商標拒絶査定不服審判
2022-650007
ジュラ、ユーラ
- 審判番号
- 2022-650007
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 1289190
- 請求日
- 2022年02月14日
- 審決日
- 2025年07月15日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】Whyte and Mackay Limited
- 【請求人代理人】黒川 朋也
- 【請求人代理人】魚路 将央
- 審判長/審判官
- 審判長 山田 啓之
- 審判官 渡邉 あおい
- 審判官 深田 彩紀子
- 分類
- T18 .13 -WY (W33) / T18 .17 -WY (W33)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第2項、商標法第4条第1項第16号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
2020年(令和2年)4月24日に事後指定が記録された国際登録第1289190号に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。
結論
原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。
理由
1 手続の経緯
本願は、2020年(令和2年)4月24日に国際商標登録出願(事後指定)されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
2021年(令和3年) 6月 8日付け:暫定拒絶通報
2021年(令和3年) 9月24日 :意見書の提出
2021年(令和3年)10月26日付け:拒絶査定
2022年(令和4年) 2月14日 :審判請求書の提出
2023年(令和5年) 1月30日 :手続補正書の提出
2024年(令和6年) 5月22日 :手続補正書の提出
2 本願商標
本願商標は、「JURA」の文字を横書きしてなり、第33類に属する日本国を指定する国際登録において指定された商品を指定商品として、国際商標登録出願(事後指定)されたものであり、その後、指定商品については、上記1の手続補正書により、最終的に、第33類「Whisky produced in Jura in Scotland.」と補正されたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定は、「本願商標は、指定商品との関係において、ウイスキーの生産地として知られている「ジュラ島」を認識させるものであり、本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、当該島の名称を認識するにすぎないから、本願商標は、単に商品の産地を普通に用いられる方法で表示するものと判断するのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、当該島以外の産地の商品に使用した場合は、商標法第4条第1項第16号に該当する。また、提出された資料は、出願人と商品との関係性が示されているものではなく、本願商標が使用をされた結果、特定の出所を示すものとして、取引者、需要者に認識されているものとなったとは認められないから、商標法第3条第2項の要件を具備するということはできない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、「JURA」の文字を横書きしてなるところ、補正後の指定商品「Whisky produced in Jura in Scotland.」との関係において、「JURA」の文字は、「スコットランドのジュラ島」を認識させる地名(小学館発行「ランダムハウス英和大辞典」及び甲第1号証)といえるものであるから、本願商標は、商品の産地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)商標法第3条第2項に規定する要件を具備するか否かについて
請求人は、本願商標が使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものに至っている旨主張し、証拠方法として、原審において資料1ないし資料14を提出し、当審において甲第1号証ないし甲第23号証を提出した上で、上記2のとおり、当審において指定商品を補正し、第33類「Whisky produced in Jura in Scotland.」としているところ、以下、本願商標が、同法第3条第2項の要件を具備するものであるかについて判断する。
ア 請求人の提出に係る証拠及び同人の主張、並びに職権による調査によれば、次の事実が認められる。
(ア)請求人について
請求人は、1844年にグラスゴーに設立され、スコットランドに5つの蒸留所を持つウイスキーとスピリッツの製造企業であり(審判請求書における主張)、請求人が製造するウイスキーの1つに「JURA」の標章を使用している(甲第3号証、甲第4号証)。
また、請求人のウェブサイトや株式会社明治屋のウェブサイト等において、請求人の商品を紹介する際に、本願商標と実質的に同一と認められる標章が使用されており、さらに、ウイスキーに関連する書籍や「酒のやまや楽天市場店」等のウイスキーの販売を行う各種ウェブサイトにおいても、本願商標と実質的に同一と認められる標章を使用した商品が、請求人のブランドとして紹介されている(職権調査)。
(イ)営業地域、販売数、売上高等について
請求人は、「JURA」の標章を使用したウイスキーを、2021年6月期において、日本を始め、イギリス、アイルランド、フランス、オランダ等のヨーロッパ諸国、アメリカ、カナダ等の北米、チリ、コロンビア、ぺルー、ブラジル、メキシコ等の中南米諸国、中国、台湾、ベトナム、シンガポール等のアジア諸国、UAE、ヨルダン等の中東諸国等、世界の86か国及び地域で販売している(審判請求書における主張)。
日本においては、「JURA」の標章を使用したウイスキーを、2012年から販売しており、2012年から2023年における販売実数は2万5,422ケース、15万2,532本(1ケース6本入り)、売上高は計192万5,827ポンド(約3億5,440万円)である(甲第19号証)。
なお、請求人は、株式会社やまや及びイオン株式会社の共同出資によるコルドンヴェール株式会社を介して、日本に「JURA」の標章を使用したウイスキーを輸出しており(甲第20号証)、2023年からは、株式会社明治屋が、請求人のブランドとして、ウイスキー「JURA」の販売を開始している(職権調査)。
(ウ)広告宣伝について
請求人は、自社のウェブサイトにおいて、本願商標と実質的に同一と認められる標章の下、ウイスキー「JURA」の広告宣伝を行っており、スコットランドのジュラ島における「ジュラ蒸溜所ツアー」も請求人が開催している(職権調査)。
また、請求人は、「Whisky Festival T0KY0 2019」(資料10、甲第13号証)等、展示会・見本市を通じて、日本において、ウイスキー「JURA」の販売促進活動を行ってきた。
さらに、ウイスキー「JURA」が、ジュラ蒸留所で製造されており、同蒸留所の所有者が請求人であることは、複数の書籍やウェブサイトにおいて記載があり、例えば、株式会社バイ インターナショナル発行の書籍「モルトウイスキー・コンパニオン 改定第7版」では、「JURA」の見出しの下、「生産者:ホワイト・アンド・マッカイLtd」、「島:ジュラ」、「蒸留所はホワイト・アンド・マッカイLtd所有のもとで、新製品の紹介とその活発な売り込みにこれまで以上に積極的に関わってきている。」の記載がある(職権調査)。
(エ)商品の性質その他の取引の実情について
請求人が製造するウイスキー「JURA」は、ジュラ島の蒸留所で製造されているものであるが、ジュラ島には、請求人所有の「ジュラ蒸留所」しか存在しない(甲第5号証、職権調査)。
また、英国行政委任立法のウイスキーに関する規則において、請求人の蒸留所「Isle of Jura」の名称は、「ウイスキーが完全にその蒸留所で蒸留されていない限り、ブランド名又はその一部として使用してはならない」とされており、ウイスキー分野において、「JURA」の文字(語)は、請求人に係る商品にのみ使用が許されているものである(甲第18号証)。
イ 判断
上記アで認定した事実によれば、請求人は、1844年の創業以来、ウイスキーを製造、販売しており、ジュラ島唯一の蒸留所であるジュラ蒸留所の所有者であること、我が国においては、2012年から10年以上「JURA」の標章を使用したウイスキーを販売しており、相当程度の売上高があること、請求人が製造するウイスキーの名称として、本願商標と実質的に同一と認められる標章を継続して使用しており、ウイスキーに関する書籍やウェブサイトにおいても紹介されていることが認められる。
そうすると、本願商標は、請求人の業務に係る「ウイスキー」を表示するものとして、需要者の間で、広く認識されているとみるのが相当である。
また、職権による調査によれば、本願商標と同一の構成からなる商標を、本願の指定商品を取り扱う業界において、請求人以外の者が使用している事実は発見できなかった。
してみれば、本願商標は、その補正後の指定商品について、請求人により長年にわたり継続的に使用された結果、需要者が、請求人の業務に係る商品を表示する商標として認識するに至ったものとみるのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものというべきである。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものの、同条第2項の要件を具備するものであるから、同項の要件を具備するものではないとした原査定は取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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