2022-021238
電子機器
- 審判番号
- 2022-021238
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-115669外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年12月27日
- 審決日
- 2023年07月24日
- 公報発行日
- 2023年08月25日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社デンソーテン
- 【請求人代理人】弁理士法人酒井国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-WY (H05K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 15項目
第1 手続の経緯
本願は、令和3年7月13日の出願であって、その手続の経緯は、概略以下のとおりである。
令和4年 6月28日付け 拒絶理由通知
令和4年 9月 5日 意見書・手続補正書 提出
令和4年 9月22日付け 拒絶査定
令和4年12月27日 審判請求書・手続補正書 提出
第2 原査定の概要
原査定(令和4年9月22日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
(進歩性)この出願の請求項1ないし5に係る発明は、下記の引用文献1に記載された発明および引用文献2ないし4に記載された周知技術に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.実願昭63-3825号(実開平01-108985号)の
マイクロフィルム
2.特開2011-185376号公報
3.特開2006-292171号公報
4.実願昭61-137296号(実開昭63-044626号)の
マイクロフィルム
第3 本願発明
本願の請求項1ないし4に係る発明(以下、「本願発明1」ないし「本願発明4」という。)は、令和4年12月27日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし請求項4に記載された事項により特定される、以下のとおりの発明である。
「【請求項1】筐体の内部に配索される複数の配線のうち、第1の配線と第2の配線とをカシメ固定して保持するカシメ部と、前記第1の配線と、前記第2の配線とは異なる第3の配線とを、前記カシメ部のカシメ固定とは異なる結束固定により保持する結束部と、前記筐体の内部に設けられ、前記第1の配線と前記第2の配線との間であって、前記カシメ部および前記結束部に対して、前記第1の配線および前記第2の配線に対する引っ張り方向側に配置され、前記カシメ部が係止される第1リブ部と、続きを表示(全18行)前記第3の配線に沿う位置に形成され、前記第3の配線をガイドする第2リブ部とを備えることを特徴とする電子機器。【請求項2】前記第1リブ部は、前記筐体の内部において前記第1の配線および前記第2の配線をガイドすることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。【請求項3】前記第2リブ部は、ガイドする前記第3の配線と前記筐体の内部に配置された締結部材との接触を回避する位置に設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。【請求項4】前記カシメ部は、前記第1リブ部と前記結束部との間に配置されることを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の電子機器。」
第4 引用文献
1 引用文献1および引用発明
(1)引用文献1の記載事項
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原査定の拒絶理由に引用された引用文献1(実願昭63-3825号(実開平01-108985号)のマイクロフィルム)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審が付加した。以下同様。)。
ア (明細書1頁下から3行~4頁14行)
「〔産業上の利用分野〕本考案は電気機器を収納するケースから接続コードを引き出す装置に関するものである。〔従来の技術及び考案が解決しようとする課題〕電気機器をケース内に収納固定するに際して、電気機器には予め複数の接続コードが接続されていること、この接続コードの端部にはコードより大なる接続端子が取り付けられていること、複数の接続コードは一束にしてケースに保持されること等が条件として与えられている場合には、まず機器本体をケース内に収納してから、コード束の先端をケースに設けた比較的大径な開口部より取り出し、コード束取出しの後は、開口部とコード束との隙間を閉鎖するという作業手順を採ることになる。特に自動車の計器類では上記の条件のあることが多く、オートバイのように計器が雨風に直接さらされる位置に取り付けられざるを得ない場合は、上記開口部とコード束との隙間を十分に被覆して、計器内への水滴の進入を阻止する必要がある。(中略)しかし乍ら、上記コード引き出し装置にあっては、コード束の揺動はピン6との単なる当接によってのみ阻止される構造のため揺動阻止能力は十分ではなく、コード端子の接続作業中、あるいはケース外に引き出されたコードが不意に引かれた際など、コード束がキャップを押圧してキャップを脱落させてしまうことがあった。本考案は上記の点に鑑みてなされたもので、コード束の揺動を阻止し、キャップ外れのないコード引き出し装置の提供を目的としている。〔課題を解決するための手段〕上記目的を達成するため、本考案はコード束保持孔近傍のケース内壁に一対のピンを立設し、このピンの間にコードを束ねたチューブの両端間を嵌合させ、コード束をケース内壁に沿って保持するようにした構成を特徴としている。」
イ 図1
[図:0001400368000001.jpg]
ウ (明細書4頁15行~5頁2行)
「〔実施例〕第1図は本考案実施例のケース内壁部を示しており、ケース4には略円形の作業孔5aと2又状に分岐したコード保持孔5cとが連通した開口部5が設けられている。コード保持孔5cの分岐部5dと分岐部5dから作業孔5aとは反対側に幾分離間した位置には一対のピン6が立設しており、両ピン6の間隔はlである。」
エ 図2
[図:0001400368000002.jpg]
オ (明細書5頁3~10行)
「 第2図はチューブ2により束ねられたコード束1を示しており、4本の接続コード1a~1dは2本ずつチューブ2の両側に片寄せられて位置され、接続コード1b及び1c間に間隙1eが形成されている。チューブ2と各接続コード1a~1dは溶着部2aにより熱溶着されて互いに位置決めされている。チューブ2の幅Lは前記ピン6の間隔lより幾分大きく形成されている。」
カ 図3
[図:0001400368000003.jpg]
キ (明細書5頁11行~6頁5行)
「 第3図は第2図のコード束1を第1図のケースに固定した状態を示しており、接続コード1a~1dはチューブ2により一束に束ねられ、チューブ2の両端間が上記間隙1eの部分で一対のピン6の間に圧入嵌着し、2本の接続コード1a、1b及び1c、1dは各々分岐された保持孔5cに分離されて保持されている。従って図からわかるように、接続コード1a~1dはケース4内ではケース内壁に沿って保持され保持孔5cにて屈曲されてケース外へ引き出されることになる。尚、コード束1が円形の作業孔5aにまず挿入され、その後保持孔5c側へずらして保持状態とする引き出し作業工程は従来装置と同様であり、また図示はしていないが、作業孔5aにはキャップ7が嵌着されることはもちろんである。」
ク (明細書6頁14~19行)
「〔効 果〕本考案は以上の如くであり、接続コードを束ねるチューブの両端間をケースに設けた一対のピンの間に嵌着するものであるから、保持寸法は簡単でしかも確実であり、コード束の揺動によるキャップの脱落を防止することができる。」
(2)引用発明
上記(1)の、特に下線を付加した記載に着目すると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「電気機器であって、ケース内壁部において、一対のピン6が立設しており、4本の接続コード1a~1dは2本ずつチューブ2の両側に片寄せられて位置され、接続コード1b及び1c間に間隙1eが形成されており、チューブ2と各接続コード1a~1dは溶着部2aにより熱溶着されており、コード束1をケースに固定した状態において、接続コード1a~1dはチューブ2により一束に束ねられ、チューブ2の両端間が一対のピン6の間に圧入嵌着されており、接続コード1a~1dはケース4内ではケース内壁に沿って保持され保持孔5cにて屈曲されてケース外へ引き出され、接続コードを束ねるチューブの両端間をケースに設けた一対のピンの間に嵌着するものであるから、保持寸法は簡単でしかも確実であり、コード束の揺動によるキャップの脱落を防止することができる電気機器。」
2 引用文献2ないし4
(1)引用文献2
原査定の拒絶理由において、引用された引用文献2(特開2011-185376号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「【技術分野】【0001】本発明は、可撓管の結束部材に関する。特に複数の可撓管を所定の間隔で平行に整列させて敷設する際に用いる可撓管結束部材に関する。」
イ 図4
[図:0001400368000004.jpg]
ウ 「【0032】結束部材2は、2本の可撓管1、1を結束するものであるが、本実施形態のように、複数の結束部材2、2を管1、1が並べられる方向に並べて設け、管が並ぶ方向において互いに隣接する別の結束部材(例えば2aと2b)に少なくとも1本の可撓管(例えば1a)が共有されるように結束して、可撓管1、1の全体を順次結束した結束構造とすれば、図4の左側部分に示すように、5本の可撓管1、1を4個の結束部材2、2によって一体の平板状に整列・結束できる。」
(2)引用文献3
原査定の拒絶理由において、引用された引用文献3(特開2006-292171号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「【技術分野】【0001】この発明は、結合体において軸方向に互いに移動できる少なくとも二本の平行な柔軟な導管から成る導管結合体に関する。」
イ 図7
[図:0001400368000005.jpg]
ウ 「【0016】図6に図示された合成樹脂部材9により導管結合体が多数の互いに並んで位置する導管1、1’から形成されている。そのような配列は図7に図示されている。固定的結合体Fと緩い結合体Lが導管1上で導管長手方向に交換するようなその表示を採用する。」
(3)引用文献4
原査定の拒絶理由において、引用された引用文献4(実願昭61-137296号(実開昭63-044626号)のマイクロフィルム)には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア (明細書1頁12~14行)
「(産業上の利用分野)本考案は合成樹脂製可撓性電線管の離隔金具に係るものである。」
イ 図6
[図:0001400368000006.jpg]
第5 対比・判断
1 本願発明1
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことが認められる。
ア 引用発明の「ケース」、「内壁部」、「接続コード1a~1d」、「電気機器」は、それぞれ、本願発明1の「筐体」、「内部」、「複数の配線」、「電子機器」に相当するといえる。
イ 引用発明の「接続コード1a~1d」は、「ケース4内ではケース内壁に沿って保持され」ているから、本願発明1の「複数の配線」と同様に、「筐体の内部に配索され」ているとされている。
ウ 引用発明の「接続コード1a~1d」のうち、「2本ずつチューブ2の両側に片寄せられて位置され、接続コード1b及び1c間に間隙1eが形成されており、チューブ2と各接続コード1a~1dは溶着部2aにより熱溶着されて」おり、引用発明の「接続コード1b」、「接続コード1c」、「接続コード1a」が、それぞれ、本願発明1の「第1の配線」、「第2の配線」、「第3の配線」に対応するから、本願発明1の「複数の配線」と同様に、「第1の配線と第2の配線とを」「固定して保持する」部材を備えており、また、「前記第1の配線と、前記第2の配線とは異なる第3の配線とを、」「固定により保持」しているといえる。
しかし、本願発明1では、第1の配線と第2の配線とを「カシメ固定」しているのに対して、引用発明では、熱溶着して固定している点で相違している。
また、本願発明1では、「前記第1の配線と、前記第2の配線とは異なる第3の配線とを、前記カシメ部のカシメ固定とは異なる結束固定により保持する結束部」を備えているのに対して、引用発明では、前記第1の配線(接続コード1b)と、前記第2の配線(接続コード1c)とは異なる第3の配線(接続コード1a)を熱溶着して固定している点で相違している。
エ 引用発明において、「チューブ2の両端間が一対のピン6の間に圧入嵌着されて」おり、「一対のピン6」の内、「保持孔5c」の間に位置する「ピン6」は、第1の配線と第2の配線とを固定して保持する部材である「チューブ2」を係止しているといえるから、引用発明の「一対のピン6」の内、「保持孔5c」の間に位置する「ピン6」は、本願発明1の「第1リブ部」と同様に、前記筐体の内部に設けられ、前記第1の配線と前記第2の配線との間に、第1の配線と第2の配線とを固定して保持する部材が係止されているといえる。
しかし、本願発明1では、第1の配線と第2の配線とを固定して保持する部材を係止する部材が、前記カシメ部および前記結束部に対して、前記第1の配線および前記第2の配線に対する引っ張り方向側に配置された第1リブ部であるのに対して、引用発明では、このように配置されておらず、ピンである点で相違している。
また、本願発明1では、さらに、前記第3の配線に沿う位置に形成され、前記第3の配線をガイドする第2リブ部を備えているのに対して、引用発明では、このような構成を備えていない点で相違している。
(2)一致点・相違点
本願発明1と、引用発明とは、以下アの点で一致し、以下イの点で相違する。
ア 一致点
「筐体の内部に配索される複数の配線のうち、第1の配線と第2の配線とを固定して保持する部材と、前記第1の配線と、前記第2の配線とは異なる第3の配線とを、固定により保持しており、前記筐体の内部に設けられ、前記第1の配線と前記第2の配線との間に、前記保持する部材が係止される部材と、を備える電子機器。」
イ 相違点
(ア)<相違点1>
本願発明1では、第1の配線と第2の配線とを「カシメ固定」しているのに対して、引用発明では、熱溶着して固定している点。
(イ)<相違点2>
本願発明1では、「前記第1の配線と、前記第2の配線とは異なる第3の配線とを、前記カシメ部のカシメ固定とは異なる結束固定により保持する結束部」を備えているのに対して、引用発明では、第1の配線と、第2の配線とは異なる第3の配線を熱溶着して固定している点。
(ウ)<相違点3>
本願発明1では、第1の配線と第2の配線とを固定して保持する部材を係止する部材が、前記カシメ部および前記結束部に対して、前記第1の配線および前記第2の配線に対する引っ張り方向側に配置された第1リブ部であるのに対して、引用発明では、このように配置されておらず、ピンである点。
(エ)<相違点4>
本願発明1では、さらに、前記第3の配線に沿う位置に形成され、前記第3の配線をガイドする第2リブ部を備えているのに対して、引用発明では、このような構成を備えていない点。
(3)相違点についての判断
事案に鑑みて、まず、<相違点3>について検討する。
本願発明1の<相違点3>に係る、「第1リブ部」が、「前記カシメ部および前記結束部に対して、前記第1の配線および前記第2の配線に対する引っ張り方向側に配置され」ている構成について、引用文献1ないし4には、記載も示唆も無く、当該構成が周知であったとも認められない。
したがって、引用発明および引用文献2ないし4の記載事項に基づいて、当業者は本願発明1の<相違点3>に係る構成を容易に想到することができない。
エ 小括
したがって、本願発明1は、その他の相違点について検討するまでもなく、引用発明および引用文献2ないし4の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。
2 本願発明2ないし4
本願発明2ないし4は、いずれも、本願発明1を減縮したものであって、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、上記1で述べた本願発明1と同じ理由により、引用発明および引用文献2ないし4の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。
第6 原査定について
上記第5の1(3)、2で述べたように、本願発明1ないし4はいずれも、引用発明、および、引用文献2ないし4の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえないから、原査定の拒絶の理由(進歩性)は、解消している。
よって、原査定の理由は、維持することはできない。
第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-021238