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商標取消審判

2022-300275

デイスタイル、スタイル

審判番号
2022-300275
法域
商標
審判種別
取消審判(商標取消の審決)
出願番号
商願2011-090037
登録番号
5510323
請求日
2022年03月18日
審決日
2024年03月07日
公報発行日
2024年05月31日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【請求人】WHITE CROSS 株式会社
  • 【請求人代理人】江部 武史
  • 【請求人代理人】朝比 一夫
  • 【被請求人】株式会社 ダイアナ
  • 【被請求人代理人】奥山 尚一
  • 【被請求人代理人】高橋 菜穂恵
審判長/審判官
  • 審判長 豊田 純一
  • 審判官 馬場 秀敏
  • 審判官 富澤 哲生
分類
T132 .1 -Z (X44)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法2条3号商標法50条
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第2条第3項第8号、商標法第50条第2項、商標法第50条、商標法第2条第3項第3号、商標法第50条第1項、商標法第2条第3項、商標法第2条第3号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第5510323号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 登録第5510323号商標の指定商品及び指定役務中、第44類「健康に関する助言及び情報の提供」についての商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 本件商標 登録第5510323号商標(以下「本件商標」という。)は、「D-Style」の文字を横書きしてなり、平成23年12月14日に登録出願、「栄養及び健康に関する助言及び情報の提供」を含む第44類及び第25類、第35類、第36類、第41類、第43類並びに第45類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同24年7月27日に設定登録されたものである。 そして、本件審判の請求の登録は、令和4年4月5日になされたものであり、この登録前3年以内の期間(平成31年4月5日~令和4年4月4日)を以下「要証期間」という。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書及び令和4年6月6日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同年7月11日付け弁駁書(以下「弁駁書」という。)にて、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。 なお、以下、証拠の表記にあたっては、甲第1号証を「甲1」、乙第1号証を「乙1」のように省略して表示する場合がある。 1 請求の理由 本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第44類「健康に関する助言及び情報の提供」(以下「本件審判請求に係る指定役務」という。)について、継続して3年以上日本国内において本件商標の権利者(以下「商標権者」という。)、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 2 弁駁書による主張 被請求人は、乙第1号証ないし乙第7号証を挙げて、要証期間に日本国内において、本件商標を本件審判請求に係る指定役務に使用していると主張するが、商標権者が、要証期間に本件商標を本件審判請求に係る指定役務に使用した事実はないから、その登録は取り消されるべきである。 (1)本件商標について 本件商標は、「D-Style」であり、「ディースタイル」なる称呼を有するところ、被請求人は、答弁書において、商標権者は、創業以来35年間、理想の体型(スタイル)という美の満足を女性に提供し続け、当該業界では、プロポーション作りを追求した理想のスタイルを提供する会社として一定程度知れ渡っていると主張していることから、本件商標「D-Style」の構成中の「D」は、商標権者の名称「ダイアナ」の「D」の意味があると認識され、その結果、本件商標は、構成全体として、「ダイアナが提供するスタイル」という意味合いが看取される。 (2)本件審判請求に係る指定役務について 本件審判請求に係る指定役務は、医業等に関連する「健康に関する助言及び情報の提供」と栄養の指導に関する「健康に関する助言及び情報の提供」を含む。 (3)商標権者の使用商標について 被請求人は、乙第1号証を証拠に「D-Styleなび」(以下「使用商標1」という。)並びに乙第2号証を証拠に「D-Style CONTEST」(以下「使用商標2」という。)及び「D-Styleコンテスト」(以下「使用商標3」という。)を使用し、使用商標1ないし使用商標3(以下、これらをまとめていう場合は「使用商標」という。)は本件商標と社会通念上同一の商標であると主張する。 しかしながら、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標ではない。 ア 使用商標1について 使用商標1は、「D-Style」と平仮名「なび」を結合させ、一連一体に表示した結合商標であり、「ディースタイルナビ」なる称呼を有する。 そして、「D-Style」から「ダイアナが提供するスタイル」という意味、「なび」から被請求人の主張のとおり「ナビゲート」の意味が生じるため、使用商標1は全体として、「ダイアナが提供するスタイルをナビゲートする」という意味合いが看取される。 そうすると、使用商標1は、全体として、一つの造語をなし、一連一体として自他役務の識別力を有している。 このように、使用商標1は、本件商標と外観、称呼、観念において著しく相違し、それ自体で自他役務の識別力を発揮するものであるから、本件商標と使用商標1は、社会通念上同一と認められる商標ではない。 なお、被請求人は、使用商標1の「D-Style」が要部であるから、使用商標1は本件商標と社会通念上同一の商標と主張する。 しかしながら、「なび」自体が「行き先を決める」等のような意味合いを有するとしても、「なび」は本件審判請求に係る指定役務について一般的に用いられる語ではなく、自他役務の識別機能を有する語である。 実際、本件審判請求に係る指定役務との関係において、「なび」を含む32件の登録商標が存在し、特に、「ジムなび」(甲1)や「専門医なび」(甲2)といった商標が登録となっている事実からも、「なび」は自他役務の識別機能を有する。 したがって、被請求人の主張は失当であって、使用商標1は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標ではない。 イ 使用商標2及び使用商標3について 使用商標2は、「D-Style」と、アルファベットの「CONTEST」を、使用商標3は、「D-Style」と片仮名の「コンテスト」とを結合させ、一連一体に表示した結合商標であり、「ディースタイルコンテスト」なる称呼を有し、「D-Style」から「ダイアナが提供するスタイル」の意味、「CONTEST」及び「コンテスト」から「競技会」の意味が生じ、使用商標2及び使用商標3の構成全体として、「ダイアナが提供するスタイルの競技会」という意味合いが看取される。 そうすると、使用商標2及び使用商標3は、全体として、一つの造語をなし、一連一体として、自他役務の識別力を有している。 このように、使用商標2及び使用商標3は、本件商標と外観、称呼、観念において著しく相違し、それ自体で自他役務識別力を発揮するものであるから、本件商標と社会通念上同一と認められる商標ではない。 なお、被請求人は、使用商標2及び使用商標3の構成中の「D-Style」が要部であるから、使用商標2及び使用商標3は本件商標と社会通念上同一の商標と主張する。 しかしながら、「CONTEST」及び「コンテスト」が「競技会」などの意味を有するとしても、それは本件審判請求に係る指定役務について一般的に用いられる語ではなく、自他役務の識別機能を有する語である。 実際、本件審判請求に係る指定役務との関連において、「CONTEST」を含む4件の登録商標と、「コンテスト」を含む登録商標が存在し、特に、「ダイアナ年代別ゴールデン・プロポーションコンテスト」(甲3)や「BEST BODY CONTEST」(甲4)といった商標が登録となっている事実からも、「CONTEST」及び「コンテスト」は自他役務の識別機能を有する部分である。 したがって、被請求人の主張は失当であって、使用商標2及び使用商標3は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標ではない。 (4)商標権者の使用役務について 本件審判請求に係る指定役務は、医業等に関連する「健康に関する助言及び情報の提供」と、栄養の指導に関連する「健康に関する助言及び情報の提供」とを含む。 被請求人は、乙第4号証ないし乙第7号証を挙げて、商標権者は「健康に関する助言」を行っていることを主張する。 しかしながら、被請求人の提出した全証拠を確認しても、商標権者は、医業に関連する「健康に関する助言及び情報の提供」を行っていない。 被請求人が主張するように、商標権者は、創業以来一貫して、美を追求したサービスを提供しているのであって、医業に関するサービスを行っているのではない。 そうすると、被請求人が主張する「健康に関する助言」は、全てが体型のプロポーションという目的を達成するために行われるものであって、美容におけるヘルスケア情報の提供のために行われるものであり、美容についての健康に関する助言や整体等についての健康に関する助言であって、医業等についての健康に関する助言ではない。 このように、商標権者は、本件審判請求に係る指定役務を提供していない。 (5)乙各号証について 商標権者は、本件商標を本件審判請求に係る指定役務に使用していないことは明らかであるが、商標法第50条第2項の立証責任を果たしていないことを乙各号証ごとにさらに反論する。 ア 乙第1号証について 乙第1号証は、単なるポータルサイトのトップページであり、ここには日付の記載がないため、本件商標を本件審判請求に係る指定役務に要証期間に使用したという要件を満たしているか明らかでない。 そのため、商標法第3項に規定するいわゆる駆け込み使用であることも考えられる。 また、乙第1号証は、本件商標を示していないし、本件審判請求に係る指定役務についても全く記載していない。 したがって、乙第1号証は、本件商標を本件審判請求に係る指定役務に使用する証拠になり得ない。 イ 乙第2号証について 乙第2号証は、本件商標を示していないし、本件審判請求に係る指定役務についても全く記載していない。 したがって、乙第2号証は、本件商標を本件審判請求に係る指定役務に使用する証拠になり得ない。 ウ 乙第3号証及び乙第4号証について 乙第3号証は、本件商標をどこにも示していないし、本件審判請求に係る指定役務についても全く記載していない。 また、乙第4号証は、乙第3号証と同じ内容のページである。 したがって、乙第3号証及び乙第4号証は、本件商標を本件審判請求に係る指定役務に使用する証拠になり得ない。 エ 乙第5号証について 乙第5号証は、本件商標をどこにも開示していないし、本件審判請求に係る指定役務についても全く記載していない。 そもそも乙第5号証は、日本美容創生株式会社が「女性の心身の健康及び社会的な活躍のサポートサービスの実証実験」を開始させた記事であって、商標権者がそのようなサービスを提供する記事ではない。 したがって、乙第5号証は、商標権者が本件商標を本件審判請求に係る指定役務に使用する証拠になり得ない。 オ 乙第6号証について 乙第6号証は、ゴールデン・プロポーション倶楽部(以下「クラブ」という。)の紹介及び申込みの頁であり、乙第6号証のどこを見ても、本件商標を使用した事実及び本件審判請求に係る指定役務を提供した事実は見当たらない。 そもそも、クラブの主体は一般社団法人日本プロポーション協会(以下「協会」という。)であり、商標権者が提供するものではない。 したがって、乙第6号証は、商標権者が本件商標を本件審判請求に係る指定役務に使用する証拠になり得ない。 カ 乙第7号証について 乙第7号証は、本件商標をどこにも開示していないし、本件審判請求に係る指定役務について全く記載していない。 被請求人が主張する「ヘルスケア編」の第10頁は、美容におけるヘルスケア情報である。 また、「ゴールデン・プロポーションコンテスト」の第141頁も、商標権者が提供するコンテストではない。 したがって、乙第7号証は、商標権者が本件商標を本件審判請求に係る指定役務に使用する証拠になり得ない。 (6)結論 以上述べたように、被請求人は、商標権者が要証期間に日本国内において本件商標を本件審判請求に係る指定役務に使用していることを証明していないから、本件商標の登録は取り消されるべきである。 第3 被請求人の主張 被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする旨の審決を求め、答弁書において、その理由を要旨以下1のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第7号証を提出した。 1 答弁書による主張 商標権者は、本件商標を本件審判請求に係る指定役務について、要証期間に日本国内において使用している。 (1)使用に係る商標について 商標権者である株式会社ダイアナ(以下「ダイアナ社」という。)は、乙第1号証のとおり、同社の運営するウェブページの名称として使用商標1を使用しており、この名称を構成する「なび」は、「行き先を決める」等の意味合いを有する「Navigate」(ナビゲート)の略として一般的に用いられる言葉であり、検索や情報提供のサイトなどによく用いられる語であるから識別標識として機能しない。 他方、「D-Style」は、特定の観念を生じさせない造語であるから、この部分が使用商標1の要部と考えられる。 したがって、使用商標1は、本件商標と社会通念上同一の商標であることは明らかである。 また、商標権者は、乙第2号証の第29頁及び第30頁に顕著にあらわされるとおり、使用商標2及び使用商標3を使用している。 使用商標2を構成する「CONTEST」、使用商標3を構成する「コンテスト」は、競技会などの意味を有する語であり、本件審判請求に係る指定役務との関係では、識別標識として機能しない部分である一方、「D-Style」は、特定の観念を生じさせない造語であるから、この部分が使用商標2及び使用商標3の要部と考えられる。 したがって、使用商標2及び使用商標3は、本件商標と社会通念上同一の商標であることは明らかである。 (2)使用に係る役務について ア ウェブサイトの名称としての使用 商標権者は、1986年の創業以来35年以上、女性美の原点はプロポーションの美しさにあるという理念のもと、プロポーションづくりの総合コンサルティング企業として全国に約750店舗を展開し、94万人以上にコンサルティングを実施し、健やかなプロポーションづくりによる美の満足を女性に提供する女性美のトータルソリューションカンパニーとして知られている。 乙第1号証は、商標権者が提供する商品及びサービスを一同に集めたポータル的なウェブサイトのトップページであり、ここから、商標権者のホームページである「ダイアナ公式ホームページ」に移動することができ、同ページ中には、「ヘルスケア編」(乙3)として、商標権者が、美しいプロポーション維持のための「食事」、「生活」及び「運動」に関する情報提供を行い、正しい食事の摂り方、生活習慣の見直し、さらに太りにくい体質を目指すためのさまざまなサポートを行っていることが記載されている。 また、乙第4号証は、インターネットアーカイブサービスを用いて、要証期間内である2021年8月1日時点の内容を表示したものであり、商標権者が同時点で、インターネット上でヘルスケア(健康管理)に関する情報を提供していたことを示すものである。 さらに、商標権者のウェブサイトの「Information」のページには、健康に関連する情報が多数掲載されている(乙5)。 以上のとおり、商標権者は、使用商標1を使用したウェブページの下で、健康管理及び健康に関する情報の提供を行っていることは明らかである。 したがって、インターネット上で、商標権者が提供する役務に関する広告に本件商標と社会通念上同一の標章を付して展示する行為は、商標法第2条第3項第8号に規定する商標の使用である。 イ コンテスト及びコンサルティングの名称としての使用について 商標権者は、本件商標を、美の祭典(コンテスト)の名称として使用しており、その参加者に対して「健康に関する助言」(以下「使用役務」という)を行っている。 商標権者は、1986年の創業以来、顧客のニーズにあわせたプロポーションづくりのためのサービスを提供している企業であって、1990年に、「ダイアナ年代別ゴールデン・プロポーションコンテスト」という美しさ(理想の体型)を競うコンテストを初めて開催して以来継続的に同コンテストを開催してきたところ、2015年に、その名称を「ダイアナ ゴールデン・プロポーションアワード」に変更した。 その際、それまで行っていたコンテスト(商標権者のサービスの利用をスタートして1年以内の方を対象としたコンテスト)である「年代別ゴールデン・プロポーションコンテスト」に加え、広く商標権者の会員を対象とした「D-Styleコンテスト」の2つのコンテストを併催することを開始した。 このコンテストは、単に減量してきれいになったことを競うコンテストではない。「D-Styleコンテスト」の参加者は、商標権者独自のコンサルティングプログラムにより、栄養管理によって食生活を整え、マッサージなどによるヘルスケア、ボデイケアの方法等について指導を受けることで、健康的メリハリのあるバランスのよいプロポーションを目指し、その結果として完成されたプロポーションを競うコンテストである。 すなわち、使用商標2及び使用商標3は、単なるコンテストの名称ではなく、参加する過程で商標権者によって提供されるすべてのコンサルティングプログラムを含むサービスの名称として使用されている。 詳述すると、このコンテストの参加者は、クラブの会員であることが条件とされているところ、クラブは、2011年10月に商標権者と協会が立ち上げた組織であり、ゴールデン・プロポーション(健康的でメリハリのあるバランスの良いプロポーション)を手に入れた者を対象とし、これを維持することをサポートすることを目的とする組織である(乙6)。 このサポートは、商標権者が開発した商品(補正下着)の提供と、総合的なコンサルティングによって構成され、コンサルティングの内容として、健康的に理想の体型に近づき、維持するための食生活に関するコンサルティング、ボデイケア、ヘルスケア、スキンケア及びヘアケアなど、自宅でのセルフケアの方法などの助言を行うことが含まれる(乙7)。 つまり、商標権者は、使用商標2及び使用商標3を、コンテストの名称として使用するとともに、健康的な体型を維持するための総合的なコンサルティングの名称として使用していることに他ならない。 したがって、商標権者が、ウェブページや発行する冊子においてコンテスト及びそれに伴うコンサルティングの内容を掲載することは、役務に関する広告及び取引書類に商標を付して頒布する行為であり、商標法第2条第3項第8号に規定する商標の使用である。 (3)以上のとおり、本件商標と社会通念上同一の使用商標1ないし使用商標3は、商標権者により、本件審判請求に係る指定役務について、要証期間に日本国内において使用されている。 2 令和5年7月11日付け審尋に対する被請求人の回答について 合議体は、被請求人に対し、令和5年7月11日付け審尋にて、合議体の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、当該審尋に対する回答を求めたが、被請求人は、何ら応答していない。 第4 当審の判断 1 被請求人の立証責任 商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。 すなわち、本件商標の使用をしていることを証明するには、商標法第50条第2項に規定されているとおり、被請求人は、ア 要証期間に、イ 日本国内において、ウ 商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、エ 本件審判請求に係る指定役務についての、オ 本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の使用(商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用行為)をしていることをすべて証明する必要がある。 2 事実認定 被請求人の提出した乙各号証によれば、以下のとおりである。 (1)乙第1号証は、被請求人が、商標権者が運営するウェブサイト「D-Styleなび」のトップページのプリントアウトと主張するものであり、本号証の左上に、使用商標1の記載があり、その下に、「ダイアナメンバー、サロンチーフへおくるダイアウェブサイトおまとめポータルサイトです♪」の記載、その下に、「ダイアナ公式ホームページ」の記載があり、下部には、「Copyright(c)DIANA Co.,Ltd.All Rights Reserved.」の記載がある。 ただし、乙第1号証に、商標権者の名称及び住所の記載、印刷日やウェブサイトのアドレスの記載はなく、また、被請求人は、証拠説明書を提出していないため、本号証の印刷日は明らかではない。 また、乙第1号証には、具体的にどのような役務が提供されているのかが明らかではなく、使用商標1がいかなる役務に使用されているのかが明らかではない。 さらに、本件商標と使用商標1の類否について検討すると、本件商標は、その構成中に「なび」の平仮名を有さないことから、本件商標と使用商標1は、「なび」の文字の有無に違いがあり、その外観や両商標より生じる称呼が明らかに相違するため、本件商標と使用商標1は、社会通念上同一の商標とは認められない。 なお、被請求人は、使用商標1の構成中の「なび」は、「行き先を決める」等の意味合いを有する「Navigate」(ナビゲート)の略として一般的に用いられる言葉であり、検索や情報提供のサイトなどによく用いられる語であるから識別標識として機能しない旨主張する。 しかしながら、上記のとおり、使用商標1はいかなる役務に使用されているのかが明らかではなく、また、仮に、使用商標1が、本件審判請求に係る指定役務に使用されたとしても、使用商標1の構成中の「なび」の平仮名が、本件審判請求に係る指定役務の質を表示するものとして、一般に使用され、自他役務の識別標識としての機能を有さないと判断しなければならない特段の事情はなく、使用商標1は、「D-Styleなび」の一連一体のものと判断するのが相当である。 (2)乙第2号証は、被請求人が商標権者発行の冊子「GPBゴールデン・プロポーションブック2021-2022」の表紙、該当ページ及び裏表紙の写しと主張するものであり、本号証の1葉目は、左に裏表紙、右に表紙を並べて示したものであり、裏表紙の左下には、「発行/株式会社ダイアナ」の記載、その下に商標権者の住所の記載があることから、「GPB ゴールデン・プロポーションブック 2021-2022」のタイトルの乙第2号証は、商標権者が発行したものと認められるが、この作成日、発行数及び頒布先は不明である。 また、乙第2号証の11葉目の右側の上段に使用商標2の記載が、左側中段に使用商標3の記載があり、使用商標3の下には、「「日本最大級の美の祭典」をぜひご覧ください。」の記載があることから、商標権者は、使用商標2及び使用商標3をタイトルとするコンテストの企画及び開催を行っていることは推認し得るとしても、「コンテストの企画及び開催」の役務は、「健康に関する助言及び情報の提供」とは明らかに異なる役務である。 さらに、本件商標と使用商標2及び使用商標3の類否について検討すると、本件商標は、その構成中に「CONTEST」の欧文字及び「コンテスト」の片仮名を有さないことから、本件商標と使用商標2及び使用商標3は、「CONTEST」の欧文字及び「コンテスト」の片仮名の有無に違いがあるため、その外観や両商標より生じる称呼が明らかに相違するため、本件商標と使用商標2及び使用商標3は、社会通念上同一の商標とは認められない。 なお、被請求人は、使用商標2「D-StyleCONTEST」及び使用商標3「D-Styleコンテスト」の構成中の「CONTEST」及び「コンテスト」は、競技会などの意味を有する語であり、本件審判請求に係る指定役務との関係では、識別標識として機能しない部分である旨主張する。 しかしながら、使用商標2及び使用商標3を使用する「コンテストの企画及び開催」の役務との関係においては、被請求人の主張のとおり、「CONTEST」の欧文字及び「コンテスト」の片仮名は、自他役務の識別標識として機能しないとしても、上記のとおり、使用商標2及び使用商標3は、本件審判請求に係る指定役務に使用されておらず、仮に、本件審判請求に係る指定役務に使用されたとしても、本件審判請求に係る指定役務との関係においては、「CONTEST」の欧文字及び「コンテスト」の片仮名が、自他役務の識別標識として機能を有さないと判断するべき特別な事情はなく、使用商標2は「D-StyleCONTEST」、使用商標3は「D-Styleコンテスト」の一連一体のものと判断するのが相当である。 (3)乙第3号証は、被請求人が商標権者のウェブサイト中の「Beauty Lesson」のページのプリントアウトと主張するものであり、本号証の全頁の左上に「2022/06/06 13:14」の記載、1葉目に「Beauty Lesson」の記載、その下に「ビューティレッスン」の記載があり、その下に、「キレイの習慣が身につく」及び「ビューティレッスン」の記載がある。 また、乙第4号証は、被請求人が、アーカイブウェブサイト「Wayback Machine」における乙第3号証の検索結果のプリントアウトと主張するものであり、本号証の右上に「AUG」、「01」及び「2021」の記載があることから、乙第3号証に掲載された情報は、2021年8月1日に掲載されていたものと推認し得るものであり、同日は要証期間である。 なお、乙第3号証及び乙第4号証に、本件商標の記載はなく、また、「キレイの習慣が身につく」及び「ビューティレッスン」に該当する役務は、「美容に関する知識の教授」又は「美容に関する情報の提供」の役務であって、「健康に関する助言及び情報の提供」とは異なる役務である。 (4)乙第5号証は、被請求人が、2021年7月28日付けの商標権者のプレスリリースのプリントアウトと主張するものであり、本号証の1葉目の右上に「2021年7月28日」の記載、その下に「株式会社ダイアナ」の記載があり、中ほどに、「プロポーションづくりの総合コンサルティング企業、株式会社ダイアナ(東京都渋谷区、代表取締役社長兼会長徳田充孝、以下ダイアナ)が出資する日本美容創生株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役:金山宇伴、以下日本美容創生(JBIRC)は、2021年8月1日より、奈良県磯城群田原本町(町長:森彰浩)の協力のもと、“美と健康”をテーマに美容室と医療系セラピストを繋げた女性の心身の健康及び社会的な活躍のサポートサービスの実証実験を開始します。」、「通いなれた美容室で女性の医療系セラピストが体調の状態や不調の改変、抱え込んだ悩みの相談を受け一緒に心身を整えるお手伝いをします」、「「医療系セラピスト」は、理学療法士など医療従事者」、「日本美容創生(JBIRC)は、一般女性と医療系セラピストと美容室をつなげる三者マッチング「Beauty Venue」をプラットフォームとし、美容室を基点に“美と健康”をテーマにした地域のコミュニティー作り、美容と医療の連携による都市部ならびに過疎地での健康な町づくりを実現することをミッションとしております。」の記載があることから、日本美容創生は、本件審判請求に係る指定役務の範ちゅうに含まれる「女性の心身の健康に関する助言及び情報の提供」を行っていることは推認し得る。 しかしながら、乙第5号証には、本件商標(本件商標と社会通念上同一のものを含む。)の記載はなく、日本美容創生が「女性の心身の健康に関する助言及び情報の提供」を行うに際し、いかなる商標を使用しているのかは明らかではない。 また、乙第5号証によると、日本美容創生は商標権者であるダイアナ社が出資する企業である旨記載されているものの、日本美容創生が、ダイアナ社の子会社であるのか否かについては明らかではなく、また、日本美容創生が、商標権者から本件商標の使用を許諾された者であることについては何ら証明されていない。 なお、被請求人は、乙第5号証に関し、「商標権者のウェブサイトの「Information」のページには、健康に関連する情報が多数掲載されている(乙5)」と主張するにとどまり、商標権者が、本件商標(本件商標と社会通念上同一のものを含む。)を本件審判請求に係る指定役務に使用したことについて何ら言及していない。 (5)乙第6号証は、被請求人が一般社団法人日本プロモーション協会のウェブサイトのトップページのプリントアウトと主張するものであるが、商標権者と一般社団法人日本プロモーション協会との関係が明らかではなく、また、本号証において、商標権者が、本件商標(本件商標と社会通念上同一のものを含む。)を本件審判請求に係る指定役務に使用したことについて何ら証明していない。 (6)乙第7号証は、被請求人が、2021年11月30日に商標権者が発行したカタログ「DIANA COLLECTION2022」の表紙、該当ページ及び裏表紙の写しと主張するものであり、本号証の16葉目の左下には、「発行/株式会社ダイアナ」の記載、その右に商標権者の住所の記載があることから、「DIANA COLLECTION2022」のタイトルの乙第7号証は、商標権者が発行したものと認められるが、本号証において、本件商標(本件商標と社会通念上同一のものを含む。)の記載がないため、本号証は、商標権者が、本件商標(本件商標と社会通念上同一のものを含む。)を本件審判請求に係る指定役務に使用したことを証明していない。 3 判断 (1)使用商標の使用者について 商標権者であるダイアナ社は、同社のウェブサイトにおいて使用商標1を、同社発行の冊子「GPBゴールデンプロポーションブック2021-2022」において使用商標2及び使用商標3をしたことが認められるため、本件商標の使用者は、商標権者であると判断するのが相当である。 なお、日本美容創生及び一般社団法人日本プロモーション協会は、商標権者から本件商標の使用を許諾された専用使用権者又は通常使用権者とは認められない。 (2)使用役務について 商標権者は、「コンテストの企画及び開催」の役務を提供していることは確認できるが、「コンテストの企画及び開催」の役務は、「健康に関する助言及び情報の提供」とは明らかに異なる役務である。 なお、被請求人は、乙第1号証が、商標権者が提供する商品及びサービスを一同に集めたポータル的なウェブサイトのトップページである旨主張しているが、ここには、商標権者の名称及び住所の記載、印刷日やウェブサイトのアドレスの記載がないため、商標権者が提供するウェブサイトであることが確認できず、仮に、乙第1号証が、商標権者が提供するウェブサイトであったとしても、これによって、商標権者が本件審判請求に係る指定役務を提供していたことは認められない。 (3)本件商標と使用商標の社会通念上の同一性について 本件商標は、その構成中に「なび」の平仮名を有さないことから、本件商標と使用商標1は、「なび」の文字の有無に違いがあるため、その外観や両商標より生じる称呼が明らかに相違するため、本件商標と使用商標1は、社会通念上同一の商標とは認められない。 また、本件商標は、その構成中に「CONTEST」の欧文字及び「コンテスト」の片仮名を有さないことから、本件商標と使用商標2及び使用商標3は、「CONTEST」の欧文字及び「コンテスト」の片仮名の有無に違いがあり、その外観や両商標より生じる称呼が明らかに相違するため、本件商標と使用商標2及び使用商標3は、社会通念上同一の商標とは認められない。 したがって、本件商標と使用商標は、社会通念上同一の商標であるとは認められない。 (4)使用時期について 商標権者が、使用商標1を使用した時期は明らかではない。 また、商標権者が使用商標2及び使用商標3を「コンテストの企画及び開催」の役務に使用したことを証明するために提出した商標権者発行の冊子「GPBゴールデンプロポーションブック2021-2022」は、発行日が記載されておらず、また、当該冊子を頒布した時期も確認することができないため、商標権者が使用商標2及び使用商標3を要証期間に使用したとは認められない。 (5)使用行為について 被請求人は、インターネット上で、商標権者が提供する役務に関する広告に本件商標と社会通念上同一の標章を付して展示する行為は、商標法第2条第3項第8号に規定する商標の使用である旨主張しているが、被請求人が提出した全証拠を参照しても、商標権者が要証期間に、同社が提供する役務に関する広告を行った事実は確認できない。 また、被請求人は、商標権者が本件商標を本件審判請求に係る指定役務について、商標法第2条第3項第3号ないし同項第8号に該当する使用行為を行ったことについて何ら証明していない。 (6)小括 上記(1)のとおり、使用商標の使用者は商標権者と認められるとしても、上記(2)のとおり、商標権者が本件審判請求に係る指定役務を提供していたとは認められず、上記(3)のとおり、本件商標と使用商標は、社会通念上同一の商標ではなく、上記(4)のとおり、商標権者が要証期間に、使用商標を使用したとは認定することができず、上記(5)のとおり、被請求人は、商標権者が本件商標を本件審判請求に係る指定役務について、商標法第2条第3項第3号ないし同項第8号に該当する使用をしたことについて証明していない。 その他、被請求人の提出した証拠を参照しても、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者が、要証期間に、日本国内において、本件商標(社会通念上同一と認められるものを含む。)を本件審判請求に係る指定役務について使用したことを認めるに足る証拠は見いだせない。 4 まとめ 以上のとおり、被請求人が提出した証拠によっては、被請求人は、要証期間に、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)を、本件審判請求に係る指定役務について、商標法第2条第3号各号に規定する態様で使用する行為を行ったことを証明したということはできない。 また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。 したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-300275

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