商標無効審判
2022-890051
アイシンク、シンク
- 審判番号
- 2022-890051
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 無効審判(無効の審決)
- 出願番号
- 商願2021-020777
- 登録番号
- 6394476
- 請求日
- 2022年06月29日
- 審決日
- 2023年03月03日
- 公報発行日
- 2023年08月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】シンク シューヴェルク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
- 【請求人代理人】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
- 【請求人代理人】山崎 和香子
- 【被請求人】株式会社 dill
- 審判長/審判官
- 審判長 豊田 純一
- 審判官 杉本 克治
- 審判官 阿曾 裕樹
- 分類
- T111 .261-Y (W25) / T111 .262-Y (W25) / T111 .263-Y (W25)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号商標法46条1項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第3条第1項第5号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第6394476号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6394476号商標(以下「本件商標」という。)は、「i think」の文字を標準文字で表してなり、令和3年2月22日に登録出願、第25類「被服,履物,バンド,ズボンつり,ガーター,靴下留め,仮装用衣服,ベルト」を指定商品として、同年5月21日に登録査定され、同月26日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
請求人が、本件商標の登録無効の理由として引用する登録商標は、以下の2件の登録商標であり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
1 登録第4498674号商標(以下「引用商標1」という。)は、「Think」の文字を標準文字で表してなり、平成12年9月29日に登録出願、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボン吊り,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」を指定商品として、同13年8月10日に設定登録されたものである。
2 登録第5233289号商標(以下「引用商標2」という。)は、「Think」の欧文字を横書きしてなり、2007年(平成19年)1月26日にドイツ連邦共和国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成19年4月27日に登録出願、第35類「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売りの業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,広告,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理」を指定役務として、同21年5月22日に設定登録されたものである。
以下、「引用商標1」及び「引用商標2」をまとめて「引用商標」という場合がある。
第3 請求人の主張
1 請求の趣旨
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。
なお、以下、証拠の表示については、「甲第○号証」を「甲○」のように、簡略して表記する場合がある。
2 請求の理由
本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、その登録は、同法第46条第1項第1号により無効にすべきである。
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標の構成
本件商標は、「i think」の文字を標準文字で表してなり、その構成に呼応して、「アイシンク」の他、「シンク」の称呼を生じる。
イ 引用商標の構成
引用商標は、「Think」の欧文字を横書きしてなり、その構成に呼応して、「シンク」の称呼が生じる。
ウ 本件商標と引用商標の類否
(ア)外観の類否
本件商標と引用商標の外観を対比すると、全て小文字で書してなるか、語頭の文字のみ大文字であるかの相違はあるものの、「think(Think)」の5文字を共通にしている。
また、本件商標は、その構成中の「think」の欧文字が、我が国においてその意味を知られ、親しまれた英単語として捉えられるのに対し、その構成中の「i」の文字は語頭にあるとはいえ、小文字で表されていて目立ちにくく、看者の印象には残りにくい。
そうすると、本件商標と引用商標とは、我が国においてよくその意味を知られ、親しまれた英単語として看者の印象に残りやすく目立つ部分である「think(Think)」の文字が共通しているから、外観上相紛らわしい類似の商標である。
(イ)称呼の類否
本件商標は、その構成中の「i」の文字は欧文字1文字であるが、欧文字の1字又は2字からなるものは一般的に商品の品番・等級等を表示する記号・符号として類型的に使用されている実情があることからすれば,本件商標の構成中の「i」の文字は、商品の品番、等級等を表す記号又は符号として認識されるものというのが相当である。
また、欧文字の1字又は2字からなる標章は、商標法第3条第1項第5号の「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標」に該当することから、「i」の欧文字が商品の品番、等級等を表す記号又は符号として認識される識別力を欠く標章であることは明らかである。
よって、本件商標は、その構成中の、「i」の欧文字に識別力がないことが明らかであるから、識別力を有する「think」の文字に呼応して「シンク」の称呼が生じる。
そして、引用商標からは「シンク」の称呼を生じることから、本件商標と引用商標とは、「シンク」の称呼を共通にし、称呼上相紛れるおそれのある類似の商標である。
(ウ)観念の類否
本件商標を構成する「i think」は、特定の意味を有しない造語と考えられるため、本件商標から特段の観念は生じない。
また、引用商標を構成する「Think」は、「考える、思う」を意味する英単語であり、これよりは「考える、思う」の観念を生ずる。
よって、本件商標と引用商標は、観念において対比することのできない商標である。
エ 本件商標と引用商標の指定商品
本件商標の指定商品は、全て引用商標1の第25類の指定商品と類似し、また、引用商標2の指定役務中の「第35類 被服の小売又は卸売りの業務において行われる顧客に対する便益の提供」と類似する。
オ 小括
本件のように、ある単語に欧文字1字又は2字を付加したものについて、類似の判断がなされた例は多数あるので、本件商標と引用商標も、類似と判断されるべき、極めて近似した相紛らわしい商標である。
(2)まとめ
以上のとおり、本件商標は引用商標と類似する商標であり、指定商品及び指定役務も類似するものであるから、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当し、同法第46条第1項第1号により、無効にすべきものである。
第4 被請求人の答弁
被請求人は、請求人の主張に対して、何ら答弁していない。
第5 当審の判断
1 本件審判の請求の利益
請求人が、本件審判を請求するにつき、利害関係を有することについては、当事者間に争いがないから、本案に入って審理する。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
本件商標は、上記第1のとおり、「i think」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は、「i」と「think」との間に一文字分のスペースを有するとしても、同書、同大でまとまりよく一体に表されているものである。
また、本件商標の構成文字全体より生じる「アイシンク」の称呼も、よどみなく一連に称呼し得るものである。
そして、本件商標は、その構成中「i」の文字が「私は」を、「think」の文字が「思う」(参考:「ジーニアス英和辞典 第5版」大修館書店)を意味する英語であるから、構成全体からは「私は思う」程の意味合いを容易に理解させるものであり、かかる構成においては、「i」の文字を省略して、「think」の文字部分のみをもって取引に資するとはいい難く、むしろ、構成全体をもってまとまりのよい一体不可分のものとして認識し把握されるものとみるのが自然である。
そうすると、本件商標は、その構成全体に相応して「アイシンク」のみの称呼を生じ、「私は思う」程の観念を生ずるものである。
(2)引用商標
引用商標は、上記2のとおり、「Think」の欧文字を表してなるものであるから、その構成文字に相応して「シンク」の称呼及び「思う」の観念を生じるものである。
(3)本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標とを比較するに、両者の外観においては、語頭の「i」の文字及びそれに続く「think」の文字の全てを小文字のみで表した本件商標に対し、語頭の「T」の文字のみを大文字で表し、それに続く「hink」の文字を小文字で表した引用商標とは、語頭の「i」の文字の有無及びそれに続く文字の表記方法の相違等により、外観において明確に区別できるものである。
次に、両者の称呼においては、本件商標から生じる「アイシンク」の称呼と、引用商標から生じる「シンク」の称呼とは、構成音及び音数において明らかな差異を有するものであるから、両称呼をそれぞれ一連に称呼しても、語調、語感が異なり、明確に聴別できるものである。
さらに、両者の観念においては、本件商標が「私は思う」程の観念を生じるのに対し、引用商標は、「思う、考える」の観念を生じるものであるから、相紛れるおそれのないものである。
以上のとおり、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
(4)請求人の主張について
請求人は、本件商標の構成中「i」の文字は欧文字1字であって、これは識別力を欠くことから、本件商標は、その構成中の「think」の欧文字から、「シンク」の称呼も生じる旨主張する。
しかしながら、本件商標は、まとまりよく一体に表された構成及びよどみなく一連に称呼し得る称呼に照らせば、語頭の「i」の欧文字1字が商品の品番等を表示するための記号・符号として理解されるものではなく、「think」の文字部分に着目して取引に当たるというよりは、むしろ、構成全体をもって、まとまりのよい一体のものとして把握、認識されるというべきであるから、この点についての請求人の主張は採用することができない。
(5)小括
したがって、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品及び指定役務とが同一又は類似のものであるとしても、本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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