2022-020818
フレキシブルプリント配線板
- 審判番号
- 2022-020818
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-560354外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年12月22日
- 審決日
- 2023年12月25日
- 公報発行日
- 2024年01月26日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】住友電工プリントサーキット株式会社
- 【請求人代理人】池田 義典
- 分類
- P18 .121-WY (H05K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 16項目
第1 手続の経緯
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本願は、2017年(平成29年)12月21日(優先権主張 平成29年1月5日)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
の補正の却下の決定、拒絶査定
第2 原査定の概要
原査定(令和4年10月12日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1-3に係る発明は、以下の引用文献1、または、引用文献2に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.特開2001-339126号公報
2.特開2002-158409号公報
第3 本願発明
本願請求項1-6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明6」という。)は、令和4年12月22日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1-6に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1-6は以下のとおりの発明である。
「 【請求項1】絶縁性を有するベースフィルムと、上記ベースフィルムの少なくとも一方の面側に積層されている配線を含む導電パターンで構成された回路とを備えるフレキシブルプリント配線板であって、上記回路における配線が、平面視で角度が60°以上の分岐部への応力集中を緩和する緩和構造を備え、上記緩和構造が、上記分岐部からの距離が上記配線の最小幅の5倍以下の範囲内の配線を幅広配線とした構造であり、続きを表示(全30行)上記幅広配線の配線幅が上記配線の最小幅の2倍以上であるフレキシブルプリント配線板。【請求項2】絶縁性を有するベースフィルムと、上記ベースフィルムの少なくとも一方の面側に積層されている配線を含む導電パターンで構成された回路とを備えるフレキシブルプリント配線板であって、上記回路における配線が、平面視で角度が60°以上の分岐部への応力集中を緩和する緩和構造を備え、上記緩和構造が、上記分岐部からの距離が上記配線の最小幅の5倍以下の範囲内の配線を密集配線とした構造であり、上記密集配線の配線幅の配線間隔に対する比が1.5以上であり、かつ上記密集配線の合計幅が上記配線の最小幅の2倍以上であるフレキシブルプリント配線板。【請求項3】絶縁性を有するベースフィルムと、上記ベースフィルムの少なくとも一方の面側に積層されている配線を含む導電パターンで構成された回路とを備えるフレキシブルプリント配線板であって、上記ベースフィルムの主成分がポリイミドであり、上記回路における配線が、平面視で角度が60°以上の屈曲部への応力集中を緩和する緩和構造を備え、上記緩和構造が、上記屈曲部からの距離が上記配線の最小幅の5倍以下の範囲内の配線を密集配線とした構造であり、上記密集配線の配線幅の配線間隔に対する比が2.0以上10以下であり、かつ上記密集配線の合計幅が上記配線の最小幅の2倍以上であり、上記屈曲部が、上記配線の中心線の曲率半径が配線全体における最小幅の5倍以下の部分であるフレキシブルプリント配線板。【請求項4】絶縁性を有するベースフィルムと、上記ベースフィルムの少なくとも一方の面側に積層されている配線を含む導電パターンで構成された回路とを備えるフレキシブルプリント配線板であって、上記ベースフィルムの主成分がポリイミドであり、上記回路における配線が、平面視で角度が60°以上の屈曲部への応力集中を緩和する緩和構造を備え、上記緩和構造が、上記屈曲部からの距離が上記配線の最小幅の5倍以下の範囲内の配線を幅広配線とした構造であり、上記幅広配線の配線幅が上記配線の最小幅の2.5倍以上であり、上記屈曲部が、上記配線の中心線の曲率半径が配線全体における最小幅の5倍以下の部分であり、上記幅広配線の端部の上記屈曲部からの距離が、上記配線の最小幅の50倍以下であり、上記導電パターンを形成する材料が銅であり、この導電パターンが表面にめっきを有するフレキシブルプリント配線板。【請求項5】上記幅広配線の上記配線幅が50μm以上である請求項1又は請求項4に記載のフレキシブルプリント配線板。【請求項6】上記密集配線の上記配線間隔が20μm以下である請求項2又は請求項3に記載のフレキシブルプリント配線板。」
第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1及び引用発明1
(1) 引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審で付した。以下同様。)。
「【図1】[図:0001405558000001.jpg]」
「【図2】[図:0001405558000002.jpg]」
「【0001】【発明の属する技術分野】この発明は、フレキシブルプリント基板(以下、「FPC」と略記)に関し、特に一部が折り曲げられて使用されるFPCに関する。【0002】【従来の技術】近年、FPCを自動車のワイヤーハーネスの代用として使用することがなされている。即ち、図3に示すように、例えば自動車のドア20には、これに沿ってFPC30が配設されている。ドア20に対して各補機の位置は決められているので、補機レイアウトの関係から、FPC30は、その一部を図中A,Bで示すように、折り曲げて使用されることがある。このような自動車に配設されるFPC30の場合、コスト上の問題等から、ベースフィルムはポリエステルフィルム(PET)が使用される。」
「【0005】【課題を解決するための手段】本発明に係るフレキシブルプリント基板は、ベース材と、このベース材の上に回路パターンを形成する導体層とを備え、前記ベース材と導体層の一部が折り曲げられて使用されるフレキシブルプリント基板において、折り曲げ線の交差する部分の前記回路パターンの幅を他の部分の前記回路パターンの幅よりも広く形成してなることを特徴とする。」
「【0008】【発明の実施の形態】以下、添付の図面に基づき、本発明の好ましい実施の形態について説明する。図1は、本発明の一実施例に係るFPC10の折り曲げ部を示す斜視図、図2は、同折り曲げ部を展開した平面図である。このFPC10は、ベース材1の上面に所定のパターンの導体層2を形成し、更にその上をカバーレイ3で被覆してなる。ベース材1はPETからなり、導体層2は電解銅箔、圧延銅箔等からなる。また、カバーレイ3としては、UV硬化樹脂、カバーレイフィルム等を使用することができる。【0009】このFPC10は、図2に示す折り曲げ線Lでほぼ180°折り返される。折り曲げ線Lが交差する部分の回路パターンの幅W1は、他の部分の回路パターンの幅W2よりも広くなっている。このため、この実施例によれば、折り曲げ線Lの部分が構造的に他の部分よりも頑丈に形成されていることに加え、導体層2に万が一亀裂が発生した場合でも、回路の幅が広いことから、断線に至る事態を抑えることができる。これにより、作業者が折り曲げる方向を誤って、何度も折り直しをするような不測の事態が起きた場合の断線防止にも効果がある。【0010】なお、回路パターンの幅W1は、広ければ広いほど断線に対する信頼性が高くなるが、折り曲げ作業の効率を考慮した場合、広すぎるのも問題である。そこで、幅W1は、好ましくは幅W2の1.5~2倍程度の範囲とする。これにより、折り曲げ作業性をあまり低下させずに、信頼性を向上させることができる。」
(2) 引用発明1
したがって、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「ポリエステルフィルムからなるベース材と、このベース材の上に回路パターンを形成する導体層とを備え、前記ベース材と導体層の一部が折り曲げられて使用されるフレキシブルプリント基板において、折り曲げ線の交差する部分の前記回路パターンの幅を他の部分の前記回路パターンの幅よりも広く形成してなることを特徴とし、前記導体層は電解銅箔、圧延銅箔等からなり、前記折り曲げ線が交差する部分の前記回路パターンの幅W1は、他の部分の回路パターンの幅W2よりも広くなっていて、前記幅W1は、前記幅W2の1.5~2倍程度の範囲とする、フレキシブルプリント基板。」
2 引用文献2及び引用発明2
(1) 引用文献2
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【図1】[図:0001405558000003.jpg]」
「【図2】[図:0001405558000004.jpg]」
「【0009】【発明が解決しようとする課題】従来のプリント配線基板は、配線パターン24の曲がり部24aと配線部24bとが細幅の同じパターン幅で形成されているため、配線パターン24の印刷形成時、曲がり部24aにおいて、かすれ部29等によって断線を生じるという問題がある。【0010】そこで、本発明は、配線パターンの曲がり部における断線少なく、信頼性の高いプリント配線基板を提供することを目的とする。」
「【0013】
【発明の実施の形態】本発明のプリント配線基板の図面を説明すると、図1は本発明のプリント配線基板の全体の平面図、図2は本発明のプリント配線基板の要部の拡大平面図、図3は本発明のプリント配線基板に係り、その製造方法を示す説明図である。
【0014】本発明のプリント配線基板の構成を図1,図2に基づいて説明すると、フレキシブルな基板等からなる絶縁基板1は、固定接点(図示せず)等が設けられた矩形状の基部2と、全体が略く字状に形成された引出部3とを有する。そして、この引出部3は、電子機器内に配設された電気部品(図示せず)、或いは取付部材(図示せず)等を避けるために略く字状となっており、この引出部3は、く字状等に屈曲した幅広の屈曲部3aと、この屈曲部3aの両側に繋がって、屈曲部3aより幅狭に形成された帯状の直線状部からなるケーブル部3bと、ケーブル部3bの端部に設けられた導出部3cとを有する。
【0015】銀からなる複数の配線パターン4は、く字状等に曲がり、パターン幅が幅広の曲がり部4aと、この曲がり部4aの両側に繋がり、パターン幅が曲がり部4aより幅狭となった直線状の配線部4bと、配線部4bの端部に設けられた直線状の接続部4cとを有する。即ち、曲がり部4aにおけるパターン幅は、その両側近傍に位置する配線部4bのパターン幅よりも幅広に形成されている。
【0016】そして、配線パターン4は、曲がり部4aが絶縁基板1の引出部3の屈曲部3aに、また、配線部4bがケーブル部3bと基部2に、更に、接続部4cが導出部3cにそれぞれ配置した状態で、複数の配線パターン4が並設して、同一工程のスクリーン印刷により引出部3上に形成されている。また、基部2に形成された配線部4bは、基部2上に導電パターンで形成された固定接点(図示せず)に接続されたものとなっている。
(2) 引用発明2
したがって、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「プリント配線基板であって、フレキシブルな基板等からなる絶縁基板1は、引出部3を有し、銀からなる配線パターン4は、く字状に曲がり、パターン幅が幅広の曲がり部4aと、この曲がり部4aの両側に繋がり、パターン幅が曲がり部4aより幅狭となった直線状の配線部4bを有し、配線パターン4は、引出部3上に形成されている、プリント配線基板。」
第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)引用発明1について
ア 本願発明1と引用発明1とを対比すると、次のことがいえる。
(ア)引用発明1の「ポリエステルフィルムからなるベース材」が絶縁性を有することは自明であるから、本願発明1の「絶縁性を有するベースフィルム」に相当する。
(イ)引用発明1の「導体層」は、「ベース材の上に回路パターンを形成する」ものであるから、当該「ベース材」の上方の面側に積層されている「回路パターン」という配線を含んでいるといえる。また、当該回路パターンが、配線を含む導電パターンであることは明らかである。
したがって、上記(ア)を踏まえると、引用発明1の「ベース材の上に回路パターンを形成する導体層」は、本願発明1の「上記ベースフィルムの少なくとも一方の面側に積層されている配線を含む導電パターンで構成された回路」に相当する。
(ウ)引用発明1の「フレキシブルプリント基板」は、「回路パターンを形成する導体層」という配線を備えているから、本願発明1の「フレキシブルプリント配線板」に相当する。
したがって、本願発明1と引用発明1との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「絶縁性を有するベースフィルムと、上記ベースフィルムの少なくとも一方の面側に積層されている配線を含む導電パターンで構成された回路とを備えるフレキシブルプリント配線板。」
(相違点1)
本願発明1の「フレキシブルプリント配線板」が、「上記回路における配線が、平面視で角度が60°以上の分岐部への応力集中を緩和する緩和構造を備え、上記緩和構造が、上記分岐部からの距離が上記配線の最小幅の5倍以下の範囲内の配線を幅広配線とした構造であり、上記幅広配線の配線幅が上記配線の最小幅の2倍以上である」のに対し、引用発明1の「フレキシブルプリント基板」は、このような構成については特定されていない点。
イ 相違点についての判断
「上記回路における配線が、平面視で角度が60°以上の分岐部への応力集中を緩和する緩和構造を備え」る構成、「上記緩和構造が、上記分岐部からの距離が上記配線の最小幅の5倍以下の範囲内の配線を幅広配線とした構造であ」る構成、「上記幅広配線の配線幅が上記配線の最小幅の2倍以上である」構成は、それぞれ、引用文献1に記載も示唆もなく、「上記回路における配線が、平面視で角度が60°以上の分岐部への応力集中を緩和する緩和構造を備え、上記緩和構造が、上記分岐部からの距離が上記配線の最小幅の5倍以下の範囲内の配線を幅広配線とした構造であり、上記幅広配線の配線幅が上記配線の最小幅の2倍以上である」構成が本願の優先日前において周知技術であったともいえない。
よって、本願発明1は、当業者であっても引用文献1に記載された発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
(2)引用発明2について
ア 本願発明1と引用発明2とを対比すると、次のことがいえる。
(ア)引用発明2の「絶縁基板1」は、本願発明1の「絶縁性を有するベースフィルム」と、「絶縁性を有するベース」である点で共通する。
(イ)引用発明2の「配線パターン4」は、「絶縁基板1」が有する「引出部3上に形成されている」から、「絶縁基板1」の上方の面側に積層されている配線であるといえる。
また、引用発明2の「銀からなる配線パターン4」は、「銀」という導電体からなる「パターン」で構成された「配線パターン」という電気回路であるといえる。
したがって、上記(ア)を踏まえると、引用発明2の「絶縁基板1」が有する「引出部3上に形成されている」「銀からなる配線パターン4」は、本願発明1の「上記ベースフィルムの少なくとも一方の面側に積層されている配線を含む導電パターンで構成された回路」と、「上記ベースの少なくとも一方の面側に積層されている配線を含む導電パターンで構成された回路」である点で共通する。
(ウ)引用発明2の「プリント配線基板」は、当該「プリント配線基板」の「絶縁基板1」が「フレキシブル」な基板等からなるから、本願発明1の「フレキシブルプリント配線板」に相当する。
したがって、本願発明1と引用発明2との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「絶縁性を有するベースと、上記ベースの少なくとも一方の面側に積層されている配線を含む導電パターンで構成された回路とを備えるフレキシブルプリント配線板。」
(相違点2)
本願発明1の「フレキシブルプリント配線板」が「絶縁性を有するベースフィルム」を備えるのに対し、引用発明2の「プリント配線基板」は、「フレキシブルな基板等からなる絶縁基板1」を備えるものの、当該「フレキシブルな基板等」がフィルムであることについては特定されていない点。
(相違点3)
本願発明1の「フレキシブルプリント配線板」が、「上記回路における配線が、平面視で角度が60°以上の分岐部への応力集中を緩和する緩和構造を備え、上記緩和構造が、上記分岐部からの距離が上記配線の最小幅の5倍以下の範囲内の配線を幅広配線とした構造であり、上記幅広配線の配線幅が上記配線の最小幅の2倍以上である」のに対し、引用発明2の「プリント配線基板」は、このような構成については特定されていない点。
イ 相違点についての判断
事案に鑑みて、相違点3について先に検討する。
「上記回路における配線が、平面視で角度が60°以上の分岐部への応力集中を緩和する緩和構造を備え」る構成、「上記緩和構造が、上記分岐部からの距離が上記配線の最小幅の5倍以下の範囲内の配線を幅広配線とした構造であ」る構成、「上記幅広配線の配線幅が上記配線の最小幅の2倍以上である」構成は、それぞれ、引用文献2に記載も示唆もなく、「上記回路における配線が、平面視で角度が60°以上の分岐部への応力集中を緩和する緩和構造を備え、上記緩和構造が、上記分岐部からの距離が上記配線の最小幅の5倍以下の範囲内の配線を幅広配線とした構造であり、上記幅広配線の配線幅が上記配線の最小幅の2倍以上である」構成が本願の優先日前において周知技術であったともいえない。
よって、相違点2について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用文献2に記載された発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
2 本願発明2について
(1)引用発明1について
ア 本願発明2と引用発明1とを対比すると、次のことがいえる。
(ア)引用発明1の「ポリエステルフィルムからなるベース材」が絶縁性を有することは自明であるから、本願発明2の「絶縁性を有するベースフィルム」に相当する。
(イ)引用発明1の「導体層」は、「ベース材の上に回路パターンを形成する」ものであるから、当該「ベース材」の上方の面側に積層されている「回路パターン」という配線を含んでいるといえる。また、当該回路パターンが、配線を含む導電パターンであることは明らかである。
したがって、上記(ア)を踏まえると、引用発明1の「ベース材の上に回路パターンを形成する導体層」は、本願発明2の「上記ベースフィルムの少なくとも一方の面側に積層されている配線を含む導電パターンで構成された回路」に相当する。
(ウ)引用発明1の「フレキシブルプリント基板」は、「回路パターンを形成する導体層」という配線を備えているから、本願発明2の「フレキシブルプリント配線板」に相当する。
したがって、本願発明2と引用発明1との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「絶縁性を有するベースフィルムと、上記ベースフィルムの少なくとも一方の面側に積層されている配線を含む導電パターンで構成された回路とを備えるフレキシブルプリント配線板。」
(相違点4)
本願発明2の「フレキシブルプリント配線板」が、「上記回路における配線が、平面視で角度が60°以上の分岐部への応力集中を緩和する緩和構造を備え、上記緩和構造が、上記分岐部からの距離が上記配線の最小幅の5倍以下の範囲内の配線を密集配線とした構造であり、上記密集配線の配線幅の配線間隔に対する比が1.5以上であり、かつ上記密集配線の合計幅が上記配線の最小幅の2倍以上である」のに対し、引用発明1の「フレキシブルプリント基板」は、このような構成については特定されていない点。
イ 相違点についての判断
「上記回路における配線が、平面視で角度が60°以上の分岐部への応力集中を緩和する緩和構造を備え」る構成、「上記緩和構造が、上記分岐部からの距離が上記配線の最小幅の5倍以下の範囲内の配線を密集配線とした構造であ」る構成、「上記密集配線の配線幅の配線間隔に対する比が1.5以上であり、かつ上記密集配線の合計幅が上記配線の最小幅の2倍以上である」構成は、それぞれ、引用文献1に記載も示唆もなく、「上記回路における配線が、平面視で角度が60°以上の分岐部への応力集中を緩和する緩和構造を備え、上記緩和構造が、上記分岐部からの距離が上記配線の最小幅の5倍以下の範囲内の配線を密集配線とした構造であり、上記密集配線の配線幅の配線間隔に対する比が1.5以上であり、かつ上記密集配線の合計幅が上記配線の最小幅の2倍以上である」構成が本願の優先日前において周知技術であったともいえない。
よって、本願発明2は、当業者であっても引用文献1に記載された発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
(2)引用発明2について
ア 本願発明2と引用発明2とを対比すると、次のことがいえる。
(ア)引用発明2の「絶縁基板1」は、本願発明2の「絶縁性を有するベースフィルム」と、「絶縁性を有するベース」である点で共通する。
(イ)引用発明2の「配線パターン4」は、「絶縁基板1」が有する「引出部3上に形成されている」から、「絶縁基板1」の上方の面側に積層されている配線であるといえる。
また、引用発明2の「銀からなる配線パターン4」は、「銀」という導電体からなる「パターン」で構成された「配線パターン」という電気回路であるといえる。
したがって、上記(ア)を踏まえると、引用発明2の「絶縁基板1」が有する「引出部3上に形成されている」「銀からなる配線パターン4」は、本願発明2の「上記ベースフィルムの少なくとも一方の面側に積層されている配線を含む導電パターンで構成された回路」と、「上記ベースの少なくとも一方の面側に積層されている配線を含む導電パターンで構成された回路」である点で共通する。
(ウ)引用発明2の「プリント配線基板」は、当該「プリント配線基板」の「絶縁基板1」が「フレキシブル」な基板等からなるから、本願発明2の「フレキシブルプリント配線板」に相当する。
したがって、本願発明2と引用発明2との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「絶縁性を有するベースと、上記ベースの少なくとも一方の面側に積層されている配線を含む導電パターンで構成された回路とを備えるフレキシブルプリント配線板。」
(相違点5)
本願発明2の「フレキシブルプリント配線板」が「絶縁性を有するベースフィルム」を備えるのに対し、引用発明2の「プリント配線基板」は、「フレキシブルな基板等からなる絶縁基板1」を備えるものの、当該「フレキシブルな基板等」がフィルムであることについては特定されていない点。
(相違点6)
本願発明2の「フレキシブルプリント配線板」が、「上記回路における配線が、平面視で角度が60°以上の分岐部への応力集中を緩和する緩和構造を備え、上記緩和構造が、上記分岐部からの距離が上記配線の最小幅の5倍以下の範囲内の配線を密集配線とした構造であり、上記密集配線の配線幅の配線間隔に対する比が1.5以上であり、かつ上記密集配線の合計幅が上記配線の最小幅の2倍以上である」のに対し、引用発明2の「プリント配線基板」は、このような構成については特定されていない点。
イ 相違点についての判断
事案に鑑みて、相違点6について先に検討する。
「上記回路における配線が、平面視で角度が60°以上の分岐部への応力集中を緩和する緩和構造を備え」る構成、「上記緩和構造が、上記分岐部からの距離が上記配線の最小幅の5倍以下の範囲内の配線を密集配線とした構造であ」る構成、「上記密集配線の配線幅の配線間隔に対する比が1.5以上であり、かつ上記密集配線の合計幅が上記配線の最小幅の2倍以上である」構成は、それぞれ、引用文献2に記載も示唆もなく、「上記回路における配線が、平面視で角度が60°以上の分岐部への応力集中を緩和する緩和構造を備え、上記緩和構造が、上記分岐部からの距離が上記配線の最小幅の5倍以下の範囲内の配線を密集配線とした構造であり、上記密集配線の配線幅の配線間隔に対する比が1.5以上であり、かつ上記密集配線の合計幅が上記配線の最小幅の2倍以上である」構成が本願の優先日前において周知技術であったともいえない。
よって、相違点5について検討するまでもなく、本願発明2は、当業者であっても引用文献2に記載された発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
3 本願発明3について
(1)引用発明1について
ア 本願発明3と引用発明1とを対比すると、次のことがいえる。
(ア)引用発明1の「ポリエステルフィルムからなるベース材」が絶縁性を有することは自明であるから、本願発明3の「絶縁性を有するベースフィルム」に相当する。
(イ)引用発明1の「導体層」は、「ベース材の上に回路パターンを形成する」ものであるから、当該「ベース材」の上方の面側に積層されている「回路パターン」という配線を含んでいるといえる。また、当該回路パターンが、配線を含む導電パターンであることは明らかである。
したがって、上記(ア)を踏まえると、引用発明1の「ベース材の上に回路パターンを形成する導体層」は、本願発明3の「上記ベースフィルムの少なくとも一方の面側に積層されている配線を含む導電パターンで構成された回路」に相当する。
(ウ)引用発明1の「フレキシブルプリント基板」は、「回路パターンを形成する導体層」という配線を備えているから、本願発明3の「フレキシブルプリント配線板」に相当する。
したがって、本願発明3と引用発明1との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「絶縁性を有するベースフィルムと、上記ベースフィルムの少なくとも一方の面側に積層されている配線を含む導電パターンで構成された回路とを備えるフレキシブルプリント配線板。」
(相違点7)
本願発明3の「ベースフィルム」の「主成分がポリイミド」であるのに対し、引用発明1の「ベース材」は「ポリエステルフィルム」である「PET」からなる点。
(相違点8)
本願発明3の「フレキシブルプリント配線板」が、「上記回路における配線が、平面視で角度が60°以上の屈曲部への応力集中を緩和する緩和構造を備え、上記緩和構造が、上記屈曲部からの距離が上記配線の最小幅の5倍以下の範囲内の配線を密集配線とした構造であり、上記密集配線の配線幅の配線間隔に対する比が2.0以上10以下であり、かつ上記密集配線の合計幅が上記配線の最小幅の2倍以上であり、上記屈曲部が、上記配線の中心線の曲率半径が配線全体における最小幅の5倍以下の部分である」のに対し、引用発明1の「フレキシブルプリント基板」は、このような構成については特定されていない点。
イ 相違点についての判断
事案に鑑みて、相違点8について先に検討する。
「上記回路における配線が、平面視で角度が60°以上の屈曲部への応力集中を緩和する緩和構造を備え」る構成、「上記緩和構造が、上記屈曲部からの距離が上記配線の最小幅の5倍以下の範囲内の配線を密集配線とした構造であ」る構成、「上記密集配線の配線幅の配線間隔に対する比が2.0以上10以下であり、かつ上記密集配線の合計幅が上記配線の最小幅の2倍以上であ」る構成、「上記屈曲部が、上記配線の中心線の曲率半径が配線全体における最小幅の5倍以下の部分である」構成は、それぞれ、引用文献1に記載も示唆もなく、「上記回路における配線が、平面視で角度が60°以上の屈曲部への応力集中を緩和する緩和構造を備え、上記緩和構造が、上記屈曲部からの距離が上記配線の最小幅の5倍以下の範囲内の配線を密集配線とした構造であり、上記密集配線の配線幅の配線間隔に対する比が2.0以上10以下であり、かつ上記密集配線の合計幅が上記配線の最小幅の2倍以上であり、上記屈曲部が、上記配線の中心線の曲率半径が配線全体における最小幅の5倍以下の部分である」構成が本願の優先日前において周知技術であったともいえない。
よって、相違点7について検討するまでもなく、本願発明3は、当業者であっても引用文献1に記載された発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
(2)引用発明2について
ア 本願発明3と引用発明2とを対比すると、次のことがいえる。
(ア)引用発明2の「絶縁基板1」は、本願発明3の「絶縁性を有するベースフィルム」と、「絶縁性を有するベース」である点で共通する。
(イ)引用発明2の「配線パターン4」は、「絶縁基板1」が有する「引出部3上に形成されている」から、「絶縁基板1」の上方の面側に積層されている配線であるといえる。
また、引用発明2の「銀からなる配線パターン4」は、「銀」という導電体からなる「パターン」で構成された「配線パターン」という電気回路であるといえる。
したがって、上記(ア)を踏まえると、引用発明2の「絶縁基板1」が有する「引出部3上に形成されている」「銀からなる配線パターン4」は、本願発明3の「上記ベースフィルムの少なくとも一方の面側に積層されている配線を含む導電パターンで構成された回路」と、「上記ベースの少なくとも一方の面側に積層されている配線を含む導電パターンで構成された回路」である点で共通する。
(ウ)引用発明2の「プリント配線基板」は、当該「プリント配線基板」の「絶縁基板1」が「フレキシブル」な基板等からなるから、本願発明3の「フレキシブルプリント配線板」に相当する。
(エ)上記(イ)を踏まえると、引用発明2の「配線パターン4は、く字状に曲がり、パターン幅が幅広の曲がり部4a」を有する構成は、本願発明3の「上記回路における配線が、平面視で角度が60°以上の屈曲部への応力集中を緩和する緩和構造を備え」る構成と、「上記回路における配線が、屈曲部を備え」る点で共通する。
したがって、本願発明3と引用発明2との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「絶縁性を有するベースと、上記ベースの少なくとも一方の面側に積層されている配線を含む導電パターンで構成された回路とを備えるフレキシブルプリント配線板であって、上記回路における配線が、屈曲部を備えるフレキシブルプリント配線板。」
(相違点9)
本願発明3の「フレキシブルプリント配線板」が「絶縁性を有するベースフィルム」を備えるのに対し、引用発明2の「プリント配線基板」は、「フレキシブルな基板等からなる絶縁基板1」を備えるものの、当該「フレキシブルな基板等」がフィルムであることについては特定されていない点。
(相違点10)
本願発明3の「ベースフィルム」の「主成分がポリイミド」であるのに対し、引用発明2の「フレキシブルな基板等」の主成分がポリイミドであることについては特定されていない点。
(相違点11)
本願発明3の「フレキシブルプリント配線板」が、「上記回路における配線が、平面視で角度が60°以上の屈曲部への応力集中を緩和する緩和構造を備え、上記緩和構造が、上記屈曲部からの距離が上記配線の最小幅の5倍以下の範囲内の配線を密集配線とした構造であり、上記密集配線の配線幅の配線間隔に対する比が2.0以上10以下であり、かつ上記密集配線の合計幅が上記配線の最小幅の2倍以上であり、上記屈曲部が、上記配線の中心線の曲率半径が配線全体における最小幅の5倍以下の部分である」のに対し、引用発明2の「プリント配線基板」は、配線パターン4が、「屈曲部」を有するものの、このような構成については特定されていない点。
イ 相違点についての判断
事案に鑑みて、相違点11について先に検討する。
「上記回路における配線が、平面視で角度が60°以上の屈曲部への応力集中を緩和する緩和構造を備え」る構成、「上記緩和構造が、上記屈曲部からの距離が上記配線の最小幅の5倍以下の範囲内の配線を密集配線とした構造であ」る構成、「上記密集配線の配線幅の配線間隔に対する比が2.0以上10以下であり、かつ上記密集配線の合計幅が上記配線の最小幅の2倍以上であ」る構成、「上記屈曲部が、上記配線の中心線の曲率半径が配線全体における最小幅の5倍以下の部分である」構成は、それぞれ、引用文献2に記載も示唆もなく、「上記回路における配線が、平面視で角度が60°以上の屈曲部への応力集中を緩和する緩和構造を備え、上記緩和構造が、上記屈曲部からの距離が上記配線の最小幅の5倍以下の範囲内の配線を密集配線とした構造であり、上記密集配線の配線幅の配線間隔に対する比が2.0以上10以下であり、かつ上記密集配線の合計幅が上記配線の最小幅の2倍以上であり、上記屈曲部が、上記配線の中心線の曲率半径が配線全体における最小幅の5倍以下の部分である」構成が本願の優先日前において周知技術であったともいえない。
よって、相違点9、10について検討するまでもなく、本願発明3は、当業者であっても引用文献2に記載された発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
4 本願発明4について
(1)引用発明1について
ア 本願発明4と引用発明1とを対比すると、次のことがいえる。
(ア)引用発明1の「ポリエステルフィルムからなるベース材」が絶縁性を有することは自明であるから、本願発明4の「絶縁性を有するベースフィルム」に相当する。
(イ)引用発明1の「導体層」は、「ベース材の上に回路パターンを形成する」ものであるから、当該「ベース材」の上方の面側に積層されている「回路パターン」という配線を含んでいるといえる。また、当該回路パターンが、配線を含む導電パターンであることは明らかである。
したがって、上記(ア)を踏まえると、引用発明1の「ベース材の上に回路パターンを形成する導体層」は、本願発明4の「上記ベースフィルムの少なくとも一方の面側に積層されている配線を含む導電パターンで構成された回路」に相当する。
(ウ)引用発明1の「フレキシブルプリント基板」は、「回路パターンを形成する導体層」という配線を備えているから、本願発明4の「フレキシブルプリント配線板」に相当する。
(エ)引用発明1の「回路パターンを形成する導体層とを備え」、「導体層は電解銅箔、圧延銅箔等からな」ることは、本願発明4の「上記導電パターンを形成する材料が銅であ」ることに相当する。
したがって、本願発明4と引用発明1との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「絶縁性を有するベースフィルムと、上記ベースフィルムの少なくとも一方の面側に積層されている配線を含む導電パターンで構成された回路とを備えるフレキシブルプリント配線板であって、上記導電パターンを形成する材料が銅であるフレキシブルプリント配線板。」
(相違点12)
本願発明4の「ベースフィルム」の「主成分がポリイミド」であるのに対し、引用発明1の「ベース材」は「ポリエステルフィルム」である「PET」からなる点。
(相違点13)
本願発明4の「フレキシブルプリント配線板」が、「上記回路における配線が、平面視で角度が60°以上の屈曲部への応力集中を緩和する緩和構造を備え、上記緩和構造が、上記屈曲部からの距離が上記配線の最小幅の5倍以下の範囲内の配線を幅広配線とした構造であり、上記幅広配線の配線幅が上記配線の最小幅の2.5倍以上であり、上記屈曲部が、上記配線の中心線の曲率半径が配線全体における最小幅の5倍以下の部分であり、上記幅広配線の端部の上記屈曲部からの距離が、上記配線の最小幅の50倍以下であ」るのに対し、引用発明1の「フレキシブルプリント基板」は、このような構成については特定されていない点。
(相違点14)
本願発明4の「導電パターン」が「表面にめっきを有する」のに対し、引用発明1の「回路パターンを形成する導体層」が表面にめっきを有することについては特定されていない点。
イ 相違点についての判断
事案に鑑みて、相違点13について先に検討する。
「上記回路における配線が、平面視で角度が60°以上の屈曲部への応力集中を緩和する緩和構造を備え」る構成、「上記緩和構造が、上記屈曲部からの距離が上記配線の最小幅の5倍以下の範囲内の配線を幅広配線とした構造であ」る構成、「上記幅広配線の配線幅が上記配線の最小幅の2.5倍以上であ」る構成、「上記屈曲部が、上記配線の中心線の曲率半径が配線全体における最小幅の5倍以下の部分であ」る構成、上記幅広配線の端部の上記屈曲部からの距離が、上記配線の最小幅の50倍以下であ」る構成は、それぞれ、引用文献1に記載も示唆もなく、「上記回路における配線が、平面視で角度が60°以上の屈曲部への応力集中を緩和する緩和構造を備え、上記緩和構造が、上記屈曲部からの距離が上記配線の最小幅の5倍以下の範囲内の配線を幅広配線とした構造であり、上記幅広配線の配線幅が上記配線の最小幅の2.5倍以上であり、上記屈曲部が、上記配線の中心線の曲率半径が配線全体における最小幅の5倍以下の部分であり、上記幅広配線の端部の上記屈曲部からの距離が、上記配線の最小幅の50倍以下であ」る構成が本願の優先日前において周知技術であったともいえない。
よって、相違点12、14について検討するまでもなく、本願発明4は、当業者であっても引用文献1に記載された発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
(2)引用発明2について
ア 本願発明4と引用発明2とを対比すると、次のことがいえる。
(ア)引用発明2の「絶縁基板1」は、本願発明4の「絶縁性を有するベースフィルム」と、「絶縁性を有するベース」である点で共通する。
(イ)引用発明2の「配線パターン4」は、「絶縁基板1」が有する「引出部3上に形成されている」から、「絶縁基板1」の上方の面側に積層されている配線であるといえる。
また、引用発明2の「銀からなる配線パターン4」は、「銀」という導電体からなる「パターン」で構成された「配線パターン」という電気回路であるといえる。
したがって、上記(ア)を踏まえると、引用発明2の「絶縁基板1」が有する「引出部3上に形成されている」「銀からなる配線パターン4」は、本願発明4の「上記ベースフィルムの少なくとも一方の面側に積層されている配線を含む導電パターンで構成された回路」と、「上記ベースの少なくとも一方の面側に積層されている配線を含む導電パターンで構成された回路」である点で共通する。
(ウ)引用発明2の「プリント配線基板」は、当該「プリント配線基板」の「絶縁基板1」が「フレキシブル」な基板等からなるから、本願発明4の「フレキシブルプリント配線板」に相当する。
(エ)上記(イ)を踏まえると、引用発明2の「配線パターン4は、く字状に曲がり、パターン幅が幅広の曲がり部4a」を有する構成は、本願発明4の「上記回路における配線が、平面視で角度が60°以上の屈曲部への応力集中を緩和する緩和構造を備え」る構成と、「上記回路における配線が、屈曲部を備え」る点で共通する。
(オ)上記(エ)を踏まえると、引用発明2の「パターン幅が幅広の曲がり部4aと、この曲がり部4aの両側に繋がり、パターン幅が曲がり部4aより幅狭となった直線状の配線部4bを有」することは、本願発明4の「上記緩和構造が、上記屈曲部からの距離が上記配線の最小幅の5倍以下の範囲内の配線を幅広配線とした構造であ」ることと、「上記屈曲部の配線を幅広配線とした構造であ」である点で共通する。
したがって、本願発明4と引用発明2との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「絶縁性を有するベースと、上記ベースの少なくとも一方の面側に積層されている配線を含む導電パターンで構成された回路とを備えるフレキシブルプリント配線板であって、上記回路における配線が、屈曲部を備え、上記屈曲部の配線を幅広配線とした構造であるフレキシブルプリント配線板。」
(相違点15)
本願発明4の「フレキシブルプリント配線板」が「絶縁性を有するベースフィルム」を備えるのに対し、引用発明2の「プリント配線基板」は、「フレキシブルな基板等からなる絶縁基板1」を備えるものの、当該「フレキシブルな基板等」がフィルムであることについては特定されていない点。
(相違点16)
本願発明4の「ベースフィルム」の「主成分がポリイミド」であるのに対し、引用発明2の「フレキシブルな基板等」の主成分がポリイミドであることについては特定されていない点。
(相違点17)
本願発明4の「フレキシブルプリント配線板」が、「上記回路における配線が、平面視で角度が60°以上の屈曲部への応力集中を緩和する緩和構造を備え、上記緩和構造が、上記屈曲部からの距離が上記配線の最小幅の5倍以下の範囲内の配線を幅広配線とした構造であり、上記幅広配線の配線幅が上記配線の最小幅の2.5倍以上であり、上記屈曲部が、上記配線の中心線の曲率半径が配線全体における最小幅の5倍以下の部分であり、上記幅広配線の端部の上記屈曲部からの距離が、上記配線の最小幅の50倍以下であ」るのに対し、引用発明2の「プリント配線基板」は、「配線パターン4は、く字状に曲がり、パターン幅が幅広の曲がり部4aと、この曲がり部4aの両側に繋がり、パターン幅が曲がり部4aより幅狭となった直線状の配線部4bを有」するものの、このような構成については特定されていない点。
(相違点18)
本願発明4の「導電パターンを形成する材料が銅であり、この導電パターンが表面にめっきを有する」のに対し、引用発明2の「配線パターン4」をを形成する材料が銅であり、表面にめっきを有することについては特定されていない点。
イ 相違点についての判断
事案に鑑みて、相違点17について先に検討する。
引用発明2は、「配線パターン4」が、「く字状に曲がり、パターン幅が幅広の曲がり部4aと、この曲がり部4aの両側に繋がり、パターン幅が曲がり部4aより幅狭となった直線状の配線部4bを有」することにより、引用文献2の【0009】に記載されている「配線パターン24の印刷形成時、曲がり部24aにおいて、かすれ部29等によって断線を生じるという問題」を解決できる効果を奏するものと解される。
これに対して、本願発明4は、相違点17に係る「緩和構造」について特定された、各パラメータ及びその数値範囲により、本願明細書の【0029】-【0033】に記載されている種々の問題点が解決され、かつ利点が得られる点で、引用発明2の上記効果とは異なる格別の効果を奏するものであるから、それらのパラメータ及びその数値範囲は単なる設計的事項であるとはいえない。
よって、相違点15、16、18について検討するまでもなく、本願発明4は、当業者であっても引用文献2に記載された発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
5 本願発明5について
本願発明5は、相違点1、3に係る本願発明1の構成、または、相違点13、17に係る本願発明4の構成を備えるものであるから、本願発明1、4と同じ理由により、引用文献1に記載された発明、または、引用文献2に記載された発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
6 本願発明6について
本願発明6は、相違点4、6に係る本願発明2の構成、または、相違点8、11に係る本願発明3の構成を備えるものであるから、本願発明2、3と同じ理由により、引用文献1に記載された発明、または、引用文献2に記載された発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
第6 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-020818