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商標異議申立

2022-900072

ミスリル

審判番号
2022-900072
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2021-098891
登録番号
6499175
請求日
2022年03月09日
審決日
2023年03月30日
公報発行日
2023年08月25日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】深▲セン▼市多殻科技有限公司
  • 【異議申立人】ザ ソウル ゼインツ カンパニ-
  • 【異議申立人代理人】弁理士法人浅村特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 森山 啓
  • 審判官 鈴木 雅也
  • 審判官 小林 裕子
分類
T1651.271-Y (W11) / T1651.272-Y (W11) / T1651.222-Y (W11) / T1651.22 -Y (W11)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項第16号、商標法第4条第1項第19号
データ出所
審決公報(XML)

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登録第6499175号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6499175号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 1 本件商標 本件登録第6499175号商標(以下「本件商標」という。)は、「MITHRIL」の文字を標準文字で表してなり、令和3年8月6日に登録出願、第11類「除湿機,空気清浄装置,空気調和装置,空気調和設備,パン用トースター,化学製品製造用乾燥装置,電気式布地用スチーマー,祭りの飾り用飾りランプ,暖房装置,製氷用装置,ランプ,LED照明用器具,携帯用ヘッドランプ,冷蔵・冷凍庫,加湿器」を指定商品として、同4年1月5日に登録査定、同月13日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立人が引用する商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標(以下、まとめていうときは「引用商標」という。)は次のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。 (1)登録第5552815号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の構成:「MITHRIL」の欧文字を横書きしてなるもの 登録出願日:平成23年11月18日(2011年7月8日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張) 設定登録日:平成25年1月25日 指定商品 :第6類、第9類、第14類、第16類、第24類、第25類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 (2)登録第5957886号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の構成:「MITHRIL」の欧文字を横書きしてなるもの 登録出願日:平成29年4月14日(2016年12月7日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張) 設定登録日:平成29年6月23日 指定商品 :第18類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第15号、同項第16号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証を提出した。 (1)「ロード・オブ・ザ・リング」及び「MITHRIL」について ア 日本国内においても2002年から2003年にかけて「ロード・オブ・ザ・リング」として、「旅の仲間」「二つの塔」「王の帰還」の3部作の映画が公開され大きな反響を呼んだ(甲2)。 国内で大きなヒット作となった事実として、当時発行された国内の新聞・雑誌の切り抜きの一部を提出する(甲3)。 この作品は、英国の作家であるジョン・ロナルド・ロウエル・トールキンが執筆した世界的に有名なファンタジー小説「指輪物語」を実写により映画化したものであり、さらにその関連作品「ホビットの冒険」3部作も国内で公開されている(甲2)。 イ 申立人は、独立系の映画製作会社(甲4)であり、ジョン・ロナルド・ロウエル・トールキンの著作権に基づいて、「ロード・オブ・ザ・リング」と「ホビットの冒険」の映画化権と商品化権を取得した。また、その作品に関連して著作権を所有している(甲5)。 ウ 「MITHRIL(ミスリル)」は、ジョン・ロナルド・ロウエル・トールキンが独自に創作した造語であり、銀のような外観と鋼以上の強度を有する金属として、映画において、ストーリーに重要な関連性を有する特殊な金属の名称として登場している。 「MITHRIL(ミスリル)」は、特に主要な登場人物であるBilbo BagginsとFrodo Bagginsが着用している鎖かたびらに使用されている。 エ 「MITHRIL(ミスリル)」に関して、ライセンスされた商品のリストとライセンス商品の内容の一部(甲8)は、主に米国内でライセンスが供与されたものであるが、例えば、amazon等のインターネットショッピングを通じて世界のどこでもいつでも容易に購入・入手することができる。 オ このように公開された映画作品が世界的に大きな人気を得たことに加えて、申立人のライセンスによる各種の商品に「MITHRIL(ミスリル)」が付されて世界的に頒布されている事実を考慮すれば、「MITHRIL(ミスリル)」は、申立人が所有する商標として広く認知されていると考えるべきである。また、申立人は、商標「MITHRIL」に化体された信用を保護するために、日本国内では引用商標を所有しているが、世界各国でも多くの商標登録を獲得している(甲9)。 (2)商標法第4条第1項第15号違反について 上記のように、「MITHRIL(ミスリル)」は、申立人の映画作品のストーリーに重要な関連性を有する特殊な金属の名称(造語)であるとともに、申立人の商標としても世界的に広く認知されていることから、それと同一の本件商標がその指定商品に使用されると、あたかも申立人の業務に係る商品であるかのように混同を生ずるおそれがある。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反する。 (3)商標法第4条第1項第16号違反について 本件商標がその指定商品に使用されると、申立人が厳しい品質管理のもと、商品化権のライセンスを供与している商品であるかのごとく誤解を与えることから、品質の誤認を招き、商標法第4条第1項第16号に違反する。 (4)商標法第4条第1項第7号違反及び同項第19号違反について 著作権者・商標権者である申立人とは別人である本件商標権者が、申立人の映画作品に登場する特殊な金属の名称であるとともに申立人の商標としても世界的に広く認知されている「MITHRIL」を盗用して使用するものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するとともに、そのような行為は信義誠実を旨とする国際商取引秩序を危うくする行為であるから、同法第4条第1項第7号にも違反する。 4 当審の判断 (1)引用商標及び「MITHRIL」の周知性について ア 申立人の提出に係る証拠及び申立人の主張によれば、以下のとおりである。 (ア)「ウィキペディア」のウェブサイトにおいて、3部作よりなる映画「ロード・オブ・ザ・リング」は、全世界における累計興行収入が29億9000万ドルに達しており、また、同映画について、アカデミー賞で30回ノミネートされ、そのうち17回受賞したことが記載されている(甲2)。 また、「ロード・オブ・ザ・リング」は、我が国において2002年から3年連続で公開され、2001年及び2002年に発行された国内の新聞、雑誌等において、同映画の公開に当たり、「300億円大作『ロード・オブ・ザ・リング』」、「世界中のファンが待ち望むファンタジー大作の一部がカンヌで初公開された」、「史上空前の超大作の秘密を解く!」のように紹介されている(甲3)。 しかしながら、上記ウェブサイトや新聞、雑誌において、「ロード・オブ・ザ・リング」に登場する人物についての紹介はあるが、「MITHRIL」についての記載は見いだせない。 (イ)申立人が有する著作権の証明書写とする証拠には、「MITHRIL」に関するものは見いだせない(甲5)。 (ウ)「ウィキペディア」のウェブサイトの「ミスリル」のページ及び英辞郎の「MITHRIL」のページ(甲6)において、「J・R・R・トールキンの作品世界中つ国に登場する金属」、「J.R.R.トールキンの『指輪物語』(1954~1955年)に登場する、銀に似た架空の貴金属。」との記載がある。 (エ)申立人のウェブサイト(抜粋)には、「MITHRIL」の記載は見いだせない(甲7)。 また、「MITHRIL」に関するライセンス商品については、特殊な態様の「mithril」の文字の中央に円輪郭図形が配された標章についてのフィギュアやネックレス等についてのライセンスと認められるが、全て英語版のもので詳細については確認できないし、当該商品の売上高、広告宣伝費等は確認できない(甲8)。 イ 上記アによれば、映画「ロード・オブ・ザ・リング」は、我が国において2002年から3年連続で公開され、全世界の累計興行収入、アカデミー賞等の受賞歴、我が国の新聞、雑誌における同映画の記事の内容からすれば、外国のみならず我が国の需要者の間でもある程度知られていたといえる。 しかしながら、「MITHRIL」は、「J.R.R.トールキンの『指輪物語』に登場する銀に似た架空の貴金属。」と説明されているものの、新聞、雑誌には、「MITHRIL」に関するものは見いだせず、申立人が有する著作権の証明書写とする証拠においては、詳細が確認できない。 また、「MITHRIL」に関するライセンス商品には、フィギュアやネックレス等のものがあることがうかがえるが、当該商品の具体的な販売実績及び広告宣伝費等については、その事実を客観的に把握することができる証拠は提出されていない。 よって、申立人提出の証拠からは、引用商標及び「MITHRIL」が我が国又は外国の需要者にどの程度認識されているか把握、評価することができない。 したがって、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標及び「MITHRIL」(以下「引用商標等」という。)が申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は外国の需要者の間で広く認識されていたものと認めることはできない。 (2)商標法第4条第1項第15号該当性について ア 本件商標と引用商標等の類似性の程度について 本件商標は、前記1のとおり、「MITHRIL」の欧文字を表してなるのに対し、引用商標等は、前記2のとおり、「MITHRIL」の欧文字を書してなるから、両者は、構成文字のつづりを同一にし、その類似性の程度は高いものといえる。 イ 引用商標等の周知性について 引用商標等は、上記(1)のとおり、申立人の業務に係る商品について使用する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとは認めることができない。 ウ 申立人の業務に係るライセンス商品と本件商標の指定商品との類似性及び需要者の共通性について 申立人の業務に係るライセンス商品は、フィギュアやネックレスであるのに対し、本件商標の指定商品は、主に照明器具や家庭用電熱用品類であるから、商品の製造部門、用途等が明らかに相違する関連性のないものであって、需要者も共通するとはいえない。 エ 出所の混同のおそれについて 上記アないしウのとおり、本件商標と引用商標等の類似性の程度が高いとしても、引用商標等は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていると認めることはできず、また、本件商標の指定商品は、申立人の業務に係る商品との関連性も認められず、その需要者においても共通するとはいえないことからすれば、本件商標に接する取引者、需要者が、申立人の業務に係る引用商標等を連想又は想起するものということはできない。 そうすると、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者が、引用商標等を連想又は想起することはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。 オ 小括 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第16号該当性について 本件商標は、「MITHRIL」の欧文字を表してなるところ、その指定商品との関係において、当該文字が商品の品質を具体的に表示するものとして取引上一般に使用されている事実は見いだせず、また、需要者に商品の品質を表示するものと認識されているというべき事情もない。 そうすると、本件商標は、これをその指定商品に使用しても、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるものとは認められない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当しない。 (4)商標法第4条第1項第7号及び同項第19号該当性について 上記(1)のとおり、引用商標等は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は外国の需要者の間で広く認識されていたと認められないものである。 また、本件商標は、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるようなものでないこと明らかであり、さらに、社会の一般的道徳観念に反するなど、公序良俗に反するものというべき証左も見当たらない。 さらに、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、本件商標権者が引用商標等にフリーライドするなど不正の目的をもって本件商標を使用するものであると認めるに足りる証拠は見いだせない。 そうすると、申立人提出に係る証拠からは、本件商標権者が引用商標等の名声を毀損させることを認識し、本件商標を不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用するものとはいえない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同項第19号に該当しない。 (5)むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第15号、同項第16号及び同項第19号に違反して登録されたとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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