商標拒絶査定不服審判
2022-020280
イイブイシャケン
- 審判番号
- 2022-020280
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-144999
- 請求日
- 2022年12月14日
- 審決日
- 2023年10月26日
- 公報発行日
- 2024年01月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人タス・マイスター
- 審判長/審判官
- 審判長 旦 克昌
- 審判官 馬場 秀敏
- 審判官 山根 まり子
- 分類
- T18 .13 -Z (W35374245) / T18 .272-Z (W35374245)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号商標法4条1項16号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第4条第1項第16号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021-144999拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和3年11月9日に登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年6月14日付け:拒絶理由通知書
令和4年7月20日付け:意見書
令和4年11月11日付け:拒絶査定
令和4年12月14日付け:審判請求書
第2 本願商標
本願商標は、「EV車検」の文字を標準文字で表してなり、第35類「自動車の販売に関する情報の提供,自動車の売買契約の媒介又は取次ぎ,自動車の売買契約の媒介又は取次ぎに関する情報の提供,商品の価格・販売店に関する情報の提供,自動車販売の経営に関する助言と情報提供,自動車小売店の店舗展開に関する助言と情報提供,市場調査又は分析,商業又はマーケティングのための消費者プロファイリング,事業の管理,顧客ロイヤリティプログラムの管理,マイレージプログラムの管理,販売促進のための企画及び実行の代理,マーケティング,自動車の見本市の運営,広告業,トレーディングスタンプの発行,自動車整備士のあっせん,コンピュータデータベースへの情報編集,コンピュータデータベースへの情報構築,消費者のための商品及び役務の選択における助言と情報の提供」、第37類「自動車の修理又は整備,車検のための自動車の修理・点検又は整備,車検のための自動車の修理又は整備に関する助言及び情報の提供,二輪自動車の修理又は整備,電子応用機械器具の修理又は保守,ナビゲーション装置の修理及び保守,電気通信機械器具の修理又は保守,タイヤの再生」、第42類「自動車の車検のための予備的検査,車検のための自動車の検査,自動車の車検のための検査代行,自動車の車両点検(車両が道路で運転するのに適しているかどうかの検査),電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機用プログラムの提供」及び第45類「自動車の車検のための申請代行・媒介又は取次ぎ,自動車の名義変更に関する手続の代行,車庫証明に関する手続の代行」を指定役務として登録出願されたものである。
第3 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、「EV車検」の文字を標準文字で表してなるところ、構成中の「EV」の文字は「電気自動車」の意味合いを容易に認識させるものであり、また、電気自動車の車検が一般に行われ、それとの関係で「EV」及び「車検」の文字が実際に使用されている事実があるから、本願商標は全体として「電気自動車の車検」ほどの意味合いを容易に認識させるものといえる。そうすると、本願商標をその指定役務中、例えば、第37類「電気自動車の車検のための自動車の修理・点検又は整備」等の電気自動車の車検等に関する役務に使用しても、これに接する需要者は「電気自動車の車検に関する役務」であるという役務の質(内容)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と認識するにすぎないものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第4 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号について
商標法第3条第1項第3号が、「その役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、態様、提供の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」について商標登録の要件を欠くと規定しているのは、このような商標は、指定役務との関係で、その役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他役務の識別力を欠くものであることによるものと解される。
そうすると、商標が、指定役務について役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるというためには、商標が指定役務との関係で役務の質を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、当該商標が当該指定役務に使用された場合に、取引者、需要者によって、将来を含め、役務の質を表示したものとして一般に認識されるものであれば足りるものであって、必ずしも当該商標が現実に当該指定役務に使用されていることを要しないと解される(令和3年(行ケ)第10100号判決)。
そして、当該商標の取引者、需要者によって当該指定役務に使用された場合に役務の質を表示したものと一般に認識されるかどうかは、当該商標の構成やその指定役務に関する取引の事情を考慮して判断すべきである(令和3年(行ケ)第10113号判決)。
2 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
(1)本願商標は、「EV車検」の文字を標準文字で表してなるものであり、その構成文字及び後述する意味合い等から、「EV」及び「車検」の文字を結合させたものと容易に理解されるものである。
(2)本願商標の構成中、「車検」の文字は「道路運送車両法によって義務づけられている、自動車の性能などの検査。」の意味を有する語であって(株式会社三省堂 大辞林第四版)、その意味合いが容易に理解できる親しまれた語であるところ、上記第2のとおり、本願の指定役務の多くは「自動車」や「自動車の車検」に関連するものであって、「車検」の文字は、当該役務の対象や目的等(例:第45類「自動車の車検のための申請代行・媒介又は取次ぎ」等)を表す語であると認められる。
(3)他方、本願商標の構成中、「EV」の文字は、我が国において一般的に用いられている国語辞典(別掲1)において、「エレベーター」を意味する「elevator」、「露光値」を意味する「exposure value」、「企業価値」を意味する「enterprise value」等の略称である旨の載録(以下これらをまとめて「エレベーター等」という。)が一部にあるものの、別掲1に挙げたいずれの辞典においても「電気自動車」を意味する「electric vehicle」の略称である旨の載録が認められる。
また、「車」や「車検」の語との関係において、「EV」の文字は、「electric vehicle」の英語の略称であって「電気自動車」(電気を動力源とした自動車)を指称するものとして、広く一般的に使用されている実情が認められる(別掲2の1~11)。
そして、上記(2)のとおり、本願の指定役務の多くは「自動車」や「自動車の車検」に関連するものであるから、それらとの関係において、本願商標の構成中の「EV」の文字が、エレベーター等を表すと看取されるとは言い難いものであり、「電気自動車」を表すと直ちに看取されるものとみるのが相当であって、当該役務に使用された場合に、当該役務の対象等(例:第42類「車検のための自動車の検査」等)を表示したものと一般に認識される語であると認められる。
(4)また、自動車に関連する役務の業界において、従来からのガソリンを利用して動く自動車の車検のほかに、電気自動車の車検が行われ、その際には「電気自動車の車検」の文字に加え、「電気自動車(EV)の車検」、「EV車の車検」、「EVの車検」、「EV車検」等の文字も使用されている実情が認められる(別掲2の6~17)。
(5)ところで、我が国において、2つの語(「〇〇」と「△△」)を、格助詞の「の」の文字を介さずに結合して用いること(「〇〇△△」)は普通に行われているところ、その用例の一つとして、「車両点検」、「抗原検査」、「CM契約」、「CD販売」、「ID登録」、「DV防止」、「PC修理」のように、「△△」(行為等を表す語。例:「点検」、「修理」。)の語の前に、「〇〇」(その行為等の対象等を表す語。例:「車両」、「PC」。)を冠して用いることも広く一般的になされているといえる。そして、そのように結合した語(前記「〇〇△△」の構成からなる語)は、仮に、構成中の2語の間に格助詞の「の」の文字があった場合(例:「車両の点検」、「PCの修理」等)と同様の意味合いを表す場合がしばしばあることは経験則上明らかであり、その事情は、「EV」の文字(語)の使用においても異なるものではない(例:別掲2の3~5 「EV導入支援」(EVの導入支援)、「EVニーズ」(EVのニーズ)、「商用EV」(商用のEV)、「量産型EV」(量産型のEV)等)。
(6)してみれば、本願商標を構成する各文字の語義から看取される意味合いと、上記の取引の実情を考慮すると、「EV車検」の文字からなる本願商標は、これに接する取引者、需要者に、「車検」の文字の前に、「車検」の対象の自動車の種類を表す「EV」の文字を冠し結合したものと容易に認識、理解され、全体として「EV(電気自動車)の車検」程度を表されたものであると容易に認識、理解されるものとみるのが相当である。
そうすると、本願商標は、その指定役務中、「電気自動車(EV)の車検」に関連する役務(例えば、第35類「電気自動車の車検を行うことのできる自動車整備士のあっせん」、第37類「電気自動車の車検のための自動車の修理・点検又は整備」、第42類「電気自動車の車検のための自動車の検査」、第45類「電気自動車の車検のための申請代行・媒介又は取次ぎ」等)との関係で、当該指定役務が「EV(電気自動車)の車検」に関連する役務であるという役務の質(内容)を表示記述する取引に際し必要適切な表示であり、本願商標が当該指定役務に使用された場合に、需要者等によって、役務の質(内容)を表示したものと一般に認識されるというべきである。
(7)したがって、本願商標は、これをその指定役務中、「電気自動車(EV)の車検」に関連する役務に使用するときは、役務の質(内容)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記に照応する役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。
3 請求人の主張について
(1)請求人は、「EV」の文字は、「電気自動車」の他にも、「Expected value(期待値)」、「Enterprise Value(事業価値)」、「electron volt(電子ボルト)」、「Elevator(エレベーター)」等の略語又は記号としても使用されている事実があり、一義的なものではない旨主張する。
しかしながら、本願商標の構成中の「EV」の文字については、上記2(3)のとおりであるが、我が国において一般的に用いられている国語辞典において「EV」が「電気自動車」である旨の載録が複数あり、また、本願の指定役務の多くが「自動車」や「自動車の車検」に関連するものであり、その取引の事情を考慮すると、「EV」の文字は当該役務との関係では、請求人が列挙した「エレベーター」等ではなく、「電気自動車」を表すと直ちに看取されるとみるべきである。
(2)請求人は、(ア)「EV車検」の文字は、既成語として一般の辞書への載録がなく、よく知られた語ではないし、単に役務の質を表示したものと理解させると言い切れるほどに一般に使用されている事実はない、(イ)「電気自動車の車検」を意味する言葉として、「電気自動車」を「EV」と表すのであれば、格助詞の「の」を用いて、「EVの車検」と表すのが常識であるから、本願商標は、省略した言葉が好まれる現代の風潮に合わせて、請求人によって生み出された一種の造語と認められるべきものであり、請求人に係る役務の識別標識として、商標としての機能を十分に発揮し得る旨主張する。
しかしながら、上記2(5)のとおり、2つの語を、格助詞の「の」の文字を介さずに結合して用いること(例:「車両点検」、「PC修理」等)が普通に行われ、仮に、当該2語の間に格助詞の「の」の文字があった場合(例:「車両の点検」、「PCの修理」等)と同様の意味合いを表す場合がしばしばあることは経験則上明らかであり、その事情は、「EV」の文字(語)の使用においても異なるものではないから、請求人の主張はその前提において誤りがあり採用することはできない。
また、商標法第3条第1項第3号の趣旨は、上記1のとおりであり、商標が指定役務との関係で役務の質を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、当該商標が当該指定役務に使用された場合に、取引者、需要者によって、将来を含め、役務の質を表示したものとして一般に認識されるものであれば足りるものであって、必ずしも当該商標が現実に当該指定役務に使用されていることを要しないと解されるものである。
そうすると、「EV車検」の文字について、たとえ、一般の辞書への載録がなく、現時点において、広く一般的といえるほどに使用されている事実がないとしても、上記2のとおり、「EV車検」の文字からなる本願商標は、需要者等に、全体として「EV(電気自動車)の車検」程度を表されたものであると容易に認識、理解されるものとみるべきであり、その指定役務中、「電気自動車(EV)の車検」に関連する役務に使用された場合に、役務の質(内容)を表示したものと一般に認識されるというべきである。
(3)請求人は、「車検」の文字を構成中に含む商標に係る他の登録例があることを述べ、本願商標もそれらと同様に登録されるべきである旨を主張する。
しかしながら、それらの登録例は、商標の構成文字及び取引の実情において本願とは事案を異にするものであり、また、登録出願に係る商標が自他役務の識別標識として機能しうるか否かは、当該登録出願の査定時又は審決時において、個別具体的に判断されるべきものであって、本願商標についての判断は、上記2のとおりであるから、請求人が挙げる登録例をもって本件判断が左右されるものではない。
(4)したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
4 むすび
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、商標登録を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
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