商標取消審判
2022-300144
パルサー
- 審判番号
- 2022-300144
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2006-050124
- 登録番号
- 5049488
- 請求日
- 2022年02月17日
- 審決日
- 2024年02月09日
- 公報発行日
- 2024年04月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社 iPLUS
- 【被請求人】山佐 株式会社
- 【被請求人代理人】弁理士法人太陽国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 山田 啓之
- 審判官 鈴木 雅也
- 審判官 渡邉 あおい
- 分類
- T132 .1 -Y (Y09)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条1項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条第1項、商標法第50条第2項、商標法第2条第3項第8号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第5049488号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第5049488号商標(以下「本件商標」という。)は、「パルサー」の文字を標準文字で表してなり、平成18年5月31日に登録出願、第9類「インターネット・携帯電話からダウンロード可能な携帯電話機用ゲームプログラム,携帯電話機用ゲームプログラムを記憶させた電子回路・磁気テープ・磁気ディスク・CD-ROM,インターネット・携帯電話からダウンロード可能な電子計算機用ゲームプログラム,電子計算機用ゲームプログラムを記憶させた電子回路・磁気テープ・磁気ディスク・CD-ROM,コンピューター用液晶ディスプレイ・その他の電子応用機械器具及びその部品,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具」を含む第9類及び第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同19年5月25日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和4年3月9日であり、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、平成31年(2019年)3月9日から令和4年(2022年)3月8日までの期間(以下「要証期間」という。)である。
第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品及び指定役務中、第9類「インターネット・携帯電話からダウンロード可能な携帯電話機用ゲームプログラム,携帯電話機用ゲームプログラムを記憶させた電子回路・磁気テープ・磁気ディスク・CD-ROM,インターネット・携帯電話からダウンロード可能な電子計算機用ゲームプログラム,電子計算機用ゲームプログラムを記憶させた電子回路・磁気テープ・磁気ディスク・CD-ROM,コンピューター用液晶ディスプレイ・その他の電子応用機械器具及びその部品,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具」(以下「請求に係る商品」という。)についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証から甲第5号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品及び指定役務中、請求に係る商品について、継続して3年以上日本国内において使用された事実が存しないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人による使用(乙1)
被請求人は、乙第1号証として、Twitter上の「山佐スロワールド」と称するアカウントページの掲載情報らしき資料を提示している。
しかしながら、「山佐スロワールド」のTwitterアカウント自体が被請求人の所有に係るものかが明らかでなく、また、2ページ目の画面右中ほどに日付の記載が確認されるが、当時、需要者がこの画面からゲームソフト「ニューパルサーデラックス」を実際にダウンロードできる状態にあったことを裏付ける資料が提示されていないため、要証期間内における被請求人による本件商標の使用事実が具体的かつ客観的に証明されておらず、信憑性を欠くものといわざるを得ない。
3ページは、「山佐スロワールド」と称するインターネット上のアプリ提供サイトではなく、「無料で解析!!けんのスロットシミュレーション」と題するウェブサイトの掲載情報と思われる。3ページの左上に記載のとおり、同サイトは「パチスロの無料シミュレーションサイト」であるところ、パチスロ機・パチスロマシンは、第28類に属する商品である(甲2)。また、3ページに掲載された商品画像が2ページのゲームソフトと同一のものであるか明らかでない。
4ページは、「山佐スロワールド」と称するインターネット上のアプリ提供サイトに掲載された情報なのかも疑わしく、本件商標に関する記載もない。
被請求人は「「ニューパルサーデラックス」は、商標としては、「パルサー」として認識される」と主張しているが、乙第1号証からは、被請求人が要証期間内に「ニューパルサーデラックス」の名称をゲームソフトに業として使用したこと自体、明らかでない。仮に、乙第1号証により、「ニューパルサーデラックス」が使用と認められるとしても、標準文字により書された片仮名「パルサー」からなる本件商標と「ニューパルサーデラックス」の文字とは社会通念上同一ではない。現に、被請求人も、本件商標と「ニューパルサー」とは別商標と捉えて出願している(甲3~甲5)。
さらに、被請求人は、「山佐スロワールド」と称するインターネット上のアプリ提供サイトにおいて、「ニューパルサーデラックス」のダウンロードにより、パチスロのデータプログラムがダウンロードされると述べている。そうすると、当該商品が、「携帯電話機用ゲームプログラムを記憶させた電子回路・磁気テープ・磁気ディスク・CD-ROM,電子計算機用ゲームプログラムを記憶させた電子回路・磁気テープ・磁気ディスク・CD-ROM」でないことは明らかである。
(2)使用許諾者による使用(乙2)
被請求人は、乙第2号証を提出し、「コムシード株式会社」あるいは「グリパチ」に商標「ニューパルサーSPII」の使用を許諾していると主張しているが、乙第2号証は、コムシード株式会社のウェブサイトに掲載された2019年4月18日付け記事と思われるところ、当該記事には、「コムシード株式会社」及び「グリパチ」が被請求人から本件商標の使用許諾を得ていることは一切記載されておらず、三者でコラボレーションキャンペーンを行うプレスリリースにおいて、「グリパチで配信中の(中略)「ニューパルサーSPII」をピックアップしたイベントも開催」すると書いてあるにすぎず、本件商標の使用について黙示の許諾が推認できるような事情には該当しない。
また、「2019年4月25日~5月16日の間では、少なくとも「ニューパルサーSPII」のデータが送られ、ゲームが行われていた」と主張しているが、需要者が乙第2号証のウェブサイトからゲームソフト「ニューパルサーSPII」をダウンロードできるといった事情は確認されず、キャンペーン広告文中に僅かに記載された文言をもって、商標の使用とはいえないだけでなく、当該記事からは、「ニューパルサーSPII」がどのような商品かも明らかでない。
4ページは、「コムシード株式会社」のウェブサイトに掲載されたものとは思われず、また、その作成時期、作成者、出典等が一切明らかでないことから、要証期間内における上記指定商品における本件商標の使用証拠としては、不適切といわざるを得ない。
また、被請求人は、4ページの記載に関して、答弁書において「ニューパルサーSPII」をダウンロードすると、機種名は「Pulsar」であると認知されるパチスロのデータプログラムがダウンロードされる旨の趣旨を述べており、「Pulsar」の記載は、当該ゲームソフトの需要者が購入(ダウンロード)した後に初めて目にすることを認めている。そうすると、4ページにおける「Pulsar」の表示をもって、当該商品の取引における出所標識としての使用とはいい得ない。
被請求人は「乙第2号証の「ニューパルサーSPII」についても、「ニュー」は形容詞であり、「SPII」は記号であるので、商標としては、「パルサー」として認識される。」と主張しているが、乙第2号証からは、被請求人が要証期間内に「ニューパルサーSPII」の名称をゲームソフトに業として使用したこと自体、明らかでない。
仮に、乙第2号証により、「ニューパルサーSPII」の使用が認められるとしても、標準文字により書された片仮名「パルサー」からなる本件商標と「ニューパルサーSPII」の文字とは社会通念上同一ではない。現に、被請求人も、本件商標と「ニューパルサー」とは別商標と捉えて出願している(甲3~甲5)。
さらに、被請求人は、乙第2号証により、「ニューパルサーSPII」のデータが送られ、ゲームが行われていたと述べている。これがゲームソフトのダウンロードを意味するものだとすれば、当該商品が「携帯電話機用ゲームプログラムを記憶させた電子回路・磁気テープ・磁気ディスク・CD-ROM,電子計算機用ゲームプログラムを記憶させた電子回路・磁気テープ・磁気ディスク・CD-ROM」でないことは明らかである。
3 被請求人の令和5年3月13日付け回答書(以下「回答書」という。)に対する反論
被請求人が回答書において提出した乙第4号証ないし乙第7号証は、その信憑性が疑わしいだけでなく、使用委託したGoogleによる本件商標の使用を裏付けるものとしては不十分といわざるを得ない。以下に、その理由を述べる。
(1)乙第4号証
被請求人は、2019年7月18日付け「山佐スロワールド」と称するインターネット上のアプリ提供サイト(乙4)を提出し、Twitter上の「山佐スロワールド」と称するアカウントページの掲載情報らしき資料を提示している。
しかしながら、「山佐スロワールド」のTwitterアカウント自体が被請求人の所有に係るものかが明らかでなく、また、当時、需要者がこの画面からゲームソフト「ニューパルサーデラックス」を実際にダウンロードできる状態にあったことを裏付ける資料が提示されておらず、乙第4号証にはURLの記載もない。さらに、Twitterを始めとするSNSへの掲載は、通常、最新のものが上に表示されるよう時系列表示されるが、乙第4号証においては、「2019年7月18日」付け掲載の下に「2019年7月26日」、「2019年8月9日」付け掲載が表示されており、表示順からしても、その信憑性に疑問を感じざるを得ない。
被請求人は、回答書において、本件商標の使用主体は、商標権者ではなく、使用委託したGoogleと主張しており、乙第4号証にも、「Google Play&App Storeで配信中の山佐スロアプリが期間限定で大幅値下げ」と記載されていることからすると、乙第4号証は、そもそも、インターネット上のアプリ提供サイトではなく、また、商品広告とおぼしき画像にはGoogle Play&App StoreのURL又はQRコード等が掲載されていないことから、乙第4号証は、使用委託したGoogleによる本件商標の使用事実を裏付ける証拠とはいえない。
(2)乙第5号証
被請求人は、2019年7月分のゲームソフトの売上げが記載されている売上帳(乙5)を提出し、要証明期間内に、Googleを通じたゲームソフト「ニューパルサーデラックス」を販売(ダウンロード)したと主張しているが、当時、需要者がGoogle Play&App Storeからゲームソフト「ニューパルサーデラックス」を実際にダウンロードできる状態にあったことを裏付ける資料が提示されておらず、また、乙第5号証は、本件商標の使用を委託したGoogleと商標権者である被請求人との間の取引書類(売上帳)であるところ、その他の取引者や需要者が目にする書類ではなく、このような内部取引書類における使用をもって、商標の使用と評価されるものではない。
また、被請求人は「ニューパルサーデラックス」において識別力がある語が「パルサー」の部分であり、この「パルサー」が商標として機能していると主張しているが、本件商標「パルサー」と「ニューパルサーデラックス」の文字は、明らかに社会通念上同一の商標ではない。
(3)乙第6号証、乙第7号証
被請求人は、Google Playの契約書(乙6)及びGoogleにおいて有料配信した場合のGoogleの手数料率表(乙7)を提出しているが、当該書類からは、被請求人とGoogleとの契約関係や使用委託関係、本件商標の使用事実が一切明らかでない。
第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証から乙第7号証を提出した。
1 使用の主張
(1)被請求人による使用
被請求人は、少なくとも「インターネット・携帯電話からダウンロード可能な携帯電話機用ゲームプログラム,携帯電話機用ゲームプログラムを記憶させた電子回路・磁気テープ・磁気ディスク・CD-ROM,インターネット・携帯電話からダウンロード可能な電子計算機用ゲームプログラム,電子計算機用ゲームプログラムを記憶させた電子回路・磁気テープ・磁気ディスク・CD-ROM」については、乙第1号証に示されているように、要証期間に使用している。
乙第1号証は、「山佐スロワールド」と称するインターネット上のアプリ提供サイトである。乙第1号証の1ページは、「山佐スロワールド」のトップページである。このページの中頃に「2021年2月1日をもちまして「山佐スロワールド」はサービスを終了させて頂きました。」と記載され、2021年1月31日まではサービスを提供していた。2ページは、提供しているサービスの一つとして、ゲームソフトのダウンロードがあげられている。ここでは、「ニューパルサーデラックス」のダウンロードが可能となっている。3ページは、「ニューパルサーデラックス」を示したものであり、停止ボタンの下方に「Pulsar」と記載されている。4ページは、「「山佐スロワールド」は、2021年1月31日をもって全サービスを終了致しました。」との案内であり、この日まで、ゲームソフトの提供サービス等を行っていたことが理解できる。
乙第1号証によって、要証期間の「インターネット・携帯電話からダウンロード可能な携帯電話機用ゲームプログラム,携帯電話機用ゲームプログラムを記憶させた電子回路・磁気テープ・磁気ディスク・CD-ROM,インターネット・携帯電話からダウンロード可能な電子計算機用ゲームプログラム,電子計算機用ゲームプログラムを記憶させた電子回路・磁気テープ・磁気ディスク・CD-ROM」についての使用が立証できたものである。
なお、例えば、自動車の商標として「トヨペットクラウンデラックス」として使用されたとすると、商標としては、「トヨペットクラウンデラックス」「トヨペットクラウン」「トヨペット」「クラウン」の全てを認識することかできる。特に、「デラックス」は、形容詞であるので、商標としては、「トヨペットクラウン」と認識されることが多い。すると、乙第1号証の「ニューパルサーデラックス」についても、「ニュー」「デラックス」は形容詞であるので、商標としては「パルサー」として認識される。したがって、登録商標の使用である。
(2)使用許諾者による使用
乙第2号証は、「コムシード株式会社」の2019年4月18日付けのネット上の「ニュース」である。ここでは、「コムシード株式会社」は、「グリパチ」と山佐株式会社とコラボキャンペーンを実施することが記載されている。さらに1ページ下の方には、4月25日ないし5月16日の間は、「山佐スロワールドとのコラボを記念して、グリパチ配信山佐4機種ピックアップイベント開催」が記載され、4機種の内の1機種として「ニューパルサーSPII」があげられている。すなわち、ここでは、2019年4月25日ないし5月16日の間では、少なくとも「ニューパルサーSPII」のデータが送られ、ゲームが行われていた。このことから、被請求人は、「コムシード株式会社」あるいは「グリパチ」に商標「ニューパルサーSPII」の使用を許諾していることが理解できる。
また、この乙第2号証によって、本件取消審判請求日前3年以内の、「インターネット・携帯電話からダウンロード可能な携帯電話機用ゲームプログラム,携帯電話機用ゲームプログラムを記憶させた電子回路・磁気テープ・磁気ディスク・CD-ROM,インターネット・携帯電話からダウンロード可能な電子計算機用ゲームプログラム,電子計算機用ゲームプログラムを記憶させた電子回路・磁気テープ・磁気ディスク・CD-ROM」についての使用が立証できたものである。
2ページには、「プレイ料金:基本プレイ無料(アイテム課金型)」と記載され、アイテムを取り出す(データを読み取る)ことに課金されている。
さらに、4ページは、「ニューパルサーSPII」を示したものであり、停止ボタンの下方に「Pulsar」と記載されている。この乙第2号証の「ニューパルサーSPII」についても、「ニュー」は形容詞であり、「SPII」は記号であるので、商標としては、「パルサー」として認識される。したがって登録商標の使用である。
(3)ローマ字での使用について
乙第3号証は、研究社の新英和大辞典であり、2ページ目に「pulsar」の訳が記載されている。ここでは、読み方が「パルサー」として記載され、意味が「規則的な周期で電波を発している小天体の一つ」と記載されている。すなわち、「パルサー」は、ローマ字で「pulsar」と記載されることが確認できる。
登録商標の使用と認められる事例として、「平仮名及び片仮名とローマ字の相互間の使用」については、「平仮名の文字の表示を変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標」として一方が登録商標であれば、他方の使用でも登録商標の使用と認められる。
乙第1号証は、3ページに、「ニューパルサーデラックス」を示したものであり、停止ボタンの下方に「Pulsar」と記載されている。
この停止ボタンの下は、通常パチスロの機種名を記載するところとして知られているものであり、そこに「Pulsar」と記載されていれば、機種名は「Pulsar」であると認知される。
すると、登録商標「パルサー」の使用であると考えられ、その結果「インターネット・携帯電話からダウンロード可能な携帯電話機用ゲームプログラム,携帯電話機用ゲームプログラムを記憶させた電子回路・磁気テープ・磁気ディスク・CD-ROM,インターネット・携帯電話からダウンロード可能な電子計算機用ゲームプログラム,電子計算機用ゲームプログラムを記憶させた電子回路・磁気テープ・磁気ディスク・CD-ROM」を使用していると考えられる。
また、乙第2号証は、4ページに、「ニューパルサーSPII」を示したものであり、停止ボタンの下方に「Pulsar」と記載されている。
この停止ボタンの下は、通常パチスロの機種名を記載するところとして知られているものであり、そこに「Pulsar」と記載されていれば、機種名は「Pulsar」であると認知される。
すると、登録商標「パルサー」の使用であると考えられ、その結果「インターネット・携帯電話からダウンロード可能な携帯電話機用ゲームプログラム,携帯電話機用ゲームプログラムを記憶させた電子回路・磁気テープ・磁気ディスク・CD-ROM,インターネット・携帯電話からダウンロード可能な電子計算機用ゲームプログラム,電子計算機用ゲームプログラムを記憶させた電子回路・磁気テープ・磁気ディスク・CD-ROM」に登録商標を使用していると考えられる。
2 回答書における主張
(1)乙第4号証
2019年7月18日付けの「山佐スロワールド」を提出する。ここでは、「Google Play&App Storeで配信中の山佐スロアプリが期間限定で大幅値下げ」と記載され、また、「第1弾7/1(Thu)から8/8(Thu)」「第2弾7/25(Thu)から8/15(Thu)」と記載され、特に、第2弾で、「ニューパルサーデラックス」が120円として記載されている。これは、通常600円でダウンロードさせている「ニューパルサーデラックス」を、7月25日ないし8月15日までは、120円でダウンロードさせることが記載されている。
(2)乙第5号証
乙第5号証は、2019年7月分のゲームソフトの売上げが記載されている売上帳の内、7月1日分が記載されているページと、7月25日分が記載されているページの写しである。ここでは、「ニューパルサーデラックス」のダウンロードに対して、7月1日3:04:37PMにダウンロードした価格が、「Charge 556円」「Google fee 167円」「Tax 44円」となっていて、販売価格が600円となっている。一方、7月25日1:45:07AMにダウンロードした価格が、「Charge 111円」「Google fee 33円」「Tax 9円」となっていて、販売価格が120円となっている。これは、乙第4号証の値下げ日及び値下げ価格に一致する。
このように、ゲームソフトのダウンロードに当たって、費用の請求を行っている。
ただし、この費用の請求はグーグルが行い、「Charge」の3割の金額を「Google fee」として引いた後、「Tax」とともに、グーグルが山佐に支払っている。
(3)乙第6号証
Google Playの契約書である。乙第4号証に、「Google Play&App Storeで配信中の山佐スロアプリを期間限定で大幅値下げ」と記載したとおり、「ニューパルサーデラックス」のゲームソフトはGoogleにおいて有料で配信している。
(4)乙第7号証
Googleにおいて有料配信した場合のGoogleの手数料率表を記載したものであって、当社は「サービス手数料30%」としてある。したがって、乙第5号証の価格の欄における「Google fee」は、「charge」の30%となっている。
第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る証拠によれば、次の事実が認められる。
(1)乙第1号証
乙第1号証は、「山佐スロワールド公式」と表示されたTwitterの記事であり、1葉目には「山佐スロワールド公式/@yamasaslotworld」「山佐株式会社が提供する携帯サイト「山佐スロワールド(sp.yaasa.jp)」の公式アカウントです。新機種情報やサイト更新情報などをお知らせします。」の記載がある。
(2)乙第4号証
乙第4号証は、「山佐スロワールド公式/@yamasaslotworld」と題するTwitter記事である。
ア その上部には、「山佐スロワールド公式/@yamasaslotworld」(2019年7月18日)のタイトルの下、「Google Play&App Storeで配信中の山佐スロアプリが期間限定で大幅値下げ」「パチスロ鉄拳シリーズも360円と超おトク」との記載があり、その下に「YAMASA SUMMER SALE/アプリ最大90%OFF」「第1弾 7月18(Thu)~8/8(Thu)」「第2弾 7/25(Thu)~8/15(Thu)」「鉄拳4ホール導入直前記念セール、第1弾開催!」の表示とともに、上下2段に6つのパチスロのアイコン及び各金額が表示された画像があり、そのうち、2段目中央の、幾何学的模様を有するアイコンには、別掲のとおりの態様で表した「PULSAR」の文字の表示とともに、当該アイコンの下には「キングパルサー/DOT PULSAR」及び「120円」との記載がある。そして、上記画像の下には「期間限定アプリ配信中!」の記載がある。
イ また、上記アの下部には、「山佐スロワールド公式/@yamasaslotworld」のタイトルの下、「サマーSALE第2弾」「アプリセール第2弾として7タイトルを追加!!」等の記載があり、その下に「第1弾 7月18(Thu)~8/8(Thu)」「第2弾 7/25(Thu)~8/15(Thu)」「パチスロ鉄拳4ホール導入記念セール第2弾、開催!」の表示とともに、上下2段に7つのパチスロのアイコン及び各金額が表示された画像があり、当該画像の下には「午前10:39 2019年7月26日」の記載がある。
ウ さらに、上記イの下部には、「スレッド/「山佐スロワールド公式/@yamasaslotworld」(2019年8月9日)のタイトルの下、「SALE第2弾は15日まで衝撃の92.5%OFFまもなく終了・・・パチスロ「モンキーターン」シリーズ360円ほか、ニューパルサーデラックスなど120円アプリも!?」の記載及び上記イと同様の画像がある。
(3)乙第5号証
乙第5号証は、「2019年7月分のゲームソフトの売上げ」とされる書面で、1葉目の20行目ないし22行目には「Transaction Date」(取引日)を「1-Jul―19」(2019年7月1日)、「Product Title」(製品名)を「ニューパルサーデラックス」、「Product id」(製品ID)を「jp.yamasa.gp.npd」とする売上げについて、「Buyer Country」(購入者国籍)を「JP」(日本)、「Buyer Currency」(購入通貨)を「JPY」(日本円)として、「Charge」(料金)を「556」(円)、「Tax」(税)を「44」(円)及び「Google fee」(サービス手数料)を「-167」(円)とする記載がある。
また、2葉目の下から3行目ないし1行目には「Transaction Date」(取引日)を「25-Jul―19」(2019年7月25日)、「Product Title」(製品名)を「ニューパルサーデラックス」、「Product id」(製品ID)を「jp.yamasa.gp.npd」とする売上げについて、「Buyer Country」(購入者国籍)を「JP」(日本)、「Buyer Currency」(購入通貨)を「JPY」(日本円)として、「Charge」(料金)を「111」(円)、「Tax」(税)を「9」(円)及び「Google fee」(サービス手数料)を「-33」(円)とする記載がある。
(4)その他
その他、「Google Play」とは、デベロッパー(Google Playを通じて対象製品を販売/配布に供する個人又は会社)が対象商品を対象端末のユーザーに販売/配布することのできるソフトウェア及びサービスを意味すること等を示した書面(乙6)、「Google Play」のサービス手数料が販売されるアプリの30%であることを示した書面(乙7)が提出されている。
(5)上記(1)ないし(4)によれば、商標権者である「山佐株式会社」は、同人が提供する「山佐スロワールド公式」なるTwitterの携帯サイトにおいて、令和元年7月18日に、「YAMASA SUMMER SALE/アプリ最大90%OFF」「第1弾 7/18(Thu)~8/8(Thu)」「鉄拳4ホール導入直前記念セール、第1弾開催!」等の記載とともに、別掲のとおりの態様で表した「PULSAR」の文字(以下「使用商標」という。)を表示し、Google Play&App Storeで配信される「キングパルサー/DOT PULSAR」なるパチスロアプリ(以下「使用商品」という。)を含む6つのパチスロアプリについて、期間限定の導入記念セールのお知らせを行ったことが認められる。
なお、「鉄拳4ホール導入直前記念セール、第2弾」開催期間(2019年7月25日~同年8月15日)の2019年(令和元年)7月25日には、使用商品と同様のパチスロアプリ「ニューパルサーデラックス」がGoogle Play&App Storeから割引価格にて我が国の購入者に配信(ダウンロード)されていたことがうかがえ、第1弾のセール開催期間(2109年7月18日~同年8月8日)に使用商品が配信(ダウンロード)可能であったことが推認できる。
2 上記1において認定した事実によれば、次のとおり判断できる。
(1)使用商標について
本件商標は、第1のとおり、「パルサー」の文字を標準文字で表してしてなるものであり、使用商標は、別掲のとおり、「PULSAR」の文字を、黄色のやや幅広の書体で表してなるものである。そして、「PULSAR」の文字は、「規則的な周期で電波を発している小天体の一つ」である「パルサー」の意味を表す語である(乙3)から、本件商標と使用商標とは「パルサー」の称呼及び観念を同一にするものである。
そうすると、本件商標及び使用商標は、色彩及び書体に違いはあるものの、称呼及び観念を同一とする場合の片仮名とローマ字の相互間の使用であることから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。
(2)使用商品について
使用商品は、期間限定のアプリセールとしてGoogle Play&App Storeで配信されるパチスロアプリ(「キングパルサー/DOT PULSAR」)、すなわちパチスロを内容とするゲームソフトであるから、請求に係る商品中、第9類「インターネット・携帯電話からダウンロード可能な携帯電話機用ゲームプログラム,インターネット・携帯電話からダウンロード可能な電子計算機用ゲームプログラム」に含まれる商品である。
(3)使用時期について
商標権者である「山佐株式会社」は、同人が提供する「山佐スロワールド公式」なるTwitterの携帯サイトにおいて、少なくとも令和元年7月18日に、「YAMASA SUMMER SALE/アプリ最大90%OFF」「第1弾 7/18(Thu)~8/8(Thu)」「鉄拳4ホール導入直前記念セール、第1弾開催!」等の記載とともに、使用商標を表示して使用商品の広告を行っている。そして、これらの日付は、いずれも要証期間内である。
(4)小括
以上によれば、商標権者は、要証期間内である令和元年7月18日に、請求に係る商品中「インターネット・携帯電話からダウンロード可能な携帯電話機用ゲームプログラム,インターネット・携帯電話からダウンロード可能な電子計算機用ゲームプログラム」に関する広告を内容とする情報に、本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標を付して、電磁的方法により提供したと認めることができる。
そして、この行為は、商標法第2条第3項第8号にいう「商品・・・に関する広告・・・を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当する。
3 請求人の主張について
(1)請求人は、「山佐スロワールド」のTwitterアカウント自体が被請求人の所有に係るものかが明らかでない旨主張している。
しかしながら、乙第1号証によれば、「山佐スロワールド公式/@yamasaslotworld」なるTwitter記事は、「山佐株式会社」が提供する携帯サイト「山佐スロワールド」の公式アカウントである旨明記されており、これを疑うべき理由もないことからすれば、当該アカウントは被請求人(商標権者)の提供するアカウントとみて差し支えないものである。
(2)また、請求人は、「山佐スロワールド」のTwitter記事において、需要者がこの画面からゲームソフトを実際にダウンロードできる状態にあったことを裏付ける資料が提示されておらず、また、商品広告とおぼしき画像にはGoogle Play&App StoreのURL又はQRコード等が掲載されていない旨主張している。
しかしながら、「山佐スロワールド」のTwitter記事は、上記1(2)のとおり、「Google Play&App Storeで配信中の山佐スロアプリが期間限定で大幅値下げ」等と記載されており、その記載内容を総合すれば、需要者が画面からゲームソフトをダウンロードできる状態になく、またURL又はQRコードが記載されていないとしても、十分に広告を内容とするものとみることができる。
(3)さらに、請求人は、乙第5号証について、当時、需要者がGoogle Play&App Storeからゲームソフト「ニューパルサーデラックス」を実際にダウンロードできる状態にあったことを裏付ける資料が提示されていない旨主張している。
しかしながら、乙第5号証の内容について不自然なところはなく、当時、Google Play&App Storeからゲームアプリがダウンロードできる状態にあったことを否定すべき証拠も見当たらないことからすれば、本件については、上記2のとおり判断するのが相当である。
(4)したがって、請求人のかかる主張はいずれも採用することはできない。
4 まとめ
以上のとおり、被請求人は、要証期間内に日本国内において、商標権者が、請求に係る商品中「インターネット・携帯電話からダウンロード可能な携帯電話機用ゲームプログラム,インターネット・携帯電話からダウンロード可能な電子計算機用ゲームプログラム」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したものと認められる。
したがって、本件商標の請求に係る商品についての登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-300144