商標取消審判
2022-300050
スマイリーフェース、スマイリー、フェース
- 審判番号
- 2022-300050
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2015-118081
- 登録番号
- 5852896
- 請求日
- 2022年01月21日
- 審決日
- 2023年11月14日
- 公報発行日
- 2024年02月22日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【請求人】有限会社 ブルーリボン
- 【請求人代理人】保田 元希
- 【被請求人】有限会社 ハーベイ・ボール・スマイル・リミテッド
- 審判長/審判官
- 審判長 豊田 純一
- 審判官 杉本 克治
- 審判官 富澤 哲生
- 分類
- T132 .1 -Z (W14)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第2条第3項、商標法第50条第2項、商標法第50条、商標法第50条第1項、商標法第2条第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第5852896号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
登録第5852896号商標の指定商品中、第14類「身飾品」についての商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第5852896号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成27年11月17日に登録出願、第14類「貴金属,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,キーホルダー,身飾品,時計」を指定商品として、同28年5月27日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、令和4年2月10日になされたものであるから、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、平成31年2月10日ないし令和4年2月9日までの期間(以下「要証期間」という。)である。
第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書及び令和4年3月9日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同年4月22日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)にて、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証を提出した。
なお、以下、証拠の表記にあたっては、甲第1号証を「甲1」、乙第1号証を「乙1」のように省略して表示する場合があり、枝番号を有する証拠において、枝番号の全てを引用する場合は、枝番号の記載を省略する。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中、第14類「身飾品」(以下「本件審判請求に係る指定商品」という。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用していないものであるから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 弁駁書による主張
(1)本件商標の権利者の本件商標の使用実績の報告1及び2について
被請求人は、乙第1号証ないし乙第5号証をもって、本件商標の権利者(以下「本件商標権者」という。)の本件商標の使用実績であると答弁しているが、本件商標の使用は証明されていない。
ア 本件商標及び本件審判請求に係る指定商品について
本件商標は、円の輪郭内に、目とおぼしき小さい縦長精円形を2つ並べ、その下に口とおぼしき両端上がりの弧線を描き、当該図形の下に、輪郭線に沿って「SMILEY FACE」の語を結合してなる。
本件商標の指定商品は「貴金属,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,キーホルダー,身飾品,時計」であるが、本件審判請求に係る指定商品は、「身飾品」のみである。
イ 乙第1号証ないし乙第5号証は、本件商標の使用を証明していないこと
被請求人は、答弁書において、株式会社ループ(以下「ループ社」という。)、満田工業株式会社(以下「満田工業社」という。)、株式会社Histoire(以下「Histoire社」という。)、株式会社Days(以下「Days社」という。)とのライセンス契約書、各社のネット等での「製造販売状況」、あるいは、納品書といった証拠を提出した(乙1~乙4)。
しかしながら、これら4社との契約書には「SMILEY FACEの名称及びマーク・デザイン」と記載されてはいるが、いかなる商標が使用許諾の対象となっているのかは不明である。
そして、乙第1号証ないし乙第4号証に添付された広告写真(WEBページ)等に表された商品を一覧すれば、本件商標が使用された商品は皆無である。
すなわち、仮に、乙第1号証ないし乙第4号証に表示された商品の形状を、商標であるとして認識したとしても、本件商標の図形部分とは、それぞれ構成や描法等が異なるし、特に、これらの商品中には、「SMILEY FACE」の語を一体的に構成したものはなく、本件商標についての使用が証明されていない。
ウ 被請求人が本件商標の使用を証明していないこと
本件商標は、図形と文字とを一体として構成されたものであるにもかかわらず、乙第1号証ないし乙第4号証には、本件商標を使用した商品はないし、納品書等の書面に徴しても、本件商標は使用されていない。
また、いわゆる社会通念上同一の範囲も、「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであつて同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標」に限られる。
そうすると、被請求人は本件商標の使用を証明していない。
エ 審判決例等
被請求人の提出する証拠が、本件商標の本件審判請求に係る指定商品に対する使用を証明していると認められないことは、以下の審判決例に徴しても明かである。
すなわち、取消2007-300499号(甲1)、取消2000-30043号(甲2)、取消2001-31081号(甲3)、取消2012-300845号(甲4)、取消2009-301260号(甲5)及び東京高裁昭和57年9月30日判決(甲6)では、登録商標と使用商標の同一性判断について、文字又は図形の有無等の相違があることを理由にその同一性が否定され、登録が取り消されている。
乙第1号証ないし乙第4号証に表示された商標は、本件商標と文字の有無という点で大きく異なるし、図形部分についても相違する。
かかる点で、本件商標が本件審判請求に係る指定商品に使用されているとはいえない。
ちなみに、本件商標権者は、「SMILEY FACE」の文字列のみからなる登録商標を15件登録しているが(甲7)、いずれも識別力欠如(独立して商品の出所表示機能を果たし得ない)とは判断されていない。
したがって、本件商標の図形部分と「SMILEY FACE」の文字部分とは、「いずれを補助的(附記的)部分とするかとの判断を不能ならしめるほど分かち難いものであって、本件商標から図形部分のみを抽出して、それを商標として使用したとしても、その使用は、もはや本件商標の使用であるということは」できない。
なお、被請求人は、乙第5号証を示して、例えば洋服、バッグメーカー等でも商品と一緒に売場構成の為、本件商標を使用した商品をそれぞれ多種類を大量に販売していた旨主張するが、これらの「広告写真」にも、乙第1号証ないし乙第4号証と同様に、本件商標は表示(使用)されていない。
オ 乙第6号証及び乙第7号証は、本件商標の使用証明とは関係がないこと
被請求人は、その立場を説明するとして、ハーベイ・ボール・ワールド・スマイル財団(以下「財団」という。)や本件商標権者の会社関係、あるいは、その活動について紹介した上で、日本国内のファッション企業延べ3,000社とライセンス契約を行い、繊研新聞における宣伝活動を行っていると主張する(乙6、乙7)。
しかしながら、これらの記事あるいは広告は、本件審判請求に係る指定商品の使用とは全く関係がなく、これらの記事あるいは広告に表された標章は、本件商標とは全く異なる。
本件商標権者が、本件商標を使用していないことは、これらの記事等からも明らかである。
(2)本件商標権者が本件商標の世界で唯一の使用資格者であるとの主張について
被請求人が提出する、乙第8号証ないし乙第17号証の記事等は、主として、いわゆるスマイルマークといわれる図形に関する情報、同マークを考案したと称するハーベイ・ボール氏の海外における紹介記事・活動に関する情報、災害等に対する本件商標権者の支援活動、同マークが日本市場に導入された経緯についての情報、並びに、ハーベイ・ボール氏の死去に関する情報等であり、当該主張は余事記載であって、本件商標の本件審判請求にかかる指定商品についての使用行為とは何ら関係がなく、これらの記事等に表された標章は、本件商標とは全く異なることから、本件商標権者が、本件商標を使用していないことは、これらの記事等からも明らかである。
なお、被請求人は、本件商標について世界で唯一の使用資格者であると述べるが、いかなる根拠で世界唯一の使用資格があるのか、不明である。
(3)早い者勝ち「先願主義」の商標登録制度の悪用は誤りであるとの主張について
被請求人は、乙第10号証の3ないし乙第19号証を提出するが、これらの証拠は、全くの余事記載であって、これらに徴しても、本件商標が全く使用されていないことは明らかである。
ア 被請求人は、「中国での日本の有名な名称を勝手に商標登録して自国の商品に神戸牛、松阪牛等のブランドを付けて販売している事に、現在の日本国民は不愉快に思っている」(乙10の3)と主張する。
また、「ピコ太郎」商標の登録出願等、先願主義を悪用した事件(乙10の4)が発生していることに言及する。
「ピコ太郎」商標の登録出願等、先願主義を悪用した事件については、請求人も承知しているが、このような事例は、本件商標が本件審判請求に係る指定商品に使用されているか否かについては、全く無関係の事象である。
なお、被請求人は、請求人に対して、商標ブローカー的人物であると断ずるが、その非難は全く失当である。
商標ブローカーを、商標権者又は使用権者が使用する予定もないのに、買取請求等を目的に登録出願し登録を図るものと定義するのであれば、本件商標を使用しないまま登録商標を保有している本件商標権者は、商標ブローカーであると考える。
イ 被請求人は、アメリカ国内のスマイル支援グループが、全世界の啓蒙活動、広報活動を開始した結果、やがて「ひょう窃スマイル商品」を購入する消費者はいなくなるはずであると述べるが、これも、本件商標が本件審判請求に係る指定商品について本件商標を使用していることとは、全く関係がない。
ウ 同様に、ヨーロッパの有名ブランド店が、我が国の「サンモトヤマ」に対して、譲渡を引換に独占輸入権を要求されたと憤っていたこと、及び、同社が2019年9月30日に倒産したことと(乙18)と、本件商標の本件審判請求に係る指定商品に対する使用行為とは、何らの関係もなく、また、請求人は、サンモトヤマ社とは、何らの関係もない。
(4)請求人はスマイルの商標を使う資格がなく、それを行うのは不法行為であるとの主張について
ア 被請求人は、本件商標を本件審判請求に係る指定商品に使用していることの立証を行う必要があるにもかかわらず、これとは全く関係のない記載(主張)ばかりを繰り返している(乙19~乙26)。
そればかりか、被請求人の主張には、本件審判とは何ら関係のない誹謗行為も含まれている。
被請求人は、請求人にはスマイルの商標を使う資格がなく、それを行うのは不法行為であり、請求人の実態が不明であり、虚偽性があり、請求人の会社の実態がなく、イングラム(以下「イングラム社」という。)等の別の会社のダミーかその身代わりとして利用されているから、本件審判請求自体が架空のものである旨主張するが、これはいわれのない誹謗行為である。
イ 被請求人は、請求人がスマイルの商標を使う資格がないと主張する。
そうであれば、本件商標権者もスマイルの商標を使う資格はない。
商標を採択し、かつ、登録するについて、法律上「商標を使う資格」が必要であるという、被請求人の主張には理由がない。
仮に、商標を使う資格が、商標権は常に商標の案出者に帰属されるべき、という意味で主張されているのであれば、かかる主張は根本から誤っている。
商標は、発明等と異なり、創作物ではなく選択物であることは多言を要しない。
また、仮に、商標を使う資格が、登録商標を第三者に使用させ、対価を得ることが違法であると主張されているのであれば、商標法の制度趣旨にも反するし、そもそも本件商標権者にも商標を使う資格はない。
ウ 被請求人が提出する資料によれば、いわゆるスマイルマークを考案したと称するハーベイ・ボール氏は、同マークの使用について、対価を求めず、自由な使用を宣明していたようである。
乙第13号証等の記事でも、1963年、保険会社の依頼で黄色の丸い顔に単純な線でにっこり笑った口と目をあしらったスマイルマーク(略)を創作。マークの報酬45ドルを受け取っただけで、商標や著作権登録などはしなかったが、遺族によると全く後悔していなかったというと紹介されている(2001年(平成13年)4月14日 北海道新聞、同日付西日本新聞など)。
また、ハーベイ・ボール氏の発言として、スマイル・フェイスを金儲けに利用し、世界的な支配を推し進めている事にも反対ですとも記載されている。
しかるに、本件商標権者は、ハーベイ・ボール氏の遺志を全く無視して、いわゆるスマイルマーク及びそれらのバリエーション商標を多数登録した。
そして、本件商標権者は、多数の商標登録を行ったことで、現実に本件商標権者の同意なしでは、スマイル商品が販売出来ないようになっていると主張する。
要するに、本件商標権者は、故人の遺志を無視して多数の商標を登録し、それをもってビジネス活動を行い、他社のスマイル商品の販売を阻害している。
したがって、本件商標権者には、請求人の行為を論難する資格はない。
逆に、本件商標権者が、故ハーベイ・ボール氏の遺志を継いで、我が国におけるスマイル商標の保全・管理に注力し、これを無償で延べ3,000社とライセンス契約を行い、スマイル商標の普及に努めてきたのであれば、かかる行為は、法的には理由はないものの一定の評価は認め得る。
可能であれば、乙第1号証ないし乙第4号証の契約が、無償でなされていることの証拠を提出されたい。
他方、仮にも、被請求人が、かかる故人の遺志に反して、いわゆるスマイルマークを多数登録し、かつ、これを元にビジネスを展開し、加えて、他社のスマイル商品の展開を阻害しているのであれば、本件商標権者が、請求人の商標登録を論難するのはお門違いである。
なお、ハーベイ・ボールとルフラーニのいわば「本家争い」(乙20など)、イングラム社に関する別件訴訟記録(乙21~乙25)等は、本件審判とは何ら関係がない。
エ 被請求人は、請求人の実態が不明であり、したがって虚偽性があり、イングラム社等の別の会社のダミーかその身代わりとして利用されているから、本件審判請求自体が架空のものと主張するが、いわれのない誹謗行為である。
(ア)企業の登記住所が変わることはしばしばあり、登記住所が変わったことにより、法人の実態がなくなるわけではない。請求人には、法人としての実態があり、独自の営業活動も行っているのであって、請求人の行為には、なんらの虚偽性もない。
審判事件において、虚偽という以上、請求人が本件審判を請求するについて、虚偽であることの証明を要する。
(イ)そもそも、不使用取消審判は、不使用商標の存在は第三者による商標選択の余地を不当に狭めることになるという登録主義の是正を図ることを目的に設けられた制度であるから、何人にもその請求が認められている。
(ウ)請求人の代表者は、イングラム社の取締役も兼務しており、相互の企業間で協力してビジネスを行うことがあるのは事実であるが(甲8~甲10)、それを理由に「本件審判請求自体が架空のもの」とする被請求人の主張は、失当である。
オ なお、請求人は、乙第26号証のスマイル出願商標に対して、拒絶査定を得ており、多数(計41件)の本件商標権者の商標が引用商標として指摘されているから、その状態で本件商標の取消審判を請求するその意図が不明であり、もし本件商標を請求人が取り消したとしても上記の状況(略)で、日本国内においてスマイルの商品化を行えるとは思えない旨主張するが、この主張は誤っている。
請求人がした登録出願について拒絶査定を受けたことは事実であるが、同査定における引用商標は、2件であって、41件ではない。
これらの引用商標のうち、1件は、本件商標権者の商標と非類似であることが明らかであり、本件商標は、請求人の調査によれば(加えて、今回の被請求人の提出証拠によっても)、一切使用されていないと考えたことから、請求人は、本件審判の請求に及んだものである。
加えて、上記2件の本件商標権者の商標は、いずれも、請求人が登録出願した商標と全く同一態様の登録商標の後願商標である。
したがって、請求人が登録出願した商標と、本件商標権者の商標とが類似すると判断するのであれば、むしろ、本件商標権者の商標の登録が無効とされるべきである。
そのため、審査の誤りを是正するためにも、拒絶査定不服審判を請求し、同時に、本件審判を請求したものである。
本件商標をその指定商品中の本件審判請求に係る指定商品について取り消せば、本件審判請求に係る指定商品については、当然に日本国内でスマイルの商品化を行えることから、請求人が本件審判を請求する意図も明確である。
カ なお、請求人は、本件商標権者に協力し共同事業等を行う意思は全くない。
第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求め、答弁書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第26号証(枝番号を含む。)を提出した。
なお、審判長は、被請求人に対し、令和5年1月19日付けで、合議体の暫定的見解を示した審尋を送付し、相当の期間を指定して、当該審尋に対する回答を求めたが、被請求人は、何ら応答していない。
1 答弁の理由
(1)本件商標権者の本件商標の使用実績の報告
ア 本件商標権者は、ループ社、満田工業社、Histoire社及びDays社とライセンス契約を行い、本件商標の使用を行わせており、各社のライセンス契約書、ネット製造販売状況及び納品書等を提出する(乙1~乙4)。
イ 本件商標権者はこれまで、日本国内でスマイル商品のライセンス契約を行っている。
例えば洋服、バッグメーカー等でも商品と一緒に売場構成のため、本件商標を本件審判請求に係る指定商品に使用した商品のそれぞれ多種類を大量に販売していた。その例を示す広告写真を提出する(乙5)。
(2)本件商標権者の立場について
本件商標権者の立場を説明すると、財団の商業活動の代理人がジャス・インターナショナル株式会社(以下「ジャス社」という。)の代表者である。
財団の会長チャールズ・ボールとジャス社の代表者が共同代表として設立されたのが「有限会社ハーベイ・ボール・スマイル・リミテッド」である。
本件商標権者は、スマイル・ブランドの知的財産権(著作権、登録商標、パブリシティ権等)の権利の保護と運営を行う日本法人である。
(3)本件商標権者の広告活動について
本件商標権者は、20数年前からスマイルの商品化を、日本国内のファッション企業延べ3,000社と共同(ライセンス契約)で行っており、そのため、広報宣伝活動として我が国を代表し、唯一のファッション業界紙「繊研新聞(発行部数20万部)」での宣伝活動を行っており、多い年は年間8,000万円を投入し、我が国のスマイル商品(本件商標を含む)の啓蒙活動を行った結果、業界、小売店(デパート、スーパー、セレクトショップ等)の全てで、スマイルは本件商標権者等のものであるとの認識が確立しており、現実に本件商標権者の同意なしではスマイル商品が販売出来ないようになっているのが現状である。
「繊研新聞」の広告掲載リスト、新聞広告の紙面を提出する(乙6、乙7)。
(4)本件商標権者が本件商標の世界で唯一の使用資格者であることについて
ア スマイルの誕生の経緯については、日本国内の活動(冊子1号)(乙8)、海外での活動(冊子2号)(乙9)及び広報活動(冊子3号)(乙10)で説明している。
スマイルは元々1963年米国マサチューセッツ州ウスター市で故ハーベイ・ボール(以下「ハーベイ」という。)によってスマイル商標として創作・著作されたものである。
その事は地元ウスター市で1996年7月10日、マリアーノ市長により、スマイルはハーベイによって創作・著作された旨宣言されている(乙8)。
1999年10月1日、マサチューセッツ州上下合同議員総会で、スマイルはハーベイが創作・著作した旨の決議書が発表された(乙8)。
また、1998年2月にはウスター市政記念式典では上院議員、元大統領候補者、オバマ政権での国務長官等を歴任し、現在は米国気候変動問題担当大統領特使のジョン・ケリー氏が当時マサチューセッツ州副知事として出席し、ハーベイがスマイルを創作した旨の演説を行いマスコミを通して全米に宣言が発表されている(乙8、乙11)。
現在の活躍を示す新聞記事を提出する(乙12)。
その後、1999年には、アメリカ郵政公社の1970年代を代表するイメージとしてスマイルが記念切手として採用され、米国及び全世界でその事実が広まっている(乙8)。
2001年4月12日、ハーベイが死去した時には、我が国の主要新聞の全てにスマイルの生みの親が死去と報じられた。
当時、アメリカ、英国を始めヨーロッパ各国、あるいは世界で500社以上の新聞でその事が報じられた。
その中の我が国及び英国の代表的な新聞報道を提出する(乙13)。
そして、1970年(昭和45年)に我が国の文具メーカー「リリック」の企画部長が渡米した時、アメリカのスマイルの大流行を見て、帰国後それを真似して我が国で「ニコニコ・マーク」、「ラブピース」として流行させたものである(乙10)。
ハーベイの死後、その息子であるチャールズ・ボールによって、財団が設立されている。
また米国では、スマイルを普及するために、22年前から開始された「ワールド・スマイル・デー」活動は毎年10月第1金曜日に開催されており、ネットを使って全世界で毎年1億人の参加者があり、スマイルファンから圧倒的支持を受けている。
そして、世界的なスマイルの存在については、ハーベイのものであると確認されている(乙9)。
スマイル・マークのドキュメンタリー番組を放送するために、ヨーロッパ各国から許可の申請を受け、ハーベイがスマイルを創作したと報道している。
イ 本件商標権者は、ジャス社と共同で我が国のスマイル商品化事業を行い、その収益はワールド・スマイル・デーの費用や財団の社会貢献事業、ボランティア活動、各種イベントの費用に使われており、そこに投入された金額は現在までに数億円に達するものである。
本件商標権者等は米国と同時に日本国内でも、東日本大震災、熊本大地震、等の自然災害に対しての支援活動を関連の名誉スマイル大使の著名人と共同で行っており、大きな成果を上げている。
名誉スマイル大使のリストを提出する(乙14)。
上記支援活動については乙第8号証(冊子第1号)に詳しく説明している。
ウ 同時にファッションの専門業界紙である繊研新聞で多い年には8,000万円の広告記事を掲載しており、啓蒙活動も行っている。
そのため、それ等の資金も数億円を超えるものである(乙7)。
その結果、現在では若い世代から「ニコ」、「ニコちゃん」と愛称されるほど親しまれるキャラクターにスマイルは育っている(乙10)。
それを悪用し、利用して単に登録商標を得たとして商標ブローカー的金儲けにスマイル商品化事業を行うのは不正であり詐欺的行為としかいわざるを得ない。
エ スマイル(スマイリー・フェイスの略称)はアメリカの文化でありアメリカの誇りである。
それを1970年(昭和45年)以降、多くの日本人がひょう窃し、我が国に導入させ、それを利用し、便乗して多くの国民が商標法の早い者勝ちや先願主義を悪用して金儲けの目的で恥ずかし気もなく勝手に商標登録し不当な利益を上げてきていた。
その最たるものが請求人達であろう。
オ 本件商標権者の以上のスマイルの啓蒙活動、社会貢献事業についての紹介資料(カタログ、チラシ等)を参考までに提出する(乙15)。
カ スマイルについては、現在世界的に財団(ハーベイ)の著作権が認められており、アメリカ国内では新聞報道1,172件がそれを証明している。
それが世界共通認識となっている(乙16)。
キ 以上の経緯でスマイルの知的財産権(著作権、登録商標権、パブリシティ権等)は世界的に評価されており、例え登録商標を所有したからといってそれを唯一の権利として商品化を行うことは、限界になっている。
(5)早い者勝ち先願主義の商標登録制度の悪用は誤りであることについて
ア 商標の先願主義の悪用は現在の中国でも見られ、我が国の有名な名称や地名のほとんどが中国で中国国民によって勝手に登録されている。
例えば、神戸牛、松阪牛、青森りんご等のほとんどの我が国の有名な商品名称が登録され、中国産商品にそれらの名称を使用して各小売で売られているといわれている。
その報道を見る多くの我が国の国民が憤慨しており、我が国の生産者の多くが打撃を受けている(乙10)。
今回の本件審判事件の請求人は上記と同じくする、商標ブローカー的人物であり、我が国の国民として恥ずかしいものである。
イ その他実際に2017年頃日本国内で起きた商標法を悪用した「ピコ太郎事件」もある。
元弁理士が「ピコ太郎」の名前を商標登録出願してそれを盾に本人又は所属会社に多額の金銭を要求しようとした事件である。
やはり商標法の「早い者勝ち」、「先願主義」を悪用したものである。
そのやり方はその時々有名になりかけた人物や商品名を片っ端から商標出願しておき、その場合あえて登録出願費用の印紙を払わず書類を提出する。それに対して特許庁は6か月以内に支払うように手続補正の指示を出し、その6か月間は元弁理士が出願権を保有しながらターゲットが有名になったと見定めればすぐに12,000円の出願料を支払い、本人又はその会社に多額の金銭を要求するという悪質な行為である。
それは特許庁が早い者勝ち、先願主義をあまりにも重要視するから起きたものである。
それについてマスコミで大騒ぎになり、その元弁理士は企てを放棄して逃亡してしまっている(乙10)。
ウ 上記の商標法の悪用は本件商標等のスマイルでも起こっている。
別掲2の商標デザインに注目されたい。
エ スマイル商標が1963年米国人ハーベイによって創作・著作されたことは上記で説明したとおりである。
米国でのスマイル大流行当時の1960年代にフランス人の2人の若者がアメリカを旅行しており、そのスマイル大流行を目にして、フランスに帰国後その1人「フランクリン・ルフラーニ」(以下「ルフラーニ」という。)が1人だけこれは金儲けになるとフランスを始め、海外でスマイル商標の登録を行い大儲けしたといわれている。
それが原因で帰国後2人は大喧嘩したとの証言もある。
ルフラーニは別掲2のとおりの商標(デザイン)を商標登録制度の先願主義を悪用して全世界で商標登録し、スマイルの権利が自分達にあると主張してビジネスを行っている商標ブローカー業者である。
オ しかし、ルフラーニは、自分はスマイルの創作・著作者でないことをアメリカの雑誌「Peple」で証言している(乙17)。
カ しかし最近は商標(ブランド)は知的財産権と称され、著作権、登録商標権、パブリシティの権利、を組み合わせて検討されるものであり、先願主義の登録商標だけを持っての権利主張を誇大にする事は各方面からの批判が出ている。
ルフラーニの商品化事業も米国のハーベイの存在が知られている現在では各国で他人の努力と才能を否定するものとして批判が続出している。
キ 以上の状況からルフラーニがハーベイの創作・著作をひょう窃してスマイル商品化事業を行い続けているが、ヨーロッパでも最近は、誰でも、少額費用で、早い者勝ち、先願主義での、簡単な商標登録手続で権利が得られる登録商標を唯一の権利と主張する商標ブローカー的やり方に反対する消費者が多くなっている。
最近はヨーロッパの新聞、テレビ、雑誌等から本件商標権者にハーベイの実績を問い合わせることが多くルフラーニの行為について賛成出来ないという趣旨の報道をされている。
以上の理由から、アメリカ国内のスマイル支援グループが全世界のスマイル商品を製造販売している業者にハーベイの創作・著作の権利とスマイルの誕生と普及そしてその後の流行の状況を積極的に知らせたり同時に啓蒙活動、広報活動を開始したりする予定になっているので、やがてひょう窃スマイル商品を購入する消費者はいなくなるはずである。
ク 上記の中国での我が国の有名な名称を勝手に商標登録して自国の商品に神戸牛、松阪牛等のブランドを付けて販売している事に、現在の我が国の国民は不愉快に思っている事を説明した。
しかし、かつて請求人がヨーロッパの有名ブランド店「シャネル」、「グッチ」、「エルメス」等を訪問した時、担当者が自分達が我が国に進出しようとした時、必ず我が国の「サンモトヤマ」(1955年(昭和30年)創立)という会社が自分達のブランドを商標登録しており、その譲渡を引換に独占輸入権を要求されたと憤っていた。
しかし、我が国の社会の成熟とともにその様なことを我が国の消費者が受け入れなくなり、やがて「サンモトヤマ」は2019年9月30日に倒産している。
それらの上記の有名なヨーロッパのブランドについては請求人の弁護士事務所が主に扱い、それを事務所の看板としている様であるがその弁護士事務所が「サンモトヤマ」同様な商標ブローカー的行為を行う請求人の弁護と主張に協力する事は理解出来ないものである。
「サンモトヤマ」関連資料を提出する(乙18)。
(6)請求人はスマイルの商標を使う資格がなく、それを行うのは不法行為であることについて
ア 請求人の実態が不明であり、虚偽性がある。
本件商標権者は過去に請求人について調査会社の保存資料「平成21年」(第1回目)を取り寄せたところ、会社所在地は「東京都杉並区阿佐谷南2-21-1」となっている。
しかしその場所には「会社も事務所も全く無く不明である」との報告がなされている。
被請求人は同社との営業関係を交渉する為に記載された「自宅」、「東京都台東区西浅草1-2-13-204」を訪問したがそのマンションには全く別人の表札が掛かっており目的は達せられなかった。
その後「令和元年」にも同様調査会社の保存資料(第2回目)を取り寄せたところ所在地は「東京都千代田区神田和泉町1-11-15」となり、自宅は前回と同様の記載となっている。
そして今回の審判請求では「東京都墨田区横川5-9-4-2307」となっている。
以上の調査報告書の結果から請求人の会社の実態がなく、「イングラム社」等の別の会社のダミーかその身代わりとして利用されているにすぎないとしか判断出来ない(乙19)。
そうであれば本件審判請求自体が架空のものであり、不真面目な目的でなされているとしか考えられない。
イ 被請求人の周辺を検討する場合、別掲3ないし別掲6のとおりの商標との関係が注目される。
別掲3のスマイル商標はハーベイのものであり、別掲4ないし別掲6はルフラーニのものと同一である。
この3つが無関係であるとは考えられない。
特に、別掲5のブルーリボン(以下「ブルーリボン社」という。)、別掲6のイングラム社は同一の利害関係にあり、調査資料から推測するとイングラム社が本件審判事件の当事者であると推測できる。
代理人弁護士もイングラム社がいつも依頼する事務所であり、本件事件の依頼もイングラム社からであることは確実であろう。
ウ ルフラーニは平成10年(1998年)頃、我が国に登場してスマイルの商標権と著作権は自分にあると記者会見し、同時にイングラム社は日本経済新聞に大々的に広告を出し、我が国の国民に上記を宣言した。
その当時の代理人がイングラム社であった。
「日本経済新聞」の1997年2月11日、4月10日の広告を提出する(乙20)。
「日本経済新聞」では、その後自分達が広告を出したことは間違っていたと本件商標権者に謝罪している。
その「謝罪文」を提出する(乙21)。
その当時、スマイルは誰でも使って良いと思っていた国内の30数社のメーカーは恐れおののき、ルフラーニに多額の金銭の支払いをさせられたとされている。
当時支払いをさせられたと思われる企業のリストを提出する(乙22)。
その当時、それを疑問に思った朝日新聞はルフラーニやイングラム社の行動に異議を主張する報道をした。
そのため、イングラム社は朝日新聞を東京地裁の提訴の結果、朝日新聞が敗訴となり、それについて謝罪させられたと憤っていた。
朝日新聞の報道記事を提出する(乙23)。
同時に、イングラム社が提訴したFM東京は東京地裁で敗訴し、控訴した結果東京高裁で、ルフラーニの主張は虚偽であり、詐欺的ビジネス行ったと判決されている。
東京高裁の判決文を提出する(乙24)。
上記を報道した新聞記事を提出する(乙25)。
その当時、代理人のイングラム社は、ルフラーニが虚偽の事実で自分を騙したとして紛争となり代理人の契約を終了させている。
しかし、当時代理人のイングラム社の名義で所有していたルフラーニの制作した別掲6のとおりのスマイル商標について返還することなく所有し続けている。
これについては代理人として信義にもとる行為だと思う。
その当時のイングラム社のサブライセンス企業が、ブルーリボン社であり、同社もイングラム社からその商標を譲渡してもらい現在まで所有を続けているように思う。
この推測は正確でないかもしれないが、イングラム社がルフラーニの代理人であった経緯を考えるとそのようにいえないこともない。
そもそも、ブルーリボン社とイングラム社のスマイル商標の所有は、「東京地裁」の判決を考えると、ライセンス元と単なる商標の代理人との関係の信義にもとるものであり、不正に所有したものであり、その権利を使用することは不法行為の可能性がある。
ヨーロッパのルフラーニがハーベイをひょう窃して金儲けを始め、次に我が国の請求人等がそれをひょう窃(実際は同一)して我が国で金儲けを行う等は受け入れられない。
エ 現在、米国のハーベイがスマイルを創作・著作した事実が我が国の全ての小売店(百貨店、スーパー、洋品店等)に認識された現在、請求人がどの様な過去での経緯があったとしても、今後はスマイルの商品化事業に商標ブローカーの立場で携わる事は適切でない。
オ ヨーロッパのひょう窃スマイル商品に対しての反対活動が活発し拡大していると同様に、我が国の国内でもスマイルについては、商標権だけを所有したことを唯一の権利とし、過去のハーベイの創作・著作、アメリカでの大流行の歴史、数々のエピノードを無視して商品化事業をすることについても大きな反発と批判が起きている。
そもそも、スマイルはアメリカの文化でありアメリカ人の誇りである。
それを請求人のようにただ単に商標登録しただけでスマイルの権利者のように振舞うことは、我が国の国内でも受け入れられなくなっている。
カ 以上の理由で、米国のスマイル愛好家団体等では我が国の国内のひょう窃スマイル商品が販売されている小売店(百貨店、スーパー、専門店等)に対して啓蒙活動として本件審判請求に提出された同様資料を直接送付してアメリカの知的財産権を守るとの強い要請を行うと聞いている。
そのため、請求人が今回の審判請求等においての努力をしても、今後、自らスマイル商品の商業活動をすることは困難だと思われる。
その様な努力は、コロナ禍で各小売店が経営に疲弊している中、請求人が無駄な闘争に費用を投入することは自らの経営も困難にするのではないかと心配している。
キ スマイルは現在全国の中・高・大学生によってファンクラブが多く作られ、若い世代から「ニコ」、「ニコちゃん」と愛称されており、熱狂的な支持を得ている。
そのため、ひょう窃スマイル商品が売り場に並んだだけでも、ネットを通してその小売店への攻撃が多く、それが返品になった例が多く、本件商標権者の元に報告されている。
ク 請求人は、スマイル出願商標に対して特許庁より拒絶査定を得ている。
その包袋一式を提出する(乙26)。
ケ その中で多数(計41件)の請求人の商標が引用商標として指摘されており、その状態で本件商標の取消審判を請求するその意図が不明である。
もし、本件商標を請求人が取り消したとしても、本件商標権者がスマイル関連商標の登録商標1,407件、出願商標126件、合計1,533件を所有しているので我が国の国内でスマイルの商品化を行えるとは思えない。
それどころか、請求人の行為は、本件商標権者に対しての宣戦布告であり、本件商標権者の米国の財団の社会貢献活動やボランティア活動を支援する為に行われている我が国の国内での商品化事業を妨害するものであるとしか理解できない。
そのため、本件商標権者はあらゆる手段でそれに対抗せざるを得ないことも理解できるはずである。
コ しかし、請求人がスマイル商品の国内展開について興味を持ち、それに協力をする意思がある場合は、被請求人はそれに協力し共同事業を行う等色々な形での協力関係を作ることについては反対しない。
第4 当審の判断
1 被請求人の立証責任
商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
すなわち、本件商標の使用をしていることを証明するには、商標法第50条第2項に規定されているとおり、被請求人は、ア 要証期間に、イ 日本国内において、ウ 本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、エ 本件審判請求に係る指定商品のいずれかについての、オ 本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の使用(商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用行為)をしていることをすべて証明する必要がある。
2 事実認定
被請求人の提出した乙各号証によれば、以下のとおりである。
(1)乙第1号証について
乙第1号証は、ジャス社とループ社との間で締結された契約書等の資料であり、本号証の1葉目の中段に「契約企業」の記載、その下に、「ループ」の記載、「Other Name」の欄に「SMILEY FACE」の記載、「Content」の欄に「金属アクセサリー及びアクセサリー全般」の記載、下部に「株式会社 ループ」の記載があり、本号証の2葉目の上部に「JASS InTERnATIOnAL InC.」の記載、その右下に「令和3年12月17日」の記載、その左下に「株式会社 ループ」の記載、その右下に「ジャス・インターナショナル株式会社」の記載、その左下に「契約更新の御礼」の記載があり、文中に「この度は「SMILEY FACE」ブランドの契約を更新して頂きまして、大変有難うございました。」の記載がある。
また、乙第1号証の3葉目の上部に「契約書」の記載、文中に「ジャス・インターナショナル株式会社(以下甲という)と株式会社ループ(以下乙という)は甲がハーベイ・ボール・ワールド・スマイル財団(以下丙という)から取得した権利を日本国内において乙に対し再使用許諾することにつき、以下の通り契約する。」の記載、「第1条 I.」の項目に「甲が提供する権利とは登録著作権、登録意匠権、登録商標権、パブリシティの権利である。」の記載、「2)」の横に「許諾商品に付するSMILEY FACEの名称及びマーク・デザイン(以下本件商標という)の日本国内における使用権。」の記載があり、第2条の項目に、「第1条に基づく商品は下記のものとする。(以下許諾商品という)」の記載、「金属アクセサリー及びアクセサリー全般。(非独占)」の記載があり、本号証の4葉目に「令和3年12月17日」の記載、その下の「甲」の項目に「ジャス・インターナショナル株式会社」の記載及び「乙」の項目に「株式会社ループ」の記載がある。
さらに、乙第1号証の5葉目及び6葉目は、令和2年12月15日付けのジャス社及びループ社の間で締結された契約書、本号証の7葉目及び8葉目は、令和元年12月10日付けのジャス社及びループ社の間で締結された契約書、であり、令和3年12月17日付けの契約と同様の内容であり、本号証の9葉目に「この商品は米国ハーベイ・ボール・ワールド・スマイル財団の正規スマイル商品として製造しています。」の記載があり、その横の「ペンダント」とおぼしき商品に、別掲7のとおり標章(以下「使用標章1」という。)が使用され、本号証の12葉目の右上の「ペンダント」とおぼしき商品に、別掲8のとおりの標章(以下「使用標章2」という。)が使用されている。
加えて、乙第1号証の13葉目ないし15葉目は、「BEAMS」が取引先であるループ社に、2021年11月1日に発行した書類であるが、「BEAMS」とループ社との関係は明らかではない。
なお、ループ社と契約したジャス社は、本件商標権者ではないが、被請求人の主張によれば、本件商標権者と代表者が同一であることから、本件商標権者が本件商標の使用を許諾した通常使用権者といい得るが、乙第1号証によると、ジャス社は、本件商標を使用していないことは明らかであり、また、本件商標権者が、ループ社との間で、本件商標の使用を許諾していることは確認できない。
(2)乙第2号証について
乙第2号証は、ジャス社と満田工業社との間で締結された契約書等の資料であり、本号証の1葉目の中段に「契約企業」の記載、その下に、「満田工業」の記載、「Other Name」の欄に「SMILEY FACE」の記載、「Content」の欄に「バッグ、小物、毛皮商品、その関連の衣料品」の記載、下部に「満田工業 株式会社」の記載があり、本号証の2葉目の上部に「契約書」の記載、文中に「ジャス・インターナショナル株式会社(以下甲という)と満田工業株式会社(以下乙という)は甲がハーベイ・ボール・ワールド・スマイル財団(以下丙という)から取得した権利を日本国内において乙に対し再使用許諾することにつき、以下の通り契約する。」の記載、「第1条 I.」の項目に「甲が提供する権利とは登録著作権、登録意匠権、登録商標権、パブリシティの権利である。」の記載、「2)」の横に「許諾商品に付するSMILEY FACEの名称及びマーク・デザイン(以下本件商標という)の日本国内における使用権。」の記載があり、第2条の項目に、「第1条に基づく商品は下記のものとする。(以下許諾商品という)」の記載、「バッグ、小物、毛皮商品、その関連の衣料品全般。(非独占)」の記載があり、本号証の3葉目に「令和3年7月29日」の記載、その下の「甲」の項目に「ジャス・インターナショナル株式会社」の記載及び「乙」の項目に「満田工業株式会社」の記載がある。
また、乙第2号証の4葉目の右側の商品「チャーム」に別掲9のとおりの標章(以下「使用標章3」という。)が使用され、本号証の7葉目のペンダントとおぼしき商品に別掲10のとおりの標章(以下「使用標章4」という。)が使用されている。
なお、満田工業社と契約したジャス社は、本件商標権者ではないが、被請求人の主張によれば、本件商標権者と代表者が同一であることから、本件商標権者が本件商標の使用を許諾した通常使用権者といい得るが、乙第2号証によると、ジャス社は、本件商標を使用していないことは明らかであり、また、本件商標権者が、満田工業社との間で、本件商標の使用を許諾していることは確認できない。
(3)乙第3号証について
乙第3号証は、ジャス社とHistoire社との間で締結された契約書等の資料であり、本号証の1葉目の中段に「契約企業」の記載、その下に、「Histoire」の記載、「Other Name」の欄に「SMILEY FACE」の記載、「Content」の欄に「アクセサリー(ヘアアクセサリー、ピアス、ネックレス、イヤリング、指輪、ブレスレット)、キーホルダー、バッグ、ポーチ、財布、雑貨全般」の記載、下部に「株式会社 Histoire」の記載があり、本号証の2葉目の上部に「契約書」の記載、文中に「ジャス・インターナショナル株式会社(以下甲という)と株式会社 Histoire(以下乙という)は甲がハーベイ・ボール・ワールド・スマイル財団(以下丙という)から取得した権利を日本国内において乙に対し再使用許諾することにつき、以下の通り契約する。」の記載、「第1条 I.」の項目に「甲が提供する権利とは登録著作権、登録意匠権、登録商標権、パブリシティの権利である。」の記載、「2)」の横に「許諾商品に付するSMILEY FACEの名称及びマーク・デザイン(以下本件商標という)の日本国内における使用権。」の記載があり、第2条の項目に、「第1条に基づく商品は下記のものとする。(以下許諾商品という)」の記載、「アクセサリー(ヘアアクセサリー、ピアス、ネックレス、イヤリング、指輪、プレスレット)、キーホルダー、バッグ、ポーチ、財布、雑貨全般。(非独占)」の記載があり、本号証の3葉目に「令和3年3月25日」の記載、その下の「甲」の項目に「ジャス・インターナショナル株式会社」の記載及び「乙」の項目に「株式会社 Histoire」の記載がある。
また、乙第3号証の4葉目の商品「キラキラスマイルアメリカンチェーンピアス」の記載の左側に、別掲11のとおりの標章(以下「使用標章5」という。)が掲載され、本号証の6葉目の商品「くり抜きスマイルネックレス」の記載の左側には、別掲12のとおりの標章(以下「使用標章6」という。)が掲載されており、本号証の8葉目の左側、商品「スマイルマスクピアス[ゴールド]」の記載の上には、別掲13のとおりの標章(以下「使用標章7」という。)が掲載されている。
なお、Histoire社と契約したジャス社は、本件商標権者ではないが、被請求人の主張によれば、本件商標権者と代表者が同一であることから、本件商標権者が本件商標の使用を許諾した通常使用権者といい得るが、乙第3号証によると、ジャス社は、本件商標を使用していないことは明らかであり、また、本件商標権者が、Histoire社との間で、本件商標の使用を許諾していることは確認できない。
(4)乙第4号証について
乙第4号証は、ジャス社とDays社との間で締結された契約書等の資料であり、本号証の1葉目の中段に「契約企業」の記載、その下に、「Days」の記載、「Other Name」の欄に「SMILEY FACE」の記載、「Content」の欄に「バッグ、鞄、ポーチ、等の鞄類、及びアクセサリー全般」の記載、下部に「株式会社 Days」の記載があり、本号証の2葉目の上部に「契約書」の記載、文中に「ジャス・インターナショナル株式会社(以下甲という)と株式会社 Days(以下乙という)は甲がハーベイ・ボール・ワールド・スマイル財団(以下丙という)から取得した権利を日本国内において乙に対し再使用許諾することにつき、以下の通り契約する。」の記載、「第1条 I.」の項目に「甲が提供する権利とは登録著作権、登録意匠権、登録商標権、パブリシティの権利である。」の記載、「2)」の横に「許諾商品に付するSMILEY FACEの名称及びマーク・デザイン(以下本件商標という)の日本国内における使用権。」の記載があり、第2条の項目に、「第1条に基づく商品は下記のものとする。(以下許諾商品という)」の記載、「バッグ、鞄、ポーチ等の鞄類、及びアクセサリー全般。(非独占)」の記載があり、本号証の3葉目に「令和3年3月11日」の記載、その下の「甲」の項目に「ジャス・インターナショナル株式会社」の記載及び「乙」の項目に「株式会社 Days」の記載がある。
また、乙第4号証の4葉目の「Medley/プチスマイルピアス」の記載の左側に、別掲14のとおりの標章(以下「使用標章8」という。)が掲載されている。
さらに、乙第4号証の7葉目は、「BEAMS」が取引先である(有)レインボーワークスに発行した書類であるが、「BEAMS」、(有)レインボーワークス及びDays社の関係が明らかではない。
なお、Days社と契約したジャス社は、本件商標権者ではないが、被請求人の主張によれば、本件商標権者と代表者が同一であることから、本件商標権者が本件商標の使用を許諾した通常使用権者といい得るが、乙第4号証によると、ジャス社は、本件商標を使用していないことは明らかであり、また、本件商標権者が、Days社との間で、本件商標の使用を許諾していることは確認できない。
(5)乙第5号証について
乙第5号証は、被請求人がライセンス契約を行って商品を販売していた例を示す広告写真であると主張するものであり、本号証の1葉目の商品「ピアス」に別掲15のとおりの標章(以下「使用標章9」という。)、本号証の2葉目の商品「ネックレス」に別掲16のとおりの標章(以下「使用標章10」という。)が使用されている。
しかしながら、乙第5号証は、いつ提供された情報であるのかは不明であり、また、掲載された商品「ピアス」及び商品「ネックレス」が、本件商標権者、ジャス社、ループ社、満田工業社、Histoire社及びDays社の取扱いに係る商品であることを確認できない。
(6)乙第6号証ないし乙第26号証について
乙第6号証は、「繊研新聞社」の社員がジャス社宛てに発した、「出稿一覧表」を示した部分を含むメール文面であり、乙第7号証は、「繊研新聞」の切り抜きであり、乙第8号証は、「SMILEY NEWS」と称する冊子であり、乙第9号証は、「World SMILE Day」と称する冊子であり、乙第10号証は、「繊研新聞」の切り抜きであり、乙第11号証は、「マサチューセッツ州「ウスター市」市制150周年記念式典」についての資料であり、乙第12号証は、「読売新聞」の切り抜きであり、乙第13号証は、「産経新聞」他の各新聞の切り抜きであり、乙第14号証は、「名誉スマイル大使」のリストである。
また、乙第15号証は、「名誉スマイル大使」のリストやいわゆるスマイルマークに関連する記載がある各種の資料であり、乙第16号証は、「THE SUN CHRONICLE」他の各新聞の切り抜きであり、乙第17号証は、「People WEEKLY」と称する雑誌であり、乙第18号証は、「株式会社帝国データバンク」のウェブサイトにおける「倒産・動向速報記事」のページであり、乙第19号証は、ブルーリボン社(請求人)に関する資料である。
さらに、乙第20号証は、「日本経済新聞」の切り抜きであり、乙第21号証は、「日本経済新聞社」が「岩出綜合法律事務所」に宛てたファクシミリであり、乙第22号証は、「スマイリーライセンシー一覧」を示した資料であり、乙第23号証は、「朝日新聞」の切り抜きであり、いわゆるスマイルマークに関連する記載があり、乙第24号証は、東京高裁平成11年(ネ)第5027号事件の判決文であり、乙第25号証は、「朝日新聞」他の各新聞の切り抜きであり、乙第26号証は、商願2020-125233号の審査書類である。
なお、乙第6号証ないし乙第26号証は、本件商標を本件審判請求に係る指定商品に使用したことを証明する証拠とは認められない。
3 判断
(1)使用者について
被請求人の提出した全証拠を確認するも、本件商標権者が、本件商標を本件審判請求に係る指定商品に使用していることは認められない。
ジャス社は、本件商標権者から、本件商標の使用を許諾された通常使用権者であると推認できるが、被請求人の提出した全証拠を確認するも、ジャス社が、本件商標を本件審判請求に係る指定商品に使用していることは認められない。
そして、ループ社、満田工業社、Histoire社及びDays社は、本件商標権者との間で本件商標の使用の許諾の契約を締結しているものではない。
また、契約書(乙1~乙4)によると、ループ社、満田工業社、Histoire社及びDays社の各社は、通常使用権者であるジャス社との間で、ジャス社が所有する商標権の使用契約を締結しているにすぎず、本件商標の使用について、本件商標権者との間で、本件商標の使用許諾の契約を結んでいない。
そうすると、本件商標は、本件商標権者、ジャス社、ループ社、満田工業社、Histoire社及びDays社のいずれもが使用していることが認められない。
(2)本件商標と使用標章1ないし使用標章10の社会通念上の同一性について
上記(1)のとおり、本件商標は、本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者により、使用されているとは認められないが、ループ社、満田工業社、Histoire社及びDays社が、本件商標をネックレスやピアス等のアクセサリーに使用したと仮定した場合、これらの社が取り扱う商品には、使用標章1ないし使用標章10(以下、これらをまとめて「使用標章」という。)が付されたことが確認できる。
そこで、本件商標と使用標章について比較すると、本件商標は、別掲1のとおり、いわゆるスマイルマークと称される図形とその下部の弧線に沿って「SMILEY FACE」の欧文字を書してなるものであり、一方、引用標章は、スマイルマークと称される図形のみからなるものであるから、これらは、外観において、「SMILEY FACE」の欧文字の有無の明らかな相違があり、また、本件商標は、「SMILEY FACE」の欧文字より、「スマイリーファイス」の称呼が生じるのに対し、引用標章は、特定の称呼は生じないため、これらは称呼において相紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と使用標章は、社会通念上同一の商標及び標章とは認められない。
(3)使用商品、使用時期及び使用行為について
ループ社、満田工業社、Histoire社及びDays社が、使用標章を使用する商品「ペンダント」、「ピアス」、「ネックレス」等のアクセサリーは、本件審判請求に係る指定商品である「身飾品」の範ちゅうに属する商品である。
本件商標は、本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、これを商標として使用した事実は確認できないため、要証期間に使用したとも認められず、商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用行為を行ったとは認められない。
(4)小括
以上(1)ないし(3)のとおり、本件商標は、本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、これを商標として使用した事実が確認できないため、要証期間に使用したとも認められず、商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用行為を行ったとは認められない。
また、ループ社、満田工業社、Histoire社及びDays社が、本件商標をネックレスやピアス等のアクセサリーに使用したと仮定した場合、これらの社が取り扱う商品は、本件審判請求に係る指定商品「身飾品」の範ちゅうの商品であるとしても、これらの商品に使用された使用標章は、本件商標と社会通念上同一のものとは認められない。
その他、被請求人の提出した証拠を参照しても、本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者が、要証期間に、日本国内において、本件商標(社会通念上同一と認められるものを含む。)を本件審判請求に係る指定商品について使用したことを認めるに足る証拠は見いだせない。
4 被請求人の主張について
(1)被請求人は、本件商標権者は、ループ社、満田工業社、Histoire社及びDays社とライセンス契約を行い、本件商標の使用を行わせた旨主張する。
しかしながら、被請求人が、本件商標権者とループ社、満田工業社、Histoire社及びDays社との契約であるとする契約書は、本件商標権者と各社間の契約ではなく、ジャス社と各社間で締結したものであり、ジャス社の所有する登録商標の使用について契約したものである。
また、本件商標権者とループ社、満田工業社、Histoire社及びDays社との間で、本件商標権者が所有する登録商標について、使用を許諾した事実は確認できない。
そうすると、被請求人は、本件商標権者がループ社、満田工業社、Histoire社及びDays社とライセンス契約を行い、本件商標の使用を行わせたことを証明していない。
(2)その他、被請求人の主張はいずれも採用できない。
なお、請求人、被請求人双方ともお互いの主張について論難するが、本件取消審判事件に直接関係しない主張及びその反論部分については、当合議体としては判断しない。
5 むすび
以上のとおり、被請求人が提出した全証拠によっては、被請求人は、要証期間に、日本国内において、本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標又は本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、本件審判請求に係る指定商品のいずれかについて、商標法第2条第3号各号に規定する使用行為を行ったことを証明していない。
また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、本件商標の指定商品中の本件審判請求に係る指定商品について、登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-300050