審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
商標拒絶査定不服審判

2022-650042

キャンティ、キアンティ、チアンティ

審判番号
2022-650042
法域
商標
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
1484004
請求日
2022年05月25日
審決日
2024年04月23日
公報発行日
2024年11月29日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】CONSORZIO VINO CHIANTI
  • 【請求人代理人】阿部 達彦
  • 【請求人代理人】小暮 理恵子
  • 【請求人代理人】行田 朋弘
審判長/審判官
  • 審判長 鈴木 雅也
  • 審判官 渡邊 あおい
  • 審判官 渡邊 潤
分類
T18 .13 -Z (W33) / T18 .17 -Z (W33) / T18 .272-Z (W33) / T18 .29 -Z (W33)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法3条1項3号商標法3条2項商標法4条17号
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第2項、商標法第4条第1項第16号、商標法第4条、商標法第4条第1項第17号、商標法第4条第1項、商標法第3条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

国際登録第1484004号に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。

結論

本件審判の請求は、成り立たない。

理由

第1 本願商標及び手続の経緯 本願商標は、「CHIANTI」の欧文字を横書きしてなり、第33類「wines.」を指定商品として、2019年(令和元年)6月19日に団体商標として国際商標登録出願されたものである。 本願は、2020年(令和2年)11月24日付けで暫定拒絶通報の通知がされ、令和3年3月10日付けで意見書が提出されたが、2022年(令和4年)2月3日付けで拒絶査定がされたものである。 これに対して令和4年5月25日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされたものであり、指定商品については、2022年(令和4年)8月17日付け国際登録簿に記録された限定の通報により、第33類「Wine complying with the provision of the production regulation of the PDO”CHIANTI”.」に限定されたものである。 第2 原査定の拒絶の理由の要点 原査定は、以下のとおり認定、判断し、本願商標を拒絶したものである。 1 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について 本願商標は、「CHIANTI」の文字を普通に用いられる方法で書してなるところ、該文字は「イタリアの赤ぶどう酒」の意味を有する語であり、該文字及び該文字を片仮名で表した「キャンティ」の文字は、指定商品であるぶどう酒を取り扱う分野において、「イタリアのトスカーナ地方産のワイン」を表すものとして一般に使用されている実情が見られることから、本願商標は「イタリアの赤ぶどう酒」又は、「イタリアのトスカーナ地方産のワイン」ほどの意味合いを認識させるものである。そうすると、本願商標を「イタリアの赤ぶどう酒」又は、「イタリアのトスカーナ地方産のワイン」に使用した場合には、商品の産地及び品質を普通に用いられる方法で表したものと需要者に認識されるものである。したがって、本願商標は、単に商品の産地及び品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから商標法第3条第1項第3号に該当する。また、本願商標を前記品質の商品以外に使用する場合は、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあることから、商標法第4条第1項第16号に該当する。 2 商標法第4条第1項第17号について 本願商標は、WTO加盟国におけるぶどう酒の産地を表示する標章で、ワイン市場の共通組織に関する欧州理事会規則No.479/2008に基づき保護されている地理的表示であり、当該国(イタリア)において当該産地(アレッツォ県、フィレンツェ県、プラート県、ピストイア県、ピサ県及びシエーナ県の限定地域)以外を産地とするものについて使用をすることが禁止されている「CHIANTI」の文字からなるものであり、本願商標の指定商品である「ぶどう酒」には、前記産地以外を産地とするぶどう酒が含まれるから、本願商標は商標法第4条第1項17号に該当する。 第3 当審における審尋 当審において、令和5年6月27日付け審尋により、別掲に掲げる事実を記載した上で、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとの暫定的見解を示したとともに、同条第2項の適用を主張するのであれば、そのための証拠を提出すべき旨付記し、期間を指定した上で請求人に対し意見を求めた。 第4 審尋に対する請求人の回答 請求人は、前記第3の審尋に対し、令和5年10月3日付けで回答書及び同6年1月 31日付け上申書を提出し、要旨以下のとおり意見を述べ、証拠方法として第11号証ないし第22号証を提出した。 1 請求人の会員である複数のワイナリーによって「CHIANTI」ワインの商品化が最初に行われたのが2000年初めとされるため、我が国における販売開始時期も同時期と考えられる。 2 2022年に生産された「CHIANTI」ワインはボトルにして8,050万本であり、そのうちの65%が輸出され、日本への輸出は、全輸出量中、少なくとも約5%とされるから、約261万6250本、約276万2500リットルの「CHIANTI」ワインが日本に輸入されたことになる。当該輸入量は、2022年におけるイタリアから日本へのワインの輸出量(第11号証)から計算すると、イタリア産ワインの約8.3%が「CHIANTI」ワインだった計算となる。 3 「CHIANTI」ワインは複数の輸入業者を通じて日本全国に販売されているため、「CHIANTI」商標の使用地域は日本全国といえる。 4 請求人は、本願商標の宣伝広告として、日本において「CHIANTI」ワインを広めるため、講師を迎えて試飲会付きワインセミナー、輸入業者を招いての商談会やセミナー、試飲会を実施している(第12号証~第14号証、第16号証~第22号証)。 5 請求人は、商標「CHIANTI」が本願の指定商品について白他商品の識別力を有するものと考えている。 第5 当審の判断 1 商標法第4条第1項第16号及び同項第17号について 本願の指定商品は、上記第1のとおり限定された結果、本願商標は、商標法第4条第 1項第16号及び同項第17号に該当しなくなった。 したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第16号及び同項第17号に該当するとした拒絶の理由は、解消した。 2 商標法第3条第1項第3号該当性について (1)商標法第3条第1項第3号について 商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、商品の産地、販売地その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合白他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである(昭和53年(行ツ)第129号同54年4月10日最高裁第3小法廷判決参照)。 (2)本願商標の語義及び使用状況について ア 本願商標は、「CHIANTI」の欧文字を横書きしてなるところ、当該文字又はその読みである「キャンティ」又は「キアンティ」の文字については、以下のとおり辞書等に載録がある。 (ア)「ランダムハウス英和辞典第2版」(株式会社小学館発行):「Chianti(略 )キャンティ:イタリア,トスカーナ地方産の幸口で香りの高い赤ワイン.[1883.原産地イタリアTuscany州のChianti山脈より]」 (イ)「ジーニアス英和辞典第5版」(株式会社大修館書店発行):「Chianti(略)キャンティ≪イタリアのトスカーナ地方産の辛口の赤ワイン≫」 (ウ)「コンサイスカタカナ語辞典第5版」(株式会社三省堂発行):「キャンティ[イ chianti]イタリアの赤ぶどう酒。辛口。<現>*原産地のイタリアの山岳地方の地名から。」 (エ)「ワイン用語辞典」(株式会社平凡社発行):「Cahianti伊(※注:「伊」の文字は丸付きのもの。)キアンティ/イタリアのトスカーナ州 Toscana特産の赤ワイン。(略)キアンティというす般名称のほかに,次の原産地名称が大統領令で定められている。(略)さらに,古都フィレンツェ,ピサ,シエーナに囲まれた三角地帯の古い葡萄園のものについては,キアンティ・クラシッコ Chianti classicoの表示が認められ,その多くの瓶の首には,黒い鶏のマークが貼られている。」 イ 上記アよりすれば、「CHIANTI(キャンティ、キアンティ)」は、「イタリアのトスカーナ地方産(特産)の赤ワイン」という特定の地方で生産されたワインの名称として紹介されており、加えてその名称がChianti山脈に由来したものと紹介されている。 また、上記ア(エ)のとおり、「キアンティ・クラシッコ(Chianti classico)」の表示が認められるワインもキアンティ(イタリアのトスカーナ州特産の赤ワイン)の一つとして捉えられるものである。 ウ さらに、指定商品の分野に関するウェブサイトにおいて、「CHIANTI(キャンティ)」の文字の使用状況を別掲のとおり確認することができる。 こうした使用事例において、「CHIANTI(キャンティ)」の文字は、イタリア・トスカーナ地方産の赤ワインに付される名称として使用、紹介されていることに加え、「キャンティ地方」、「キャンティ地区」、「キャンティエリア」といったように、産地の名称、地域の名称そのものとして使用、認識されている実情がある。 また、別掲の使用事例においても、上記ア(エ)同様、「CHIANTI(キャンティ)」の文字が、「キャンティ・クラシッコ(Chianti classico)」の名称よりなるワインの産地の名称としても用いられている。そして、「キャンティ・クラシッコ」の文字が付されるワインは、請求人と異なる団体によつて、生産又は管理されているものと認められる(https://www.chianticlassico.com/ja/chianti―classico―characteristics/)。 (3)本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について 本願商標は、「CHIANTI」 の欧文字を横書きしてなるところ、当該文字は、上記(2)ア及びイのとおり、「イタリアのトスカーナ地方産の赤ワイン」と、特定地方産の赤ワインとして辞書等に載録されており、加えてその名称がChianti山脈という地名に由来したものと紹介されているものである。 また、指定商品を取り扱う業界において、当該文字は、上記(2)ウのとおり、産地(地域)の名称そのものとしても使用、認識されている。 そして、こうした使用事例については、「CHIANTI」の文字が特定の事業主体の扱うブランド名称といったような紹介がなされていないことに加え、上記(2)ア(エ)及びウのとおり、請求人とは異なる団体の取り扱う商品「キャンティ・クラシッコ(Chianti classico)」の産地名としても紹介がされている。 そうすると、「CHIANTI」の文字よりなる本願商標を、その指定商品に使用をしても、これに接する取引者、需要者は、本願商標が商品の産地を表示したものか、そうでないとしても、「イタリア,トスカーナ地方産の幸口で香りの高い赤ワイン.」(上記1(2)ア(ア))と評されるように、「イタリア・トスカーナ地方産の赤ワイン」であることに対し付されるワインのカテゴリーやグレードの類、すなわち商品の品質を表示したものと認識するにとどまるというのが相当である。 してみれば、本願商標は、商品の産地、品質を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示として請求人以外の者もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものである。 加えて、本願商標は、特段特徴のない字体の欧文字で表されているものであるから、普通に用いられる方法で表示する標章である。 したがって、本願商標は、商品の産地、品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものとして、商標法第3条第1項第3号に該当する。 3 商標法第3条第2項該当性について 請求人は、上記第4のとおり、本願商標の使用開始時期、使用地域、宣伝広告等を説明した上で、指定商品について白他商品の識別力を有するものと考えている旨主張し、証拠方法として、令和4年5月25日付け審判請求書に添付の第1号証ないし第10号証、同5年10月3日付け回答書に添付の第11号証ないし第15号証及び同6年1月31日付け上申書に添付の第16号証ないし第22号証を提出した。 かかる請求人の主張は、本願商標が使用をされた結果、需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識することができるものになっているとの主張と解されるので、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するに至ったか、以下検討する。 (1)商標法第3条第2項について 商標法第3条第2頂は、同条第1項第3号に該当する商標であっても、「使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるもの」は、商標登録を受けることができるとする。この趣旨は、当該商標が、本来であれば、自他商品識別力を持たないとされる標章であっても、特定人が当該商標をその業務に係る商品、役務に使用した結果、当該商品等から、商品等の出所と特定の事業者との関連を認識することができる程度に、広く知られるに至った場合には、登録商標として保護を与えない実質的な理由に乏しいといえること、当該商標の使用によつて、商品等の出所であると認識された事業者による独占使用が事実上容認されている以上、他の事業者等に、当該商標を使用する余地を残しておく公益的な要請は喪失したとして差し支えないことにあるものと解される。 商標が商標法第3条第2項の規定により商標登録を受けることができるものであるかを判断するに当たつては、上記の観点を勘案して、当該商標及び商品、役務の性質・態様、取引の実情等を総合考慮すべきである(平成19年(行ケ)第10050号同年10月31日知財高裁判決参照)。 (2)請求人の主張及び提出された証拠について 請求人の主張及び提出された証拠によれば、以下のとおりである。 ア 「CHIANTI」の文字が付されたワインが日本に輸入され、日本各地域で取引されていることは確認できる(第15号証)ものの、請求人が主張する、日本への輸出開始時期が2000年頃であること、また、2022年の日本への輸出量は、約261万6250本 、約276万2500リットルであり、イタリア産ワインの輸入量全体の約8.3%を占めるとされることについては、いずれも、その根拠となる資料が提出されていない。 イ 請求人は、「CHIANTI」ワインに関するセミナーや試飲会等を実施して宣伝広告を行ったと主張するが、提出された証拠によれば、実施されたのは、2019年4月25日の東京(ホテル雅叙園)、2022年11月28日の福岡(ソラリア西鉄ホール福岡)、同月29日の大阪、同年12月1日の東京、2023年4月18日の東京(明 治記念館)の計5回であり、いずれも1日限りのイベントであり、またその1回の参加人数も確認可能なものは60名程度の規模である(第18号証、第19号証)。 ウ 上記イのほかに、請求人が「CHIANTI」について実施した広告宣伝(新聞広告、テレビCM、雑誌への掲載、販促イベント等)の証拠は提出されておらず、また「CHIANTI」ワインが請求人の業務に係る商品を示すものとして取り上げられたような記事、需要者による本願商標の認知度が高いことを示すアンケート結果等も見られない。 (3)判断 上記(2)のとおり、「CHIANTI」の文字が指定商品に付されて日本各地で取引されていることは確認できるものの、その使用開始時期、使用数量については客観的な裏付けがないことから定かではなく、宣伝広告については、2019年から2023年にかけて、1日限りのセミナーや試飲会等のイベントが3都市、計5回行われたのみであり、その規模も大きいとはいえない。 さらに、上記2のとおり、「CHIANTI」の文字が、辞書等において「イタリアのトスカーナ地方産の赤ワイン」という特定地方産の赤ワインとして紹介されたり、Chianti山脈という地名に由来したものと紹介されたりしていることや、指定商品を取り扱う業界において産地(地域)の名称として使用されるとしても、請求人も含め、特定の事業主体の扱うブランド名称といったような使用や認識のされ方がみられないことを考慮すれば、たとえ「CHIANTI」の文字を付したワインの流通量が一定程度あるとしても、当該ワインの出所と請求人との関連を認識することができる状態で当該ワインが流通し、又は宣伝広告されているということはできないものである。 加えて、キアンティ(キャンティ)地方においては、請求人とは異なる事業者によるワイン「キャンティ・クラシッコ(Chianti classico)」等も生産されており、「CHIANTI」が当該ワインの産地名としても紹介された上で取引されている実情があることからすれば、「CHIANTI」の文字が、請求人のみによる使用により、請求人のみの業務に係る商品を表示するものとして、我が国における需要者の間に広く認識されるに至ったと認めることはできない。 以上よりすれば、「CHIANTI」の文字は、上記(1)の趣旨に照らしても、使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものと認めることはできない。 したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備しない。 4 請求人の主張について 請求人は、ワインの取引者、需要者は、ワインの背景や歴史、種類、ワイナリーの特徴等に興味を持ち、注意深く観察する傾向にあるとともに、ワインに関する各種ウェブサイトや書籍、教室、検定等があるから、本願の指定商品の取引者、需要者において、本願商標は特定の者の業務に係る商品であることを認識させることができる旨主張する。 しかしながら、ワインの需要者には一般の消費者も含まれるところ、「CHIANTI」の文字が、「イタリアのトスカーナ地方産の(赤)ワイン」として辞書等に載録されていること、指定商品を取り扱う業界において、産地(地域)の名称としても認識されている実情があること、特定の事業主体が取り扱うブランドのような紹介がされておらず、上記3のとおり、何人かの業務に係る商品であることを認識できるものともいえないことに鑑みれば、当該文字は、指定商品の産地を表したものと認識されるか、「イタリア・トスカーナ地方産の赤ワイン」であることに対し付されるワインのカテゴリーやグレード等、すなわち商品の品質を表したものとして認識されるにとどまるというのが相当であり、特定の事業者(請求人)のみに係る商品の出所識別標識とは認識されるものということはできない。 したがって、請求人の上記主張を採用することはできない。 5 まとめ 上記1のとおり、本願商標は、商標法第4条第1頂第16号及び同項第17号に該当しないとしても、上記2ないし4のとおり、同法第3条第1項第3号に該当し、同法第3条第2項の要件を具備しないから、これを登録することはできない。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2022-650042

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存