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商標異議申立

2022-900114

エッチエフ、エイチエフ、スポートエイチバイフィガー、スポートエッチバイフィガー、スポーツエイチバイフィガー、スポーツエッチバイフィガー、エイチバイフィガースポーツ、エッチバイフィガースポーツ、エイチバイフィガー、エッチバイフィガー、バイフィガースポーツ、フィガースポーツ、バイフィガー、フィガー

審判番号
2022-900114
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2020-150972
登録番号
6494831
請求日
2022年03月24日
審決日
2023年06月22日
公報発行日
2023年08月25日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】岸本 公雄
  • 【異議申立人】トミー ヒルフィガー ライセンシング ベー. フェー.
  • 【異議申立人代理人】弁理士法人小笠原特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 豊田 純一
  • 審判官 杉本 克治
  • 審判官 小田 昌子
分類
T1651.261-Y (W25) / T1651.262-Y (W25) / T1651.263-Y (W25) / T1651.271-Y (W25)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号
データ出所
審決公報(XML)

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登録第6494831号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6494831号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6494831号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、令和2年11月25日に登録出願、第25類「被服,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同3年11月24日に登録査定、同4年1月5日に設定登録されたものである。 第2 登録異議申立人が引用する商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議申立ての理由において、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録商標は、以下の1ないし5のとおりであり、また、申立人が、本件商標が同項第15号に該当するとして引用する商標は、以下の1ないし9のとおりであり、いずれの商標権も、現に有効に存続しているものである。 1 登録第2206060号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、昭和62年2月9日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成2年1月30日に設定登録され、その後、同22年8月18日に、指定商品を第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「被服,洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,防暑用ヘルメット,帽子」とする指定商品の書換登録がされたものである。 2 登録第2220803号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、昭和62年2月9日に登録出願、第22類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成2年4月23日に設定登録され、その後、同22年6月9日に、指定商品を第18類「傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄」及び第25類「靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具,げた,草履類」とする指定商品の書換登録がされたものである。 3 登録第5794418号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、平成27年5月1日に登録出願、「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同年9月18日に設定登録されたものである。 4 国際登録第1243929号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲3のとおりの構成よりなり、2014年4月28日に国際商標登録出願、「whips, harness for animals;」を含む第18類、「Clothing for men, women and children and infants namely, shirts, golf shirts, t-shirts, polo shirts, knit tops, woven tops, sweatshirts, tank tops, sweaters, blouses, jerseys, turtlenecks, shorts, sweatpants, warm-up suits, blazers, sport coats, trousers, jeans, skirts, dresses, wedding dresses, suits, overalls, jumpers, vests, jackets, coats, raincoats, parkas, ponchos, swimwear, bikinis, swim trunks, overcoats, rainwear, wind resistant jackets, clothing for dancing namely leotards and ballet suits, sleepwear, pajamas, bathrobes, shower caps, chasubles, underwear, lingerie, boxer shorts, ties; headgear namely, hats, wool hats, caps, visors, headbands (clothing), ear muffs (clothing); scarves, shawls, wristbands, cloth bibs; footwear, gym shoes, sneakers, socks, stockings, hosiery, shoes, boots, beach shoes, sandals, slippers; gloves (clothing); layettes (clothing); sashes; wet suits for water-skiing; maniples; shower caps; sleep masks; wedding clothing.」を含む第25類、「Retail store services for perfumery, cosmetics, clothing, footwear, headgear, bags, eyewear, jewellery, watches, horological and chronometric instruments;」を含む第35類、第3類、第9類、第14類、第24類及び第43類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成28年8月12日に設定登録されたものである。 5 登録第5576455号商標(以下「引用商標5」という。)は、「HILFIGER」の文字を標準文字で表してなり、平成23年12月7日に登録出願、「むち,乗馬用具,馬具,動物用装着具」を含む第18類、「被服,男性用被服,女性用被服,子供用被服,幼児用被服,シャツ,ゴルフシャツ,ティーシャツ,ポロシャツ,ニットトップ,織物製被服,スウェットシャツ,タンクトップ,セーター,ブラウス,ジャージー製被服,タートルネックセーター,パンツ,スウェットパンツ,ウォームアップスーツ,ブレザー,スポーツコート,ズボン,ジーンズ製被服,スカート,ドレス,ウェディングドレス,スーツ,オーバーオール,ジャンパー,ベスト,ジャケット,コート,レインコート,パーカ,ポンチョ,水着,ビキニ,水泳パンツ,オーバーコート,雨着,防風ジャケット,ダンス用被服,レオタード,バレースーツ,寝巻き類,パジャマ,バスローブ,シャワーキャップ,上祭服,下着,女性用下着,ボクサーショーツ,ネクタイ,帽子,ウール製帽子,バイザー,ヘッドバンド,耳覆い,スカーフ,ショール,リストバンド,よだれ掛け,履物,体操用靴,スニーカー,靴下,ストッキング,メリヤス下着,メリヤス靴下,ブーツ,ビーチシューズ,サンダル,スリッパ,手袋,新生児用被服,サッシュ」を含む第25類、第3類、第9類、第14類及び第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同25年4月19日に設定登録されたものである。 6 登録第2357619号商標(以下「引用商標6」という。)は、「TOMMY HILFIGER」の欧文字を横書きしてなり、昭和62年2月2日に登録出願、第22類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、平成3年12月25日に設定登録され、その後、同14年10月30日に、指定商品を第18類「傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄」、第25類「履物」及び第26類「靴飾り(貴金属製のものを除く。),靴はとめ,靴ひも,靴ひも代用金具」とする指定商品の書換登録がされたものである。 7 登録第2607371号商標(以下「引用商標7」という。)は、「TOMMY HILFIGER」の欧文字を横書きしてなり、昭和61年11月10日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、平成5年12月24日に設定登録され、その後、同15年8月20日に、指定商品を第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「被服」とする指定商品の書換登録がされたものである。 8 登録第5792578号商標(以下「引用商標8」という。)は、「Tommy Hilfiger」の文字を標準文字で表してなり、平成27年5月1日に登録出願、「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む第35類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、同27年9月11日に設定登録されたものである。 9 国際登録第1270616号商標(以下「引用商標9」という。)は、「TOMMY HILFIGER」の欧文字を横書きしてなり、2015年7月29日に国際商標登録出願、「Retail store services in connection with clothing, footwear, headgear and bags; the aforesaid services also in connection with franchising; online retail store services by mail order companies of clothing;」を含む第35類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、平成28年10月14日に設定登録されたものである。 なお、以下、引用商標1ないし引用商標5をまとめていう場合は「11号引用商標」といい、引用商標1ないし引用商標9をまとめていう場合は、「引用商標」という。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第30号証及び第31号証(枝番号を含む。第31号証は、以下「甲第31号証」と読み替える。)を提出した。 なお、特に断らない限り、証拠番号には枝番号を含み、表記にあたっては、「甲第○号証」を「甲○」のように省略して記載する。 1 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標について 本件商標は、上段から、「SPORT」の文字、赤・白・青の三色からなる図形部分、「H」と「FIGER」を青、「by」を赤で表した「HbyFIGER」の文字及び黒で表した「H by FIGER SPORTS」の文字よりなるところ、「SPORT」及び「SPORTS」の文字部分は、その指定商品との関係において運動用、スポーツ用のものであると認識させるにすぎず識別力がないか弱いことから、本件商標の要部は、図形部分、「HbyFIGER」及び「H by FIGER」の文字部分といえる。当該図形部分は横長長方形の枠内に「H」及び「F」を左右に重ねて並べたとおぼしき図形を青色で表し、それ以外の部分の上半分を赤色、下半分を白色で表した態様よりなる。「H by FIGER」の文字部分は「H」、「by」、「FIGER」の文字を組み合わせたものであるところ、「H」はアルファベットの8番目の文字であり、「by」は英語の前置詞、「FIGER」は辞書に掲載のない特定の意味をもたないものである。本件商標においては、「H」及び「FIGER」が大文字で「by」は小文字であることから、「H」及び「FIGER」の文字が強調されてより強く印象に残るといえる。 以上より、本件商標は、商標全体として、赤・白・青の長方形を基調とする幾何図形部分と大文字で書された「H」及び「FIGER」の文字が他の要素よりも際立っており、看る者の印象に強く残るものといえる。 (2)11号引用商標について 引用商標1ないし引用商標3及び引用商標4の図形部分は、赤、白、青の三色からなる横長長方形の図形であり、上下の青色の帯に挟まれて左半分を白色、右半分を赤色で表した態様よりなる(以下、11号引用商標の図形部分を「フラッグロゴ」という。)。 フラッグロゴは、申立人が航海用のフラッグからヒントを得て独自にデザインしたものであり、「TOMMY HILFIGER(トミーヒルフィガー)」ブランド(以下「トミーヒルフィガー」という。)の代表的商標として、引用商標6ないし引用商標9の「TOMMY HILFIGER」の文字とともに、1985年の創立以来、継続して使用され、世界的に広く認識されているものである。 引用商標5は、「HILFIGER」の文字を同書・同大・等間隔に書してなるところ、トミーヒルフィガーの創設者であるトーマス・ジェイコブ・ヒルフィガーの姓に由来するものであり、同ブランドの商品に長年、継続して使用されている。 (3)本件商標と11号引用商標の類否について 本件商標の図形部分とフラッグロゴとは、どちらも赤・白・青の三色を使用した長方形を基調とする幾何図形である点を共通にし、本件商標の図形部分の左側は、フラッグロゴを90°回転させて取り入れたものと看取することができる。 また、本件商標の「HbyFIGER」の文字部分は、世界的に広く認識されている引用商標4及び引用商標6ないし引用商標9の「TOMMY HILFIGER」の「HILFIGER」の部分と2文字違いであり、引用商標5の「HILFIGER」とも「by」と「IL」の文字部分の2文字違いにすぎない。 よって、本件商標は、図形部分がフラッグロゴを包含すると認識され得るものであり、「HbyFIGER」の文字部分が「HILFIGER」と2文字違いにすぎないことから、本件商標に接した取引者・需要者に、世界的に広く認識されている商標であるフラッグロゴ及び引用商標5の「HILFIGER」を想起させるものであるから、本件商標は、11号引用商標と出所の混同を生ずるおそれのある類似の商標というべきである。 トミーヒルフィガーは、1985年にアメリカ合衆国において設立されたファッションブランドであり、国内外において広く認識されている。フラッグロゴ及び赤・白・青の色彩は、トミーヒルフィガーの商品デザインに多く取り入れられている(甲12)。 加えて、取引の実情として、本件商標の指定商品の分野においては、ブランドを表すロゴは、Tシャツ、ベスト、シャツ等の場合は、左胸や袖に、履物の場合は甲の外側やかかと部分に小さく付されることが多いものであり、トミーヒルフィガーの商品においても同様である(甲13)。 また、引用商標5の「HILFIGER」もトミーヒルフィガーの多くの商品に付され、使用されている(甲14)。ファッションの分野における取引の実情、フラッグロゴ及び「TOMMY HILFIGER」商標の周知度並びに商標「HILFIGER」の使用状況を考慮すれば、本件商標がその指定商品に使用された場合、取引者・需要者は11号引用商標を想起して商品の出所の混同の生ずるおそれがある。 以上より、本件商標と11号引用商標とは、両商標がその外観、称呼又は観念によって需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に観察すれば、商品の出所について混同を生ずるおそれのある類似の商標であるから、本件商標の登録は取り消されるべきである。 2 商標法第4条第1項第15号該当性について 仮に、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当しない場合であっても、本件商標は、世界的に広く認識されているフラッシュロゴと同一・類似の図形を図形部分の包含し、引用商標4、引用商標6ないし引用商標9の「HILFIGER」の文字部分及び引用商標5と2文字違いの「HbyFIGER」の文字とをその構成中に含むことから、本件商標をその指定商品に使用したときは、申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある。 (1)本件商標と引用商標との類似性の程度について 本件商標と引用商標1ないし引用商標4の図形部分、並びに本件商標の「HbyFIGER」の文字部分と引用商標4、引用商標6ないし引用商標9の「HILFIGER」の文字部分及び引用商標5との類似の程度は高いものである。 また、本件商標の指定商品と11号引用商標の第25類又は第35類の指定商品又は指定役務は同一又は類似する。 (2)引用商標について 引用商標1ないし引用商標4におけるフラッグロゴは、トミーヒルフィガーの創設者であるトーマス・ジェイコブ・ヒルフィガーが、名前の頭文字「T」、「J」、「H」に対応する航海用フラッグを掛け合わせて独自にデザインした極めて独創性の高い図形商標であり、顕著な特徴を有するものである(甲15)。 引用商標5の「HILFIGER」は、「TOMMY HILFIGER」の後半の「HILFIGER」の文字部分よりなる商標である。 「フラッグロゴ」及び「TOMMY HILFIGER」は、トミーヒルフィガーのハウスマークとして1985年のブランド創立以来、継続して使用されている。 (3)「フラッグロゴ」及び「TOMMY HILFIGER」の周知度について トミーヒルフィガーは、1985年にトミー・ヒルフィガー氏が米国ニューヨークにおいて創立したファッションブランドであり、創立以来、男性用、女性用、子供用被服の他、履物、かばん類など多岐にわたる商品について、「フラッグロゴ」、「TOMMY HILFIGER」及び「HILFIGER」等の商標を付して使用している。 創業当初のブランドコンセプト「永遠のアメリカンクラシックをベースに、ツイストを加えてプレッピー・スタイル。健康的でエネルギッシュ、カラフルで楽しく、いつも新鮮。そして、何よりも、誰からもアイされるブランドであること」は現在も受け継がれ、需要者に「アメリカン」や「スポーティ(カジュアル)」等の印象を強く持たれているブランドである。 1985年の広告キャンペーンにおいて、「アメリカの4大紳士服デザイナーは?」というクイズ形式の広告をニューヨークのタイムズスクエアに掲載した。 「ラルフ・ローレン、ペリー・エリス、カルバン・クライン」に続いて「TOMMY HILFIGER」の回答欄とフラッシュロゴが表示されている(甲16)。1985年のこの広告によって、トミーヒルフィガーは一気にブランドの知名度を上げることに成功したと言われている。 トミーヒルフィガーは世界各地に店舗展開しており、2020年には、北米、ヨーロッパ、アジア太平洋地域など115か国以上において2,000店を超える店舗を有している(甲17)。各地の店舗の店頭には、引用商標4が表示されている(甲18)。 トミーヒルフィガーは、2010年にPVHコーポレーション(以下「PVH社」という。)に買収された。 2010年から2019年のトミーヒルフィガーの世界売上高は、2010年が46億ドル、2011年が56億ドル、2012年が60億ドル、2013年が64億ドル、2014年が67億ドル、2015年が65億ドル、2016年が66億ドル、2017年が74億ドル、2018年が85億ドル、2019年が92億ドルである(甲17、甲19)。 2017年ないし2019年の世界売上高において、アジア太平洋地域の占める割合は11%である。アジアは、今後、最も大きな成長が期待されている地域であり、我が国においては、商品、市場等への投資が実り、健全な成長が続いている。 また、トミーヒルフィガーは、2019年は約2億米ドル、それ以前も年間約1億5,000万ないし1億7,000万米ドルの費用をかけて、国際的に大規模な宣伝広告を行っている(甲17、甲19)。ニューヨーク・ファッション・ウィーク等の大規模なファッション・ショーや展示会にも参加・出展している。 我が国においては、2004年8月26日付け繊研新聞において、販路の広がりと販売効率の改善により、2003年度の売上が110億円に達したとの記事が掲載されている(甲20)。 2022年3月現在、我が国にはトミーヒルフィガーの店舗は109店舗あり、加えて、自己のオンラインストアや、Amazon、楽天市場、ららぽーと公式通販等の通販サイトにおいても商品を販売している(甲21)。 トミーヒルフィガーは、2010年11月28日付け朝日新聞に25周年を記念する広告を掲載する等の宣伝広告を行っており(甲22)、2020年の創立35周年に関する記事が雑誌等に掲載されている(甲23)。 また、2021年メンズウェアコレクションの新しいブランドアンバサダーに日本人として初めて、俳優・ミュージシャンの北村匠海を起用した(甲24)。外国においては、デステニーズ・チャイルド、ブリトニー・スピアーズ、ブルーノ・マーズ等の多くの人気のあるアーティスト等がトミーヒルフィガーを公の場において着用し、そのことがブランドの宣伝・広告にもなっている(甲25)。 加えて、トミーヒルフィガーは、ニック・ドハティ、ラファエル・ナダル等のスポーツ選手やF1レーサーのルイス・ハミルトンのスポンサーである(甲26)。 2019年秋にはメルセデスベンツとのカプセルコレクションを発売した(甲27)。 これらの一流スポーツ選手への後援や、一流企業とのコラボレーションは、ブランドに大きな宣伝効果をもたらすものである。 ブランドの創設者であるトミー・ヒルフィガー氏は、今も同ブランドのプリンシパル・デザイナーとしてデザインチームを率いており、同氏は、ファッション界における功績が認められ、2012年にアメリカファッションデザイン評議会からジェフリービーン生涯功労賞を受賞した(甲28)。 そして、トミーヒルフィガーは、世界的に有名な調査会社であるミルウォード・ブラウンの最も価値の高いグローバルブランド調査において、2014年及び2015年に2年連続で10位に入賞し、世界で最も価値があり、最先端を行くブランドであるとの評価を受けた(甲29)。 また、トミーヒルフィガーはSNSを積極的に利用して情報発信したり、ECサイトを充実させたり、デジタル化への対応を推進しているが、この取組が高く評価されて、ガートナー社のデジタルIQインデックスのファッション分野において、有名ファッションブランドの中で、2016年に9位、2017年に14位、2018年に8位にランクされている(甲30)。 以上より、フラッグロゴ及びTOMMY HILFIGERは、本件商標の登録出願日前から、申立人の業務に係る商品(被服など)を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている商標であって、その状況は本件商標の登録査定日はもとより、現在においても継続しているものである。 (4)需要者の共通性 本件商標の需要者は、本件商標に「SPORT」及び「SPORTS」の文字が含まれていることから、スポーティな被服、履物等を好む男性、女性等が広く含まれると考えられる。引用商標に代表されるトミーヒルフィガーは、カジュアルウェアやゴルフウェアからビジネス仕様までバラエティーに富んだスタイルを提供していることから、本件商標及び引用商標の各々の商品の需要者層は一致する。 (5)混同のおそれ 本件商標は、その図形部分が引用商標1を取り入れて他の図形部分と結合させた幾何図形と看取できるものであり、かつ、文字部分に引用商標2「HILFIGER」と2文字違いの「HbyFIGER」を含み、かつ、トミーヒルフィガーのブランドカラーである赤・白・青で表されている。 これらの複数の共通点は、単なる偶然の一致とは考えにくいものである。トミーヒルフィガーが世界的に名高いファッションブランドであること、我が国においても引用商標が広く認識されていることから、本件商標は、引用商標1ないし引用商標3及び引用商標5に若干の変更を加えたものをその構成中に包含することによって、本件商標に接した取引者・需要者にトミーヒルフィガーブランドそのもの又はトミーヒルフィガーの「アメリカンクラシック」、「プレッピー・スタイル」及び「スポーティ(カジュアル)」等のブランドイメージを想起させようとするものである。 本件商標が、トミーヒルフィガーの周知性及びそのブランドイメージに便乗し、これを利用する意図をもって採択されたものであることは明白である。 トミーヒルフィガーの商品には、フラッグロゴをデザインに取り入れたものも多くあり、フラッグロゴをそのまま使用するものだけではなく、フラッグロゴをモチーフにその縦横比を変更したものや、その一部のみを表したもの、他の図形と組み合わせたもの等、多様なデザインが存在する(甲12、甲21等)。 本件商標の図形部分は、フラッグロゴと同色を使用して長方形の図形を表したものであるところ、トミーヒルフィガーのフラッグロゴのデザインとしての使用を考慮すれば、需要者にフラッグロゴを模したもの又は変形させたものと看取され得るものである。 被服等のファッションの分野における我が国の需要者の通常有する注意力を基準とすれば、被服等は消費財であり、医薬品や精密機械のように購入時に十分な注意力を持って商品の出所を確認することなく、賭入を決めることも多いことから、本件商標がその指定商品に使用されると、取引者・需要者にトミーヒルフィガーと経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であるとの誤認、混同を生じさせるおそれがある。 なお、申立人は、トミーヒルフィガーの模倣品対策を適切に行っており、被害を末然に防ぐために異議申立も積極的に行っている。 欧州において、申立人は、他人の商標に対し登録異議の申立てを行い、いずれのケースも、第25類の被服、履物等についてフラッグロゴの欧州及びベネルクスにおける名声が認められ、他人の商標はフラッグロゴの識別性又は名声から不正な利益を得るものである、又は、フラッグロゴの識別性又は名声を害するおそれがあるとして、第25類「被服,履物」等の商品について商標登録を拒絶するとの決定がなされている(甲31)。 本件商標は、申立人のフラッグロゴ及び「HILFIGER」の一部を変更し、赤・白・青のブランドカラーを使用することによって、トミーヒルフィガーの強力な顧客誘引力を利用しようとするものであって、同ブランドのイメージを毀損するおそれもある。 本件商標のように他人が築き上げた業務上の信用を無断で利用しようとする商標の登録を認め、その使用を保護することは、かかる商標の使用に法的な後ろ盾を与えることにつながりかねないものであり、一定の商標を使用した商品は一定の出所から提供されるという健全な取引秩序を乱し、需要者の誤認混同を招くなど、需要者の利益を損なうおそれがあるものといえる。 以上より、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。 第4 当審の判断 1 引用商標の周知著名性について 申立人の主張及び同人の提出した証拠によれば、「トミーヒルフィガー」は、1985年にトミー・ヒルフィガー氏が米国において創立したファッションブランドであり、創立以来、男性用、女性用、子供用被服の他、履物、かばん類などの商品について、「フラッグロゴ」、「TOMMY HILFIGER」及び「HILFIGER」等の商標を使用していること、申立人の店舗の店頭に、引用商標4が表示されていること(甲18)、2004年8月26日付け繊研新聞において、2003年度の売上が110億円に達した旨の記事が掲載されていること(甲20)、2010年1月28日付け朝日新聞に25周年を記念する広告を掲載する等の宣伝広告を行ったこと(甲22)、2020年の創立35周年に関する記事が雑誌等に掲載されていること(甲23)、宣伝広告に著名なアーティストや一流アスリート選手等を起用していること(甲24~甲26)、2019年秋にメルセデスベンツとのカプセルコレクションを発売したこと(甲27)、ブランドの創設者のトミー・ヒルフィガー氏が、2012年にアメリカファッションデザイン評議会からジェフリービーン生涯功労賞を受賞したこと(甲28)、トミーヒルフィガーは、グローバルブランド調査において、2014年及び2015年に2年連続で10位に入賞したこと(甲29)、トミーヒルフィガーは、ガートナー社のデジタルIQインデックスのファッション分野において、有名ファッションブランドの中で、2016年に9位、2017年に14位、2018年に8位にランクされていること(甲30)は確認できる。 しかしながら、申立人による「トミーヒルフィガーは世界各地に店舗展開し、2020年には、北米、ヨーロッパ、アジア太平洋地域など115か国以上において2,000店を超える店舗を有している」ことや「2010年から2019年のトミーヒルフィガーの世界売上高」の主張は、PVH社代表者の宣誓書(甲17)や「2017~2019年トミーヒルフィガー業績概要」(甲19の1)等に記載されているにすぎず、これを裏付ける証拠の提出はない。 また、申立人の提出に係る証拠を勘案しても、我が国における「フラッグロゴ」、「TOMMY HILFIGER」及び「HILFIGER」等の商標の使用開始時期や、我が国における売上高等の営業の規模、広告宣伝の方法、回数及び内容等を証する書面の提出はない。 そうすると、申立人提出に係る全証拠によっては、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていたとは認めることはできない。 その他、申立人の提出した証拠から、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間で、引用商標が申立人の業務に係る商品を表示するものとして広く認識されていたものと認めるに足る事実は見いだせない。 したがって、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。 2 本件商標と引用商標の類似性及びその程度について (1)本件商標について 本件商標は、別掲1のとおり、青色の直線並びに青色、赤色及び白色からなる大小の長方形を組み合わせた幾何図形(以下「本件図形」という。)と、その上部に「SPORT」の青色欧文字(以下「SPORT」という。)を本件図形の下に青色の「H」の欧文字、その横に赤色の「by」の欧文字、その横に青色の「FIGER」の欧文字を横一列に記載した「HbyFIGER」の欧文字(以下「HbyFIGER」という。)と「HbyFIGER」の下に「H by FIGER SPORTS」の欧文字(以下「H by FIGER SPORTS」という。)よりなるところ、本件図形と「SPORT」、「HbyFIGER」及び「H by FIGER SPORTS」(以下これらをまとめていう場合は「本件文字」という。)は、重なることなく配されており、視覚上、分離して看取されるものである。 そして、本件文字中の「SPORT」と「HbyFIGER」及び「H by FIGER SPORTS」は、その間に本件図形を介していることから、本件文字は、「SPORT」と「HbyFIGER」及び「H by FIGER SPORTS」の各文字で、視覚上、分離して看取されるものである。 また、本件文字中の「SPORT」及び「HbyFIGER」及び「H by FIGER SPORTS」中の「SPORT」及び「SPORTS」は、「陸上競技・野球・テニス・水泳・ボートレースなどから登山・狩猟などにいたるまで、遊戯・競争・肉体的鍛錬の要素を含む身体運動の総称。」(出典:「広辞苑 第7版」株式会社岩波書店)を意味する語として良く知られた英語であり、本件商標の指定商品との関係において、当該文字は、「スポーツに適した商品」であることを表すものと認識し得ることから、当該文字は、自他商品の識別標識としての機能を有さない、あるいは有するとしても、非常に弱いものである。 一方、本件図形は、本件商標の指定商品との関係において、商品の品質等を表すものとして判断すべき事情はなく、かつ、本件図形は、我が国において特定の事物又は意味合いを有するものとして、認識され、親しまれているというべき事情はないため、これよりは、特定の称呼及び観念は生じないものである。 また、「HbyFIGER」及び「H by FIGER SPORTS」の「SPORTS」を除く「H by FIGER」は、一般の辞書等に載録された成語とは認められないものであり、かつ、当該文字は、我が国において特定の事物又は意味合いを有するものとして、認識され、親しまれているというべき事情はないものである。 そうすると、本件商標は、引用商標との類否を判断するに当たって、本件商標の構成中、「HbyFIGER」及び「H by FIGER」を要部として抽出し、この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。 したがって、本件商標は、構成中の「HbyFIGER」及び「H by FIGER」に相応して、「エイチバイフィガー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 (2)引用商標について ア 11号引用商標について (ア)引用商標1ないし引用商標3について 引用商標1ないし引用商標3は、別掲2のとおり、2つの青色の横長長方形を上下に配し、その間の右半分に赤色を施した構成よりなる幾何図形(以下「引用図形」という。)よりなるところ、引用図形は、我が国において特定の事物又は意味合いを有するものとして、認識され、親しまれているというべき事情はない。 したがって、引用商標1ないし引用商標3は、特定の称呼及び観念は生じないものである。 (イ)引用商標4について 引用商標4は、「TOMMY」の欧文字を横書きし、その横に引用図形を配し、その右側に「HILFIGER」の欧文字を横書きした構成よりなるところ、引用図形と文字部分とが常に不可分一体のものとしてのみ認識し把握されるべき格別の理由は見いだし難く、引用図形と「TOMMY」の欧文字及び「HILFIGER」の欧文字は、それぞれが独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものというべきである。 そして、引用商標4の構成中の「TOMMY」の欧文字及び「HILFIGER」の欧文字は、同じ書体、同じ大きさで表されており、また、これらの文字は、その間に引用図形を配しているものの、引用図形を介して、結合している印象を与えるものである。 また、引用図形は、我が国において特定の事物又は意味合いを有するものとして、認識され、親しまれているというべき事情はないため、これよりは、特定の称呼及び観念は生じないものである。 さらに、引用商標4の構成中の「TOMMY」の欧文字及び「HILFIGER」の欧文字を結合した「TOMMY HILFIGER」の欧文字は、一般の辞書等に載録された成語とは認められないものであり、かつ、当該文字は、我が国において特定の事物又は意味合いを有するものとして、認識され、親しまれているというべき事情はないものである。 したがって、引用商標4は、その構成文字に相応して「トミーフィルフィガー」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。 (ウ)引用商標5について 引用商標5は、「HILFIGER」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、一般の辞書等に載録された成語とは認められないものであり、かつ、我が国において特定の事物又は意味合いを有するものとして、認識され、親しまれているというべき事情はないものである。 したがって、引用商標5は、その構成文字に相応して「ヒルフィガー」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。 イ 引用商標6ないし引用商標9について 引用商標6は、「TOMMY HILFIGER」の欧文字を横書きしてなり、引用商標7は、「TOMMY HILFIGER」の欧文字を横書きしてなり、引用商標8は、「Tommy Hilfiger」の文字を標準文字で表してなり、引用商標9は、「TOMMY HILFIGER」の欧文字を横書きしてなるところ、当該文字は、一般の辞書等に載録された成語とは認められないものであり、かつ、我が国において特定の事物又は意味合いを有するものとして、認識され、親しまれているというべき事情はないものである。 したがって、引用商標6ないし引用商標9は、その構成文字に相応して「トミーフィルフィガー」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。 (3)本件商標と引用商標の類似性及びその程度について ア 本件商標と11号引用商標との類否について (ア)本件商標と引用商標1ないし引用商標3の類似性について 本件商標と引用商標1ないし引用商標3を比較すると、本件商標と引用商標1ないし引用商標3は、本件文字の有無に明らかな相違があり、また、本件図形と引用図形も、構成が明らかに相違するため、本件商標と引用商標1ないし引用商標3は、それぞれの構成に照らし、外観上判然と区別し得る差異を有するものである。 また、本件商標は、「エイチバイフィガー」の称呼を生じるのに対し、引用商標1ないし引用商標3は、特定の称呼を生じないため、称呼について比較することができない。 さらに、本件商標と引用商標1ないし引用商標3は、いずれも特定の観念が生じないため、観念について比較することができない。 そうすると、本件商標と引用商標1ないし引用商標3は、称呼及び観念について、比較できないものであるとしても、外観上判然と区別し得る差異を有するものであるから、本件商標と引用商標1ないし引用商標3は、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というのが相当である。 (イ)本件商標と引用商標4の類似性について 本件商標と引用商標4を比較すると、本件商標と引用商標4は、本件文字と「TOMMY」の欧文字及び「HILFIGER」の欧文字の有無に明らかな相違があり、また、本件図形と引用図形も、構成が明らかに相違するため、本件商標と引用商標4は、それぞれの構成に照らし、外観上判然と区別し得る差異を有するものである。 また、本件商標の構成文字に相応して生じる「エイチバイフィガー」の称呼と引用商標4の構成文字に相応して生じる「トミーフィルフィガー」の称呼とは、称呼の後半の「フィガー」の音を共通にするとしても、前半の構成音が相違し、また、構成音数も異なることからすると、これらは容易に聴別することができるものである。 さらに、本件商標と引用商標4は、いずれも特定の観念が生じないため、観念について比較することができない。 そうすると、本件商標と引用商標4は、観念について、比較できないものであるとしても、外観上判然と区別し得る差異を有するものであり、両商標より生じる称呼も容易に聴別することができるものであるから、本件商標と引用商標4は、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というのが相当である。 (ウ)本件商標と引用商標5の類似性について 本件商標と引用商標5を比較すると、本件商標と引用商標5は、本件図形の有無、本件文字と「HILFIGER」の欧文字の有無に明らかな相違があるため、本件商標と引用商標5は、それぞれの構成に照らし、外観上判然と区別し得る差異を有するものである。 また、本件商標の構成文字に相応して生じる「エイチバイフィガー」の称呼と引用商標5の構成文字に相応して生じる「フィルフィガー」の称呼とは、称呼の後半の「フィガー」の音を共通にするとしても、前半の構成音が相違し、また、構成音数も異なることからすると、これらは容易に聴別することができるものである。 さらに、本件商標と引用商標5は、いずれも特定の観念が生じないため、観念について比較することができない。 そうすると、本件商標と引用商標5は、観念について、比較できないものであるとしても、外観上判然と区別し得る差異を有するものであり、両商標より生じる称呼も容易に聴別することができるものであるから、本件商標と引用商標4は、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というのが相当である。 (エ)小括 以上のとおり、本件商標と11号引用商標は、観念について、比較できないものであるとしても、外観上判然と区別し得る差異を有するものであり、両商標より生じる称呼も容易に聴別することができるものであるから、本件商標と11号引用商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というのが相当である。 イ 本件商標と引用商標6ないし引用商標9の類似性について 本件商標と引用商標6ないし引用商標9を比較すると、本件商標と引用商標6ないし引用商標9は、本件図形の有無、本件文字と「TOMMY HILFIGER」の欧文字又は「Tommy Hilfiger」の文字の有無に明らかな相違があるため、本件商標と引用商標6ないし引用商標9は、それぞれの構成に照らし、外観上判然と区別し得る差異を有するものである。 また、本件商標の構成文字に相応して生じる「エイチバイフィガー」の称呼と引用商標6ないし引用商標9の構成文字に相応して生じる「トミーフィルフィガー」の称呼とは、称呼の後半の「フィガー」の音を共通にするとしても、前半の構成音が相違し、また、構成音数も異なることからすると、これらは容易に聴別することができるものである。 さらに、本件商標と引用商標6ないし引用商標9は、いずれも特定の観念が生じないため、観念について比較することができない。 そうすると、本件商標と引用商標6ないし引用商標9は、観念について、比較できないものであるとしても、外観上判然と区別し得る差異を有するものであり、これらの商標より生じる称呼も容易に聴別することができるものであるから、本件商標と引用商標6ないし引用商標9は、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というのが相当である。 ウ 小括 以上ア及びイのとおり、本件商標と引用商標とは、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というのが相当である。 3 商標法第4条第1項第11号該当性について 上記2(3)のアのとおり、本件商標と11号引用商標は、観念について、比較できないものであるとしても、外観上判然と区別し得る差異を有するものであり、両商標より生じる称呼も容易に聴別することができるものであるから、本件商標と11号引用商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標であり、他に、本件商標と11号引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標の指定商品が、引用商標の指定商品及び指定役務と同一又は類似の商品及び役務を含むものであるとしても、本件商標は、11号引用商標と非類似の商標であるから、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 4 商標法第4条第1項第15号該当性について 上記1のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできず、上記2のとおり、本件商標と引用商標とは、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というのが相当である。 そうすると、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品及び指定役務は、これらの商品の製造者、販売者、需要者及び役務の提供者を共通にし、これらが、密接な関連性を有するとしても、本件商標の取引者、需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断すれば、本件商標の権利者者が、本件商標をその指定商品について使用をしても、これに接する取引者、需要者をして、引用商標を連想、想起することはなく、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。 その他、本件商標が引用商標と出所の混同を生ずるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 5 まとめ 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-900114

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