商標無効審判
2022-890090
カンフィーライフ、コンフィライフ
- 審判番号
- 2022-890090
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 無効審判(無効の審決)
- 出願番号
- 商願2020-067021
- 登録番号
- 6355416
- 請求日
- 2022年12月12日
- 審決日
- 2024年03月05日
- 公報発行日
- 2024年08月30日
- 結論
- 請求成立(無効)
- 当事者
- 【請求人】ボジエ エルエルシー
- 【請求人代理人】田中 克郎
- 【請求人代理人】佐藤 俊司
- 【請求人代理人】太田 雅苗子
- 【請求人代理人】関川 淳子
- 【請求人代理人】荒川 聡
- 【被請求人】ワン,キィアン
- 審判長/審判官
- 審判長 豊田 純一
- 審判官 小田 昌子
- 審判官 岩谷 禎枝
- 分類
- T111 .22 -Z (W20) / T111 .25 -Z (W20) / T111 .271-Z (W20) / T111 .222-Z (W20)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項7号商標法4条1項10号商標法4条1項15号商標法4条1項19号商標法46条1項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第19号、商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第15号、商標法第46条第1項第1号、商標法第4条第1項第11号、商標法第46条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第6355416号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
登録第6355416号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6355416号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおり、「ComfiLife」の欧文字を表してなり、令和2年5月29日に登録出願、第20類「クッション,まくら,長まくら(まくら下用),空気クッション(医療用のものを除く。),スリーピングパッド,U字形のまくら,抱枕,空気注入式まくら,首のサポート用空気注入式クッション,首のサポート用まくら,首用まくら,家具,鏡(姿見),家具用の付属品及び金具(金属製のものを除く。),織物製屋内窓用ブラインド,座席用クッション」を指定商品として、同3年2月10日に登録査定、同月24日に設定登録されたものである。
第2 請求人が引用する標章
請求人が、本件商標の登録の無効の理由において、引用する標章は、別掲2のとおり、「ComfiLife」の欧文字(以下「引用標章」という。)よりなり、同人が商品「クッション、まくら」(以下「使用商品」という。)などに使用し、我が国及び米国において周知・著名となっていると主張するものである。
第3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第28号証(枝番号を含む。)を提出した。
以下、証拠の表示については、「甲第○号証」を「甲○」のように、簡略して表記する場合があり、枝番号をすべて示すときは枝番号を省略する。
1 無効理由
本件商標は、その指定商品について商標法第4条第1項第10号、同項第15号、同項第19号及び同項第7号に該当するものであるから、商標法第46条第1項第1号によって、その登録は無効にすべきものである。
2 具体的な無効理由
(1)本件商標
本件商標は、曲線を多く含み上品で柔らかい印象を与える独特な書体による「ComfiLife」の欧文字を横一列に書してなるものであり(甲1)、その構成文字に相応して「コンフィライフ」の称呼を生じ、また、当該「ComfiLife」の文字は、請求人が製造販売する世界的に周知著名なクッション・まくら等である「ComfiLife」を意味する語として我が国において広く知られたものであり、それ以外の意味合いを有するものではなく、本件商標に接する取引者・需要者は、本件商標より請求人又は請求人の「ComfiLife」製品(「以下「請求人商品」という。)を想起するというべきであるから、本件商標は、請求人商品の観念が生じる。
(2)引用標章の周知著名性
ア 請求人について
請求人である「ボジェ エルエルシー(Vozzier LLC)」(以下「ボジェ社」という。)は、2015年にカリフォルニア州サンディエゴを拠点に米国カリフォルニア州法の下に設立登記されたヘルスケア製品メーカーであって、各種寝具やクッション、特に医療用のヘルスケア製品などの設計・製造・販売事業を営んでいる。
請求人商品は、特に、背中や首、関節の痛みを持つ人々の悩みを解決する高品質の人間工学に基づいてデザインされたヘルスケア製品として、国内外を問わず、取引者及び需要者に広く親しまれている。
イ 請求人が本件商標に対して無効審判請求を行うことについて利害関係を有していること
請求人は、引用標章について、商標出願(商願2021-093291)をしているところ(甲2)、その商標出願に対して、特許庁から本件商標を先行商標とする商標法第4条第1項第11号の拒絶理由通知を受けている(甲3)。
したがって、請求人は本件商標に対して無効審判請求を行うことについて利害関係を有している。
ウ 請求人による引用標章の使用
引用標章は、「ComfiLife」という欧文字を横一列に書してなる標章であり、各種ヘルスケア製品、特に背中や首、関節の痛みを持つ人々の悩みを解決する高品質の人間工学に基づいてデザインされたヘルスケア製品の設計・製造・販売事業を営む請求人において、オフィス、寝室、車内であったり、旅行先であったり、毎日、どこでも、不快感や痛みを和らげるために、健康、サポート及び人間工学を提供するという企業理念を反映して、健康や痛みの緩和をイメージさせる接頭語「COMFI」と、請求人商品をいつでもどこでも使えることをイメージさせる「LIFE」を組み合わせて請求人が考案した造語である。
そして、請求人は、かかる「ComfiLife」との欧文字からなる標章に需要者が接した際に、安心感や幸福感を与えられるよう、同文字を叙情的で心地よい書体により表した引用標章をブランドのロゴとして採択するに至った。
ボジェ社は、2015年の米国での設立以来、請求人商品について、我が国、米国を含む様々な国において引用標章を使用している。
引用標章は、その構成文字に相応して、「コンフィライフ」の称呼を生じ、また、「ComfiLife」の文字は、請求人が製造・販売するヘルスケア製品を意味する語として広く知られ、引用標章に接する取引者・需要者は、請求人又は請求人商品を想起するため、引用標章は、かかる観念が生じる。
エ 請求人商品の販路等について
ボジェ社は、2015年の設立以来、米国カリフォルニア州サンディエゴを拠点に、請求人商品の市場範囲を拡大させ、現在では、アマゾンマーケットプレイスなどを通じて、世界中で請求人商品の販売及び流通を展開している。
請求人商品は、ボジェ社の公式ウェブサイト上でオンライン販売されているほか、例えば、米国においては、Amazon.com、Walmart、eBay及びYahoo!Shoppingといったオンラインウェブサイトやプラットフォームで販売されている。
我が国では、2016年以降、人気の高い主要なECプラットフォームである楽天市場(甲4)、Amazon.co.jp(甲5、甲7)、Yahoo!ショッピング(甲6)など多くのECプラットフォームにおいて、請求人又は請求人商品を再販する第三者によって請求人商品が販売されてきた。
例えば、Amazon.co.jpにおける請求人商品の販売ページにおいては、人間工学に基づいた構造デザインや高耐久、高品質の低反発素材といった請求人商品の特徴が説明されるとともに、特にその商品画像において引用標章が大きく目立つ態様で表示されている(甲7)。
オ 請求人商品のランキング等について
請求人商品の人気を象徴するのが、請求人商品が、世界最大手のECプラットフォームであるAmazonにおいて、最も人気のある売れ筋ブランドの一つとされている点である。
Amazonには、「売れ筋ランキング」という、Amazon内の商品について、商品の販売データなどを反映して、1時間ごとに更新される人気商品のランキングがあり、カテゴリー別のベストセラーでは、カテゴリー・サブカテゴリー内でひと際目立つ商品のランキングが「売れ筋ランキング」として取り上げられている(甲8)。
このような「売れ筋ランキング」において、これまで複数の請求人商品がランクインしている。
この点、請求人商品の需要者は一般の消費者のなかでも、背中や首、関節の痛みを有する消費者といった、特定の需要者が中心であるにもかかわらず、請求人商品が獲得したレビュー数は、多くのクッション商品のレビュー数の中でも抜きん出ており、さらにその評価はいずれも極めて高いものである(甲9~甲17)。
加えて、請求人商品の一つであるジェル強化シートクッションはAmazon.comにおいて「Back Cushions & Seat Cushions」カテゴリーの「Amazonベストセラー」1位を獲得している(甲9)。
このような請求人商品がAmazonで獲得したベストセラー1位の評価、レビュー数の多さ、レビューの評価の高さ、性能の高さ等は我が国でも話題になっており、例えば、「米Amazonで一番人気「コンフィライフ」の腰痛防止シートクッションのロコミレビュー。」との記事(2019年10月2日)(甲18)や「尾骨をサポートして背中の痛みを和らげるクッション『ComfiLife』」の記事(甲19)で紹介されたり、「海外版Amazon大バズり商品」として「Amazonで車に関連する超優秀なアイテム5選」を紹介する記事(2021年10月19日)(甲20)や「スタンディングデスクマットおすすめ2選」を紹介する記事(2021年5月30日)(甲21)でおすすめ商品のうちの一つとして取り上げられるなどしている。
このような記事等も通じて、我が国の需要者の間における引用標章の認知度はより一層高まることとなった。
カ 請求人商品の売上等について
ボジェ社による2015年の創業以降における請求人商品の世界中の総売上高は、2015年が6万米ドル、2016年が250万米ドル、2017年が470万米ドル、2018年が780万米ドル、2019年が1,590万米ドル、2020年が2,510万米ドル、2021年1月が280万米ドルであるところ、2020年までに5,000万米ドルの総売上高を達成しており、2018年には780万米ドルであった年間総売上高が、2020年には3倍以上の2,510万米ドルの年間総売上高にまで至っており、2021年はさらにその売上げを伸ばすペースで推移している(甲22)。
このように、請求人商品の世界的な広がりと幅広い消費者層は、その売上高の急激な増加からも明らかである。
このような売上高の急激な増加の背景には、新型コロナウイルス感染症の感染拡大以降、世界各国において在宅勤務や自家用車等での出勤の機会が大幅に増加したことで、長時間同じ姿勢でいることが多くなるなどした結果、背中や首、関節の痛みを持つ人々の悩みを解決する商品への需要が増えたことにあると考えられる。
そして、同様の現象や需要の増加は、当然、我が国でも起きていることに加え、コロナ禍でECプラットフォームの利用が増加したことや、手頃な価格帯の製品を多く揃える請求人商品がECプラットフォームでの販売に適していることも併せ考慮すれば、我が国の需要者においても、上記の我が国の複数の主要なECプラットフォームを通じて請求人商品及び引用標章に接する機会があったことが容易に想像されるところである。
キ 請求人商品の宣伝・広告について
ボジェ社は、引用標章を使用して宣伝用資料やユーザーマニュアルを作成するなど、その売上高のうちの相当な割合を、全世界における請求人商品のブランド(引用標章)の宣伝に費やしており、2015年の発売以来、2021年1月までの5,800万米ドル超のうち宣伝のために費やした費用は、1,000万米ドルを超える(甲22)。
また、請求人商品は、ローリングストーン誌、Travel+Leisure誌、ピープル誌、CNNアンダースコアード誌、フォーブス誌、msn誌、セレクト誌、ストラテジスト誌、ハースト誌、USAトゥデイ誌など、多くの専門誌メディアで取り上げられ、その注目を集めている(甲22)。
なお、これらの専門誌メディアはいずれも我が国を含む全世界で有名な雑誌メディアばかりであり、ローリングストーン誌は、毎月6,000万人を超える読者に、Travel+Leisure誌のデジタル版は、1,470万人の読者に、ピープル誌のデジタル版は27万5,000人の読者に閲覧されている(甲22)。
請求人商品は、ソーシャルメディアチャンネル(Instagram、Facebook、YouTube等)においても強い存在感を示している(甲22)。
例えば、YouTubeにおいて、チャンネル登録者数70万人を超える投稿者によって、請求人商品と他の2つのクッション製品を比較する内容の動画が投稿されており、その中で、請求人商品であるジェル強化シートクッションは、アマゾンベストセラーの代表として紹介され、3つの製品の中で同率で1位のクッションとして評価されている(甲23)。
このような動画が84万回を超える視聴数を記録していることから、こうしたソーシャルメディアチャンネルを通じて取引者・需要者に広く引用標章が認識されていること、また、取引者・需要者の間で請求人商品への関心が高いことが示されている。
そして、我が国においても重要なソーシャルメディアチャンネルであるYouTubeにおいて、上述のような動画が直近半年間でも第三者によって40件近く継続的に投稿されており、このような投稿を通じて米国はもちろん我が国の需要者にも「ComfiLife」ブランドやその評価の高さが伝達されている(甲22)。
ク 他国での登録商標について
請求人は、請求人商品に使用する引用標章及びその標準文字からなる商標について、我が国以外においても、米国、カナダ、中国、EU、英国という幅広い国・地域において商標登録出願を行っており、これらの国ではそのほとんどがボジェ社を権利者として既に登録に至っている(甲22)。
ケ 小括
以上のとおり、請求人商品に使用する引用標章は、世界的なECプラットフォームであるAmazonにおける国内外での販売、世界中における効果的なマーケティング及び広告によって、遅くとも本件商標の登録出願時及び登録査定時の約8か月後の時点において、少なくとも我が国及び米国で、その出所であるボジェ社を示す商標としてその信用を化体し、取引者及び需要者に広く親しまれて周知著名となっていたことが明らかである。
(3)商標法第4条第1項第10号該当性について
ア 引用標章の周知性について
上記(2)のとおり、引用標章は、遅くとも本件商標の登録出願時点において、「クッション」、「まくら」等の商品に興味を有する我が国の需要者・取引者の間で広く認識されるに至っていたことは明らかである。
イ 本件商標の引用標章との同一性について
本件商標と引用標章は、同一の欧文字を同一の書体で表した商標及び標章として、同一の外観、称呼、観念を有することが明らかであるから、本件商標は引用標章と同一の商標である。
ウ 本件商標が引用標章の商品に類似する商品について使用をするものであることについて
本件商標は、第20類に属する「クッション,まくら,長まくら(まくら下用),空気クッション(医療用のものを除く。),スリーピングパッド,U字形のまくら,抱枕,空気注入式まくら,首のサポート用空気注入式クッション,首のサポート用まくら,首用まくら,座席用クッション」などをその指定商品とするものである。
他方、引用標章は、主に「クッション」、「まくら」等に分類される商品を表示するものとして日本国内外における需要者の間に広く認識されているものである。
したがって、本件商標の指定商品が、引用標章が使用される商品と同一又は類似の商品であることは明らかである。
以上のとおり、本件商標は、引用標章が使用される商品に類似する商品について使用をするものである。
エ 小括
以上のとおり、本件商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、請求人が商品「クッション」、「まくら」等に使用して周知著名に至っている引用標章と同一又は類似の商標であって、引用標章が使用される商品と同一又は類似する商品について使用をするものであることが明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 本件商標と引用標章との類似性の程度
本件商標は、引用標章と外観、称呼、観念のいずれの要素についても同一のものであるから、商標全体としての対比においても互いに同一であることは明らかであり、本件商標と引用標章は全く同一の商標であり、類似性の程度は極めて高いものである。
イ 引用標章の周知著名性及び独創性の程度
上記(2)のとおり、引用標章は、少なくとも我が国及び米国で請求人が商品「クッション」、「まくら」等に使用して請求人商品を表すものとして周知著名に至っている商標であって、請求人のブランドである「ComfiLife」を表象するものである。
また、上記(2)ウのとおり、引用標章は、請求人において、毎日、どこでも、不快感や痛みを和らげるために、健康、サポート及び人間工学を提供するという企業理念を反映して、健康や痛みの緩和をイメージさせる接頭語「COMFI」と、請求人の製品をいつでもどこでも使えることをイメージさせる「LIFE」を組み合わせて考案した造語であり、「ComfiLife」と称呼を同じくする既成語はなく、請求人の業務に係る「ComfiLife」ブランドとしての意味合い以外で知られているものでもない。
また、その書体についても、これに接した需要者に安心感や幸福感を与えられるような叙情的で心地よい書体として独自に採択されたものである。
したがって、引用標章の周知著名性及び独創性の程度が極めて高いものである。
ウ 商品等の取引者及び需要者の共通性
本件商標の指定商品の取引者及び需要者は、一般に、「クッション」、「まくら」などを取り扱う販売業者やそれらを購入する一般消費者等であると考えられる。
これに対し、請求人商品も主に「クッション」、「まくら」であるから、その取引者及び需要者は、「クッション」、「まくら」などを取り扱う販売業者やそれらを購入する一般消費者等であると考えられる。
そして、請求人商品の需要者は一般消費者であること等からすれば、需要者において取引の際に普通に払われる注意力はさほど高いとはいえないため、引用標章と同一の文字及び書体からなる本件商標に接した需要者は、周知著名な引用標章を想起連想して、本件商標に係る指定商品が請求人及びその関係会社の業務に係る商品ではないかと誤認して取引にあたるであろうことは容易に想像されるところである。
したがって、本件商標の指定商品と請求人商品は、商品等の取引者及び需要者が共通する。
エ その他の取引の実情について
(ア)本件商標が造語よりなる引用標章と全く同一の商標であること
引用標章は、本件商標の登録出願時には、既に請求人の業務に係る商品を表示する商標として広く知られていた商標であった。
そのうえ、引用標章を構成する「ComfiLife」の文字は、上記(2)ウのとおり、請求人により考案された独創性の高い特異な造語であり、それを独特の書体によりロゴ化した引用標章が請求人によって商品本体や宣伝広告に継続的に使用されて需要者・取引者間に広く知られるようになったもので、「ComfiLife」といえば「請求人が製造販売する「クッション」「まくら」」との観念が一義的に生じるものである。
一方、本件商標は、引用標章と全く同一の「ComfiLife」という文字を独特の書体によりロゴ化してなる商標であり、その指定商品は請求人が引用標章を使用する「クッション」、「まくら」などの商品と共通するものであるが、被請求人において、請求人が商品「クッション」、「まくら」等に使用して周知著名に至っている引用標章を知らず、偶然の一致をもって本件商標を創作のうえ採択し、偶然その指定商品について登録出願したものであるとは考え難い。
したがって、被請求人による本件商標の登録出願は、他人の周知著名な商標を我が国において先取り、あるいは、商品を市場から排除する等の不正な意図をもってなされたものであることが容易に推認でき、本件商標が被請求人によって剽窃的に登録出願されたものである。
(イ)被請求人が本件商標を請求人のアマゾンブランド登録アカウントに登録したこと
2017年頃、請求人は「ComfiLife」ブランドの請求人商品に結び付いた信用を保護し、ブランドを世界的にコントロールするために、アマゾンブランド登録プログラムに登録した。アマゾンブランド登録プログラムは、ブランドオーナーに知的財産権侵害を防ぐためのツールを提供するAmazon Technologies,Inc.のサービスである(甲25)。
請求人は、2021年6月、アマゾンブランド登録プログラムにおいて、請求人のアカウントに本件商標が接続されていることを認識し(甲22)、直ちに本件商標を請求人のアカウントから削除した。
本件商標の権利者(以下「本件商標権者」という。)は、自らを請求人のアマゾンブランド登録アカウントの管理者として追加し、アマゾンジャパンに対して虚偽の申告を進めたものと考えられるが、このことは、本件商標権者が引用標章の存在を知っていたことの何よりの証左である(甲22)。
したがって、本件商標権者が引用標章の存在を知って全く自らが使用もしていない引用標章について、引用標章と同一の商標について登録出願を行い登録したものといえ、本件商標権者による本件商標の登録出願及び登録は、他人の周知著名な商標を我が国において先取り、あるいは、商品を市場から排除する等の不正な意図をもってなされたものであることが容易に推認でき、本件商標が本件商標権者によって剽窃的に登録出願されたものである。
(ウ)小括
以上からすれば、本件商標権者は、少なくとも我が国及び米国において請求人が商品「クッション」、「まくら」等に使用して周知著名に至っていた引用標章を知った上で、引用標章が我が国において登録出願・登録されていないことを奇貨として、引用標章と同一の商標を我が国において先取り、あるいは、引用標章を使用する請求人商品を市場から排除するなどの何らかの不正な目的をもっていたことは明らかである。
そうすると、本件商標権者が本件商標を登録出願・登録するに至ったのは、少なくとも我が国及び米国において請求人が商品「クッション」、「まくら」等に使用して周知著名に至っていた引用標章を知り、引用標章が高い著名性及び高い顧客吸引力を有することを確知し、かかる顧客吸引力にただ乗り(フリーライド)し、その出所表示機能を希釈化(ダイリューション)させる意図を有していたからに他ならない。
商標法第4条第1項第15号の趣旨に鑑みれば、本件商標権者が、著名な商標の高い顧客吸引力へただ乗りする意図やそのような商標の希釈化の意図を有していることは、本件商標の登録処分の妥当性を判断する上で最大限考慮されるべきものである。
オ 小括
以上のとおり、引用標章は、請求人商品を表すものとして日本国内外で周知著名に至っている商標であること、本件商標は、引用標章と全く同一の商標であること、「ComfiLife」が独創性の高い特異な造語であること、本件商標の指定商品は、引用標章が周知著名性を獲得した商品と共通するものであり、需要者の範囲も共通するものであること、その他の取引の実情等を総合して考慮すると、本件商標権者が、本件商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者・需要者において、請求人又は請求人商品を想起・連想し、あたかも請求人が取り扱う業務に係る商品であるかの如く認識して取引にあたると考えられるため、その出所について混同を生ずるおそれがあることは明白である。
したがって、仮に、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しないとしても、同項第15号に該当する。
(5)商標法第4条第1項第19号該当性について
ア 引用標章の周知著名性
上記(2)のとおり、引用標章は、少なくとも我が国及び米国において請求人が商品「クッション」、「まくら」等に使用して周知著名に至っている商標であるから、引用標章は、商標法第4条第1項第19号に規定する「他人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標」に該当するものである。
イ 本件商標と引用標章の類似性
上記(4)アのとおり、本件商標は、引用標章と外観、称呼、観念のいずれの要素についても同一のものであるから、商標全体としての対比においても互いに同一であることは明らかであり、本件商標と引用標章は全く同一の商標及び標章である。
ウ 被請求人の「不正の目的」について
上記(4)エのとおり、被請求人は、少なくとも我が国及び米国において請求人が商品「クッション」、「まくら」等に使用して周知著名に至っていた引用標章を知った上で、引用標章が我が国において登録出願・登録されていないことを奇貨として、引用標章を我が国において先取り、あるいは、引用標章を使用する商品を市場から排除するなどの何らかの不正な目的をもっていたことは明らかである。
エ 過去の裁判例及び特許庁の審決
商標法第4条第1項第19号該当性について判断した裁判例や審決等(甲26)においても、他人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていた商標と同一又は類似性の高い商標が出願されている場合、当該商標が広く知られていることを十分に知りながら不正の目的に基づいて出願し登録を受けたものと推認され、不正の目的をもって使用をする商標に該当すると認定している。
これらの裁判例や審決(異議決定)はあくまでも一例であるが、こうした先例にみられる判断は、本件において、最大限考慮されるべきものである。
オ 小括
以上のとおり、本件商標は、その登録出願時において、少なくとも我が国及び米国において請求人が商品「クッション」、「まくら」等に使用して周知著名に至っていた引用標章と同一の商標であって、被請求人が、引用標章についていまだ日本国内で商標登録・出願がなされていないことを奇貨として、我が国において先取り、あるいは、引用標章を使用する商品を市場から排除するなどの何らかの不正な目的をもって使用するものであることは明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(6)商標法第4条第1項第7号該当性について
ア 本件商標の登録出願の経緯等について
上記(2)クのとおり、本件商標と同一又は類似の商標が米国など多数の国において、本件商標の登録出願前に登録出願され、商標登録されていること(甲22)、及び請求人商品について使用されていること、上記(2)ウのとおり、本件商標は既成語ではなく、請求人が考案した独創性の高い特異な造語であること、並びに本件商標権者は個人であり本件商標を使用していないことはもちろん、我が国において営業活動を行っている事実をうかがわせる証拠すら何ら発見できないことなどを併せ考慮すれば、本件商標は、本件商標権者が偶然に本件商標を採択したというより、むしろ、米国その他の国で本件商標と同一と認められる商標が商標登録され又は主にAmazonなどのECプラットフォーム上で主に「クッション」、「まくら」について使用されていることをあらかじめ知った上で、我が国において商標登録されていないことを奇貨として、請求人に高額で買い取らせたり、本来の権利者であるボジェ社の国内参入を阻止したりするなど不正の目的で先取り的に登録出願したものとみるのが自然である。
そうすると、本件商標は、その登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に該当する。
イ 過去の裁判例及び特許庁の審決
本号該当性について判断した裁判例等(甲28)においても、不正な目的をもってなされた出願は、公正な商取引・商標秩序を乱すものであり(ひいては、国際信義に反し)、本号に該当すると判断されており、その判断要素としては、他人の標章の存在を知っていたと推認される事情、当該商標出願時のその他の商標の出願状況に関する事情、当該登録商標の使用状況に関する事情などが挙げられる。
当該裁判例はあくまでも一例であるが、こうした先例にみられる判断は、本件においても、最大限考慮されるべきである。
ウ 小括
以上の裁判例等にみられる不正の目的の認定に至る説示からしても、上記アのとおり、本件商標は、不正な目的をもってなされた登録出願であることが明らかであり、登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあって、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に該当する。
したがって、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標であるから、商標法第4条第1項第7号に該当する。
第4 被請求人の答弁
被請求人は、請求人の主張に対し、何ら答弁していない。
第5 当審の判断
1 利害関係について
請求人が本件審判を請求するにつき、利害関係を有する者であることについては、当事者間に争いがないので、本案に入って審理し、判断する。
2 引用標章の周知性について
(1)請求人の主張及び同人が提出した証拠によれば、以下のとおりである。
ア ボジェ社は、2015年に米国で設立されたヘルスケア製品メーカーであって、各種寝具やクッション、特に医療用のヘルスケア製品などの設計・製造・販売事業を営んでおり、請求人商品に引用標章を使用している。
イ 請求人商品は、我が国では、2016年以降、Amazon.co.jpのECプラットフォームにおいて、請求人又は請求人商品を再販する第三者によって請求人商品が販売されている(甲7、甲10~甲14、甲17)。
ウ 請求人商品は、我が国のインターネットの記事において、「米Amazonで一番人気「コンフィライフ」の腰痛防止シートクッションのロコミレビュー。」や「尾骨をサポートして背中の痛みを和らげるクッション『ComfiLife』」と紹介されている(甲18、甲19)。
(2)判断
上記(1)によれば、ボジェ社は、2015年に米国において、請求人商品に引用標章を使用し、翌年には我が国においては、当該商品の販売を開始したこと、請求人商品が、我が国のインターネット記事等で紹介されたことは推認し得る。
しかしながら、甲第22号証に基づき、請求人商品は米国のローリングストーン誌、Travel+Leisure誌、ピープル誌など多くの専門誌メディア及びソーシャルメディアチャンネル(Instagram、Facebook、YouTube等)において取り上げられ、世界の総売上高は、2015年が6万米ドル、2016年が250万米ドル、2017年が470万米ドル、2018年が780万米ドル、2019年が1,590万米ドル、2020年が2,510万米ドル、2021年1月までが280万米ドルであるところ、2020年までに5,000万米ドルの総売上高であり、宣伝広告費は、2015年の発売開始時から2021年1月までの間で、1,000万米ドルを超えるとの請求人の主張は、裏付けとなる証拠が提出されていない。
また、請求人商品が、ボジェ社の公式ウェブサイト上でオンライン販売されているほか、米国Amazon.comなどのオンラインウェブサイトやECプラットフォームで販売されていると主張する甲第9号証の記事は、日付が確認できないことから、請求人商品が、本件商標の登録出願時及び登録査定時に販売されていたことを確認することができない。
さらに、我が国における請求人商品の販売実績及び宣伝広告費は不明である。
その他、引用標章の周知性について、客観的に判断し得る証拠は提出されていない。
したがって、請求人の主張及び同人が提出した証拠によっては、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用標章が請求人商品を表示するものとして、我が国又は外国における需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
3 本件商標と引用標章の類似性について
本件商標と引用標章は、いずれも別掲1及び別掲2のとおり、「ComfiLife」の欧文字を筆記体風にややデザイン化した態様よりなるものであるから、これらは同一又は酷似の商標及び標章である。
4 本件商標の商標法第4条第1項第10号該当性について
上記2のとおり、引用標章は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、請求人商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたとは認められないものである。
そうすると、本件商標と引用標章が同一又は酷似の商標及び標章であって、本件商標の指定商品が引用標章の使用商品と同一又は類似するものを含むものであるとしても、本件商標は、「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標」には該当しない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
5 本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用標章の周知性について
上記2のとおり、引用標章は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、請求人商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたとは認められない。
(2)本件商標と引用標章の類似性の程度について
上記3のとおり、本件商標及び引用標章は、同一又は酷似の商標及び標章であるから、類似性の程度は非常に高いものである。
(3)本件商標の指定商品と請求人商品の関連性及び需要者の共通性について
本件商標の指定商品中、「クッション,まくら,長まくら(まくら下用),空気クッション(医療用のものを除く。),スリーピングパッド,U字形のまくら,抱枕,空気注入式まくら,首のサポート用空気注入式クッション,首のサポート用まくら,首用まくら,座席用クッション」と請求人商品は、いずれも寝具類の範ちゅうの商品であるから、両者の関連性は高く、またその需要者は共通する。
(4)出所の混同のおそれについて
本件商標及び引用標章は、同一又は酷似の商標及び標章であり、本件商標の指定商品と請求人商品の関連性は高く、これらの商品の需要者は共通するとしても、引用標章は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、請求人商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたとはいえないことから、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定商品について使用しても、需要者が引用標章を連想又は想起することはなく、その商品が他人(請求人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないとみるのが相当である。
その他、本件商標が出所の混同を生ずるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
6 本件商標の商標法第4条第1項第19号該当性について
上記2のとおり、引用標章は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、請求人商品を表示するものとして、我が国又は外国における需要者の間に広く認識されていたと認められないものである。
また、上記5のとおり、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定商品について使用しても、その需要者が引用標章を連想又は想起するものではない。
さらに、請求人により提出された証拠からは、本件商標権者が、本件商標を不正の目的をもって使用をするものと認めるに足りる具体的事実を見いだすことはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
7 本件商標の商標法第4条第1項第7号該当性について
(1)商標法第4条第1項第7号は、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」は、商標登録を受けることができないと規定する。ここでいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」には、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合、当該商標の構成自体がそのようなものでなくとも、指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反する場合、他の法律によって、当該商標の使用等が禁止されている場合、特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反する場合、当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合、などが含まれるというべきである(知的財産高等裁判所 平成17年(行ケ)第10349号、同18年9月20日判決言渡)。
(2)本件商標が、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形であるか否かについて
本件商標は、別掲1のとおりの構成よりなるところ、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与える文字からなるものとはいえない。
(3)本件商標が、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形でなくとも、指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するか否かについて
請求人より提出された全証拠をみても、本件商標を使用することが社会公共の利益や社会の一般道徳観念に反するものとすべき事実は認められない。
(4)本件商標が、他の法律によって、当該商標の使用等が禁止され、特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反するか否かについて
本件商標が、他の法律によってその使用が禁止されているものとも認められず、特定の国や国民を侮辱し、又は国際信義に反する商標と認めるに足る事実はない。
(5)本件商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないか否かについて
ア 請求人及び請求人商品について
請求人であるボジェ社は、2015年に米国において、請求人商品に引用標章「ComfiLife」を使用し、翌年には我が国においても、当該商品の販売を開始し、請求人商品が、我が国のインターネット記事等で紹介された。
イ 引用標章「ComfiLife」について
引用標章である「ComfiLife」は、一般の辞書等に載録されている成語とは認められず、また、我が国において何らかの特定の意味合いを有するものとも認められない。
そして、引用標章は、毎日、どこでも、不快感や痛みを和らげるために、健康、サポート及び人間工学を提供するという企業理念を反映して、健康や痛みの緩和をイメージさせる接頭語「COMFI」と、請求人商品をいつでもどこでも使えることをイメージさせる「LIFE」を組み合わせた請求人が考案した造語であるとの請求人の主張は十分に信頼性を有している。
ウ 本件商標と引用標章の比較
上記3のとおり、本件商標と引用標章は、同一又は酷似の商標及び標章である。
エ 本件商標の指定商品と請求人商品の比較
本件商標の指定商品は、上記第1のとおり「クッション,まくら,長まくら(まくら下用),空気クッション(医療用のものを除く。),スリーピングパッド,U字形のまくら,抱枕,空気注入式まくら,首のサポート用空気注入式クッション,首のサポート用まくら,首用まくら,座席用クッション」などであり、請求人商品は、「クッション、まくら」などであるから、これらは寝具類の範ちゅうの商品であり、同一又は類似する商品である。
オ 判断
上記のとおり、引用標章は、本件商標の登録出願前から、請求人により、請求人の業務に係る商品を表示するものとして使用されていたこと、請求人商品は、本件商標の登録出願前である2016年以降、我が国において販売を開始されたことや複数のウェブサイトで紹介されたことなどから、本件商標権者は本件商標の登録出願日前に引用標章を知る機会があったといえる。
また、「ComfiLife」の語は、造語である上、本件商標と引用標章は同一又は酷似の商標及び標章であり、本件商標の指定商品は請求人商品と同一又は類似の商品を含むものである。
以上を併せ検討すると、本件商標権者が、請求人商品に使用された引用標章の存在を知り得ることなく、偶然に引用標章と同一又は酷似の本件商標を請求人商品と同一又は類似の商品を含む商品を指定商品として採択し、登録出願したとは考え難く、むしろ、本件商標権者は、請求人商品に使用された引用標章の存在を知った上で、これが我が国において商標登録されていないことを奇貨として、先取り的な意図をもって、本件商標を登録出願したものと推認できるものである。
そうすると、本件商標は、その登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ない場合に該当する。
(6)まとめ
本件商標は、上記(1)における「その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合、当該商標の構成自体がそのようなものでなくとも、指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反する場合、他の法律によって、当該商標の使用等が禁止されている場合、特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反する場合」には、該当しないものであるとしても、本件商標権者による本件商標の登録出願の経緯は、「当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認しえない場合」に当たるものというべきであるから、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標と判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。
8 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものではないとしても、同項第7号に違反して登録されたものである。
したがって、本件商標は、商標法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効にすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-890090