商標無効審判
2022-890019
シンクエコ、シンク、エコ、イイシイオオ
- 審判番号
- 2022-890019
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 無効審判(無効の審決)
- 出願番号
- 商願2020-085440
- 登録番号
- 6346856
- 請求日
- 2022年03月17日
- 審決日
- 2023年02月10日
- 公報発行日
- 2023年08月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】シンク シューヴェルク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
- 【請求人代理人】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
- 【請求人代理人】山崎 和香子
- 【被請求人】帝人フロンティア 株式会社
- 【被請求人代理人】弁理士法人藤本パートナーズ
- 審判長/審判官
- 審判長 森山 啓
- 審判官 小松 里美
- 審判官 小林 裕子
- 分類
- T112 .261-Y (W2535) / T112 .262-Y (W2535) / T112 .263-Y (W2535)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号商標法46条1項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第3条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第6346856号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6346856号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、令和2年7月9日に登録出願、第1類、第3類、第5類、第9類ないし第12類、第16類ないし第20類、第22類ないし第27類、第35類、第40類及び第42類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同3年1月7日に登録査定、同月29日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
請求人が引用する登録商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第4498674号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:「Think」(標準文字)
登録出願日:平成12年9月29日
設定登録日:平成13年8月10日
指定商品:第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボン吊り,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」
2 登録第5233289号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:「Think」
登録出願日:平成19年4月27日(優先権主張:2007年1月26日 ドイツ連邦共和国)
設定登録日:平成21年5月22日
指定役務:第35類「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売りの業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,広告,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理」
以下、上記の引用商標1及び引用商標2をまとめていうときは、「引用商標」という場合がある。
第3 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品及び指定役務中、第25類「被服,コート,ジャケット,セーター,ワイシャツ類及びシャツ,ブラウス,ズボン及びパンツ,スカート,寝巻き類,下着,アイマスク,エプロン,靴下,スカーフ,手袋,ネクタイ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ナイトキャップ,帽子,靴類,履物及び運動用特殊靴,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」及び第35類「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」についての登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品及び指定役務中、本件審判の請求に係る指定商品及び指定役務については、商標法第4条第1項第11号に該当し、同法第46条第1項第1号により、その登録は無効にすべきものである。
2 具体的な理由
本件商標は、請求人所有に係る登録第4498674号商標(引用商標1)及び登録第5233289号商標(引用商標2)はその先出願・先登録に係るものであって、両商標は類似しており、その指定商品・役務も類似するものである。
以下、本件商標と引用商標1及び引用商標2の類否について述べる。
(1)本件商標と引用商標1及び引用商標2の構成
本件商標は、水色で描かれた滴状の図形、黄色で描かれた人を模しているとおぼしき黄色の図形、木を模しているとおぼしき緑色の楕円とその下に配された茶色の図形からなる図形、オレンジ色の丸型図形の右側に「THINK ECO」の英文字を横書きに書してなる(甲1)。そして、文字部分「THINK ECO」からは、その構成に呼応して、「シンクエコ」の他、「シンク」の称呼を生じる。
なお、本件商標の図形部分と文字部分は、両部分が外観上及び概念上不可分一体の関係にあるものと認めるべき特段の事由はないため、文字部分「THINK ECO」を抽出してその部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することは許されるべきである。
引用商標1及び引用商標2は、ともに「Think」の英文字を横書きに書してなり、その構成に呼応して「シンク」の称呼が生じる(甲2、甲3)。
(2)本件商標と引用商標1及び引用商標2の類否
ア 本件商標と引用商標1及び引用商標2の外観
本件商標と引用商標1及び引用商標2は、上述のとおりの構成からなるが、本件商標と引用商標1及び引用商標2の外観を対比すると、全て大文字で書してなるか語頭の文字のみ大文字であるかの相違はあるものの、「THINK(Think)」の文字を共通にしている。
本件商標と引用商標1及び引用商標2とは、看者の印象に残りやすく目立つ部分である商標の最初の部分「THINK(Think)」が共通しているから、外観上相紛らわしい類似の商標である。
イ 本件商標と引用商標1及び引用商標2から生じる称呼
本件商標の文字部分である「THINK ECO」には「ECO」が含まれているが、「ECO」は「環境・生態(学)」を意味する「エコロジー(ecology)」や、「経済」を意味する「エコノミー(economy)」の略語としてよく知られており、「ECO」には識別力がないか、識別力が極めて弱いと考えられる。
このことは、第25類の商品について出願された商願2001-058275「ECO」及び商願2011-064051「パジャマ/eco」が商標法第3条第1項に該当するとして拒絶されていることからも明らかである。
さらに、商願2009-052410商標「見えるECO」外26件の「eco」を含む商標が商標法第3条第1項に該当するとして拒絶査定又は拒絶審決を受けている事実がある。
よって、本件商標の文字部分「THINK ECO」からは、その文字部分に呼応して「シンクエコ」の他、識別力を有する「THINK」の部分に呼応して「シンク」の称呼が生じるというべきである。
そして、引用商標1及び引用商標2からは「シンク」の称呼を生じることから、本件商標と引用商標1及び引用商標2は、「シンク」の称呼を共通にし、称呼上相紛れるおそれのある類似の商標である。
ウ 本件商標と引用商標1及び引用商標2から生じる観念
本件商標の文字部分である「THINK ECO」は造語であるため、本件商標からは特段の観念は生じない。
引用商標1及び引用商標2の「Think」は、「考える、思う」を意味する英単語であり、「考える、思う」の観念を生じる。
よって、本件商標と引用商標1及び引用商標2は、一方が特定の観念を生じない造語として認識されるものであり、観念において対比することのできない商標である。
エ 本件商標の指定商品・役務と引用商標1及び引用商標2の指定商品・役務
本件商標の指定商品・役務中、第25類の「被服,コート,ジャケット,セーター,ワイシャツ類及びシャツ,ブラウス,ズボン及びパンツ,スカート,寝巻き類,下着,アイマスク,エプロン,靴下,スカーフ,手袋,ネクタイ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ナイトキャップ,帽子,靴類,履物及び運動用特殊靴,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」及び第35類の「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」は引用商標1及び引用商標2の指定商品・役務と類似する。
オ 上記より、本件商標と引用商標1及び引用商標2は外観及び称呼において類似する商標であり、指定商品・役務も類似するから、本件商標は、引用商標1及び引用商標2との関係で商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
(3)まとめ
上述したとおり、本件商標は引用商標1及び引用商標2と類似する商標であり、指定商品・役務も類似するものであるから、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当し、同法第46条第1項第1号により、無効にすべきものである。
第4 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第13号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号の非該当性について
(1)本件商標について
ア 本件商標は、左から水色のしずくの形状、黄色の人の形状、緑色と茶色の木の形状及びオレンジ色の円形状の図形(以下、これらを「本件図形部分」という。)を等間隔で配し、当該本件図形部分の右横に欧文字「THINK ECO」を横一連に書してなるところ、本件図形部分と「THINK ECO」の欧文字部分は、視覚上分離して認識できるものであり、また、観念上のつながりもないことから、本件図形部分と「THINK ECO」の欧文字部分は、それぞれ独立して商標の要部となり得るものと認められる。
イ 次に、本件商標の構成中の「THINK ECO」の欧文字部分は、「THINK」の欧文字と「ECO」の欧文字の間に1文字程度の間隔を有しているものの、同書、同大で外観上まとまりよく一体的に表示されており、これから生じる「シンクエコ」の称呼も5音と比較的短い音数であることからすると、よどみなく一連に称呼できるものである。
ウ また、本件商標の要部の一つである欧文字「THINK ECO」の構成中の「THINK」及び「ECO」の欧文字は、それぞれ「考える」及び「環境の」の意味を有する英単語として我が国で広く親しまれていることを考慮すると(乙1、乙2)、両文字を結合した「THINK ECO」の文字部分は、構成文字全体として「環境を考える」という一体的な意味合いを認識、理解させるものである。
エ そして、たとえ、「THINK ECO」の欧文字の構成中の「ECO」の欧文字が、請求人の主張する「環境・生態(学)」の意味を有する「エコロジー(ecology)」や「経済」の意味を有する「エコノミー(economy)」の略語として理解される場合があるとしても、前記のとおり、本件商標の「THINK ECO」の欧文字部分がまとまりよく一体的な外観構成からなるものであること、これより生じる称呼がよどみなく一連に称呼し得るものであること、並びにこれより一体的な観念が生じることからすると、かかる構成においては、「ECO」の欧文字が本件審判の請求にかかる商品及び役務の品質及び質を直接的に表示するものとして直ちに認識、理解されるとはいい難いものである。また、その他、本件商標の登録査定時において、本件商標の構成中「THINK」の文字部分のみが、本件審判の請求に係る商品及び役務との関係で、取引者、需要者に対し、商品及び役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものとみるべき特段の事情は見いだせない。
オ この点に関して、請求人は、本件商標の構成中にある「ECO」の文字は「環境・生態(学)」の意味を有する「エコロジー(ecology)」や「経済」の意味を有する「エコノミー(economy)」の略語としてよく知られていることのみを根拠として、「ECO」の文字には識別力がないか、識別力が極めて弱いと考えられる旨主張しているが、「ECO」の文字が「環境・生態(学)」の意味を有する「エコロジー(ecology)」や「経済」の意味を有する「エコノミー(economy)」の略語としてよく知られているからといって、これより直ちに「ECO」の欧文字が本件審判の請求に係る商品及び役務との関係で、識別力を具備しないとまではいえないことから、請求人の主張は根拠のない失当なものといえる。
カ そうすると、本件商標は、「ECO」の文字部分を捨象して取引に資されるというよりは、むしろ「THINK ECO」の欧文字の構成全体をもって不可分一体のものと認識し、把握されるとみるのが相当である。したがって、本件商標は、「THINK ECO」の構成文字に相応して「シンクエコ」の一連の称呼、及び「環境を考える」の観念のみを生じるものであり、請求人が主張するような、単に「THINK」の文字部分のみを捉えた「シンク」の称呼、及び「考える」の観念は生じないものと考えるのが相当である。
(2)引用商標について
引用商標1は、「Think」の欧文字を標準文字で表してなり、引用商標2は、欧文字「Think」を横一連に書してなるところ、引用商標は、それぞれの構成文字に相応して「シンク」の称呼及び「考える」の観念を生じるものである。
(3)本件商標と引用商標の類否
ア 本件商標と引用商標との類否を検討すると、外観については、それぞれの構成態様に照らし、本件商標はその構成中に本件図形部分及び「ECO」の欧文字を有するのに対し、引用商標の構成中には図形要素及び「ECO」の欧文字を有しないことから、両商標は明確に区別できるものといえる。
イ そして、称呼については、本件商標の要部の一である「THINK ECO」の欧文字部分から生じる「シンクエコ」の称呼と引用商標から生じる「シンク」の称呼とは、その音構成及び構成音数が顕著に相違するものであることから、それぞれ一連に称呼するときは、全体の音感、音調が異なり、容易に聴別できるものと認められるため、互いに紛れるおそれはないものである。
ウ また、観念については、本件商標の構成中の「THINK ECO」の欧文字部分から生じる「環境を考える」の観念と引用商標から生じる「考える」の観念とは、その観念が相違するものであるため、両商標は、観念上、相紛れるおそれはないものである。
エ さらに、我が国では、本件審判の請求に係る商品及び役務の分野において、「THINK」又は「THINK ECO」の欧文字から構成される商標が商標登録されている実情がある。
請求人の所有に係る引用商標1は、引用商標1の指定商品と同一又は類似の商品をその指定商品とし、引用商標1より先に出願・登録された株式会社パートナー名義の登録第3305824号商標「THINK ECO」(以下「先行商標1」という。)(乙3の1)より後に出願されたにもかかわらず、商標登録が認められている。また、同じく、引用商標2は、引用商標2の指定役務と同一又は類似の商品をその指定商品とし、引用商標2より先に出願・登録された株式会社パートナー名義の上記先行商標1、登録第4472214号商標「THINK ECO」(以下「先行商標2」という。)(乙3の2)及び登録第4606736号商標「THINK ECO」(以下「先行商標3」という。)(乙3の3)より後願であるが、商標登録されている事実がある。
このような商標登録の状況に鑑みれば、そもそも引用商標は、これより先に出願・登録された先行商標1ないし3の「THINK ECO」とは非類似であるからこそ商標登録が認められたものであるため、審査統一の見地からすると、本件商標「THINK ECO」についても、かかる引用商標の審査結果と同様に、引用商標「Think」とは非類似と判断されるべきものといえる。仮に、請求人の主張のとおり、本件商標と引用商標が類似するのであれば、本来、引用商標は、株式会社パートナー名義の上記先行商標1ないし3に基づきその登録を拒絶されるべきものであり、この点からも本件審判の請求は成り立たないと判断すべきことは明らかである。
オ そうすると、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものとはいえない。
(4)異議の決定(異議2021-900151)の参酌
請求人は、本件審判と同様の理由に基づき本件商標の商標登録に対して商標登録異議の申立て(異議2021-900151)を行ったが、本件商標の商標登録を維持する旨の決定が下されている事実がある。当該異議申立ての理由と本件無効審判の理由は実質的に同一であり、本件無効審判において、請求人から、本件商標と引用商標が類似することを裏付ける新たな主張、立証が何らなされていないことからすると、当該異議申立ての決定と同様に、本件審判の請求は、成り立たない旨の審決が下されるべきものと認められる。
(5)併存登録例の参酌
上記の被請求人の主張が正当であることは、本件審判の請求に係る商品及び役務の分野において、本件商標と引用商標の関係と同じく、「○○」と「○○ECO」から構成される二つの商標が、互いに非類似の商標と認められ、異なる権利者の下で数多く併存登録されている事実があることからも容易に裏付けることができる(乙4~乙13)。
2 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であるため、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものでなく、その登録は、同条第1項の規定に違反してされたものとはいえないから、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効にすべきでない。
第5 当審の判断
請求人が本件審判を請求する利害関係を有することについては、当事者間に争いがなく、また、当審は請求人が本件審判を請求する利害関係を有するものと認める。
以下、本案に入って審理する。
1 本件商標
本件商標は、別掲のとおり、水色の滴状の図形、黄色の円と楕円を縦に並べた図形、緑色の楕円と茶色の略四角形を組み合わせた図形、オレンジ色の円図形を横一列に並べた図形(以下「本件図形」という。)の右側に「THINK ECO」の欧文字を配してなるところ、本件図形部分と文字部分とは、いずれも重なることなく間隔を空けて配置されているから、視覚上、分離して看取されるものである。
そして、本件図形は、抽象的な図形であり、特定の事物を想起させるというような事情も見いだせないことから、本件図形からは、特定の称呼及び観念を生じないものである。また、本件商標を構成する本件図形部分と文字部分とが一体となって、何らかの称呼、観念を生じさせるというべき事情も見いだせない。
そうすると、本件商標は、本件図形部分と文字部分とを、分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいい難く、文字部分も独立して自他商品・役務の出所識別標識として機能し得るものである。
そして、本件商標の文字部分を構成する「THINK」の欧文字は「考える」の意味、「ECO」の欧文字は「環境」の意味を有するいずれも一般に親しまれた語であるから、本件商標の文字部分は、「環境を考える」といった意味合いを認識させる一体不可分のものというのが相当である。
したがって、本件商標は、その構成中の「THINK ECO」の文字部分に相応して「シンクエコ」の称呼を生じ、「環境を考える」の観念を生じるものである。
2 引用商標
引用商標1は、「Think」の欧文字を標準文字で表してなり、また、引用商標2は、「Think」の欧文字を横書きしてなるところ、いずれもそれらの構成文字に相応して「シンク」の称呼を生じ、「考える」の観念を生じるものである。
3 本件商標と引用商標の類否
(1)外観について
本件商標と引用商標とは、図形の有無及び「ECO」の欧文字の有無の差異を有するものであるから、全体の外観において、互いに区別できるものである。
また、本件商標の文字部分「THINK ECO」と引用商標とを比較すると、両者は、「ECO」の欧文字の有無に差異を有するものであって、文字数及び文字構成が相違するから、看者に与える印象が明らかに相違し、両者は外観において相紛れるおそれはない。
(2)称呼について
本件商標から生じる「シンクエコ」の称呼と引用商標から生じる「シンク」の称呼を比較すると、両者は「シンク」の音を共通にするものの、「エコ」の音の有無に差異があることから、両者をそれぞれ一連に称呼するときには、語感、語調が相違し、両者は称呼において相紛れるおそれはない。
(3)観念について
本件商標は「環境を考える」の観念を生じ、引用商標は「考える」の観念を生じるものであるから、両者は観念において相紛れるおそれはない。
(4)以上によれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
その他、両商標が類似するというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標は、引用商標と非類似のものであるから、本件商標の指定商品及び指定役務中、本件審判の請求に係る指定商品及び指定役務と引用商標1の指定商品及び引用商標2の指定役務が同一又は類似するとしても、商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。
したがって、本件商標の指定商品及び指定役務中、本件審判の請求に係る指定商品及び指定役務についての登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効にすべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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