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商標無効審判

2022-890027

トーメイ、トメイ、テイアイ

審判番号
2022-890027
法域
商標
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
商願2019-035278
登録番号
6435983
請求日
2022年04月20日
審決日
2024年04月25日
公報発行日
2025年05月30日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社 東名パワード
  • 【請求人代理人】杉村 憲司
  • 【請求人代理人】杉村 光嗣
  • 【請求人代理人】村松 由布子
  • 【被請求人】トーメイ パワード ユーエスエー インコーポレイテッド
  • 【被請求人代理人】潮崎 宗
  • 【被請求人代理人】林 郁夫
審判長/審判官
  • 審判長 大島 康浩
  • 審判官 阿曾 裕樹
  • 審判官 小林 裕子
分類
T111 .25 -Y (W12) / T111 .271-Y (W12)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法4条1項10号商標法4条1項15号商標法46条1項1号
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第15号、商標法第4条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第6435983号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6435983号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成31年3月8日に登録出願、第12類「動力伝導装置(陸上の乗物用の機械要素)」を指定商品として、令和3年6月17日に登録すべき旨の審決がなされ、同年8月31日に設定登録されたものである。 第2 請求人商標 請求人が、本件商標の登録の無効の理由として引用する商標は、以下の2件であり、いずれも請求人が「自動車チューニング用製品(自動車チューニングパーツ)」(以下「請求人商品」という。)について使用し、需要者間で広く知られていると主張するものである。 1 別掲2のとおりの商標(以下「請求人商標1」という。) 2 別掲3のとおりの商標(以下「請求人商標2」という。) なお、以下、請求人商標1と請求人商標2をまとめて、「請求人商標」という場合がある。 第3 請求人の主張 請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第107号証を提出した(枝番号を含む。なお、以下、「甲第○号証」を「甲○」、「乙第○号証」を「乙○」のように表記する。)。 1 審判請求書における主張 (1)被請求人(商標権者)について 被請求人は、アメリカ合衆国の法人である(甲3)。平成18年(2006年)に設立され、設立当時は、北米地域における請求人製品の販売代理を主たる業務とする法人であった。平成26年(2014年)に、被請求人は、請求人から、資本関係を含めて組織として完全に分離し、被請求人の請求人製品を北米地域において取り扱う販売代理店契約は平成31年(2019年)2月に終了している。したがって、平成31年(2019年)2月から現在に至るまで、被請求人は、請求人とは、経済的又は組織的に何らの関係もない。なお、被請求人は、設立時から現在に至るまで、日本市場において請求人製品を取り扱う権原は一切ない。 (2)請求人商標について ア 請求人について 請求人は、日産系の自動車レース専門会社として、自動車技術・部品の企画・製造を中心として昭和43年(1968年)に「東名自動車株式会社」として設立し、平成6年(1994年)に「株式会社東名パワード」へと変更し、現在、「自動車部品の企画・開発・製造・卸及び販売、レーシングカー・レーシングエンジンの販売及びメンテナンス」を主たる業務としている(甲4~甲9)。とりわけ、自動車用エンジン及びエンジンパーツを得意とし、自動車用エンジン及びエンジンパーツの企画・開発・製造・販売に加えて、自動車エンジンの性能を自動車に伝えるための自動車チューニングパーツ(例えば、自動車の差動制限装置(LSD)・動力伝導装置駆動部品等)の企画・開発を行い、これらをパートナーメーカーにOEM製造させ(製造の監修)、日本をはじめとして、欧州共同体、アジア諸国等の海外へ製品の販売を展開している。 イ 審判請求の利益 請求人は、遅くとも平成9年(1997年)には、商標「TOMEI」をブランド名として自動車用エンジン、自動車の差動制限装置等を含む自動車用製品に使用し(甲8)、商標「TOMEI」は、請求人のハウスマークとして、請求人が企画・製造・販売する商品やサービスとともに使用されている。そして、商標「TOMEI」は、自動車チューニングを行う自動車愛好者の間において、自動車用エンジン、自動車の差動制限装置等を含む自動車チューニング用製品(自動車チューニングパーツ)を示すものとして広く知られている。 ここにおいて、「自動車チューニング」とは、市販車に走行性能向上を目的として自動車に換装や改造等を施すことを意味し、自動車チューニングパーツとは、自動車の性能向上に寄与する製品を意味する。 そして、商標「TOMEI」は、自動車チューニングを行う自動車愛好者の間において、自動車用エンジン、自動車の差動制限装置等を含む自動車チューニングパーツを示すものとして広く親しまれており、かつ、請求人は「デファレンシャルギア・ファイナルギアの企画・製造・販売」等の商品の企画・開発・販売等の業務展開を行っていることを考慮すれば、本件商標がその指定商品について使用された場合には、本件商標は、請求人の著名商標「TOMEI」と類似することから、その商品の出所につき混同を生じるおそれがある。 また、「TOMEI」は、自動車チューニングの分野において、請求人を示す著名なブランド名であることから、本件商標をその指定商品に使用した場合には、請求人が「自動車用エンジン、自動車の差動制限装置等を含む自動車チューニングパーツ」を中心に築き上げた著名ブランドの顧客吸引力を希釈化するおそれがある。 したがって、請求人は、本件審判請求につき利害関係を有する。 ウ 請求人商標の周知・著名性 (ア)請求人の使用商標 請求人は、日本において遅くとも平成9年(1997年)より、請求人の業務に係る商品について、一般書体で表示してなる「TOMEI」(請求人商標1)、及びややデザイン処理を施した「TOMEI」(請求人商標2)を使用している。そして、現在に至るまで、「TOMEI」は、請求人のハウスマークとして、請求人の業務に係る商品・役務について継続して使用している。 (イ)請求人商標の周知・著名性 a 請求人の業務に係る商品 請求人は、請求人商標を、「タービンキット」「タービンアウトレットパイプ」「エギゾーストマニフォールド」「フロントパイプ」「ストローカーキット」「オイルパン」「コネクティングロッド(コンロッド)」「クランクシャフト」「マフラー」「ベリリング」「カムシャフト」「バルブスプリング」「バルブセット」「バルブガイド」「コンロッドベアリング」「ヘッドガスケット」「ECU」「ファイナルギアセッ卜」「ミッドYパイプ」「ピストンキット」「カムギア」「ソリッドピボット」「ロッカーアームストッパー」「フューエルポンプ」「フューエルインジェクター」「オイルブロック」「エアフローメーターハーネス」「フューエルデリバリーパイプ」「ヘッドランプエアインテーク」「フロントスポイラー」「タイミングベルト」「ダンパー」「オルタネーター移設用ブラケット」「ジョイントパイプ」「LSD」「Fuel pressure regulator」「Shift knob」「アッセンブリーペースト」「ギアオイル」「スロットルコート」「ハイキャスロック」「燃圧計」「インジェクターカプラー」に使用している(甲4~甲14)。 上記のとおり、請求人は、数多くの自動車チューニングパーツ商品を展開しているところ、そのいくつかとして、例えば、「デファレンシャルギア」及び「ファイナルギア」を展開している。「デファレンシャルギア(差動の働きに制限を与える機能を備えた、陸上の乗物用の差動歯車)」は、この分野の取引者・需要者間において、「LSD(リミテッド・スリップ・ディファレンシャル、limitedslipdifferential)」と称され、当該商品は、「第12類 陸上の乗物用の差動歯車」に含まれる商品であって、特定の機能(差動の働きに制限を与える)を備えた差動歯車に相当する商品である。請求人の業務に係る「LSD」は、請求人商標「TOMEI」とともに表示されて取引に資され、また、「Technical Trax(テクニカルトラックス」、「TECHNICAL TRAX ADVANCE(テクニカルトラックスアドバンス)」とのサブブランド名にて展開の実績がある(甲10、甲11ほか)。 また、請求人は、「第12類 陸上の乗物用の減速歯車」に相当する「ファイナルギア」を企画し、信頼ある製造メーカーと共同開発・OEM製造し、請求人商標を付して日本市場において販売している(甲13、甲14)。 b 販売・宣伝広告実績 自動車チューニングパーツは、車両所有者若しくは車両購入者が、車両の走行性能向上のために選択・購入し、自動車用品店やチューニングショップにおいて自己の車両に載換させる若しくは自ら換装する等の特殊な取引の実情がある。また、自動車チューニングパーツを載換した中古車を「チューニングカー」と称して高い性能をアピールしつつカーショップが販売する。 すなわち、自動車チューニングパーツは、パーツメーカーが直接自動車メーカーに納品して新車に搭載される自動車用パーツというよりも、むしろ、自動車愛好者や取引者が、品質や性能、メーカーの信頼性を基に商品を選択するとの特徴を有するものである。 ここにおいて、平成29年度の「一般社団法人日本自動車部品工業会」の「自動車部品出荷動向調査結果」によると、平成29年4月から平成30年3月の「直接市場向け」の「四輪車用自動車部品分野」における「ピストン、ピストン・リング、シリンダ・ライナ、エンジン・ガスケット及びパッキング、エンジン・バルブ、バルブ・ロッカー・アーム及びシャフト、バルブ駆動部品及びカム・シャフト、軸受メタル、マニホールド、過給器、その他排気浄化装置部品、エギゾーストパイプ及びマフラー、その他のエンジン部品」の出荷金額合計は、約30億500万円である(甲15)。これに対して、請求人の業務に係る商品(自動車チューニングパーツ)の販売高は、毎年約5億円ほどであり、日本自動車工業会の正会員のうち回答した347社に基づく数字と比較しても、請求人の業務に係る商品の販売量が大きいことは客観的に明らかである。 請求人商標のチューニング業界における周知・著名性は、50年以上にもわたり、高い品質のチューニング商品を市場に提供し続ける実績もさることながら、「TOMEI」ブランドの著名性を浸透・維持すべく継続した請求人の営業努力の成果ともいえる。例えば、請求人は、毎年、数百から一千数百万円もの宣伝広告費をかけて、「TOMEI」ブランドの著名性を浸透・維持する営業努力を展開している。 c 請求人の業務に係る商品の宣伝広告・話題性の実績 請求人は、日本の自動車チューニング愛好者・取引者において「TOMEI」ブランドの著名性を向上・維持するため、様々な宣伝活動を雑誌やイベント等において展開している(甲12、甲16~甲80)。 上述のように、請求人は、長年にわたって自動車チューニングパーツの企画・開発に取り組み、高い品質の製品を提供し続けたことにより、業務上の信用を「TOMEI」に化体せしめ、その結果、遅くとも2019年には、自動車チューニングパーツ分野の需要者・取引者間に広く知られるに至っている。 また、請求人は、商品の企画・開発・販売のみならず、モータースポーツに関する様々なイベントに出展・協賛し、スポーツ車やカスタムカー愛好者、車両チューニング雑誌の読者等に「TOMEI」を周知せしめる努力を継続して展開してきた実績がある。例えば、車両ボディに「TOMEI」と表示された車両の競技会における走行実績、イベント会場における「TOMEI」との表示を有するデモ車の展示・走行、テントやのぼり旗等に「TOMEI」と表示したブースの出展等が挙げられる。これらの営業努力によって、車両愛好者、雑誌読者及びイベント観覧者間において「TOMEI」を一層、請求人の業務に係るブランド名称として周知せしめている。 さらに、客観的事実として、自動車チューニングに関する雑誌において、請求人商品は、10年以上にもわたって繰り返し特集が組まれた実績を有する。このことは、読者の要望や請求人商品への注目度が高いことを示すものであり、出版社が、請求人ブランドの顧客吸引力を利用して、雑誌記事の企画を展開してきたことを意味するに他ならない。このように、請求人ブランド「TOMEI」は自動車チューニング分野において強い顧客吸引力を有することから、自動車チューニングに関する雑誌の特集記事の見出し画像等に、「TOMEI」の表示を付した請求人商品の画像が数多く採用されている。同様に、自動車チューニング製品を取り扱う全国の取り扱いショップは、自己の宣伝広告において請求人製品の取り扱いをアピールし、すなわち、請求人ブランド「TOMEI」の顧客吸引力を利用し、チューニングパーツ需要者に希求している。 また、請求人は、代表的なチューニングパーツメーカーとして繰り返し取材を受けており、さらに、チューニングパーツや製品性能の検証の際は、請求人が選出される実績からも明らかなとおり、請求人は、チューニングパーツ業界において強い顧客吸引力を備える。 上述のように、自動車チューニング製品を取り扱うショップにおいて、「TOMEI」との表記とともに請求人製品が紹介されていることから、請求人製品を取り扱うことは顧客吸引力を発揮することを示し、また、自動車チューニング製品の需要者・取引者の間において、「TOMEI」は請求人を示すものとして親しまれている。 そして、自動車チューニング商品分野における取引者は、請求人商品を示す際には、例えば、「TOMEI製」、「TOMEI・ハイカム」、「TOMEIポンカム」、「TOMEI260゜ソリッドカム」、「TOMEI SR22コンプリートショートブロック」、「TOMEI強化ヘッドガスケット」、「TOMEIリテーナー」、「TOMEIラッシュキラー」のように、請求人を「TOMEI」と示し、取引に資する実情がある。 つまり、遅くとも2019年には、自動車チューニング商品において「TOMEI」は、請求人を示すものとして、自動車チューニング分野の取引者・需要者間に広く親しまれていることが明らかである。 (ウ)まとめ 上述のとおり、請求人商標は、請求人を示すブランド名として、日本国内における自動車チューニング愛好者間において広く知られている。 (3)請求人商標を使用する商品と本件商標の指定商品との関連性 上記のとおり、請求人は、自動車用エンジンパーツをはじめとして、自動車用エンジン、自動車の差動制限装置等を含む自動車用製品等、自動車における幅広い分野の商品に携わっている。また、請求人は、エンジンの性能を最大限に引き出す自動車チューニングパーツの企画・開発・設計を行っていることから、請求人が、第12類「動力伝導装置(陸上の乗物用の機械要素)」に関連する商品の製造・販売をすることは想像に難くない。 したがって、本件商標の指定商品は、請求人の業務に係る商品・役務と密接な関連性を有している。 (4)本件商標と請求人商標の類似性 ア 本件商標について 右に20度傾斜する太字の「TOMEI」の欧文字の左側に、モノグラムとおぼしき図形を配した構成からなり、その構成文字から「トーメイ」との称呼が生じる。 「TOMEI」は日本の自動車チューニングの愛好者・自動車チューニングパーツの取引者間においては、請求人のハウスマークとして広く知られている。かかる事実から、自動車チューニングパーツとの関係において、本件商標は、「請求人」との観念を想起せしめる。 イ 請求人商標について (ア)請求人商標1について 請求人商標1は、上述のとおり、日本国内の自動車チューニングの愛好者・自動車チューニングパーツの取引者間において、「請求人」を示すハウスマークとして広く親しまれている。したがって、請求人商標1に接した需要者・取引者は、「請求人」を想起する。 (イ)請求人商標2について 請求人商標2は、右に20度傾斜する太字の「TOMEI」の欧文字の構成からなり、その構成文字から「トーメイ」との称呼が生じる。 「TOMEI」は、アルファベット5文字を横一列に表してなり、その外観から「TOMEI」との称呼が生じる。上述のとおり、日本国内の自動車チューニングの愛好者・自動車チューニングパーツの取引者間において、「請求人」を示すハウスマークとして広く親しまれている。したがって、請求人商標2に接した需要者・取引者は、「請求人」を想起する。 ウ 両商標の対比 本件商標と請求人商標1及び2は、以下の共通点・差異点を有する。 (ア)共通点 ・欧文字大文字「TOMEI」の文字配列及び右方向に20度傾斜する構成(請求人商標1) ・欧文字大文字「TOMEI」の文字配列(請求人商標1及び請求人商標2) ・「トーメイ」との称呼(請求人商標1及び請求人商標2) (イ)差異点 ・本件商標は、「TOMEI」の「O」が丸みを帯びた角型の構成であるのに対し、請求人商標1の「O」は、楕円型の構成 ・本件商標の文字全体の横幅は、本件商標の文字全体の横幅よりもやや広い構成 ここにおいて、本件商標は、モノグラムとおぼしき図形と文字要素の2つの構成要素からなるところ、各要素は、それぞれの大きさが異なる上に、それぞれ異なるデザイン処理がなされており、また、その他、不可分一体とみるべく特別の事情が見受けられないことから、当該図形と文字要素「TOMEI」は、分離して理解・把握されるとみるのが自然である。 かかる点を考慮すると、本件商標は、請求人商標と外観が近似し、称呼「トーメイ」が共通する、互いに類似する商標である。 エ 出所の誤認混同について 上記のとおり、本件商標の要部「TOMEI」は、請求人商標と共通する文字配列であって、かつ、称呼「トーメイ」が共通する。また、「TOMEI」は、日本国内の自動車チューニングの愛好者・自動車チューニングパーツの取引者間において、請求人を示す商標として広く知られている。また、請求人は、様々な自動車チューニングパーツを展開している実績がある。そして、請求人は、動力伝導装置(陸上の乗物用の機械要素)に相当する「デファレンシャルギア(陸上の乗物用の差動歯車)」及び「ファイナルギア(陸上の乗物用の減速歯車)」の企画・開発・製造に関わり、日本国内に販売している。さらに、「自動車エンジンパーツ」と「陸上の乗物用の差動歯車」は、「自動車チューニング」の分野において、需要者・取引者・流通経路が共通することが多い等の事情を総合的に考慮すると、本件商標は、請求人商標との関係で、商標法第4条第1項第15号の「他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標」に該当する。 (5)「TOMEI」の信用力の希釈化 チューニングパーツの需要者・取引者保護と取引の安全性の観点から、請求人は「TOMEI」について、日本国において複数の商標権を取得・出願し、高い品質と安全性を持つ「TOMEI」ブランドの維持に努めてきた経緯がある。 被請求人が本件商標を「動力伝導装置(陸上の乗物用の機械要素)」について使用する行為は、請求人が長年にわたる莫大な研究開発と営業努力によって培ってきた、自動車チューニング製品における「TOMEI」に蓄積する顧客吸引力(ブランド価値)にただ乗りし、かかる顧客吸引力を希釈化させるものである。かかる行為は、競業秩序の維持の観点からも容認されるべきではない。 (6)上述のとおり、本件商標をその指定商品について使用すると、あたかも請求人の業務に係る商品であるか、これと何らかの関連性を有する商品であるかの如く誤認され、あるいはその商品の出所について、組織的又は経済的に請求人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品、関連商品やシリーズ商品であるかの如く誤信し、その出所について混同するおそれがある。 したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号又は同項第15号に違反してされたものであるから、同法第46条第1項第1号により無効にすべきものである。 2 審判事件弁駁書における主張 (1)被請求人は、請求人商標1について、「書体が異なっている」又は「「TOMEI」が単独で商標として使用されている事実を見つけることができない」と述べ、「実際の取引上、商標として使用されているとはいえない」旨、主張する。 しかしながら、請求人は、請求人商標を請求人の業務に係る商品について自他商品識別標識として使用し(甲4~甲14、甲16~甲80)、かつ、需要者・取引者は、請求人商標に係る商品を請求人の業務に係る商品と認識している。 また、「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標」は、社会通念上同一の商標といえる。このことは、例えば、雑誌やメディア媒体は全体にて統一的な書体を用いるところ、その媒体にて請求人を示す際に「請求人商標1」を用いて表す場合には、媒体における統一的な書体にて表すといえ、各証拠において、請求人商標1を示す書体が明朝体とゴシック体との相違があるとしても、かかる表示に接する需要者・取引者は請求人を想起することから、何ら不合理なものではない。 自動車チューニングの分野の需要者・取引者が、請求人を示す表示として請求人商標1を用いていることを示す例は枚挙に暇がない(甲16、甲17、甲60、甲61、甲65~甲67、甲70、甲71、甲73)。請求人及び自動車チューニングパーツ分野における第三者が、請求人商標1を、請求人の業務に係る商品の出所を示すものとして用いている。すなわち、請求人商標1は、自動車チューニングパーツの分野の需要者・取引者間において、請求人を示すものとして広く知られている。 また、被請求人は、請求人商標2について、「その左側に位置する図形部分と一体となって、一塊の標識として判断されるべきもの」と述べ、「実際に商標として使用されている事実はない」旨主張する点について、図形部分と請求人商標2は、図形と文字という構成要素の性質の違いに加えて、図形要素と文字要素の大きさの相違、請求人商標2から容易に「トーメイ」との称呼を有する部分として理解されること等を考慮すると、図形部分と請求人商標2とは、外観上、明確に分離して看取されるといえ、請求人商標2を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものではない。したがって、請求人商標2は、図形部分とは分離して観察することが許される。 加えて、前述のとおり、自動車チューニングパーツ分野における需要者・取引者間において、「TOMEI」は請求人を示すものとして広く知られているため、自動車チューニングパーツとの関係においては、請求人商標2のみによって、請求人を想起するものといえる。 なお、被請求人が述べる「図形」は、請求人に係る登録商標である(甲92、甲93)。請求人商標2とともに使用する例が多いとしても、請求人商標の需要者・取引者間における請求人商標の周知性を何ら否定するものではない。また、一事不再理効の趣旨は紛争の蒸し返しの防止であるところ、査定系の拒絶査定に対する不服審判において主張・立証を尽くすことができたとは言えないため一事不再理の効力を適用する正当化根拠はないから、不服審判の審決の効力は本件無効審判には及ばず、両審判の間には一事不再理の適用はない。 上述のように、請求人商標は、請求人を示すものとして自動車チューニングパーツにおいて長年にわたって使用されており、その結果、請求人商標は、自動車チューニングパーツの分野における需要者・取引者間において、請求人を示すものとして認知されるに至っている。したがって、被請求人の主張は失当である。 (2)被請求人の、「請求人が主張する自動車チューニングパーツの販売高の5億円というのは、請求人の売上シェアは極めて小さいことを示すものに他ならない」旨の主張について、被請求人の主張する「そのほとんどは、カーメーカーや部品メーカーなどに向けた新車組付け用の純正部品、若しくは、「一般の整備工場等」向けに純正部品相当品(補用部品・補修用部品など)を製造販売している企業である。一般需要者向けの、いわゆる自動車チューニング用の商品を自社ブランドで製造販売している企業はごく一部にとどまる」との主張を裏付ける客観的な証拠はなく、被請求人の主観に基づくものにすぎない。 これに対し、請求人の示す甲15は、上記のとおり、自動車部品を取り扱う団体組織の「カーメーカー向」「車体メーカー向」「部品メーカー向」「部品メーカー向」「直接市場向」などを分類して出荷金額が示されたものであり、客観的な指標のひとつになり得る。そして、「直接市場向」の数値は、自動車メーカー(カーメーカー)や車体メーカー等への出荷量を除いたものであって、「市場に直接出荷された出荷金額のみ」を抽出した客観的なものである。 ここにおいて、被請求人が乙3及び乙4を添えて自動車チューニング商品を製造販売している会社として掲げるH社は、「決算説明資料」(甲94)のとおり、自動車チューニングパーツの製造販売だけでなく、IoT事業、ガスエンジン事業、バイフューエル事業を展開する多角的経営の企業である。すなわち、被請求人の示す「連結経営成績」(乙4)の「売上高」は、これらの金額も含むものと容易に推認される。 また、被請求人が乙5及び乙6を添えて、自動車チューニング商品を製造販売している会社として掲げるK社は、自動車用サスペンションなどの製造販売を展開するブランドの事業者として知られているところ、K社は、海外の自動車の正規輸入販売事業なども手掛ける、多角的な業務を展開する企業である(甲95の1~3、甲96、甲97)。したがって、K社の売上高が、自動車チューニングパーツの売上高を示すものとはいえない。 したがって、これら二社の売上高に基づいて「請求人の売上シェアは極めて小さい」旨の被請求人の主張は失当である。 さらに、被請求人は、提出された雑誌広告について「本件商標の登録性の判断時である審決時における、請求人商標の周知性判断の資料としては不適切なもの」と述べている。 しかしながら、請求書及び前述のとおり、請求人商標「TOMEI」は、本件商標の出願日より前から現在に至るまで、自動車チューニングパーツの分野の需要者・取引者の間で広く知られていたことを主張しているところ、雑誌や広告などは、かかる主張を立証するものとして提出したものである。そして、2019年3月8日より後に、請求人商標の周知性が失われるような特別な事情は全く見受けられない。 また、被請求人は「現時点での商標の認知度の評価にあたっては、これまでの雑誌掲載頻度の蓄積ではなく、直近の短期間での広告頻度などに着目して判断されるべきである」と述べている。しかしながら、無効審判における審理の対象は、商標法第4条第1項第10号においては、本件商標の出願前の需要者及び取引者間における認知度についても、当然に判断の対象となるといえ、必ずしも、短期間での広告頻度に限定されるべきではない。 さらに、被請求人は「2022年6月現在、いわゆる自動車チューニングパーツに関する情報を掲載している雑誌は、かかる雑誌を含めて94種類も存在している(乙7)。請求人の商品についての紹介は、7雑誌のみであり、露出の程度は極めて限定的である」と述べている。しかしながら、被請求人の提出する乙7は、作成者が不明の雑誌一覧であって、出版社の欄が空欄である上に、雑誌の発刊時期や内容並びに雑誌の存在事実を客観的に立証するものとはいえない。また、2022年7月時点の雑誌一覧の存在によって、請求人の業務に係る「TOMEI」ブランドの周知性及び商品の雑誌等における「TOMEI」の掲載実績や宣伝広告の実績が弱まるものではない。 このことを示すものとして、例えば、被請求人が挙げたH社、K社と請求人の2023年2月時点における主要SNSのフォロワー数を掲げる(甲98~甲106)。被請求人が「自動車チューニング商品を製造販売している会社」として掲げる二社と比較しても、請求人の業務に係る「TOMEI」ブランドは、現在も多くの愛好者を有する。このように、請求人商標の獲得した周知性が失われるような特別な事情は全く見受けられない。 また、請求人は「競技会での走行実績やブース出展」の実績があり、幕張メッセを会場とする「東京オートサロン」(甲46、甲65等)やGT-Rファンのためのイベント(甲59、甲62、甲68、甲69等)、「ALL JAPAN 1JZ DRIFT MEETING 2017」(甲66)などをはじめ、様々なファンミーティングに出展する実績を持つ。 さらに、被請求人が述べるとおり、自動車競技の「ドリフト」は、一般社団法人日本自動車連盟(JAF)が公認する自動車競技となるほどまでに愛好者が多い分野である。被請求人が、乙9及び乙10に示すとおり、コロナウイルスが猛威を奮って様々なイベントが開催を控えた2022年においても、「ドリフト」の競技会でJAFが公認するものだけでも、関東・関西・九州・東北などの全国各地において年間10回も企画されるほどに人気を博している。また、国際的な視点からみると、国際自動車連盟(FIA)公認の第1回大会(2017年)、第2回大会(2018年)、第3回大会(2019年)のドリフト世界的競技大会(FIA インターコンチネンタル・ドリフティング・カップ)は、その会場としていずれも日本が選出される実績を持つ。すなわち、自動車分野において「ドリフト」競技は、世界に誇る日本の得意とする分野のひとつである(甲107)。そして、かかるドリフト競技の愛好者間においても、請求人の業務に係る「TOMEI」ブランドは、広く親しまれている。 (3)被請求人の「商品の類似群コードについての間違い」について、審査における商品の類否は、審査基準にて「商品又は役務が通常同一営業主により製造販売又は提供されている等の事情により、出願商標及び引用商標に係る指定商品又は指定役務に同一又は類似の商標を使用するときは、同一営業主の製造・販売又は提供に係る商品又は役務と誤認されるおそれがあると認められる関係にあるかにより判断する」と解説されている。 被請求人は、「コネクティングロッド(コンロッド)」は「本質的に09B01に該当する」旨、主張する。「コネクティングロッド」は、TM5の「IDリスト」や「WIPO Madrid Goods and Services Manager」において、商品表示「connecting rods for land vehicle engines」に該当する商品であって、「陸上の乗物のエンジン用連接棒」である。そして、当該商品の類似群コードは「09B01 09F02」が付与されている。このことは、「コネクティングロッド(コンロッド)」が「陸上の乗物用の機械要素」と「陸上の乗物用の動力機械の部品」のいずれにも類似する商品として取り扱われることを示すものであり、被請求人の主張する「09B01」の類似群コードも付与されているため、商品の類似群コードについては、請求人の主張と何ら矛盾するものではない。 また、被請求人は、「ロッカーアームストッパー」は「本質的に09B01に該当する」旨、主張する。しかしながら、TM5の「IDリスト」において「エンジン用ロッカーアーム」(英語:Rocker arms for engines)の類似群コードとして「09F02」が付与されている。「ロッカーアームストッパー」は「エンジン用ロッカーアーム専用のストッパー」であることから、「エンジン用ロッカーアーム」(英語:Rocker arms for engines)の類似群コード「09F02」が付与されることは妥当といえる。なお、被請求人は、乙11として、日本自動車部品工業会の「品目」において「コネクティングロッド」や「ロッカー・アーム」が「エンジン部品」に分類されている旨、述べている。しかしながら、商標における商品の類否は、「同一営業主の製造・販売又は提供に係る商品又は役務と誤認されるおそれがあると認められる関係にあるか」を観点に分類されているものであり、製造者団体の商品分類とは必ずしも一致するものではない。 (4)被請求人は、「請求人商標1も請求人商標2もいずれも使用されていない。むしろ、「LSD」商品の商標として使用されているのは、「Technical Trax」「TECHNICAL TRAX ADVANCE」である」旨、主張する。 しかしながら、商標法は、一つの商品に、商品の名称であるいわゆるペットネームと、営業主を示すハウスマークを同時に使用することを妨げるものではなく、商品に商品名称を示すペットネームと、営業主を示すハウスマークの両方を用いることは極めて一般的である。そして、「LSD」(デファレンシャルギア)の販売促進用映像、商品ウェブページ、取扱説明書(例えば、甲11、甲12の1~3、甲13、甲14)などにおいて、「LSD」(デファレンシャルギア)の出所を示すものとして請求人商標1及び請求人商標2を使用していることは明らかである。 第4 被請求人の主張 被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を審判事件答弁書において要旨以下のように述べ、証拠方法として乙1ないし乙11を提出した。 1 請求人が提示する請求人商標特定の不備 (1)請求人商標1について 請求人が請求人商標1「TOMEI」を使用していると主張する証拠(甲4~甲14)をみても、請求人商標1は使用されていない。 請求人商標1「TOMEI」は、いわゆる明朝体で記載されたものであるところ、「T」「M」「E」「I」の各文字を構成する線の端部において、跳ねや払いのようなもの(「T」文字の横に伸びる線の端部、「E」の文字の上段と下段の横に伸びる線の右端部)や、横に伸びる細い線(「T」「M」の文字の縦に伸びる線の下端部、「M」の文字の縦に伸びる線の上端部、「E」の文字の中段において横に伸びる線の右端部)が見て取れる。 これに対し、請求人が提出する証拠のいずれをみても、上記のような特徴を有する文字を使用している事実は見つけられず、請求人商標1が使用されている形跡は見当たらない。 甲5ないし甲7などにおいて、ゴシック体の「TOMEI」の文字が用いられているものの、あくまで説明文章中で請求人を表す言葉として、若しくは、「TOMEI PRODUCTS LIST 2020」のように他の文字と結合して用いられているにすぎず、請求人商標1と書体が異なっていることに加え、そもそも商標的な使用ではない。 甲11や甲16でも、かかる文字が使用されているものの、請求人商標1と書体において異なり、また、別の文字とともに用いられており、商標的な使用ともいえない。 また、請求人は、甲4などにおいて「TOMEI POWERED INC.」のような部分にも赤線を用いて明示するものである。 しかしながら、そもそも「TOMEI POWERED INC.」は全体で請求人の英語社名を表すものであって、これが使用されている文脈的に見ても、単に英語社名を表すという目的のもとに使用されているにすぎない。「INC.」の文字が細く小さな文字で表されている部分も見受けられるものの、「TOMEI POWERED」の文字は常に同じ太さ、大きさの文字で使用されている。 また、甲9において、「TOMEI」のみを赤い線で囲っているものの、そのすぐ下部に「PRODUCT」の文字が配されており、全体で請求人商品の意を表すものとして記述的に使用されていると理解されるから、請求人商標1が商標的に使用されているとはいえない。 その他、各雑誌など(甲18、甲19、甲23、甲24、甲27、甲28、甲30~甲32、甲34、甲35、甲37、甲38、甲41、甲48、甲49、甲52、甲54、甲55、甲57、甲61、甲63、甲64、甲66、甲67、甲69、甲75~甲77、甲79)において「TOMEI」の文字が使用されているものの、同様の理由により、「TOMEI」が単独で商標として使用されている事実を見つけることができない。 したがって、請求人商標1が実際の取引上、商標として使用されているとはいえない。 なお、本件商標は、拒絶査定不服審判を経て、登録が認められている(不服2020-13661、乙1)。その審決において、次のとおり判断されている。 「株式会社東名パワードが、同社の自動車用エンジン及びその部品を搭載したレース用自動車の車体等に、「TOMEI」の文字を使用していることは認められるものの、「TOMEI」の文字が、株式会社東名パワードの業務に係る商品「自動車並びにその部品及び付属品、動力機械器具、特に自動車用エンジン並びにその部品、動力伝導装置(陸上の乗物用の機械要素)」を表示するものとして、本願の出願時及び審決時に、需要者の間に広く認識されている商標であるというべき事情は発見できなかった。」 (2)請求人商標2について 同様に、請求人商標2についても、提出された証拠を見る限り、到底、これが使用されているとはいえない。 提出された証拠資料にあるのは、右に傾斜した「O」の文字の相似形の図形を内部に配してなる略楕円形の図形を左側に配し、これと密着させて請求人商標2を配してなるものである。 外観的に、当該図形と請求人商標2が極めて密着していることに加え、略楕円形の図形は、特徴的な「O」の文字と同じ特徴を有する同じ形状の「O」を小型化したものを有しているため、これに接する需要者は、図形部分と文字部分がイメージ的に有機的な関連性・一体性をもって認識するとみるのが自然である。その結果、請求人商標2はその左側に位置する図形部分と一体となって、一塊の標識として判断されるべきものである。請求人提出の証拠のうち、特に甲16以降の証拠には、レーシングスーツを着たレーサーやジャンバーや作業服を着たスタッフ、ステッカーが貼られたレーシングカーの写真、また、刻印された商品の写真が数多く掲載されているが、いずれも、当該図形と請求人商標2とがセットとなって一体的に用いられている。 この点、請求人は、甲4や甲8において、当該図形と請求人商標2を結合した全体をもって、赤色の線で囲い、請求人商標2として指摘している。甲9以降、請求人商標2のみを赤色の線で囲ってはいるものの、必ずその左側に密着して、当該図形が配されていることに変わりはない。 請求人は、甲7において、請求人商標2が使用されていることを示すべく、印をつけているものの、当該図形とともに使用され、また、「POWERED INC.」の文字とともに用いられている。全体で請求人の英語社名を表すものであって、使用されている場所的に見ても、単に英語社名を表すという目的のもとに使用されているにすぎない。同様に、「INC.」の文字が細く小さな文字で表されている部分も見受けられるものの、「TOMEI POWERED」の文字は常に同じ太さ、大きさの文字でまとまりよく一体的に使用されている。 甲11、甲14などにおいても、請求人商標2と「POWERED INC.」の文字が使用されているものの、同様の理由により、請求人商標2のみが商標として使用されているということにはならない。 各雑誌など(甲16以降)においても、同様に、請求人商標2が単独で使用されている例は皆無である。 その他、いずれの証拠をみても、請求人が請求人商標2を請求人に係る商標として使用している事実を見つけることはできない。 したがって、請求人商標2についても、実際に商標として使用されている事実はない。 (3)以上より、請求人商標はいずれも、実際に商標として使用されているとはいえず、請求人商標はそもそも、商標としての周知性・著名性を獲得する基礎を欠いたものである。 2 販売・宣伝広告の実績についての不備 (1)売上額全体に占める請求人売上額の割合は極めて小さいこと 請求人は、いわゆる自動車チューニングパーツの出荷合計金額として、平成29年度の「一般社団法人日本自動車部品工業会」の「自動車部品出荷動向調査結果」(甲15)を持ち出し、平成29年4月から平成30年3月の「直接市場向」(国内)の「四輪車用自動車部品分野」の「ピストン、ピストン・リング、シリンダ・ライナ」などの出荷金額の合計額を抽出し、約30億500万円としている。その上で、請求人の業務に係る自動車チューニングパーツの販売高として、毎年、約5億円としている。 しかしながら、この一般社団法人日本自動車部品工業会の情報は、自動車チューニングの商品の出荷額を正確に表したものとはいい難い。 そもそも、請求人が取り上げた「ピストン、ピストン・リング、シリンダ・ライナ」などの「直接市場向」の商品には、(a)性能向上などを目的とした、いわゆる自動車チューニングパーツと、(b)いわゆる新車組付け用部品相当品の補用部品・補修用部品とが含まれている。 そして、(a)いわゆる自動車チューニングパーツは、「一般需要者」が二次的に自動車をチューニングする部品として使用するもので、カーショップや商社などの市場に直接販売するものである。一方、(b)新車組付け用部品相当品の補用部品・補修用部品は、カーメーカー系列のディーラーではなく、「一般の整備工場等」や商社に対し、一般の自動車の整備・車検などが行われる際に用いられる純正部品相当の補用部品・補修用部品として市場に直接販売されるものである。 この「一般社団法人日本自動車部品工業会」の会員企業(乙2)のほとんどは、カーメーカーや部品メーカーなどに向けた新車組付け用の純正部品、若しくは「一般の整備工場等」向けに純正部品相当品(補用部品・補修用部品など、上記(b))を製造販売している企業である。一般需要者向けの、いわゆる自動車チューニング用の商品(上記(a))を、自社ブランドで製造販売している企業はごく一部にとどまる。なお、一般需要者向けの自動車チューニング商品を取り扱う請求人自体も、当該「一般社団法人日本自動車部品工業会」の会員ではない。 とすると、請求人が提出する「直接市場向」(国内)の「四輪車用自動車部品分野」の「ピストン、ピストン・リング、シリンダ・ライナ」などの出荷金額は主に、「一般の整備工場等」向けに製造販売された純正部品相当品(補用部品・補修用部品など、上記(b))の出荷額を表したものと推測されるものであり、一般需要者向けの自動車チューニング商品の正確な年間の出荷額を表したものか極めて疑わしい。 この点、一般需要者向けの自動車チューニング商品を製造販売しているH社の売上高は、2020年8月期で72億円、2021年8月期では79億円を超えている(乙3、乙4)。 同様に、一般需要者向けの自動車チューニング商品を製造販売しているK社の売上高は、2020年10月期で23億円、2021年10月期では26億円を超えている(乙5、乙6)。 そうすると、この2社だけでも、一般需要者向けの自動車チューニング商品の売上高は年間100億円前後になり、請求人が指摘する約30億500万円という金額を大きく超える。請求人が主張する自動車チューニングパーツの販売高の5億円というのは、請求人の売上シェアが極めて小さいことを示すものに他ならない。なお、この2社は、「一般社団法人日本自動車部品工業会」の会員ではない。 (2)提出された雑誌広告は、現時点での認知度を示すものではないこと 請求人は、その提出に係る甲12の1から甲80で、2009年から2019年の約10年間に、合計7種類の雑誌において、請求人商品が合計61回掲載されていることを指摘する。 しかしながら、かかる雑誌においては、請求人商標1も請求人商標2も使用されていない。したがって、これらの雑誌広告をもって、請求人商標が周知・著名を基礎付ける資料とはなり得ない。 ここで請求人提出に係る雑誌について、あえて考察すると、これらの雑誌の発行日を見てみると、最新のものでも2019年10月と11月に発行された2件のみであり(甲79、甲80)、本件商標の審決日から1年半以上も前に発行されたものであり、本件商標の登録性の判断時である審決時における、請求人商標の周知性判断の資料としては不適切なものである。むしろ、2019年12月以降は雑誌に取り上げられることがなかったということにもつながる。 また、2022年6月現在、いわゆる自動車チューニングパーツに関する情報を掲載している雑誌は、かかる雑誌を含めて94種類も存在している(乙7)。請求人の商品についての紹介は、7雑誌のみであり、露出の程度は極めて限定的である。 さらに、請求人が主張する「自動車チューニングを行う自動車愛好者」とは、商品の性質上、一般的に若年層(免許取得18歳から30歳前後)となっており、いわゆる自動車チューニングパーツの需要者層は年々入れ替わっている。現時点での商標の認知度の評価にあたっては、これまでの雑誌掲載頻度の蓄積ではなく、直近の短期間での広告頻度などに着目して判断されるべきである。そうすると、請求人商品の雑誌掲載はここ約10年で、年間平均6回と極めて少ない。 (3)車両ステッカーについての認識の誤り 請求人は、車両ボディに「TOMEI」と表示された自動車両での競技会での走行実績や、イベント会場におけるテントやのぼり等に「TOMEI」と表示したブースの出展などを挙げて、その周知性を獲得している旨を主張する。 しかしながら、前述のとおり、かかる表示は、請求人商標2の左側に、右に傾斜した「O」の文字の相似形の図形を内部に配してなる略楕円形の図形を配してなるものがまとまりよく一体となって一の標識となったものであって、「TOMEI」ないし請求人商標2が用いられているとはいえない。そのため、競技会での走行実績やブース出展の事実をもって、請求人商標が周知性、著名性を獲得することはあり得ない。 以下、当該競技会についてあえて付言すると、請求人がその車両をもって参加した競技会は、いわゆる「ドリフト」と呼ばれるカテゴリーに限定されている。 国際自動車連盟(FIA)に加盟する日本で唯一の団体であり、日本で行われる様々なモータースポーツイベントの公認を行っている一般社団法人日本自動車連盟のウェブサイトによると、「ドリフト」は、「レース」「ラリー」「ジムカーナー」「ダートトライアル」「カート」「サーキットトライアル」「ドリフト」「オートテスト」「ヒルクライム」「eスポーツ」の10のカテゴリー中の1つのカテゴリーとされている(乙8)。各カテゴリーの競技会は、A=国際、C=国内、D=準国内、E=地方のいずれかに格付けされているが、「ドリフト」の公認競技会は、下から2番目のD=準国内とされ、しかも、年間5回開催各回2戦で合計10戦しか開催されない(乙9)。 この点、「レース」の公認競技会は、年間91回開催され(何戦かは数えていない)その競技会の格式は、D=準国内のみならず、A=国際、C=国内でも開催されている(乙10)。 これらの事実よりすると、請求人が参加する競技会は、よりランクの低い格式で、しかも、年間10回しか行われない。 したがって、請求人の競技会での走行実績やブース出展などの事実をもって、車両愛好者やイベント観覧者の間において、請求人商標がその業務に係るブランド名として周知になるとは考え難い。 (4)以上より、請求人商品の売上額・シェア率や、宣伝広告の内容や実態、競技会での走行実績やブース出展などの点からも、請求人商標が周知性・著名性を獲得したものとは到底いえない。 3 商品の類似群コードについての間違い (1)請求人製品名称「コネクティングロッド(コンロッド)」について 請求人は、請求人製品名称「コネクティングロッド(コンロッド)」は「陸上の乗物のエンジン用連接棒」であると説明した上で、類似群コード09B01、09F02としている。しかしながら、請求人が取り扱うのは「自動車用エンジン及びエンジンパーツ」「自動車チューニングパーツ」であり、「陸上の乗物用のもの」に限られる。この点、請求人に係る製品「コネクティングロッド(コンロッド)」とは、自動車用のエンジンにおいて用いられる部品で、エンジンが起こすピストンの動きをクランクシャフトに伝え、回転運動に変換するものであるから、陸上の乗物用の動力機械の部品に該当し、本質的に09B01に該当する。「自動車部品出荷動向調査結果」(2020年度、乙11)においても、「コネクティングロッド」は「エンジン部品」として分類されている。 (2)請求人製品名称「ロッカーアームストッパー」について 請求人は、請求人製品名称「ロッカーアームストッパー」は「エンジン用ロッカーアームの付属品」であると説明した上で、類似群コード09F02としている。しかしながら、請求人が取り扱うのは「自動車用エンジン」で用いるロッカーアームの付属品であるから、陸上の乗物用の動力機械の部品に該当し、本質的に09B01に該当する。なお、上記「自動車部品出荷動向調査結果」においても、「ロッカーアーム」は「エンジン部品」として分類されている。 (3)以上より、「コネクティングロッド(コンロッド)」や「ロッカーアームストッパー」についての請求人商標の使用は、本件商標の指定商品である、第12類「動力伝導装置(陸上の乗物用の機械要素)」と同一又は類似の商品についての使用とはいえない。 4 「LSD」(デファレンシャルギア)に関する使用商標の認識の誤り 請求人は、「LSD」と呼ばれる「デファレンシャルギア」及び「ファイナルギア」(陸上の乗物用の差動歯車)について言及し、甲10及び甲11を提出している。 これは、商品の同一・類似性を要件とする商標法第4条第1項第10号に関して、本件商標の指定商品である、第12類「動力伝導装置(陸上の乗物用の機械要素)」と同一又は類似する商品である「LSD」の商品分野においても、請求人商標が周知であると主張するものと解される。 しかしながら、これらの証拠において、請求人商標が使用されているとはいえず、むしろ、請求人が自認するとおり、かかる「LSD」商品の商標として使用されているのは、「Technical Trax」「TECHNICAL TRAX ADVANCE」である。 以上より、第12類「動力伝導装置(陸上の乗物用の機械要素)」と同一又は類似する商品である「LSD」について、請求人商標が周知性を獲得することはあり得ない。 5 以上のとおり、請求人商標はいずれも、請求人が使用していると主張する商品分野において周知性、著名性を獲得しているとはいえない。 したがって、本件商標は、商標法第4条1項10号及び同項第15号に該当しない。 第5 当審の判断 1 請求人が本件審判を請求する利害関係を有することについては、当事者間に争いがないものであり、請求人が本件審判を請求する利害関係を有するものと認める。 以下、本案に入って審理する。 2 請求人商標の周知性について (1)請求人の主張及び同人の提出した証拠によれば、以下のとおりである。 ア 請求人は、昭和43年(1968年)に「東名自動株式会社」として設立された、「自動車部品の企画・開発・製造・卸及び販売、レーシングカー・レーシングエンジンの販売及びメンテナンス」を主たる業務とする企業であり、平成6年(1994年)に現在の商号に変更された(甲5)。 イ 請求人は、平成9年(1997年)頃から、請求人の業務に係る「自動車用チューニングパーツ」(請求人商品)について、商品カタログや取扱説明書等において、請求人商標(図形とともに表示されているものを含む。以下同じ。)を使用している(甲7~甲9、甲14)。 ウ 請求人商品の販売高は、毎年約5億円である(請求人の主張)。 エ 請求人商標に係る宣伝広告費用は、毎年数百ないし千数百万円である(請求人の主張)。 オ 2009年から2018年にかけて、請求人は、請求人商標を使用した請求人商品について、自動車チューニングパーツに関する雑誌や刊行物において広告を掲載し、また、同時期に、これらの媒体において請求人商品についての紹介記事が掲載された(甲16~甲26、甲29、甲30、甲32~甲40、甲42~甲45、甲49~甲56、甲60、甲61、甲64、甲72、甲73、甲76、甲78ほか)。 カ 請求人商品を取り扱う店舗に向けて、店舗内放映用として、請求人商標を使用した請求人商品の広告映像を内容とする販売促進用DVDが製作された(甲12)。 キ 2009年、2014年ないし2018年にかけて開催された自動車競技会や自動車展示会等のイベントにおいて、請求人商標を付したレース用自動車の車体、のぼり、旗、テント等により、請求人ないし請求人商品についての広告が行われた。なお、上記イベントのうち、例えば「R’sミーティング」(2014年~2018年)の来場者数は、約4000人ないし約6900人であり、「東京オートサロン2018」の来場者数は、3日間で32万人であった(甲16、甲31、甲42、甲46、甲48、甲57、甲61、甲62、甲65、甲66、甲68、甲69、甲75)。 (2)上記(1)によれば、以下のとおり判断できる。 ア 請求人商標を使用した請求人商品は、平成9年(1997年)頃から継続して請求人により取り扱われ、遅くとも2009年頃から広告宣伝ないし紹介されていることがうかがえる。 イ 他方、請求人商品の販売高及び広告宣伝費用について、それらを裏付ける証拠の提出はない。 なお、請求人は、毎年5億円とする請求人商品の販売高と、「一般社団法人日本自動車部品工業会」の「自動車部品出荷動向調査結果」(甲15)における、平成29年4月ないし同30年3月の「直接市場向け」の「四輪車用自動車部品分野」の「ピストン、ピストン・リング、シリンダ・ライナ、エンジン・ガスケット及びパッキング、エンジン・バルブ、バルブ・ロッカー・アーム及びシャフト、バルブ駆動部品及びカム・シャフト、軸受メタル、マニホールド、過給器、その他排気浄化装置部品、エギゾーストパイプ及びマフラー、その他のエンジン部品」の出荷金額(約30億500万円、以下「出荷動向調査金額」という。)を比較した上で、請求人商品の販売高が、業界において多くの割合を占める旨主張する。 しかしながら、上記の「出荷動向調査金額」が、請求人商品に係る市場の動向を正確に反映した数値であるかは明らかでないから、仮に請求人商品が上記販売高を有するとしても、これと「出荷動向調査金額」とを比較した結果のみをもって、直ちに、請求人商品が市場において高いシェアを占めると認めることはできない。 ウ また、請求人商品が掲載された雑誌や刊行物については、それらの発行部数は定かでなく、提出された証拠をみる限り、多い年で年間十数回程度の掲載頻度であって、著しく頻度が高いともいい難い。 加えて、販売促進用DVDについても、実際にそのDVDを用いて請求人商品の広告映像が放映された店舗の数や所在地は明らかでない。 さらに、自動車競技会等のイベントについても、その来場者数は、確認できる限りでは、「東京オートサロン2018」を除けばいずれも数千人単位であり、これが直ちに多いものともいい難い。加えて、これらのイベントにおける、請求人の出展ブースへの来訪者数が不明であるなど、請求人商標がどの程度の需要者の目に触れたのか定かでない。 エ 以上を踏まえると、請求人商標は、「自動車用チューニングパーツ」の分野において、本件商標の登録出願前から使用されていることがうかがえるとしても、請求人商標を使用した請求人商品が、自動車製造業者や自動車部品取引業者などを含む需要者の間においてどの程度認識されているかを把握することができない。 そして、その他、請求人商標が我が国において広く知られていることを裏付ける証拠の提出はない。 そうすると、請求人商標は、本件商標の登録出願時及び登録審決時に、請求人商品の需要者の間において、請求人の業務に係る商品を表示するものとして広く認識されるに至っていたと認めることはできない。 3 商標法第4条第1項第10号該当性について (1)請求人商標の周知性について 上記2のとおり、請求人商標は、本件商標の登録出願時及び登録審決時に、請求人商品の需要者の間において、広く認識されていたとは認められないものである。 (2)本件商標と請求人商標の類否について ア 本件商標 本件商標は、別掲1のとおり、図形と「TOMEI」の文字よりなるところ、図形と文字は視覚上分離して把握されるものである。 そして、構成中の図形部分は具体的な事物を表したものではなく、特定の観念を生じない。他方、「TOMEI」の文字部分も、一般的な辞書類に記載のない語であり、特定の意味合いにおいて親しまれている語でもないことから、特定の観念を生じない。 そうすると、本件商標の構成中の図形部分と文字部分は、視覚上分離して把握されることに加え、観念上の結びつきも有しないことから、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいえず、それぞれが独立して出所識別機能を有するものである。 してみれば、本件商標からは、図形部分と文字部分とをそれぞれを要部として抽出することが許される。 よって、本件商標は、構成中の「TOMEI」の文字に相応して「トーメイ」の称呼を生じ、特定の観念を生じない。 イ 請求人商標 (ア)請求人商標1 請求人商標1は、別掲2のとおり、「TOMEI」の文字を普通に用いられる方法で横書きしてなるところ、当該文字からは、上記アと同様に、「トーメイ」の称呼を生じ、特定の観念を生じない。 (イ)請求人商標2 請求人商標2は、別掲2のとおり、やや図案化し斜めに傾けた「TOMEI」の文字からなるところ、当該文字からは、上記アと同様に、「トーメイ」の称呼を生じ、特定の観念を生じない。 ウ 本件商標と請求人商標の比較 本件商標と請求人商標を比較するに、本件商標の要部である「TOMEI」の文字と、いずれも「TOMEI」の文字を書してなる請求人商標とは、文字のつづりを共通にするから、両者は外観上類似する。 また、本件商標と請求人商標は、いずれも「トーメイ」の称呼を生じるものであるから、称呼を共通にする。 そして、本件商標と請求人商標は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念において比較できない。 そうすると、本件商標と請求人商標は、観念において比較できないとしても、外観において類似し、称呼を共通にするものであるから、両者の外観、称呼及び観念を総合すると、類似する商標である。 (3)商標法第4条第1項第10号の該当性 上記(2)のとおり、本件商標と請求人商標は類似する商標であるが、上記(1)のとおり、請求人商標は、需要者の間において広く知られるに至っているとは認められないものである。 そうすると、請求人商品のうち、例えば「LSD(差動制限装置)」は、請求人の主張によれば、自動車の差動の働きに制限を与える機能を備えた差動歯車に相当する商品とするものであって、これが本件商標の指定商品と同一又は類似の商品と解する余地があるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。 4 商標法第4条第1項第15号該当性について (1)請求人商標の周知性について 上記2のとおり、請求人商標は、請求人商品の需要者の間において、広く認識されていたとは認められないものである。 (2)本件商標と請求人商標の類似性の程度について 本件商標と請求人商標とは、上記3(2)のとおり、観念において比較できないものの、外観において類似し、称呼を共通にする類似の商標であることから、両者の類似性の程度は高いといえる。 (3)請求人商標の独創性について 請求人商標は、上記3(2)のとおり、辞書類に記載のない造語であることから、独創性の程度は高いといえる。 (4)本件商標の指定商品と請求人商品の関連性及び需要者の共通性について 本件商標の指定商品は、エンジン等の原動機の回転数を変換して伝える役割を有する、自動車ほか陸上の乗物用の機械要素である。他方、請求人商品は、請求人の主張及び請求人商品カタログ(甲7~甲9)によれば、自動車エンジンの性能を自動車に伝える等の機能により、自動車の性能向上に寄与する商品であるから、両者は商品の関連性を有し、需要者を共通にする場合があるといえる。 (5)商標法第4条第1項第15号の該当性 上記(1)ないし(4)を踏まえると、両者の類似性の程度及び請求人商標の独創性の程度が高く、本件商標の指定商品と請求人商品とが関連性を有し、需要者を共通にする場合があるとしても、請求人商標が需要者の間に広く認識されているものと認められないことからすれば、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして請求人商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(請求人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないというべきである。 その他、本件商標が他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標であるというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 5 まとめ 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項第1号の規定により、無効とすることはできない。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-890027

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