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商標拒絶査定不服審判

2022-650037

ブイシリーズ

審判番号
2022-650037
法域
商標
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
1534307
請求日
2022年05月13日
審決日
2023年07月13日
公報発行日
2024年01月26日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】Keysight Technologies, Inc.
  • 【請求人代理人】黒川 朋也
  • 【請求人代理人】魚路 将央
審判長/審判官
  • 審判長 高野 和行
  • 審判官 小俣 克巳
  • 審判官 石塚 利恵
分類
T18 .16 -Z (W09)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法3条1項6号
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第3条第1項第6号、商標法第3条第1項第5号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

国際登録第1534307号に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 1 手続の経緯 本願は、2020年(令和2年)1月24日にUnited States of Americaにおいてした商標登録出願に基づいて、パリ条約第4条による優先権を主張し、同年5月7日に国際商標登録出願されたものであって、その手続の経緯は、以下のとおりである。 2021年(令和3年) 6月 9日付け:暫定拒絶通報 2021年(令和3年)12月23日 :意見書の提出 2022年(令和4年) 2月 7日付け:拒絶査定 2022年(令和4年) 5月13日 :審判請求書の提出 2 本願商標 本願商標は、「V-SERIES」の文字を横書きしてなり、第9類「Oscilloscopes.」を指定商品として、国際商標登録出願されたものである。 3 原査定の拒絶の理由(要点) 本願商標は、商品の品番や型番等を表示するための記号、符号と認識することができる欧文字1字の「V」の文字と、「(連続・系列の意)連続性を持つ一連のもの」の意味を有する「シリーズ」を表す英語である「SERIES」の文字を、ハイフンで結合して普通に用いられる方法で表したものである。 そして、その構成中の「SERIES」の文字は、製造業者又は販売業者が、自己の取り扱いに係る商品中、一定の意図の下に企画、製造又は販売された商品群を表示するものとして、一般的に、他の語に付加して「○SERIES」又は「○シリーズ」のように使用されるものであり、欧文字1字と「SERIES」等の文字をハイフンで組み合わせたものについても、一連の商品群(シリーズ商品)であることを表すものとして、様々な業界において取引上普通に用いられている実情が見受けられる。 そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者は、その構成全体から「品番、型番等をVという一連の商品群(シリーズ商品)」程の意味合いを表したものと認識するにとどまるから、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものである。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。 4 当審においてした審尋 当審において、請求人に対し、令和5年1月24日付けで、別掲に示すとおりの用例を提示した上で、本願商標は商標法第3条第1項第6号に該当するとする旨の見解を示した審尋を発し、期間を指定して、これに対する回答を求めた。 5 審尋に対する請求人の意見 (1)審尋で挙げている使用例は、本願商標とは、その構成が全く異なるものであり、これらの使用例については、文字列全体を識別標識として捉えるべきである。また、オシロスコープに関して、本願商標と似たような構成からなる使用例は、「Mシリーズ」の1件のみだが、当該商品が実際に使用されていたのは2008年のことであり、現在において、「Mシリーズ」が使用されている実情は見受けられない。そうすると、本願商標のように、「欧文字1字と「シリーズ」の文字の組合せ」の使用例は、実質的に存在しないこととなる。したがって、審尋で挙げられた使用例は、本願商標の識別性を否定するのに適切なものではない。 (2)審尋において挙げられた例の大半は、商標法第3条第1項第5号の商標審査基準に照らし合わせると、いずれも記号、符号の例には該当しないため、識別力のある語に該当する。オシロスコープの業界において、「○○シリーズ」といった表示を用いて、商品を区別することが行われていることが事実であったとしても、その「○○」部分が記号・符号に当たるという証拠は適切なものではなく、むしろ、これらの使用例からは、オシロスコープを取り扱う業界においては、「○○シリーズ」全体で出所識別標識として使用され、機能している慣習があることを示していると理解するのが自然である。そうすると、本願商標についても、「欧文字1字」と「シリーズ」とを分断して判断することは合理的とは言えず、オシロスコープを取り扱う業界においては、あくまで商標全体でのみ把握され、機能すると考えるべきである。 (3)上述のとおり、「欧文字1字と「シリーズ」の文字の組合せ」の使用例が、オシロスコープにおいて実質的に存在しないことから、その取引者、需要者は、本願商標を特定の意味合いを有しない造語として理解し、本願商標は、自他商品識別標識としての機能を果たしうるものである。 6 当審の判断 (1)商標法第3条第1項第6号該当性について ア 本願商標は、「V」の文字及び「SERIES」の文字を「-」(ハイフン)を介して結合し、「V-SERIES」と横書きしてなるものである。 イ 本願商標の構成中、「-」(ハイフン)は、言語表記の補助符号であり、1語が2行にまたがる時のつなぎとして使用される場合を除き、「英文などで合成度の浅い複合語の連結」又は「1語内の形態素の区切りを明確にする」場合に使用されるものである(「広辞苑 第七版」岩波書店参照)。そして、本願商標を構成する「V」及び「SERIES」の間には、当該「-」が存在するため、上記機能ないし役割的にも、また、視覚上も、「V」及び「SERIES」の文字がハイフンによって明確に分離され、看取、把握されるものである。 ウ 本願商標の構成中、「SERIES」の文字は、「連続、ひと続き、シリーズ」(「ジーニアス英和辞典 第5版」大修館書店)を意味する語として、一般によく知られた語であるところ、請求人の提出した資料によれば、本願の指定商品を取り扱う業界において、例えば、テレダイン・レクロイ社の取扱いに係るオシロスコープについて「T3DSO1000シリーズ」、「T3DSO2000シリーズ」、「T3DSO2000Aシリーズ」、「T3DSO3000シリーズ」、「HDO4000Aシリーズ」、「HDO6000Aシリーズ」、「HDO6000Bシリーズ」(資料23)等、「SERIES」の文字を片仮名で表記した「シリーズ」の文字が、上記意味合いで用いられていることが認められる。 また、別掲によれば、同業界において、例えば、リゴルジャパン株式会社の取扱いに係るオシロスコープ「DS70000シリーズ」、岩崎通信機株式会社の取扱いに係るオシロスコープ「DS―8000シリーズ」、ローデシュワルツジャパン株式会社の取扱いに係るオシロスコープ「RTPシリーズ」のように、周波数帯域等の相違により複数の機種が製造販売され、冒頭の形名の部分が同じ製品を、その部分を指して「○○シリーズ」と表現していることが認められることから、「シリーズ」の語は、「一連の商品群(シリーズ商品)」を意味するものとして用いられているということができる。 エ さらに、別掲によれば、同業界においては、同一の製造者が、例えば、特定の高性能タイプの商品群について「Mシリーズ」、あるいは、従来の商品群の改良版等として、「4000B-Lシリーズ(従来商品は「4000Bシリーズ」)」、「WaveSurfer3000zシリーズ(従来商品は「WaveSurfer3000シリーズ」)」のように、それぞれ欧文字1字を用いて商品を区別していることが認められる。 オ 上記アないしエによれば、本願の指定商品を取り扱う業界において、同一種類の商品につき、商品の性能、機能等の違いにより複数の機種を提供している場合に、これらを区別する標識として欧文字や数字を用い、これと「シリーズ」の文字を組み合わせて表示することによって、商品を区別することが普通に行われており、欧文字1字と「シリーズ」の文字を組み合わせた表示についても、同様の実情が見受けられるといえる。 そうすると、構成態様上、欧文字1字(V)と「シリーズ」の欧文字表記(SERIES)とをハイフン(-)を用いて組み合わせた本願商標は、上記組合せの一類型といえるところ、欧文字1字からなる「V」の文字は、商品の品番、型番等を表す記号、符号として一般的に採択、使用されており、自他商品識別機能を有し得ないものであるから、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「V」の文字を、記号、符号として、また、「SERIES」の文字を、その商品が一連の商品群(シリーズ商品)に係るものであることを表すものとして、それぞれ認識するにすぎず、両者をハイフンで結合してなる本願商標全体として、性能や機能等の異なる他の商品群と区別するために用いられている標識であると認識するにとどまるというのが自然であって、商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識として認識することはないというべきである。 したがって、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であるから、商標法第3条第1項第6号に該当する。 (2)請求人の主張について ア 請求人は、審尋で挙げている使用例は、本願商標とは、その構成が全く異なるものであること、また、現在において、「Mシリーズ」が使用されている実情は見受けられないことを挙げ、審尋で挙げられた使用例は、本願商標の識別性を否定するのに適切なものではない旨主張する。 しかしながら、上記(1)エのとおり、本願の指定商品を取り扱う業界においては、欧文字1字を用いる(付加する)ことにより、従来商品とその改良版等を区別している実情が見受けられるほか、特定の高性能タイプの商品群について「Mシリーズ」と称していた実情も見受けられることから、欧文字1字は、商品を区別するために普通に用いられているということができる。 なお、本願商標に係る識別性の判断は、その指定商品に係る需要者における認識が基準となるところ、審尋で示した用例中に、現在使用されていないものがあるとしても、その商品を掲載したウェブサイトが存在し、需要者が参照可能な状態にあるのであれば、その用例が現在使用されていない事実のみをもって、需要者の認識の形成が左右されるものではない。 イ 請求人は、審尋における使用例の大半は、商標法第3条第1項第5号の商標審査基準に照らすと、いずれも記号、符号の例には該当しないため、識別力のある語に該当し、オシロスコープを取り扱う業界においては、「○○シリーズ」全体で出所識別標識として使用され、機能している慣習があることを示していると理解するのが自然である旨述べるとともに、本願商標についても、「欧文字1字」と「シリーズ」とを分断して判断することは合理的とは言えず、オシロスコープを取り扱う業界においては、あくまで商標全体でのみ把握され、機能すると考えるべき旨主張する。 しかしながら、上記(1)ウにおける用例は、本願の指定商品を取り扱う業界において、「シリーズ」の語が、「一連の商品群(シリーズ商品)」を意味するものとして用いられている実情を示したものであるところ、複数の事業者が、各機種を区別する標識として欧文字や数字を用い、これと「シリーズ」の文字を組み合わせて表示することによって、商品を区別することが普通に行われている実情があることは上述のとおりである。 そして、本願商標は、「V」の文字と、一連の商品群(シリーズ商品)に係るものであることを表す「SERIES」の文字とを、「-」(ハイフン)を介して結合したにすぎないものであって、その構成態様としても特段の特徴を有するものではないから、本願商標については、商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識として認識することはないというべきであること、上記(1)のとおりである。 ウ 請求人は、本願商標について、取引者、需要者は、特定の意味合いを有しない造語として理解するものであり、自他商品識別標識としての機能を果たしうるものである旨主張する。 しかしながら、本願商標は、その構成中の「V」及び「SERIES」のいずれもが、それ自体として、一般によく知られた文字及び語であるうえ、両者の間に存する記号「-」(ハイフン)の上記機能ないし役割を踏まえると、これら両者は、ハイフンによって、機能的にも視覚的にも明確に分離されているものである以上、本願商標に接した一般の取引者、需要者に、「V」と「SERIES」のそれぞれに着目した観察と認識が生ずるのは、上記(1)のとおりである。 エ 請求人は、構成中に「シリーズ」又は「SERIES」を含む過去の商標登録例(自己の登録例も含む。)を掲げて、本願商標も登録すべきである旨主張する。 しかしながら、登録出願に係る商標が自他商品の識別標識として機能し得るか否かは、当該商標の構成態様と、査定時又は審決時における取引の実情を勘案して、その指定商品の取引者、需要者の認識を基準に判断すべきものであるところ、請求人が挙げる他人の過去の商標登録例は、いずれも本願の指定商品とは相違するものであって、取引の実情が異なるものであり、請求人が挙げる自己の過去の商標登録例は、いずれも本願商標とは構成態様が異なるものであるから、他の登録例に本件の判断が拘束されるものではない。 オ したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。 (3)まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、登録することができない。 よって、結論のとおり審決する。

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