独自の科学技術と熱心な研究により、オーガニックラインからテクノロジーラインまで幅広い商品を展開するユニークな手技が魅力のトリートメントは、世界各国のハイエンドスパで愛され、「イタリアでも指折りコスメブランドとして成長し続けており」(甲9、甲18)、日本国内でも、環境問題やスキンケアに対する意識の高い需要者を中心に、ファンを増やし続けている。 イ 引用商標の使用実績、自然派コスメとしての高い認知度 申立人は、1996年より、スキンケア用化粧品のブランドとして「コンフォートゾーン」を使用している(甲6号~甲10、甲36)。 我が国においては、2005年10月から今日に至るまで、販売代理店を通じて「コンフォートゾーン」のブランドのスキンケア商品が多数販売されている(甲15、甲16)。 また、現在の国内販売代理店である株式会社コンフォートジャパンが運営する「コンフォートゾーン」のブランドサイトには、引用商標3が商品容器に表示されたスキンケア用化粧品が各種掲載されている(甲12、甲17~甲19、甲21、甲36、他)。 申立人のスキンケア商品「コンフォートゾーン」は、国内販売代理店が運営するオンラインサイト(甲17)だけでなく、三越伊勢丹オンラインストア(甲10)やセレクトショップ大手のユナイテッド・アローズのオンラインストア(甲8)、その他のコスメ通販業者(甲19)を通じてネット販売されているだけでなく、国内15か所に存在する直営店においても販売されている(甲20)。申立人の実店舗は、大丸百貨店、高島屋百貨店、伊勢丹新宿店、ルミネ、表参道ヒルズ、渋谷スクランブルスクエアといった、品質の良い商品(化粧品)を買い求める需要者(主に成人女性)が頻繁に足を運ぶ人気ショッピングエリアにあることから、そのブランドイメージや品質、人気の高さが伺える。 申立人の化粧品は、環境や肌に対して安全性が懸念される成分は一切使用しておらず(甲8)、サスティナブルなもの作りで知られているだけでなく(甲9)、世界50か国以上の高級スパやサロンで愛されたイタリア発のスパコスメブランドとしての話題性も相まって、自然派スキンケア用品やオーガニックコスメに意識の高い需要者を対象とする雑誌やオンラインメディアにおいて、新商品が発売される度に「コンフォートゾーン」は取り上げられており、申立人の商品に対する我が国の需要者の関心の高さが伺える。例えば、美容系雑誌で有名な「MAQUIA」エキスパート、ファッション・モード誌「Numero」、「ファッションの聖書」とも称されるファッション業界誌「WWD」で紹介されている(甲21~甲23)。 「コンフォートゾーン」は、高級スパやエステサロンでも導入されているプロフェッショナルユースのアイテムをそろえており、世界50か国以上の有名スパやサロンで導入され、多くのセレブたちに愛され、イタリアでも指折りのコスメブランドとして成長し続けている」ことから(甲9、甲18、甲23、甲24)、リーガロイヤルホテル東京や沖縄の有名リゾートホテル「THE TERRACE HOTELS」といった国内の高級エステ・スパにおいて、「コンフォートゾーン」を特別に利用したトリートメントが用意されるに至っている(甲25、甲26)。 このように、申立人の「コンフォートゾーン」は、その品質の良さ、海外での実績が美容意識の高い国内の需要者の間に話題となり、一目置かれる海外の自然派コスメブランドとして、これまで、大々的な宣伝広告をせずとも、口コミやメディアでの評判等を通じて、一定の人気を獲得するに至っている実例といえる。 現に、国内の人気ファッション誌において、スキンケアの特集やコスメランキング、最近のトレンドアイテムといった記事には、「コンフォートゾーン」が頻繁に紹介されている(甲27~甲34)。 申立人のスキンケア商品は、環境や肌に対して安全性が懸念される成分は一切使用しておらず(甲8)、サスティナブルなもの作りで知られていることから(甲9)、自然派コスメの先駆的存在ともいえ、また、昨今の地球環境問題への意識の高まりやSDGsへの社会的取組みにより、化粧品業界においても、従来のコスメとは一線を画す、自然派コスメ、エシカルコスメ、オーガニックコスメ、ヴィーガンコスメといった、環境配慮型化粧品に対する需要者の関心が次第に高まっている。 「コンフォートゾーン」商品の国内売上高は、2017年が151,496ユーロ、2018年が206,671ユーロ、2019年が178,349ユーロ、2020年が160,443ユーロと、化粧品業界の市場規模から見れば決して高いとは言えないが、高級スパで提供される高品質の自然派コスメとして、環境配慮型化粧品に高い関心を有する需要者や業界関係者の間では既に一定の認知度を獲得している。例えば、「ナチュラル優しいスキンケア・メイクアイテムおすすめブランド」の一つに、「コンフォートゾーン」は選ばれている(甲35)。 このように、申立人は、1996年から25年以上にわたり、引用商標をスキンケア用化粧品に使用し(甲6~甲36)、我が国においては、2005年から販売してきたこと(甲15、甲16)、また、イタリアを代表するスキンケアブランドであり、世界50か国以上のラグジュアリーな高級スパやサロンで愛されているハイブランドとして、サスティナブルな物づくりに取り組む企業姿勢が国内のファッション&美容関係のメディアにおいて幾度となく報道されてきたこと、さらに、品質の良い商品(化粧品)を買い求める需要者(主に成人女性)が頻繁に足を運ぶ人気ショッピングエリアに実店舗を構えていることから(甲20)、本件商標の出願時及び登録時において、引用商標は、申立人の業務に係る自然派スキンケア用化粧品(以下「使用商品」ということがある。)を表示する商標として、少なくとも、地球環境や美容に対する意識の高い需要者や取引者の間で一定の認知度を獲得していたものと判断されて然るべきである。 (2)本件商標を商標法第4条第1項第11号により取消すべき理由 本号の適用について、最高裁判決(昭和39年(行ツ)第110号)及び商標審査基準に沿って、以下検討する。 ア 本件商標 本件商標は、通常の書体で書された欧文字「COMFORT ZONER」と、その読み方を表した片仮名「コンフォートゾナー」を上下二段に配した構成からなる(甲1、甲2)。 本件商標の欧文部分「COMFORT ZONER」について、前半の「COMFORT」の欧文字部分は、「快適。慰め。」等を意味する我が国の需要者に馴染みある基本的な英単語の一つであるのに対し、後半の「ZONER」の欧文字は辞書等に掲載された語ではなく、明確な意味合いが生じない(甲37、甲38)。 「GAME」(ゲーム)をする人を「GAMER」(ゲーマー)、「TAKE」(受取)する人を「TAKER」、「SHAKE」(振る)する人・物を「SHAKER」(シェイカー)の英単語が使われることを知る通常の注意力を有する我が国の需要者であれば(甲37)、「ZONE」の語が「地帯。地域。区域」を意味する我が国の需要者に馴染みある英単語の一つであることより(甲37、甲38)、「ZONER」の語を見て、「「ZONE」に関わる人や物」のように、「ZONE」に関連する英単語と認識することが容易に推測される。 また、申立商品、とりわけ、化粧品を取り扱う業界においては、取引慣行上、欧文字で書された商品ブランドの読み方が、片仮名文字で商品のパッケージに併記されることは極めて稀である(甲39)。したがって、少なくとも化粧品及びその関連商品との関係において、本件商標の要部は欧文字部分といえる。 そうすると、本件商標からは、その要部、すなわち、欧文字部分「COMFORT ZONER」に相応した外観、称呼、観念が生ずる。 イ 商標の同一又は類似 申立人の所有に係る引用商標は、角括弧の中に欧文字「comfort zone」を配したもの、又は、当該欧文字の読み方を片仮名で表示した「コンフォートゾーン」からなる。 本件商標の要部である「COMFORT ZONER」の欧文字部分と引用商標1又は3の外観を対比してみると、大文字・小文字の違い、角括弧の有無において差異が認められるものの、本件商標を構成する欧文字12文字のうち、語尾の「R」以外の11文字が一致しており、角括弧自体に自他商品識別力が認め難いことを勘案すると、両外観が取引者、需要者に与える印象は似通っている。 また、本件商標の欧文字部分「COMFORT ZONER」からは、その構成文字に相応して、「コンフォートゾナー」「コンフォートゾーナー」あるいは「コンフォートゾーンナー」の称呼が生じる。「ZONER」は特定の読み方・意味を有する英単語ではないところ(甲37)、見慣れない欧文字を目にした需要者であれば、英語読み又はローマ字読みすることが経験則上明らかである。本件の場合、「ZONE」(ゾーン)が馴染みある英単語であることから、英単語「ZONE」の語尾に「R」が付加された語と認識し、「ゾーン」の称呼に「R」の文字を足した読み方も自然な称呼といえる。 本件商標の要部から生ずる称呼「コンフォートゾナー」「コンフォートゾーナー」と、引用商標から生ずる称呼「コンフォートゾーン」とは、全8音又は9音のうち、語尾の2音が異なるのみで、決して短い音数ではなく、語尾が比較的弱く発音されることから、両称呼が取引者、需要者に与える印象は似通っている。また、「コンフォートゾーンナー」の称呼は、引用商標の称呼の後に、「ナー」の2音を加えたに過ぎず、全10音の音構成において、語尾2音の有無が称呼全体に与える影響は軽微と言わざるを得ず、それ以外の語頭から8音目までが完全に一致することから、両称呼は類似する。 さらに、引用商標からは「快適域」の意味合いが認識されるのに対し(甲37の6)、上述したとおり、我が国の需要者は、本件商標の要部を見て、「快適域に関わる人や物」程の意味合いを想起するため、両商標は観念上類似している。 「COMFORT ZONER」の欧文字が、「comfort zone」と紛らわしく認識されることは、例えば、インターネット検索エンジンGoogleを用いて「comfort zoner」をキーワード検索したところ、「次の検索結果を表示しています」として、「comfort zone」の検索結果が表示された事情からも伺える(甲40)。なお、このキーワード検索において、トップに掲載されたのは、申立人の事業に係るウェブサイトであった(甲40)。 引用商標を付した商品の引用商標部分を、本件商標の要部を全て小文字で表示したものに置き換えて並べて見たところ、当該表示部分の外観の印象は極めて似通っており、このような態様で本件商標が化粧品に使用された場合、需要者が商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれは高いものといわざるを得ない。 申立商品、とりわけ、化粧品を取り扱う業界において、取引慣行上、欧文字で書された商品ブランドの読み方が、片仮名文字で商品のパッケージに併記されることは極めて稀であることから(甲39)、このように、本件商標の欧文字部分を抽出して引用商標との類否を判断することは、上記最高裁判決に従ったものといえる。 さらに、引用商標は、上記(1)のとおり、申立人の業務に係る自然派スキンケア用化粧品を表示する商標として、少なくとも、地球環境や美容に対する意識の高い需要者や取引者の間で一定の認知度を獲得している。 そして、商標審査基準において「指定商品又は指定役務について需要者の間に広く認識された他人の登録商標と他の文字又は図形等と結合した商標は、その外観構成がまとまりよく一体に表されているもの又は観念上の繋がりがあるものを含め、原則として、その他人の登録商標と類似するものとする」と規定されていることに照らせば、申立商品のうち、少なくとも、自然派スキンケア用化粧品との関係において、本件商標は、その要部において、引用商標に、それ自体特段識別力を有さない他の文字「R」を結合した商標と解されるから、全体として、引用商標と類似するものと判断されて然るべきである。 ウ 商品の同一又は類似 申立商品と引用商標に係る指定商品とは、いずれも、同じ類似群コードが付されることから、明らかに同一又は類似している。 また、引用商標は、自然派スキンケア用化粧品(使用商品)を表示する商標として、特に、地球環境や美容に関する意識の高い需要者及び化粧品業界関係者の間で一定の認知度を獲得しているところ、使用商品は、申立商品に含まれる商品である。 エ 小括 本件商標の要部(欧文字部分)と引用商標とは、外観、称呼、観念のいずれもが類似しており、看者の印象・記憶に共通した印象を与えるだけでなく、申立商品と引用商標に係る指定商品及び使用商品とは同一又は類似する。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (3)本件商標を商標法第4条第1項第15号により取消すべき理由 本号の適用について、最高裁判決(平成10年(行ヒ)第85号)及び東京高裁判決(平成2年(行ケ)第183号、平成16年(行ケ)第85号)を踏まえ、以下検討する。 ア 本件商標と引用商標との類似性の程度 本件商標と引用商標との類似性については、上述したとおりであり、両商標全体の類似性の程度は高いものといえる。 イ 自然派スキンケア用化粧品の先駆者としての引用商標の認知度 上述したとおり、申立人のスキンケア商品は、従来のコスメとは一線を画す、環境配慮型化粧品に属し、高級スパで提供される高品質の自然派コスメとして、環境配慮型化粧品に高い関心を有する需要者や業界関係者の間では既に一定の認知度を獲得している。 ウ 申立商品と使用商品との関連性 申立商品のうち「化粧品,入浴剤(医療用のものを除く。)」と、使用商品(自然派スキンケア用化粧品)とは、同じ類似群コードが付されることから、明らかに同一又は類似している。 また、残りの申立商品「せっけん類,洗浄剤(製造工程用及び医療用のものを除く。),身体用防臭剤,香料,薫料,抗菌効果・消臭効果・害虫忌避効果又は防虫効果を有する芳香剤,その他の芳香剤」も、コスメ商品を取り扱う業者や店舗において同時に販売に供されており、人の健康や美容に直接的に関わる商品といえることから、使用商品との関連性は高いものといえる。 エ 取引者及び需要者の共通性その他取引の実情 申立商品及び使用商品は、いずれも、一般消費者がドラッグストアやデパート、インターネットを通じて頻繁に購入し、日々の健康的な社会生活に関わるものであり、取引者、需要者は共通している。 オ 混同を生ずるおそれ 上記の事情を総合すると、引用商標が、使用商品(自然派スキンケア用化粧品)を表示するものとして、自然派スキンケア用化粧品を取り扱う業界において、我が国の取引者、需要者の間で一定の認知度を有していたことに照らせば、本件商標が使用商品と同一又はこれと関連する申立商品に付して使用された場合には、一般消費者の注意力、取引の実情をも考慮すると、これに接する取引者、需要者は、本件商標の欧文字部分に着目し、当該文字部分から引用商標を連想、想起して、当該商品が申立人又は申立人との間に緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある者の業務に係る商品であると誤信するおそれがある。 カ 小括 以上を按ずるに、引用商標は、本件商標の登録出願前から、申立人の業務に係る自然派スキンケア用化粧品を表示する商標として、地球環境や美容に対する意識の高い需要者及び化粧品業界の関係者の間で一定の認知度を獲得しているところ、本件商標が、申立商品、とりわけ、化粧品について使用された場合、これに接する取引者、需要者は、「COMFORT ZONE」の部分に着目して、引用商標を連想、想起し、当該商品が申立人又は申立人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれがある。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 4 当審の判断 (1)引用商標の周知性について ア 申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、申立人は1983年にイタリア・パルマにて創業した化粧品メーカーであり、同人のスキンケアブランド「[comfort zone]」(コンフォートゾーン)は1996年に誕生し、現在、同ブランドの商品は50か国以上に展開されていることなどが認められる(甲6、甲7、甲9、他)。 そして、我が国においては、「[comfort zone]」(異議決定注:角括弧のないものを含む。)、「コンフォートゾーン」の文字を使用した申立人の業務に係る商品(スキンケア化粧品など)(以下「申立人商品」という。)は、三越伊勢丹オンラインストア、ユナイテッド・アローズのオンラインストアを通じてネット販売されていること(甲8、甲10)、2021年4月から2022年3月にかけて、リーガロイヤルホテル東京において行われたレディスエステティックプランで使用されたこと(甲25)などが認められ、我が国では2005年頃に発売されたこと(甲16)、大丸百貨店(札幌、神戸)、高島屋百貨店(名古屋、大阪)、伊勢丹新宿店、ルミネ(大宮、池袋、新宿)などにおける15の直営店において販売されていること(甲15、甲20)がうかがえる。 さらに、申立人商品は、2016年頃から複数の雑誌やウェブサイトなどにおいて紹介されていることが認められ又はうかがえる(甲27~甲34)。 しかしながら、申立人商品の我が国における売上高、市場シェアなどの販売実績、広告・宣伝の程度(例えば雑誌の発行部数、販売地域等)を示す証拠は見いだせない。 イ 上記アからすれば、申立人商品は我が国において2005年頃から現在まで継続して販売等されており、申立人商品が複数の雑誌やウェブサイトを通じて紹介されていることは認め得るものの、申立人商品の我が国における販売実績や広告・宣伝の程度等を示す証拠は見いだせず、本件商標の周知性の程度を推し量ることはできないから、申立人商品及び同商品に使用されている「[comfort zone]」「コンフォートゾーン」の文字は、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品として及び同商品を表示するものとして、いずれも需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。 そうすると、「[comfort zone]」又は「コンフォートゾーン」の文字からなる引用商標は、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、いずれも申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものといえない。 ウ なお、申立人は、申立人商品の国内売上高は2017年が151,496ユーロ、2018年が206,671ユーロ、2019年が178,349ユーロ、2020年が160,443ユーロである旨主張しているが、これがどこの国におけるものであるかは不明であることに加え、これらを裏付ける証左の提出はない。仮に当該売上高が我が国における販売実績であるとしても、かかる金額の多寡を判断するための証拠の提出がない。ほかに、これらが引用商標の周知性を基礎付けるほど多額なものというべき事情も見いだせないから、上記判断を覆し得ない。 (2)商標法第4条第1項第11号について 申立人は、引用商標を挙げ本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する旨を主張しているが、引用商標3は本件商標の登録査定時において設定登録されていないものであるから、当審は、本件商標と引用商標3との関係における申立人の主張は、同法第8条第1項の規定に違反して登録された旨の主張と判断し、以下検討する。 ア 本件商標 本件商標は、上記1のとおり「コンフォートゾナー」の片仮名と「COMFORT ZONER」の欧文字を2段に表してなるところ、上段に表された「コンフォートゾナー」の文字は、下段に表された「COMFORT ZONER」の文字の読みを片仮名で表記したものと容易に理解できるものである。また、本件商標の構成中「COMFORT」の文字は「快適さ」等の意味を有する語(「ランダムハウス英和大辞典 第2版」株式会社小学館)であるものの、「ZONER」の文字は辞書等に掲載のないものであって、特定の意味合いを認識させることのないものである。 そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して「コンフォートゾナー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものというのが相当である。 イ 引用商標 引用商標1及び3は、上記2(1)及び(3)のとおり、いずれも「[comfort zone]」の文字からなるところ、これらの構成中「comfort zone」の文字は「快感帯」等の意味を有する語(前掲書)である。 したがって、引用商標1及び3は、その構成文字に相応して「コンフォートゾーン」の称呼及び「快感帯」の観念を生じるものである。 引用商標2は、上記2(2)のとおり、「コンフォートゾーン」の片仮名を標準文字で表してなるところ、当該文字は「快感帯」等の意味を有する語(前掲書)である「comfort zone」の文字に通ずるものである。 したがって、引用商標2は、その構成文字に相応して「コンフォートゾーン」の称呼及び「快感帯」の観念を生じるもの当である。 ウ 本件商標と引用商標の類否 本件商標と引用商標の類否を検討すると、外観においては、本件商標が片仮名と欧文字を2段に表してなるのに対し、引用商標1及び3は角括弧と欧文字を、引用商標2は片仮名をいずれも1行で表してなるものであるから、両商標の視覚的印象は明らかに異なり、相紛れるおそれのないものとみるのが相当である。 なお、本件商標の欧文字のつづり及び片仮名と、引用商標1及び3の欧文字のつづり及び引用商標2の片仮名をそれぞれ比較すれば、両者は欧文字のつづりにおいては語尾の文字「R」の有無、片仮名においては語尾部の文字「(ゾ)ナー」と「(ゾ)ーン」が異なるのみであるとしても、上記のとおり本件商標と引用商標は、全体としてみれば相紛れるおそれのないものであるから、外観上相紛れるおそれのないものというべきである。 次に、本件商標から生じる「コンフォートゾナー」の称呼と引用商標から生じる「コンフォートゾーン」の称呼を比較すると、両者は語尾部において「(ゾ)ナー」と「(ゾ)ーン」の差異を有するところ、この差異が両称呼全体の語調、語感に及ぼす影響は少なくなく、両者をそれぞれ一連に称呼しても、かれこれ聞き誤るおそれのないものと判断するのが相当である。 さらに、観念においては、本件商標が特定の観念を生じないものであるのに対し、引用商標は「快感帯」の観念を生じるものであるから、相紛れるおそれのないものである。 そうすると、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのないものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。 その他、本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。 エ 小括 以上のとおり、本件商標と引用商標1及び引用商標2は非類似の商標であるから、本件商標の申立商品と引用商標1及び引用商標2の指定商品が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 また、本件商標と引用商標3は、非類似の商標であるから、本件商標の申し立て商品と引用商標3の指定商品が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第8条第1項に違反して登録されたものとはいえない。 (3)商標法第4条第1項第15号について 上記(1)のとおり引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、上記(2)のとおり本件商標は、引用商標とは非類似の商標であって別異の商標というべきものであるから、申立商品と申立人商品との関連性の程度、需要者の共通性などを考慮しても、本件商標は、商標権者がこれを申立商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものといえない。 (4)むすび 以上のとおりであるから、本件商標の指定商品中、登録異議の申立てに係る指定商品(申立商品)についての登録は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同法第8条第1項のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-900133

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