2022-020979
プリント回路基板及びその製造方法
- 審判番号
- 2022-020979
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-077500外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年12月23日
- 審決日
- 2023年12月15日
- 公報発行日
- 2024年01月26日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
- 【請求人代理人】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-WY (H05K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 15項目
第1 手続の経緯
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本願は、平成30年4月13日(パリ条約による優先権主張2017年11月9日、韓国)の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
第2 原査定の概要
原査定(令和4年10月11日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
理由1 本願請求項1-3、5-8に係る発明は、以下の引用文献Aに記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
理由2 本願請求項1-3、5-8に係る発明は、以下の引用文献Aに記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。また、本願請求項4に係る発明は、以下の引用文献A、Bに記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
A.特開2007-266196号公報
B.特開2007-226158号公報(周知技術を示す文献)
第3 当審拒絶理由の概要
当審が令和5年11月6日付けで通知した拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)の概要は次のとおりである。
本願請求項1-4に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。また、本願請求項5、7、8に係る発明は、以下の引用文献1、2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.特開2007-266196号公報(拒絶査定時の引用文献A)
2.特開2007-226158号公報(周知技術を示す文献、拒絶査定時の引用文献B)
第4 本願発明
本願請求項1-12に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明12」という。)は、令和5年11月10日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1-12に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1-12は以下のとおりである。
「 【請求項1】第1絶縁層と、前記第1絶縁層に埋め込まれて形成され、前記第1絶縁層の上面において上面が露出し、側面が前記第1絶縁層によってカバーされる回路パターンと、前記第1絶縁層の一面に積層され、前記回路パターンを露出させる、貫通されたキャビティ領域が形成された第2絶縁層と、続きを表示(全44行)前記第2絶縁層上に形成され、前記キャビティ領域が形成された第3絶縁層と、一方側が前記第1絶縁層と前記第2絶縁層との間に介在され、他方側が前記キャビティ領域の底面から突出し、前記キャビティ領域の境界に沿って形成される絶縁体パターンと、を含み、前記絶縁体パターンはフレーム状に前記第1絶縁層上に形成され、フレーム状の前記絶縁体パターンの内側から、前記キャビティ領域の底となる前記第1絶縁層の前記一面、および、埋め込まれた前記回路パターンが露出し、前記第2絶縁層および前記第3絶縁層の前記キャビティ領域側の側面は傾いて形成されており、これにより、前記キャビティ領域は、前記第1絶縁層に近くなるほど狭くなる構造を有する、プリント回路基板。【請求項2】前記絶縁体パターンで取り囲まれた領域に、前記第1絶縁層の一部及び前記回路パターンが露出する請求項1に記載のプリント回路基板。【請求項3】前記絶縁体パターンは、前記第2絶縁層とは異なる材質で形成された請求項1または2に記載のプリント回路基板。【請求項4】前記絶縁体パターンは、前記第2絶縁層よりも耐磨耗性または靭性(toughness)の高い材質で形成された請求項3に記載のプリント回路基板。【請求項5】前記絶縁体パターンは、感光性樹脂で形成された請求項3に記載のプリント回路基板。【請求項6】前記第2絶縁層及び前記第3絶縁層を貫通して形成され、前記回路パターンに接続する導電性ポストをさらに含む請求項1から5のいずれか一項に記載のプリント回路基板。【請求項7】前記絶縁体パターンは、前記回路パターンの少なくとも一部を覆う請求項1から6のいずれか一項に記載のプリント回路基板。【請求項8】第1絶縁層の一面に回路パターンを形成する段階と、前記第1絶縁層上に、キャビティ領域の境界を設定し、前記境界に沿って絶縁体パターンを形成する段階と、前記キャビティ領域を覆う保護層を形成する段階と、前記第1絶縁層の一面に第2絶縁層を形成する段階と、前記絶縁体パターンに沿って前記第2絶縁層を除去し、前記キャビティ領域を形成する段階と、前記保護層を除去して前記回路パターンを露出させる段階と、を含むプリント回路基板の製造方法。【請求項9】前記絶縁体パターンを形成する段階では、前記絶縁体パターンが前記キャビティ領域の境界上に配置される請求項8に記載のプリント回路基板の製造方法。【請求項10】前記絶縁体パターンを形成する段階は、前記キャビティ領域の境界上に、感光性樹脂を選択的に塗布して硬化する段階を含む請求項9に記載のプリント回路基板の製造方法。【請求項11】前記キャビティ領域を形成する段階は、サンドブラスト(Sand blast)加工により前記第2絶縁層を選択的に除去する段階を含む請求項8から10のいずれか一項に記載のプリント回路基板の製造方法。【請求項12】前記サンドブラスト加工段階は、前記第2絶縁層において加工しない領域を選択的にカバーする加工防止層を形成する段階をさらに含む請求項11に記載のプリント回路基板の製造方法。」
第5 引用文献、引用発明
1 引用文献1、引用発明
(1)引用文献1
当審拒絶理由に引用された引用文献1(引用文献A)には、図面とともに以下の記載がある(下線は当審で付した。以下同じ。)。
ア 「【0020】図1及び図2に示すように、この多層プリント配線板100は、その内部にICチップやセンサなどの所望の電子部品を実装するための開口部を有するキャビティ1を備えている。このキャビティ1は、その内部に所望の電子部品を所望の向きで載置し埋め込める大きさ及び深さとされている。キャビティ1の底面には、キャビティ内部に載置される電子部品を電気的に接続するための実装用端子2が露出している。キャビティ1の底面の実装用端子2が露出しない部分は、ソルダーレジスト等の保護膜8で被覆されている。」
【0021】
図1及び図2に示すように、この多層プリント配線板100は、導体パターンが形成された例えば6層の配線層を有している。各配線層12、22、32は、それぞれ層間接続導体13、23、33により導通されている。多層プリント配線板100の最外層は、配線層12を構成する導体パターンの一部が後に種々の電子部品などを実装するための実装用端子3として露出され、その他の部分は、ソルダーレジスト等の保護膜8で被覆されている。
【0022】
なお、上記したキャビティ1底部に露出した実装用端子2や最外層に露出した実装用端子3などを含む導体パターンの構成は、任意であり、図示したものに限られないことはもちろんである。また、配線層は6層である必要はなく何層であってもよいが、小型化、高密度化の要請から3層以上とされる。」
イ 「【0026】フレキシブル配線板20の層間絶縁層21は、可撓性を有する柔軟な(フレキシブルな)絶縁層であり、例えば、液晶ポリマー、ポリイミド樹脂、ガラス布を基材としながら硬化後も柔軟性を有するプリプレグなどで構成される。【0027】上側プリント配線板であるリジッド配線板10及びリジッド配線板30と、下側プリント配線板であるフレキシブル配線板20とは、絶縁層7を介して積層され加熱加圧により一体化されている。フレキシブル配線板20のリジッド配線板10と接続する側の配線層22の一部である接続ランド5と、リジッド配線板10のフレキシブル配線板20と接続する側の配線層12の一部である接続ランド4との間は、層間接続導体6により導通されている。この層間接続導体6は、例えば、フレキシブル基板側の接続ランド5上に導電性ペーストをスクリーン印刷することにより形成された導体バンプを、その先端を絶縁層7となる未硬化のプリプレグに貫挿させ対向する接続ランド4に当接させて塑性変形して固化したものである。」
ウ 「【0030】ここで、図1のキャビティ1の周囲に点線で示すように、キャビティ1の底面を被覆している保護膜としてのソルダーレジスト8は、その一部をキャビティ1側壁下部に重なるように配設されている。このソルダーレジスト8は、キャビティ1底面を保護する保護膜としての役割を有するとともに、側壁部の傾斜を防止する絶縁性の支持膜でもある。【0031】図3~図8は、このキャビティ1側壁底部近傍の実施形態の複数の具体例を説明するための図である。図3~図8は、図1のB線で囲んだ領域を、キャビティ1側壁の垂直断面に沿って、キャビティ1外側を図面左側に、キャビティ1内側を図面右側にして、その断面を模式的に示している。【0032】図3~図8において、符号10は、リジッドな絶縁層11と導体パターンからなる配線層12とが交互に積層され導通されたリジッド配線板であり、キャビティ1及びその側壁を構成している上側プリント配線板でもある。符号20は、フレキシブルな絶縁層21と導体パターンからなる配線層22を具備したフレキシブル配線板であり、キャビティ1底部を構成している下側プリント配線板でもある。図3~図8において、キャビティ1側壁の導体パターンや層間接続部等の細部は図示を省略して模式的に示しており、実際には、導体パターンが側壁端面まで連続しているとは限らない。【0033】図3~図6に示すように、下側プリント配線板20のキャビティ1底面の側壁から1mmの近傍で、その一部を上側プリント配線板10の下側に介在させて、絶縁性の支持膜68を配設するとよい。そうすることで、図10に示すようなキャビティ1となる貫通穴14を設けた上側プリント配線板10と、下側プリント配線板20とをプリプレグ27を介して積層して加熱加圧した際に、図23に示すようなリジッド配線板10のキャビティ側壁近傍の下側に積層されたプリプレグ27が押しつぶされて、リジッド配線板10のキャビティ側壁近傍部分が傾斜してしまうのを防止することができる。【0034】絶縁性の支持膜68としては、ソルダーレジストを用いることができる。一般に、プリント配線板の最外層となる実装面には、部分的にソルダーレジスト等の保護膜8を配設する。本発明においては、下側プリント配線板となるフレキシブル配線板20の、キャビティ1側壁の下部となる位置の近傍に、リジッド配線板10の下側に重なる領域とキャビティ1底面として露出する領域とに跨るように、絶縁性の支持膜68としてのソルダーレジストを配設しておくとよい。そうすることで、製造工程を増やさずに絶縁性の支持膜68を配設することができ、キャビティ側壁近傍部分の傾斜を防止することもできるという効果が得られる。ソルダーレジスト8のかわりに、フレキシブル配線板20の製造工程において通常用いるフォトレジスト(図示せず)を用いてもよい。」
エ 「【0037】図6に示すように、絶縁性の支持膜68を、上側プリント配線板10の下側に介在させた部分よりもキャビティ1の内側の部分を高くさせて配設してもよい。そうすることで、上下のプリント配線板を積層一体化するために加熱加圧した際に、プリプレグ27の含浸樹脂がキャビティ1内側に浸出するのをより確実にせき止めることができ、側壁部の傾斜を防止できる。さらに、絶縁性の支持膜68のキャビティ内側のほうの端部と、その内側に配設するソルダーレジスト等の保護膜8との間には、間隙部(ソルダーレジストも導体パターンも設けず、下側プリント配線板20の絶縁層21が露出した部分、又は、導体パターンのみが形成されて絶縁性の支持膜68より低くなった部分)9を僅かに設けておくとよい。絶縁性の支持膜68のキャビティ1内側の部分を高くさせて配設するには、図6に示すように、絶縁性の支持膜68の下部にダミー導体パターン69を形成するとよい。すなわち、予め、フレキシブル配線板20の最外層に導体パターンを形成する際に、キャビティ底面の側壁近傍となる位置に、ダミー導体パターン69を設けておくとよい。そして、その上に、ソルダーレジストにより絶縁性の支持膜68を配設するとよい。そうすることで、製造工程を増やすことなく、キャビティ1側壁近傍の傾斜を防止することができると共にキャビティ1内側に浸出する樹脂量を抑えることができる。」
オ 【図1】「
[図:0001405562000001.jpg]
」
カ 【図2】「
[図:0001405562000002.jpg]
」
キ 【図6】「
[図:0001405562000003.jpg]
」
ク 【図11】「
[図:0001405562000004.jpg]
」
ケ 上記オ【図1】の記載、上記カ【図2】の記載、上記ア【0020】-【0021】の記載及び上記ウ【0032】の記載から、引用文献1には「絶縁層21を有し、絶縁層21の上面において実装用端子2が露出し、前記実装用端子2の真下に層間接続導体23が設けられ、前記層間接続導体23の側面が前記絶縁層21によってカバーされる」ことが記載されていると認められる。
コ 上記オ【図1】の記載、上記カ【図2】の記載、上記ア【0020】-【0021】の記載及び上記イ【0027】の記載から、引用文献1には、「絶縁層21の一面に絶縁層7が直接又は間接に積層され、前記絶縁層7は、真下に層間接続導体23が設けられた実装用端子2を露出させる、キャビティ1の側壁を構成する」ことが記載されていると認められる。
サ 上記オ【図1】の記載、上記カ【図2】の記載、上記イ【0027】の記載及び上記ウ【0030】、【0032】の記載から、引用文献1には「絶縁性の支持膜であるソルダーレジスト8は、一方側が絶縁層21と絶縁層7との間に介在される」ことが記載されていると認められる。
シ 上記オ【図1】の記載、上記カ【図2】、上記ア【0020】-【0021】の記載及び上記ウ【0030】の記載から、引用文献1には「絶縁性の支持膜であるソルダーレジスト8は絶縁層21上に配設され、絶縁性の支持膜であるソルダーレジスト8の内側から、真下に層間接続導体23が設けられた実装用端子2が露出する」ことが記載されていると認められる。
ス 上記イ【0027】の記載及び上記カ【図2】の記載から、引用文献1には「絶縁層7上に層間絶縁層11が直接又は間接に形成され、キャビティ1の側壁を構成する」ことが記載されていると認められる。
(2)引用発明
上記(1)から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「絶縁層21を有し、絶縁層21の上面において実装用端子2が露出し、前記実装用端子2の真下に層間接続導体23が設けられ、前記層間接続導体23の側面が前記絶縁層21によってカバーされ、絶縁層21の一面に絶縁層7が直接又は間接に積層され、前記絶縁層7は、真下に層間接続導体23が設けられた実装用端子2を露出させる、キャビティ1の側壁を構成し、絶縁層7上に層間絶縁層11が直接又は間接に形成され、キャビティ1の側壁を構成し、絶縁性の支持膜であるソルダーレジスト8は、一方側が絶縁層21と絶縁層7との間に介在され、絶縁性の支持膜であるソルダーレジスト8は絶縁層21上に配設され、絶縁性の支持膜であるソルダーレジスト8の内側から、真下に層間接続導体23が設けられた実装用端子2が露出する、多層プリント配線板100。」
2 引用文献2
当審拒絶理由に引用された引用文献2(引用文献B)には、以下の記載がある。
ア 「【背景技術】【0002】一般的に、ドライフィルムレジスト(以下、DFRと言うこともある)とは、支持体フィルム上に少なくとも感光性樹脂層、次いで保護層を積層してなるものである。従来、DFRを用いた基材のパターン形成方法を述べる。まず、銅張積層板やリードフレーム用の金属板などの表面が金属に覆われた基材上にDFRから保護層をはがしながら感光性樹脂層及び支持体フィルムをラミネートする。次いで、支持体フィルム側から、所望の配線パターンに対応した露光を行い、必要な部分の感光性樹脂層を光硬化させる。次に現像により、未露光部分の感光性樹脂層を除去して、硬化レジストパターン付着基材を得る。この後、エッチングやサンドブラストによりレジストパターンに覆われていない基材部分を除去したり、またはめっきによりレジストパターンに覆われていない部分にめっき金属を析出させて、所望の配線パターンを有する基板を得る(特許文献1)。しかしながら、広義の感光性を有する基材(以下、単に基材ということがある。)、例えば、感光性ソルダーレジストを有する基材上に、感光性樹脂等でパターニングする場合に、基材表面に感光性樹脂を塗布またはラミネートしてからの露光では、基材が感光して、変色、劣化、分解、重合する問題があった。また、基材上のドライフィルムレジストとのラミネート面に有機層が存在する場合、ドライフィルムレジストの感光性樹脂層と有機層の親和性が高く、ラミネートしてから露光した場合、硬化した感光性樹脂層が基材上の有機層に強固に密着してしまうために、露光された感光性樹脂層を剥離するに際して接着層上に剥離残が残るといった問題があった。」
第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明の「絶縁層21」は、本願発明1の「第1絶縁層」に相当する。
イ 引用発明では、「絶縁層21の上面において実装用端子2が露出し、前記実装用端子2の真下に層間接続導体23が設けられ」るが、「実装用端子2」と「前記実装用端子の真下」の「層間接続導体23」とが互いに接続され、「回路パターン」を形成していることは明らかであるから、本願発明1と、引用発明とは、「第1絶縁層に埋め込まれて形成され、前記第1絶縁層の上面において上面が露出し、側面が前記第1絶縁層によってカバーされる回路パターン」を含む点で一致する。
ウ 引用発明の「絶縁層7」は、本願発明1の「第2絶縁層」に相当する。
エ 引用発明では、「前記絶縁層7は、」「キャビティ1の側壁を構成」するという記載になっているが、引用文献1の上記ウ【0033】に記載されるようにキャビティを貫通穴と考えれば、引用発明は、貫通されたキャビティ領域が形成された絶縁層7を有するといえるから、上記ア-ウを踏まえれば、本願発明1と、引用発明とは、「第1絶縁層の一面に積層され、前記回路パターンを露出させる、貫通されたキャビティ領域が形成された第2絶縁層」「を含」む点で一致する。
オ 引用発明の「層間絶縁層11」は、本願発明1の「第3絶縁層」に相当する。
カ 上記ウ-オを踏まえれば、引用発明は、キャビティ領域が形成された第3絶縁層を有するといえるから、本願発明1と、引用発明とは、「第2絶縁層上に形成され、キャビティ領域が形成された第3絶縁層」「を含」む点で一致する。
キ 引用発明の「絶縁性の支持膜であるソルダーレジスト8」は、本願発明1の「絶縁体パターン」に相当する。
ク 引用発明では、「絶縁性の支持膜であるソルダーレジスト8は、一方側が絶縁層21と絶縁層7との間に介在され」るから、上記ア、ウ及びオを踏まえれば、本願発明と、引用発明とは、「一方側が前記第1絶縁層と前記第2絶縁層との間に介在される絶縁体パターン」「を含」む点で一致する。
ケ 引用発明では、「絶縁性の支持膜であるソルダーレジスト8は絶縁層21上に配設され、絶縁性の支持膜であるソルダーレジスト8の内側から、真下に層間接続導体23が設けられた実装用端子2が露出する」から、上記ア及びイを踏まえれば、本願発明1と、引用発明とは、「絶縁体パターンは前記第1絶縁層上に形成され、前記絶縁体パターンの内側から、前記キャビティ領域の底となる埋め込まれた前記回路パターンが露出する」点で一致する。
コ 引用発明の「多層プリント配線板100」は、本願発明1の「プリント回路基板」に相当する。
したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「第1絶縁層と、前記第1絶縁層に埋め込まれて形成され、前記第1絶縁層の上面において上面が露出し、側面が前記第1絶縁層によってカバーされる回路パターンと、前記第1絶縁層の一面に積層され、前記回路パターンを露出させる、貫通されたキャビティ領域が形成された第2絶縁層と、前記第2絶縁層上に形成され、前記キャビティ領域が形成された第3絶縁層と、一方側が前記第1絶縁層と前記第2絶縁層との間に介在される絶縁体パターンと、を含み、前記絶縁体パターンは前記第1絶縁層上に形成され、前記絶縁体パターンの内側から、前記キャビティ領域の底となる埋め込まれた前記回路パターンが露出する、プリント回路基板。」
(相違点1)
本願発明1では、「絶縁体パターン」の「他方側」が「キャビティ領域の底面から突出し、前記キャビティ領域の境界に沿って形成される」のに対し、引用発明では、このような構成について特定されていない点。
(相違点2)
本願発明1では、「絶縁体パターン」が「フレーム状に」形成されるのに対し、引用発明では、このような構成について特定されていない点。
(相違点3)
本願発明1では、「絶縁体パターン」が、「前記絶縁体パターンの内側から、前記キャビティ領域の底となる第1絶縁層の一面」「が露出する」のに対し、引用発明では、このような構成について特定されていない点。
(相違点4)
本願発明では、「第2絶縁層および第3絶縁層」の「キャビティ領域側の側面は傾いて形成されており、これにより、前記キャビティ領域は、第1絶縁層に近くなるほど狭くなる構造を有する」のに対し、引用発明では、このような構成について特定されていない点。
(2)相違点についての判断
事案に鑑みて、上記相違点4について先に検討する。
第2絶縁層および第3絶縁層のキャビティ領域側の側面を傾くように形成し、前記キャビティ領域は、その底となる第1絶縁層に近くなるほど狭くなる構造を有するように構成することについて、引用文献2には、記載も示唆もなく、また、このように構成することが本願の優先日前において周知技術であったともいえない。
したがって、当業者といえども、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項から、上記相違点4係る本願発明1の構成を容易に想到することはできない。
よって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
2 本願発明2-7について
本願発明2―7は、本願発明1を減縮した発明である。したがって、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
3 本願発明8-12について
本願発明8-12は、原査定において拒絶の理由を発見しないとされており、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
第7 原査定についての判断
令和5年11月10日提出の手続補正書により、補正後の請求項1-7は、相違点4に係る本願発明1の構成を有するものとなった。当該構成は、原査定における引用文献A、Bには記載されておらず、本願の優先日前における周知技術でもないので、本願発明1-7は、当業者であっても、引用文献A、Bに記載された発明に基づいて容易に発明できたものではない。
第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-020979