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商標無効審判

2022-890050

エムデイ

審判番号
2022-890050
法域
商標
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
商願2020-042712
登録番号
6462279
請求日
2022年06月23日
審決日
2024年10月31日
公報発行日
2025年04月25日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】日本たばこ産業 株式会社
  • 【請求人代理人】中田 和博
  • 【請求人代理人】青木 博通
  • 【被請求人】チャイナ タバコ チョーチャン インダストリアル カンパニー リミテッド
審判長/審判官
  • 審判長 大橋 良成
  • 審判官 杉本 克治
  • 審判官 渡邉 あおい
分類
T111 .261-Y (W34) / T111 .262-Y (W34) / T111 .263-Y (W34) / T111 .271-Y (W34)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法4条1項11号商標法4条1項15号商標法46条1項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号、商標法第4条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第6462279号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6462279号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和2年4月16日に登録出願、第34類「たばこ,かみたばこ,葉巻たばこ,代用たばこを含む紙巻きたばこ(医療用のものを除く。),紙巻たばこ,シガリロ,喫煙用薬草,かぎたばこ,電子たばこ,電子たばこ用リキッド」を指定商品として、同3年7月15日に登録査定、同年10月27日に設定登録されたものである。 第2 請求人が引用する商標及び標章 1 請求人が、本件商標の登録の無効の理由において、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録商標は、以下の(1)ないし(4)であり、いずれの商標権も、現に有効に存続しているものである。 (1)登録第6254407号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、令和元年6月12日登録出願、第34類「たばこ,スモーキングたばこ,パイプたばこ,手巻きたばこ,その他のたばこ,電子たばこ,シガレットチューブ,その他の喫煙用具,マッチ」を指定商品として、同2年5月26日に設定登録されたものである。 (2)登録第4770490号(以下「引用商標2」という。)は、別掲3のとおりの構成からなり、平成15年8月20日登録出願、第34類「かぎたばこ,代用たばこ(医療目的のものを除く。),かみたばこ,葉巻きたばこ,紙巻きたばこ,その他のたばこ,紙巻きたばこ用紙,シガレット・チューブ,その他の喫煙用具(貴金属製のものを除く。),マッチ」を指定商品として、同16年5月14日に設定登録されたものである。 (3)登録第5066789号(以下「引用商標3」という。)は、別掲4のとおりの構成からなり、平成19年1月23日登録出願、第34類「かぎたばこ,代用たばこ(医療目的のものを除く。),かみたばこ,葉巻きたばこ,紙巻きたばこ,その他のたばこ,紙巻きたばこ用紙,シガレット・チューブ,その他の喫煙用具(貴金属製のものを除く。),マッチ」を指定商品として、同年7月27日に設定登録されたものである。 (4)登録第5227747号(以下「引用商標4」という。)は、別掲5のとおりの構成からなり、平成18年3月28日登録出願、第34類「かぎたばこ,代用たばこ(医療目的のものを除く。),かみたばこ,葉巻きたば,紙巻きたばこ,その他のたばこ,紙巻きたばこ用紙,シガレット・チューブ,その他の喫煙用具(貴金属製のものを除く。),マッチ」を指定商品として、同21年5月1日に設定登録されたものである。 2 請求人が、本件商標の登録の無効の理由において、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして引用する登録商標は、上記1(1)並びに、以下の(5)及び(6)であり、請求人又は請求人のグループ会社である子会社の「JT International SA」(以下「JTInternational社」という。)が、商品「たばこ」(以下「請求人商品」という。)に使用して、我が国も含め世界的に周知・著名となっている商標であると主張するものである。 (5)国際登録1326451号(以下「引用商標5」という。)は、別掲6のとおりの構成からなり、2016年8月23日国際商標登録出願、第34類「Tobacco, raw or manufactured; smoking tobacco, pipe tobacco, rolling tobacco, chewing tobacco, snus; cigarettes, electronic cigarettes, cigars, cigarillos; snuff; smokers' articles included in this class; cigarette paper, cigarette tubes and matches.」を指定商品として、2016年8月23日に国際登録されたものである(甲19)。 (6)請求人が、商品「たばこ」(以下「使用商品」という。)に使用し、「世界39か国以上で使用されているパッケージ」と主張するものに表示されている別掲7のとおりの構成からなる標章(以下「引用商標6」という。) 以下、引用商標1ないし引用商標4をまとめていうときは、「11号引用商標」といい、引用商標1、引用商標5及び引用商標6をまとめていうときは、「使用商標」といい、11号引用商標と使用商標をまとめていうときは「引用商標」という。 第3 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を、審判請求書において要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第36号証を提出した。 なお、以下、証拠の表示については、「甲第○号証」を「甲○」のように、簡略して表記する場合がある。 1 無効理由 本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、同法第46条第1項第1号により、無効にすべきものである。 2 利害関係について 本件商標は、11号引用商標に類似するので、商標法第4条第1項第11号に該当する。 請求人は、本件商標と類似する引用商標を保有するから、請求人に請求の利益のあることは明らかである。 3 具体的理由 (1)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標と引用商標1との類否 (ア)指定商品の類否 本件商標と引用商標1の指定商品は、いずれも第34類のたばこ等を指定するものであり、両商標の指定商品は同一又は類似である。 (イ)商標の外観の比較 外観について、本件商標と引用商標1を比較すると、本件商標は「M」と「D」の欧文字から構成され、引用商標1は「L」と「D」の欧文字から構成されており、両商標とも、欧文字2文字で構成されかつ2つ目の文字はともに「D」であり、欧文字が明確に読み取れ、色彩は白黒で構成され、2文字は同じフォントで表され、「D」の文字の一部が白い線で分断されて構成されている点で共通している。 よって、本件商標と引用商標1は外観上類似する。 (ウ)商標の称呼の比較 称呼について、両商標を比較すると、本件商標は、「M」と「D」の欧文字を結合してなる商標であるから、本件商標からは、「エムディー」の称呼が生じ、引用商標1は、「L」と「D」の欧文字を結合してなる商標であるから、引用商標1からは、「エルディー」の称呼が生ずることは、明らかである。 そこで、「エムディー」と「エルディー」の称呼を比較すると、共に4音により構成され、相違するのは、第2音(中間音)における「ム」と「ル」の違いのみである。「ム」と「ル」は、母音「U」を共通する弱音であり、強音「エ」の後の中間音に位置しているため、全体として称呼した場合には、聞き取りにくい。 よって、相違音が両商標の称呼全体に及ぼす影響は小さく、それぞれを一連に称呼する場合には、語韻語調が近似するものであるから、両商標は称呼上類似する。 (エ)商標の観念の比較 観念について、両商標を比較すると、両商標からは特定の観念が生じないから、観念上の違いはない。 (オ)取引の実情 「たばこ」の流通経路としては店頭販売が多く、また、店頭にて口頭で取引されることが多く、称呼が重視されている。 我が国のたばこ市場においては、欧文字2文字のみからなる商標は使用されていないことから、本件商標及び引用商標1は、たばこの分野では、非常に特異な商標の構成からなるといえる(甲18)。 そして、引用商標1は、請求人のグローバル・フラッグシップ・ブランド(GFB)である、「ウィンストン」、「キャメル」、「メビウス」及び「LD」の一つとして、新聞や請求人の統合報告書(年次報告書)及び有価証券報告書に紹介され、我が国での販売はないものの、周知・著名になっている。 (カ)結語 以上のとおり、本件商標は、引用商標1と類似し、指定商品も同一又は類似するから、商標法第4条第1項第11号に該当する。 イ 本件商標と引用商標2ないし引用商標4との類否 (ア)指定商品の類否 本件商標と引用商標2ないし引用商標4に係る指定商品は、いずれも第34類のたばこを指定するものであり、指定商品は同一又は類似である。 (イ)商標の外観の比較 外観について、本件商標と引用商標2ないし引用商標4を比較すると、本件商標は「M」と「D」の欧文字から構成されており、引用商標2ないし4は、「L」と「D」の欧文字から構成されている。 両商標とも、1)欧文字2文字で構成され、かつ、2つ目の文字はともに「D」であり、2)欧文字が明確に読み取れ、3)色彩は白黒(灰色)で構成されている点で共通しており、共通の印象を与える。 (ウ)商標の称呼の比較 称呼について、両商標を比較すると、本件商標は、「M」と「D」の欧文字を結合してなる商標であるから、本件商標からは、「エムディー」の称呼が生じ、引用商標2ないし引用商標4は、「L」と「D」を結合してなる商標であるから、引用商標2ないし引用商標4からは、「エルディー」の称呼が生ずることは、明らかである。 そこで、「エムディー」と「エルディー」の両称呼を比較すると、共に4音により構成され、相違するのは、第2音(中間音)における「ム」と「ル」の音の違いのみである。「ム」と「ル」は、母音「U」を共通にする弱音であり、強音「エ」の後の中間音に位置しているため、全体として称呼した場合には、聞き取りにくい。 よって、相違音が両商標の称呼全体に及ぼす影響は小さく、それぞれを一連に称呼する場合には、語韻語調が近似するものであるから、両商標は、称呼上類似する。 (エ)商標の観念の比較 観念について、両商標を比較すると、両商標からは特定の観念が生じないから、観念上の違いはない。 (オ)取引の実情 「たばこ」の流通経路としては店頭販売が多く、店頭にて口頭で取引されることが多く、称呼が重視されている。 我が国のたばこ市場においては、欧文字2文字のみからなる商標は使用されていない。よって、本件商標及び引用商標2ないし引用商標4は、たばこの分野では、非常に特異な商標の構成からなる商標といえる(甲18)。 引用商標2ないし引用商標4は、請求人のグローバル・フラッグシップ・ブランド(GFB)である、「ウィンストン」、「キャメル」、「メビウス」及び「LD」の一つとして、新聞や請求人の統合報告書(年次報告書)及び有価証券報告書に紹介され、我が国での販売はないものの、周知・著名になっている。 (カ)結語 本件商標と引用商標2ないし引用商標4の指定商品は、いずれも第34類のたばこを指定するものであり、指定商品は同一又は類似である。 本件商標と引用商標2ないし引用商標4は、外観において共通の印象を与え、称呼において類似し、観念上の違いもない。 また、たばこは、店頭販売が多く称呼が重視されること、本件商標及び引用商標2ないし引用商標4のように欧文字2文字のみからなる商標は、我が国のたばこ市場では使用されておらず、引用商標2ないし引用商標4は、我が国で周知・著名になっているという取引の実情もある。 本件商標は、引用商標2ないし引用商標4と印象、記憶、連想等が同じであり、第34類の商品に使用した場合には、商品の出所につき誤認混同を生じるおそれがあることは明らかであるから、本件商標は、引用商標2ないし引用商標4と類似する。 以上述べたとおり、本件商標は、引用商標2ないし引用商標4と類似し、指定商品も同一又は類似するから、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当する。 (2)商標法第4条第1項第15号該当性について ア 使用商標と訴えの利益について 本件商標は、請求人又は請求人のグループ子会社であるJTInternational社が使用する、使用商標と混同を生ずるおそれがあるので、商標法第4条第1項第15号に該当し、その登録は無効とされるべきである。 イ 商標法第4条第1項第15号該当性について (ア)本件商標と使用商標との類似性の程度 本件商標と引用商標1は、上記(1)アで述べたとおり、外観、称呼において類似する。 本件商標と、引用商標1と同じ構成態様よりなる引用商標5は、外観、称呼において類似する。 本件商標と、引用商標1と同じ構成態様よりなる標章をその構成中に表示してなる引用商標6は、外観、称呼において類似する。 (イ)使用商標の周知・著名性 使用商標は、請求人のグループのグローバル・フラッグシップ・ブランド(GFB)である「Winston」、「Camel」、「MEVIUS」、「LD」の中の一つである。 使用商標は、2007年に請求人が、世界的ブランド「LD」、「Benson&Hedges」を保有していた英国のたばこ会社ギャラハー社を買収したことに伴い、獲得したブランドである。 使用商標に係る使用商品は、我が国では販売されていないが、世界50か国以上で販売されており、世界的に著名になっている。 我が国から海外へ出国する人数は、年間2000万人を超えているので(2019年)、多くの日本人が使用商標の使用商品であるたばこを海外で目にしていることになり、海外での免税店では、お酒やたばこが売れ筋商品となっているので、海外の街中だけでなく、免税店においても日本人が目にする機会が多い。 さらに、使用商標は、請求人のグループのグローバル・フラッグシップ・ブランド(GFB)であるため、請求人の年次報告書、プレスリリース、新聞にも紹介されることも多い。 請求人作成の「統合報告書2020」によると、使用商標の使用に係るたばこの2015年から2019年までの年間販売本数は、全世界で、2015年には495億本、2016年には476億本、2017年には456億本、2018年には466億本、2019年には487億本となっている(甲27)。 「Japan Tobacco FACTS SHEET FY2016」には、LDの全世界での使用商標の使用に係るたばこの2009年から2016年までの年間販売本数(単位10億本)が掲載されており、2009年には343億本、2010年には364億本、2011年には405億本、2012年には451億本、2013年には453億本、2014年には449億本、2015年には495億本となっている(甲28)。 販売数量(年間)のTop3は、1位ロシアが179億本、2位ポーランドが47億本、3位ヨルダンが39億本となっており、また、市場シェアTop3は、1位ヨルダンが21.8%、2位カザフスタンが18.9%、3位マレーシアが14.7%となっている。 請求人作成の「統合報告書2020」、「統合報告書2019」、「アニュアルレポート2016年度」には、使用商標の記載があり(甲27、甲29、甲30)、請求人のプレスリリース(2007年8月9日)、ロイターWEBニュース(2012年8月8日)、日本経済新聞電子版(2021年2月9日)にも、引用商標が紹介されている(甲32~甲34)。 以上より、使用商標は、使用商品について、我が国で周知・著名になっている。 (ウ)独創性の程度 使用商標は、「L」と「D」の欧文字を結合して図案化したものであり、「D」の文字の一部が白い線で分断されて構成されており、独創性がある。 (エ)使用商標の使用商品等と他人の業務に係る商品等との間に性質、用途又は目的における関連性の程度 本件商標の指定商品と使用商標の使用商品は、共にたばこであり、商品の性質、用途又は目的において関連性の程度は強い。 (オ)商品等の取引者及び需要者の共通性 本件商標の指定商品と使用商標の使用商品は、共にたばこであり、取引者及び需要者が共通する。 (カ)その他取引の実情など 商品「たばこ」の流通経路としては、自動販売機による販売があるものの、コンビニエンスストアや駅構内等の売店等、店頭販売が多く、店頭にて取引されるときは称呼が重視されることになる。 よって、本件商標の「エムディー」の称呼と使用商標の「エルディー」の称呼が類似することは、商品の出所の混同の可能性を高める要因となる。 我が国のたばこ市場においては、欧文字2文字のみからなる商標は使用されていないため、本件商標及び使用商標は、たばこの分野では、非常に特異な商標の構成からなるといえる。 よって、両商標の外観の特異性と類似性は、商品の出所の混同の可能性を高める要因となる。 (キ)使用商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力 たばこは、一箱数百円程度の低価格帯の商品であるから、高価格帯商品と比べた場合、商標やブランドについて正確又は詳細な知識を持たない者を含む一般の消費者を含み、商品の購入に際して払われる注意力はさほど高いものとはいえないといった取引の実情がある。 イ 本件商標に対する外国における紛争例 本件商標と同一の商標と、使用商標と同一の商標は、商品の出所の混同のおそれについて、多くの国で争われている。 ウ 結語 以上のとおり、「本件商標は使用商標と類似し」、「使用商標は我が国も含め世界的に周知・著名であり」、「使用商標は図案化しており、独創性があり」、「使用商標の使用に係る商品と本件商標の指定商品はともにたばこであり、商品の性質、用途又は目的における関連性の程度は高く」、「商品の取引者及び需要者を共通しており」、「たばこは店頭販売という取引の実情があり、称呼が重視されること、欧文字2文字からなるたばこの商標が我が国で使用されていないという取引の実情」、「たばこは、低価格帯の商品なので、商標やブランドについて正確又は詳細な知識を持たない者を含む一般の消費者を含み、商品の購入に際して払われる注意力はさほど高いものとはいえないといった取引の実情があること」、を総合考慮すると、本件商標を指定商品に使用した場合、請求人及び請求人のグループ子会社であるスイスジュネーブに所在するJTInternational社の業務に係る商品(狭義の混同)、若しくは、請求人又はJTInternational社と経済的又は組織的に何等かの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく(広義の混同)、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあることは明らかであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 第4 被請求人の答弁 被請求人は、請求人の主張に対して何ら答弁していない。 第5 当審の判断 1 本件審判の請求の利益について 請求人が本件審判を請求するにつき、利害関係を有する者であることについては、当事者間に争いがないので、本案に入って審理し、判断する。 2 引用商標の周知・著名性について (1)請求人の提出した証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりと認められる。 ア 請求人は、引用商標1の商標登録を保有し、また、請求人のグループ子会社であるJTInternational社が、引用商標5を、マドリッドプロトコルを利用して世界55の国と地域を指定した登録出願・商標登録を行っている(甲3、甲4、甲19)。 イ 請求人は、請求人の企業グループのグローバル・フラッグシップ・ブランド(GFB)である「Winston」、「Camel」、「MEVIUS」、「LD」の中の一つである引用商標を、2007年に、世界的ブランド「LD」、「Benson&Hedges」を保有していた英国のたばこ会社ギャラハー社を買収したことに伴い、当該ブランドを獲得した(甲27)。 ウ 引用商標に係る請求人商品は、全世界における年間販売本数が、2009年には343億本、2010年には364億本、2011年には405億本、2012年には451億本、2013年には453億本、2014年には449億本、2015年には495億本、2016年には476億本となっており(甲28の10葉目)、2017年以降、同年には456億本、2018年には466億本、2019年には487億本とされる(請求人の主張)。 販売数量(年間)のTop3は、1位ロシアが179億本、2位ポーランドが47億本、3位ヨルダンが39億本となっており、また、市場シェアTop3は、1位ヨルダンが21.8%、2位カザフスタンが18.9%、3位マレーシアが14.7%とされる(請求人の主張)。 エ 請求人作成の「統合報告書2020」、「統合報告書2019」及び「アニュアルレポート2016年度」には、使用商標の記載があり(甲27、甲29、甲30)、請求人のプレスリリース(2007年8月9日)、ロイターWEBニュース(2012年8月8日)、日本経済新聞電子版(2021年2月9日)にも、引用商標が紹介されている(甲32~甲34)ところ、その内容は次のとおりである。 「統合報告書2020」(甲27)には、「2007ギャラハー社(英国)を買収、世界的ブランド「LD」「Benson&Hedges」等を獲得、海外たばこ事業の販売数量は前年度比5割以上増加し、JTグループ全体の利益成長を牽引する存在に」や、「卓越したブランド力 国内の代表的ブランド「MEVIUS」やM&Aによって獲得した世界的ブランド「Winston」「Camel」「LD」等への継続的な投資を通じた高いブランドエクイティ」、「私たちは、世界各地における多様なお客様ニーズにお応えする幅広いブランドを保有しています。中でも、GFB(Global Flagship Brands)の「Winston」「Camel」「MEVIUS」「LD」は、世界でもその高い品質が認知されており、私たちのブランドポートフォリオの中核を成しています。」との記載があり、「統合報告書2019」(甲29)には、「JTグループの強みの現在 現在JTグループは130以上の国と地域で製品を販売しており、グローバルたばこメーカーとして着実な成長を続けています。私たちは、強固な財務基盤を背景に、事業投資を積極的に行い、新興市場を中心とした地理的拡大に加え、事業成長の柱であるRRPへの取り組みに注力しています。また、ブランドエクイティの強化も継続しており、GFB(「Winston」「Camel」「MEVIUS」「LD」)をはじめとした卓越したブランドは、持続的な成長の大きな原動力となっています。」や「2019年度のロシアでの実績・・・2019年度には25%を超えました。これは、ロシア市場において引き続き圧倒的No.1ブランドであるWinstonの底堅いパフォーマンスに加え、LDの力強い成長によるものです。」との記載があり、「日本たばこ産業株式会社 アニュアルレポート2016年度」(甲30)には、「当社グループの事業について 当社グループは、70以上の国と地域で事業を展開するグローバルたばこメーカーです。我々の製品は120以上の国と地域で販売されており、Winston、Camel、MEVIUSやLDといったグローバルなブランドを保有しています。・・・LDは世界有数のたばこブランドの一つであり、低価格ながらも付加価値の高い商品をグローバルに展開しています。LDは現在50ヶ国で展開するなど着実にその拡大を続けており、2016年にはアメリカ市場で販売開始した最初のGFBとなりました。・・・LDのシェアについては、カナダ、ラトビア、モンテネグロ、シンガポール、台湾で過去最高を記録したことに加え、カザフスタンでは、2016年12月に21.3%という過去最高のシェアを達成し、同国でのリーディングブランドの地位を獲得する等、JTIの上位40市場におけるシェアは3.4%に達しました。・・・海外たばこ事業は、「ウィンストン」「キャメル」「マイルドセブンーメビウス」「LD」に加え、「ベンソン&ヘッジス」「シルクカット」「ソブラニー」「グラマー」「ナチュラルアメリカンスピリット」といった幅広いブランド・ポートフォリオの成長を原動力に、JTグループの利益成長の牽引役としての責務を果たしています。」との記載がある。 2007年8月9日のプレスリリース「『海外たばこ事業の販売実績(速報)』について(2007年1―6月期)」(甲32)には、「グローバル・フラッグシップ・ブランド(以下、GFB)は買収完了に伴い、新たに「ウィンストン」「キャメル」「マイルドセブン」「ベンソン・アンド・ヘッジス」「シルクカット」「LD」「ソブラニー」「グラマー」の8ブランドとし、GFB販売数量は883億本となりました。一方、新たにGFBに追加したブランドの代表的な市場は、英国、アイルランドにおける「ベンソン・アンド・ヘッジス」と「シルクカット」、ロシア、カザフスタンにおける「LD」、カザフスタンにおける「ソブラニー」、ロシア、ウクライナ、カザフスタンにおける「グラマー」となります。」との記載があり、また、2012年8月8日ロイターWEBニュース(甲33)には、「JT<2914.T>、「マイルドセブン」の名称を「メビウス」に変更プレミアムブランドを強化」の見出し下、「[東京 8日 ロイター] 日本たばこ産業(JT)2914.Tは8日、代表的なブランド「マイルドセブン」の名称を「メビウス」に変更すると発表した。プレミアムプランドを強化する。同社は、「ウィンストン」、「キャメル」、「マイルドセブン」、「ベンソン&ヘッジス」、「シルクカット」、「LD」、「ソブラニー」、「グラマー」の8銘柄を事業の中核をなすグローバル・フラッグシップ・ブランド(GFB)と位置付けている。」との記載があり、日本経済新聞電子版(2021年2月9日)(甲34)には、「JTグループは、大きく変化する事業環境の中においても、RJRI・ギャラハー等の大型買収や新興市場への地理的拡大、GFB(注4)を中心としたブランドエクイティ強化、RRPの販売拡大に向けた継続的な投資等、将来を見据えた上で課題を先取りし、自らを変革させることで成長を続けてきました。(注4)GlobalFlagshipBrands(「ウィンストン」「キャメル」「メビウス」「LD」の4ブランド)」との記載がある。 (2)判断 上記認定事実によれば、請求人は、請求人の企業グループの請求人商品に係る各ブランドにおいて、「世界各地における多様なお客様ニーズにお応えする幅広いブランドを保有し・・・GFB(Global Flagship Brands)の「Winston」「Camel」「MEVIUS」「LD」は、・・・ブランドポートフォリオの中核」(甲27)であるとして、グローバル・フラッグシップ・ブランド(GFB)と称する事業の中核をなす代表的なブランドである「Winston」、「Camel」、「MEVIUS」、「LD」のうち、引用商標を、2007年に、英国のたばこ会社ギャラハー社を買収したことにより、引用商標に係るブランド及びそれに係る事業を獲得したところ(甲27)、引用商標に係る請求人商品については、我が国では販売していないものの、世界50か国以上で販売していることがうかがえる(甲30)。 そして、請求人商品は、我が国を除く外国において、2009年に343億本、2010年に364億本、2011年に405億本、2012年に451億本、2013年に453億本、2014年に449億本、2015年に495億本、2016年に476億本が販売され(甲28の10葉目)、2011年以降、我が国を除く全世界で、400億本以上を毎年販売し、また、そのシェアについては、カナダ、ラトビア、モンテネグロ、シンガポール、台湾で過去最高を記録したことに加え、カザフスタンでは、2016年12月に21.3%という過去最高のシェアを達成したことがうかがえる(甲30)。 また、請求人作成の「統合報告書2020」、「統合報告書2019」及び「アニュアルレポート2016年度」には、使用商標の記載があり(甲27、甲29、甲30)、請求人のプレスリリース(2007年8月9日)、ロイターWEBニュース(2012年8月8日)、日本経済新聞電子版(2021年2月9日)にも、引用商標に関する記事が紹介されている(甲32~甲34)。 以上よりすれば、引用商標は、我が国における請求人商品への使用は認められないものの、本件商標の登録出願の日(令和2年4月16日)前から、請求人商品を表示するものとして、カザフスタン、カナダ、ラトビア、モンテネグロ、シンガポール、台湾等の外国(以下「カザフスタン等の外国」という。)における需要者の間においては、広く認識されているものであって、その状況は本件商標の登録査定日(令和3年7月15日)はもとより、現在まで継続していると推認し得る。 そうすると、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、請求人商品を表示するものとして、我が国を除く、外国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認められる。 3 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標について 本件商標は、別掲1のとおり、「M」の欧文字の右側縦線と、「D」の欧文字の左側縦線が重なって表されたように一筆書き風に描いたモノグラム調の図形からなるところ、その構成からは、それより出所識別標識として機能する具体的な称呼及び観念が直ちに生じるものではない。 たとえ、「M」と「D」の欧文字からなることから、その構成文字に相応した「エムディー」の称呼が生じるとしても、本件商標の指定商品に係る分野に関係した具体的な意味合いを直ちに想起させる文字ではないことから、特定の観念を生じない。 (2)11号引用商標について ア 引用商標1は、別掲2のとおり、「L」の欧文字と、その右端部に重ならないように配置した「D」の欧文字からなるところ、上記2のとおり、「LD」の文字は請求人商品を表すものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、カザフスタン等の外国における需要者の間に広く知られていたものといえるから、引用商標1は、その構成文字に相応して、「エルディー」の称呼を生じ、「LD銘柄のたばこ」の観念を生じる。 イ 引用商標2は、別掲3のとおり、縦長長方形の上から三分の一ほどの位置に上下を区切るように横線を配し、その上部に何らかの紋章状の図形内に白抜きの「L」と「D」の欧文字で、ひし形状の中点を挟んだ文字との組合せからなる構成のものと、横線の下部に、「LIGGETT-DUCAT」の欧文字並びに当該文字の下部に二重枠線を有する黒塗り四角形内に、白抜きの「L」と「D」の欧文字で、ひし形状の中点を挟んだものを配した構成からなるところ、縦長長方形内の、上段及び下段の文字を含む図形及び中段の欧文字部分は、それぞれが離れて配置されていることから視覚上分離して観察されるものであり、また、これらを常に一体不可分のものとして認識しなければならない特段の事情も見いだせない。 そうすると、引用商標2は、縦長長方形内の上段及び下段に配した文字を含む図形部分を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。 してみると、引用商標2は、その構成中、縦長長方形内の上段及び下段に配した文字を含む図形内に配した「LD」の文字が、上記2のとおり、請求人商品を表すものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、カザフスタン等の外国における需要者の間に広く知られていたものといえるから、引用商標2は、当該構成文字に相応して、「エルディー」の称呼をも生じ、「LD銘柄のたばこ」の観念をも生じる。 ウ 引用商標3は、別掲4のとおり、浮き彫り状の塗りつぶし四角形内に白抜きの「L」と「D」の欧文字で、ひし形状の中点を挟んだものを配した構成からなるところ、その構成中、図形部分に配した「LD」の文字が、上記2のとおり、請求人商品を表すものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、カザフスタン等の外国における需要者の間に広く知られていたものといえるから、引用商標3は、当該構成文字に相応して、「エルディー」の称呼をも生じ、「LD銘柄のたばこ」の観念をも生じる。 エ 引用商標4は、別掲5のとおり、二重枠線を有する黒塗り四角形内に、白抜きで「L」と「D」の欧文字で、ひし形状の中点を挟んだものを配した構成からなるところ、その構成中、図形部分に配した「LD」の文字が、上記2のとおり、請求人商品を表すものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、カザフスタン等の外国における需要者の間に広く知られていたものといえるから、引用商標2は、当該構成文字に相応して、「エルディー」の称呼をも生じ、「LD銘柄のたばこ」の観念をも生じる。 (3)本件商標と11号引用商標との類否及び指定商品の類否について ア 本件商標と引用商標1との類否について 本件商標と引用商標1の外観は、別掲1及び別掲2のとおりの構成からなるところ、両者の外観は、本件商標が「M」の欧文字の右側縦線と、「D」の欧文字の左側縦線が重なって表されたように一筆書き風に描いたモノグラム調の図形からなるのに対し、引用商標1は、「L」の欧文字と、その右端部に重ならないように配置した「D」の欧文字よりなるものであるから、本件商標と引用商標1の外観は、その形状において明らかに相違し、明確に区別できるものである。 そして、本件商標から生じる「エムディー」の称呼と、引用商標1から生じる「エルディー」の称呼とは、少ない音数からなる両商標の称呼において、第2音における「ム」と「ル」の音の差異は、それぞれを一連に称呼しても、語調、語感が異なり聴別は可能である。 さらに、本件商標は、特定の観念を生じないのに対して、引用商標1は「LD銘柄のたばこ」の観念を生じるから、観念において区別できる。 そうすると、本件商標と引用商標1は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、相紛れるおそれのない非類似の商標である。 イ 本件商標と引用商標2との類否について (ア)本件商標と引用商標2の外観は、別掲1及び別掲3のとおりの構成からなるところ、両者の外観は、本件商標が「M」の欧文字の右側縦線と、「D」の欧文字の左側縦線が重なって表されたように一筆書き風に描いたモノグラム調の図形からなるのに対し、引用商標2は、上記(2)イのとおり、縦長長方形の上から三分の一ほどの位置に上下を区切るように横線を配し、その上部に何らかの紋章状の図形内に白抜きで「L」と「D」の欧文字を、ひし形状の中点を挟んだ文字との組合せからなる構成のもの(以下「引用商標2上段図形」という。)と、横線の下部に、「LIGGETT-DUCAT」の欧文字並びに当該文字の下部に二重枠線を有する黒塗り四角形内に、白抜きで「L」と「D」の欧文字を、ひし形状の中点を挟んだもの(以下「引用商標2下段図形」という。)を配した構成からなるところ、その構成全体の比較においては、本件商標と引用商標2の外観は、その形状において明らかに相違し、明確に区別できるものである。 (イ)引用商標2は、その構成中の縦長長方形が、文字の装飾や背景として看取、認識されるものであるとみるのが相当であって、当該長方形から特定の称呼及び観念は生じないというべきであり、これに対して、当該長方形内の、引用商標2上段図形及び引用商標2下段図形並びに中段の欧文字部分は、それぞれが離れて配置されていることから視覚上分離して観察されるものであり、また、これらを常に一体不可分のものとして認識しなければならない特段の事情も見いだせないものであって、当該縦長長方形内の引用商標2上段図形及び引用商標2下段図形を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。 そうすると、引用商標2は、その構成中、縦長長方形内の引用商標2上段図形又は引用商標2下段図形に着目し、当該各図形内に配した「L」及び「D」の欧文字を並べた「LD」の欧文字が、上記2のとおり、請求人商品を表すものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、カザフスタン等の外国における需要者の間に広く知られていたものといえることからして、引用商標2上段図形又は引用商標2下段図形内に白抜き文字で配した「L」及び「D」の文字を要部として捉える場合もあるというべきであることから、引用商標2は、引用商標2上段図形又は引用商標2下段図形の当該文字に相応して、「エルディー」の称呼をも生じ、「LD銘柄のたばこ」の観念をも生じる。 してみると、本件商標と、引用商標2の引用商標2上段図形又は引用商標2下段図形とは、その外観において、本件商標が「M」の欧文字の右側縦線と、「D」の欧文字の左側縦線が重なって表されたように一筆書き風に描いたモノグラム調の図形からなるのに対し、引用商標2上段図形又は引用商標2下段図形は、その構成中の欧文字を囲むように図形を表示してなることから、本件商標と引用商標2上段図形及び引用商標2下段図形の外観は、その形状において明らかに相違し、明確に区別できるものである。 (ウ)本件商標から生じる「エムディー」の称呼と、引用商標2上段図形又は引用商標2下段図形の構成中、当該図形内の欧文字から生じる「エルディー」の称呼とは、少ない音数からなる両商標の称呼において、第2音における「ム」と「ル」の音の差異は、それぞれを一連に称呼しても、語調、語感が異なり聴別は可能である。 (エ)本件商標は、特定の観念を生じないのに対して、引用商標2は「LD銘柄のたばこ」の観念を生じるから、観念において区別できる。 (オ)そうすると、本件商標と引用商標2は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、相紛れるおそれのない非類似の商標である。 ウ 本件商標と引用商標3及び引用商標4との類否について 本件商標と引用商標3及び引用商標4の外観は、別掲1並びに別掲4及び別掲5のとおり、本件商標が、「M」の欧文字の右側縦線と、「D」の欧文字の左側縦線が重なって表されたように一筆書き風に描いた図形よりなるのに対し、引用商標3及び引用商標4は、四角形内に、白抜きで「L」と「D」の欧文字を、ひし形状の中点を挟んだものを配した構成からなるものであるから、本件商標と引用商標3及び引用商標4の外観は、その形状において明らかに相違し、明確に区別できるものである。 そして、本件商標から生じる「エムディー」の称呼と、引用商標3及び引用商標4の構成中の欧文字部分から生じる「エルディー」の称呼とは、少ない音数からなる両商標の称呼において、第2音における「ム」と「ル」の音の差異は、それぞれを一連に称呼しても、語調、語感が異なり聴別は可能である。 さらに、本件商標は、特定の観念を生じないのに対して、引用商標3及び引用商標4は「LD銘柄のたばこ」の観念を生じるから、観念において区別できる。 そうすると、本件商標と引用商標3及び引用商標4は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、相紛れるおそれのない非類似の商標である。 エ 小括 以上からすると、本件商標と11号引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、相紛れるおそれのない非類似の商標である。 (4)本件商標の指定商品と11号引用商標に係る指定商品との類否について 本件商標の指定商品「たばこ,かみたばこ,葉巻たばこ,代用たばこを含む紙巻きたばこ(医療用のものを除く。),紙巻たばこ,シガリロ,喫煙用薬草,かぎたばこ,電子たばこ,電子たばこ用リキッド」と、引用商標1の指定商品中「たばこ,スモーキングたばこ,パイプたばこ,手巻きたばこ,その他のたばこ,電子たばこ,シガレットチューブ,その他の喫煙用具」及び引用商標2ないし引用商標4の指定商品中「かぎたばこ,代用たばこ(医療目的のものを除く。),かみたばこ,葉巻きたばこ,紙巻きたばこ,その他のたばこ,紙巻きたばこ用紙,シガレット・チューブ,その他の喫煙用具(貴金属製のものを除く。)」は、同一又は類似の商品である。 (5)まとめ 以上のとおり、本件商標は、11号引用商標との関係においては、商標法第4条第1項第11号に該当しないものであり、本件商標と11号引用商標とは、非類似の商標であるから、本件商標の指定商品が11号引用商標の指定商品と同一又は類似のものであるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 4 商標法第4条第1項第15号該当性について (1)使用商標の周知性について 使用商標は、上記2のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、使用商品を表示するものとして、カザフスタン等の外国における需要者の間に広く認識されていたものである。 (2)本件商標と使用商標との類否について ア 本件商標は、その構成は上記3(1)のとおりであり、引用商標1は、その構成は上記3(2)アのとおりであって、本件商標と引用商標1の外観は、上記3(3)アのとおり、その形状において明らかに相違し、明確に区別できるものであり、称呼及び観念においても、区別できるものである。 イ 引用商標5は、別掲6のとおりの構成からなり、「L」の欧文字と、その右端部に重ならないように配置した「D」の欧文字よりなるものであって、これは上記3(2)アのとおりの引用商標1と同じ構成態様からなるから、本件商標と引用商標5の外観は、その形状において明らかに相違し、明確に区別できるものである。 そして、本件商標から生じる「エムディー」の称呼と、引用商標5から生じる「エルディー」の称呼とは、少ない音数からなる両商標の称呼において、第2音における「ム」と「ル」の音の差異は、それぞれを一連に称呼しても、語調、語感が異なり聴別は可能である。 さらに、本件商標は、特定の観念を生じないのに対して、引用商標5は「LD銘柄のたばこ」の観念を生じるから、観念において区別できる。 そうすると、本件商標と引用商標5は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、相紛れるおそれのない非類似の商標である。 ウ 引用商標6は、別掲7のとおり、縦長の直方体を斜めから表した平面図形の表面右上部に赤色地(又は白地)内部に白抜き(又は赤色)で、「L」の欧文字と、その右端部に重ならないように配置した「D」の欧文字よりなるところ、その構成中の右上部の「LD」の文字は、当該直方体状の図形に表されている「LD」の文字部分以外の文字や図形と離れて配置されていることから視覚上分離して観察されるものであり、また、これらを常に一体不可分のものとして認識しなければならない特段の事情も見いだせない。 そうすると、引用商標6は、その構成中の「LD」の文字部分を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。 してみると、引用商標6は、その構成中、直方体状の図形内に配した「LD」の文字が、上記2のとおり、請求人商品を表すものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、カザフスタン等の外国における需要者の間に広く知られていたものといえるから、引用商標6は、当該構成文字に相応して、「エルディー」の称呼をも生じ、「LD銘柄のたばこ」の観念をも生じる。 そして、本件商標と引用商標6の外観は、その全体の外観の形状において明らかに相違し、明確に区別できるものであり、また、引用商標6の構成中、図形の右上部に表された「LD」の文字部分に着目したときには、本件商標が、「M」の欧文字の右側縦線と「D」の欧文字の左側縦線が重なって表されたように一筆書き風に描いたモノグラム調の図形からなるのに対し、引用商標6の「LD」の文字部分は、「L」の欧文字と、その右端部に重ならないように配置した「D」の欧文字よりなるものであるから、本件商標と引用商標6の「LD」の文字部分の外観は、その形状において明らかに相違し、明確に区別できるものである。 次に、本件商標と引用商標6の称呼については、上記3(1)のとおり、本件商標から生じる「エムディー」の称呼と、引用商標6の構成中、直ちに特定の称呼が生じると把握し得る「LD」の文字部分から生じる「エルディー」の称呼とは、少ない音数からなる両商標の称呼において、第2音における「ム」と「ル」の音の差異は、それぞれを一連に称呼しても、語調、語感が異なり聴別は可能である。 さらに、本件商標は、特定の観念を生じないのに対して、引用商標6は、その構成全体からは直ちに特定の観念が生じるとはいい難いところ、その構成中の「LD」の文字部分は、上記2のとおり、請求人商品を表すものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、カザフスタン等の外国における需要者の間に広く知られていたものといえるから、引用商標6は、その構成中の「LD」の文字に相応して、「エルディー」の称呼をも生じるというべきであり、「LD銘柄のたばこ」の観念を生じるから、観念において区別できる。 そうすると、本件商標と引用商標6は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、相紛れるおそれのない非類似の商標である。 エ そうすると、本件商標と使用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、両者の類似性の程度は低いものである。 (3)需要者の共通性について 本件商標の指定商品は、第34類「たばこ,かみたばこ,葉巻たばこ,代用たばこを含む紙巻きたばこ(医療用のものを除く。),紙巻たばこ,シガリロ,喫煙用薬草,かぎたばこ,電子たばこ,電子たばこ用リキッド」であるから、引用商標1及び引用商標5に係る商品とは、同一又は類似の商品を含むものであり、また、引用商標6の使用に係る商品は「たばこ」であるから、引用商標1及び引用商標6に係る商品とは、同一又は類似の商品といえ、需要者の範囲も共通するものである。 (4)出所の混同のおそれについて 上記(1)ないし(3)で認定した事実を併せ考慮すれば、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、使用商標は、請求人の業務に係る商品を表示するものとして、カザフスタン等の外国の需要者の間に広く認識されていたものと認められるとしても、本件商標と使用商標は非類似の商標であって、その類似性の程度は出所の混同を生じるほど高いものとはいえないから、本件商標をその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして使用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が請求人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがある商標と認めるに足る事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 3 むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-890050

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