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商標異議申立

2022-900101

アルバムヘアー、アルバム

審判番号
2022-900101
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2020-095623
登録番号
6496273
請求日
2022年03月23日
審決日
2023年10月03日
公報発行日
2024年03月29日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【権利者】アルバムヘアー インコーポレーテッド
  • 【権利者代理人】Authense弁理士法人
  • 【異議申立人】株式会社 オニカム
  • 【異議申立人代理人】平野 泰弘
  • 【異議申立人代理人】都築 健太郎
  • 【異議申立人代理人】秋和 勝志
審判長/審判官
  • 審判長 鈴木 雅也
  • 審判官 山田 啓之
  • 審判官 渡邉 あおい
分類
T1651.261-Z (W44) / T1651.262-Z (W44) / T1651.263-Z (W44)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第8号、商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第15号、商標法第43条の2第1号、商標法第4条第1項
データ出所
審決公報(XML)

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登録第6496273号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6496273号商標の商標登録を取り消す。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6496273号商標(以下「本件商標」という。)は、「Album Hair」の文字を標準文字で表してなり、令和2年8月3日に登録出願、第44類「美容,理容」を指定役務として、同3年12月27日に登録査定、同4年1月7日に設定登録されたものである。 第2 登録異議申立人が引用する商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する登録第5716759号商標(以下「引用商標」という。)は、「ALBUM」の文字を表してなり、平成26年7月2日登録出願、「美容,理容」を含む第44類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として同年11月7日に設定登録され、その商標権は現に有効に存続しているものである。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同項第10号、同項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証から甲第68号証を提出した。 1 商標法第4条第1項第11号について 本件商標の構成を検討すると「Album Hair」における「Hair」の文字は指定役務「美容,理容」との関係において、「○○Hair」「Hair○○」のように役務を提供する際に使用する名称として広く用いられる取引の実情が見受けられる(甲3)。 よって、本件商標における「Hair」の構成部分は指定役務「美容,理容」に対しては一般性、普遍性のある文字にすぎず、自他商品等を識別する機能が著しく低いということができる。 そうすると、本件商標の構成にあっては「Album」の部分が取引者、需要者に対し、役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものといえる。 さらに、「Album」の語と「Hair」の語との結合の程度を検討すると、本件商標は同書同大からなる標準文字によって一連に記されてはいるものの、途中スペースが設けられており、「Album」の語と「Hair」の語とを視覚において分離・独立して把握することができることからも、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとまではいえない。 また、「Album」の語と「Hair」の語との間には観念上のつながりも特に確認することができない。 よって、本件商標においては「Album」の語と「Hair」の語との全体としての結合の程度は弱く、本件商標からは「Album」の構成部分を抽出して他人の商標との類否を判断することは肯定されるべきといえる。 そうすると、本件商標は「Album」の部分から「アルバム」との称呼が生じ、また、引用商標からも「アルバム」との称呼が生じることから、両商標は、称呼において相紛れるおそれがあるといえる。 同様に、本件商標は「Album」の部分から、例えば「写真・絵画・切手などを貼って保存する帳面、記念帳」ほどの観念が生じ、また、引用商標からも、例えば「写真・絵画・切手などを貼って保存する帳面、記念帳」ほどの観念が生じることから、両商標は観念においても相紛れるおそれがあるといえ、本件商標と引用商標とでは、称呼及び観念において相紛れるおそれがあるといえる。 したがって、本件商標は当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標に類似する商標であって、その商標登録に係る指定役務について使用をするものに該当し、商標法第4条第1項第11号に該当する。 2 商標法第4条第1項第10号について 「ALBUM」は、申立人が、平成26年(2014年)8月15日の1号店(渋谷)の開業以来「美容,理容」について継続して使用している商標である(甲24、甲25)。 また、申立人は「トレンドヘアーを毎月通える価格で提供する」をコンセプトに、地道な努力を積み重ねた結果として広く一般から厚い支持を得て今日に至る。 現在の申立人の事業規模としては、従業員数約200名(非常勤を含む。)、「ALBUM」の名を冠したサロンの店舗数が4店舗(銀座、渋谷、原宿、新宿)、また「ALBUM」の名を含むサロン「IT by ALBUM」の店舗数が7店舗(中野、浦和、川崎、八王子、藤沢、松戸、下北沢)と全11店舗の美容室を経営しており、また、今後も店舗が増える予定である(甲26)。 また、申立人の事業規模を検討すると、令和3年度の売上金額は総額で約16億円にまで上り、その大半がサロン事業、つまり「美容,理容」によるものである。そして、過去の売上金額を検討しても、毎年、順調に売上金額をのばしている(甲27~甲34)。 さらに、申立人が経営するサロンは、提供する役務の質が高く評価され、「HOT PEPPER Beauty AWARD 2022」の「ベストサロン部門」において「ALBUM GINZA 銀座」が最高賞である「BEST SALON GOLD Prize」を受賞し、「ALBUM SHIBUYA 渋谷」「ALBUM HARAJUKU 原宿」「ALBUM SHINJUKU 新宿」がそれぞれ「BEST SALON SILVER Prize」を受賞している(甲35~甲38)。 その上で、申立人は、4年に一度開催されるアジア最大級の美容イベントである「アジアビューティエキスポ」に演者として招待されている。このイベントは2日間の日程の開催を予定しており、イベント規模の参考として前回開催時には4万3千人の来場者数を記録している(甲39~甲42)。 加えて、申立人は自らの事業内容の広告にソーシャル・ネットワーキング・サービスを活用しており、当該サービス内で「ALBUM」の他に「album_hair」の商標を頻繁に使用している(甲43~甲53)。 最後に、申立人に関する特集が掲載された雑誌、インターネットの記事に言及すると、申立人やヘアサロン「ALBUM」に勤務するスタイリストは、これまでに数多くの雑誌とりわけファッション誌やヘアカタログ誌から取材を受けて特集が組まれており、また、インターネットの記事に目を移すと、申立人に関する情報が多数見受けられる(甲54~甲65)。 以上の内容から分かるとおり、「ALBUM」「ALBUM HAIR」「album_hair」は、申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標であることに疑いはない。本件商標と「ALBUM HAIR」「album_hair」とは類似する商標に該当するといえ、また、本件商標と「ALBUM」とが類似する商標に該当する。 したがって、「美容,理容」については、本件商標は、他人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標と類似する商標であって、その役務について使用するものに該当し、商標法第4条第1項第10号に該当する。 3 商標法第4条第1項第15号について 申立人による「ALBUM」は「美容,理容」に係る商標として、本件商標の登録出願前から査定時に至るまで広く需要者の間に認識されているといえる。 申立人の業務に係る役務は「美容,理容」にとどまらず、インターネット販売事業においても広く一般に受け入れられていることがうかがえ、かかる「多角経営化」や申立人が経営するサロンが巨額の売上げを出していること、また、「ALBUM」「ALBUM HAIR」「album_hair」が申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標であることを考慮すれば、本件商標が申立人以外のものによって「美容,理容」に使用された場合、需要者は、申立人の業務に係る役務と出所の混同を生じさせるおそれがあることは明らかである。 したがって、本件商標は他人の業務に係る役務と混同を生ずるおそれがある商標に該当し、商標法第4条第1項第15号に該当する。 4 商標法第4条第1項第8号について 本件商標は、申立人が経営するサロンの名称「ALBUM」を一部に含むものである。また、「ALBUM」の名称は申立人を示す名称として広く一般に受け入れられており、指定役務の需要者のみならず、著名なものということができる(甲24~甲65)。 したがって、本件商標は、他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標であり、商標法第4条第1項8号に該当する。 第4 当審における取消理由 当審において、商標権者に対して、「本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、その登録は、同項の規定に違反してされたものである。したがって、本件商標の登録は、商標法第43条の2第1号に該当する。」旨の取消理由を令和5年3月30日付けで通知した。 第5 商標権者の意見 前記第4の取消理由の通知に対し、商標権者は、要旨次のとおり意見を述べ、証拠方法として参考資料1から8を提出した。 1 本件商標について 「Album」には、「写真や切手などをはっておくための帳面。」といった意味合いがあることから、本件商標の指定役務に起因して「アルバムに貼る写真用の髪型」を提供する役務であるという意味合いが想起され得る。実際、卒園や卒業のシーンにおいて、髪型を特別な形にアレンジするということはよく行われることであり、「アルバム」と「髪」には十分な接点がある(参考資料2)。 さらに、美容師と写真撮影はサービスとしても関連が深く、ヘアスタイリングと撮影が密接に絡み合ったサービスを提供する者もいる(参考資料3)。 このように、「Album」と「Hair」には、観念上のつながりがあるため、仮に「Hair」の文字部分が、その指定役務との関係では、自他役務の識別力が弱いものであったとしても観念上のつながりやその他の要素等を考慮して「一体不可分」と考えることが妥当である。 このような点を総合的に考慮すると、「Album」の文字と「Hair」の文字とが一文字程度のスペースを介して表されているというだけで、「観念上のつながりがあること」や、「視覚上分離して看取されやすい」わけではないこと、「冗長な称呼であるためによどみなく一連に称呼しにくい」わけではないことを凌駕して、「Album」のみを分離して抽出し、類否の判断を行う理由となるとは到底考えられない。 商標の類否は全体を観察することが原則であるから、本件商標の構成を総合的に鑑みれば、本件商標はその構成文字全体をもって「一体不可分」と考えることが妥当である。 2 取引の実情について 美容のサービスは、髪型、ネイル、眉毛、まつ毛、肌のケア、メイクなど自らの外見に直接関わるサービスであり、殊更に注意を払ってサービスを受ける店を決定することが一般的である。 美容サービスは、そのサービス内容のいかんによって自身が他者から受ける印象に直結するため、自分自身が納得したサービス提供主からサービスを受けられるかどうか、は非常に重要な問題となる。 また、美容院、美容室又はヘアサロンでは、そのサービス提供において自身の髪型を担当する者がいることは一般的なことであり、それこそ「提供主体」が重要なのであるから、仮に口頭や電話で取引が行われることがあったとしても、店や担当を誤認して話を進めても取引自体が進まないサービスである。こうした実態を考慮すれば、本件商標の一部分である「Album」の称呼のみが一人歩きするということは考え難いといわざるを得ない。 このように、美容の分野における需要者らは、通常一般の商品・役務の需要者よりサービス提供主体へ向ける注意力は高いといえるため、本件商標と引用商標が類似のものとして受け取られるおそれはないといえる。 3 本件商標の商標権を取得した理由について 商標権者は、カナダにて商標を取得しており(参考資料6、参考資料7)、既に、現在、カナダで2つの店舗を経営し、ビジネスを国際的に拡大することに意欲的である。 本件商標を取得した主な目的の一つは、日加両国間に交流プログラムを設けることであり、このプログラムは、日本のヘアスタイリストにカナダで貴重な経験を積む機会を提供することで、その技術と専門性を高めることを目的としており、特に英語力の向上に重点を置いている。 また、逆に、カナダのヘアスタイリストは、日本の美容技術、文化、エチケットを学ぶ機会から大きな恩恵を受ける。 このように、商標権者には、本件商標を取得する明確な目的があり、何ら不正な目的があって本件商標を採択したわけではない。 第6 当審の判断 1 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標 本件商標は、前記第1のとおり、「Album Hair」の文字を標準文字で表してなるものであり、「Album」の文字(語)は「アルバム」を、また、「Hair」の文字(語)は「髪」等をそれぞれ意味する語として、いずれも平易な英単語であるから、本件商標は、両語からなるものと容易に理解されるものである。 そして、「アルバム」を意味する「Album」の文字(語)と「髪」等を意味する「Hair」の文字(語)とスペースを介して一連に表された「Album Hair」の文字全体から、特定の観念(意味合い)が生じるとはいえず、他に、本件商標を常に不可分一体のものとして把握しなければならない特段の事情も見いだせない。 加えて、本件商標は、「Album」の文字と「Hair」の文字とがスペースを介して表されているため、両文字は、視覚上も分離して観察されるものである。 そうすると、本件商標は、「Album」の文字と「Hair」の文字とが、これを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいえない。 また、本件商標の指定役務は「美容,理容」であるところ、申立人の提出に係る証拠によれば、美容院、美容室又はヘアサロンにおいて、「HAIR(hair)○○」又は「○○HAIR(hair)」のように、「HAIR(hair)」の文字が店名の一部に広く用いられていることが認められる(甲3)。 そうすると、本件商標の構成中「Hair」の文字部分は、その指定役務との関係では、自他役務の識別力がないか極めて弱いものであり、そのため、当該文字部分は、出所識別標識としての称呼、観念は生じないものといえる。 これに対し、本件商標の構成中「Album」の文字部分は、その指定役務との関係において、役務の質等を表すといった事情は見いだせないから、本件商標に接する取引者、需要者に対し、出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものといえる。 そうすると、本件商標は、その構成中「Album」の文字部分を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるというべきである。 してみると、本件商標は、その構成中「Album」の文字部分から、「アルバム」の称呼及び観念を生じるものである。 (2)引用商標 引用商標は、前記第2のとおり、「ALBUM」の文字を表してなるものであり、これより「アルバム」の称呼及び観念を生じるものである。 (3)本件商標と引用商標との類否 本件商標の構成中「Album」の文字部分と引用商標とを比較すると、2文字目以降が大文字か小文字かの違いはあるものの、両者は、いずれも「Album(ALBUM)」の構成文字を共通にするから、外観において近似した印象を与えるものである。 また、両者は、いずれも「アルバム」の称呼及び観念を生じるから、称呼及び観念を共通にするものである。 そうすると、本件商標の構成中「Album」の文字部分と引用商標とは、外観において近似した印象を与え、称呼及び観念を共通にする類似のものといえる。 したがって、本件商標は、引用商標に類似する商標といわなければならない。 (4)本件商標の指定役務と引用商標の指定役務との類否 本件商標の指定役務である「美容,理容」は、引用商標の指定役務中「美容,理容」と同一又は類似する役務である。 (5)小括 以上のとおり、本件商標は、引用商標に類似する商標であって、かつ、引用商標の指定役務と同一又は類似の役務について使用をするものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 2 商標権者の主張について (1)商標権者は、「Album」と「Hair」には観念上のつながりがあるため、本件商標は、その構成文字全体をもって一体不可分である旨主張している。 商標権者の提出に係る証拠によれば、卒業アルバムや卒業式のための髪型について情報発信するウェブサイトがいくつも存在することが認められる(参考資料2)。 また、美容室とフォトスタジオを組み合わせたサービスを提供する事業者が存在することも認められる(参考資料3)。 しかしながら、これらの事情が認められるとしても、卒業アルバムや卒業式のための髪型又は美容室とフォトスタジオを組み合わせたサービスを「Album Hair」又は「アルバムヘアー」と称している事情は認められず、他に、「Album Hair」の文字(語)が一体のものとして把握されるというべき事情は認められない。 そうすると、本件商標は、前記1(1)のとおり、その構成中「Album」の文字部分を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるというべきである。 (2)商標権者は、美容のサービスについては、自らの外見に直接関わるサービスであること、自分自身が納得したサービス提供主からサービスを受けられるかが重要な問題となること、美容院、美容室又はヘアサロンでは自身の髪型を担当する者がいることなどから、美容の分野における需要者は、一般の商品・役務の需要者よりサービス提供主体へ向ける注意力は高いため、本件商標と引用商標が類似のものとして受け取られるおそれはない旨主張している。 しかしながら、「美容」について、商標権者の主張するような一面があるとしても、本件商標の指定役務である「美容,理容」の需要者は、一般の消費者というべきであるから、このような需要者が取引の際に払われる注意力はさほど高いとはいえない。 そうすると、本件商標の指定役務の主たる需要者の通常有する注意力を基準に判断すれば、前記1(3)のとおり、本件商標は、引用商標に類似する商標というべきである。 (3)商標権者は、本件商標の商標権を取得した理由について種々述べているが、当該理由は、商標の類否判断において考慮することのできる指定役務全般についての一般的、恒常的な取引の実情とはいえないから、当該理由によって、前記1の判断が左右されるものではない。 (4)以上のとおり、商標権者の主張は、いずれも採用できない。 3 まとめ 以上により、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するから、同項第8号、第10号及び第15号該当性について判断するまでもなく、その登録は、同項の規定に違反してされたものである。 したがって、本件商標の登録は、商標法第43条の2第1号に該当するものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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