商標異議申立
2022-900033
ニコレン
- 審判番号
- 2022-900033
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2020-063975
- 登録番号
- 6470259
- 請求日
- 2022年01月31日
- 審決日
- 2023年06月16日
- 公報発行日
- 2023年11月24日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】ホームネットカーズ株式会社
- 【権利者代理人】友野 英三
- 【異議申立人】株式会社 レンタス
- 【異議申立人代理人】弁理士法人アテンダ国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 豊田 純一
- 審判官 杉本 克治
- 審判官 小田 昌子
- 分類
- T1651.22 -ZC (W3539) / T1651.25 -ZC (W3539) / T1651.271-ZC (W3539) / T1651.222-ZC (W3539)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項7号商標法4条1項10号商標法4条1項15号商標法4条1項19号商標法43条の3第2項商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第19号、商標法第43条の2第1項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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登録第6470259号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6470259号商標の指定役務中、第39類「全指定役務」についての商標登録を取り消す。
本件登録異議の申立てに係るその余の指定役務についての商標登録を維持する。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6470259号商標(以下「本件商標」という。)は、「ニコレン」の文字を標準文字で表してなり、令和2年5月22日に登録出願、第35類及び第39類に属する商標登録原簿に記載の別掲のとおりの役務を指定役務として、同3年11月4日に登録査定され、同月12日に設定登録されたものである。
第2 引用標章
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議申立ての理由に該当するとして引用する標章は、「ニコレン」の片仮名よりなる標章(以下「引用標章」という。)であり、申立人に係る業務に係る「レンタカーサービス(自動車の貸与)」(以下「申立人役務」という。)を表示するものとして、需要者の間に広く知られていると申立人が主張するものである。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものであるから、その登録は、商標法第43条の2第1項第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を、異義申立書及び令和4年9月29日付け審尋に対する同年11月14日付け回答書において、要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第49号証(枝番号を含む。)を提出した。
以下、証拠の表記に当たっては、「甲第1号証」を「甲1」のように記載し、また、枝番号の全ての証拠を表記する場合は、枝番号を省略して記載する。
1 本件商標の商標法第4条第1項第10号の該当性について
(1)「ニコニコレンタカー」が需要者の間に広く知られていること
ア 2019年に創立10周年を迎えた「ニコニコレンタカー」の名称のレンタカーサービスは、申立人をフランチャイズ本部として、ガソリンスタンド、車販売店、カー用品店、整備工場等による兼業ビジネスとして加盟店を増やしており、申立人は、当該レンタカー事業の運営や加盟店向けの事業説明、事業支援などを行っている(甲2、甲16)。
イ 「ニコニコレンタカー」は、店舗数が日本全国(北海道から沖縄まで)で1,500店以上(2019年時点)、その会員数は248万人(2017年時点)にのぼり、年間総売上げは、2009年から2016年にかけて年率120%ペースで増加し、2015年には80億円を超え、2016年には100億円近くまで伸びている(甲2、甲16)。
ウ 「ニコニコレンタカー」の広告宣伝は、スポーツイベントやスポーツ施設での看板、電車車内や駅構内における広告、スポーツチームやテレビ番組でのスポンサー活動、店舗や建物における看板等において、「ニコニコレンタカー」を表示又は露出するような態様で行われている(甲4~甲15、甲18~甲20)。
そして、それら広告宣伝活動(テレビ広告、屋外広告塔、交通広告など)の経費として、年間でおおむね2億円前後(2016年から2019年)が支出されている(甲3)。
エ 「日経BPコンサルティング社」の発行する「ブランド・ジャパン2018データブック」によれば、「ニコニコレンタカー」の認知率は、57.3%(2017年)、56.2%(2018年)である(甲21)。
オ 以上のように、「ニコニコレンタカー」のレンタカーサービス事業は、北海道から沖縄まで全国的に極めて多数の店舗で事業展開されていることはもとより、スポーツチームやテレビ番組でのスポンサー活動を始め、各種の広告媒体を用いて広告宣伝に長年にわたって多額の費用を投入しており、この結果、認知度も57%にまで達したものである。
してみれば、「ニコニコレンタカー」は、レンタカーサービスにおいて需要者の間に全国的に広く知られた商標である。
(2)「ニコレン」が「ニコニコレンタカー」の略称として一般的に使用されていること
ア 「ニコレン」という語は、申立人も自称するように「ニコニコレンタカー」の略称であり(甲22、甲23)、申立人がニコニコレンタカーFC加盟店経営者に対して発行している情報誌「ニコニコゲート」(甲28)においても略称として「ニコレン」が頻繁に使用されている。
イ 「ニコレン」という語は、申立人がニコニコレンタカーサービスに関連して提供する各種事業において、「ニコニコレンタカー」に関連する事業であることを明示するため、略称「ニコレン」が組み入れられた事業名称が使用されている。
具体的には、ニコニコレンタカー会員を示す「ニコレンメイト」(甲24)、ニコニコレンタカー専用リース制度である「ニコレンQリース」(甲25)、加盟店に対して運用ルール等を解説する情報誌である「ニコレン通信」(甲26)、ニコニコレンタカー会員に対してキャンペーン情報を提供する情報誌である「月刊ニコレンニュース」(甲27)、レンタカー事業者に対して自動車保険保証制度を提供する「ニコレン自動車保険保証制度」(甲30)などである。
ウ 「ニコニコレンタカー」の事業を紹介する新聞や雑誌においても「ニコニコレンタカー」に替えて略称「ニコレン」が頻繁に使用されている。
具体的には、ガソリンスタンド経営者に対して経営に役立つ情報を提供する「月刊ガソリンスタンド」(甲29)、エネルギー関連業者に対して石油エネルギーに関する情報を提供する「燃料油脂新聞」(甲16、甲17、甲31~甲33、甲38)及び自動車専門の業界新聞である「日刊自動車新聞」(甲34~甲36、甲39)、石油通信(甲40)、SNS及びインターネット記事(甲41~甲49)において、「ニコニコレンタカー」に替えて略称「ニコレン」が頻繁に使用されている。
エ 以上のように、申立人が提供する「ニコニコレンタカー」のレンタカーサービスにおいて、当該レンタカー業務はもとより、これに関連する各種業務においても略称「ニコレン」が頻繁に使用され、また、これらの事業を紹介する新聞、雑誌等でも略称「ニコレン」が同じく頻繁に使用されている。
このように、「ニコニコレンタカー」の略称として「ニコレン」が一般的に使用された結果、レンタカーサービスにおいて、「ニコレン」が使用された場合は「ニコニコレンタカー」のレンタカーサービスが認識されるに至っている。
(3)本件商標の商標法第4条第1項第10号の該当性について
ア 申立人は、2008年12月の創設以来、「ニコニコレンタカー」と称してフランチャイズ方式のレンタカーサービスを全国(沖縄から北海道)に1,500以上の加盟店を展開し(2019年時点)、その会員数は全国248万人(2017年時点)にのぼり、さらには、多大な広告宣伝活動を行っているため、「ニコニコレンタカー」は、レンタカーサービスにおいて全国的に広く認識された商標となっている(甲2~甲22)。
イ 一方、「ニコレン」は、「ニコニコレンタカー」のレンタカー事業はもとより、レンタカー事業に関連する各種事業の名称の一部に使用され、また、新聞・雑誌などでも「ニコニコレンタカー」の略称として一般的に使用されているから、「ニコレン」をレンタカーサービスで使用する場合は、「ニコレン」から「ニコニコレンタカー」の意味を必然的に認識することができる(甲16、甲17、甲23~甲36)。
ウ 本件商標と「ニコニコレンタカー」を比較すると、前者は片仮名4文字であり、他方、後者は片仮名9文字であり、両者の外観及び称呼が異なるものの、「ニコレン」の片仮名から「ニコニコレンタカー」が想起されるため、観念において共通していることから、本件商標と周知商標である「ニコニコレンタカー」は、類似する商標である。
エ 以上のように、本件商標は、周知商標である「ニコニコレンタカー」と類似し、また、申立人役務と本件商標の指定役務中、第39類「自動車の貸与,自動車の貸与に関する情報の提供,自動車の貸与の契約の媒介又は取次ぎ,自動車の貸与の契約の媒介又は取次ぎに関する情報の提供」を比較しても、両者は「自動車の貸与」(甲1、甲22)において同一の役務であり、指定役務中「自動車の貸与に関する情報の提供,自動車の貸与の契約の媒介又は取次ぎ,自動車の貸与の契約の媒介又は取次ぎに関する情報の提供」は、役務「自動車の貸与」と「需要者(自動車の貸与を受ける者)の範囲が一致」し、「同一の事業者(レンタカー事業を行う者)等で一致」し、互いに類似する役務である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
2 本件商標の商標法第4条第1項第19号の該当性について
本件商標の権利者(以下「商標権者」という。)は、「ニコニコレンタカー」の設立に関与し、また、ニコニコレンタカーの直営店を開店した者(甲37)であるから、「ニコニコレンタカー」のレンタカー事業に非常に精通していることはいうまでもない。
すなわち、商標権者は、申立人役務の名称「ニコニコレンタカー」が需要者の間に広く認識されていることも、また、「ニコニコレンタカー」の略称として「ニコレン」が一般的に使用されていることも理解している者である。
そして、本件商標は、周知商標である「ニコニコレンタカー」と類似し、また、本件商標の指定役務中、第39類「自動車の貸与,自動車の貸与に関する情報の提供,自動車の貸与の契約の媒介又は取次ぎ,自動車の貸与の契約の媒介又は取次ぎに関する情報の提供」等の役務と申立人役務は、同一又は類似する。
しかも、商標権者は、申立人が「ニコレン」を登録出願及び登録していないことを奇貨として、申立人に無断で「ニコレン」を登録出願し設定登録を受けた者であり、「不正の目的」をもって使用するものに他ならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
3 本件商標の商標法第4条第1項第7号の該当性について
商標権者は、全国的に広く知られた「ニコニコレンタカー」の略称「ニコレン」を、不正の目的をもって登録を受けた者であるから、本件商標は、その登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものであり、また、「ニコニコレンタカー」のレンタカーサービス事業の公正な取引秩序が乱れるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。
4 本件商標の商標法第4条第1項第15号の該当性について
申立人に係る「ニコニコレンタカー」がレンタカーサービス事業において全国的に広く認識され、「ニコレン」が「ニコニコレンタカー」の略称として一般的に使用されている状況となっている。
このような状況で、申立人以外の者がレンタカーサービスの役務と非類似の役務について「ニコレン」を使用したとき、当該非類似の役務に接する需要者が、たとえ、申立人役務でないとしても、申立人の子会社等の業務に係る役務であると誤認し、役務の混同を起こすおそれがあるため、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
第4 当審における取消理由
当審において、商標権者に対し、令和5年2月17日付けで、本件商標はその指定役務中、第39類「自動車の貸与,自動車の貸与に関する情報の提供,自動車の貸与の契約の媒介又は取次ぎ,自動車の貸与の契約の媒介又は取次ぎに関する情報の提供」(以下「10号対象役務」という。)について、商標法第4条第1項第10号に該当し、その指定役務中、第39類「駐車場の提供,駐車場の提供に関する情報の提供,駐車場の予約の代行,駐車場の予約の代行に関する情報の提供,駐車場の管理,駐車場の管理に関する情報の提供,機械式駐車装置の貸与,機械式駐車装置の貸与に関する情報の提供,道路交通情報の提供,自動車の運転の代行,自動車の運転の代行に関する情報の提供,車両による輸送,車両による輸送に関する情報の提供,ガレージの貸与,ガレージの貸与に関する情報の提供」(以下「15号対象役務」という。)について、同項第15号に該当する旨の取消理由を通知した。
第5 商標権者の意見
上記第4の取消理由の通知に対し、商標権者は、要旨以下のとおり、意見を述べた。
1 商標「ニコニコレンタカー」が本件商標の登録出願前から需要者の間に広く認識されていることと引用標章との関係
商標「ニコニコレンタカー」が、本件商標の登録出願前から需要者の間に広く認識されている商標に該当するものであることが証拠によって立証されたとしても、引用標章が、自動的に、本件商標の登録出願前から需要者の間に広く認識されている商標であるとはいえない。
本件商標「ニコレン」と商標「ニコニコレンタカー」は、商標として、称呼、外観、観念のいずれの点においても異なる商標である。
さらに、引用標章が本件商標の登録出願前から需要者の間に広く認識されているものに該当する証拠が存在しない。
2 引用標章が本件商標の登録出願前から需要者の間に広く認識されているか否かの点について
あくまでも、引用標章が本願商標の登録出願前から需要者の間に広く認識されている商標に該当するものであることが証拠によって立証されるか否かが問われるべきである。
申立人の提出した各甲号証からは、引用標章が積極的に使用されたというよりは、商標「ニコニコレンタカー」が話題になる中で、その叙述文書などに名称として引用標章が登場する程度であり、「需要者の間に広く認識されている」ということがいえるためには、例えば業界において周知性を獲得する程度に知られていことが必要であるところ、上記証拠からは、その程度の周知性を獲得したとはいえず、単に一部の者が使用したことがいえる程度にすぎない。
したがって、引用標章は、他人の業務に係る商品もしくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている標章とはいえない。
3 商標法第4条第1項第10号該当性について
引用標章は、他人の業務に係る商品もしくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている標章又はこれに類似する標章であって、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするものには該当しない。
したがって、本件商標は、10号対象役務について、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第15号該当性について
引用標章は、他人の業務に係る商品もしくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている標章とはいえない。
よって、引用標章は、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある標章には該当しない。
したがって、本件商標は、15号対象役務について、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
第6 当審の判断
1 引用標章の周知著名性について
申立人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
(1)「ニコレン」と略称されるフランチャイズ方式のレンタカーサービス「ニコニコレンタカー」について
申立人は、2008年2月の創設以来、「ニコレン」と略称されるフランチャイズ方式のレンタカーサービス「ニコニコレンタカー」を全国(沖縄から北海道)に1,500店を超える店舗を展開し(2019年時点)、申立人の会員数は全国約248万人(2017年時点)であり、申立人の年間総売上げは、2009年から2016年にかけて年率120%ペースで増加し、2015年には80億円を超え、2016年には約100億円近くで推移していること(甲2、甲16)、「ニコニコレンタカー」の広告宣伝は、スポーツイベントやスポーツ施設における看板、電車車内や駅構内における広告、スポーツチームやテレビ番組でのスポンサー活動、店舗や建物における看板等において、「ニコニコレンタカー」が表示されていることが確認できる(甲4~甲15、甲18~甲20 )。
そして、「ニコニコレンタカー広告宣伝活動報告(2016年9月期~2020年9月期)」と題する資料によれば、「ニコニコレンタカー」に関する広告宣伝活動(テレビ広告、屋外広告塔、交通広告など)の経費として、年間2億円前後(2016年ないし2020年)が支出されていることが確認できる(甲3)。
「日経BPコンサルティング社」の発行する「ブランド・ジャパン2018データブック」によれば、「ニコニコレンタカー」の認知率は、2017年において57.3%、2018年において56.2%であることが確認できる(甲2)。
(2)引用標章の使用について
引用標章は、申立人役務を提供する業界の複数の専門紙(燃料油脂新聞及び日刊自動車新聞)(甲16、甲17、甲31~甲36、甲38、甲39)、業界雑誌(ガソリン・スタンド)(甲29)、ウェブサイト(甲23)及び石油通信(甲40)の記事に記載されていること、申立人に係る情報誌において、引用標章が使用されていること(甲28)、申立人会員の名称として「ニコレンメイト」(甲24)、申立人に係るリース制度の名称として「ニコレンQリース」(甲25)、申立人の加盟店向けの情報誌の名称として「ニコレン通信」(甲26)、「月刊ニコレンニュース」(甲27)、レンタカー事業者向けの補償システムの名称として「ニコレン自動車保険補償制度」(甲25、甲30)等、引用標章の使用例が確認できる。
また、SNS及びインターネット記事(甲41~甲49)において、不特定多数の需要者が「ニコニコレンタカー」の略称として「ニコレン」の文字を頻繁に使用していることが確認できる。
(3)判断
上記(1)及び(2)によれば、申立人は、2008年2月の創設以来、「ニコレン」と略称されるフランチャイズ方式のレンタカーサービスを全国的に提供し、複数の専門誌、業界雑誌及びウェブサイトなどを通じて、申立人役務に引用標章を継続して使用した結果、引用標章は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人役務を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたと判断するのが相当である。
2 本件商標の商標法第4条第1項第10号該当性について
(1)上記1(3)のとおり、引用標章は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人役務を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたものである。
(2)本件商標と引用標章の類否について
ア 本件商標について
本件商標は、上記第1のとおり、「ニコレン」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字に相応して、「ニコレン」の称呼を生じ、「申立人の業務に係るレンタカーサービス」の観念を生じるものである。
イ 引用標章について
引用標章は、上記第2のとおり、「ニコレン」の片仮名よりなるところ、その構成文字に相応して、「ニコレン」の称呼を生じ、「申立人の業務に係るレンタカーサービス」の観念を生じるものである。
(3)本件商標と引用標章との比較
本件商標と引用標章を比較すると、両者は、いずれも「ニコレン」の片仮名よりなるものであるから、外観において類似するものであり、「ニコレン」の称呼及び「申立人の業務に係るレンタカーサービス」の観念を共通にするものである。
そうすると、本件商標と引用標章とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
(4)10号対象役務と申立人役務の類否について
申立人役務は、「レンタカーサービス(自動車の貸与)」であり、10号対象役務は、同一又は類似の役務である。
(5)小括
以上により、本件商標は、申立人役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている引用標章と類似する商標であって、その役務又はこれらに類似する10号対象役務について使用をするものである。
したがって、本件商標は、10号対象役務について、商標法第4条第1項第10号に該当する。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)商標法第4条第1項第15号における「混同を生ずるおそれ」の趣旨について
商標法第4条第1項第15号における「混同を生ずるおそれ」の有無は、当該商標と他人の表示との類似性の程度、他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や、当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべきである(平成10年(行ヒ)第8585号 同12年7月11日最高裁判所第三小法廷判決)。
(2)本件商標と引用標章との類似性の程度について
上記2(3)のとおり、本件商標と引用標章とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのある類似の商標であるから、本件商標と引用標章との類似性の程度は高いといえる。
(3)引用標章の周知著名性及び独創性の程度について
上記1(3)のとおり、引用標章は、申立人役務を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたものであるから、引用標章の周知著名性の程度は高いといえる。
また、引用標章を構成する「ニコレン」の文字(語)は、辞書等に掲載のない造語であるから、引用標章の独創性の程度は高いといえる。
(4)15号対象役務と申立人役務との関連性の程度並びに取引者及び需要
者の共通性について
15号対象役務と申立人役務とは、いずれも輸送に関連する役務であり、役務の内容や目的において、密接な関連性があるから、役務の関連性の程度は高く、需要者を相当程度共通にするものである。
(5)混同を生ずるおそれについて
上記(2)のとおり、本件商標と引用標章との類似性の程度は高いものであり、上記(3)のとおり、引用標章の周知著名性の程度及び独創性の程度は高いものであり、上記(4)のとおり、申立人役務と15号対象役務との関連性の程度はいずれも高いものである。
そうすると、本件商標が、15号対象役務に使用をされた場合、これに接する取引者、需要者は、引用標章を想起、連想し、15号対象役務が申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように役務の出所について混同を生じるおそれがあるというべきである。
(6)小括
以上のとおり、本件商標は、その指定役務中、15号対象役務について、他人(申立人)の業務に係る役務と混同を生ずるおそれがある商標であるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。
4 商標法第4条第1項第7号及び同項第19号該当性について
上記1(3)のとおり、引用標章は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人役務を表示する商標として、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものである。
また、上記2(3)のとおり、本件商標は、引用標章と類似する商標である。
しかしながら、本件商標は、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激若しくは他人に不快な印象を与えるものではないことは明らかであり、さらに、社会の一般的道徳観念に反するものなど、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるものというべき証拠も見当たらない。
さらには、本件商標の登録出願時及び査定時において、商標権者が引用標章にフリーライドするなど不正の目的をもって本件商標を使用するものであると認めるに足りる証拠は見いだせない。
そうすると、申立人提出に係る証拠からは、商標権者が引用標章に化体した信用、名声、顧客吸引力を利用して不正の利益を得る目的、引用標章に化体した信用、名声、顧客吸引力を毀損させるなど申立人に損害を与える目的その他の不正の目的をもって使用をするものとはいえない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同項第19号に該当しない。
5 商標権者の意見について
(1)商標権者は、商標「ニコニコレンタカー」が、本件商標の登録出願前から需要者の間に広く認識されているとしても、提出証拠からは、引用標章が商標として積極的に使用されたというよりは、商標「ニコニコレンタカー」が話題になる中で、その叙述文書などに名称として引用標章が登場するにすぎないから、引用標章が、自動的に、本件商標の登録出願前から需要者の間に広く認識されている商標に該当するといえないから、本件商標は、その指定役務中、第39類「自動車の貸与,自動車の貸与に関する情報の提供,自動車の貸与の契約の媒介又は取次ぎ,自動車の貸与の契約の媒介又は取次ぎに関する情報の提供」について、商標法第4条第1項第10号に該当しない旨主張する。
しかしながら、上記1(3)のとおり、引用標章は、申立人役務に継続して使用された結果、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人役務を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたと判断するのが相当である。
(2)商標権者は、申立人から提出された証拠をもって、引用標章が周知性を獲得したとはいえず、単に一部の者が使用したといえる程度にすぎず、引用標章が本件商標の登録出願前から需要者の間に広く認識されているとはいえず、役務の出所について混同を生じるおそれはないから、本件商標は、その指定役務中、15号対象役務について、商標法第4条第1項第15号に該当しない旨主張する。
しかしながら、上記1(3)のとおり、引用標章は、申立人役務に継続して使用されていた上、SNSやインターネット記事等において、一部の需要者のみならず、不特定多数の需要者が、「ニコニコレンタカー」の略称として「ニコレン」の文字を頻繁に使用していたことからすれば、引用標章は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人役務を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたと判断するのが相当であるから、役務の出所について混同を生じるおそれがあるというべきである。
(3)以上のとおり、商標権者の主張は、いずれも採用することができない。
6 むすび
以上のとおり、本件商標は、その指定役務中、10号対象役務について、商標法第4条第1項第10号に該当し、その指定役務中、15号対象役務について、同項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものであり、また、本件商標は、本件登録異議の申立てに係るその余の指定役務について、同法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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2022-900033