商標無効審判
2022-890014
オッチョ、オチョ
- 審判番号
- 2022-890014
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 無効審判(無効の審決)
- 出願番号
- 商願2019-094791
- 登録番号
- 6299831
- 請求日
- 2022年02月28日
- 審決日
- 2022年12月01日
- 公報発行日
- 2023年02月24日
- 結論
- 請求成立(無効)
- 当事者
- 【請求人】ヌメロ オチョ リミテッド
- 【請求人代理人】名古屋国際弁理士法人
- 【被請求人】株式会社イードア
- 審判長/審判官
- 審判長 大森 友子
- 審判官 馬場 秀敏
- 審判官 茂木 祐輔
- 分類
- T112 .261-Z (W35) / T112 .262-Z (W35) / T112 .263-Z (W35) / T112 .265-Z (W35)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号商標法46条1項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第6299831号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
登録第6299831号の指定役務中、第35類「ビール・洋酒・果実酒・酎ハイの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」についての登録を無効とする。
審判費用は、被請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6299831号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、令和元年6月27日に登録出願、「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む第35類、第39類、第41類及び第43類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、同2年8月26日に登録査定、同年10月5日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
請求人が、本件商標の無効の理由において引用する商標は、以下に掲げるとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
1 国際登録第1193160号商標(以下「引用商標1」という。)は、「TEQUILA OCHO」の欧文字を横書きしてなり、2013(平成25)年5月14日にEUIPOにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、同年10月7日に国際商標登録出願、第33類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、平成27(2015)年2月27日に設定登録され、その後、指定商品については、同年7月7日に国際登録簿に記録された基礎出願又は基礎登録の効力の一部終了を原因とする当該商標権の登録の一部抹消の結果、第33類「Spirits protected by the appellation of origin Tequila.」となったものである。
2 国際登録第1218084号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、2014(平成26)年7月22日に国際商標登録出願、第33類「Spirits protected by the appellation of origin "Tequila".」を指定商品として、平成27(2015)年11月13日に設定登録されたものである。
以下、引用商標1及び引用商標2をまとめていうときは、「引用商標」という。
第3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を、要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。
1 利害関係について
請求人は、引用商標の商標権者である。
加えて、請求人は、令和3年2月10日に、商標「OCHO」を、指定商品、第33類「テキーラ」について商標出願したところ(商願2021-16053)、特許庁から本件商標を引用した拒絶理由通知書を受領した。
したがって、請求人は、本件商標と引用商標が類似するため、本件商標の存在によって、業務に係る商品との混同による不利益を被る可能性がある上、本件商標が存在することによって直接不利益を被る関係にある者であるから、利害関係を有する者である。
2 本件商標と引用商標との類否
(1)両商標の類否
ア 本件商標
近時、商業広告等において、文字の一部を装飾的に図案化することが普通に行われている実情よりすれば、本件商標は、図案化しているものの「ocho」の欧文字から構成されているものと容易に認識し、把握されるものである。「ocho」の文字は直ちには特定の読み及び意味合いを認識させないものであり、そのような文字からなる語にあっては、我が国で最も親しまれている外国語である英語風又はローマ字風に読まれる場合が多いものである。そうすると、本件商標中には上段に「オッチョ」の片仮名文字が併記されているものの、この「オッチョ」は下段の欧文字「ocho」から生じる唯一の称呼を特定したものとは認識し得ないものであり、本件商標は、その構成文字に相応しローマ字風に「オチョ」の称呼を自然に生ずるものというのが相当である。
このことは、特許庁の審決における判断からも明らかである。(不服2005-20325、甲4)
したがって、本件商標は、その構成文字「ocho」に相応し、「オチョ」の称呼を自然に生ずるものというのが相当である。
イ 引用商標
(ア)引用商標2は、過去の審決において、次のとおり判断されている。(不服2016-19432、甲5)
「数字の「8」を大きく表した図形(以下「引用の図形部分」という。)の上部中央に、小さく表した「MUESTRA NO.」の文字と、大きく表した「OCHO」の文字とを上下二段に横書きし、左下方の側面に接する黒塗りの縦長長方形に「TEQUILA」の文字を白抜きで右に90度傾けて書し、下部に接する四角の輪郭の中に、「100%」の文字と、「PURO」の文字と、「DE AGAVE」の文字とを三段に横書きしてなるもの(以下、これらを併せて「引用の文字部分」という。)であるところ、かかる構成においては、引用の図形部分と引用の文字部分は、視覚上、分離して看取し得るものである。そして、引用の文字部分の構成文字中、「TEQUILA」の文字と「100% PURO DE AGAVE」の文字は、引用の指定商品との関係において、該商品が「テキーラ(メキシコ産の蒸留酒)」であること、該商品がテキーラの原料として知られる「agave(アガベ)」を100パーセント使用したものであることを取引者、需要者に理解させるものであって、いずれも商品の品質を表示したものと認識され、自他商品識別標識としての機能を果たし得ないか、極めて弱いものであるから、引用の文字部分の構成文字中、独立して自他商品識別標識としての機能を果たし得るのは、「MUESTRA NO.」の文字及び「OCHO」の文字というのが相当である。また、「MUESTRA NO.」の文字及び「OCHO」の文字は、それぞれスペイン語で「見本」及び「8」の意味を有するものの、我が国において該意味を有する語として一般に親しまれたものではないから、特定の意味を生じない造語として認識されるものである。してみると、「MUESTRA NO.」の文字と「OCHO」の文字は、観念上の結びつきがなく、外観上も異なる書体及び大きさで表されているものであるから、それぞれを分離して観察することが、取引上不自然と思われるほど不可分的に結合しているということはできない。加えて、下段の「OCHO」の文字は、「MUESTRA NO.」の文字に比べて大きい書体で顕著に表されているから、取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものである。そうすると、引用商標は、その構成中の「OCHO」の文字を要部として抽出することができるものであるから、その文字に相応して、「オチョ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。」
(イ)引用商標1は、指定商品「テキーラ」に関し、「TEQUILA OCHO」の欧文字からなるものである。引用商標1において、「TEQUILA」の文字は、指定商品との関係で、商品が「テキーラ(メキシコ産の蒸留酒)」であることを理解させ、商品の品質表示と認識され、自他商品識別機能を果たし得ないか極めて弱いものであるから、引用商標1の文字部分の構成文字中、独立して自他商品識別標識としての機能を果たし得るのは、(中略)「OCHO」の文字というのが相当」(不服2016-19432、甲5)である。つまり、引用商標1からは「オチョ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標の類否について
本件商標と引用商標は、要部である「ocho」「OCHO」の文字においてそのつづりを同じくし、これから生じる「オチョ」の称呼を共通にするものであり、共に特定の観念を生じないものである。そうすると、本件商標と引用商標とは、その要部である「OCHO」の文字の構成において、外観及び称呼を同じくするものであり、互いに紛れるおそれのある類似の商標というのが相当である。
(2)指定役務について
本件商標の指定役務中、第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」は、引用商標の指定商品と同一又は類似する「ビール・洋酒・果実酒・酎ハイ」に係る小売等役務を含むものである。したがって、本件商標の指定役務中、第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」中の「ビール・洋酒・果実酒・酎ハイの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下「請求に係る役務」という場合がある。)は、引用商標の指定商品と、同一又は類似するとされるのが相当である。
(3)結論
本件商標と引用商標とは、商標の要部が「ocho」、「OCHO」と同一の欧文字で構成され、かつ、「オチョ」の称呼を共通にする類似の商標であり、その指定商品又は指定役務の一部も同一又は類似する商品又は役務である。
3 むすび
したがって、本件商標の指定役務中、第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」中の「ビール・洋酒・果実酒・酎ハイの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから、同法第46条第1項の規定により、無効とすべきである。
第4 被請求人の答弁
被請求人は、請求人の上記主張に対し、何ら答弁していない。
第5 当審の判断
1 本件審判の請求の利益について
本件審判請求に関し、被請求人は、何ら答弁しておらず、また当合議体も、請求人が本件審判の請求適格を有するものと判断するので、本案に入って審理する。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、別掲1のとおり、一部を擬人化したようなデザインで表された「ocho」の欧文字を大きな字体で横書きし、その左上部には「オッチョ」の片仮名を小さな字体で横書きして配してなるものである。
そして、本件商標の構成中の「ocho」の欧文字は、「オッチョ」の片仮名と比較して相当程度大きく、顕著に表されており、取引者、需要者に対し、自他役務の識別標識として、強く支配的な印象を与えるものである。
また、「ocho」の欧文字は、数字の「8」等を意味するスペイン語である(「現代スペイン語辞典(改訂版)」株式会社白水社発行)ものの、我が国において該意味を有する語として一般に親しまれたものとはいい難いことから、特定の意味合いを生じないというべきであり、「オッチョ」の片仮名と観念的に密接な関連性を有しているとはいい難く、「ocho」の欧文字と「オッチョ」の片仮名が常に一体不可分のものとしてのみ認識されるとみるべき特段の事情も見当たらない。
そうすると、本件商標から、「ocho」の文字部分を要部として抽出し、他人の商標と比較することも許されるというべきである。そして、「ocho」の文字は、我が国において慣れ親しまれた英語風又はローマ字風に倣えば「オチョ」と読めるものである。
そうすると、本件商標は、「ocho」の文字部分に相応した「オチョ」の称呼をも生じるものであり、特定の観念は生じない。
(2)引用商標1について
引用商標1は、「TEQUILA OCHO」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成中の「TEQUILA」の文字部分は、「テキーラ」を意味する英語であり、指定商品との関係では、自他商品の識別標識としての機能がないか又は極めて弱いものといえ、引用商標1において、独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得る文字部分は、「OCHO」の文字というのが相当であるから、該文字を要部として抽出し、他人の商標と比較することも許されるというべきである。そして、「OCHO」の文字は、特定の意味合いを生じないことは上記(1)のとおりである。
そうすると、引用商標1は、「OCHO」の文字部分に相応して、「オチョ」の称呼を生じ、特定の観念は生じない。
(3)引用商標2について
引用商標2は、別掲2のとおり、大きく表した数字の「8」を中央に配し、その上部には、小さく表した「MUESTRA NO.」の文字と、大きく表した「OCHO」の文字を二段に横書きして配し、左下方には、白抜きにした「TEQUILA」の文字を有する黒塗りの縦長長方図形を、下部には、「100%」、「PURO」及び「DE AGAVE」の文字を有する四角輪郭図形を、それぞれ一部が数字の「8」に接するように配してなるものであるところ、「MUESTRA NO.」及び「OCHO」の文字部分と、それ以外の数字及び図形部分とは、隙間を置いて配されており、視覚上、分離して看取し得るものである。
また、引用商標2の構成中、数字の「8」は、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章であり、「TEQUILA」の文字部分は、指定商品との関係において、該商品が「テキーラ」であること、「100% PURO DE AGAVE」の文字は、該商品がテキーラの原料である「agave(アガベ)」を100パーセント使用したものであること又は何らかの原材料を100%使用したものほどの意味合いを取引者、需要者に理解させるものであって、商品の品質を表示したものと認識され、いずれも自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないか、極めて弱いものであるから、引用商標2において、独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得る文字部分は、「MUESTRA NO.」の文字及び「OCHO」の文字というのが相当である。
そして、「MUESTRA NO.」の文字は、スペイン語で「見本番号」ほどの意味を有する(現代スペイン語辞典(改訂版))ものの、上記(1)及び(2)の「ocho(OCHO)」と同様、我が国において該意味を有する語として一般に親しまれたものではないから、特定の意味を生じないものである。
してみると、「MUESTRA NO.」の文字と「OCHO」の文字は、観念上の結びつきがなく、外観上も異なる書体及び大きさで表されているものであるから、それぞれを分離して観察することが、取引上不自然と思われるほど不可分的に結合しているということはできない。
加えて、下段の「OCHO」の文字は、「MUESTRA NO.」の文字に比べて大きい書体で顕著に表されているから、取引者、需要者に対し、自他商品の識別標識として強く支配的な印象を与えるものである。
そうすると、引用商標2は、その構成中の「OCHO」の文字部分を要部として抽出し、他人の商標と比較することも許されるというべきであるから、該文字に相応して、「オチョ」の称呼を生じ、特定の観念は生じない。
(4)本件商標と引用商標の類否について
本件商標と引用商標との類否を検討するに、外観については、本件商標の要部である「ocho」の文字部分と、引用商標の要部である「OCHO」の文字部分とは、デザイン化の有無及び大文字と小文字の差異はあるものの、つづりを全て共通にするものであるから、両商標は外観において近似した印象を与えるものである。
次に、称呼については、本件商標と引用商標は、「オチョ」の称呼を共通にするものである。
さらに、観念については、本件商標と引用商標は、いずれも特定の観念を有しないものであるから、比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができないとしても、外観において近似した印象を与えるものであり、称呼を共通にするものであるから、本件商標と引用商標の外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両商標は、役務の出所について誤認混同を生ずるおそれがある類似の商標と判断するのが相当である。
(5)請求に係る役務と引用商標の指定商品の類否について
請求に係る役務と、引用商標1の指定商品である第33類「Spirits protected by the appellation of origin Tequila.」又は引用商標2の指定商品である第33類「Spirits protected by the appellation of origin "Tequila".」とは、小売等役務とその取扱商品との関係にあり、これらは一般的に、同一事業者によって提供又は販売され、需要者の範囲も一致することから、互いに類似するものである。
(6)小括
以上のとおり、本件商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、引用商標の指定商品と類似する役務について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
3 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、その指定役務中、第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に含まれる「ビール・洋酒・果実酒・酎ハイの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」については、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから、同法第46条第1項により、その登録を無効とすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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