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商標無効審判

2022-890037

パンパラグ、パンパラッグ、パン、ピイエイエヌ、パラグ、パラッグ

審判番号
2022-890037
法域
商標
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
商願2020-137663
登録番号
6387055
請求日
2022年05月13日
審決日
2023年09月21日
公報発行日
2024年01月26日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社 タージ・エンタープライズ
  • 【請求人代理人】砂川 惠一
  • 【被請求人】合同会社 DELHI MAHAL GROUP
  • 【被請求人代理人】大澤 豊
  • 【被請求人代理人】大沼 加寿子
審判長/審判官
  • 審判長 矢澤 一幸
  • 審判官 豊田 純一
  • 審判官 杉本 克治
分類
T111 .22 -Y (W34) / T111 .222-Y (W34)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法4条1項7号商標法4条1項19号商標法46条1項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第19号、商標法第36条、商標法第46条第1項第1号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第6387055号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6387055号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、令和2年10月26日に登録出願、第34類「たばこ」を指定商品として、同3年3月12日に登録査定、同年5月11日に設定登録されたものである。 第2 請求人が引用する商標 請求人が、本件商標の登録の無効の理由において、本件商標が商標法第4条第1項第7号及び同項第19号に該当するとして引用する商標は以下の1ないし3のとおりである。 1 インド商標登録出願第453959号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、1986年5月12日に登録出願、第34類「CHEWING TOBACCO TREATED.」を指定商品とするものであり、引用商標1の権利者は「PAN PARAG INDIA LIMITED」である。 2 米国商標登録第4154569号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲3のとおりの構成よりなり、2010年3月23日に登録出願、第34類「Chewing tobacco.」を指定商品とするものであり、引用商標2の権利者は「Pan Parag India Limited limited corporation INDIA」である。 3 米国商標登録第4081708号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲3のとおりの構成よりなり、2010年3月23日に登録出願、第3類「BREATH FRESHNER,NAMELY,PAN MASALA.」を指定商品とするものであり、引用商標3の権利者は「Pan Parag India Limited limited coration INDIA」である。 なお、以下、引用商標1ないし引用商標3をまとめていう場合は「引用商標」といい、引用商標の権利者は、「引用商標権者」又は「PAN PARAG社」という。 第3 請求人の主張 請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を、審判請求書、令和5年3月2日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)及び同日付け回答書(以下「回答書」という。)において、要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第25号証(枝番号を含む。)を提出した。 なお、以下、証拠の表示については、「甲第○号証」を「甲○」、「乙第○号証」を「乙○」のように、簡略して表記する場合があり、枝番号の全てを引用する場合は、枝番号を省略して記載する。 1 無効理由 本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同項第19号に該当するものであるから、同法第46条第1項第1号により、無効にすべきものである。 2 具体的理由 (1)審判請求書による主張 ア 本件商標が、他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と類似することについて 甲第2号証には、引用商標1が本件商標の登録出願前の昭和61年5月12日に、インドで登録されていることが記載されており、同年1月31日の使用日が認定されており、引用商標1は使用により周知となっているものと考えられる。 甲第3号証及び甲第4号証には、引用商標2と引用商標3が米国で登録され、引用商標2は本件商標の登録出願前の平成8年1月22日から、引用商標3は、本件商標の登録出願前の昭和61年5月12日から使用されていることが記載されており、引用商標2及び引用商標3は使用により周知となっているものと考えられる。 本願商標(審決注:引用商標の誤記と認める、)に係る商品が、我が国のほか、ニュージーランド、米国、UAE(アラブ首長国連邦)、シンガポール、マレーシア、オーストラリア、英国、カナダ、ドイツ及び南アフリカの各国に輸出されていたことが記載されており、各国で消費されたことで、周知となっている。 また、「PAN PARAG社」のWEBページの「Milestone」ページは、同社の歴史が記載されているが、商標「Pan Parag」が使用された商品が、1973年に販売開始されたこと(甲9の1)、商標「Pan Parag」がNational Awardを受賞したことが記載されており(甲9の2)、インドにおいて長期間販売され、受賞したことで、周知となっていることがわかる。 イ 不正の目的について 甲第5号証には、引用商標権者の許可なく商標登録を受けることは侵害行為である旨の記載があり、甲第6号証には、本件審判の請求人である株式会社タージ・エンタープライズ(以下「タージ社」という。)が我が国唯一の代理店である旨が記載されている。 したがって、被請求人である本件商標の権利者(以下「本件商標権者」という。)が我が国に本件商標を登録出願した行為は、引用商標権者の許可を得ていないものと推認される。 その上で、本件商標権者は、本件商標に係る商品の販売中止、商品回収などを要求している。 これは、正当な販売権を有する請求人に成り代わって不当な利益を得る目的の行為であり、また、請求人に損害を与える目的の行為である。 ウ 商標法第4条第1項第19号の該当性について 本件商標は、他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもって使用をするものに該当する。 エ 国際信義違反について 販売中止等の要求の対象となっている商品は「噛みタバコ」である。現在の我が国のタバコの需要者にとっては、なじみの薄いタバコであるが、愛好者は多くの国に存在しており、日本国内の需要もほとんどは国内在住の外国人によるものである(甲8)。 そのような商品の流通を、引用商標権者が我が国において商標権を取得していないことを奇貨として、本件商標の商標権(以下「本件商標権」という。)を取得し、従来の流通ルートを妨害して不正の利益を得る目的の行為を行うことは、国際信義に反し我が国全体のイメージを損なう可能性があり、著しく公序良俗に反するものである。 オ 商標法第4条第1項第7号の該当性について 本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標に該当する。 カ 利害関係について 請求人は、「合同会社DELHI Mahal Group」からの通知書(甲7)における被通知者であり、本件商標に係る商品の販売中止等を要求されているので、本件審判事件の利害関係人である。 (2)弁駁書による主張 ア 商標法第4条第1項第19号について (ア)周知性について 被請求人は、乙第1号証により、本件商標が、輸出商品のほとんどが「マウスフレッシュナー」であるため、引用商標1及び引用商標2(指定商品「噛みタバコ」)の周知性の立証たり得ないと主張する。 しかし、商標法第4条第1項第19号においては、他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であることが要件であり、指定商品及び指定役務の類否は問わないものであるので、周知性立証の証拠たり得るものである。 そして、甲第10号証のPAN PARAG社のウェブサイトのProducts(製品リスト)に示される商品に付された商標の態様と、甲第11号証に示す甲第12号証の請求書に記載された商品名とを比較すると、世界各地に長年にわたって輸出されたPAN PARAG社の商品には本件商標と同一又は類似の商標(甲第10号証における赤枠で囲った部分)が付されており、十分な周知性を獲得しているものである。 さらに、甲第13号証に示すとおり、PAN PARAG社はZEE CINE AWARDSという映画祭の2004年ドバイ開催を後援している。 甲第14号証に示すとおり、ZEE CINE AWARDSは、1998年から開催されているインドのヒンディー語映画産業の授賞式である。 インド国内開催から、甲第14号証に示すとおり、国際化に伴いドバイ開催となった2004年に後援したことにより、商標「Pan Parag」はインド及び諸外国において、本件商標の登録出願前に周知性を獲得している。 そして、甲第15号証に示すとおり、商標「Pan Parag」は2003年に3件AMGFによるFMCG AWARDSを、2004年にAMGFによるConsumer Woerld AWARDSを受賞し、2009年と2010年にTOBACCO BOARDによるTOBACCO BOARD FORMATION DAY CELEBRATIONSを受賞している。 AMGFは、甲第16号証に示すとおり、1981年10月19日に設立された非政府系企業である公社であり、資本金から見て、大規模なものであり、ここから受賞することにより、商標「Pan Parag」はインドにおいて、本件商標の登録出願前に周知性を獲得している。 このAMGF情報を提供するZAUBA CORPORATIONは、甲第17号証に示すとおり、インドで手広く企業情報を提供する会社で、AMGF情報には信頼を置くことができる。 TOBACCO BOARDは、甲第18号証に示すとおり、タバコ生産者とインドタバコ産業の総合的な発展に努めることを設立目的とするインド政府商工省内の委員会で、ここから受賞することにより、商標「Pan Parag」はインドにおいて、本件商標の登録出願前に周知性を獲得している。 (イ)不正の目的 本件商標権者は、甲第19号証に示すとおり、インド等における周知な商標「Pan Parag」の所有者に無断で、我が国において同商標の商標権を取得しており、また、甲第20号証に示すとおり、請求人が同商標を使用する商品の我が国で唯一の代理店である。 なお、甲第5号証と甲第6号証では、差出人の名称に一部相違があるが、甲第19号証と甲第20号証に示すとおり、住所と電話番号が同一のため、同一の差出人と認められる。 かかる状況において、本件商標権者は、甲第21号証に示すように、本件商標に係る商品の販売中止、商品回収などを要求している。 これは、正当な販売権を有する請求人に成り代わって不当な利益を得る目的の行為であり、また、請求人に損害を与える目的の行為である。 なお、甲第21号証の1ページ目の赤枠内に通知人である本件商標権者、4ページ目の赤枠内に非通知人として、TAJ INTERPRISESが記載されているが、これは、請求人である株式会社タージ・エンタープライズの英文名称の誤記と考えられる。 甲第22号証に示すとおり、PAN PARAG社と請求人の間では、甲第21号証の通知発送前から、継続的に取引が行われている。 甲第23号証には、TAJ ENTERPRISES LTDの記載があり、被請求人はLTDを省略し、ENTERPRISESの1文字目のEをIと誤記したものと思われる。 通知書の受取人住所は、名刺の住所と異なるが、甲第24号証と、甲第25号証から、移転前の住所と一致していることが分かる。 以上より、請求人は、引用商標権者と利害関係人であること、及び、本件商標権者による行為は、請求人に成り代わって不当な利益を得る目的の行為であり、また、請求人に損害を与える目的の行為であることが証明される。 したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもって使用をするものに該当し、商標法第46条第1項第1号により、無効にすべきものである。 イ 商標法第4条第1項第7号について (ア)国際信義違反について 販売中止等の要求の対象となっている商品は「噛みタバコ」である。 現在の我が国のタバコの需要者にとっては、なじみの薄いタバコであるが、甲第12号証に示すとおり、愛好者は多くの国に存在しており、日本国内の需要もほとんどは国内在住の外国人によるものである。 また、被請求人は、日本国内のタバコ愛好者にとって入手可能か否かが問題であって、流通ルートが異なることには関係がないと主張するが、甲第19号証及び甲第20号証に示すとおり、本件商標権者には、PAN PARAG社が取引を認めておらず、本件商標権者とPAN PARAG社との取引記録も開示されていないため、適切な流通を確保できることについて疑義があり、日本国内のタバコ愛好者にとって入手困難になる可能性が高い。 日本国内において品薄になった商品を、本件商標権を盾にとって、外国における商標権者において不本意な販売契約を結ぼうとするものであると推認される。 また、外国において正当に商標が付された商品を輸入して日本国内において販売する行為は、商標権侵害としての違法性を欠く場合に当たらない(平成14(受)1100)にもかかわらず、請求人が取り扱う商品の真贋も問わず、直ちに販売中止と商品回収を要求したことは、国際信義に反し我が国全体のイメージを損なう可能性があり、著しく公序良俗に反するものである。 (イ)商標法第4条第1項第7号の該当性について 以上より、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標に該当し、同法第46条第1項第1号により、無効にすべきものである。 (3)回答書における主張 ア 「PAN PARAG」と称する商品(以下「本件商品」という。)の販売を中止し、既に販売した全ての本件商品の回収を求める通知書(甲7)について 合議体は、令和5年1月27日付け審尋(以下「審尋」という。)において、通知書(甲7)は「貴社」に該当する社に送付されたと考えられるところ、本通知書において、「貴社」に該当する社名の記載はないため、通知書を受領した者が請求人であることを確認できないとする暫定的見解を示している。 そこで、「貴社」に該当する社名の記載がある通知書を添付する。 イ 引用商標権者と請求人との関係について 合議体は、審尋において、引用商標権者と請求人との関係は明らかではないとする暫定的見解を示しているが、これについて、引用商標権者であるPAN PARAG社から請求人への請求書を添付する。 ブランド所有者/許諾者名としてPAN PARAG INDIA COMPANYとあるが、これはPAN PARAG社の意であり、荷受人としてTAJ ENTERPRISES LTDの記載があり、その住所も名刺の住所と一致している。 請求書の日付は2021年12月6日、同月28日、2022年6月14日、同日、2023年1月17日となっており、被請求人から請求人への通知書差出以前から現在に至るまで、引用商標権者と請求人とは取引関係にあることが証明される。 第4 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を、令和4年8月3日付け審判事件答弁書において、要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第4号証を提出した。 1 商標法第4条第1項第19号について (1)引用商標の周知性について 請求人は、PAN PARAG社が所有する引用商標が、商標法第4条第1項第19号の「外国における需要者の間に広く認識されている商標」であると主張している。 ところで、引用商標が商標法第4条第1項第19号に規定の「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標」に該当するためには、日本国又は外国においていわゆる周知になっていることが要件とされる。 そして、請求人は、引用商標1については、「引用商標1が本件商標出願前の昭和61年5月12日にインドで登録されていることが記載されている。同年1月31日の使用日が認定されており、引用商標1は使用により周知となっているものと考えられる。」と、引用商標2及び引用商標3については、「甲第3号証にかかる商標は本件商標出願前の平成8年1月22日から、甲第4号証にかかる商標は本件商標出願前の昭和61年5月12日から使用されていることが記載されており、引用商標2及び引用商標3は使用により周知となっているものと考えられる。」旨主張している。 しかしながら、甲第2号証ないし甲第4号証から分かる事実は、引用商標はいずれも登録出願時には使用されていたという事実のみである。 確かに、インド、アメリカのどちらの国も、使用主義を採用してはいるが、登録出願時に要求されるのは最初に使用を開始した日のみであり、甲第2号証ないし甲第4号証からはどの程度の使用がされているか、周知に至るほどの使用であるかは一切不明である。 つまり、甲第2号証ないし甲第4号証からは、引用商標が周知であることは証明されていない。 次に、請求書の第3頁4行目に「甲第8号証には、本願商標にかかる商品が、ニュージーランド、米国(中略)の各国に輸出されていたことが記載されている。各国で消費されたことで、周知となっている。」旨の記載がある。 ここで「本願商標」との記載があるが、本願商標とはいかなる商標を指すのか不明である。 また、単にINVOICEを提出しているが翻訳文もなければ、当該INVOICEをリスト化したものも提出されていない。 INVOICEに記載されている輸出先の国、輸出した日、輸出した商品、その販売量及び販売額等のデータをリストなどで可視化していないのは、とりもなおさず、各国へ輸出しているといっても周知性を獲得しているといえる程の使用ではないからであると考えられる。 そこで、甲第8号証について日付と輸出先国と輸出した商品、金額を表にしたものを乙第1号証として提出する。 リストは各年ごと、国ごとに並べ直したものである。 リストに記載された日付は、2014年から2020年の間のものであるが、周知性を証明するに十分なデータであるとはいえない。 また特に、輸出商品のほとんどが「マウスフレッシュナー」であるため、引用商標1及び引用商標2(指定商品「噛みタバコ」)の周知性の立証たり得ない。 さらに、INVOICEからは輸出したことは分かるものの、INVOICEに記載された商品に対する領収書に相当するものは存在しておらず、INVOICEに記載された商品を輸出先の会社が受け取ったことを証明するものはない。 そして、輸出先の国において、実際に販売された数やその売上額は全く不明である。 また、各国におけるマウスフレッシュナー市場がどの程度であり、当該市場におけるPAN PARAG社のシェアがどの程度かも不明である。 したがって、かかる証拠からは引用商標が周知であったことは証明できていない。 次に、請求人は、甲第9号証を提出し、インドで周知になっていると主張している。 なお、当該証拠についても翻訳文の提出がなされていないが、甲第9号証の1における1973年の記載は、単にマウスフレッシュナー「PAN PARAG」が発売されたことが記載されているだけであって、商標自体は示されていない。 つまり、周知性を獲得していることを示す根拠となる記載は一切ない。 また、甲第9号証の2には、1987年にPAN PARAG社がNational Awardを受賞したことが記載されているだけであり、National Awardがどのような賞であるのかは記載されておらず、当該賞がどのような権威があるものであるかは全く不明である。 付け加えれば、1987年に受賞したことのみでは、本件商標の登録出願時及び査定時の周知性を証明することにはならない。 以上より、引用商標は、周知な商標、すなわち、商標法第4条第1項第19号に規定される「外国における需要者の間に広く認識されている商標」には該当しない。 (2)不正の目的について 先ず、請求人は不正の目的を証明するための甲第5号証及び甲第6号証について翻訳文を提出していない。 当該証拠は、本件商標権者が不正の目的をもって、本件商標権を取得したことを証明するものであるから、正しい翻訳文を提出すべきである。 したがって、かかる英文のみでは不正の目的を証明する証拠たり得ないものと考える。 なお、甲第5号証は、引用商標権者であるPAN PARAG社が自社から商品を購入している者に対して発出した書面のようであり、当事者同士においてしか意味をなさないと考える。 また、甲第6号証はPAN PARAG社が請求人を日本国内の公式代理人として選任した文書のようであるが、あくまでも両者の間の契約にすぎない。 そして、かかる文書中には、請求人が20年にもわたって我が国でPAN PARAG社のために働いてきたとの記載があるにもかかわらず、請求人に日本国内での商標権取得を認める旨の記載はないようである。 加えて、PAN PARAG社は、アメリカ国内で商標を取得した実績があるにもかかわらず、我が国での商標権取得に向けての手続きを一切とっていない。 こうした事実は、PAN PARAG社が日本国内で商標権を取得する意思がないとも受け取れるものである。 よって、甲第5号証及び甲第6号証は、不正の目的を証明する証拠たり得ない。 そもそも、本件商標権者は、日本国内において正当なビジネスを展開するために、本件商標権を取得したのであり、請求人への通告(甲7)も当該商標権に基づくものであって正当である。 また、本件商標権者が本件商標をPAN PARAG社へ高額で買い取らせるように契約をもちかけたという事実も存在しない。 したがって、本件商標の登録出願時及び登録査定時のいずれにおいても、本件商標権者には「不正の目的」はなかった。 (3)結論 以上より、引用商標は、商標法第4条第1項第19号に規定される「外国における需要者の間に広く認識されている商標」には該当しないものであり、また「不正の目的」も存在しない。 よって、引用商標との類否について言及するまでもなく、本件商標は商標法第4条第1項第19号に該当するものではなことは明らかである。 2 商標法第4条第1項第7号について 請求人は、本件商標権者による本件商標を付した商品の販売中止等の要求について、「販売中止等の要求の対象となっている商品は「噛みタバコ」である。現在の日本人にとってはなじみの少ないタバコではあるが、甲第8号証に示すとおり、愛好者は多くの国に存在しており、日本国内の需要もほとんどは国内在住の外国人によるものである。」旨主張している。 そこで、甲第8号証について、乙第1号証のリストを国別に並べなおしたものを作成した(乙2)。 乙第2号証をみれば明らかであるが、複数の国といっても、提出されている38件のINVOICEの内訳はアメリカ13件、マレーシア6件、ニュージーランド5件、シンガポール及び日本各3件、イギリス、オーストラリア及びカナダが各2件、ドイツ及び南アフリカ各1件にすぎない。 また、「甲第8号証に示すとおり、愛好者は多くの国に存在している」旨主張しているが、輸出した商品のほとんどがマウスフレッシュナーであり、噛みタバコはマレーシアの5件のみである。 我が国についてのINVOICE3件も全てマウスフレッシュナーであるから、甲第8号証では、噛みタバコの愛好者が我が国を含む多数の国に存在していることを証明できていない。 また、「従来の流通ルートを妨害している」旨主張するが、日本国内のタバコ愛好者にとっては入手可能であるか否かが問題であって、流通ルートが異なることは関係がない。 「従来の流通ルート」が変更となって困るのは、当該流通ルートに関わっていた輸入業者、販売業者のみである。 しかしながら、乙第2号証からわかるように、「噛みタバコ」を我が国に輸入している証拠は提出されていない。 また、本件商標の「Pan Parag」とリボンの図形の組みあわせの商標は、インドのPAN PARAG社のみが使用しているわけではなく、ネパールでは別の者が2006年に商標権を取得している(乙3)。 つまり、「Pan Parag」の文字とリボンの図形の結合商標については、PAN PARAG社が全世界で独占権をしているわけではない。 なお、乙第3号証の公報に掲載されている出願日をヴィクラマ歴から西暦に変換するサイトにて変換した結果をプリントアウトしたものを乙第4号証として提出する。 乙第4号証に示すとおりの状況であるから、本件商標について本件商標権者が本件商標権を取得することは国際信義に反するものではなく、公序良俗には反しない。 以上より、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものではない。 第5 当審の判断 1 本件審理に関し、当事者間において利害関係について争いがあるので、以下、検討する。 (1)請求人が本件審判事件の利害関係人であるか否かについて 請求人が本件審判事件の利害関係人であるか否かについては、請求人が、本件商標と同一又は類似である商標を商品「たばこ」について、使用していた又は使用している者と認めることができるか否か、当該商品について、製造、販売する権利を有しているか否か、当該商品を製造、販売することについての計画を有しているか否か、本件商標の存在により商品の出所の混同による不利益を被る可能性を有する者であるか否か、本件商標と同一又は類似である商標を当該に将来使用する可能性を有する者であるか否か、本件商標の専用使用権者、通常使用権者であるか否か及び本件商標権について訴訟関係にある者、又は訴訟関係にあった者若しくは警告を受けた者であるか否かについて判断し、これらのうち1つでも該当する場合は、請求人は本件審判事件の利害関係人と判断すべきである。 (2)回答書による請求人の主張及び同人が提出した証拠について 「PAN PARAG」と称する商品(以下「本件商品」といいます。)の販売を中止し、既に販売した全ての本件商品の回収を求める通知書(甲7)は、回答書による請求人の主張及び同人が提出した証拠によると、令和4年2月4日に、本件商標権者の代理人から請求人に送付されていることが推認できる。 そうすると、請求人は、本件商標権について警告を受けた者に該当する。 (3)まとめ 以上からすると、請求人は、本件審判事件の利害関係人であると認められる。 よって、本件は、本案に入って審理し判断する。 2 本件商標の商標法第4条第1項第7号及び同項第19号該当性について (1)請求人と引用商標権者との関係について 請求人は、その名称が、「株式会社 タージ・エンタープライズ」であるのに対し、引用商標権者は「PAN PARAG社」であるから、両社は同一ではない。 なお、請求人は、「Taj Enterprise」が「PAN PARAG」と称する商品に関する我が国で唯一の代理店であることを立証するとしてPAN PARAG社からの手紙(甲6、甲20)を提出しているが、当該書類における記載によれば、請求人とPAN PARAG社の間で「PAN PARAG」と称する商品のプロモーション及び販売に関する代理店契約を結んでいることは確認できるものの、これは、あくまでも、請求人が、PAN PARAG社の取り扱う「PAN PARAG」と称する商品のプロモーションや販売を我が国において行うことができることについて記載されているにすぎず、我が国における「PAN PARAG」商標の商標権の取得行為やPAN PARAG社を代理して、審判請求を行うこと等が承認されているものではない。 また、請求人が実際に、PAN PARAG社の「PAN PARAG」と称する商品のプロモーションや販売を行ったことは確認することができない。 そうすると、請求人と引用商標権者とは取引関係にあることは推認できるとしても、請求人が、本件商標の無効審判の請求に当たり、引用商標権者を代理して、本件審判の請求を行ったものとは判断できない。 (2)引用商標を含む「Pan Parag」商標の周知著名性について 請求人の提出した証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。 ア 請求人は、「PAN PARAG」と称する商品が、我が国のほか、ニュージーランド、米国、UAE(アラブ首長国連邦)、シンガポール、マレーシア、オーストラリア、英国、カナダ、ドイツ及び南アフリカの各国に輸出されたことを立証するとして、請求書(甲8、甲12)を提出し、当該商品が、輸出された各国で消費されたことにより、周知となっている旨主張する。 しかしながら、「PAN PARAG」と称する商品が輸出されたとする我が国を含む各国において、当該商品が実際に販売された事実は明らかではなく、仮に、実際に各国において、当該商品が販売された場合であっても、販売数量や消費量、市場シェア等が明らかではない。 イ 請求人は、「Pan Parag」という商標が、本件商標の登録出願前に周知であったとし、引用商標に関する書面(公報)(甲2~甲4)、PAN PARAG社のウェブサイト(甲10)と請求書(甲12)との対照表(甲11)、PAN PARAG社が「ZEE CINE AWARD」のドバイ開催の後援を行ったこと(甲13~甲14)、商標「Pan Parag」は2003年に3件AMGFによるFMCG AWARDSを、2004年にAMGFによるConsumer Woerld AWARDSを受賞し、2009年と2010年にTOBACCO BOARDによるTOBACCO BOARD FORMATION DAY CELEBRATIONSを受賞していること(甲15~甲18)についての証拠を提出している。 しかしながら、引用商標に関する書面(公報)(甲2~甲4)からは、引用商標が引用商標権者により使用されていた可能性があることは確認できるとしても、これらの証拠により、引用商標を含む「Pan Parag」という商標が、本件商標の登録出願前に周知であったと認めることはできない。 また、PAN PARAG社のウェブサイト(甲10)のProducts(製品リスト)において、「PAN PARAG」と称する商品が販売されていることは確認できるが、当該商品の販売数量等は確認することができない。 さらに、PAN PARAG社のウェブサイトと請求書との対照表(甲11)の表中の「商品」の欄に記載されているのは商品「パンパラグマウスフレッシュナー」がほとんどであり、「Pan Parag」という商標が使用された「噛みたばこ」の取扱いはわずかであるとといわざるを得ない。 加えて、「ZEE CINE AWARD」、「FMCG AWARDS」、「Consumer Woerld AWARDS」及び「TOBACCO BOARD FORMATION DAY CELEBRATIONS」の各賞が、どのような規模で開催され、どのような基準で選ばれるのか、どのような権威があるのかは、不明であり、これらの受賞歴をもって、引用商標を含む「Pan Parag」という商標が、本件商標の登録出願前に周知であったと認めることはできない。 ウ その他、請求人は、引用商標を含む「Pan Parag」という商標の宣伝広告の頻度や費用、当該商品の我が国における市場占有率(シェア)等の事実を裏付ける具体的な証拠の提出もない。 エ そうすると、請求人が提出した全証拠によっては、引用商標を含む「Pan Parag」商標の客観的な事実に基づく周知著名性を判断することができないため、当該商標の周知著名性の程度を推し量ることができない。 オ したがって、引用商標を含む「Pan Parag」商標が我が国又は外国において、請求人又はPAN PARAG社の取扱い係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識され、本件商標の登録出願時及び登録査定時に周知著名性を獲得していたとは認められないものである。 (3)本件商標と引用商標の類否について ア 本件商標について 本件商標は、別掲1のとおりの帯状背景図形内に「PAN PARAG」の欧文字を書してなるところ、本件商標の構成中の「PAN PARAG」の欧文字は、辞書等に載録がないものであって、かつ、当該文字が、我が国において、特定の意味合いを有する語として親しまれている等の特段の事情は存在しない。 また、本件商標の構成中の帯状背景図形は、我が国において特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないため、特定の称呼及び観念は生じないものである。 そうすると、本件商標は、引用商標との類否を判断するに当たって、本件商標の構成中の「PAN PARAG」の欧文字を要部として抽出し、この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。 したがって、本件商標は、その構成中の「PAN PARAG」の欧文字に相応して「パンパラグ」の称呼を生じるものであり、特定の観念は生じないものである。 イ 引用商標について (ア)引用商標1は、別掲2のとおりの構成よりなるところ、引用商標1の構成中、欧文字と認識し得る「PAN PARAG」は、天地逆に配置されているとしても、「PAN PARAG」と書したものと認識し得るものである。 また、引用商標1の構成中の、「PAN PARAG」の欧文字以外の文字は、不鮮明であるため、判読できない。 さらに、引用商標1の構成中の図形は、我が国において特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないため、特定の称呼及び観念は生じないものである。 そうすると、引用商標1は、本件商標との類否を判断するに当たって、引用商標1の構成中の天地逆に書された「PAN PARAG」の欧文字を要部として抽出し、この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。 したがって、引用商標1は、その構成中の天地逆に書された「PAN PARAG」の欧文字に相応して「パンパラグ」の称呼を生じるものであり、特定の観念は生じないものである。 (イ)引用商標2及び引用商標3は、別掲3のとおりの帯状背景図形内に「PAN PARAG」の欧文字を書してなるところ、引用商標2及び引用商標3の構成中の「PAN PARAG」の欧文字は、辞書等に載録がないものであって、かつ、当該文字が、我が国において、特定の意味合いを有する語として親しまれている等の特段の事情は存在しない。 また、引用商標2及び引用商標3の構成中の帯状背景図形は、我が国において特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないため、特定の称呼及び観念は生じないものである。 そうすると、引用商標2及び引用商標3は、本件商標との類否を判断するに当たって、引用商標2及び引用商標3の構成中の「PAN PARAG」の欧文字を要部として抽出し、この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。 したがって、引用商標2及び引用商標3は、その構成文字の「PAN PARAG」に相応して「パンパラグ」の称呼を生じるものであり、特定の観念は生じないものである。 ウ 本件商標と引用商標との比較 (ア)本件商標と引用商標1は、上記ア及びイ(ア)のとおりの構成(別掲1及び別掲2)よりなるところ、両商標は、構成全体として、明らかに相違するとしても、両商標の要部である「PAN PARAG」の欧文字及び天地逆に書された「PAN PARAG」の欧文字は、構成文字を共通にすることから、外観上、近似した印象を与えるものである。 そして、これらは、いずれも特定の観念が生じないため、観念において比較できないとしても、「パンパラグ」の称呼を共通にするものである。 そうすると、本願商標と引用商標1とは、外観において近似した印象を与え、「パンパラグ」の称呼を共通にすることから、互いに相紛れるおそれのある類似する商標であるといえる。 (イ)本件商標と引用商標2及び引用商標3は、上記ア及びイ(イ)のとおりの構成(別掲1及び別掲3)よりなるところ、これらは、いずれも、帯状背景図形内に「PAN PARAG」の欧文字を書してなるものである。 そうすると、本件商標と引用商標2及び引用商標3とは、観念において比較できないとしても、外観が同一又は類似し、「パンパラグ」の称呼を共通にするものである、互いに相紛れるおそれのある類似する商標といえる。 (ウ)上記(ア)及び(イ)のとおり、本願商標と引用商標とは、いずれも特定の観念が生じないため、観念において比較することができないとしても、外観が近似し、または、外観が同一又は類似し、「パンパラグ」の称呼を共通にすることから、これらは、互いに相紛れるおそれのある類似する商標といえる。 (4)不正の目的の有無について 請求人は、「Delhi Mahal Group」が「Pan Parag」商標を窃取していることを立証するために、PAN PARAG社の手紙(甲5)を提出し、引用商標権者の許可なく商標登録を受けることは侵害行為であると主張しているが、PAN PARAG社は、我が国において、「Pan Parag」商標の登録出願をしておらず、我が国において、「Pan Parag」商標の商標権を取得していない引用商標権者が、同社の許可無く商標登録を受けることは侵害行為である旨の主張は妥当性に欠ける。 また、請求人と引用商標権者とは取引があること(甲6、甲20)が認められるとしても、請求人は、引用商標権者を代理して、本件審判の請求を行ったものと判断することはできない。 そして、本件商標権者が、請求人に対して行った、本件商標を付した商品の販売中止等の要求については、商標法第36条に規定する「差止請求権」を行使したにすぎず、本件商標権者による行為は、請求人に成り代わって不当な利益を得る目的の行為とはいえず、また、請求人に損害を与える目的の行為であるとはいえない。 (5)国際信義違反について 請求人は、販売中止等の要求の対象となっている商品は「噛みタバコ」であるが、そのような商品の流通を、引用商標権者が我が国において商標権を取得していないことを奇貨として、本件商標権を取得し、従来の流通ルートを妨害して不正の利益を得る目的の行為を行うことは、国際信義に反し我が国全体のイメージを損なう可能性があり、著しく公序良俗に反するものである旨主張する。 しかしながら、本件商標権者が、本件商標権を取得することが、国際信義に反し我が国全体のイメージを損なう可能性があり、著しく公序良俗に反するものであることについて、請求人は主張するのみで、実際に、本件商標権者が、過去に、不正の利益を得る目的の行為を行ったことは、請求人の提出した全証拠を参照しても、確認することができない。 また、被請求人が主張するとおり、本件商標権者が本件商標をPAN PARAG社へ高額で買い取らせるように契約を持ち掛けたという事実は存在しない。 したがって、本件商標権者が、本件商標権を取得することが、国際信義に反し我が国全体のイメージを損なう可能性があり、著しく公序良俗に反するとはいえない。 (6)商標法第4条第1項第7号該当性について 請求人は、本件商標は公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標に該当し、無効にすべき商標である旨を主張する。 しかしながら、上記(2)のとおり、引用商標を含む「Pan Parag」商標が我が国又は外国において、請求人又はPAN PARAG社の取扱い係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識され、本件商標の登録出願時及び登録査定時に周知著名性を獲得していたとは認められないものであり、上記(4)のとおり、本件商標権者が、請求人に対し、本件商標を付した商品の販売中止等の要求については、商標法第36条に規定する「差止請求権」を行使したにすぎず、本件商標権者による行為は、請求人に成り代わって不当な利益を得る目的の行為とはいえず、また、請求人に損害を与える目的の行為であるとはいえない。 そして、上記(5)のとおり、本件商標権者が、本件商標権を取得することが、国際信義に反し我が国全体のイメージを損なう可能性があり、著しく公序良俗に反するとはいえない。 また、本件商標は、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字ではない。 そうすると、上記(3)のとおり、本願商標と引用商標とは、互いに相紛れるおそれのある類似する商標といえるとしても、被請求人による本件商標の登録出願の経緯について、著しく社会的妥当性を欠くものとはいえない。 加えて、他に、本件商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないというべき事情は見いだせず、かつ、本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標と認めるに足りる証拠も発見することができない。 よって、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標ということはできない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。 (7)商標法第4条第1項第19号該当性について 請求人は、本件商標は他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもって使用をするものに該当する旨を主張する。 しかしながら、上記(3)のとおり、本件商標と引用商標とは、類似性の程度が高く、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品は、密接な関連性を有し、その需要者の範囲を共通にするとしても、引用商標を含む「Pan Parag」商標が我が国又は外国において、請求人又はPAN PARAG社の取扱い係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識され、本件商標の登録出願時及び登録査定時に周知著名性を獲得していたとは認められないものであるから、本件商標に接する需要者が請求人又はPAN PARAG社の取扱い係る商品であることや引用商標を含む「Pan Parag」商標を連想又は想起させるものではない。 また、上記(4)のとおり、我が国において、「Pan Parag」商標の商標権を取得していない引用商標権者が、同社の許可無く商標登録を受けることは侵害行為である旨の主張は妥当性に欠け、本件商標権者が、請求人に対し、本件商標を付した商品の販売中止等の要求については、商標法第36条に規定する「差止請求権」を行使したにすぎず、本件商標権者による行為は、請求人に成り代わって不当な利益を得る目的の行為とはいえず、請求人に損害を与える目的の行為であるとはいえない。 さらに、上記(5)のとおり、本件商標権者が、本件商標権を取得することが、国際信義に反し我が国全体のイメージを損なう可能性があり、著しく公序良俗に反するとはいえない。 そうすると、本件商標は、その登録出願時において、引用商標を含む「Pan Parag」商標を認識した上で、かかる商標の周知著名性に便乗し、不当に利益を得る等の目的、あるいは、請求人又はPAN PARAG社に損害を加える目的等の不正の目的をもって使用するものというべき事情も見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 3 むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-890037

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