商標拒絶査定不服審判
2022-020559
ウエスタンポロテキサス、ウエスタンポロ、ウエスタン、ポロ
- 審判番号
- 2022-020559
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-096956
- 請求日
- 2022年12月19日
- 審決日
- 2023年12月27日
- 公報発行日
- 2024年03月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社ゴートレイド
- 【請求人代理人】小林 義孝
- 審判長/審判官
- 審判長 高野 和行
- 審判官 小俣 克巳
- 審判官 石塚 利恵
- 分類
- T18 .271-Z (W051418212425)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項15号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項第11号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021-96956拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和3年8月4日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年 2月25日付け:拒絶理由通知書
令和4年 5月 2日 :意見書、手続補正書の提出
令和4年 9月28日付け:拒絶査定
令和4年12月19日 :審判請求書の提出
第2 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第5類、第14類、第18類、第21類、第24類及び第25類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として登録出願され、その後、本願の指定商品については、上記第1の手続補正により、第5類「衛生マスク,生理用パンティ,綿棒」、第14類「キーホルダー,身飾品,時計」、第18類「かばん金具,がま口口金,蹄鉄,レザークロス,皮革,皮革製包装用容器,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具」、第21類「デンタルフロス,化粧用具,洋服ブラシ,トイレットペーパーホルダー,靴ブラシ,靴べら,靴磨き布,軽便靴クリーナー,シューツリー」、第24類「オイルクロス,ビニルクロス,ラバークロス,布製身の回り品,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,織物製テーブルナプキン,ふきん,シャワーカーテン,織物製トイレットシートカバー,織物製椅子カバー,織物製壁掛け,カーテン,テーブル掛け」及び第25類「被服,ガーター,靴下留め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物」に補正されたものである。
第3 原査定の拒絶の理由(要点)
原審においては、以下の1及び2の拒絶の理由を通知し、その内の2の理由により本願を拒絶したものである。
1 商標法第4条第1項第15号について
本願商標は、「WESTERNPOLOTEXAS」の文字を普通に用いられる方法で、横書きに書してなるところ、その構成中の「POLO」の文字は、米国のデザイナーであるラルフ・ローレン氏が、本願商標の出願日前より商品「被服」等に使用している著名な商標であるから、本願商標をその指定商品に使用するときは、これがあたかも上記の者又は同氏と組織的・経済的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
2 商標法第4条第1項第11号について
本願商標は、以下の13件の登録商標と同一又は類似であって、その商標登録に係る指定商品(指定役務)と同一又は類似の商品(役務)について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(1)登録第1822643号商標
商標の態様 「POLO BY RALPH LAUREN」の文字を横書きしてなるもの
指定商品 第14類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
登録出願日 昭和58年2月8日
設定登録日 昭和60年11月29日
書換登録日 平成18年3月1日
(2)登録第2622079号商標
商標の態様 「POLO BY RALPH LAUREN」の文字を横書きしてなるもの
指定商品 第18類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
登録出願日 平成3年10月4日
設定登録日 平成6年2月28日
書換登録日 平成16年4月21日
(3)登録第2710902号商標
商標の態様 「POLORALPHLAUREN」の文字を横書きしてなるもの
指定商品 第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
登録出願日 昭和58年12月28日
設定登録日 平成7年10月31日
書換登録日 平成18年3月1日
(4)登録第4040052号商標
商標の態様 「POLO」の文字を横書きしてなるもの
指定商品 第3類、第8類、第10類、第14類、第18類、第21類、第25類及び第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
登録出願日 平成3年10月4日
設定登録日 平成9年8月8日
書換登録日 平成20年2月13日
(5)登録第4176815号商標
商標の態様 別掲2のとおり
指定商品 第18類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
登録出願日 平成4年7月22日
設定登録日 平成10年8月14日
(6)登録第4190876号商標
商標の態様 別掲3のとおり
指定商品 第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
登録出願日 平成4年10月29日
設定登録日 平成10年9月25日
(7)登録第4216416号商標
商標の態様 別掲2のとおり
指定商品 第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
登録出願日 平成6年6月24日
設定登録日 平成10年12月4日
(8)登録第4443788号商標
商標の態様 別掲2のとおり
指定商品 第14類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
登録出願日 平成4年7月22日
設定登録日 平成13年1月5日
(9)登録第4931614号商標
商標の態様 「POLO」の文字を標準文字で表してなるもの
指定商品 第14類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
登録出願日 平成17年8月18日
設定登録日 平成18年2月24日
(10)登録第5241776号商標
商標の態様 「POLO BY RALPH LAUREN」の文字を標準文字で表してなるもの
指定商品 第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
登録出願日 平成20年12月16日
設定登録日 平成21年6月26日
(11)国際登録第1225513号商標
商標の態様 「POLO RALPH LAUREN」の文字を横書きしてなるもの
指定商品及び指定役務 第9類、第14類、第18類及び第35類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務
国際商標登録出願日 2014年(平成26年)7月25日
設定登録日 平成28年9月9日
(12)国際登録第1261858号商標
商標の態様 別掲4のとおり
指定商品及び指定役務 第14類、第18類、第25類及び第35類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務
国際商標登録出願日 2015年(平成27年)4月22日(優先権主張:同年3月26日、Switzerland)
設定登録日 平成30年7月6日
(13)国際登録第1358062号商標
商標の態様 「POLO RALPH LAUREN」の文字を横書きしてなるもの
指定商品 第24類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品
国際商標登録出願日 2017年(平成29年)5月31日
設定登録日 平成30年5月25日
第4 当審においてした審尋
当審において、審判長は、請求人に対し、令和5年9月28日付けで、別掲5及び別掲6に示す情報を提示した上で、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するとする旨の見解を示した審尋を発し、期間を指定して、これに対する回答を求めた。
第5 審尋に対する請求人の回答
請求人は、上記第4の審尋に対し、令和5年11月10日受付の回答書を提出し、要旨以下のように主張した。
1 本願商標は、欧文字を横書きにした「WESTERNPOLOTEXAS」と、その直近直上に配置された「投げ縄を持ったカウボーイが乗った馬の図柄」(以下、請求人の審尋に対する回答部分においては「投げ縄馬図形」という。)とからなる結合商標である。本願商標の欧文字は、同形同大であって同一間隔に一連にまとまりよく書されており、「POLO」の文字のみを分離(抽出)して認識しなければならない特別な事由は存在しない。
2 特許庁の過去の異議決定(平成10年異議第90557号など)に照らすと、本願商標中の欧文字は、「POLO」と「WESTERN」及び「TEXAS」とを分断して「POLO」のみが要部であるという解釈は成り立たないことはいうまでもない。本願商標の称呼も「ウエスタンポロテキサス」と一連に読み下されるものであり、本願商標はそれら欧文字が一体不可分となった造語である。さらに、欧文字の直近直上に位置する「投げ縄馬図形」が「WESTERNPOLOTEXAS」のうちの「ウエスタン:西部劇」の意味合いを強調するために寄与している。ちなみに、「投げ縄馬図形」は、請求人を商標権者として商標登録済みである(登録第6323089号、登録第6337041号、登録第6428316号)。
3 「投げ縄馬図形」は、大きさが文字よりも大きく、本願商標を一見した場合に当該図形が取引者や需要者に強い印象を与える。そして、取引者や需要者が「投げ縄馬図形」から既述の「ウエスタン:西部劇」を連想するから、本願商標の文字部分が持つ情報伝達力と比肩できるほど「投げ縄馬図形」の部分が持つ情報伝達力が強く、それを見た取引者や需要者がその「投げ縄馬図形」の部分に強く惹かれ、当該部分を自他商品の識別標識として認識する。
したがって、本願商標は、「投げ縄馬図形」と「WESTERNPOLOTEXAS」との一体性が認められ、全体において先行商標との類否が判断されるべきである。
4 本願商標は、商標「POLO」と相紛れるおそれのない非類似の商標であり、商標「POLO」は、造語でもないから、その独創性の程度は低く、本願の指定商品と商標「POLO」の使用に係る商品とは、その性質や用途、目的における関連性の程度が低く、需要者層も概ね共通しないから、商標「POLO」がファッションデザイナーであるラルフ・ローレン氏のデザインした被服の略称として相当程度知られているとしても、本願商標の指定商品の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断すれば、本願商標に接する需要者及び取引者が、本願商標の構成中「POLO」の文字部分のみに注目してラルフ・ローレン氏又は同氏のデザインに係る業務と関連付けて認識するおそれは極めて低く、商品の出所について混同を生ずるおそれはない。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
第6 当審の判断
1 本願商標の商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)ラルフ・ローレン氏の使用に係る「Polo」の文字等からなる商標の周知著名性について
別掲5によれば、以下の事実が認められる。
ア ニューヨーク出身のデザイナー、ラルフ・ローレン(Ralph Lauren)氏(以下「ローレン氏」という。)が、1967年に米国で立ち上げたブランド「Polo」は、幅広の手作りネクタイで成功を収めた後、メンズウェア、レディースウェアへと商品を展開し、1972年に発売した「ポロシャツ」によって、世界的ブランドとなった。2015年には、「Polo by Ralph Lauren」の表記だったメンズ及びキッズのラインと、「Blue Label」のレディースラインだった「RALPH LAUREN」を、「POLO RALPH LAUREN」に集約し、現在では、同ブランドは、アパレルウェアにとどまらず、ブランドの持つ世界観を具現化した家具やライフスタイルグッズ(雑貨)など生活スタイル全体にわたる様々な商品展開を行っている。
イ ローレン氏は、アメリカ文化の伝統的なスタイルに、上品な感性を取り入れたブランドを目指し、その象徴として、貴族のスポーツとして知られる騎乗球技「Polo(ポロ)」をブランド名に取り入れ、馬に乗ったポロ競技者をかたどった図形を使用している。現在の「POLO RALPH LAUREN」に係る商品には「Polo by Ralph Lauren」、「POLO RALPH LAUREN」(上下二段に併記してなる態様も含む。)の文字や、馬に乗ったポロ競技者をかたどった図形が使用されており、日本で販売される際には「ポロ ラルフ ローレン」の文字も使用されている。
ウ 我が国においては、1976年から、西武百貨店が、ローレン氏のデザインに係る「Polo」ブランド商品の取り扱いを始めた。1988年には「ポロ ラルフローレン ジャパン」が設立され、西武百貨店以外にも積極的に出店するようになり、現在では、2006年に表参道にオープンした直営旗艦店や百貨店の店舗等のほか、「ラルフローレン公式オンラインストア」、「ZOZOTOWN」などのECサイトで商品を販売している。近年においては、2021年7月に、世界初のコンセプトショップとして「ラルフローレン銀座」がオープンし、当初1年間の期間限定ショップとされていたところ、多くの人に愛され約2年間営業するなどしている。
エ ローレン氏に係る「Polo」ブランドは、我が国でも定期的にブームを起こしながら、アメリカを代表するブランドとして深く浸透しており、「Polo(ポロ)」の文字は、「POLO BY RALPH LAUREN」を表すものとして認識されているほか、辞書類においても、「Polo(ポロ)」の文字は、「米国のデザイナー、ラルフ-ローレンがデザインした紳士服や婦人服の商標。」や、「米国デザイナーRalph Laurenがデザインした革製品(バッグなど)」の意味を有するものとして掲載されている。
オ 以上のことからすれば、「POLO」及び「Polo」の文字からなる商標(以下「引用商標」という。)並びに馬に乗ったポロ競技者がマレット(打球づち)を振り上げているシルエット図形からなる商標(以下「引用図形商標」という。)は、アパレルウェアを中心としたローレン氏のデザインに係る商品を示す商標として、取引者、需要者の間において広く認識され、著名となっていたものであり、かつ、その状態が本願商標の登録出願日はもとより、現在に至るまで継続しているというべきである。
(2)本願商標と引用商標との類似性の程度について
ア 本願商標の要部について
本願商標は別掲1のとおり、馬に乗った人物が投げ縄を振り上げているシルエット図形(以下「図形部分」という場合がある。)と、その下に配した「WESTERNPOLOTEXAS」の文字(以下「文字部分」という場合がある。)とから構成される結合商標であるところ、図形部分と文字部分とは、相互に一定の間隔を空けて、それぞれ重なり合うことなく、独立して表されていることから、視覚上、分離して看取し得るものである。
そして、本願商標の構成中の文字部分は、「WESTERN」、「POLO」及び「TEXAS」の語を一連に表したものと容易に看取、理解されるものであるところ、「WESTERN」の文字は「西の、西方の」の意味を、「TEXAS」の文字は「テキサス(米国南西部の州)」の意味を有する語(いずれも「ジーニアス英和辞典 第5版」(株式会社大修館書店)から引用。)として、それぞれ我が国において広く親しまれているものであるが、これらの文字は、本願の指定商品との関係においては、米国西部の特にカウボーイたちのファッション、あるいはそれに着想を得たスタイルを指すもの(WESTERN。別掲6参照。)や、商品の製造地、販売地を表す地名(TEXAS)として、理解されるにとどまり、商品の出所識別標識としての機能を果たし得ないか又は極めて弱いというべきである。
一方で、本願商標の構成中の「POLO」の文字は、「ポロ(馬上球戯:打球づちで木製のボールをゴールに入れる)」の意味を有する語(前掲書)として知られているものであるが、当該文字は、上記(1)のとおり、アパレルウェアを中心としたローレン氏のデザインに係る商品を示す商標として、取引者、需要者の間において広く認識され、著名となっていたものである。
そして、本願商標の構成中の文字部分は、「POLO」の文字が語中に配されているとしても、語頭の「WESTERN」と「POLO」の文字、あるいは、「POLO」と語尾の「TEXAS」の文字との間には観念的なつながりもなく、全体として、特定の観念を生じるものでもない。
さらに、本願商標の構成中の文字部分全体から生じる「ウエスタンポロテキサス」の称呼は、11音と冗長であることから、当該文字部分は「ウエスタン」、「ポロ」及び「テキサス」との間で自然に区切って称呼され、認識されるとみるのが自然であり、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているものとはいえない。
そうすると、「POLO」の文字がポロ競技を意味する語であったとしても、上記(1)のとおり、当該文字は、アパレルウェアを中心としたローレン氏のデザインに係る商品を示す商標として周知著名であり、その程度がかなり高いことからすると、これを本願の指定商品に使用した場合は、当該文字から、ローレン氏のデザインに係る商品が観念され、また、当該文字が、取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものというべきである。
以上からすると、本願商標は、その構成中の文字部分から、「POLO」の文字部分を要部として分離観察をすることができるものである。
イ 類似性の程度について
本願商標の構成中、要部として分離観察できる「POLO」の文字部分は、上記(2)アで述べたとおり、「アパレルウェアを中心としたローレン氏のデザインに係る商品を示す商標」として我が国の取引者、需要者の間において相当程度広く認識されている引用商標と同じつづりであって、「ポロ」の称呼を同じくするものである。
そうすると、本願商標の要部である「POLO」の文字と引用商標とは、外観、称呼が同一であり、本願の指定商品に使用された場合は、ローレン氏のデザインに係る商品という同一の観念を生じさせるから、本願商標と引用商標の類似性の程度は極めて高いというべきである。
(3)引用商標の独創性の程度について
「POLO」の文字は、上記(2)アのとおり、馬上球戯を表す競技名であるから、引用商標の文字自体の独創性の程度は必ずしも高くはない。
(4)本願の指定商品と、ローレン氏のデザインに係る商品との関連性及び需要者の共通性、その他の取引の実情について
本願の指定商品は、上記第2のとおりの衣料品を中心としたものであるところ、当該指定商品は、ローレン氏のデザインに係る商品(衣料品、生活用品全体にわたる様々な商品)とその商品の用途、販売店を共通にすることからすれば、極めて関連性の高い商品であり、その取引者、需要者も共通であるといえる。
また、本願の指定商品は、日常的に消費される性質の商品であり、その需要者は広く一般の消費者を含むものであるところ、このような一般の消費者は、必ずしも商標やブランドについて正確又は詳細な知識を持たない者も多数含まれており、商品の購入に際し、メーカー名や商標自体について常に注意深く確認するとは限らず、小売店の店頭などで短時間のうちに購入商品を決定することも少なくないものである。
(5)混同を生ずるおそれについて
商標法第4条第1項第15号にいう「混同を生ずるおそれ」の有無は、当該商標と他人の表示との類似性の程度、他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や、当該商標の指定商品と他人の業務に係る商品との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、当該商標の指定商品の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべきである(最高裁平成10年(行ヒ)第85号同12年7月11日第三小法廷判決参照)ところ、上記(2)のとおり、本願商標の構成中には、引用商標とつづり及び称呼を同じくする「POLO」の文字を要部として含むものであり、また、上記(1)のとおり、引用商標は、アパレルウェアを中心としたローレン氏のデザインに係る商品を示す商標として著名性の程度が高いものである。
そして、本願商標と引用商標とにおける商品の同一又は関連性並びに取引者及び需要者の共通性に照らすと、本願商標がその指定商品に使用されたときは、その構成中の「POLO」の部分がこれに接する取引者、需要者の注意を特に強く引くものである。
そうすると、「POLO」の文字自体の独創性の程度は高くないとしても、本願の指定商品の取引者、需要者において普通に払われる注意力を基準として総合的に判断したときは、本願商標に接する需要者は、引用商標を想起、連想するものであるといえる。
したがって、本願商標がその指定商品に使用されたときは、当該商品はあたかもローレン氏又は同氏と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。
(6)小括
以上によれば、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
なお、原査定は、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶したが、原審の令和4年2月25日付け拒絶理由通知書において、本願商標は、同項第15号に該当する旨の拒絶理由が開示されている。
そして、当審は、上述のとおり、本願商標は、原審における上記拒絶理由通知書で開示した商標法第4条第1項第15号に該当すると判断する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、本願商標の構成中の文字部分は、同形同大であって同一間隔に一連にまとまりよく書されており、「POLO」の文字のみを分離(抽出)して認識しなければならない特別な事由は存在しない旨主張する。
しかしながら、本願商標の構成中の文字部分が、同じ書体、同じ大きさで、等間隔に表されているとしても、「WESTERN」、「POLO」及び「TEXAS」の文字は、それぞれ造語ではなく、意味をもった既成語であることに加え、上記認定のとおり、「POLO」の文字は、アパレルウェアを中心としたローレン氏のデザインに係る商品を示す商標として我が国の取引者、需要者の間において相当程度広く認識されている一方、「WESTERN」及び「TEXAS」の文字は、商品の出所識別標識としての機能を果たし得ないか又は極めて弱いものである。また、本願商標の構成中の文字部分は、「POLO」の文字が語中に配されているとしても、各語の間には観念的なつながりもなく、全体として、特定の観念を生じるものでもない。さらに、本願商標の構成中の文字部分は、その全体から生じる称呼が冗長であることからすれば、当該文字部分は、称呼上も、「ウエスタン」、「ポロ」及び「テキサス」との間で自然に区切って称呼され、認識されるとみるのが自然である。
そうすると、本願の指定商品の取引者、需要者が本願商標に接した場合、本願商標の構成中の「POLO」の文字から、ローレン氏のデザインに係る商品が観念され、また、当該文字が、取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものというべきである。
(2)請求人は、本願商標について、その構成中の図形部分が文字部分よりも大きく、取引者や需要者に強い印象を与えるもので、本願商標は、図形部分と文字部分の一体性が認められ、全体において先行商標との類否が判断されるべき旨主張する。
しかしながら、上記1(2)アのとおり、本願商標の構成中、図形部分と文字部分とは、相互に一定の間隔を空けて、それぞれ重なり合うことなく、独立して表されていることから、視覚上、分離して看取し得るものであって、両部分を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいえないものである。
(3)請求人は、「POLO」の文字を構成中に含む商標登録例を挙げ、本願商標も商標法第4条第1項第15号に該当しない旨主張する。
しかしながら、具体的事案の判断においては、過去の登録例に拘束されることなく、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と取引の実情に応じて個別的に判断されるべきであるから、これらの事例の存在によって、上記1の認定判断が左右されるものではない。
(4)したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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