商標異議申立
2022-900091
リンクエイ、リンク
- 審判番号
- 2022-900091
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2021-037836
- 登録番号
- 6504594
- 請求日
- 2022年03月18日
- 審決日
- 2022年12月01日
- 公報発行日
- 2022年12月28日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社ウェブエンジン
- 【権利者代理人】岩崎 博孝
- 【異議申立人】株式会社 リンクエッジ
- 【異議申立人代理人】名古屋 聡介
- 【異議申立人代理人】土谷 一貴
- 【異議申立人代理人】前川 直輝
- 【異議申立人代理人】渡邉 芳則
- 審判長/審判官
- 審判長 大森 友子
- 審判官 清川 恵子
- 審判官 馬場 秀敏
- 分類
- T1651.22 -Y (W354142) / T1651.25 -Y (W354142) / T1651.271-Y (W354142) / T1651.222-Y (W354142)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項7号商標法4条1項10号商標法4条1項15号商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第19号、商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第15号、商標法第43条の2第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
登録第6504594号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6504594号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6504594号商標(以下「本件商標」という。)は、「Link-A」の欧文字を標準文字により表してなり、令和3年3月30日に登録出願、第35類、第41類及び第42類に属する別掲のとおりの役務を指定役務として、同年12月28日に登録査定され、同4年1月26日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件登録異議の申立ての理由において、引用する商標は、「Link-A」の文字からなる商標(以下、「引用商標1」という。)及び「リンクエー」の文字からなる商標(以下、「引用商標2」という。これらをまとめて「申立人使用商標」という。)であり、申立人が「スマートフォン向けアフィリエイトASP」及び「アフィリエイター向けセミナーの開催」等に使用しているというものである。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、本件商標登録は商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである旨申立て、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第31号証(枝番号を含む。以下、枝番号をすべて示すときは枝番号を省略する。)を提出した。
1 本件商標の取引実情
本件商標権者は、本件商標に係る商標登録出願の出願日以前に、本件商標を本件指定役務のいずれについても使用していない。
2 申立人使用商標について
(1)申立人使用商標の概要
申立人は、平成23年7月1日に設立され、同年12月27日にスマートフォン向けアフィリエイトASP「Link-A」(以下「本件サービス」という。)をリリースした(甲6)。本件サービス開始当初より、申立人は、「リンクエッジ」「Linkedge」「Link-A」の各文字列を、本件サービスの提供や(甲7)、アフィリエイター向けセミナーの開催にあたって、商標として利用している(甲8)。さらに、申立人は、平成29年1月下旬にクラウドソーシングサイト「ランサーズ」を通じて本件サービスのロゴ(甲11、図形及び「Link-A」の文字からなる。以下「ロゴ」という場合がある。)を制作し、それ以降、ロゴを本件サービス等に使用している。
(2)申立人使用商標の周知著名性
ア 市場における申立人及び本件サービスの存在感
(ア)アフィリエイトASP市場における本件サービスの地位
申立人が提供する本件サービスは、アフィリエイトASPと呼ばれるものの一種であり、アフィリエイトASPは、アフィリエイター(ウェブサイトに広告を掲載することで広告収入を得る者)と、広告主を仲介するサービスである。
申立人は、これまで申立人使用商標「Link-A」の文字を本件サービスの自社ウェブサイト画像(甲6、甲7、甲18の1、2、5、甲21の19~22、26、32、33、35~37、39、41、42、44~46、50~53、55、59、61、62、65、68~71、76、78~81、83、85、90)、申込案内(甲7、甲21の19~21、26、27、29、30、45、46)、宣伝広告(甲6、甲8、甲21の19、20、22、32、35、41、44、45、55、82、89)、管理画面(甲21の20~23、41、44、45、68、76)、セミナー(甲16、甲18の3、甲21の16、17、22、32、34、44、89)、に使用してきた。
日本のアフィリエイター人口は延べ約500万人といわれ、令和2年時点におけるアフィリエイト総市場規模は3258億4000万円に上るとされる(甲14)。その中で、本件サービスは、急速にアフィリエイター数を伸ばし(甲15の2)、同年時点で1563社の広告主、5万2312人のアフィリエイター、14万5260個の登録サイトを抱え(甲15)、4995万回のクリック数を数え、49億3000万円の売上を上げている(アフィリエイター数においても売り上げにおいても、市場全体の1%を上回る規模で事業を行っている。)。
アフィリエイトASP事業を営む他サービスと売上を比較すると、本件サービスは8ないし10位前後の位置につけており(甲16)、また、ヤフー株式会社が運営するYahoo Japanより、「主にYahoo!広告を総合的に活用し、優れた実績があるパートナー」と定義されるセールスパートナーとしても選定されている(甲17、甲17の3、甲17の2)。
(イ)クローズドASPと呼ばれる類型においては、さらに存在感が大きい 本件サービスは、アフィリエイトASPの中でも、さらに「クローズドASP」と呼ばれるサービスに分類され、オープンASPに比べ、登録アフィリエイター数において劣後する傾向にあるが、本件サービスは、全体の1%を超えるアフィリエイターを抱えており、クローズドASPの市場はもちろん、アフィリエイトASPの市場全体においても、高い知名度を得るに至っている(甲16の3)。
イ 各種メディアにおける紹介
申立人や本件サービスは、優れた事業者・アフィリエイトASPとして、多くのメディアにおいて紹介されている(甲14、甲18~甲22)。
以上のとおり、本件サービスは、多数のフォロワー数を抱えるインフルエンサーからも好意的に紹介されており、高い知名度を継続的に獲得している。
ウ このように、本件サービスは、アフィリエイトASPとしては、最も成功したものの一つと評価でき、引用商標1は、本件商標の登録出願前には、本件サービスの出所識別標識として日本国内における需要者の間で広く認識されており、本件商標の登録出願時及び登録査定時において周知のみならず著名な商標にいたっている。
(3)本件商標が取り消されるべき理由
ア 本件商標と申立人使用商標との対比
引用商標1は、「Link-A」の欧文字を横書きして構成された外観を有し、「リンクエー」又は「リンクエイ」の称呼を生じる独創的な造語である。また、引用商標2は、「リンクエー」の片仮名により構成された外観を有し、「リンクエー」の称呼を生じる独創的な造語である。本件商標と引用商標1は外観、称呼においていずれも同一であり、引用商標2は称呼において同一である。
したがって、本件商標は、申立人が本件サービスの出所を表示するものとして使用している引用商標1と同一であり、引用商標2と社会通念上同一又は類似である。
イ 本件商標の指定役務と本件サービスとの対比
申立人使用商標が使用されている本件サービスは、アフィリエイターである管理者が自身のウェブサイトにおいて広告主のウェブサイトにリンクした広告等を掲載し、当該広告等を経由して広告主のウェブサイトへアクセスした者が一定の行為を行った場合に、当該管理者に広告報酬が支払われるものである(甲23)。本件サービスは、積極的にアフィリエイター向けのセミナーや交流会を行っており(甲21の9、16、17、19~23、25、26、28、31、32、34、44~46、65、72、73、76、85、89、甲24)、広告主に対しては、アフィリエイトの成約数を増やすための施策提案やキャンペーンの立案、広告主とアフィリエイターとの相互理解を深めるためのミーティング設定、本件サービスのサーバーに蓄積された広告関連データの提供等、広告主のバックアップを行っている(甲24、甲23、甲21の15~17、22、26、31、34、44、46、85)。
また、本件サービスではセミナー動画の提供(甲21の46)や、他社との協働によりホームページ作成・運用のためのサービスも提供している(甲21の86)。
したがって、本件商標の指定役務のうち「広告業」、「経営の診断又は経営に関する助言」、「事業の管理」、「市場調査又は分析」、「商品の販売に関する情報の提供」、「コンピュータデータベースへの情報編集」、「セミナーの企画・運営又は開催」、「インターネットを利用して行う映像の提供」、「デザインの考案」、「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」、「電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明」、「電子計算機用プログラムの提供」(以下、これらの指定役務をまとめて「本件商標の関連役務」という場合がある。)は、本件サービスと同一又は類似の役務に該当する。
ウ 本件商標権者の不正の目的について
前記(2)のとおり、申立人使用商標は、本件商標の商標登録出願前において、申立人の本件サービスを表示するものとして著名となった商標であり、本件商標権者は、そのような申立人の著名な造語からなる引用商標1と同一の商標を同日付けで出願するとともに、申立人の著名な商標又は略称である商標「リンクエッジ」及び「Linkedge」と同一の商標を、同じく著名なロゴ商標を同日付けで出願していることから(甲1~甲4)、本件商標を申立人使用商標に依拠して出願を行っている。
これらを総合勘案すると、本件商標は、一般に使用、採択されるものではなく、本件商標権者が出願当初から計画し、申立人使用商標が商標登録されていないことを奇貨として、申立人のこれまでの長期にわたる営業努力によって申立人使用商標に化体した信用、名声、顧客吸引力にただ乗り(フリーライド)し、申立人使用商標の出所表示機能を希釈化(ダイリューション)させ、且つ、その名声等を毀損させる明確な不正目的の意図をもって剽窃的に採択及び出願し、登録を受けたものといえる。
3 商標法第4条第1項第7号(公序良俗違反)について
申立人使用商標は、本件サービスの出所を表示するものとして著名な商標であり、既に、本件サービスは多数の広告主やアフィリエイターに利用され、多数のアフィリエイトサイトを通じたシームレスな商品購入を可能とする等の便益を享受する利用者を含めた経済インフラが形成されている。本件商標は、本件商標権者が不正の目的のみをもって出願したものであり、本件商標の審査における本件商標権者の利己的な主張や客観的な出願経緯、さらには需要者及び取引者の利益を保護するという公益的な観点からみても、本件商標の登録維持を是認する正当性は見当たらない。
このように、本件商標の出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることは商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないものといえる。
したがって、本件商標は、公の秩序を害するおそれがあり、商標法第4条第1項第7号に該当する。
4 商標法第4条第1項第10号(周知商標)について
本件商標は、その登録出願時及び登録査定時において、申立人の本件サービスの出所を表示するものとして著名な引用商標1と同一の商標である。
また、本件商標の指定役務のうち上記2(3)イのとおり、本件商標の関連役務は、本件サービスと同一又は類似の役務に該当する。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
5 商標法第4条第1項第15号(出所の混同を生ずるおそれのある商標)について
(1)本件商標と引用商標1とは、同一である。
(2)引用商標1は、本件サービスの出所を表示するものとして著名な商標である。
(3)引用商標1は、本件サービス内容との関係で自他役務識別力の高い独創的な商標である。
(4)申立人は、本件サービスと同種のサービスを展開する他の事業者が行っているメディア事業(甲26、甲27、甲28、甲29)、並びに、ネット通販等の小売業(甲30、甲31の1)、等の多角経営を行う可能性がある。特に、メディア事業や小売業においては、インターネットビジネスとして取り扱う可能性のある商品及び役務は広範に及ぶことがある。
(5)本件サービスは、本件商標の関連役務と関連が高い。
さらに、申立人は本件サービスと同種のサービスを行う他の事業者と同様に、メディア事業、ECクーポン管理サービス等のサービスを行う可能性がある。
(6)本件サービスの需要者は、主に、商品又はサービスに関連する情報を提供するウェブサイトの管理者、及びそれら商品又はサービスを提供する事業者であり、これに対し、本件商標の指定役務に係るアフィリエイトASP、メディア事業、ECクーポン管理サービスの需要者も、商品又はサービスに関連する情報を提供するウェブサイトの管理者、及びそれら商品又はサービスを提供する事業者を含み、本件サービスの需要者と共通する。
(7)本件商標権者は「アフィリエイトを始め、インターネットビジネスで事業拡大を目指す方のためのコンテンツの提供」を事業内容としており(甲5の2)、申立人の事業分野との共通性が高い。
(8)さらに、本件商標権者は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、本件商標を使用しておらず又は仮に使用していたとしても、本件商標権者の業務を表示するものとしては需要者の間で全く認知されていない。
以上の(1)ないし(8)の事情を総合勘案すると、本件商標の登録出願時及び登録査定時のいずれにおいても、申立人の業務を表示するものとして著名な本件商標が本件商標の指定役務に使用された場合、本件商標が表示されている役務に接した需要者、取引者は、申立人の役務であると誤認し、その役務の需要者が役務の出所について混同を生ずるおそれがあるか、申立人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る役務であると誤認し、その役務の需要者が役務の出所について混同するおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
6 商標法第4条第1項第19号(不正の目的で使用をする商標)について
申立人使用商標と同一又は類似の本件商標は、本件商標の出願時及び査定時において、申立人の本件サービスの出所を表示するものとして少なくとも日本国内におけるアフィリエイトASP業界及びクローズドASP業界における需要者の間で全国的に知られた著名な商標である。
また、本件商標は、申立人使用商標に化体した業務上の信用等にただ乗りし、出所表示機能を希釈化させたり、その名声等を毀損させるために、本件商標権者が不正の目的をもって使用するために出願したものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
第4 当審の判断
1 申立人使用商標の周知性について
(1)申立人提出に係る甲各号証及び同人の主張によれば、申立人は、平成23年7月1日に設立され、同年12月27日にスマートフォン向けアフィリエイトASP(以下「申立人の業務に係る役務」ということがある。)「Link-A」をリリースしたこと(甲6)、申立人はロゴを平成29年1月下旬に制作し、それ以降申立人の業務に係る役務に使用していること(甲9~甲11)、書籍・雑誌(8冊、甲14、甲18)やウェブ上の記事(90件、甲21)及びSNSの投稿(64件、甲22)に、申立人使用商標、ロゴ、「リンクエッジ」又は「株式会社リンクエッジ」の文字をもって申立人の業務に係る役務について紹介されたり、使用方法等が説明されていること、「Link-A」の会員数が2万人を突破(甲15の2、2017年7月10日付け)したこと、がうかがえる。また、申立人は、令和2年時点では1563社の広告主、5万2312人のアフィリエイター、14万5260個の登録サイトを抱え(甲15)、49億3000万円の売上を上げており、売上げにおいて市場全体の1%を上回る(甲16)旨主張している。
(2)判断
ア 上記(1)の書籍・雑誌、ウェブ上の記事及びSNSの投稿において、申立人の業務に係る役務を紹介するものとして、申立人使用商標が記載されているものの、書籍・雑誌については平成28年ないし平成30年の間に5冊、令和3年に3冊とその数は多いものとはいえず、ウェブ上の記事やSNSの投稿についても、それぞれ90件と64件という件数であって、申立人業務に関連する業界の全体数に比して、当該記事等がどの程度の者の目にとまったのかその多寡は明らかでないから、我が国の取引者、需要者にどの程度認識されているかを客観的に把握することができない。
イ そして、上記(1)のうち、申立人が主張する広告主数、アフィリエイター数及び売上額等は、いずれも申立人の内部資料(甲15、甲16)を根拠とするものであって、その記載内容を客観的に立証するものではない。
ウ さらに、申立人使用商標を付した申立人の業務に係る役務に関する広告宣伝の規模や販売状況を示す客観的な証拠の提出がなく、我が国及び外国における、その申立人業務に係る役務の売上高、広告宣伝の程度などが明らかとはいえないことから、申立人使用商標の周知性の程度を推し量ることはできない。
エ そうすると、申立人提出の証拠によっては、申立人使用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人又は申立人の略称及び申立人の業務に係る役務を表示するものとして、我が国及び外国の需要者の間に広く認識されていたものということはできない。
2 本件商標と申立人使用商標の類似性について
(1)本件商標
本件商標は、前記第1のとおり、「Link-A」の欧文字を標準文字で表してなるところ、同書同大等間隔で、「Link」の欧文字と「A」とをハイフンで結合し、一連にまとまりよく表され、これから生じる「リンクエー」の称呼もよどみなく称呼し得るものである。
そして、かかる構成及び称呼においては、看者をして、その構成文字全体をもって捉えるのが自然である。
また、本件商標は、全体として、一般的な辞書等に載録がなく、特定の意味合いを有する語として知られているものとも認められないから、本件商標は、特定の意味を想起させない一種の造語と認識、理解される。
したがって、本件商標においては、構成文字に相応して「リンクエー」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
(2)申立人使用商標
申立人使用商標は、前記第2のとおり、引用商標1と引用商標2からなるものである。
ア 引用商標1は、「Link-A」の欧文字を横書きしてなるところ、該文字は、本件商標と同じつづりであるから、上記(1)のとおり、「リンクエー」の称呼を生じ、観念においても特定の観念は生じないものである。
イ 引用商標2は、「リンクエー」と片仮名で書されているところ、該文字は、一般的な辞書等に載録がなく、特定の意味合いを有する語として知られているものとも認められない。
したがって、引用商標2は、その構成文字に相応して「リンクエー」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
(3)本件商標と申立人使用商標との類否について
ア 本件商標と引用商標1は、上記(1)及び(2)アのとおりの構成であり、両商標は、観念においては比較することができないとしても、構成文字が同一であるから、外観において近似した印象を与えるものであり、称呼も同一であるから、両者は、相紛れるおそれのある同一又は類似の商標といえる。
イ 本件商標と引用商標2は、上記(1)及び(2)イのとおりの構成であるところ、両商標は、外観において、片仮名と欧文字の相違があるものの、我が国において欧文字を同じ称呼の片仮名で表記することは一般的に行われているから、文字種が異なることによる外観の相違は、両商標が別異のものであることを認識させるほど強い印象を与えるものではなく、相互に文字種を変換したものといった印象を与えるから、似かよった印象を与えるものである。
そうすると、両商標は、観念において比較できないとしても、「リンクエー」の称呼を共通にし、外観においても似かよった印象を与えるものであるから、両者は、相紛れるおそれのある類似の商標といえる。
3 商標法第4条第1項第10号該当性について
上記2のとおり、本件商標と申立人使用商標とは、同一又は類似の商標であるとしても、上記1のとおり、申立人使用商標は、申立人の業務に係る役務であることを表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第15号該当性について
上記2のとおり、本件商標と申立人使用商標とは、同一又は類似の商標であるとしても、上記1のとおり、申立人使用商標は、申立人の業務に係る役務であることを表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものである。
してみれば、本件商標は、商標権者がこれをその指定役務について使用しても、これに接する取引者、需要者が、申立人使用商標を連想又は想起することはなく、その役務が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
5 商標法第4条第1項第7号該当性について
申立人は、申立人使用商標が申立人の業務に係る役務であることを表示するものとして我が国における需要者の間に広く認識されていることを前提として、本件商標が本号に該当する旨主張しているが、上記1のとおり申立人使用商標は申立人の業務に係る役務であることを表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであるから、申立人の主張はその前提において理由がない。
また、上記1(1)のとおり、申立人は、平成23年7月1日に設立され、同年12月27日に申立人の業務に係る役務について、申立人使用商標を使用していたということからすれば、申立人は、申立人使用商標及び当該商標に係る商標を我が国に登録出願できたにもかかわらず、これを怠っていたといえる。そうすると、本件商標については商標法の先願登録主義を上回るような、その登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものがあるということはできない。
そして、他に本件商標が公序良俗を害するおそれがあるものというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
6 商標法第4条第1項第19号該当性について
本号は、「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもって使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)」と規定されている。
しかし、申立人使用商標は、上記2のとおり、本件商標と同一又は類似の商標であるとしても、上記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されていたものと認められないものであるから、商標法第4条第1項第19号を適用するための要件を欠くものといわざるを得ない。
また、本件商標権者が、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的を持って本件商標を出願し、登録を受けたと認めるに足りる具体的事実を見いだすこともできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
7 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第15号及び同項19号のいずれにも違反してされたものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2022-900091