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商標無効審判

2022-890054

タートオプティカルテイラウンド、タルトオプティカルテイラウンド、タートオプティカル、タルトオプティカル、オプティカルテイラウンド、タート、タルト、オプティカル、テイラウンド、ラウンド

審判番号
2022-890054
法域
商標
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
商願2016-125183
登録番号
5960739
請求日
2022年07月06日
審決日
2023年09月26日
公報発行日
2024年03月29日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】タート オプティカル エンタープライゼズ エルエルシー
  • 【請求人代理人】深井 俊至
  • 【被請求人】株式会社 プライム
  • 【被請求人代理人】垣木 晴彦
審判長/審判官
  • 審判長 鈴木 雅也
  • 審判官 小松 里美
  • 審判官 渡邉 あおい
分類
T111 .261-Y (W09) / T111 .262-Y (W09) / T111 .263-Y (W09) / T111 .271-Y (W09)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法4条1項11号商標法4条1項15号商標法46条1項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号、商標法第46条第1項第1号、商標法第4条第1項第10号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第5960739号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第5960739号商標(以下「本件商標」という。)は、「TART OPTICAL T-ROUND」の欧文字を標準文字で表してなり、平成28年10月26日に登録出願、第9類「眼鏡,サングラス」を指定商品として、同29年5月23日に登録査定され、同年7月7日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 請求人が引用する登録第5427549号商標(以下「引用商標」という。)は、「TART」の欧文字を標準文字で表してなり、平成23年1月18日に登録出願、第9類「眼鏡,眼鏡の部品及び附属品」を指定商品として、同年7月22日に設定登録されたものであり、その商標権は現に有効に存続しているものである。 第3 請求人の主張 請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第58号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 請求の理由 本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当し、その登録は商標法第46条第1項第1号により、無効にすべきものである。 2 具体的な理由 (1)商標法第4条第1項第11号について ア 本件商標と引用商標の類似性について (ア)本件商標は、「TART OPTICAL T-ROUND」である。「TART」と「OPTICAL」の間及び「OPTICAL」と「T-ROUND」の間にそれぞれ空白が置かれており、「TART」(タート)の部分と「OPTICAL」(オプティカル)の部分と「T-ROUND」(ティーラウンド)の部分は、分離して観察できる。 「OPTICAL」の部分は、「目の」、「視力の」、「視覚の」、「視力を助ける」、「光学(上)の」などの意味である(甲8、甲9)。本件商標の指定商品(眼鏡,サングラス)との関係において、「OPTICAL」の部分は、商品の種類、用途ないし機能を示すにすぎず、識別力がないか少なくとも識別力がほとんどない。 (イ)本件商標の「TART」の部分及び引用商標「TART」は、本件商標の指定商品の分野(眼鏡関係分野)においては、1948年にアメリカ合衆国ニューヨーク州で設立された「Tart Optical Enterprises,Inc.(タート オプティカル エンタープライゼズ インク)」(以下「タート社」という。)の創立者であり眼鏡フレームの伝説的職人である「Julius Tart(ジュリアス・タート)」氏(以下「タート氏」という。)又はタート社を想起させる(甲4、甲10)。 なお、タート社の創立者の氏名(「Julius」がファースト・ネーム、「Tart」がラースト・ネーム)中、ファースト・ネームの「Julius」(ジュリアス)は、欧米系の人のファースト・ネームとして特別なものではなく、一般的な男性のファースト・ネームであり(甲7)、このファースト・ネームはそれほど注意をひかない。また、人を呼ぶとき、その姓(ラースト・ネーム)で呼ぶことが極めて多いことからも分かるように、その姓の部分が重要である。タート氏が創立したタート社もタート氏のラースト・ネームを冠して、「Tart Optical Enterprises,Inc.」との名称である。 請求人は、タート社の正当な承継者であり、「TART」ブランドの保有者である(甲5~甲7、甲10、甲20~甲25、甲47、甲48)。 請求人の名称は、「Tart Optical Enterprises,LLC」(タート オプティカル エンタープライゼズ エルエルシー)である。2017年に、請求人は権利保有会社となり、タート氏の「Tart Optical Enterprises,Inc.」と同じ名称の「Tart Optical Enterprises,Inc.」を事業会社とし、以降は、同社が「TART」ブランドの眼鏡関係商品を製造、販売している(甲47)。タート氏又はタート社の正当な承継人である請求人とその事業会社がその名称に「Tart」を冠して、「TART」ブランドの眼鏡関係商品を製造、販売しているのである。 なお、「OPTICAL」は、「目の」、「視力の」、「視覚の」などの意味である(甲8、甲9)。本件商標の指定商品及び引用商標の指定商品との関係において、「OPTICAL」の部分は、商品の種類、用途ないし機能を示すにすぎず、識別力がないか少なくとも識別力がほとんどない。 また、「Enterprises」は、「事業」、「企業」、「会社」などの意味であって(甲8、甲9)、企業、会社ないし事業者がその事業に商標を使用するのであるから、この部分は、識別力がないか少なくとも識別力がほとんどない。 日本を含む世界において、請求人の「TART」ブランドの眼鏡関係商品(眼鏡,眼鏡の部品及び附属品)が、請求人又はそのライセンシーによって、製造、販売され、映画スターを含む著名人にも使用され(甲10~甲19、甲26~甲46)、眼鏡関係商品において「TART」は世界的に知られてきたブランドである。 一方、被請求人は、被請求人ウェブページ(甲4)において、「タート社は1948年にニューヨークで設立されました。当初は小さい眼鏡店でした。どこにも負けない品質を維持し続けておりましたが、1970年代に静かに幕を閉じました。しかし、業界におけるレジェンドとなって今なお語り継がれています。その伝説を尊敬して、日本に於いて再びそのテイストを復活させるべく、日本の鯖江の技術によって、今ここにオリジナル『TART OPTICAL ARNEL(R)』(審決注:「(R)」は「R」が丸で囲まれた記号のこと。)がスタートしました。James Dean(1955年没)は、愛車はPORCHE、ジーンズはLEE、煙草はWinstonとモノにこだわった彼が愛用していたメガネがありました。Johnny Deppが師と仰ぐJames Deanが当時かけていたメガネを全米で探させたことから、新たな始まりとなりました。そのため、DeanにFOCASしたモノづくりは不可欠と判断しました。」のように述べている。 また、被請求人は、タート社について述べており、業界におけるレジェンドとなって今なお語り継がれていること及びタート社の眼鏡商品が映画スターで世界的に知られたJames Dean(ジェームス・ディーン)やJohnny Depp(ジョニー・デップ)にも愛用されていたことを述べている。 被請求人は、「私たちは日本の鯖江によるハンドメイドによって、当時のモノづくりに対する思いを受け継ぎ、当時使用していたメガネを忠実に再現していくものです。ここに蘇る本物のTART OPTICAL ARNELの息吹、掛け心地、いまだ衰えない洗練されたデザインをどうぞ体感してください。」と述べているが(甲4)、被請求人は、タート氏又はタート社から何らタート社のブランド(「TART」を含む。)ないし権利(眼鏡事業の資料に関する権利を含む。)を取得していない。被請求人は、タート社又は「TART」を含むタート社のブランドにフリーライドをして眼鏡商品の広告をしているのである。 被請求人のウェブページ(甲4)は、「TART」を使用した被請求人の眼鏡商品の広告であるが、タート社及びタート社の眼鏡を愛用していた映画スターなどの著名人の記載がされおり、被請求人は、眼鏡商品に関して、タート社又は「TART」を含むタート社のブランドにフリーライドをして広告をしている。 本件商標の「TART」の部分及び請求人商標「TART」は、タート社の創立者であるタート氏又はタート社を想起させる。 被請求人が、タート社の創立者であるタート氏のラースト・ネーム又はタート社の「TART」ないしタート社の社名(及びタート社の正当な承継人である請求人の社名)中の「TART OPTICAL」を本件商標中に入れたことは明らかである。 そして、被請求人は、「TART OPTICAL ARNEL」、「TART OPTICAL EX-MAN」、「TART OPTICAL F.D.R.」、「TART OPTICAL BRYAN」といった眼鏡商品を販売しており(甲4)、「TART」又は「TART OPTICAL」の部分を主商標としていることは明らかである。上記のとおり、「OPTICAL」の部分は、商品の種類、用途ないし機能を示すにすぎず、識別カがないか少なくとも識別力がほとんどないため、「TART」の部分を主商標として使用しているといえる。 なお、「ARNEL」、「Ex-Man」、「F.D.R.」、「BRYAN」も、被請求人の使用又は商標登録出願前から請求人が使用してきた商標である(甲49~甲52)。 以上のとおり、被請求人自身も「TART」が主商標として、主要部分であると認識しており、需要者も「TART」の部分が主要部分であると認識する。 上記のとおり、「OPTICAL」の部分は、識別力がないか少なくとも識別力がほとんどない部分である。 なお、「T-ROUND」は、眼鏡フレームの形状が丸形であることを意味し、一般によくある眼鏡フレームの形状を意味するにすぎないから、識別力がないか少なくとも識別力がほとんどない部分である。 (ウ)以上のとおり、本件商標中、「TART」(タート)の部分が要部である。 (エ)引用商標は、「TART」(タート)である。 本件商標と引用商標とは、「TART」の部分が同一(実質同一を含む。以下繰り返さない。)である。 本件商標と引用商標とは、「TART」の部分において、外観、称呼、観念が同一である。 したがって、本件商標と引用商標とは類似する。 イ 商品の類似性について 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品が同一(少なくとも類似)であることは明らかである。 ウ 結論 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (2)商標法第4条第1項第15号について 上記(1)の予備的主張とするものである。 ア 本件商標と引用商標の類似性について 上記(1)アに記載のとおりである。 イ 商品の類似性について 上記(1)イに記載のとおりである。 ウ 本件商標は請求人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標であること 上記のとおり、「TART」は、眼鏡関係分野においては、タート氏又はタート社を想起させる。請求人は、タート社の正当な承継者であり、「TART」ブランドの保有者で、日本を含む世界において、請求人の「TART」ブランドの眼鏡関係商品が、請求人又はそのライセンシーによって、製造、販売され、映画スターを含む著名人にも使用され(甲10~甲19、甲26~甲46)、眼鏡関係商品において「TART」は世界的に知られてきたブランドである。 一方、被請求人は、タート氏又はタート社から何らタート社のブランドないし権利(眼鏡事業の資料に関する権利を含む。)を取得していないにもかわらず、上記のとおり、眼鏡商品に関して、本件商標をタート社又は「TART」を含むタート社のブランドにフリーライドをして広告をしている(甲4)。 このように被請求人が、眼鏡商品に関してタート氏又はタート社のブランドにフリーライドする広告は、被請求人があたかもタート氏又はタート社を承継又はライセンスを受けているかのように需要者を誤認させる。 「T-ROUND」も、被請求人の使用又は商標登録出願前から請求人が使用してきた商標である(甲49~甲58)。 以上により、被請求人が、本件商標をその指定商品(眼鏡関係商品)に使用すると、需要者は、被請求人の商品が、タート社の正当な承継人である請求人の商品と混同を生ずるおそれ(ライセンスを受けているとの誤認を生ずるおそれを含む。)がある。 エ 結論 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 第4 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第36号証を提出した。 1 請求人がJulius Tart氏(以下「ジュリアスタート氏」という。)が創立したTart Optical Enterprises Inc.(以下「旧タート社」という。)の正当な承継者であるとの主張について (1)請求人は、旧タート社の正当な承継者であると主張し、甲第5号証ないし甲第7号証、甲第10号証、甲第20号証ないし甲第25号証、甲第47号証及び甲第48号証を提出している。 しかしながら、以下の理由により請求人が旧タート社の正当な承継者であることは、甚だ疑わしく、請求人は正当な承継者ではなく、1970年代に廃業した旧タート社の意思を引き継いだかのように発信することを宣伝広告の手段として眼鏡を新しく復刻した一つの会社にすぎない。 ア 旧タート社は、乙第1号証及び乙第2号証に示されるように、1950年頃にアメリカ合衆国のニューヨーク州にて設立された会社であり、セルロイドの眼鏡フレームを自社で製造販売していた眼鏡製造販売会社であるが、既に1970年代にその事業を廃業している。すなわち、この時に、旧タート社はこのセルロイドの眼鏡フレームの製造販売を完全に中止し、法人としても解散したものと考えられる。 現在では、前記廃業の前に製造販売された旧タート社のセルロイドの眼鏡フレームは希少価値のあるヴィンテージ商品(以下「ヴィンテージ商品」という。)として我が国でも販売されている例がある。 イ 請求人の提出した証拠の中の甲第10号証は、単に自社の宣伝広告用に作成した英語のウェブページであり、その説明は主観的なものである。また、甲第20号証ないし甲第22号証、甲第24号証及び甲第25号証は単に自社で使用するパッケージが示されているにすぎず、請求人が何ら旧タート社の承継者であることを客観的に示すものではない。さらに、甲第23号証は、「TART」の米国での商標登録であるが、これも米国特許商標庁での商標登録出願では単に主観的な宣誓書が出されるだけであり、請求人が何ら旧タート社の承継者であることを客観的に示すものではない。すなわち、これらは、請求人が旧タート社の承継者である事実を何ら客観的に示すものとはいえない。 ウ 請求人は、甲第47号証として、請求人のmanager(マネージャー)であるAndrew C. Bagnall(アンドリューシーバグナル)(以下「バグナル氏」という。)が署名した供述書(以下「マネージャー供述書」という。)を提出している。 このマネージャー供述書では、以下のとおりあたかも請求人がジュリアスタート氏の承継者であるかのような記載がある。 すなわち、2000年10月25日に、David Hart氏(以下「デイビッドハート氏」という。)がTARTのコモンロー上の権利をジュリアスタート氏から獲得し、その後、その権利はカリフォルニア州においてZoila Hart氏とのcommunity property(夫婦共有財産)となり、2009年8月11日にカリフォルニア州で設立されたTART OPTICAL ENTERPRISES,LLC(以下「TOA社」という。)にその権利をTOA社に出資される最初の対価の一部として譲渡したとの記載がある。 ところで、米国は日本でも周知のとおり契約社会であり、日本のように契約書なしで商取引が行われることはなく、いろいろな条項を明示した契約書が締結されるものである。特に、事業にかかわる知的財産権を含む様々なものを第三者に譲渡などする場合には、後の紛争を回避するために契約書を作成することが当たり前である。 このマネージャー供述書は、単にマネージャーのバグナル氏が私的に主観的に供述したにすぎないものであり、証拠能力に乏しいものである。 それにも関わらず、請求人は、ジュリアスタート氏からデイビッドハート氏へのTARTのコモンロー上の権利の譲渡に関する契約書を明示していない。 また、デイビッドハート氏がTOA社に出資したことを示す契約書も明示していない。なおかつ、TARTのコモンロー上の権利がZoila Hart氏とのcommunity property(夫婦共有財産)となっているのであれば、Zoila Hart氏の承諾も必要である。 エ さらに、請求人は、甲第48号証として、ジュリアスタート氏からデイビッドハート氏への書簡を示している。 しかしながら、この書簡は、そもそも様々な箇所が不鮮明であり、特に英文の文章において、どのような内容の権利であるかの肝心な箇所が明らかに不鮮明であって判読できない。また、この書簡には、出荷日(2000年10月25日)、請求日(2000年10月25日)や請求書番号などが記載されると共に英文の文章の前に商品の金額のような「2.00」と読めるような記載がある。 このことからすると、この書簡は何らかの商品取引の請求書などではないかと考えられ、普通に考えれば、事業にとって重要なTARTのコモンロー上の権利の譲渡がこのような簡易な書簡で許諾されることはない。 さらに、この書簡の上側に「TART OPTICAL ENTERPRISES INC」のように読めそうな会社名の記載があるが、旧タート社は、前述のように1970年代に廃業していることから、廃業後20年以上が経過しており、この書簡の日付時点において旧タート社が存続していること自体が疑わしく、この書簡自体がねつ造であるものと考えられる。 オ その上、マネージャー供述書でも述べられており、乙第2号証にも示されるように、現に、我が国では、株式会社The Light(以下「The Light社」という。)がジュリアスタート氏の甥であるRichard Tart氏と共に新たに創設した「JULIUS TART OPTICAL」が商標登録を取得すると共にわが国で展開されており、その正当な承継者であることについて争いもあることから、請求人が旧タート社の正当な承継者であるとはいえない。 (2)以上に鑑みると、請求人は旧タート社からの正当な承継者であると主張しているが、その主張は甚だ疑わしく、請求人は旧タート社からの正当な承継者ではなく、The Light社と同じく1970年代に廃業した旧タート社の意思を引き継いだかのように発信することを宣伝広告の手段として復刻させた商品を製造販売するにすぎない者である。 2 請求人の「TART」が眼鏡関係商品において我が国を含む世界的に知られてきたブランドであるとの主張について (1)請求人は「TART」が眼鏡関係商品において我が国を含む世界的に知られてきたブランドと主張しているが、米国及び我が国においてでさえも眼鏡を購入する需要者をして周知又は著名であるものとは到底いえない。 すなわち、乙第3号証に示されるように、2015年頃において米国の眼鏡市場規模は、約2兆3,800億円である。 一方、乙第4号証ないし乙第7号証に示されるように、我が国の眼鏡市場規模は、2014年では4,798億円、2015年では4,939億円、2016年では5,045億円、2017年では5,023億円となっている。 このように米国及び我が国での眼鏡市場規模はかなり大きな市場規模であるといえる。 また、これらの市場規模の中で特定の商標が米国及び我が国において周知又は著名であるというためには、かなり大きな売上規模が必要であり、例えば、乙第8号証に示されるように、我が国でいえば、2016年において売上高が693億円(シェアが13%)の「眼鏡市場」、同461億円(シェアが9.1%)の「ジンズ」及び同498億円(シェアが9.8%)の「パリミキ」などの売上高規模が必要である。 さらに、その宣伝広告もテレビ、新聞、雑誌などの宣伝広告媒体において頻繁かつ継続的になされていることなどが必要である。 (2)ところで、請求人は、甲第10号証ないし甲第19号証、甲第26号証ないし甲第46号証を提出している。 ア これらの証拠を確認してみると、甲第10号証は請求人の会社案内を示す英語でのウェブページであり、主観的に説明された請求人の歴史が記載されているだけである。このようなウェブページは誰でも作成が可能であり、このウェブページが示されているだけでは眼鏡を購入する需要者をして何ら周知又は著名であることの証拠にはならない。 イ 甲第11号証では、記載された日付からすると、2021年2月25日に掲載されたウェブページであり、本件商標の出願日及び登録査定日よりも後日に請求人が「TART」を使用したことが示されているにすぎない。 ウ 甲第12号証では、請求人のアカウントによるフェイスブックページの記載が示されているが、このフェイスブックページはそのほとんどが英語で記載されたものであり、しかも単に請求人が主観的に記載しているものである。 また、米国での芸能人が請求人の眼鏡を掛けているかのような画像が見られるが、いずれの画像及びその画像に関する英文でのコメントにおいても各米国の芸能人が請求人の製造販売する眼鏡を掛けていることが示されておらず、かつ請求人の眼鏡を推奨するとの明示がなされている記載もない。これらの請求人のフェイスブックに掲載された画像は、例えばインターネットから入手した画像に基づいて作成することが可能であり、これに請求人が広告宣伝のためのコメントを加えることも簡単にできることから、前記画像が画像に写された米国の芸能人の承諾の下に使用されているかどうかも疑わしく、その承諾の下に掲載されている証拠は一切示されていない。 エ 甲第13号証ないし甲第19号証では、請求人の「TART」の使用例が示されているが、これらのウェブページは、各甲号証の上側又は下側に記載された各アドレス内に「tartoptical.com」との記載があるように、これらはすべて請求人が主観的に自社のウェブページに記載した宣伝広告であり、これらのウェブページが示されているだけでは眼鏡を購入する需要者をして何ら周知又は著名であることの証拠にはならない。 オ 甲第26号証ないし甲第31号証では、雑誌「眼鏡Begin」5冊、雑誌「MODE OPTIQUE」1冊で「TART OPTIAL」の記事が掲載されているが、これらの「TART OPTIAL」は、いずれも旧タート社が製造販売した我が国でも流通しているヴィンテージ商品に関わる記事であり、請求人が製造販売する商品に関する記事ではない。 カ 甲第32号証ないし甲第36号証では、眼鏡の店舗である「Beaux Yeux」「OBJ大阪店」「blinc」へのたった3店舗だけのウェブページがあげられているだけであり、前述のように、その宣伝広告もテレビ、新聞、雑誌などの宣伝広告媒体において頻繁かつ継続的になされていることなどが必要であることから、この程度の宣伝広告では眼鏡を購入する我が国の需要者をして何ら周知又は著名であるとはいえない。 キ 甲第38号証ないし甲第46号証では、請求人が「TART」を日本で販売して商標として使用していることを示すものとしてインボイス(請求書)を提出しているが、前述のように、眼鏡を購入する需要者をして周知又は著名であるといえるためには、米国及び我が国においてかなりの売上高規模が必要である。 しかしながら、請求人が提出した前記証拠を確認してみると、「Shohei Hattori」などの記載のとおり、そのほとんどの証拠としてのインボイス(請求書)に記載された宛名は個人であり、法人としてはわずかに「Nohsaff LTD」「Blinc」などが見られるだけである。 また、前記インボイス(請求書)の中には、商標「ARNEL」のみが使用されているにすぎないものも数多く見られる。 いずれにしても、このような個人への販売と数社の法人の販売だけでは、我が国での眼鏡を購入する需要者をして周知又は著名であるとは到底いえない。 ク さらに、乙第9号証及び乙第10号証に示されるように、検索エンジンの「Yahoo」にて「tart 眼鏡」及び「タート 眼鏡」を検索したところ、この検索結果に表れるのは、被請求人の「TART OPTICAL ARNEL」又はThe Light社の「Julius Tart Optical」ばかりで、その他では旧タート社のヴィンテージ商品が表れるだけであり、請求人の「TART」は見当たらない。請求人が主張するように「TART」が我が国で周知又は著名であればこの検索結果の大部分を占めるべきであるが、そのような事実がないことからも、「TART」は我が国では眼鏡を購入する需要者をして周知又は著名であるとはいえない。 ケ なお、請求人によって米国での販売実績だけでなく、宣伝広告などについても何ら立証されていない。 (3)以上に鑑みると、請求人の「TART」は、米国及び我が国においてでさえ眼鏡を購入する需要者をして周知又は著名であるとは到底いえない。 3 本件商標は請求人が主張する商標法第4条第1項第11号の無効理由に該当しない理由について (1)本件商標の構成などについて ア 被請求人が本件商標とは別に商標登録している「TART OPTICAL ARNEL」(乙11)は、旧タートが1970年代に廃業した後にヴィンテージ商品として今なお販売がなされている旧タート社が製造販売した品質の高かった商品を尊重し、被請求人が日本において眼鏡フレームの品質が高いとして著名な鯖江の技術に基づいて、過去の旧タート社のヴィンテージ商品と同じような品質の高い眼鏡を日本国内で眼鏡の需要者に提供するために、新たに採用した商標である。 被請求人は、この新たなブランドである「TART OPTICAL ARNEL」について、2015年2月12日に商標登録出願し、2015年6月19日に商標登録を受けると共に、この新たなブランド「TART OPTICAL ARNEL」を立ち上げ、2017年頃から眼鏡について製造販売して使用を開始し、現在にまで至っている。 また、例えば、商標「TART OPTICAL ARNEL」及び本件商標に関して2019年10月開催の国際眼鏡展示会IOFTに出展すると共に、その会場にて感謝状をいただいており(乙12、乙13)、さらに、商標「TART OPTICAL ARNEL」は、我が国で雑誌「Safari」2021年2月号(乙14)及び同「monoマガジン」2022年1月2月合併号(乙15)などにおいても広告記事が掲載されており、その上一例として乙第16号証ないし乙第20号証に示されるオンラインショップなどにおいても商標「TART OPTICAL ARNEL」が付された眼鏡が多数販売されている。 本件商標は、このメインブランド「TART OPTICAL ARNEL」のシリーズものとして出願し、商標登録されたものである(甲1)。 イ 本件商標は、標準文字であり、「TART」「OPTICAL」「T-ROUND」との3つの英語の言葉を各言葉の間にスペースを空けて横一連に同書同大同間隔にて構成された全体として一連一体のものである。 すなわち、本件商標の構成中の真ん中の「OPTICAL」との英語の言葉は、我が国の眼鏡を購入する需要者をして英語で「目の」「視力の」「視覚の」などの意味合いを有すると認識・理解できる可能性があることから、本件商標の指定商品「眼鏡,サングラス」との関係では、自他商品識別力に乏しい言葉として認識される可能性 はある。 しかしながら、前記「OPTICAL」の前後の言葉である「TART」と「T-ROUND」は、いずれも本件商標の指定商品「眼鏡,サングラス」との関係では自他商品識別力を有する言葉であり、前記「OPTICAL」が自他商品識別力を有する言葉により挟まれていることによって本件商標に接した上記需要者をして全体として一連一体の造語的なものと認識・理解されるものというべきである。 すなわち、例えば、「TART OPTICAL」との言葉だけであれば、自他商品識別力を有する「TART」の後に「OPTICAL」が配置されていると、類否判断のための要部が「TART」であると認識・理解される可能性も考えられるが、本件商標のように「TART OPTICAL T-ROUND」と真ん中に「OPTICAL」が配置されている場合には、需要者をしてどこで分断してよいかが解らず、全体として一連一体の造語として認識され、これから生じる称呼である「タートオプティカルティーラウンド」もよどみなく一気に称呼されるものである。 また、本件商標からは特定の観念は生じない。 (2)引用商標の構成などについて ア 請求人の「TART」が眼鏡関係商品において世界的に知られてきたこととの主張に関しては、前述の2で詳述したとおり、米国及び我が国でさえも眼鏡を購入する需要者をして周知又は著名であるとは到底いえないことは明確である。 したがって、本件商標と請求人登録商標との類否を判断する場合、引用商標が眼鏡を購入する需要者をして周知又は著名であることを前提に判断すべきではない。 イ 引用商標は、標準文字であり、「TART」との英語の言葉を横一連に同書同大同間隔にて構成されている。 引用商標からは、普通に発音できる「タート」との称呼のみが生じる。 また、引用商標は、眼鏡を購入する需要者をして周知又は著名ではなく、またなじみのある英語の言葉ではないことから、特定の観念を生じない言葉であると認識・理解されるものである。 (3)本件商標と請求人登録商標との類否について以下に検討する。 前述のとおり、本件商標は、真ん中に「OPTICAL」が配置されていることによって前後の英語の言葉を結合させて全体として一連一体の造語的なものとして認識・理解されるものであることから、「TART」だけが取り出されて類否を判断されることはない。 したがって、これを前提として以下に外観、称呼、観念を対比する。 ア 外観について 本件商標は全体として一連一体のものであるのに対し、引用商標は「TART」だけであり、その外観において著しく相違している。 イ 称呼について 本件商標からは「タートオプティカルティーラウンド」との称呼が生じるのに対し、引用商標からは「タート」との称呼が生じることから、その称呼において著しく相違している。 ウ 観念について 本件商標及び引用商標からのいずれからも特定の親念は生じないことから、観念において対比することはできない。 以上のとおり、本件商標と引用商標とを対比すると、その外観及び称呼において著しく相違していることから、本件商標に接した眼鏡を購入する需要者をして、引用商標とは明確に別異のものとして認識・理解されるものであり、商標法第4条第1項第11号に該当するものではないことは明らかである。 (4)この判断が妥当なことは、請求人の「TART」を含んでいる商標であるにも関わらず請求人以外の者によって別個に商標登録されている状況に鑑みても明らかである(乙11、乙21~乙32)。 このように、既に多数の登録商標が引用商標「TART」を含むものであるが非類似として登録されている事実に鑑みると、もはや「TART」に関連する商標の類似の範囲は極めて狭いものとなっている。 また、前述のとおり、「TART」を含む商標における類似の範囲は極めて狭いものとなっていることに加えて、実際の取引実情を見ても、上記でも述べたように、被請求人が所有し使用するメインブランドの「TART OPTICAL ARNEL」とThe Light社が所有し使用する「JULIUS TART OPTICAL」とは十分に区別して取引されていることからすると、本件商標は被請求人のメインブランドの「TART OPTICAL ARNEL」のシリーズ商標であることから、引用商標との関係においても眼鏡を購入する需要者をして明確に区別されるものである。 なお、請求人は「ARNEL」「Ex-Man」「F.D.R.」「BRYAN」を使用してきたとの主張をするが、少なくとも我が国においては、請求人はこれらの商標について商標登録をしておらず、請求人以外のものが「Ex-Man」を除いて商標登録をしている(乙33~乙36)。 このような我が国での商標登録の状況からすると、本件商標、並びに前述の被請求人の登録商標「TART OPTICAL F.D.R.」(乙22)及び登録第6238570号商標「TART OPTICAL BRYAN」(乙24)が、引用商標、「T-Round」、「FDR」及び「Bryan」とが各々その権利者を異にするにも関わらず併存しており、本件商標の類否判断においては、それを構成する言葉単独のものとの関係では非類似と判断することが妥当である。 4 本件商標は請求人が主張する商標法第4条第1項第15号の無効理由に該当していない理由について 商標法第4条第1項第15号はその括弧書きのとおり、商標法第4条第1項第10号ないし同項第14号に該当しない場合に適用されるものであり、本件商標と引用商標との関係のように、その商標の一部に他人の商標を含むが、その指定商品が類似する場合には適用されないと考えられる。このことは、審査基準にも明示されている。 しかしながら、念のため、以下に本件商標が商標法第4条第1項第15号の無効理由に該当していない理由について述べる。 請求人は、眼鏡商品関係において「TART」が世界的に知られてきたブランドであると主張するが、上記2で述べたとおり、米国及び我が国においてでさえ眼鏡を購入する需要者をして周知又は著名であるとは到底いえない。 また、上記2(2)クでも述べたとおり、検索エンジンの「Yahoo」にて「tart 眼鏡」及び「タート 眼鏡」を検索したところ、請求人の「TART」は見当たらないことからすると、本件商標の出願時及び査定時において、請求人の「TART」が我が国において周知又は著名であったとは到底いえない。 したがって、本件商標は、請求人の「TART」を一部に含むものであったとしても需要者をして誤認混同するおそれはなく、商標法第4条第1項第15号の無効理由に該当しないことは明らかである。 5 以上のとおり、本件商標は、請求人の主張する商標法第4条第1項第11号及び同第15号のいずれの無効理由にも該当していないものである。 第5 当審の判断 請求人が本件審判を請求する利害関係を有することについては、当事者間に争いがなく、また、当審は請求人が本件審判を請求する利害関係を有するものと認める。 以下、本案に入って審理する。 1 商標「TART」の周知性について (1)請求人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、米国カリフォルニア州ウッドランド・ヒルズに所在する請求人及びその関連会社「Tart Optical Enterprises,Inc.」(タート社)(以下、両者をあわせて「請求人等」という。)は、米国において、商標「TART」を使用した「眼鏡、眼鏡フレーム」(以下「請求人等商品」という。)を遅くとも2009年頃から販売等していたこと(甲10、甲12~甲19、甲38)、請求人は米国において2017年10月に商標「TART」について、指定商品を「第9類 眼鏡」などとする商標登録を受けていること(甲23)及び請求人等は2009年頃から2017年まで毎年、請求人等商品を含む商品を我が国に個別に輸出していたこと(甲38~甲46)、並びに、我が国において、商標「TART」を使用した「眼鏡、眼鏡フレーム」(以下「使用商品」という。)が販売されていること(甲11)及び2012年4月以降、雑誌やウェブページに使用商品を紹介等する記事が18回程度掲載されていること(甲26~甲36)が認められる。 しかしながら、請求人等商品の我が国における販売数、売上高、シェアなど販売実績、広告宣伝の全体的な状況を具体的、客観的に示す主張はなく、その証左は見いだせない。 なお、使用商品が我が国において販売されていたり、雑誌に紹介等されているとしても、これが請求人等の業務に係る商品であることは確認できない。 (2)上記(1)のとおり、請求人等は、米国において請求人等商品を遅くとも2009年頃から販売等しており、2009年頃から2017年まで毎年、請求人等商品を含む商品を個別に我が国に輸出したことなどが認められるものの、我が国における請求人等商品の販売実績を全体的に示す証拠はない。 また、雑誌やウェブページにおける使用証拠の紹介もさほど頻繁とはいえず、その他、我が国の取引者、需要者において、請求人等商品の認知度が高いことを認めるに足りる証左は見いだせないから、請求人等商品及びそれに使用されている商標「TART」は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、請求人又は請求人等の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。 したがって、「TART」の文字からなる引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、請求人又は請求人等の業務に係る商品(眼鏡、眼鏡フレーム)を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているものとはいえない。 なお、請求人等は2009年頃から2017年まで請求人等商品を含む商品を我が国に輸出しているが、その数量は僅か660個程度(甲38~甲46)であり、仮に、それら商品の全てが請求人等商品であって、我が国で販売されたとしても、上記判断を左右するほどの数量とは認められないし、さらに、2017年以降本件商標の登録出願時及び登録査定時における請求人等商品を我が国に輸出した実績を示す証左も見いだせない。 2 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標 ア 本件商標は、上記第1のとおり「TART OPTICAL T-ROUND」の欧文字を標準文字で表してなるところ、これらの構成文字全体としては、辞書等に載録されている語ではなく、また、特定の意味合いを有するものとして認識されているというような事情も見いだせないものであるから、一種の造語として認識されるものである。 そうすると、本件商標は、その構成文字に相応し「タートオプティカルティーラウンド」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。 イ なお、請求人は、本件商標はその構成中に空白が置かれていること、「TART」は世界的に知られてきたブランドであること、「OPTICAL」は商品の種類、用途ないし機能を示す部分であって識別力がないか少なくともほとんどないことなどから、本件商標は「TART」の部分が要部である旨主張している。 しかしながら、引用商標「TART」は、上記1のとおり、請求人又は請求人等の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであること、本件商標の構成文字は同書同大でまとまりよく一体的に表されていること、及びこれから生じる「タートオプティカルティーラウンド」の称呼はやや冗長ではあるものの無理なく一連に称呼し得るものであることをあわせ考慮すれば、本件商標は、これに接する取引者、需要者をして、その構成文字全体をもって一体不可分のものとして認識、把握されるものとみるのが相当である。 また他に、本件商標は、その構成中「TART」の文字部分を分離抽出し他の商標と比較検討すべきとする事情は見いだせない。 したがって、請求人のかかる主張は採用できない。 (2)引用商標 引用商標は、上記第2のとおり「TART」の欧文字を標準文字で表してなり、該文字に相応し「タート」の称呼を生じるものである。そして、観念については、該文字(語)は「すっぱい、タルト(果物、ジャムなどの甘いものが入った丸いパイ)」などの意味を有する英単語であるが、我が国で親しまれた語とはいえないから、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。 (3)本件商標と引用商標の類否 本件商標と引用商標の類否を検討すると、外観においては、本件商標と引用商標とは、構成文字数が明らかに異なり、容易に区別し得るものであって、相紛れるおそれのないものである。 次に、本件商標から生じる「タートオプティカルティーラウンド」の称呼と引用商標から生じる「タート」の称呼を比較すると、両者は構成音、構成音数が明らかに異なるものであるから、相紛れるおそれのないものである。 さらに、観念においては、両商標は共に特定の観念を生じないものであるから比較することができない。 そうすると、本件商標と引用商標は、外観、称呼において相紛れるおそれがなく、観念において比較できないものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。 その他、本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。 (4)小括 以上のとおり、本件商標は引用商標と非類似の商標であるから、両商標の指定商品が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。 3 商標法第4条第1項第15号該当性について 上記1のとおり、引用商標は、請求人又は請求人等の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、上記2のとおり、本件商標と引用商標とは非類似の商標であって別異の商標であるから、類似性の程度は低いものである。 そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(請求人又は請求人等)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものといえない。 4 むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえないから、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効にすべきでない。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-890054

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