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商標無効審判

2022-890046

審判番号
2022-890046
法域
商標
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
商願2017-145231
登録番号
6060861
請求日
2022年06月17日
審決日
2023年02月14日
公報発行日
2023年07月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社 大阪屋
  • 【請求人代理人】近藤 彰
  • 【被請求人】雪国あられ 株式会社
審判長/審判官
  • 審判長 佐藤 淳
  • 審判官 板谷 玲子
  • 審判官 小俣 克巳
分類
T111 .261-Y (W30) / T111 .262-Y (W30) / T111 .263-Y (W30)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法4条1項11号商標法46条1項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第11号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第6060861号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

理 由 1 本件商標 本件登録第6060861号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成29年10月20日に登録出願、第30類「菓子」を指定商品として、同30年6月4日に登録査定がされ、同年7月13日に設定登録されたものである。 2 引用商標 請求人が、本件商標の登録の無効の理由において、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録第1702497号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、昭和55年4月22日に登録出願、第30類「菓子、パン」を指定商品として、同59年7月25日に設定登録され、その後、平成16年7月7日に指定商品を第30類「菓子及びパン」とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。 3 請求人の主張 請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。 (1)背景事実 請求人は引用商標の商標権者であり、被請求人は引用商標の通常使用権者である。被請求人は引用商標の通常使用権者にも関わらず、引用商標の表現態様をそのまま採用した本件商標の出願を行って登録を受けたものである。 (2)使用商品の同一 本件商標は引用商標と同一の商品に使用するものである。 (3)本件登録と引用商標の類似 ア 引用商標と本件商標の態様 (ア)本件商標は、全体を観察すると、「雪国に特有の服装の2人(子供)とかやぶき屋根の家屋とその間の足跡」の構成態様から「昔の雪国における少年少女の外出時の状況」を表現したものと認められる。また、二人の子供に着目すると「モンペのような昔風の服装の少年と少女で、少年は頭巾を被り、少女は雪帽子を被っている」絵柄から「昔ながらの服装をした雪国の少年少女」(以下「雪ん子」という。)が表現されている。 なお、「雪ん子」は頭部から肩まで覆う雪帽子を装着した少女のことを意味しているが、本件においては説明しやすいように少年も「雪ん子」とした。 (イ)引用商標は、全体を観察すると、「降雪の山里の風景と、雪国に特有の服装の2人(子供)と、かやぶき屋根の家屋とその間の足跡」の構成態様から「雪国における少年少女の外出時の状況」を表現したものと認められる。また、二人の子供に着目すると「頭巾を被った少年と、雪帽子を被った少女」から「雪ん子の少年少女」が表現されている。 (ウ)本件商標と引用商標を対比すると、共通点として、(a)雪ん子と家屋と足跡を含む全体のモチーフ(表現のテーマ)の一致、(b)雪ん子の構成(頭巾の少年と雪帽子の少女が寄り添っている態様)の一致が認められ、相違点として、(c)縁取りの有無、(d)降雪の山里の風景の有無(里山風景の有無)、(e)雪ん子の服装の細部の相違が認められる。 イ 引用商標と本件商標の外観類似 引用商標と本件商標とは、共通点(a)、(b)の「二人の雪ん子と、足跡と、足跡の先のかやぶき屋根の昔風の家屋」の表現構成が一致しており、商標全体の図柄の表現テーマである「雪ん子の外出」が認識され、前記の表現構成が強く印象付けられる。 相違点(c)の表現構成は、当該商標を商品に付した際に、包装部材の地模様との区別をする程度のもので、商品出所の識別機能としては非常に低い。 また、相違点(d)の表現構成は、商標全体の表現テーマ(雪ん子の外出)や二人の雪ん子に比較して印象が弱い。 さらに、相違点(e)の表現構成について考察すると、少年の「ちゃんちゃんこ」と「どてら」の相違、「藁沓」の有無、雪帽子が「無地と藁」である点の相違が認められるが、本件商標の「雪ん子」の表現構成が一般的に「雪ん子」を表現する程度のものである。 したがって、両商標の「雪ん子」は、全体の服装の印象から通常のありふれた「雪ん子」を表現していると認められ、「雪ん子」自体を表現している以上の強い印象は与えない。 需要者は一般に図形商標の細部まで正確に記憶するものとはいえず、図形から受ける主たる印象によって記憶される場合が多く、本件商標と引用商標とは全体の表現テーマとなる全体の表現構成が一致し、同一の印象をもって記憶され、両商標を使用した場合の商品出所の誤認混同のおそれが大きいので、外観上両商標は類似する。 ウ 引用商標と本件商標の観念類似及び称呼類似 本件商標は、図形商標であり当該図形は「雪国における子供(雪ん子)の外出」を表現しているので、「雪国における子供(雪ん子)の外出」が観念され、仮に称呼するとするならば「ユキンコノガイシュツ」と称呼される。 引用商標において、当該図形から「雪国における子供(雪ん子)の外出」が観念され、「ユキンコノガイシュツ」と称呼される。 したがって、本件商標と引用商標とは、観念及び称呼上同一である。 エ まとめ 以上のとおり、本件商標と引用商標とは、全体の表現テーマ(雪ん子の外出)を表現する構成態様が一致し、外観上類似すると共に、観念・称呼において区別し得るものではないので、本件商標は引用商標に類似し、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当し、同法第46条第1項第1号により、無効にすべきものである。 4 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べた。 (1)類似した商標の指摘には本質的な根拠に無理がある。 本件商標は被請求人たる雪国あられの社名にちなんで開発登録申請した商標である。 社名の「雪国」に連想される、雪国の風景(里山の風景)や人々そして暮らしをイメージして作成された。 商標にある「雪ん子」もその一つであり、インターネットで「雪ん子」の画像を検索すれば、同様の藁頭巾・藁帽子をかぶり、どてらやちゃんちゃんこを着てもんぺのようなズボンを履いた少年・少女の画像が多種・多様に検索され、一般的なイメージと推察される。 また、雪の上を歩いた足跡の表現は雪自体が白色の為、足跡が黒い点のように表現されることも一般的な表現法と思う。 白川郷に代表されるような藁ぶき屋根の古民家は雪国の風景として誰のイメージにもあるものであり、日本の雪国を想像すれば登録商標にあるようなイメージが思い浮かぶのは自然なことと考える。 構図や表現形態の類似との指摘があるが、上記のような一般的なイメージが似ているのは全て個人的な感想であり、本件商標を申請する際には引用商標とは異なるデザインを考え特許庁の許可を得たものである。 一般的な雪国のイメージで作成された本件商標が類似と指摘されるのは他の全ての一般的な雪国のイメージを違法類似商標と認識すると同等と推察し本質的な根拠に無理がある。 ただ似ているというだけで登録無効とすることは独占禁止法が定める公正かつ自由な競争にも抵触するのではないかと考える。 (2)商品の誤認混同には全く根拠がない。 使用商品の同一において誤認混同されるおそれがあるとの指摘であるが、引用商標が表示された商品と本件商標が表示された商品を二つならべて販売したとしても似た絵が描いてあるとの認識はされるであろうが、商品を誤認するとは考えられず、根拠に欠けると思わざるを得ない。 引用商標は一般に広く認知された商標でもなく、有名な商標でもない。誤認混同の理由が「ただ似ているから」だけでは根拠にならない。 (3)まとめ 以上のことから、本件商標を無効とすることは不当である。 5 当審の判断 (1)本件審判の請求の利益 請求人が本件審判を請求することについて、被請求人は利害関係について争っておらず、また、当審は請求人が本件審判を請求する利害関係を有するものと認める。 よって、本案に入って審理し、判断する。 (2)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標 本件商標は、別掲1のとおり、(a)上部に配された、屋根の形状等から昔風の家を表したものと看取させる図形、(b)下部に配された、頭部を覆う頭巾をかぶり、ちゃんちゃんこを羽織った男の子と、頭部から身体まで覆う頭巾と着物風の衣服を身につけた女の子(共に頭部が大きいことから、子どもとして把握させる。)を表したものと看取させる図形、(c)上記(a)の図形の下から(b)の図形の右側にかけて、概ね2列で配された黒塗りの円形図形からなるものである。 そして、上記(a)ないし(c)から構成される本件商標は、円形図形の配置や数から足跡を連想させ、これと、家と人物も含めた位置関係から、上記男の子と女の子が家から出てきた様子をイラスト風に表現するものとして把握、認識させるものであるが、特定の称呼及び観念は生じないとみるのが相当である。 イ 引用商標 引用商標は、別掲2のとおり、正方形の枠内に(a)上半分全体に配された多数の点、(b)中央右側に配された、屋根の形状等から昔風の家を表したものと看取させる図形、(c)中央に配された曲線、(d)上記(b)の図形の右側に配された曲線及び黒塗りの図形、(e)下部左側に配された、頭部を覆う頭巾をかぶり、着物ともんぺと思しき衣服を着て、藁沓を履いた男性と、頭部から身体まで覆う蓑を身につけて、着物ともんぺと思しき衣服を着て、藁沓を履いた女性(身体のバランスから、子どもとまでは連想しない。)を表したものと看取させる図形、(f)上記(b)の図形の下から(e)の図形の右側下方にかけて、概ね2列で配された黒塗りの楕円図形からなるものである。 そして、正方形の枠内に表した上記(a)ないし(f)から構成される引用商標は、多数の点から降雪を、及び楕円図形の配置や数から積雪を踏み締めた足跡を看取させ、これと、家と人物、それらの間にある曲線や黒塗りの図形も含めた位置関係から、山あいで雪が降り積もる中、上記人物が家の方向から歩いてきた様子を表現するものとして把握、認識させ、その全体をもって、雪が降り積もる昔ながらの雪国の情景を描写したものと印象づけるものであるが、特定の称呼及び観念は生じないとみるのが相当である。 ウ 本件商標と引用商標との類否について 本件商標と引用商標は、それぞれ、前記ア及びイのとおりの構成からなるところ、両商標を対比すると、その構成に男女、家及び足跡を思わせる図形を有する点に共通性があるということはできる(但し、上記男女について、本件商標は子どもとして把握させるのに対し、引用商標ではそのように把握させることはない。)。 しかしながら、本件商標が、上記各図形のみから構成されるイラスト風に表現されたものであって、シンプルなものとして記憶にとどめられるといえるのに対し、引用商標においては、上記各構成要素のほかに、上半分全体に配された多数の点や、中央に配された曲線及び黒塗りの図形を有することにより、その構成全体として、雪が降り積もる昔ながらの雪国の情景を描写したものと印象づけられ、そのような印象をもって素朴な雰囲気を醸すものとして記憶にとどめられるものといえる。また、引用商標の構成において、男女、家及び足跡を思わせる図形のみが強く印象づけられるというべき事情は見いだせない。 してみれば、本件商標と引用商標とは、外観上区別することができるというべきである。 また、本件商標と引用商標は、いずれも特定の称呼及び観念が生じないものであるから、称呼及び観念上、比較することはできない。 そうすると、本件商標と引用商標とは、称呼及び観念において比較できず、外観において区別できるものであるから、これらを総合して判断すれば、両商標は、非類似の商標とみるのが相当である。 以上のとおり、本件商標は、引用商標と非類似の商標であるから、指定商品が同一又は類似であるとしても、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (3)請求人の主張について 請求人は、本件商標と引用商標の相違点である降雪の山里の風景の有無は商標全体の表現テーマ(雪ん子の外出)や二人の雪ん子に比較して印象が弱く、両商標は全体の表現テーマとなる全体の表現構成が一致し、同一の印象をもって記憶されるなどとし、外観上類似する旨主張している。 しかしながら、引用商標は、前記(2)イのとおり、その構成全体をもって、雪が降り積もる昔ながらの雪国の情景を描写したものと印象づけるものというのが相当であり、降雪の山里の風景について印象が弱いとはいえない。そして、前記(2)ウのとおり、本件商標と引用商標とは、その外観によって与える印象、記憶等が異なるものであって、非類似の商標とみるのが相当である。 したがって、請求人の上記主張は採用することができない。 (4)むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。 よって、結論のとおり審決する。

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