商標無効審判
2022-890049
チキューグミ、チキュー
- 審判番号
- 2022-890049
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 無効審判(無効の審決)
- 出願番号
- 商願2021-157403
- 登録番号
- 6525426
- 請求日
- 2022年06月23日
- 審決日
- 2024年05月28日
- 公報発行日
- 2024年08月30日
- 結論
- 請求成立(無効)
- 当事者
- 【請求人】豊産業 株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人市澤・川田国際特許事務所
- 【請求人代理人】古家 和典
- 【請求人代理人】酒匂 禎裕
- 【被請求人】株式会社 エス・エス・ビー
- 【被請求人代理人】箕村 義勝
- 審判長/審判官
- 審判長 豊瀬 京太郎
- 審判官 小俣 克巳
- 審判官 飯田 亜紀
- 分類
- T111 .222-Z (W30) / T111 .251-Z (W30) / T111 .252-Z (W30) / T111 .253-Z (W30) / T111 .255-Z (W30)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項10号商標法4条1項19号商標法46条1項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第19号、商標法第4条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第6525426号商標の商標登録無効審判事件についてされた令和5年6月20日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において審決取消しの判決(令和5年(行ケ)第10079号、令和5年12月26日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。
結論
結 論
登録第6525426号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6525426号商標(以下「本件商標」という。)は、「地球グミ」の文字を標準文字で表してなり、令和3年12月16日に登録出願、第30類「グミキャンディ」を指定商品として、同4年2月22日に登録査定、同年3月9日に設定登録されたものである。
第2 引用標章
請求人が、本件商標の無効の理由において、引用する標章は「地球グミ」の文字を書してなり(以下「引用標章」という。)、「グミキャンディ」に使用しており、需要者の間に広く認識されていると主張するものである。
第3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を審判請求書及び令和4年7月12日付け上申書において要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第36号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同項第19号に該当するものであるから、同法第46条第1項第1号により、その登録を無効にすべきものである。
2 商標法第4条第1項第10号該当性について
(1)引用標章の周知性について
ア 引用標章について
引用標章は、本件商標の登録出願時において、請求人またはTrolli Iberica S.A.(以下「トローリイベリカ社」という。)の業務に係る商品等を表示するものとして需要者の間に広く認識されていた。本件における需要者は、輸入菓子を取り扱う同種商品取扱事業者、または消費者である。
請求人はトローリイベリカ社から「PlanetGummi」(以下「プラネットグミ」という。)(甲2)を輸入しており「地球グミ」(引用標章)を日本における名称として積極的に使用していた(甲3の1~4)。
そして、後述のとおり、プラネットグミは、「地球グミ」(引用標章)という名称でSNSや各種報道を通じて本件商標の登録出願時及び登録査定時に広く日本全国に普及し、請求人が扱うトローリイベリカ社(あるいはトローリイベリカ社を含むグループ会社)のグミキャンディを示すものとして周知となっていた。
イ 引用標章が周知に至った経緯(消費者)
(ア)YouTubeやTikTok動画の爆発的流行
プラネットグミは、2018年頃に韓国のYoutuber(YouTubeへの動画の投稿者)が食べる様子を投稿し、拡散された。それは日本にも飛び火し、日本でもプラネットグミは有名になり、YouTubeやTikTokによりプラネットグミを「地球グミ」として紹介する投稿者が急増した。それらの動画には、引用標章が使用されていた(甲4~甲7)。
このように、プラネットグミは、2018年頃から韓国で有名になり、その流行が日本に飛び火していたため、2020年に請求人がトローリイベリカ社から輸入を開始し、国内の取引先へ販売を開始したところ、取引先の店舗ですぐ完売となる事態となった(甲6、甲7他)。
(イ)新聞での紹介
a 毎日新聞(ウェブ記事)(甲6)
2021年6月24日に毎日新聞のデジタル記事でプラネットグミ(記事ではプラネットグミを「地球グミ」と紹介し、表題に「地球グミ」の文字が含まれている。)に関する特集記事が作成された。
この記事は有料記事ではあるが、表題と前半の一定部分は無料で読めるため、多数の読者がプラネットグミを地球グミと認識したといえる。
当該記事は毎日新聞のTwitter公式アカウントも投稿された(甲9)。
このため、多くの人々(甲10)がこの記事に触れ、全文を読むことは無くとも引用標章を目にする機会があった。
b 毎日新聞(紙面記事)(甲7)
2021年7月3日、毎日新聞は土曜朝刊の紙面記事において上記ウェブ記事と概ね同内容の特集記事を掲載した。
そして、最低でも400万人以上の全国の読者(甲11)がこの紙面記事を目にする機会があり、この記事にも請求人が提供したプラネットグミの画像が掲載されていることから、引用標章とそれがプラネットグミを意味することが拡散されていった。
c 日経流通新聞(通称日経MJ新聞)(甲8の1、2)
2021年11月12日、地球グミは日経流通新聞でも紹介された。
プラネットグミは、1面(甲8の1)で「地球グミ」としても紹介され、7面(甲8の2)においては、SHIBUYA109lab.(シブヤイチマルキューラボ)のトレンド大賞2021のカフェ・グルメ部門第2位として「地球グミ」が選出され紹介されている。
これらのラインナップは、他分野含めても知名度が極めて高いものが揃っているため、カフェ・グルメ部門で2位に付けている「地球グミ」(プラネットグミ)の知名度が極めて高いことが裏付けられている。
(ウ)テレビでの放映等
a 2021年6月25日「報道ランナー」での放映(甲12、甲13)
プラネットグミは、令和3年6月25日、関西テレビ(カンテレ)の「報道ランナー」(放送開始16時45分)で、17時15分頃から「地球グミ」として取り上げられ、番組の字幕も「地球グミ」の名称で紹介をしている。関西テレビは近畿広域圏で放映されている。
この番組の世帯視聴率番組平均は、関西地区で16時45分放送開始については4.1%となっている(甲14)。
b 2021年7月5日「ヒルナンデス!」での放映(甲15)
プラネットグミは、2021年7月5日、全国で放送される日本テレビ系列の「ヒルナンデス!」(放送開始11時55分)でも「地球グミ」の名称で取り上げられた(甲16、甲17)。
この番組の世帯視聴率番組平均は関東地区で5.3%、関西地区で4.1%、名古屋地区で5.4%である(甲18)。
c 2021年8月12日「バイキングMORE」での放映(甲19)
プラネットグミは、令和3年8月12日、全国で放送されるフジテレビ系列の「バイキングMORE」(放送開始11時55分)で「地球グミ」の名称として取り上げられた(甲21)。
この番組の世帯視聴率番組平均は関東地区で5.6%、関西地区で8.6%、名古屋地区で7.6%である(甲20)。
(エ)小括
このように、プラネットグミこと「地球グミ」は、本件商標の登録出願前に3回にわたってテレビ地上波で放映されており、その2回は全国波であった。全国波ではない報道ランナーも、人数の多い近畿広域圏での放映である。
本件において重要なのは、プラネットグミが「地球グミ」として新聞やテレビ番組で取り上げられたのは、「地球グミ」が報道前の時点で若者世代を中心とした全国的な周知性を獲得していたからということである。さらに、後記するように、取扱事業者がプラネットグミを「地球グミ」として宣伝していたことで消費者に話題がより拡散し、消費者間で話題が広まることで取扱事業者も引用標章はプラネットグミを表すものとする認識を強める相互作用があったといえる。
そして、これらの新聞・雑誌・テレビ番組の報道により引用標章はより広い層に浸透・拡散していったことは明らかである。このため、本件商標の登録出願時及び登録査定時にプラネットグミは、引用標章の名称で周知であり、一旦全国的に獲得された周知性は、通常容易に消滅しない。本件商標の登録出願時及び登録査定時の後も、プラネットグミは、引用標章の名称で現在もなお周知である。
ウ 周知性(取扱業者)
(ア)プラネットグミはトローリイベリカ社からの輸入商品であるため、日本でプラネットグミを取り扱う業者は主として輸入商品取扱業者となる。
そして、プラネットグミは日本全国で展開する代表的な輸入商品取扱業者で大人気商品として取り扱われており(甲6、甲7、甲22~甲31、甲35)、販売次第即完売になり、先述の毎日新聞記事のとおり、2021年6月や7月の時点でも店舗や正規のオンラインショップでは軒並み品切れとなる状況だった。
このように、輸入菓子製品が多数売り上げられることは輸入菓子の取扱業界において極めて異例のことであり、本件商標の登録出願時において輸入菓子取扱業者はほぼプラネットグミを引用標章で認識している状況となっていた。
(イ)各地の事業者から引用標章で仕入れの問い合わせが請求人に寄せられていたこと
このように、プラネットグミは全国展開しているショップに対して多数の出荷が行われていた。それに加えて請求人に対し各地の複数の会社からプラネットグミにつき、引用標章を用いた仕入れを希望する問い合わせが寄せられていた。
エ 「現代用語の基礎知識2022」への載録について
2021年の流行を解説する「現代用語の基礎知識2022」には、「『トローリプラネットグミ』がその見た目から地球グミの俗称で話題に」と記載されている(甲36)。プラネットグミが「地球グミ」として話題になっていたこと及びその流行は『現代用語の基礎知識』で記載されるほど大きなものであった。
オ 小括
このように、請求人が取り扱うプラネットグミこと「地球グミ」は全国展開している著名な会社等に出荷され、各店舗では「地球グミ」としてプラネットグミを宣伝し、業者の間でも引用標章はプラネットグミを表すものとする認識が共有されていた。
なお、取扱事業者がプラネットグミを「地球グミ」として宣伝していたことで消費者にさらに話題が広まり、消費者で話題が広まることで取扱事業者も引用標章はプラネットグミを表すものとする認識を強めるという相互作用があったといえる。本件商標の登録出願時及び登録査定時にプラネットグミは引用標章で周知であった。
以上から、引用標章がプラネットグミを表すものとして輸入菓子取扱業者の間で周知性を獲得していたことは明らかである。そして、一旦全国的に獲得された周知性は、通常容易に消滅しない。本件商標の登録出願時及び登録査定時の後も、トローリプラネットグミは引用標章で現在もなお周知である。
(2)本件商標が引用標章と同一・類似であること
本件商標は、引用標章と同一である。
さらに、プラネットグミの正式名称は「Planet Gummi」であるところ、「Planet」は英語でも「地球」という意味を有する(甲32)。
したがって、地球を模したその商品形態と相侯って「Planet Gummi」の訳名は「地球グミ」となる。
商品名「Planet Gummi」の文字は商品の包装袋(パッケージ)の前面に目立つ形で記載されており、包装袋の写真は「地球グミ」を話題とする記事(甲6、甲7ほか)、請求人作成のチラシ(甲2)、請求人投稿インスタグラムの写真(甲3)に掲載されていたし、取扱店舗の宣伝投稿でも包装袋の写真を掲載するものが多く存した。
このように「地球グミ」はプラネットグミの訳名に過ぎず、「プラネットグミ」を周知商標としても類似の商標となる。
(3)本件商標の指定商品が引用標章の商品と同一・類似であること
本件商標の指定商品は第30類「グミキャンディ」であり、引用標章の商品と同一である。
(4)小括
以上詳述したように、本件商標は商標法第4条第1項第10号に該当する。
3 商標法第4条第1項第19号該当性について
本件商標は、引用標章と同一であり、「プラネットグミ」を周知商標として引用としても類似の商標となることは上記2(2)のとおりである。
そして、被請求人はプラネットグミを模倣した「アースグミ」を取り扱っている(甲33)。
メルカリにおける「アースグミ」の拡大写真(甲34)を見ると、「地球グミ」と同様の地球を模した形状と色であり、地球の陸地を意識した容器のデザインとその形状も酷似している。
アースグミはプラネットグミを意識して作られた模倣商品であるといえる。そして、少なくとも請求人が把握している限り、「アースグミ」の日本での販売開始は令和4年(2022年)になってからである。
以上から、本件商標の登録出願と使用は、トローリイベリカ社および請求人が取り扱うプラネットグミこと地球グミのブームに便乗して「アースグミ」を販売し、請求人の商品である地球グミの出所表示機能を稀釈させようとするものといえ、さらには正当な「地球グミ」の商標権者が商標登録していないことを奇貨として本件商標登録を行ったものといえる。
被請求人が本件商標を取得したことには「不正の目的」、すなわち商標法第4条第1項第19号の類型のうちフリーライド型に該当し、さらに出所表示機能を稀釈化し、そして本件商標を取得することで正当な「地球グミ」の権利者の業務を妨げる業務妨害型にも該当するものでもある。
引用標章は、上記2(1)で詳述したように、本件商標の登録出願時及び登録査定時、そして現在も周知であるから、本件商標は商標法第4条第1項19号に該当する。
第4 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を審判事件答弁書において要旨以下のように述べた。
商標の使用は、商品又は商品の包装に標章を付する行為であるところ、請求人の商品のグミ菓子に付されている商標は「Planet Gummi」であり、「地球グミ」ではないので、請求人は、引用標章を使用していないことは明らかであり、引用標章は、商標としての使用ではなく、別名を示している(商品に付していない)だけである。
すなわち、請求人の商品グミ菓子に付されている「Planet Gummi」と「地球グミ」の対比において、称呼は、「プラネットグミ」に対して「チキュウグミ」であって非類似であり、外観も、英字に対して漢字と片仮名であって非類似であり、また、観念においても、「Planet Gummi」は、「惑星グミ」というような意味であり、「地球グミ」とは非類似であり、全体の対比においても、明らかに異なり非類似である。
なお、Planetは惑星という意味であり、惑星という表現に対して地球が同じ意味として使われることはない。
上記のとおり、請求人は、引用標章を、商標法で規定している商標としての使用をしていない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同項第19号に該当しない。
第5 当審の判断
請求人が本件審判を請求するにつき、利害関係について争いがないから、本案について判断する。
1 引用標章の周知性について
(1)請求人の主張及び同人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
ア 請求人の取り扱う商品は、ドイツのメーカーの関連会社がスペインにおいて製造するグミキャンディ(以下「請求人商品」という。)である(甲6)。請求人商品は、地球に見立てた球状の青色のグミキャンディにマグマをイメージしたストロベリーフィリングを詰めた菓子であり、その包装(請求人商品を幾つか収容する袋状のもの。以下「請求人商品の包装」などというときは、この袋状のものを指す。)の前面上段には「Trolli」の文字が、前面中段付近には「Planet Gummi」の文字又は「Blue Planet」の文字がそれぞれ記載され、また、請求人商品の個包装(球状のもの。以下「請求人商品の個包装」などというときは、この球状のものを指す。)には「Trolli」の文字が記載されているが、請求人商品並びにその包装及び個包装に「地球グミ」の文字の記載はない(甲2、甲27の1)。
イ 請求人は、令和2年10月、請求人商品を初めて輸入し、これを日本国内において販売し始めた(甲6)。なお、請求人が作成した「Trolli 新商品のご案内」と題する書面(甲2)には、請求人商品並びにその包装及び個包装の写真が掲載されるとともに、請求人商品が同年秋頃に発売予定であることなどの記載があったが、「地球グミ」との記載はどこにもされていなかった。また、同書面には、「インスタ映え確実!!!YouTubeやSNSで話題のプラネットグミ!!」との記載がされていた。
ウ ロフトは、請求人による請求人商品の販売開始に先立つ令和2年9月29日、当時のツイッター(以下、単に「ツイッター」という。)に係るその公式アカウントにおいて、「#地球グミ」などのハッシュタグを付した上、請求人商品の包装及び請求人商品を収容した個包装の画像と共に「話題の#地球グミ ロフトに上陸!!・・・ その名はトローリ#プラネットグミ!」、「一部店舗を除く、全国のロフト118店舗とロフトネットストアに登場しますよーーー!数量限定です!」などと投稿した(甲31)。
エ PLAZAは、令和2年10月2日、ツイッターに係るその公式アカウントにおいて、「#地球グミ」などのハッシュタグを付した上、請求人商品並びにその包装及び個包装の画像と共に「YouTubeでも話題になった#地球グミこと『Trolli(#トローリ)』の「プラネットグミ」が登場」などと投稿した(甲30の2)。
オ サンキューマートは、令和3年4月3日、ツイッターに係るその公式アカウントにおいて、請求人商品並びにその包装及び個包装等の画像と共に「話題の「地球グミ」本日より全国店舗にて順次新発売です・・・大大大人気商品ですのでお求めの方はお早めに、、!」と投稿した(甲29)。
カ 令和3年6月24日、毎日新聞のニュースサイトに、「品切れ続出 謎のお菓子「地球グミ」 大人が知らない理由は・・・」と題するウェブ記事(甲6)が掲載された。同記事の本文には、請求人商品の包装の写真(「「地球グミ」の愛称でひそかなブームとなっている「トローリ プラネットグミ」=豊産業提供」との付記がされたもの)等が掲載されるとともに、(i)「地球グミ」と呼ばれる菓子が子供や若者を中心にSNSで人気を集め、品切れが相次いでいること、(ii)「地球グミ」は、店舗や正規のオンラインショップでは軒並み品切れの状態であり、アマゾンではプレミアム価格が付いており、メルカリでも高額で転売されていること、(iii)地球グミを販売している店舗は、PLAZA、ドン・キホーテ、ヴィレッジヴァンガード、カルディ、ロフト等の輸入食品を取り扱っている業者の店舗であることが多いが、PLAZAによると、令和2年秋に取扱いを始めてから、入荷後すぐに完売という状態が続き、再入荷は令和3年秋以降であること、また、他の業者の各店舗でも品切れの状態が続いていること、(iv)請求人商品の流行のきっかけは、平成30年頃に韓国の動画投稿者が「地球グミ」を食べる様子を記録した動画を動画投稿サイトに投稿したことであり、それが多くの動画投稿者によって拡散され、その後、日本にも飛び火し、令和2年から動画投稿サイトで「地球グミ」の動画を投稿する者が急増したことなどが記載された。なお、同記事は、その掲載の日に、ツイッターに係る毎日新聞のアカウント(甲9)においても、請求人商品の包装の写真を付した上で紹介された。
キ 令和3年6月25日午後4時45分から放映されたカンテレの番組「報道ランナー」において、請求人商品が「2021上半期Z世代が選ぶランキング はやった食べ物・飲み物」として紹介された(甲12、甲13)。同番組において、請求人商品は、「地球グミ」と呼称され、入手困難であるところ、輸入業者である請求人もその在庫を全く有していない状態であるとの説明がされた。また、同番組においては、「地球グミ」が、人気動画投稿者が請求人商品の個包装を噛んで開封する様子を記録した動画を投稿したことをきっかけに大流行し、同動画投稿者のまねをする者が続出し、入手困難となったなどの経緯が説明された。
ク 令和3年7月3日付けの毎日新聞において、「大人は知らない「地球グミ」」と題する記事(甲7)が掲載された。同記事の本文には、請求人商品の包装の写真と共に前記キの記事とほぼ同内容の記載がされた。
ケ 令和3年7月5日午前11時55分から放映された日本テレビの番組「ヒルナンデス」中、タレントのAが「20代前半がみんな知ってること」を伝えるコーナーにおいて、請求人商品が「地球グミ」として紹介された(甲15、甲16)。また、同番組について伝える中日スポーツ東京中日スポーツの同日付けのウェブ記事(甲16)には、請求人商品が「地球グミ」と呼ばれ、青い地球を模したその形状がSNSのインフルエンサーから人気を集めていることなどが記載された。なお、同日、ツイッターに係る「B」なる者のアカウントにおいて、「#地球グミ」などのハッシュタグを付した上、請求人商品の包装の画像(「地球グミ 3個セット」との付記がされたもの)と共に「ヒルナンデスでやってた地球グミ楽天でみっけ!すごく気になるw」と記載した投稿(甲17)がされた。
コ 令和3年8月12日午前11時55分からのフジテレビの番組「バイキングMORE」において、SNSの投稿者である「C」なる者が「地球グミ」と呼ばれる請求人商品について紹介する様子等が放映された。同番組において放映された「C」なる者が請求人商品について紹介する場面の映像の右上部分には、「ヒットの理由を徹底調査 気になるランキンGO Z世代で流行・・・食べ物・飲み物TOP5」との記載がされた上、個包装に収容された請求人商品の写真を紹介する場面では「日本より先に韓国で大ヒット」とのテロップが付され、「C」なる者が説明をする場面では「地球グミの“味”に注目」などのテロップが付された(甲19、甲21の1~5)。なお、「C」なる者は、同日、ツイッターに係る同人のアカウントにおいて、個包装に収容された請求人商品の映像を含む同番組のスチール画像と共に「フジテレビ系列バイキングMORE 2021年上半期にヒットした地球グミについてお話しました!それにしても地球グミの人気がすごい!」と投稿した(甲21の1)。
サ ヴィレッジヴァンガードは、令和3年8月22日、ツイッターに係るその公式アカウントにおいて、「#地球グミ」などのハッシュタグを付した上、請求人商品の包装の画像と共に「都会の方では1日500回問い合わせを受けると噂されてる「地球グミ・・・」ヴィレッジヴァンガードにあるの?あったの?値段は?次の入荷は?お客様からの問い合わせここで答えます!!」と投稿した(甲27の1)。
シ 請求人は、令和3年9月13日、インスタグラムに係る請求人のアカウント(以下「請求人アカウント」という。)において、「#地球グミ」などのハッシュタグを付した上、請求人商品並びにその包装及び個包装の画像と共に「10月初旬に再販!話題となったプラネットグミが再入荷します。」などと投稿した(甲3の1)。
ス PLAZAは、令和3年9月21日、ツイッターに係るその公式アカウントにおいて、「#地球グミ」などのハッシュタグを付した上、請求人商品の包装及び請求人商品を収容した個包装の画像と共に「大人気の「#トローリ#プラネットグミ」が“10月上旬”に再入荷します・・・入荷の度に即完売する店舗が続出の大人気アイテム・・・この機会にぜひゲットしてくださいね!全国のPLAZA・MINiPLA、PLAZA ONLINE STOREでお取り扱いいたします」などと投稿した(甲30の1)。
セ 請求人は、令和3年9月22日、請求人アカウントにおいて、「#地球グミにムチュー!」などのハッシュタグを付した上、請求人商品を収容した個包装及び請求人商品の包装の写真並びに「地球グミにムチュー!?ヴィレヴァンで地球グミゲッチュー!!」などの文字が記載された画像と共に「ヴィレッジヴァンガード様のアカウントにてプラネットグミ(地球グミ)プレゼントキャンペーンを実施中!!」などと投稿した(甲3の2)。
ソ 請求人は、令和3年10月1日、請求人アカウントにおいて、「#地球グミ」などのハッシュタグを付した上、請求人商品の包装、「Trolli」の文字等が記載された画像と共に「大変お待たせいたしました!大人気のあの地球グミと、新商品のポップアイがまもなく販売開始です!!お店で見かけたらぜひお早めにゲットしてください!!」などと投稿した(甲3の3)。
タ WEGOキャナルシティ博多店は、令和3年10月3日、ツイッターに係る同店のアカウントにおいて、「#地球グミ」などのハッシュタグを付した上、「大人気で問い合わせの多かった地球グミ再入荷しました」などと投稿した(甲26の2)。
チ ヴィレッジヴァンガードは、令和3年10月14日、ツイッターに係るその公式アカウントにおいて、「#地球グミにムチュー」などのハッシュタグを付した上、請求人商品並びにその包装及び個包装等の画像と共に「販売開始後、即完してしまっていた・・・地球グミ・・・店舗によっては、再入荷!再販がはじまってます~!!是非お近くのヴィレヴァン店舗のTwitterをフォローして、最新情報を入手してください!!」と投稿した(甲27の2)。
ツ WEGOららぽーと和泉店は、令和3年11月3日、ツイッターに係る同店のアカウントにおいて、「#地球グミ」などのハッシュタグを付した上、請求人商品の包装等の画像と共に「大人気!!地球グミが再入荷致しました・・・数量限定ですのでお早めにご来店くださいませ」などと投稿した(甲26の5)。
テ 「WEGO広島エリア」なる者は、令和3年11月3日、ツイッターに係るそのアカウントにおいて、「#地球グミ」などのハッシュタグを付した上、請求人商品の包装等の画像と共に「SNSで人気沸騰の・・・地球グミ・・・が本日11/3再入荷致しました・・・大!大!大!人気商品なのでぜひ店頭にてCheckして下さい」と投稿した(甲26の3)。
ト 令和3年11月4日、BABYDOTのウェブサイトに、「念願の地球グミゲット!カルディで品切れ続出プラネットグミ!なんと次回入荷は...!?」と題する記事(甲28)が掲載された。同記事の本文には、請求人商品並びにその包装及び個包装等の写真が掲載されるとともに、「数か月の再販を待ってやっと買えたと思ったらあっという間に完売!なんと次回入荷は年明けだそうです!!!そんな大人気商品!奇跡的に購入できたので食べてみました」、「この前カルディに行ったら『大人気地球グミ発売お一人様3個まで』と書いてあったので、つい購入。沢山箱で積んであったけど、昨日見たらもう売り切れていた」、「SNSで流行っているいわゆる「地球グミ」・・・我が家もずいぶん前から子どもが欲しがっていたのですが、全く手に入らず...夏前ごろにカルディに入荷したと聞きすぐに行ったのですが、すでに完売に・・。次回入荷は10月と書いてありました。3か月以上、まだかな、そろそろかな・・と、通って通ってやっと出会えました!・・・そして先日またカルディを訪れると、「次回入荷は年明けです」!!」、「SNSでは、このパッケージごと口の中に入れて、軽く噛むと中からぐにゅっとグミが飛び出てくると言うのがバズっているのですが・・」、「最近?の流行りに乗りました!とゆーか乗ることができました!」などの記載がされた。
ナ 「WEGO札幌エリア」なる者は、令和3年11月5日、ツイッターに係るそのアカウントにおいて、請求人商品の包装等の画像と共に「お待たせ致しました~~!!人気の地球グミと目玉グミ再入荷しました・・・入荷から数時間でさっそく売れまくってます!人気なので、買い求めはお早めに」などと投稿した(甲26の4)。
ニ WEGO郡山店は、令和3年11月5日、ツイッターに係る同店のアカウントにおいて、請求人商品の包装等の画像と共に「お待たせ致しました大人気!!地球グミ、目玉グミが入荷いたしました」などと投稿した(甲26の1)。
ヌ 請求人は、令和3年11月9日、請求人アカウントにおいて、「#地球グミ」などのハッシュタグを付した上、請求人商品を収容した個包装及び請求人商品の包装の写真、「TikTok流行語大賞2021『地球グミ』がノミネートされました!!」の文字等が記載された画像と共に「『地球グミ』がTikTok流行語大賞2021にノミネートされました!!」などと投稿した(甲3の4)。
ネ 令和3年11月12日付けの日経MJにおいて、「TikTok大人が重宝」などと題する記事(甲8の1)が掲載された。同記事には、幅広い世代で動画投稿アプリ「TikTok」の存在感が高まっていること、TikTokへの投稿がきっかけとなって人気となる商品やサービスも相次いでいること、TikTokがヒットを生むメディアとして注目を集めていることなどが記載されるとともに、「「TikTok売れ」した作品・商品の例」として、「「トローリ プラネットグミ」(地球グミ)独メデラー」がDの小説「残像に口紅を」、Eの楽曲「香水」、アース製薬の商品「らくハピ マッハ泡バブルーン」及び大塚製薬の商品「ファイブミニ」と共に挙げられている。
ノ 前記ネの日経MJにおいて、「15~24歳女性 今年のトレンド」、「「東リベ」や地球グミ」などと題する記事(甲8の2)が掲載された。同記事には、SHIBUYA109の運営会社の研究機関が15歳から24歳までの女性545名に対する調査を行った結果として「SHIBUYA109lab.トレンド大賞2021」を発表したこと、その「カフェ・グルメ部門」の2位に「地球グミ」が入賞したこと、「地球グミ」の個包装を噛んで開ける様子が動画として映えるため、まねする者が多かったことなどの記載がされた。
ハ 本件商標の登録出願日の後である令和4年1月1日、「現代用語の基礎知識2022」(甲36)が発行されたが、同書籍中の「この1年、注目されたこと/モノ」の「食の動向」欄には、「ヒット商品の分野ではドイツ製の『トローリ プラネットグミ』がその見た目から地球グミの俗称で話題に。」との記載がある(なお、同記載中の「地球グミ」の文字は、同欄の他の用語(「ノンアルコール飲料」、「ノンアル」等)の場合と同様、ゴシック体で強調して表記されている。)。
(2)上記(1)によれば、以下のとおり判断できる。
ア 請求人商品は、外国の会社が製造する菓子であり、その名称を「Trolli Planet Gummi」、「Planet Gummi」などとするものであって、請求人商品又はその包装若しくは個包装には、日本語からなる「地球グミ」との文字は記載されていない。
イ しかしながら、請求人商品は、平成30年頃、動画投稿者及びその閲覧者を中心に韓国において大流行したところ、この流行が日本にも飛び火し、請求人商品は、令和2年頃からは、日本においても、動画投稿者及びその閲覧者を中心に大流行し、遅くとも請求人が請求人商品の輸入販売を開始した同年10月までには、全国に店舗を展開する小売業者の中に、請求人商品を「地球グミ」と称してこれを宣伝する者が現れるようになった。
ウ 請求人が請求人商品の輸入販売を開始した後についてみても、請求人商品は、大人気を誇り、小売業者の店舗における販売開始後すぐに完売となるという事態が相次ぎ、その入手が極めて困難な商品となった。
エ 請求人が請求人商品の輸入販売を開始して以来、全国に店舗を展開する小売業者らは、請求人商品を「地球グミ」と称してこれを繰り返し宣伝し、また、請求人商品は、動画投稿サイトにおいても、「地球グミ」と称する商品として大人気を博していた。
オ そのような請求人商品は、令和3年6月、「地球グミ」と称する大人気商品として、全国紙による新聞報道及び在阪の準キー局によるテレビ報道がされるまでに至り、同テレビ報道においては、同年上半期にはやった飲食物としてZ世代が選ぶランキングにランクインした。
カ 請求人商品は、令和3年7月、同様の人気商品として、在京のキー局によるテレビ報道がされるに至り、20代前半の若者が皆知っていることとして紹介された(なお、請求人は、遅くとも同年6月には、テレビ番組において、請求人商品を「地球グミ」と称しており、また、遅くとも同年9月には、請求人商品を「地球グミ」と称する宣伝をするようになった。)。
キ さらに、「地球グミ」と称する請求人商品は、令和3年11月、動画投稿サイトへの投稿がきっかけで人気となった作品又は商品の例として、著名作家の小説、有名シンガーソングライターの楽曲等と並べて紹介されるとともに、渋谷区にある著名な商業施設の運営会社による調査(15歳から24歳までの女性545名を対象としたもの)の結果である「SHIBUYA109lab.トレンド大賞2021」なる賞においても、その「カフェ・グルメ部門」の2位に入賞した。
ク このような「地球グミ」と称する請求人商品の令和3年までの動向を踏まえ、令和4年1月に発行された「現代用語の基礎知識2022」においては、令和3年中に注目された物(食に係るヒット商品)として、請求人商品の俗称たる「地球グミ」の語が取り上げられるに至った。
ケ 以上の事情に照らすと、「地球グミ」の語(引用標章)は、遅くとも本件商標の登録出願日(令和3年12月16日)までには、請求人又は請求人商品の製造業者の業務に係る商品(請求人商品)を表示するものとして、需要者(引用標章が使用される商品の内容及び性質並びに前記(1)の事実に照らすと、若者を始めとするグミキャンディの消費者であると認められる。)の間に広く認識されている商標に該当していたものと認められ、その周知性は、本件商標の登録査定日(令和4年2月22日)においても継続しているというのが相当である。
(3)なお、被請求人は、引用標章は商標として使用されていなかったと主張するが、前記(1)シ、セ、ソ及びヌによると、請求人は、請求人商品に関する広告を内容とする情報に引用標章を付して電磁的方法により提供していたと認められるから、被請求人の主張を採用することはできない。
2 商標法第4条第1項第10号該当性について
(1)引用標章の周知性
前記1のとおり、引用標章は、請求人又は請求人商品の製造業者の業務に係る商品(請求人商品)を表示するものとして本件商標の登録出願時及び登録査定時において、日本国内の需要者の間に広く認識されていたものである。
(2)本件商標と引用標章の類否
前記第1のとおり、本件商標は、「地球グミ」の文字を標準文字で表してなるものである。これに対し、前記第2のとおり、引用標章は、「地球グミ」の文字を書してなるものである。
このように、本件商標と引用標章は、その外観において、極めて相紛らわしいものである。
また、本件商標及び引用標章からは、いずれも「チキュウグミ」の称呼が生じるから、両者は、称呼を同じくする。
さらに、前記1(2)において説示したところに照らすと、「地球グミ」は、需要者の間において請求人商品を指す語であると認識されるといえるから、本件商標及び引用標章からは、いずれも、「地球のグミキャンディ」などの観念のほか、「請求人商品」(商品名を「Trolli Planet Gummi」、「Planet Gummi」などとするグミキャンディ)の観念が生じるといえ、両者は、観念を同じくする。
以上のとおり、本件商標と引用標章とは、称呼及び観念を同じくし、外観において極めて相紛らわしいものであるから、互いに類似する商標(標章)である。
(3)本件商標の指定商品と引用標章の使用商品の類否
前記第1及び第2のとおり、本件商標に係る指定商品と引用標章に係る使用商品は、いずれも「グミキャンディ」であるから、本件商標の指定商品と引用標章の使用商品とは同一である。
(4)小括
以上のとおり、本件商標は、請求人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内の需要者の間に広く認識されていた引用標章と同一又は類似の商標であって、請求人の業務に係る商品と同一の商品について使用をするものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
3 商標法第4条第1項第19号該当性について
商標法第4条第1項第19号は、「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であつて、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもつて使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)」と規定されている。
したがって、本件商標は、上記2のとおり、商標法第4条第1項第10号に該当するものであるから、同項第19号に該当しない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しないとしても、同項第10号に該当するものであるから、本件商標の登録は、同法第46条第1項の規定により、無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-890049