商標無効審判
2022-890055
ブイピイオオ
- 審判番号
- 2022-890055
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 無効審判(無効の審決)
- 出願番号
- 商願2018-049388
- 登録番号
- 6129750
- 請求日
- 2022年07月11日
- 審決日
- 2024年07月26日
- 公報発行日
- 2025年05月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ニコベンチャーズ ホールディングス リミテッド
- 【請求人代理人】達野 大輔
- 【請求人代理人】竹中 陽輔
- 【請求人代理人】中山 真理子
- 【被請求人】蚌埠奇霧電子科技有限公司
- 審判長/審判官
- 審判長 鈴木 雅也
- 審判官 馬場 秀敏
- 審判官 小田 昌子
- 分類
- T112 .261-Y (W34) / T112 .262-Y (W34) / T112 .263-Y (W34)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号商標法46条1項1号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第6129750号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6129750号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成30年4月17日に登録出願、第34類「たばこ,かみたばこ,代用たばこを含む紙巻きたばこ(医療用のものを除く。),紙巻たばこ,喫煙用薬草,かぎたばこ,刻みたばこ入れ,紙巻たばこ用チップ,紙巻たばこ用パイプ,紙巻たばこ用パイプの吸い口,喫煙者用の経口吸入器,マッチ,喫煙用ライター,シガーライター用ガス容器,紙巻たばこ用フィルター,電子たばこ,電子たばこ用リキッド,たばこ用香味料(精油を除く。),電子たばこ用香味料(精油を除く。),葉巻貯蔵箱」を指定商品として、同31年2月22日に登録査定、同年3月15日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
請求人が、本件審判の請求の理由において引用する登録第5889067号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、2015年9月1日に英国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成28年3月1日に登録出願、第34類「電子たばこ,電子たばこ用カートリッジ,電子たばこ用液体,代用たばこを含む紙巻きたばこ(医療用のものを除く。),代用たばこ,紙巻たばこ,たばこ,たばこ製品,たばこケース,たばこ入れ」を指定商品として、同年10月14日に設定登録されたものである。
第3 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品中、第34類「たばこ,かみたばこ,代用たばこを含む紙巻きたばこ(医療用のものを除く。),紙巻たばこ,喫煙用薬草,かぎたばこ,刻みたばこ入れ,紙巻たばこ用チップ,紙巻たばこ用パイプ,紙巻たばこ用パイプの吸い口,喫煙者用の経口吸入器,喫煙用ライター,シガーライター用ガス容器,紙巻たばこ用フィルター,電子たばこ,電子たばこ用リキッド,葉巻貯蔵箱」(以下「本件請求商品」という。)についての登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証から甲第6号証を提出した。
以下、証拠の表記に当たっては、甲第1号証を「甲1」のように記載する。
1 請求の理由の要約
本件商標の登録は、その指定商品中、本件請求商品について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから、同法第46条第1項の規定により、無効にすべきである。
2 本件商標を無効とすべき理由
(1)本件商標について
外観について、本件商標は、全体的に丸みを帯びた小文字のアルファベット「vpo」を横書きしてなる態様であり、中間の「p」は左上部が開口したフォントデザインが採用されているものの、商標公報において参考称呼「ブイピイオオ」が付与されていることからも明らかなように、無理なくアルファベットの「p」と認識できるものである。
称呼について、本件商標からは構成文字に相応して「ブイピイオオ」の称呼が生じる。また、英語の正しい発音に従えば、「ヴィー・ポゥ」と称呼することができる。
観念について、「vpo」は一般的な英和辞典等にその意味が掲載されていないため、本件商標に接する取引者・需要者は、これを特定の観念を生じない造語と認識するとみるのが妥当である。
(2)引用商標について
外観について、引用商標は、黄土色で塗りつぶされた略長方形の枠内中央に、全体的に丸みを帯びた小文字のアルファベット「vpro」を白抜きで横書きしてなる態様であり、語頭の「v」はやや図案化されているものの、商標公報において参考称呼「プイプロ」が付けられていることからも明らかなように、無理なくアルファベットの「v」と認識できるものである。なお、一色で塗りつぶされた略長方形図形はありふれたものであるため、引用商標の要部は、中央に配置された「vpro」の文字部分(以下「引用商標の要部」という。)であると考えられる。
称呼について、引用商標の要部からは構成文字に相応して「ブイプロ」の称呼が生じる。また、英語の正しい発音に従えば、「ヴィー・プロゥ」と称呼することができる。
観念について、「vpro」は一般的な英和辞典等にその意味が掲載されていないため、引用商標に接する取引者・需要者は、これを特定の観念を生じない造語と認識するとみるのが妥当である。
(3)本件商標と引用商標との類否について
ア 商標の類否
以上を前提に、本件商標と引用商標の要部の外観、称呼及び観念を対比しつつ、両商標の類似性について述べる。
(ア)外観
本件商標「vpo」と引用商標の要部「vpro」は、ともに丸みを帯びたゴシック体で表されており、アルファベットのつづりも、中間において「r」の1文字の有無が相違するのみであり、残りの3文字「v」、「p」及び「o」が配列も含めて全て共通している。また、引用商標の「r」が小文字で表されていることにより、「r」の横幅がなくほとんど縦線にも見えることから、それ以外の3文字「v」、「p」及び「o」の存在感が増して見える。
一方、本件商標の「p」は左上部が開口したフォントデザインが採用されており、引用商標の語頭の「v」は図案化されているものの、いずれもアルファベットの可読性を著しく損なうものではなく微細な特徴にすぎないため、当該フォントや図案化が商標の類否に与える影響は小さいと考えられる。
そうすると、両商標は「r」の有無が相違するとしても、全体的に丸みを帯びたゴシック体で表され、「v」、「p」及び「o」のつづりが一致するという共通性によって、看者に対し外観上酷似した印象を与えるものである。
したがって、両商標は外観において互いに紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
(イ)称呼
本件商標からは「ブイピイオオ」の称呼が生じる一方、引用商標からは「ブイプロ」の称呼が生じる。
両称呼の音数は6音と4音で異なるものの、称呼識別において重要な語頭の「ブイ」が共通するほか、第2文字「p」から発せられる破裂音、及び、語尾音の母音「o」が共通することから、両称呼は全体として看者の印象・記憶に共通した印象を与える。
また、両商標の英語の正しい発音である「ヴィー・ポゥ」と「ヴィー・プロゥ」に関しては、両称呼はともに2音節からなり、1音節目の「ヴィー」が同一で、2音節目の「ポゥ」と「プロゥ」の部分も、アクセントのある「オゥ」の(強音)部分が同一であるため、「ヴィー・ポゥ」と「ヴィー・プロゥ」はかなり近似した音として認識されるものである。
したがって、両称呼の類似性は高く、互いに紛れるおそれがあるといえる。
(ウ)観念
両商標はいずれも特定の観念を生じない造語と評価することができるため、観念においては比較できない。
(エ)取引の実情
本件商標及び引用商標の指定商品であるたばこ製品は格別高価なものではなく、その需要者は20歳以上の男女を対象とする一般消費者であり、商標について深い知識を持たない者も多数含まれていることを考慮すれば、商品の選択・購入に際して払われる注意力は必ずしも高いとはいえない。また、たばこ製品には、片手に収まるサイズの加熱式たばにデバイスや、当該デバイスに差し込むたばこスティックが含まれ、これらの商品に商標が使用される場合、ワンポイントマークとして商標が小さく表示される場合も少なくない(甲3~甲6)。
さらに、この分野の需要者が商品や包装に付された商標を直対比して、あるいはその細部まで正確に観察・記憶しているとは通常考えにくく、むしろ簡易迅速が求められる商品選択、購入の場においては、商標全体から受ける印象や一見して明らかな特徴の記憶によって商品を識別していることも多い。そうすると、需要者が商標の細部にまで注意を払わないこともあり、商標の微細な相違点を看過して商品を選択する可能性がある。
したがって、このような一般的・恒常的な取引の実情を考慮すれば、たばこ製品及びこれに関連する商品に使用される商標の類否判断においては、外観の要素、特にその全体の印象的な構成が最も重視されるというべきである。
(オ)総合判断
以上に述べたように、本件商標と引用商標とは、観念では比較できないものの、称呼は看者の印象・記憶に共通した印象を与えるものである。加えて、前述した取引の実情からして最も重視されるべき外観においては、全体的なフォントやアルファベット「v」、「p」及び「o」のつづり・配列の共通性から酷似した印象を与えるものである。
したがって、外観、称呼、観念によって取引者・需要者に与える影響、記憶、連想等を総合的に勘案すれば、両商標は商品の出所において混同を生じるおそれのある類似の商標である。
イ 商品の類否
本件商標(審決注:「引用商標」の誤記と認める。)の指定商品中、「電子たばこ,電子たばこ用カートリッジ,電子たばこ用液体,代用たばこを含む紙巻きたばこ(医療用のものを除く。),代用たばこ,紙巻たばこ,たばこ,たばこ製品」は、引用商標の指定商品中(審決注:「本件商標の指定商品中」の誤記と認める。)の「たばこ,かみたばこ,代用たばこを含む紙巻きたばこ(医療用のものを除く。),紙巻たばこ,喫煙用薬草,かぎたばこ,電子たばこ,電子たばこ用リキッド」に少なくとも類似する。
また、本件商標(審決注:「引用商標」の誤記と認める。)の指定商品中、「たばこケース,たばこ入れ」は、引用商標(審決注:「本件商標」の誤記と認める。)の指定商品中の「刻みたばこ入れ,紙巻たばこ用チップ,紙巻たばこ用パイプ,紙巻たばこ用パイプの吸い口,喫煙者用の経口吸入器,喫煙用ライター,シガーライター用ガス容器,紙巻たばこ用フィルター,葉巻貯蔵箱」に類似する。
このことは、類似商品・役務審査基準に照らして明らかである。
ウ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標とは、観念は比較できないものの、外観及び称呼上類似するものであるから、外観、称呼及び観念を総合的に考慮した場合、互いに類似する商標である。
また、本件商標の指定商品中、本件請求商品と、引用商標の指定商品は同一又は類似の商品である。
よって、本件商標は、本件商標出願日前の商標登録出願に係る引用商標と類似し、引用商標に係る指定商品と同一又は類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
第4 被請求人の答弁
被請求人は、請求人の主張に対し、何ら答弁していない。
第5 当審の判断
請求人が本件審判を請求することにつき、利害関係を有することについては、当事者間に争いがないから、本案について判断する。
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、別掲1のとおり、横長で上部が大きく開いた「v」の文字、左上部が開口した「p」の文字、及び横長の楕円状の「o」の文字を、統一的な書体で一連一体に表してなるところ、その構成文字に相応して「ブイピーオー」の称呼を生じ、また、当該文字は、辞書等に載録のないものであって、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語であるから、特定の観念は生じないものである。
(2)引用商標について
引用商標は、別掲2のとおり、黄土色系の色彩で塗られた略長方形(以下「図形部分」という。)内に、右上部が離れてコンマ状に表された「v」の文字を太く描き、当該「v」の文字に接するように、当該「v」の文字とは異なる丸みを帯びた書体で「pro」の文字を横一連に描いてなるところ、その構成中、図形部分は、特定の事物を想起させるというような事情も見いだせないことから、図形部分からは、特定の称呼及び観念を生じないものである。
そうすると、引用商標は、その構成中の「v」及び「pro」の各文字に相応して「ブイプロ」の称呼を生じ、また、「vpro」の構成文字は辞書等に載録のないものであって、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語であるから、特定の観念は生じないものである。
(3)本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標は、それぞれ上記(1)及び(2)のとおりの構成からなるところ、外観については、その構成中に「v」、「p」及び「o」の文字を有する点において共通するとしても、図形部分の有無、色彩の有無、「r」の文字の有無等の差異を有するものであることに加え、本件商標は中間の「p」の文字の左上部が開口し、構成各文字が横長の書体で表されているのに対し、引用商標は語頭の「v」の文字は太い線で、かつ、右上部分がコンマ状に表されている一方、「pro」の各文字は丸みを帯びた書体で表されているという点で、両商標の特徴は全く異なるものであり、明らかに異なる印象を与えるものであるから、明確に区別し得るものである。
また、称呼においては、両者は、語頭の「ブイ」の音を共通にするとしても、「ピーオー」及び「プロ」の音の差異を有するものであり、6音又は4音と短い音構成からなる両称呼においては、当該相違音が称呼全体に及ぼす影響は決して小さいものとはいえず、それぞれを一連に称呼するときは語調、語感が異なり、両者は、称呼上、明瞭に聴別し得るものである。
さらに、観念においては、本件商標と引用商標は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、両者は、観念上、比較することはできないものである。
そうすると、本件商標と引用商標は、観念において比較することができないとしても、外観において明確に区別し得るものであり、称呼において明瞭に聴別し得るものであるから、請求人の主張するたばこ製品に係る取引の実情を考慮しても、外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
その他、本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。
(4)請求人の主張について
請求人は、「両商標の英語の正しい発音である「ヴィー・ポゥ」と「ヴィー・プロゥ」に関しては、両称呼はともに2音節からなり、1音節目の「ヴィー」が同一で、2音節目の「ポゥ」と「プロゥ」の部分も、アクセントのある「オゥ」の(強音)部分が同一であるため、「ヴィー・ポゥ」と「ヴィー・プロゥ」はかなり近似した音として認識されるものである。したがって、両称呼の類似性は高く、互いに紛れるおそれがある」旨主張している。
しかしながら、英語を母国語としない我が国の取引者、需要者は英語のつづりを常に正しく発音するとは限らず、本件商標及び引用商標について、正しい英語の発音とされる「ヴィー・ポゥ」及び「ヴィー・プロゥ」の各称呼によって商品の取引に当たることが我が国における一般的な取引の実情ということはできないから、請求人が主張する各称呼によって、両商標の類否を判断すべきとはいえない。
したがって、請求人の主張は採用できない。
(5)小括
したがって、本件商標は、引用商標とは非類似の商標であり、引用商標の指定商品と同一又は類似する商品に使用するものであるとしても、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 まとめ
以上のとおり、本件商標の本件請求商品についての登録は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反してされたものではないから、同法第46条第1項第1号により、無効とすべきではない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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